JPH09262273A - 硫黄化合物の吸着・除去剤 - Google Patents

硫黄化合物の吸着・除去剤

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JPH09262273A
JPH09262273A JP8062029A JP6202996A JPH09262273A JP H09262273 A JPH09262273 A JP H09262273A JP 8062029 A JP8062029 A JP 8062029A JP 6202996 A JP6202996 A JP 6202996A JP H09262273 A JPH09262273 A JP H09262273A
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JP
Japan
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activated carbon
cupric chloride
gas
atmosphere
cooling
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Application number
JP8062029A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Tajima
康宏 田島
Kiyoto Otsuka
清人 大塚
Akinori Nakayama
彰規 中山
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Kuraray Chemical Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】活性炭に塩化第二銅または塩化第二銅及び
鉄、クロム及びニッケル等の酸化物を担持させた、ガス
中に含まれる硫化水素、メルカプタン類、スルフィド
類、ジスルフィド類の吸着・除去剤。ここで活性炭とし
ては、炭素質原料を炭化し、水蒸気含有率15容量%以下
の雰囲気で賦活した後、そのままの雰囲気で300 ℃以下
まで冷却して得られたものまたは、常法で得られた活性
炭を、実質的に酸素または/及び水蒸気を含まない窒素
ガスまたは/及び炭酸ガス中で温度が約500 ℃以上で処
理した後、そのままの雰囲気で300 ℃以下まで冷却して
得られた活性炭が好ましい。 【効果】上記の硫黄化合物の吸着・除去剤は、常温にお
いても酸化触媒として高い機能を有し、特に担体として
水蒸気含有率が低い特定の条件で得られた活性炭を使用
した場合には優れた触媒性を示し、且つ高い持続性を有
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は硫黄化合物の吸着・
除去剤及び除去方法に関するもので、更に詳しく述べる
と塩化第二銅または塩化第二銅及び鉄、クロム、ニッケ
ル、コバルト、マンガン、亜鉛、マグネシウム及びカル
シウムからなる群より選ばれた、一種または二種以上の
金属の酸化物を担持した活性炭及び、その担持活性炭を
使用したガス中に含まれるメチルメルカプタン、硫化水
素、硫化メチル、二硫化メチル等硫黄化合物を脱臭する
ための吸着・除去剤及び除去方法である。
【0002】
【従来の技術】悪臭防止法等で排出濃度が規制されてい
る代表的な悪臭物質としてメチルメルカプタン、硫化水
素、硫化メチル、二硫化メチル等の硫黄化合物が挙げら
れている。し尿処理場、ゴミ処理場、畜産施設、その他
悪臭が発生している各種工場等の悪臭には、これらの成
分が含まれている。従来はこれら悪臭物質を同時に除去
することは困難なため、それぞれの対象物質の除去に適
した脱臭剤を複数併用するシステムが採用されていた。
代表的な例として悪臭物質を酸性物質、塩基性物質、中
性物質に分類し、それぞれの脱臭剤を併用して除去する
方法である。この方法は有効であるが脱臭剤の選定が複
雑になり、また装置が大型化する欠点がある。更に、複
数種類の脱臭剤の中一つでも寿命に達したら悪臭物質が
リークするため、長期間の使用が困難である。
【0003】更に、特開昭55-51422号公報、特開昭50-1
30679 号公報記載の様に硫黄系悪臭物質を除去するた
め、臭素あるいは塩素等刺激性有害物質を用いる例があ
るが、この様な有害物質を使用する方法は好ましくな
い。
【0004】これらの観点から、多成分の硫黄系悪臭物
質を簡便かつ安全な方法で効率よく除去できる脱臭剤の
開発が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前述の問題点
を考慮して悪臭を有するガスを脱臭するため、その中に
含まれるメチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、
二硫化メチル等多くの硫黄系悪臭物質を、簡便かつ安全
に効率よく除去することができる吸着・除去剤及び除去
方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、悪臭の原
因となる微量の硫黄化合物の除去方法について検討した
結果、多くの金属塩の中で特に塩化第二銅を担持した活
性炭は、塩化第二銅以外の銅塩を担持した活性炭、また
は銅以外の金属塩を担持した活性炭と較べて、メチルメ
ルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチル等の
多くの硫黄系悪臭物質の除去性能が著しく高いことを見
い出した。
【0007】また本発明者等の先願である特開平 7-802
99号公報には、炭素質原料を炭化し、水蒸気含有率15容
量%以下の雰囲気で賦活した後、そのままの雰囲気で30
0 ℃以下迄冷却し、或いは常法で得られた活性炭を実質
的に酸素または/及び水蒸気を含まない窒素ガスまたは
/及び炭酸ガス中で500 ℃以上で処理した後、そのまま
の雰囲気中で300 ℃以下まで冷却し、更に鉄、クロム、
ニッケル、コバルト、マンガン、亜鉛、銅、マグネシウ
ム及びカルシウムからなる金属の群から選ばれた、一種
または二種以上を含む金属塩を 0.1〜20重量%担持させ
た酸化触媒性を有する金属塩添着活性炭が、メチルメル
カプタン、トリメチルアミン等の悪臭ガスの除去性能に
優れている旨述べられている。
【0008】ここで「常法で得られた活性炭」とは水蒸
気含有率15%よりかなり高い雰囲気中で賦活し、賦活反
応終了後充分に冷却する以前に賦活炉から取り出して空
気に接触させる通常の製法で得られた活性炭を言う。ま
た「実質的に酸素又は/及び水蒸気を含まない」とは、
活性炭の熱処理において、活性炭表面に結合した酸素原
子が存在しないような雰囲気の意味で、酸素及び水蒸気
が1〜2%以下の状態をいう。
【0009】更に塩化第二銅または塩化第二銅及び鉄、
クロム、ニッケル、コバルト、マンガン、亜鉛、マグネ
シウム及びカルシウムからなる群より選ばれた、一種ま
たは二種以上の金属の酸化物を、この様なプロセスによ
って得られた活性炭に担持させると、常法で得られた活
性炭に担持させた場合と較べて、これらの硫黄化合物の
除去性が一層高められることを見い出した。これらの知
見に基づいて、本発明に到達した。
【0010】すなわち、活性炭に塩化第二銅または塩化
第二銅及び鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガ
ン、亜鉛、マグネシウム及びカルシウムからなる群より
選ばれた、一種または二種以上の金属の酸化物を担持せ
しめてなる、ガス中に含まれる硫化水素、メルカプタン
類、スルフィド類、ジスルフィド類の吸着・除去剤であ
る。ここで活性炭としては、炭素質原料を炭化し、水蒸
気含有率15容量%以下の雰囲気で賦活した後、そのまま
の雰囲気で300 ℃以下まで冷却して得られたものまた
は、常法で得られた活性炭を、実質的に酸素または/及
び水蒸気を含まない窒素ガスまたは/及び炭酸ガス中で
温度が約500 ℃以上で処理した後、そのままの雰囲気で
300 ℃以下まで冷却して得られた活性炭が好ましい。
【0011】また、これらの硫黄化合物の1種またはそ
れ以上を含むガスを、塩化第二銅または塩化第二銅及び
鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガン、亜鉛、マ
グネシウム及びカルシウムからなる群より選ばれた、一
種または二種以上の金属の酸化物を担持した活性炭と接
触させることを特徴とするガス中のこれらの硫黄化合物
除去方法も本発明に含まれている。ここで活性炭として
は、炭素質原料を炭化し、水蒸気含有率15容量%以下の
雰囲気で賦活した後、そのままの雰囲気で300℃以下ま
で冷却して得られたもの、或いは常法で得られた活性炭
を、実質的に酸素または/及び水蒸気を含まない窒素ガ
スまたは/及び炭酸ガス中で温度が約500 ℃以上で処理
した後、そのままの雰囲気で300 ℃以下まで冷却して得
られた活性炭が好ましい。
【0012】以下本発明について詳しく説明する。
【0013】本発明に使用される活性炭は、炭素質原料
として、やし殻炭、石炭などの炭素質原料を炭化し、賦
活することによって得られる。
【0014】この際、賦活ガスは水蒸気の他、二酸化炭
素ガスまたは/及び窒素ガスを含むが、好ましくは水蒸
気含有率は15%以下である。通常使用されている活性炭
賦活用ガスの組成は水蒸気40〜60%で、それより高い場
合も多い。水蒸気による炭素質の賦活速度は二酸化炭素
ガスより著しく速いため、通常賦活ガスの組成は水蒸気
分圧がなるべく高くなるように設定されているためであ
る。従って本発明の賦活条件は、常法に較べて著しく賦
活速度を遅くしたマイルドな条件が好ましい。
【0015】表3の実施例8〜10に示す様に、水蒸気含
有率が低い条件下で賦活された場合は、硫化水素等硫黄
系悪臭物質の酸化触媒性が更に上昇していることが認め
られる。水蒸気含有率が低い賦活条件が、活性炭の酸化
触媒能を向上させる機構の詳細は明らかでないが、その
様な条件下で得られた活性炭は、表面に結合した酸素原
子が存在しない状態になっていることが指摘されてい
る。また、その様な条件下で得られた活性炭はミクロ孔
が高度に発達しており、塩化第二銅等の金属塩を担持さ
せるために適した構造になっているものと考えられる。
【0016】本発明の活性炭は、好ましくは賦活後も賦
活時と同様な組成のガス中で活性炭を温度300 ℃以下に
冷却し、その後系外に取り出して調製される。冷却時に
必要とされる賦活時と同様な組成のガスとは、実質的に
酸素または/及び水蒸気を含まない窒素ガス、炭酸ガス
またはこれらの混合ガスの雰囲気であればよく、賦活に
用いるガスと冷却に用いるガスとは必ずしも同一組成の
ものでなくてもよい。本発明において「そのままの雰囲
気で冷却」するとは前記のような組成の雰囲気を指して
いる。
【0017】賦活後の活性炭を300 ℃以下に冷却してか
ら空気中に取り出すと、低温低濃度における酸化触媒と
しての能力が更に上昇する。賦活後窒素ガス中で冷却し
た場合と、空気中で冷却した場合の触媒性に及ぼす影響
を、表1の実施例1及び2に示す。また賦活後活性炭が
空気に触れる温度が触媒性に及ぼす影響については、表
2の実施例5〜7に示す。
【0018】前記の様にして得られた本発明の活性炭の
比表面積は、800m2/g 以上であることが好ましく、1000
m2/g以上であればより好ましい。
【0019】空気などに触れて表面が酸化され酸化触媒
性が低下した廃活性炭或いは、常法により製造された活
性炭を前述の賦活ガスと同様な組成のガス中で、温度 5
00℃以上で処理し、そのガス中で温度 300℃以下に冷却
して得られた活性炭に塩化第二銅、または塩化第二銅及
び鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガン、亜鉛、
マグネシウム及びカルシウムからなる群より選ばれた、
一種または二種以上の金属の酸化物を担持させることに
よっても、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチ
ル、二硫化メチル等硫黄系悪臭物質ガスに対して更に高
い酸化触媒性を示す。この熱処理が適用される活性炭
は、石炭、やし殻炭等いかなる原料から得られたもので
もよく、またその形状も特に限定しない。
【0020】熱処理時間は温度によって変わるが、500
℃の場合は通常、20〜180 分が好ましく、800 ℃では数
分の処理によって充分その効果が得られる。熱処理温度
及び雰囲気が酸化触媒性に及ぼす影響については、表1
の実施例2〜4に示す。
【0021】本発明で使用する活性炭担体には先ず塩化
第二銅を担持させる必要がある。多くの金属塩の中で塩
化第二銅を担持した活性炭は、塩化第二銅以外の銅塩ま
たは銅酸化物、或いはその他の金属塩または金属酸化物
を担持した活性炭と較べて、メチルメルカプタン、硫化
水素、硫化メチル、二硫化メチル等の多くの硫黄系悪臭
物質の除去性能が著しく優れている。
【0022】塩化第二銅の担持量は特に限定しないが
0.1〜20重量%(以下、担持量は金属(銅)量換算で示
す。また、固体及び液体の組成を%で表示する場合には
重量%を示し、単に%と表記する)が好ましく、 0.5〜
5%がより好ましい。
【0023】塩化第二銅と併用して前記の特定範囲の種
類の金属酸化物以外の金属塩或いは金属酸化物を使用す
ることができるが、塩化第二銅以外の成分は金属塩及び
金属酸化物全体の50%以下にすることが好ましい。塩化
第二銅と併用できる金属塩としては鉄、クロム、ニッケ
ル、コバルト、マンガン、亜鉛、マグネシウム及びカル
シウム等の金属塩である。塩化第二銅は水中への溶解度
が高く、担持に水溶液を利用できるため操作が簡便かつ
安全である。また、熱に対する安定性が高く乾燥などの
熱処理中にも変質しない。
【0024】活性炭に塩化第二銅を担持させるには、水
溶液に所定量の塩化第二銅を溶解し、この溶液に活性炭
を入れて攪拌し、塩化第二銅を十分吸着させた後、液切
りして空気中または窒素中で300 ℃以下で乾燥する。ま
たは活性炭をミキサーなどで攪拌しながら、塩化第二銅
の水溶液を活性炭に振りかけて、その後乾燥する方法で
調製してもよい。
【0025】塩化第二銅の担持量が0.1 %以下の場合は
触媒活性が不十分となる傾向がみられ、また20%以上に
なると担持量が多いわりには触媒性が向上せず、また担
体である活性炭自体の吸着性能が阻害されるので、担持
量は20%以下とすることが好ましい。塩化第二銅の担持
量の調節は、水溶液の塩化第二銅の量と活性炭の量との
比を変更することにより行われる。通常、溶液中の塩化
第二銅はほぼ完全に活性炭に吸着される。
【0026】塩化第二銅以外の第二、第三成分等を活性
炭に担持させる場合は、それらの水溶液または酸溶液を
所定量調製し、塩化第二銅を担持させた活性炭を投入・
攪拌し、それらの成分を活性炭に充分吸着させた後液切
りし、空気中または窒素中で300 ℃以下で乾燥して調製
される。或いは塩化第二銅を担持させた活性炭をミキサ
ー等で攪拌しながら、それらの成分の水溶液または酸溶
液を振りかけた後乾燥する方法でもよい。
【0027】本発明において、除去の対象となる硫黄系
悪臭化合物は硫化水素、メルカプタン類、スルフィド類
及びジスルフィド類である。メルカプタン類としてはメ
チルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメル
カプタンなどのアルキルメルカプタン、フェニルメルカ
プタン等のアリールメルカプタンが挙げられる。
【0028】スルフィド類としては硫化メチル、硫化エ
チル、硫化プロピル等の硫化アルキル、硫化フェニル等
の硫化アリールが挙げられる。また、ジスルフィド類と
しては、二硫化メチル、二硫化エチル、二硫化プロピル
等の二硫化アルキルが挙げられる。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明で使用される活性炭の形状
は特に限定されない。破砕状、円柱状、球状、板状、繊
維状及びハニカム状のいずれの形状でも使用できる。粉
末状の場合には予め塩化第二銅または塩化第二銅及び
鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガン、亜鉛、マ
グネシウム及びカルシウムからなる群より選ばれた、一
種または二種以上の金属の酸化物を担持させた後、バイ
ンダーによって円柱状等に成型することによっても使用
できるし、また、成型後に塩化第二銅または塩化第二銅
及び鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガン、亜
鉛、マグネシウム及びカルシウムからなる群より選ばれ
た、一種または二種以上の金属の酸化物を担持させても
使用できる。本発明の担持活性炭は充填塔方式、充填カ
ラム方式等の各種の脱臭装置に使用することができる。
【0030】メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチ
ル、二硫化メチル等の硫黄系悪臭物質は極微濃度でも著
しい悪臭を発生させるが、本発明の脱臭触媒はこれら極
微濃度の硫黄系悪臭ガスの除去にも優れた効果を発揮す
る。また、その除去効果は長期間にわたって持続する特
徴がある。
【0031】これらの悪臭物質が塩化第二銅または塩化
第二銅及び鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガ
ン、亜鉛、マグネシウム及びカルシウムからなる群より
選ばれた、一種または二種以上の金属の酸化物を担持さ
せた活性炭に吸着された場合、これらの硫黄化合物がそ
れぞれどの様に変化するかは未だ充分に解明されていな
い。しかし、メチルメルカプタンは塩化第二銅の酸化触
媒作用によって高沸点の二硫化メチルに変換されること
が知られており、活性炭に吸着され易い物質に変化して
いる。他の硫黄化合物も塩化第二銅または塩化第二銅及
び鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガン、亜鉛、
マグネシウム及びカルシウムからなる群より選ばれた、
一種または二種以上の金属の酸化物を担持させた活性炭
の酸化触媒作用によって、より高沸点の物質に変換され
ているものと推定される。酸化反応に寄与する酸化剤に
は空気中の酸素分子を利用することができる。
【0032】本発明の塩化第二銅または塩化第二銅及び
鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガン、亜鉛、マ
グネシウム、カルシウムからなる群より選ばれた一種ま
たは二種以上の金属の酸化物を担持した活性炭は常温に
おいても酸化触媒として高い機能を有し、単独で多成分
の硫黄系悪臭物質を同時に効率的に除去する脱臭剤とし
て、極めて優れている。更に、活性炭の吸着性と塩化第
二銅の触媒性の相乗作用によって、吸着した硫黄化合物
を活性炭に吸着され易い他の成分に変化させるため、吸
着・除去効果が高い持続性を有する特徴がある。このた
め、し尿処理場、ゴミ処理場、畜産施設、その他各種工
場等から発生する悪臭の主要な成分であるメチルメルカ
プタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチル等の硫黄
化合物を吸着・除去する脱臭能力が優れている。
【0033】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。
【0034】(実施例1〜11、比較例1〜4)実施例1
は、10〜30メッシュに粉砕した椰子殻を800 ℃で乾留し
た後、プロパン燃焼ガス(ガス組成;窒素80%、酸素0.
2 %、炭酸ガス9.8 %、水蒸気10%)を用いて、900 ℃
で比表面積1100m2/gになるまで賦活した後、窒素で置換
した容器内に活性炭を取り出し、窒素ガス中で300 ℃以
下に冷却して、活性炭担体を得た。
【0035】次に実施例2は実施例1と同様にして、比
表面積が1100m2/gになるまで賦活した活性炭を窒素中に
取り出し、500 ℃になるまで冷却した後空気中に取り出
し、放置冷却して活性炭担体を得た。更に実施例2の活
性炭担体を、窒素中において500 ℃で10分間処理した
後、そのままの雰囲気中で室温まで冷却して実施例3の
活性炭担体を得た。また、実施例2の活性炭担体を窒素
50%、炭酸ガス50%の気流中において 800℃で5分間処
理した後、窒素中で室温まで冷却して実施例4の活性炭
担体を得た。
【0036】これらの活性炭に次の様にして金属塩を担
持させた。例えば、塩化第二銅を3.0 %担持した活性炭
を調製するには、塩化第二銅を金属(銅)として 1.5g
含む量を純水に溶解させた後、活性炭担体 50gを加えて
よく攪拌し、12時間放置した後水切りし、60℃で乾燥し
て塩化第二銅担持量3.0 %の活性炭を得た。尚、2種類
以上の金属塩を担持させる場合には上記の操作を繰り返
し行って調製した。
【0037】以下の実施例1〜11及び比較例1〜4にお
いて、脱臭性能試験は総て次の方法で行った。前記の方
法で調製した各種活性炭 0.2g を4リットルのデシケー
ター内にセットして真空脱気した後、測定ガス2ml(50
0ppm相当)を注入し、外気を導入して常圧に戻し、25℃
で放置した。一定時間毎にシリンジでサンプリングし、
ガスクロマトグラフ法または検知管法で濃度を分析し
た。
【0038】測定結果及び使用した触媒の性状を表1に
示す。
【0039】
【表1】
【0040】本発明の塩化第二銅担持活性炭(実施例1
〜4)を使用した場合には、メチルメルカプタンはいず
れも3〜4時間でほぼ完全に除去され、優れた脱臭能力
を有することが分かる。
【0041】次に、実施例1と同様にして賦活した活性
炭を取り出す際、N2中で冷却後、空気中に取り出すとき
の温度を変えた活性炭を作り、実施例1と同様の方法で
塩化第二銅を担持した活性炭を得た。これらの活性炭を
使用して実施例1と同様の方法で、二硫化ジメチルの悪
臭ガス除去性能を測定した。
【0042】その結果及び使用した活性炭の性状を表2
に示す。
【0043】
【表2】
【0044】次に、椰子殻炭を賦活する際、賦活ガスの
水蒸気分圧が異なる条件において、900 ℃で比表面積11
00m2/gになるまで賦活した後、窒素で置換した容器内に
活性炭を取り出し、窒素中で 300℃以下に冷却し、更に
実施例1と同様の方法で塩化第二銅を担持させた活性炭
を使用して、実施例1と同様な方法で硫化水素ガスの除
去性能を測定した。
【0045】その結果及び使用した担持活性炭の性状を
表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】次に、比較のため実施例1と同様な方法で
塩化第二銅以外の金属塩を担持した活性炭を調製し、実
施例1と同様に担持活性炭を調製した。また、金属塩を
担持していない活性炭を調製した。これらの活性炭を使
用して、実施例1と同様な方法で硫化メチルの除去性能
を測定した。
【0048】その結果及び使用した活性炭の性状を表4
に示す。
【0049】
【表4】
【0050】表4に示す様に、本発明の塩化第二銅担持
活性炭(実施例11)は悪臭成分である硫化メチルの酸化
触媒性能が優れているが、他の金属塩を担持した活性炭
または金属塩を担持していない活性炭(比較例1〜4)
は塩化第二銅を担持した活性炭と比較して、硫化メチル
の除去性能が大幅に低下していることが分かる。
【0051】(実施例12)次に、300 メッシュ以下に粉
砕した石炭 100重量部に対してバインダーとしてタール
30重量部を添加し、直径4mm、長さ 100mmのペレットを
調製した。このペレット状活性炭原料を実施例1と同様
の条件で賦活し、ペレット状活性炭を得た。この活性炭
に実施例1と同様に塩化第二銅 3.0%及び酸化マンガン
2.0%を担持した(比表面積 1050m2/g)。直径60mmのガ
ラスカラムにこの活性炭1リットルを充填し、25℃の恒
温槽にセットした。
【0052】このカラムに硫化水素1ppm 、メチルメル
カプタン0.5ppm、硫化メチル0.3ppm及び二硫化メチル0.
3ppmを含む空気を3リットル/minで通し、カラム出口の
ガスを定期的にサンプリングし、官能試験及び濃度測定
を行ったが、90日後でも無臭であり、4種のガスの濃度
はいずれも1ppb 以下であった。
【0053】(比較例5)実施例12と同様の方法でペレ
ット状活性炭を得た。この活性炭に何も担持せずそのま
ま直径60mmのガラスカラムに1リットル充填し、実施12
と同様に悪臭ガス4種を含む空気を通した。カラム出口
ガスを定期的にサンプリングし、官能試験及び濃度測定
を行った。
【0054】その結果、7日目から臭気が感じられ、14
日後に各種ガスの濃度を測定したところ、硫化水素300p
pb、メチルメルカプタン 80ppb、硫化メチル 140ppb 及
び二硫化メチル 120ppb と総ての悪臭ガスが検知され
た。
【0055】(実施例13〜20)実施例1と同様にして塩
化第二銅及び第二成分を担持させた活性炭を数種類作成
した。これらの活性炭を使用して実施例1と同様な方法
でメチルメルカプタンの悪臭ガス除去性能を測定した。
【0056】その結果及び使用した活性炭の性状を表5
に示す。
【0057】
【表5】
【0058】表5に示すとおり、いずれの触媒担持活性
炭もメチルメルカプタンを3〜4時間で完全に除去して
おり、優れた脱臭能力を有することが分かる。
【0059】
【発明の効果】本発明の塩化第二銅、または塩化第二銅
及び鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガン、亜
鉛、マグネシウム及びカルシウムからなる群より選ばれ
た、一種または二種以上の金属の酸化物を担持させた活
性炭は、常温においても酸化触媒として高い機能を有
し、特に担体として水蒸気含有率が低い特定の条件で得
られた活性炭を使用した場合には優れた触媒性を示し、
且つ高い持続性を有する特徴がある。このため主要な悪
臭成分であるメチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチ
ル、二硫化メチル等の硫黄化合物を吸着・除去する能力
が優れ、ゴミ処理場、畜産施設、その他悪臭が発生して
いる各種工場等の悪臭の除去に有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01D 53/86

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性炭に塩化第二銅、または塩化第二銅
    及び鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガン、亜
    鉛、マグネシウム及びカルシウムからなる群より選ばれ
    た、一種または二種以上の金属の酸化物を担持せしめて
    なる、ガス中に含まれる硫化水素、メルカプタン類、ス
    ルフィド類、ジスルフィド類の吸着・除去剤。
  2. 【請求項2】 活性炭が炭素質原料を炭化し、水蒸気含
    有率15容量%以下の雰囲気で賦活した後、そのままの雰
    囲気で300 ℃以下まで冷却して得られたものまたは、常
    法で得られた活性炭を、実質的に酸素または/及び水蒸
    気を含まない窒素ガスまたは/及び炭酸ガス中で温度が
    約500 ℃以上で処理した後、そのままの雰囲気で300 ℃
    以下まで冷却して得られた活性炭である、請求項1記載
    のガス中に含まれる硫化水素、メルカプタン類、スルフ
    ィド類、ジスルフィド類の吸着・除去剤。
  3. 【請求項3】 硫化水素、メルカプタン類、スルフィド
    類、ジスルフィド類からなる群より選ばれた一種または
    二種以上の化合物を含むガスを、塩化第二銅、または塩
    化第二銅及び鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガ
    ン、亜鉛、マグネシウム及びカルシウムからなる群より
    選ばれた、一種または二種以上の金属の酸化物を担持し
    た活性炭と接触させることを特徴とする、ガス中の該硫
    黄化合物除去方法。
  4. 【請求項4】 活性炭として、炭素質原料を炭化し、水
    蒸気含有率15容量%以下の雰囲気で賦活した後、そのま
    まの雰囲気で300 ℃以下まで冷却して得られた活性炭を
    使用する、請求項3記載のガス中の該硫黄化合物除去方
    法。
  5. 【請求項5】 活性炭として常法で得られた活性炭を、
    実質的に酸素または/及び水蒸気を含まない窒素ガスま
    たは/及び炭酸ガス中で温度約500 ℃以上で処理した
    後、そのままの雰囲気で300 ℃以下まで冷却して得られ
    た活性炭を使用する、請求項3記載のガス中の該硫黄化
    合物除去方法。
JP8062029A 1996-01-22 1996-02-22 硫黄化合物の吸着・除去剤 Pending JPH09262273A (ja)

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