JPH089803B2 - 超高分子量エチレン−α−オレフィン共重合体の分子配向成形体 - Google Patents

超高分子量エチレン−α−オレフィン共重合体の分子配向成形体

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JPH089803B2
JPH089803B2 JP62109725A JP10972587A JPH089803B2 JP H089803 B2 JPH089803 B2 JP H089803B2 JP 62109725 A JP62109725 A JP 62109725A JP 10972587 A JP10972587 A JP 10972587A JP H089803 B2 JPH089803 B2 JP H089803B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、超高分子量エチレン・α−オレフィン共重
合体の分子配向成形体に関するもので、より詳細には新
規な結晶融解特性を有し、耐熱性及び耐クリープ性に優
れた超高分子量エチレン・α−オレフィン共重合体の分
子配向成形体、特に繊維に関する。
(従来の技術) 超高分子量ポリエチレンを繊維、テープ等に成形し、
これを延伸することにより、高弾性率、高引張強度を有
する分子配向成形体とすることは既に公知であり、例え
ば、特開昭56-15408号公報には、超高分子量ポリエチレ
ンの希薄溶液を紡糸し、得られるフィラメントを延伸す
ることが記載されている。また、特開昭59-130313号公
報には、超高分子量ポリエチレンとワックスとを溶融混
練し、この混練物を押出し、冷却固化後延伸することが
記載され、更に特開昭59-187614号公報には、上記溶融
混練物を押出し、ドラフトをかけた後冷却固化し、次い
で延伸することが記載されている。
(発明が解決しようとする問題点) 超高分子量ポリエチレンを繊維の形態に成形し、これ
を強延伸することにより、延伸倍率の増大に伴って、弾
性率及び引張強度の増大が得られ、この延伸繊維は、高
弾性率、高引張強度という機械的性質、軽量性、耐水
性、耐候性等には優れているが、その耐熱性はポリエチ
レンの融点が一般に120乃至140℃の比較的低い範囲内に
あるという制約を根本的に免れないものであり、更に超
高分子量ポリエチレン繊維を高温で使用する場合には、
強度の保持率が著しく減少し、またクリープが著しく増
大するという欠点がある。
従って、本発明の目的は、新規な結晶融解特性を有
し、耐熱性と耐クリープ性とが顕著に改善された超高分
子量ポリエチレン系の分子配向成形体を提供するにあ
る。
本発明の他の目的は、例えば170℃で5分間の熱処理
のような高温熱履歴を受けた場合にも、著しく高い強度
保持率及び弾性率保持率を示し、且つ高温下でのクリー
プが著しく低いレベルに抑制された超高分子量ポリエチ
レン系の分子配向成形体を提供するにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明者等は、2種以上のα−オレフィンを限定され
た少量でエチレンと共重合せしめた超高分子量エチレン
・α−オレフィン共重合体を、押出成形し、強延伸して
分子配向成形体とするときには従来のポリエチレンの延
伸成形体には全く認められない融解温度の向上現象のあ
る新規な分子配向成形体が得られること、及びこの分子
配向成形体は、170℃で5分間熱処理した場合にも強度
や弾性率が殆んど低下しないが、或いは逆にこれらの値
が向上するという高温時の機械的特性を有することを見
出した。更にこの分子配向成形体は、超高分子量ポリエ
チレンの延伸成形体に特有の高強度及び高弾性率を保有
しながら顕著に改善された耐クリープ性を有することも
わかった。
即ち、本発明によれば、極限粘度〔η〕が少なくとも
5dl/gで、全α−オレフィンの含有量が炭素数1000個あ
たり平均0.1〜15個である超高分子量のエチレンと2種
以上のα−オレフィンとの共重合体の分子配向成形体で
あって、第1のコモノマーがプロピレン及びブテン−1
から選ばれるα−オレフィンであり、残りのコモノマー
が炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる1種以上
のα−オレフィンであり、かつ第1のコモノマーと残り
のコモノマーとが同一でなく、該成形体は拘束状態で示
差走査熱量計で測定したとき、少なくとも2個の結晶融
解吸熱ピークを有すると共に、二回目昇温時の主融解吸
熱ピークとして求められる超高分子量エチレン・α−オ
レフィン共重合体本来の結晶融解温度(Tm)よりも少なく
とも20℃高い温度に少なくとも1個の結晶融解吸熱ピー
ク(Tp)を有し、且つ全融解熱量当りのこの結晶融解吸熱
ピーク(Tp)に基づく熱量が15%以上であることを特徴と
する分子配向成形体が提供される。
(作用) 本発明は、限定された量の2種以上のα−オレフィン
をエチレンと共重合させて得られた超高分子量エチレン
・α−オレフィン共重合体を押出成形し、強延伸して分
子配向成形体とすると、分子配向成形体を構成する重合
体鎖の融点が拘束条件下において向上するという驚くべ
き知見に基づくものである。
尚、本明細書において、拘束状態乃至拘束条件とは、
分子配向成形体に積極的な緊張は与えられていないが、
自由変形が防止されるように端部が固定されていること
を意味する。
重合体の融点は、重合体中の結晶の融解に伴なうもの
であり、一般に示差走査熱量計での結晶融解に伴なう吸
熱ピーク温度として測定される。この吸熱ピーク温度
は、重合体の種類が定まれば一定であり、その後処理、
例えば延伸処理や架橋処理等によってそれが変動するこ
とは殆んどなく、変動しても、最も変動する場合として
良く知られている延伸熱処理でも高々15℃程度高温側へ
移動するに留まる。
添付図面第1図は本発明に用いる超高分子量エチレン
−プロピレン−4−メチルペンテン−1共重合体(E-4M
P)原料、第2図はこの共重合体(E-4MP)の高延伸フィ
ラメント、第3図は通常の超高分子量ポリエチレン原
料、及び第4図はこの超高分子量ポリエチレンの高延伸
フィラメントの各々についての示差走査熱量計による吸
熱曲線であり、高延伸フィラメントの吸熱曲線はフィラ
メントの拘束条件で測定されたものである。尚、第1図
および第3図の原料粉末の吸熱曲線の測定は重合時の諸
履歴を消去するためにASTMD3418記載の方法で測定し
た。各重合体の組成及びフィラメントの処理条件につい
ては後述する例を参照されたい。
これらの結果から、通常の超高分子量ポリエチレンの
延伸フィラメントでは、原料の超高分子量ポリエチレン
から約15℃高い約150℃の温度に結晶融解に伴なう吸熱
ピークを示すのに対して、本発明による超高分子量エチ
レン・α−オレフィン共重合体の延伸フィラメントで
は、原料共重合体に比して何れも吸熱ピークが本来の吸
熱ピークに比してさらに20℃以上高温側に移行している
と共に、超高分子量ポリエチレンのホモ重合体の延伸フ
ィラメントに比して吸熱ピークが多重ピーク化している
ことがわかる。
第5図は夫々、第2図の試料をセカンド・ラン(第2
図の測定を行った後、2回目の昇温測定)に賦したとき
の吸熱曲線を示す。第5図の結果から、再昇温の場合に
は結晶融解の主ピークは原料の超高分子量エチレン−プ
ロピレン−4メチルペンテン−1共重合体の融解ピーク
温度と殆んど同じ温度に現われ、しかも第5図の測定時
には試料中の分子配向は殆んど生じていることから、第
2図の試料における吸熱ピークの高温側への移行は成形
体中での分子配向と密接に関連していることを示してい
る。
また、第2図と第4図との対比から、第2図の試料に
おける吸熱ピークの多重ピーク化は、重合体鎖中への少
量の2種以上のα−オレフィンの組込みによって生じた
分岐鎖の存在とも密接に関連していることがわかる。
本発明の分子配向成形体において、エチレンに少量の
2種以上のα−オレフィンを共重合させたものを用いる
ことにより、重合体鎖への共単量体成分の導入は結晶性
の低下と融点の低下とをもたらすという一般的事実に徴
しても、該分子配向成形体の融点が超高分子量ポリエチ
レンの分子配向成形体の融点と同等もしくはそれ以上に
なるということ及び後述のように、耐クリープ性が改良
されるという事実は真に意外のものであることがわか
る。
本発明の分子配向成形体において、結晶融解温度の高
温側への移行が大きくなる理由は未だ十分に解明される
に至っていないが、前述した測定結果の解析から次のよ
うに推定される。即ち、超高分子量ポリエチレンの分子
配向成形体では、多数の重合体鎖が結晶部と非晶部とを
交互に通り且つ重合体鎖が延伸方向に配向した構造をと
ると考えられるが、この高分子量ポリエチレンにプロピ
レン−4−メチルペンテン−1等の2種以上のα−オレ
フィンの少量を共重合により導入したものの分子配向成
形体では、導入されたα−オレフィン鎖の部分、即ち側
鎖が形成された部分が選択的に非晶部となり、この非晶
部を介して反復エチレン鎖の部分が配向結晶部となると
信じられる。この際、重合体鎖中に炭素原子1000個当り
平均0.1乃至15個の数で導入された側鎖部分が非晶部に
集中することにより、反復エチレン鎖の配向結晶化がか
えって規則性良く大きなサイズ迄進行するか、或いは配
向結晶部両側の非晶部で分子鎖間の絡み合いが増大して
重合体鎖が動きにくくなるため、配向結晶部の融解温度
が上昇するものと思われる。
本発明における分子配向成形体は、170℃で5分間熱
処理した場合にも、未熱処理のものに比して、強度の低
下が実質上なく、しかも弾性率が未処理のものに比して
むしろ向上するという特徴を有する。更に、この分子配
向成形体は高温での耐クリープ性においても顕著に優れ
ており、後に詳述する方法で求めたクリープ(CR90)が、
通常の超高分子量ポリエチレン配向成形体の1/2以下、
特に1/3以下であり、またクリープ速度90-180・(sec
-1)が超高分子量ポリエチレン配向成形体のそれよりも
2桁程度のオーダーで小さいという驚くべき特性を有し
ている。これらの特性の顕著な改良は、前述した配向結
晶部の新規な微細構造に由来するものと思われる。
本発明の分子配向成形体に用いるエチレン−α−オレ
フィン共重合体は、2種以上のα−オレフィンを炭素数
1000個当り0.1乃至15個、特に0.5乃至10個の量で含有す
ることが重要である。中でも第1のコモノマーをプロピ
レンとし、残りのコモノマーを炭素数が4以上、例えば
ブテン−1,4−メチルペンテン−1,ヘキセン−1等とし
た共重合体は、超高分子量ポリエチレンやエチレンと炭
素数が5以上のα−オレフィンとの共重合体に比して高
倍率での延伸を可能にするという利点を与えることから
弾性率及び引張強度の一層の向上が可能となり、又、超
高分子量ポリエチレンやエチレン−プロピレン共重合体
に比して耐クリープ性に特に優れており、弾性率、引張
強度と耐クリープ性とのバランスに優れた分子配向成形
体を与える。この2種以上のα−オレフィンが上記量で
含有されることも極めて重要であり、この含有量が上記
範囲よりも少ない場合には分子配向による結晶融解温度
の上昇効果が殆んど認められず、また上記範囲よりも大
きいと、エチレン−α−オレフィン共重合体そのものの
融点が低下する傾向が大きくなると共に、分子配向によ
る結晶融解温度の上昇効果、弾性率の向上も小さくなる
傾向がある。
また、このエチレン−α−オレフィン共重合体は、極
限粘度〔η〕が5dl/g以上、特に7乃至30dl/gの範囲に
あることも分子配向成形体の機械的特性や耐熱性から重
要である。即ち、分子端末は繊維強度に寄与しなく、分
子端末の数は分子量(粘度)の逆数であることから、極
限粘度〔η〕の大きいものが高強度を与えることがわか
る。
本発明の分子配向成形体は、二回目昇温時の主融解吸
熱ピークとして求められ超高分子量エチレン−α−オレ
フィン共重合体本来の結晶融解温度(Tm)よりも少なくと
も20℃高い温度に少なくとも1個の結晶融解吸熱ピーク
(Tp)を有すること、及び全融解熱量当りのこの結晶融解
吸熱ピーク(Tp)に基づく熱量が15%以上、好ましくは20
%以上、特に30%以上であることが、分子配向成形体の
耐熱性、即ち、高温下での強度や弾性率の保持性や高温
下での耐クリープ性の点で重要である。
即ち、Tmよりも20℃以上高い温度領域に結晶融解吸熱
ピーク(Tp)を有しない分子配向成形体や、この温度領域
に結晶融解吸熱ピークを有していてもそれに基ずく吸熱
量が全融解熱量の15%を下廻る分子配向成形体では、17
0℃で5分間熱処理したときの強度保持率や弾性率保持
率が実質上低下する傾向があり、また加熱時におけるク
リープやクリープ速度も大きくなる傾向がある。
(好適実施態様の説明) 本発明を、その理解が容易なように、原料、製造方法
及び目的物の順に以下に説明する。
原料 本発明に用いる超高分子量エチレン−α−オレフィン
共重合体は、エチレンとコモノマーとして2種以上のα
−オレフィンとを、チーグラー系触媒を使用し、例えば
有機溶媒中でスラリー重合させることにより得られる。
その際、第1のコモノマーはプロピレン及びブテン−
1から選ばれ、残りのコモノマーは炭素数4以上のα−
オレフィンから選ばれ、かつ第1のコモノマーと残りの
コモノマーとが同一でない。炭素数4以上のα−オレフ
ィンとしてはブテン−1,ペンテン−1,4−メチルペンテ
ン−1,ヘキセン−1,オクテン−1等が挙げられる。これ
らの中ではプロピレンと炭素数4以上のコモノマーの組
合せが好適である。用いる全α−オレフィンの量は、炭
素数1000個当たり前述した範囲の重合体鎖中のα−オレ
フィン含有量を与えるものでなければならない。また、
用いる超高分子量エチレン−α−オレフィン共重合体
は、前述した極限粘度〔η〕に対応する分子量を有する
べきである。
本発明における超高分子量エチレン・α−オレフィン
共重合体中のα−オレフィン成分の定量は赤外分光光度
計(日本分光工業製)によって行なった。つまりエチレ
ン鎖の中に取り込まれたα−オレフィンのメチル基の変
角振動を表わす1378cm-1の吸光度を測定し、これからあ
らかじめ13C核磁気共鳴装置にてモデル化合物を用いて
作成した検量線にて1000炭素原子当りのメチル分岐数に
換算することにより測定した値である。又、個別のα−
オレフィン量は13C−核磁気共鳴装置にて測定する。
製造方法 本発明では、上記超高分子量エチレン−α−オレフィ
ン共重合体の溶融成形を可能にするために、上記成分と
共に希釈剤を配合する。このような希釈剤としては、超
高分子量エチレン共重合体に対する溶剤や、超高分子量
エチレン共重合体に対して相溶性を有する各種ワックス
状物が使用される。
溶剤は、好ましくは前記共重合体の融点以上、更に好
ましくは融点+20℃以上の沸点を有する溶剤である。
かかる溶剤としては、具体的には、n−ノナン、n−
デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−テトラデ
カン、n−オクタデカンあるいは流動パラフィン、灯油
等の脂肪族炭化水素系溶媒、キシレン、ナフタリン、テ
トラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、シクロヘキシ
ルベンゼン、ジエチルベンゼン、ベンチルベンゼン、ド
デシルベンゼン、ビシクロヘキシル、デカリン、メチル
ナフタリン、エチルナフタリン等の芳香族炭化水素系溶
媒あるいはその水素化誘導体、1,1,2,2−テトラクロロ
エタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、1,
2,3,−トリクロロプロパン、ジクロロベンゼン、1,2,4
−トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン等のハロゲン化
炭化水素溶媒、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン
系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等の鉱油が
挙げられる。
ワックス類としては、脂肪族炭化水素化合物或いはそ
の誘導体が使用される。
脂肪族炭化水素化合物としては、飽和脂肪族炭化水素
化合物を主体とするもので、通常分子量が2000以下、好
ましくは1000以下、更に好ましくは800以下のパラフィ
ン系ワックスと呼ばれるものである。これら脂肪族炭化
水素化合物としては、具体的にはドコサン、トリコサ
ン、テトラコサン、トリアコンタン等の炭素数22以上の
n−アルカンあるいはこれらを主成分とした低級n−ア
ルカンとの混合物、石油から分離精製された所謂パラフ
ィンワックス、エチレンあるいはエチレンと他のα−オ
レフィンとを共重合して得られる低分子量重合体である
中・低圧ポリエチレンワックス、高圧法ポリエチレンワ
ックス、エチレン共重合ワックスあるいは中・低圧法ポ
リエチレン、高圧法ポリエチレン等のポリエチレンを熱
減成等により分子量を低下させたワックス及びそれらの
ワックスの酸化物あるいはマレイン酸変性等の酸化ワッ
クス、マレイン酸変性ワックス等が挙げられる。
脂肪族炭化水素化合物誘導体としては、例えば脂肪族
炭化水素基(アルキル基、アルケニル基)の末端もしく
は内部に1個又はそれ以上、好ましくは1ないし2個、
特に好ましくは1個のカルボキシル基、水酸基、カルバ
モイル基、エステル基、メルトカプト基、カルボニル基
等の官能基を有する化合物である炭素数8以上、好まし
くは炭素数12〜50又は分子量130〜2000、好ましくは200
〜800の脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸アミド、脂
肪酸エステル、脂肪族メルカプタン、脂肪族アルデヒ
ド、脂肪族ケトン等を挙げることができる。
具体的には、脂肪酸としてカプリン酸、ラウリン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン
酸、脂肪族アルコールとしてラウリルアルコール、ミリ
スチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアル
コール、脂肪酸アミドとしてカプリンアミド、ラウリン
アミド、パルミチンアミド、ステアリルアミド、脂肪酸
エステルとしてステアリル酢酸エステル等を例示するこ
とができる。
超高分子量エチレン共重合体と稀釈剤との比率は、こ
れらの種類によっても相違するが、一般的に言って3:97
乃至80:20、特に15:85乃至60:40の重量比で用いるのが
よい。稀釈剤の量が上記範囲よりも低い場合には、溶融
粘度が高くなり過ぎ、溶融混練や溶融成形が困難となる
と共に、成形物の肌荒れが著しく、延伸切れ等を生じ易
い。一方、稀釈剤の量が上記範囲よりも多いと、やはり
溶融混練が困難となり、また成形品の延伸性が劣るよう
になる。
溶融混練は一般に150乃至300℃、特に170乃至270℃の
温度で行なうのが望ましく、上記範囲よりも低い温度で
は、溶融粘度が高すぎて、溶融成形が困難となり、また
上記範囲よりも高い場合には、熱減成により超高分子量
エチレン共重合体の分子量が低下して高弾性率及び高強
度の成形体を得ることが困難となる。尚、配合はヘンシ
ェルミキサー、V型ブレンダー等による乾式ブレンドで
行ってもよいし、或いは単軸或いは多軸押出機を用いる
溶融混合で行ってもよい。
溶融成形は、一般に溶融押出成形により行われる。例
えば、紡糸口金を通して溶融押出することにより、延伸
用フィラメントが得られ、またフラットダイ或いはリン
グダイを通して押出すことにより、延伸用フィルム或い
はシート或いはテープが得られ、更にサーキュラーダイ
を通して押出すことにより、延伸ブロー成形用パイプ
(パリソン)が得られる。本発明は特に、延伸フィラメ
ントの製造に有用であり、この場合、紡糸口金より押出
された溶融物にドラフト、即ち溶融状態での引き伸しを
加えることもできる。溶融樹脂のダイ・オリフィス内で
の押出速度V0と冷却固化した未延伸物の巻き取り速度V
との比をドラフト比として次式で定義することができ
る。
ドラフト比=V/V0 …(2) かかるドラフト比は混合物の温度及び超高分子量エチ
レン共重合体の分子量等によるが通常は3以上、好まし
くは6以上とすることができる。
勿論、溶融成形は押出成形のみに限定されず、各種延
伸成形容器等の製造の場合には、射出成形で延伸ブロー
成形用のプリフォームを製造することも可能である。成
形物の冷却固化は風冷、水冷等の強制冷却手段で行うこ
とができる。
かくして得られる超高分子量エチレン共重合体の未延
伸成形体を延伸処理する。延伸処理の程度は、勿論、成
形体の超高分子量エチレン共重合体に少なくとも一軸方
向の分子配向が有効に付与されるようなものである。
超高分子量エチレン共重合体の成形体の延伸は、一般
に40乃至160℃、特に80乃至145℃の温度で行うのが望ま
しい。未延伸成形体を上記温度に加熱保持するための熱
媒体としては、空気、水蒸気、液体媒体の何れをも用い
ることができる。しかしながら、熱媒体として、前述し
た稀釈剤を溶出除去することができる溶媒でしかもその
沸点が成形体組成物の融点よりも高いもの、具体的には
デカリン、デカン、灯油等を使用して、延伸操作を行な
うと、前述した稀釈剤の除去が可能となると共に、延伸
時の延伸むらの解消並びに高延伸倍率の達成が可能とな
るので好ましい。
勿論、超高分子量エチレン共重合体から過剰の稀釈剤
を除去する手段は、前記方法に限らず、未延伸物をヘキ
サン、ヘプタン、熱エタノール、クロロホルム、ベンゼ
ン等の溶剤で処理後延伸する方法、延伸物をヘキサン、
ヘプタン、熱エタノール、クロロホルム、ベンゼン等の
溶剤で処理する方法によっても、成形物中の過剰の稀釈
剤の除去を有効に行ない、高弾性率、高強度の延伸物を
得ることができる。
延伸操作は、一段或いは二段以上の多段で行うことが
できる。延伸倍率は、所望とする分子配向及びこれに伴
なう融解温度向上の効果にも依存するが、一般に5乃至
80倍、特に10乃至50倍の延伸倍率となるように延伸操作
を行えば満足すべき結果が得られる。
一般には、二段以上の多段延伸が有利であり、一段目
では80乃至120℃の比較的低い温度で押出成形体中の稀
釈剤を押出しながら延伸操作を行い、二段目以降では12
0乃至160℃の温度でしかも一段目延伸温度よりも高い温
度で成形体の延伸操作を続行するのがよい。
フィラメント、テープ或いは一軸延伸等の一軸延伸操
作の場合には、周速の異なるローラ間で引張延伸を行え
ばよく、また二軸延伸フィルムの場合には、周速の異な
るローラ間で縦方向に引張延伸を行なうと共に、テンタ
ー等により横方向にも引張延伸を行う。また、インフレ
ーション法による二軸延伸も可能である。更に、容器等
の立体成形物の場合には、軸方向への引張り延伸と周方
向への膨張延伸との組合せにより二軸延伸成形体を得る
ことができる。
かくして得られる分子配向成形体は、所望により拘束
条件下に熱処理することができる。この熱処理は、一般
に140乃至180℃、特に150乃至175℃の温度で、1乃至20
分間、特に3乃至10分間行うことができる。熱処理によ
り、配向結晶部の結晶化が一層進行し、結晶融解温度の
高温側移行、強度及び弾性率の向上及び高温での耐クリ
ープ性の向上がもたらされる。
分子配向成形体 既に述べた通り、本発明による超高分子量エチレン−
α−オレフィン共重合体の分子配向成形体は、該共重合
体本来の結晶融解温度(Tm)よりも少なくとも20℃高い温
度に少なくとも1個の結晶融解ピーク(Tp)を有し、しか
も全融解熱量当りこの結晶融解ピーク(Tp)に基づく融解
熱量が15%以上、好ましくは20%以上、特に30%以上で
あるという特徴を有する。
超高分子量エチレン共重合体本来の結晶融解温度(Tm)
は、この成形体を一度完全に融解した後冷却して、成形
体における分子配向を緩和させた後、再度昇温させる方
法、所謂示差走査型熱量計におけるセカンド・ランで求
めることができる。
更に説明すると、本発明の分子配向成形体では、前述
した共重合体本来の結晶融解温度域には結晶融解ピーク
は全く存在しないか、存在するとしても極くわずかにテ
ーリングにして存在するにすぎない。結晶融解ピーク(T
p)は一般に、温度範囲Tm+20℃〜Tm+50℃、の領域に表
われるのが普通であり、このピーク(Tp)は上記温度範囲
内に複数個のピークとして表われることが多い。
これらの高温度領域の結晶融解ピーク(Tp)は、超高分
子量エチレン−α−オレフィン共重合体の成形体の耐熱
性を顕著に向上させかつ高温の熱履歴後での強度保持率
や弾性率保持率に寄与するものであると思われる。
本発明における融点及び結晶融解熱量は以下の方法に
より測定した。
融点は示差走査熱量計で以下の様に行なった。示差走
査熱量計はDSCII型(パーキンエルマー社製)を用い
た。試料は約3mgを4mm×4mm、厚さ0.2mmのアルミ板に巻
きつけることにより配向方向に拘束した。次いでアルミ
板に巻きつけた試料をアルミパンの中に封入し、測定用
試料とした。又、リファレンスホルダーに入れる通常空
のアルミパンには試料に用いたと同じアルミ板を封入し
熱バランスを取った。まづ試料を30℃で約1分間保持
し、その後10℃/minの昇温速度で250℃まで昇温し、第
1回目昇温時の融点測定を完了した。引き続き250℃の
状態で10分間保持し、次いで20℃/minの降温速度で降温
し、さらに30℃で10分間試料を保持した。次いで二回目
の昇温を10℃/minの昇温速度で250℃まで昇温し、この
際2回目昇温時(セカンドラン)の融点測定を完了し
た。このとき融解ピークの最大値をもって融点とした。
ショルダーとして現われる場合はショルダーのすぐ低温
側の変曲点とすぐ高温側の変曲点で接線を引き交点を融
点とした。
また吸熱曲線の60℃と240℃との点を結び該直線(ベ
ースライン)と二回目昇温時の主融解ピークとして求め
られる超高分子量エチレン共重合体本来の結晶融解温度
(Tm)より20℃高い点に垂線を引き、これらによって囲ま
れた低温側の部分を超高分子量エチレン共重合体本来の
結晶融解(Tm)に基づくものとし、又高温側の部分を本発
明成形体の機能を発現する結晶融解(Tp)に基づくものと
し、それぞれの結晶融解熱量は、これらの面積より算出
した。
成形体における分子配向の程度は、X線回折法、複屈
折法、螢光偏光法等で知ることができる。本発明の超高
分子量エチレン共重合体の延伸フィラメントの場合、例
えば呉祐吉、久保輝一郎:工業化学雑誌第39巻、992頁
(1939)に詳しく述べられている半価巾による配向度、
即ち式 式中、H°は赤道線上最強のパラトロープ面のデバイ
環に沿っての強度分布曲線の半価幅(°)である。
で定義される配向度(F)が0.90以上、特に0.95以上と
なるように分子配向されていることが、機械的性質の点
で望ましい。
本発明の超高分子量エチレン−α−オレフィン共重合
体の延伸フィラメントは、170℃で5分間の熱履歴を与
えた後での強度保持率が90%以上、特に95%以上で、弾
性率保持率が90%以上、特に95%以上と、従来のポリエ
チレンの延伸フィラメントには全く認められない優れた
耐熱性を有している。
また、この延伸フィラメントは高温下での耐クリープ
特性に際立って優れており、荷重を30%破断荷重とし、
雰囲気温度を70℃とし、90秒後の伸び(%)として求め
たクリープが6%以下、特に4%以下であり、更に90秒
から180秒後のクリープ速度(,sec-1)が1×10-4se
c-1以下、特に5×10-5sec-1以下である。
更に、本発明の超高分子量エチレン−α−オレフィン
共重合体の分子配向成形体は機械的特性にも優れてお
り、例えば延伸フィラメントの形状で20GPa以上、特に3
0GPa以上の弾性率と、1.2GPa以上、特に1.5GPa以上の引
張強度とを有している。
(発明の効果) 本発明の超高分子量エチレン−α−オレフイン共重合
体の分子配向成形体は、耐熱性、耐クリープ性、機械的
性質の組合せに優れている。かくして、この特性を利用
して、本発明の分子配向成形体は、高強度マルチフイラ
メント、ひも、ロープ、織布、不織布等の産業用紡織材
料の他に、梱包用テープ等の包装材として有用である。
また、フイラメントの形態の成形体を、エポキシ樹脂、
不飽和ポリエステル等の各種樹脂や合成ゴム等に対する
補強繊維として使用すると、従来の超高分子量ポリエチ
レン延伸フイラメントに比して、耐熱性や耐クリープ性
の点で著しい改善がなされることが明白であろう。又、
このフイラメントは高強度でしかも密度が小さいことか
ら従来のガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、芳香族ポ
リアミド繊維、芳香族ポリイミド繊維等を用いた成形物
に比べ、特に軽量化を計れるので有効である。ガラス繊
維等を用いた複合材料と同様に、UD(Unit Directiona
l)積層板、SMC(Sheet Molding Compound)、BMC(Bul
k Molding Compound)等の成形加工を行うことができ、
自動車部品、ボートやヨツトの構造体、電子回路用基板
等の軽量、高強度分野での各種複合材料用途が期待され
る。
実施例1 〈超高分子量エチレン・プロピレン・4−メチルペンテ
ン−1共重合体の重合〉 チーグラー系触媒を用い、n−デカン1を重合溶媒
としてエチレン・プロピレン・4−メチルペンテン−1
共重合体のスラリー重合を行った。重合開始に先立ち10
mlの4−メチルペンテン−1を共単量体として、また分
子量調製のための水素ガス40Nmlを一括添加した。プロ
ピレンを1.62mole%含むエチレンガスを反応器の圧力が
5kg/cm2の一定圧力を保つ様に連続供給し、重合は70℃
で2時間で終了した。得られた超高分子量エチレン・プ
ロピレン・4−メチルペンテン−1共重合体粉末の収量
は284gで極限粘度〔η〕(デカリン,135℃)は8.01,赤
外分光光度計によるプロピレンおよび4−メチルペンテ
ン−1共単量体の含量は全体で1000炭素原子当り5.1個
であった。
〈超高分子量エチレン・プロピレン・4−メチルペンテ
ン−1共重合体延伸配向物の調製〉 上述の超高分子量エチレン・プロピレン・4−メチル
ペンテン−1共重合体粉末20重量部とパラフィンワック
ス(融点=69℃,分子量=490g/モル)80重量部との混
合物を次の条件で溶融紡糸した。
超高分子量エチレン・プロピレン・4−メチルペンテ
ン−1共重合体粉末とパラフィンワックスとの混合物10
0重量部にプロセス安定剤として3,5−ジ−tert−ブチル
−4−ハイドロキシトルエンを0.1重量部配合した。次
いで該混合物をスクリュー式押出機(スクリュー径25m
m,L/D=25,サーモプラスチックス社製)を用いて、設定
温度190℃で溶融混練を行った。引き続き、該溶融物を
押出機に付属するオリフィス径2mmの紡糸ダイより溶融
紡糸した。押出溶融物は180cmのエアーギャップで35倍
のドラフト比で引き取り、空気中にて冷却、固化し、未
延伸繊維を得た。さらに該未延伸繊維を次の条件で延伸
した。
三台のゴデットロールを用いて二段延伸を行った。こ
のとき第一延伸槽の熱媒はn−デカンであり、温度は11
0℃、第二延伸槽の熱媒はトリエチレングリコールであ
り、温度は145℃であった。槽の有効長はそれぞれ50cm
であった。延伸に際しては第1ゴデットロールの回転速
度を0.5m/minとして第3ゴデットロールの回転速度を変
更することにより、所望の延伸比の配向繊維を得た。第
2ゴデットロールの回転速度は安定延伸可能な範囲で適
宜選択した。初期に混合された、パラフィンワックスは
ほぼ全量が延伸時n−デカン中に抽出された。このあと
配向繊維は水洗し、減圧下室温にて一昼夜乾燥し、諸物
性の測定に供した。なお延伸比は第1ゴデットロールと
第3ゴデットロールの回転速度比から計算で求めた。
〈引張特性の測定〉 弾性率および引張強度は島津製作所製DCS-50M型引張
試験機を用い、室温(23℃)にて測定した。
このときクランプ間の試料長は100mmで引張速度は100
mm/min(100%/分歪速度)であった。弾性率は初期弾
性率で接線の傾きを用いて計算した。計算に必要な繊維
断面積は密度を0.960g/ccとして重量から計算で求め
た。
〈耐クリープ性の測定〉 クリープ特性の測定は熱応力歪測定装置TMA/SS10(セ
イコー電子工業社製)を用いて、試料長1cm、雰囲気温
度70℃、荷重は室温での破断荷重の30%に相当する重量
の促進条件下で行った。クリープ量を定量的に評価する
ため以下の二つの値を求めた。つまり荷重後、90秒後の
クリープ伸び%をCR90、そして90秒後から180秒後の間
の平均クリープ速度(sec-1)である。
〈熱履歴後の引張弾性率・強度保持率〉 熱履歴試験はギヤーオーブン(パーフェクトオーブ
ン:田葉井製作所製)内に放置することによって行っ
た。試料は約3mの長さでステンレス枠の両端に複数個の
滑車を装置したものに折り返しかけて試料両端を固定し
た。この際、試料両端は試料がたるまない程度に固定
し、積極的に試料に張力はかけなかった。熱履歴後の引
張特性は前述の引張特性の測定の記載に基づいて測定し
た。
第1表に得られた延伸配向繊維の引張特性を示す。
試料1の示差走査熱量計による第1回目の吸熱特性曲
線を第2図に、又第2回目(セカンドラン)の吸熱特性
曲線を第5図に示す。
本来の結晶融解ピークは127.4℃、全結晶融解ピーク
面積にたいするTpの割り合いは37.9%であった。また耐
クリープ性はCR90=2.44% =2.22×10-5sec-1であ
った。試料−1のクリープ特性を第9図に示す。さらに
170℃、5分間の熱履歴後の弾性率保持率は106.2%、強
度保持率は104.7%であり性能の低下は認められなかっ
た。
実施例2 〈超高分子量エチレン・プロピレン・4−メチルペンテ
ン−1共重合体の重合〉 実施例1同様にチーグラー系触媒を用い、n−デカン
1を重合溶媒としてエチレン・プロピレン・4−メチ
ルペンテン−1共重合体のスラリー重合を行った。重合
開始に先立って10mlの4−メチルペンテン−1を共単量
体としてまた分子量調製のための水素ガス40Nmlを一括
添加した。プロピレンを1.14mole%含むエチレンガス
を、反応器の圧力が5kg/cm2の一定圧力を保つ様に連続
供給し、重合は70℃で1時間で終了した。得られた超高
分子量エチレン・プロピレン・4−メチルペンテン−1
共重合体粉末の収量は115gで、極限粘度〔η〕(デカリ
ン,135℃)は10.0dl/g、赤外分光光度計によるプロピレ
ンおよび4−メチルペンテン−1共単量体の含量は全体
で1000炭素原子当り2.1個であった。
〈超高分子量エチレン・プロピレン・4−メチルペンテ
ン−1共重合体延伸配向物の調製〉 上述の重合で得られた超高分子量エチレン・プロピレ
ン共重合体粉末を用いて実施例1に記載の方法にて延伸
配向繊維を調製した。
第2表に得られた延伸配向繊維の引張特性を示した。
試料2の示差走査熱量計による第11回目昇温時(ファ
ーストラン)の吸熱特性曲線を第6図に、又、第2回目
昇温時(セカンドラン)の吸熱特性曲線を第7図に示
す。本来の超高分子エチレン・プロピレン・4−メチル
ペンテン−1共重合体試料2の結晶融解ピークは130.3
℃、全結晶融解ピーク面積にたいするTpの割り合いは5
9.1%であった。耐クリープ性はCR90=3.12%、=4.6
7×10-5sec-1であった。試料2のクリープ特性を第9図
に示す。さらに170℃、5分間の熱履歴にたいする弾性
率保持率は101.9%、強度保持率は103.1%であり実施例
1同様、性能の低下は示さなかった。
比較例1 超高分子量ポリエチレン(ホモポリマー)粉末(極限
粘度〔η〕=7.42dl/g,デカリン,135℃):20重量部のパ
ラフィンワックス(融点=69℃,分子量=490):80重量
部の混合物を実施例2の方法で溶融紡糸、延伸し、配向
延伸繊維を得た。第3表に得られた延伸配向繊維の引張
特性を示す。
超高分子量ポリエチレン延伸配向繊維(試料−3)の
示差走査熱量計による第1回目昇温時(ファーストラ
ン)の観察による吸熱特性曲線を第4図に示し、また第
2回目の昇温(セカンドラン)時の観察による吸熱特性
曲線を第8図に示す。超高分子量ポリエチレン試料−3
本来の結晶融解ピークは135.1℃、全結晶融解ピーク面
積にたいするTpの割り合いは8.8%であった。耐クリー
プ性はCR90=12.0%、=1.07×10-3sec-1であった。
試料−3のクリープ特性を第9図に試料−1,試料−2と
合せて示す。さらに170℃、5分間の熱履歴後の弾性保
持率は80.4%、強度保持率は79.2%であり、弾性率・強
度は熱履歴により低下した。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1で用いた超高分子量エチレン・プロピ
レン・4−メチルペンテン−1共重合体粉末の示差走査
熱量計による吸熱特性曲線、 第2図は実施例1で得られた超高分子量エチレン・プロ
ピレン・4−メチルペンテ−1共重合体延伸配向繊維の
拘束状態での示差走査熱量計による吸熱特性曲線、 第3図は比較例1で用いた超高分子量ポリエチレン粉末
の示差走査熱量計による吸熱特性曲線、 第4図は比較例1で得られた超高分子量ポリエチレン延
伸配向繊維の拘束状態での示差走査熱量計による吸熱特
性曲線、 第5図は第2図の試料を2回目の昇温測定(セカンドラ
ン)に付したときの吸熱特性曲線、 第6図は実施例2で得られた超高分子量エチレン・プロ
ピレン・4−メチルペンテン−1共重合体延伸配向繊維
の拘束状態での示差走査熱量計による吸熱特性曲線、 第7図は第6図の試料を2回目の昇温測定に付したとき
の吸熱特性曲線、 第8図は第4図の試料を2回目の昇温測定に付したとき
の吸熱特性曲線、及び 第9図は、実施例1,実施例2及び比較例1で得られた各
重合体の延伸配向繊維のクリープ特性曲線を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 23:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】極限粘度〔η〕が少なくとも5dl/gで、全
    α−オレフィンの含有量が炭素数1000個あたり平均0.1
    〜15個である超高分子量のエチレンと2種以上のα−オ
    レフィンとの共重合体の分子配向成形体であって、第1
    のコモノマーがプロピレン及びブテン−1から選ばれる
    α−オレフィンであり、残りのコモノマーが炭素数4以
    上のα−オレフィンから選ばれる1種以上のα−オレフ
    ィンであり、かつ第1のコモノマーと残りのコモノマー
    とが同一でなく、該成形体は拘束状態で示差走査熱量計
    で測定したとき、少なくとも2個の結晶融解吸熱ピーク
    を有すると共に、二回目昇温時の主融解吸熱ピークとし
    て求められる超高分子量エチレン・α−オレフィン共重
    合体本来の結晶融解温度(Tm)よりも少なくとも20℃高い
    温度に少なくとも1個の結晶融解吸熱ピーク(Tp)を有
    し、且つ全融解熱量当りのこの結晶融解吸熱ピーク(Tp)
    に基づく熱量が15%以上であることを特徴とする分子配
    向成形体
  2. 【請求項2】第1のコモノマーがプロピレンである特許
    請求の範囲第1項記載の分子配向成形体
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