JPH089802B2 - 超高分子量エチレン−α−オレフィン共重合体の分子配向成形体 - Google Patents

超高分子量エチレン−α−オレフィン共重合体の分子配向成形体

Info

Publication number
JPH089802B2
JPH089802B2 JP62109724A JP10972487A JPH089802B2 JP H089802 B2 JPH089802 B2 JP H089802B2 JP 62109724 A JP62109724 A JP 62109724A JP 10972487 A JP10972487 A JP 10972487A JP H089802 B2 JPH089802 B2 JP H089802B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molecular weight
ultra
temperature
high molecular
weight ethylene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP62109724A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS63275710A (ja
Inventor
和雄 八木
昭徳 豊田
Original Assignee
三井石油化学工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 三井石油化学工業株式会社 filed Critical 三井石油化学工業株式会社
Priority to JP62109724A priority Critical patent/JPH089802B2/ja
Priority to EP88303170A priority patent/EP0290141B1/en
Priority to AT88303170T priority patent/ATE109522T1/de
Priority to DE3850905T priority patent/DE3850905T2/de
Priority to NZ224210A priority patent/NZ224210A/xx
Priority to AU14722/88A priority patent/AU618257B2/en
Priority to KR1019880004459A priority patent/KR930007820B1/ko
Priority to CN88102519A priority patent/CN1031076C/zh
Priority to CA000565732A priority patent/CA1303290C/en
Publication of JPS63275710A publication Critical patent/JPS63275710A/ja
Priority to US07/504,105 priority patent/US5115067A/en
Publication of JPH089802B2 publication Critical patent/JPH089802B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、超高分子量エチレン−α−オレフィン共重
合体の分子配向成形体に関するもので、より詳細には新
規な結晶融解特性を有し、耐熱性及び耐クリープ性に優
れた超高分子量エチレン−α−オレフィン共重合体の分
子配向成形体、特に繊維に関する。
(従来の技術) 超高分子量ポリエチレンを繊維、テープ等に成形し、
これを延伸することにより、高弾性率、高引張強度を有
する分子配向成形体とすることは既に公知であり、例え
ば、特開昭56-15408号公報には、超高分子量ポリエチレ
ンの希薄溶液を紡糸し、得られるフィラメントを延伸す
ることが記載されている。また、特開昭59-130313号公
報には、超高分子量ポリエチレンとワックスとを溶融混
練し、この混練物を押出し、冷却固化後延伸することが
記載され、更に特開昭59-187614号公報には、上記溶融
混練物を押出し、ドラフトをかけた後冷却固化し、次い
で延伸することが記載されている。
(発明が解決しようとする問題点) 超高分子量ポリエチレンを繊維の形態に成形し、これ
を強延伸することにより、延伸倍率の増大に伴って、弾
性率及び引張強度の増大が得られ、この延伸繊維は、高
弾性率、高引張強度という機械的性質、軽量性、耐水
性、耐候性等には優れているが、その耐熱性はポリエチ
レンの融点が一般に120乃至140℃の比較的低い範囲内に
あるという制約を根本的に免れないものであり、更に超
高分子量ポリエチレン繊維を高温で使用する場合には、
強度の保持率が著しく減少し、またクリープが著しく増
大するという欠点がある。
従って、本発明の目的は、新規な結晶融解特性を有
し、耐熱性と耐クリープ性とが顕著に改善された超高分
子量ポリエチレン系の分子配向成形体を提供するにあ
る。
本発明の他の目的は、例えば170℃で5分間の熱処理
のような高温熱履歴を受けた場合にも、著しく高い強度
保持率及び弾性率保持率を示し、且つ高温下でのクリー
プが著しく低いレベルに抑制された超高分子量ポリエチ
レン系の分子配向成形体を提供するにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明者等は、炭素数5以上のα−オレフィンを限定
された少量でエチレンと共重合せしめた超高分子量エチ
レン−α−オレフィン共重合体を、押出成形し、強延伸
して分子配向成形体とするときには従来のポリエチレン
の延伸成形体には全く認められない融解温度の向上現象
のある新規な分子配向成形体が得られること、及びこの
分子配向成形体は、170℃で5分間熱処理した場合にも
強度や弾性率が殆んど低下しないか、或いは逆にこれら
の値が向上するという高温時の機械的特性を有すること
を見出した。更にこの分子配向成形体は、超高分子量ポ
リエチレンの延伸成形体に特有の高強度及び高弾性率を
保有しながら、顕著に改善された耐クリープ性を有する
こともわかった。
即ち、本発明によれば、極限粘度〔η〕が少なくとも
5dl/gで、炭素数5以上のα−オレフィンの含有量が炭
素数1000個あたり平均0.1〜15個である超高分子エチレ
ン−α−オレフィン共重合体の分子配向成形体であっ
て、該成形体は拘束状態で示差走査熱量計で測定したと
き、少なくとも2個の結晶融解吸熱ピークを有すると共
に、二回目昇温時の主融解吸熱ピークとして求められる
超高分子量エチレン−α−オレフィン共重合体本来の結
晶融解温度(Tm)よりも少なくとも20℃高い温度に少な
くとも1個の結晶融解吸熱ピーク(Tp)を有し、且つ全
融解熱量当りのこの結晶融解吸熱ピーク(Tp)に基づく
熱量が15%以上であることを特徴とする分子配向成形体
が提供される。
(作用) 本発明は、限定された量のα−オレフィン(C5以上)
をエチレンと共重合させて得られた超高分子量エチレン
−α−オレフィン共重合体を押出成形し、強延伸して分
子配向成形体とすると、分子配向成形体を構成する重合
体鎖の融点が拘束条件下において向上するという驚くべ
き知見に基づくものである。
尚、本明細書において、拘束状態乃至拘束条件とは、
分子配向成形体に積極的な緊張は与えられていないが、
自由変形が防止されるように端部が固定されていること
を意味する。
重合体の融点は、重合体中の結晶の融解に伴なうもの
であり、一般に示差走査熱量計での結晶融解に伴なう吸
熱ピーク温度として測定される。この吸熱ピーク温度
は、重合体の種類が定まれば一定であり、その後処理、
例えば延伸処理や架橋処理等によってそれが変動するこ
とは殆んどなく、変動しても、最も変動する場合として
良く知られている延伸熱処理でも高々15℃程度高温側へ
移動するに留まる。
添付図面第1図は本発明に用いる超高分子量エチレン
−4−メチルペンテン−1共重合体(E-4MP)原料、第
2図はこの共重合体(E-4MP)の高延伸フィラメント、
第3図は通常の超高分子量ポリエチレン原料、及び第4
図はこの超高分子量ポリエチレンの高延伸フィラメント
の各々についての示差走査熱量計による吸熱曲線であ
り、高延伸フィラメントの吸熱曲線はフィラメントの拘
束条件で測定されたものである。尚、各重合体の組成及
びフィラメントの処理条件については後述する例を参照
されたい。
尚、第1図および第3図の原料粉末の吸熱曲線の測定
は重合時の諸熱履歴を消去するためにASTM D 3418に記
載の方法で行った。
これらの結果から、通常の超高分子量ポリエチレンの
延伸フィラメントでは、原料の超高分子量ポリエチレン
から約15℃高い約150℃の温度に結晶融解に伴なう吸熱
ピークを示すのに対して、本発明による超高分子量エチ
レン−α−オレフィン共重合体の延伸フィラメントで
は、原料共重合体に比して何れも吸熱ピークが高温側に
顕著に移行していると共に、超高分子量ポリエチレンの
ホモ重合体の延伸フィラメントに比しても吸熱ピークが
かなり高温側に位置していることがわかる。
第5図は夫々、第2図の試料をセカンド・ラン(第2
図の測定を行った後、2回目の昇温測定)に賦したとき
の吸熱曲線を示す。第5図の結果から、再昇温の場合に
は結晶融解の主ピークは原料の超高分子量エチレン−4
−メチルペンテン−1共重合体の融解ピーク温度と殆ん
ど同じ温度に表われ、しかも第5図の測定時には試料中
の分子配向は殆んど消失していることから、第2図の試
料における吸熱ピークの高温側への移行は成形体中での
分子配向と密接に関連していることを示している。
また、第2図と第4図との対比から、第2図の試料に
おける吸熱ピークの高温側への移行は、重合体鎖中への
少量のC5以上のα−オレフィンの組込みによって生じた
分岐鎖の存在とも密接に関連していることがわかる。
本発明の分子配向成形体において、エチレンに少量の
炭素数5以上のα−オレフィンを共重合させたものを用
いることにより、吸熱ピークの高温側への移行が生じる
という事実は、重合体鎖への共単量体成分の導入は結晶
性の低下と融点の低下とをもたらすという一般的事実に
徴しても真に意外のものであることがわかる。
本発明の分子配向成形体において、結晶融解温度が高
温側に移行する理由は未だ十分に解明されるに至ってい
ないが、前述した測定結果の解析から次のように推定さ
れる。即ち、超高分子量ポリエチレンの分子配向成形体
では、多数の重合体鎖が結晶部と非晶部とを交互に通り
且つ重合体鎖が延伸方向に配向した構造をとると考えら
れるが、この高分子量ポリエチレンに4−メチルペンテ
ン−1等のα−オレフィンの少量を共重合により導入し
たものの分子配向成形体では、導入されたα−オレフィ
ン鎖の部分、即ち側鎖が形成された部分が選択的に非晶
部となり、この非晶部を介して反復エチレン鎖の部分が
配向結晶部となると信じられる。この際、重合体鎖中に
炭素原子1000個当り平均0.1乃至15個の数で導入された
側鎖部分が非晶部に集中することにより、反復エチレン
鎖の配向結晶化がかえって規則性良く大きなサイズ迄進
行するか、或いは配向結晶部両端の非晶部で分子鎖間の
絡み合いが増大して重合体鎖が動きにくくなるため、配
向結晶部の融解温度が上昇するものと思われる。
本発明における分子配向成形体は、170℃で5分間熱
処理した場合にも、未熱処理のものに比して、強度の低
下が実質上なく、しかも弾性率が未処理のものに比して
むしろ向上するという特徴を有する。更に、この分子配
向成形体は高温での耐クリープ性においても顕著に優れ
ており、後に詳述する方法で求めたクリープ(CR90
が、通常の超高分子量ポリエチレン配向成形体の1/2以
下であり、またクリープ速度ε90-180(sec-1)が超高分
子量ポリエチレン配向成形体のそれよりも2桁以上のオ
ーダーで小さいという驚くべき特性を有している。これ
らの特性の顕著な改良は、前述した配向結晶部の新規な
微細構造に由来するものと思われる。
本発明の分子配向成形体に用いるエチレン−α−オレ
フィン共重合体は、炭素数5以上のα−オレフィンを炭
素数1000個当り0.1乃至15個、特に0.5乃至10個の量で含
有することが重要である。即ち、炭素数5以上のα−オ
レフィンを用いた共重合体は、炭素数が5よりも小さい
α−オレフィン、例えば超高分子量ポリエチレン及びプ
ロピレンを用いたエチレン共重合体に比して、耐クリー
プ性に特に優れた分子配向成形体を与える。これは非晶
部に存在する長い側鎖が高温時における重合体鎖の動き
にくさを増大させるためと思われる。このα−オレフィ
ンが上記量で含有されることも極めて重要であり、この
含有量が上記範囲よりも少ない場合には、分子配向によ
る結晶融解温度の上昇効果が殆んど認められず、また上
記範囲よりも大きいと、エチレン−α−オレフィン共重
合体そのものの融点が低下する傾向が大きくなると共
に、分子配向による結晶融解温度の上昇効果、弾性率も
小さくなる傾向がある。
また、このエチレン−α−オレフィン共重合体は、極
限粘度〔η〕が5dl/g以上、特に7乃至30dl/gの範囲に
あることも分子配向成形体の機械的特性や耐熱性から重
要である。即ち、分子端末は繊維強度に寄与しなく、分
子端末の数は分子量(粘度)の逆数であることから、極
限粘度〔η〕の大きいものが高強度を与えることがわか
る。
本発明の分子配向成形体は、二回目昇温時の主融解吸
熱ピークとして求められ超高分子量エチレン−α−オレ
フィン共重合体本来の結晶融解温度(Tm)よりも少なく
とも20℃高い温度に少なくとも1個の結晶融解吸熱ピー
ク(Tp)を有すること、及び全融解熱量当りのこの結晶
融解吸熱ピーク(Tp)に基づく熱量が15%以上、好まし
くは20%、特に30%以上であることが、分子配向成形体
の耐熱性、即ち高温下での強度や弾性率の保持性や高温
下での耐クリープ性の点で重要である。
即ち、Tmよりも20℃以上高い温度領域に結晶融解吸熱
ピーク(Tp)を有しない分子配向成形体や、この温度領
域に結晶融解吸熱ピークを有していてもそれに基づく吸
熱量が全融解熱量の15%を下廻る分子配向成形体では、
170℃で5分間熱処理したときの強度保持率や弾性率保
持率が実質上低下する傾向があり、また加熱時における
クリープやクリープ速度も大きくなる傾向がある。
(好適実施態様の説明) 本発明を、その理解が容易なように、原料、製造方法
及び目的物の順に以下に説明する。
原料 本発明に用いる超高分子量エチレン−α−オレフィン
共重合体は、エチレンとコモノマーとしての炭素数5以
上のα−オレフィンとを、チーグラー系触媒を使用し、
例えば有機溶媒中でスラリー重合させることにより得ら
れる。
炭素数5以上のα−オレフィンとしては、ペンテン−
1,4−メチルペンテン−1,ヘキセン−1,ヘプテン−1,オ
クテン−1の1種又は2種以上の組合せ等が挙げられる
が、4−メチルペンテン−1,ヘキセン−1,オクテン−1
等の炭素数6以上のα−オレフィンが好適である。用い
るα−オレフィンコモノマーの量は、炭素数1000個当り
前述した範囲の重合体鎖中のα−オレフィン含有量を与
えるものでなければならない。また、用いる超高分子量
エチレン−α−オレフィン共重合体は、前述した極限粘
度〔η〕に対応する分子量を有するべきである。
α−オレフィン含有量が0.1個/1000炭素原子以下の場
合には、耐クリープ特性改良に有効な構造を作ることが
できないし、又、逆にα−オレフィン含有量が15個/100
0炭素原子を越える場合には結晶化度が著しく低下し、
高弾性率を得ることができない。
本発明における超高分子量エチレン−α−オレフィン
共重合体中のα−オレフィン成分の定量は赤外分光光度
計(日本分光工業製)によって行なった。つまりエチレ
ン鎖の中に取り込まれたα−オレフィンのメチル基の変
角振動を表わす1378cm-1の吸光度を測定し、これからあ
らかじめ13C核磁気共鳴装置にて、モデル化合物を用い
て作成した検量線にて1000炭素原子当りのメチル分岐数
に換算することにより測定した値である。
製造方法 本発明では、上記超高分子量エチレン−α−オレフィ
ン共重合体の溶融成形を可能にするために、上記成分と
共に稀釈剤を配合する。このような稀釈剤としては、超
高分子量エチレン共重合体に対する溶剤や、超高分子量
エチレン共重合体に対して相溶性を有する各種ワックス
状物が使用される。
溶剤は、好ましくは前記共重合体の融点以上、更に好
ましくは融点+20℃以上の沸点を有する溶剤である。
かかる溶剤としては、具体的には、n−ノナン、n−
デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−テトラデ
カン、n−オクタデカンあるいは流動パラフィン、灯油
等の脂肪族炭化水素系溶媒、キシレン、ナフタリン、テ
トラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、シクロヘキシ
ルベンゼン、ジエチルベンゼン、ベンチルベンゼン、ド
デシルベンゼン、ビシクロヘキシル、デカリン、メチル
ナフタリン、エチルナフタリン等の芳香族炭化水素系溶
媒あるいはその水素化誘導体、1,1,2,2−テトラクロロ
エタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、1,
2,3−トリクロロプロパン、ジクロロベンゼン、1,2,4−
トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン等のハロゲン化炭
化水素溶媒、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系
プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等の鉱油が挙
げられる。
ワックス類としては、脂肪族炭化水素化合物或いはそ
の誘導体が使用される。
脂肪族炭化水素化合物としては、飽和脂肪族炭化水素
化合物を主体とするもので、通常分子量が2000以下、好
ましくは1000以下、更に好ましくは800以下のパラフィ
ン系ワックスと呼ばれるものである。これら脂肪族炭化
水素化合物としては、具体的にはドコサン、トリコサ
ン、テトラコサン、トリアコンタン等の炭素数22以上の
n−アルカンあるいはこれらを主成分とした低級n−ア
ルカンとの混合物、石油から分離精製された所謂パラフ
ィンワックス、エチレンあるいはエチレンと他のα−オ
レフィンとを共重合して得られる低分子量重合体である
中・低圧ポリエチレンワックス、高圧法ポリエチレンワ
ックス、エチレン共重合ワックスあるいは中・低圧法ポ
リエチレン、高圧法ポリエチレン等のポリエチレンを熱
減成等により分子量を低下させたワックス及びそれらの
ワックスの酸化物あるいはマレイン酸変性等の酸化ワッ
クス、マレイン酸変性ワックス等が挙げられる。
脂肪族炭化水素化合物誘導体としては、例えば脂肪族
炭化水素基(アルキル基、アルケニル基)の末端もしく
は内部に1個又はそれ以上、好ましくは1ないし2個、
特に好ましくは1個のカルボキシル基、水酸基、カルバ
モイル基、エステル基、メルトカプト基、カルボニル基
等の官能基を有する化合物である炭素数8以上、好まし
くは炭素数12〜50又は分子量130〜2000、好ましくは200
〜800の脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸アミド、脂
肪酸エステル、脂肪族メルカプタン、脂肪族アルデヒ
ド、脂肪族ケトン等を挙げることができる。
具体的には、脂肪酸としてカプリン酸、ラウリン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン
酸、脂肪族アルコールとしてラウリルアルコール、ミリ
スチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアル
コール、脂肪酸アミドとしてカプリンアミド、ラウリン
アミド、パルミチンアミド、ステアリルアミド、脂肪酸
エステルとしてステアリル酢酸エステル等を例示するこ
とができる。
超高分子量エチレン共重合体と稀釈剤との比率は、こ
れらの種類によっても相違するが、一般的に言って3:97
乃至80:20、特に15:85乃至60:40の重量比で用いるのが
よい。稀釈剤の量が上記範囲よりも低い場合には、溶融
粘度が高くなり過ぎ、溶融混練や溶融成形が困難となる
と共に、成形物の肌荒れが著しく、延伸切れ等を生じ易
い。一方、稀釈剤の量が上記範囲よりも多いと、やはり
溶融混練が困難となり、また成形品の延伸性が劣るよう
になる。
溶融混練は一般に150乃至300℃、特に170乃至270℃の
温度で行なうのが望ましく、上記範囲よりも低い温度で
は、溶融粘度が高すぎて、溶融成形が困難となり、また
上記範囲よりも高い場合には、熱減成により超高分子量
エチレン共重合体の分子量が低下して高弾性率及び高強
度の成形体を得ることが困難となる。尚、配合はヘンシ
ェルミキサー、V型ブレンダー等による乾式ブレンドで
行ってもよいし、或いは単軸或いは多軸押出機を用いる
溶融混合で行ってもよい。
溶融成形は、一般に溶融押出成形により行われる。例
えば、紡糸口金を通して溶融押出することにより、延伸
用フィラメントが得られ、またフラットダイ或いはリン
グダイを通して押出すことにより、延伸用フィルム或い
はシート或いはテープが得られ、更にサーキュラーダイ
を通して押出することにより、延伸ブロー成形用パイプ
(パリソン)が得られる。本発明は特に、延伸フィラメ
ントの製造に有用であり、この場合、紡糸口金より押出
された溶融物にドラフト、即ち溶融状態での引き伸しを
加えることもできる。溶融樹脂のダイ・オリフィス内で
の押出速度V0と冷却固化した未延伸物の巻き取り速度V
との比をドラフト比として次式で定義することができ
る。
ドラフト比=V/V0 ……(2) かかるドラフト比は混合物の温度及び超高分子量エチ
レン共重合体の分子量等によるが通常は3以上、好まし
くは6以上とすることができる。
勿論、溶融成形は押出成形のみに限定されず、各種延
伸成形容器等の製造の場合には、射出成形で延伸ブロー
成形用のプリフォームを製造することも可能である。成
形物の冷却固化は風冷、水冷等の強制冷却手段で行うこ
とができる。
かくして得られる超高分子量エチレン共重合体の未延
伸成形体を延伸処理する。延伸処理の程度は、勿論、成
形体の超高分子量エチレン共重合体に少なくとも一軸方
向の分子配向が有効に付与されるようなものである。
超高分子量エチレン共重合体の成形体の延伸は、一般
に40乃至160℃、特に80乃至145℃の温度で行うのが望ま
しい。未延伸成形体を上記温度に加熱保持するための熱
媒体としては、空気、水蒸気、液体媒体の何れをも用い
ることができる。しかしながら、熱媒体として、前述し
た稀釈剤を溶出除去することができる溶媒で、しかもそ
の沸点が成形体組成物の融点よりも高いもの、具体的に
はデカリン、デカン、灯油等を使用して、延伸操作を行
なうと、前述した稀釈剤の除去が可能となると共に、延
伸時の延伸むらの解消並びに高延伸倍率の達成が可能と
なるので好ましい。
勿論、超高分子量エチレン共重合体から過剰の稀釈剤
を除去する手段は、前記方法に限らず、未延伸物をヘキ
サン、ヘプタン、熱エタノール、クロロホルム、ベンゼ
ン等の溶剤で処理後延伸する方法、延伸物をヘキサン、
ヘプタン、熱エタノール、クロロホルム、ベンゼン等の
溶剤で処理する方法によっても、成形物中の過剰の稀釈
剤の除去を有効に行ない、高弾性率、高強度の延伸物を
得ることができる。
延伸操作は、一段或いは二段以上の多段で行うことが
できる。延伸倍率は、所望とする分子配向及びこれに伴
なう融解温度向上の効果にも依存するが、一般に5乃至
80倍、特に10乃至50倍の延伸倍率となるように延伸操作
を行えば満足すべき効果が得られる。
一般には、二段以上の多段延伸が有利であり、一段目
では80乃至120℃の比較的低い温度で押出成形体中の稀
釈剤を抽出しながら延伸操作を行い、二段目以降では12
0乃至160℃の温度でしかも一段目延伸温度よりも高い温
度で成形体の延伸操作を続行するのがよい。
フィラメント、テープ或いは一軸延伸等の一軸延伸操
作の場合には、周速の異なるローラ間で引張延伸を行え
ばよく、また二軸延伸フィルムの場合には、周速の異な
るローラ間で縦方向に引張延伸を行なうと共に、テンタ
ー等により横方向にも引張延伸を行う。また、インフレ
ーション法による二軸延伸も可能である。更に、容器等
の立体成形物の場合には、軸方向への引張り延伸と周方
向への膨張延伸との組合せにより二軸延伸成形体を得る
ことができる。
かくして得られる分子配向成形体は、所望により拘束
条件下に熱処理することができる。この熱処理は、一般
に140乃至180℃、特に150乃至175℃の温度で、1乃至20
分間、特に3乃至10分間行うことができる。熱処理によ
り、配向結晶部の結晶化が一層進行し、結晶融解温度の
高温側移行、強度及び弾性率の向上及び高温での耐クリ
ープ性の向上がもたらされる。
分子配向成形体 既に述べた通り、本発明による超高分子量エチレン−
α−オレフィン共重合体の分子配向成形体は、該共重合
体本来の結晶融解温度(Tm)よりも少なくとも20℃高い
温度に少なくとも1個の結晶融解ピーク(Tp)を有し、
しかも全融解熱量当りのこの結晶融解ピーク(Tp)に基
づく融解熱量が15%以上、好ましくは20%以上、特に30
%以上であるという特徴を有する。
超高分子量エチレン共重合体本来の結晶融解温度(T
m)は、この成形体を一度完全に融解した後冷却して、
成形体における分子配向を緩和させた後、再度昇温させ
る方法、所謂示差走査型熱量計におけるセカンド・ラン
で求めることができる。
更に説明すると、本発明の分子配向成形体では、前述
した共重合体本来の結晶融解温度域には結晶融解ピーク
は全く存在しないか、存在するとしても極くわずかにテ
ーリングとして存在するにすぎない。結晶融解ピーク
(Tp)は一般に、温度範囲Tm+20℃〜Tm+50℃、特にTm
+20℃〜Tm+100℃の領域に表われるのが普通であり、
このピーク(Tp)は上記温度範囲内に複数個のピークと
して表われることが多い。即ち、この結晶融解ピーク
(Tp)は、温度範囲Tm+35℃〜Tm+100℃における高温
側融解ピーク(Tp1)と、温度範囲Tm+20℃〜Tm+35℃に
おける低温側融解ピーク(Tp2)との2つに分離して表わ
れることが多く、分子配向成形体の製造条件によって
は、Tp1やTp2が更に複数個のピークから成ることもあ
る。
これらの高い結晶融解ピーク(Tp1,Tp2)は、超高分子
量エチレン−α−オレフィン共重合体の成形体の耐熱性
を顕著に向上させ、かつ高温の熱履歴後での強度保持率
や弾性率保持率に寄与するものであると思われる。
又、温度範囲Tm+35℃〜Tm+100℃の高温側融解ピー
ク(Tp1)に基づく融解熱量の総和は、全融解熱量当り、
1.5%以上、特に3.0%以上にあることが望ましい。
又、高温側融解ピーク(Tp1)に基づく融解熱量の総和
が上述の値を満している限りにおいては、高温側融解ピ
ーク(Tp1)が主たるピークとして突出して現われない場
合、つまり小ピークの集合体もしくはブロードなピーク
になったとしても、耐熱性は若干失なわれる場合もある
が、耐クリープ特性については優れている。
本発明における融点及び結晶融解熱量は以下の方法に
より測定した。
融点は示差走査熱量計で以下の様に行なった。示差走
査熱量計はDSCII型(パーキンエルマー社製)を用い
た。試料は約3mgを4mm×4mm、厚さ0.2mmのアルミ板に巻
きつけることにより配向方向に拘束した。次いでアルミ
板に巻きつけた試料をアルミパンの中に封入し、測定用
試料とした。又、リファレンスホルダーに入れる通常空
のアルミパンには試料に用いたと同じアルミ板を封入し
熱バランスを取った。まず試料を30℃で約1分間保持
し、その後10℃/minの昇温速度で250℃まで昇温し、第
1回目昇温時の融点測定を完了した。引き続き250℃の
状態で10分間保持し、次いで20℃/minの降温速度で降温
し、さらに30℃で10分間試料を保持した。次いで二回目
の昇温を10℃/minの昇温速度で250℃まで昇温し、この
際2回目昇温時(セカンドラン)の融点測定を完了し
た。このとき融解ピークの最大値をもって融点とした。
ショルダーとして現われる場合はショルダーのすぐ低温
側の変曲点とすぐ高温側の変曲点で接線を引き交点を融
点とした。
また吸熱曲線の60℃と240℃との点を結び該直線(ベ
ースライン)と二回目昇温時の主融解ピークとして求め
られる超高分子量エチレン共重合体本来の結晶融解温度
(Tm)より20℃高い点に垂線を引き、これらによって囲
まれた低温側の部分を超高分子量エチレン共重合体本来
の結晶融解(Tm)に基づくものとし、又高温側の部分を
本発明成形体の機能を発現する結晶融解(Tp)に基づく
ものとし、それぞれの結晶融解熱量は、これらの面積よ
り算出した。又、Tp1およびTp2の融解に基づく融解熱量
も上述の方法に従い、Tm+20℃からの垂線とTm+35℃か
らの垂線に囲まれた部分をTp2の融解に基づく融解熱量
のものとし高温側部分をTp1の融解に基づく融解熱量の
ものとして同様に算出した。
成形体における分子配向の程度は、X線回折法、複屈
折法、螢光偏光法等で知ることができる。本発明の超高
分子量エチレン共重合体の延伸フィラメントの場合、例
えば呉祐吉、久保輝一郎:工業化学雑誌第39巻、992頁
(1939)に詳しく述べられている半価巾による配向度、
即ち式 式中、H°は赤道線上最強のパラトロープ面のデバイ環
に沿っての強度分布曲線の半価幅(°)である。
で定義される配向度(F)が0.90以上、特に0.95以上と
なるように分子配向されていることが、機械的性質の点
で望ましい。
本発明の超高分子量エチレン−α−オレフィン共重合
体の延伸フィラメントは、170℃で5分間の熱履歴を与
えた後での強度保持率が95%以上で、弾性率保持率が90
%以上、特に95%以上と、従来のポリエチレンの延伸フ
ィラメントには全く認められない優れた耐熱性を有して
いる。
また、この延伸フィラメントは高温下での耐クリープ
特性に際立って優れており、荷重を30%破断荷重とし、
雰囲気温度を70℃とし、90秒後の伸び(%)として求め
たクリープが7%以下、特に5%以下であり、更に90秒
から180秒後のクリープ速度(,sec-1)が4×10-4se
c-1以下、特に5×10-5sec-1以下である。
更に、本発明の超高分子量エチレン−α−オレフィン
共重合体の分子配向成形体は機械的特性にも優れてお
り、例えば延伸フィラメントの形状で20GPa以上、特に3
0GPa以上の弾性率と、1.2GPa以上、特に1.5GPa以上の引
張強度とを有している。
本発明によるエチレン−α−オレフン(C5以上)共重
合体繊維は、破断荷重よりも若干小さい荷重を室温で印
加したとき、破断する迄の時間が著しく長いという特徴
を有する。即ち、これらの繊維は、室温で750乃至1500M
Paの荷重(F)を印加したときの破壊時間(T1hour)が であるという特徴を有する。超高分子量のホモポリエチ
レン繊維やエチレン−プロピレン共重合体繊維では、こ
の破壊時間(T)が上記のものに比してかなり短い。
〈クリープ破壊時間の測定〉 クリープ破壊時間は以下の様にして求めた。試料長約
150cmの試料中央から等間隔で100cmの標線間距離を設
け、標線を入れる。雰囲気温度23℃、相対湿度55%の条
件で試料に所望の荷重を印加する。印加直後から破断ま
での経過時間を測定し、クリープ破壊時間とする。標線
間外で破断したものは除き、6測定で最低破壊時間の1
測定を除き、5測定の平均クリープ破壊時間を測定値と
する。
(発明の効果) 本発明の超高分子量エチレン−α−オレフィン共重合
体の分子配向成形体は、耐熱性、耐クリープ性、機械的
性質の組合せに優れている。かくして、この特性を利用
して、本発明の分子配向成形体は、高強度マルチフィラ
メント、ひも、ロープ、織布、不織布等の産業用紡織材
料の他に、梱包用テープ等の包装材料として有用であ
る。
また、フィラメントの形態の成形体を、エポキシ樹
脂、不飽和ポリエステル等の各種樹脂や合成ゴム等に対
する補強繊維として使用すると、従来の超高分子量ポリ
エチレン延伸フィラメントに比して、耐熱性や耐クリー
プ性の点で著しい改善がなされることが明白であろう。
又、このフィラメントは高強度でしかも密度が小さいこ
とから従来のガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、芳香
族ポリアミド繊維、芳香族ポリイミド繊維等を用いた成
形物に比べ、特に軽量化を計れるので有効である。ガラ
ス繊維等を用いた複合材料と同様に、UD(Unit Directi
onal)積層板、SMC(Sheet Molding Compound)、BMC
(Bulk Molding Compound)等の成形加工を行うことが
でき、自動車部品、ボートやヨットの構造体、電子回路
用基板等の軽量、高強度分野での各種複合材料用途が期
待される。
実施例1 〈超高分子量エチレン−4−メチルペンテン−1共重合
体の重合〉 チーグラー系触媒を用いて、n−デカン1を重合溶
媒として、エチレンのスラリー重合を行った。このと
き、共単量体として4−メチルペンテン−1を25ml、ま
た分子量の調整のため水素を30Nmlを初期一括添加し重
合を開始した。エチレンガスを反応器の圧力が5kg/cm2
の一定圧力を保つ様に連続供給し重合は70℃で1.5時間
で終了した。得られた超高分子量エチレン−4−メチル
ペンテン−1共重合体粉末の収量は264gで極限粘度
〔η〕(デカリン,135℃)は9.66dl/g、赤外分光光度計
による4−メチルペンテン−1含量は1000炭素原子あた
り1.7個であった。
〈超高分子量エチレン−4−メチルペンテン−1共重合
体延伸配向物の調製〉 上述の超高分子量エチレン−4−メチルペンテン−1
共重合体とパラフィンワックス(融点=69℃,分子量=
490)との20:80、重量比の混合物を以下の条件下で溶融
紡糸した。該混合物にプロセス安定剤として3,5−ジメ
チル−tert−ブチル−4−ハイドロキシトルエンを超高
分子量エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体に対
して0.1重量部配合した。次いで該混合物をスクリュー
式押出機(スクリュー径=25mm,L/D=25,サーモプラス
チック工業社製)を用いて、設定温度190℃で溶融混練
を行い、引き続き該溶融物を押出機に付属するオリフィ
ス径2mmの紡糸ダイより溶融紡糸した。紡糸繊維を180cm
のエアーギャップで36倍のドラフト比で引き取り、空気
中にて冷却、固化し、未延伸繊維とした。さらに該未延
伸糸を以下の条件で延伸し配向繊維を得た。三台のゴデ
ットロールを用いて二段延伸を行った。このとき第一延
伸槽の熱媒はn−デカンであり、温度は110℃第二延伸
槽の熱媒はトリエチレングリコールであり温度は145℃
であった。槽の有効長はそれぞれ50cmであった。延伸に
際しては第1ゴデットロールの回転速度を0.5m/minとし
て第3ゴデットロールの回転速度を変更することによ
り、所望の延伸比の繊維を得た。第2ゴデットロールの
回転速度は安定延伸可能な範囲で適宜選択した。初期に
混合されたパラフィンワックスは大部分が延伸時にn−
デカン槽中で抽出された。延伸比は第1ゴデットロール
と第3ゴデットロールとの回転速度比より計算によって
求めた。
〈引張特性の測定〉 弾性率および引張強度は島津製作所製DCS-50M型引張
試験機を用い、室温(23℃)にて測定した。この時クラ
ンプ間の試料長は100mmで引張速度100mm/minであった。
弾性率は初期弾性率で接線の傾きを用いて計算した。計
算に必要な繊維断面積は密度を0.960g/c.c.として重量
から計算で求めた。
〈耐クリープ特性の測定〉 クリープテストは熱応力歪測定装置TMA/SS10(セイコ
ー電子工業株式会社製)を用いて試料長1cm、雰囲気温
度70℃、荷重は室温での破断荷重の30%に相当する重量
の促進条件下で行なった。クリープ量を定量的に評価す
るため以下の二つの値を求めた。まず90秒後の伸び%を
CR90、又90秒から180秒後の平均クリープ速度(sec-1)を
とした。
〈熱履歴後の引張弾性率・強度保持率〉 熱履歴試験はギヤーオーブン(パーフェクトオーブ
ン:田葉井製作所製)内に放置することによって行っ
た。
試料は約3mの長さでステンレス枠の両端に複数個の滑
車を装置したものに折り返しかけて試料両端を固定し
た。この際、試料両端は試料がたるまない程度に固定
し、積極的に試料に張力はかけなかった。熱履歴後の引
張特性は前述の引張特性の測定の記載に基づいて測定し
た。
第1表に延伸配向繊維の引張特性を示す。
試料−1の示差走査熱量計による第1回目の吸熱特性
曲線を第2図に、また第2回目(セカンドラン)の吸熱
特性曲線を第5図に示す。試料−1の本来の結晶融解ピ
ークは129.2℃で、試料−1の全結晶融解ピーク面積に
たいするTpおよびTp1の割り合いはそれぞれ57.1%、13.
3%であった。耐クリープ性はCR90=4.9% =3.33×
10-5sec-1であった。試料−1のクリープ特性を第15図
に示した。また170℃、5分間の熱履歴後の弾性率保持
率は112.8%強度保持率は97.1%であり、熱履歴により
強度にごくわずかの保持率低下が認められたが、弾性率
は逆い改良された。
実施例2 〈超高分子量エチレン・4−メチルペンテン−1共重合
体の重合〉 チーグラー系触媒を用いて、n−デカン1を重合溶
媒としてエチレンのスラリー重合を行った。このとき、
共単量体として4−メチルペンテン−1 50ml、また分子
量の調整のため水素を50Nmlを重合開始前に一括添加し
重合を開始した。エチレンガスを反応器の圧力が5kg/cm
2の一定圧力を保つ様に連続供給し、重合は70℃で1時
間半で終了した。得られた超高分子量エチレン−4−メ
チルペンテン−1共重合体粉末の収量は172gで極限粘度
〔η〕(デカリン、135℃)は10.55dl/g、赤外分光光度
計による4−メチルペンテン−1共単量体の含量は1000
炭素原子あたり0.2個であった。
〈超高分子量エチレン・4−メチルペンテン−1共重合
体延伸配向物の調製と物性〉 実施例1に記載した方法により延伸配向繊維の調製を
行った。得られた延伸配向繊維の引張特性を第2表に示
す。
試料−2の示差走査熱量計による第1回目の吸熱特性
曲線を第6図に、また第2回目(セカンドラン)の吸熱
特性曲線を第7図に示す。試料−2の本来の結晶融解ピ
ークは131.3℃で試料−2の全結晶融解ピーク面積にた
いするTpおよびTp1の割い合いはそれぞれ93.8%と3.8%
であった。耐クリープ性はCR90=2.46%、=1.21×10
-5sec-1であった。
試料−2のクリープ特性を第15図に示す。また170
℃、5分間の熱履歴後の弾性率保持率は108.3%、強度
保持率は96.3%であり、強度保持率にごくわづかの低下
が見られたが逆に弾性率は向上した。
実施例3 〈超高分子量エチレン・ヘキセン−1共重合体の重合〉 チーグラー系触媒を用いて、n−デカン1を重合溶
媒としてエチレンのスラリー重合を行った。このとき共
単量体としてヘキセン−1を25mlと分子量調整のための
水素40Nmlを重合開始前に一括添加し、重合を開始し
た。エチレンガスを反応器の圧力が5kg/cm2の一定圧力
を保つ様に連続供給し、重合は70℃、1時間半で終了し
た。得られた超高分子量エチレン・ヘキセン−1共重合
体粉末の収量は231g、で極限粘度〔η〕(デカリン、13
5℃)は9.37dl/g、赤外分光光度計によるヘキセリン−
1共単量体含量は1000炭素原子当り2.3個であった。
〈超高分子量エチレン・ヘキセン−1共重合体延伸配向
物の調製とその物性〉 実施例1に記載した方法により延伸配向繊維の調製を
行った。得られた延伸配向繊維の引張特性を第3表に示
す。
試料−3の示差走査熱量計による第1回目の吸熱特性
曲線を第8図に、また第2回目(セカンドラン)の吸熱
特性曲線を第9図に示す。試料−3の本来の結晶融解ピ
ークは129.1℃で試料−3の全結晶融解ピーク面積にた
いするTpおよびTp1の割り合いはそれぞれ89.1%と16%
であった。試料−3の耐クリープ性はCR90=2.56%、
=1.21×10-5sec-1であった。試料−3のクリープ特性
を第15図に示す。また170℃、5分間の熱履歴後の弾性
率保持率102.0%、強度保持率99.5%であった。
実施例4 〈超高分子量エチレン・オクテン−1共重合体の重合〉 チーグラー系触媒を用いて、n−デカン1を重合溶
媒としてエチレンのスラリー重合を行った。このとき共
単量体としてオクテン−1を125mlと分子量調整のため
の水素40Nmlを重合開始前に一括添加し、重合を開始し
た。エチレンガスを反応器の圧力が5kg/cm2の一定圧力
を保つ様に連続供給し重合は70℃、2時間で終了した。
得られた超高分子量エチレン・オクテン−1共重合体粉
末の収量は178gでその極限粘度〔η〕(デカリン、135
℃)は10.66dl/g、赤外分光光度計によるオクテン−1
共単量体含量は1000炭素原子当り0.5個であった。
〈超高分子量エチレン・オクテン−1共重合体延伸配向
物の調製とその物性〉 実施例1に記載した方法により延伸配向繊維の調製を
行った。得られた延伸配向繊維の引張特性を第4表に示
す。
試料−4の示差走査熱量計による第1回目の吸熱特性
曲線を第10図にまた第2回目(セカンドラン)の吸熱特
性曲線を第11図に示す。試料−4の本来の結晶融解ピー
クは132℃で試料−4の全結晶融解ピーク面積にたいす
るTpおよびTp1の割り合いはそれぞれ97.7%、および5.0
%であった。試料−4の耐クリープ性はCR90=2.01%、
=9.52×10-6sec-1であった。試料−4のクリープ特
性を第15図に示す。また170℃5分間の熱履歴後の弾性
率保持率は109.2%、強度保持率は101.9%であり熱履歴
により弾性率・強度ともに向上を示した。
試料−4の印加荷重とクリープ破壊時間との関係を第
5表に示した。
印加荷重とクリープ破壊時間との関係を第16図に示し
た。
比較例1 超高分子量ポリエチレン(ホモポリマー)粉末(極限
粘度〔η〕=7.42dl/g、デカリン、135℃):20重量部と
パラフィンワックス(融点=69℃、分子量=490):80重
量部の混合物を実施例1の方法で溶融紡糸、延伸し、延
伸配向繊維を得た。第6表に得られた延伸配向繊維の引
張特性を示す。
超高分子量ポリエチレン延伸配向繊維試料−5の示差
走査熱量計による第1回目昇温時の吸熱特性曲線を第4
図に示し、また第2回目の昇温(セカンドラン)時の吸
熱特性曲線を第12図に示す。超高分子量ポリエチレン試
料−5本来の結晶融解ピークは135.1℃、全結晶融解ピ
ーク面積にたいするTpの割り合いは8.8%であった。
また同様に全結晶融解ピーク面積にたいする高温側ピ
ークTp1の割り合いは1.0%であった。さらに170℃、5
分間の熱履歴後の弾性率保持率は80.4%、強度保持率は
79.2%であり、弾性率及び強度とも熱履歴により低下し
た。耐クリープ性はCR90=12.0%、=1.07×10-3sec
-1であった。試料−5のクリープ特性を第15図に示す。
比較例2 超高分子量ポリエチレン(ホモポリマー)粉末(極限
粘度〔η〕=10.2dl/g、デカリン、135℃):20重量部と
パラフィンワックス(融点=69℃、分子量=490):80重
量部の混合物を実施例1記載の方法で溶融紡糸、延伸
し、延伸・配向繊維を得た。第7表に得られた延伸配向
繊維の引張特性を示す。
超高分子量ポリエチレン延伸配向繊維試料−6の示差
走査熱量計による第1回目昇温時の吸熱特性曲線を第13
図に示し、また第2回目昇温(セカンドラン)時の吸熱
特性曲線を第14図に示す。超高分子量ポリエチレン繊維
試料−6本来の結晶融解ピークは135.5℃、全結晶融解
ピーク面積にたいするTpおよびTp1の割り合いはそれぞ
れ13.8%および1.1%であった。試料−6の耐クリープ
性はCR90=8.2%、=4.17×10-4sec-1であった。試料
−6のクリープ特性を第15図に示す。さらに170℃5分
間の熱履歴後の弾性率保持率は86.1%、強度保持率は9
3.1%であり特に弾性率が著しく低下した。
試料−6の印加荷重とクリープ破壊時間との関係を第
8表に示した。
室温での印加荷重と破壊時間との関係を第16図に試料−
4と合わせて示した。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1で用いた超高分子量エチレン・4−メ
チルペンテル−1共重合体粉末の示差走査熱量計による
吸熱特性曲線、 第2図は実施例1で得られた超高分子量エチレン・4−
メチルペンテン−1共重合体延伸配向繊維の拘束状態で
の示差走査熱量計による吸熱特性曲線、 第3図は比較例1で用いた超高分子量ポリエチレン粉末
の示差走査熱量計による吸熱特性曲線、 第4図は比較例1で得られた超高分子量ポリエチレン延
伸配向繊維の拘束状態での示差走査熱量計による吸熱特
性曲線、 第5図は第2図の試料を2回目の昇温測定(セカンドラ
ン)に付したときの吸熱特性曲線、 第6図は実施例2で得られた超高分子量エチレン・4−
メチルペンテン−1共重合体延伸配向繊維の拘束状態で
の示差走査熱量計による吸熱特性曲線、 第7図は第6図の試料を2回目の昇温測定に付したとき
の吸熱特性曲線、 第8図は実施例3で得られた超高分子量エチレン・ヘキ
セン−1共重合体延伸配向繊維の拘束状態での示差走査
熱量計による吸熱特性曲線、 第9図は第8図の試料を2回目の昇温測定に付したとき
の吸熱特性曲線、 第10図は実施例4で得られた超高分子量エチレン・オク
テン−1共重合体延伸配向繊維の拘束状態での示差走査
熱量計による吸熱特性曲線、 第11図は第10図の試料を2回目の昇温測定に付したとき
の吸熱特性曲線、 第12図は第4図の試料を2回目の昇温測定に付したとき
の吸熱特性曲線、 第13図は比較例2で得られた超高分子量ポリエチレン延
伸配向繊維の拘束状態での示差走査熱量計による吸熱特
性曲線、 第14図は第13図の試料を2回目の昇温測定に付したとき
の吸熱特性曲線、及び 第15図は実施例1,実施例2,実施例3,実施例4,比較例1及
び比較例2で得られた各重合体の延伸配向繊維のクリー
プ特性曲線を示す。 第16図は、各繊維について室温での印加荷重と破壊時間
との関係を示す線図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 210/16 MJM

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】極限粘度〔η〕が少なくとも5dl/gで炭素
    数が5以上のα−オレフィンの含有量が炭素数1000個あ
    たり平均0.1〜15個である超高分子量エチレン−α−オ
    レフィン共重合体の分子配向成形体であって、該成形体
    は拘束状態で示差走査熱量計で測定したとき、少なくと
    も2個の結晶融解吸熱ピークを有すると共に、二回目昇
    温時の主融解吸熱ピークとして求められる超高分子量エ
    チレン−α−オレフィン共重合体本来の結晶融解温度
    (Tm)よりも少なくとも20℃高い温度に少なくとも1個
    の結晶融解吸熱ピーク(Tp)を有し、且つ全融解熱量当
    りのこの結晶融解吸熱ピーク(Tp)に基づく熱量が15%
    以上であることを特徴とする分子配向成形体。
  2. 【請求項2】α−オレフィンが炭素数6以上のものであ
    る特許請求の範囲第1項記載の分子配向成形体。
  3. 【請求項3】α−オレフィンの含有量が炭素数1000個あ
    たり平均0.5乃至10個である特許請求の範囲第1項記載
    の分子配向成形体。
JP62109724A 1987-05-06 1987-05-07 超高分子量エチレン−α−オレフィン共重合体の分子配向成形体 Expired - Lifetime JPH089802B2 (ja)

Priority Applications (10)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62109724A JPH089802B2 (ja) 1987-05-07 1987-05-07 超高分子量エチレン−α−オレフィン共重合体の分子配向成形体
EP88303170A EP0290141B1 (en) 1987-05-06 1988-04-08 Molecularly oriented molded body of ultra-high-molecular-weight ethylene/alpha-olefin copolymer
AT88303170T ATE109522T1 (de) 1987-05-06 1988-04-08 Molekular orientiertes geformtes gebilde aus ethylen-alpha-olefin-copolymer mit ultrahohem molekulargewicht.
DE3850905T DE3850905T2 (de) 1987-05-06 1988-04-08 Molekular orientiertes geformtes Gebilde aus Ethylen-alpha-olefin-copolymer mit ultrahohem Molekulargewicht.
NZ224210A NZ224210A (en) 1987-05-06 1988-04-11 Ultra-high-molecular-weight ethylene/alpha-olefin copolymers in molecularly oriented moulded bodies and filaments
AU14722/88A AU618257B2 (en) 1987-05-06 1988-04-18 Molecularly oriented molded body of ultra-high-molecular-weight ethylene/alpha-olefin copolymer
KR1019880004459A KR930007820B1 (ko) 1987-05-06 1988-04-20 초고분자량 에틸렌-α-올레핀 공중합체의 분자배향성형체
CN88102519A CN1031076C (zh) 1987-05-06 1988-04-22 超高分子量乙烯·α-烯烃共聚物的分子取向成型体
CA000565732A CA1303290C (en) 1987-05-06 1988-05-03 MOLECULARLY ORIENTED MOLDED BODY OF ULTRA-HIGH- MOLECULAR-WEIGHT ETHYLENE/.alpha.-OLEFIN COPOLYMER
US07/504,105 US5115067A (en) 1987-05-06 1990-04-04 Molecularly oriented molded body of ultra-high-molecular weight ethylene/α-olefin copolymer

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62109724A JPH089802B2 (ja) 1987-05-07 1987-05-07 超高分子量エチレン−α−オレフィン共重合体の分子配向成形体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS63275710A JPS63275710A (ja) 1988-11-14
JPH089802B2 true JPH089802B2 (ja) 1996-01-31

Family

ID=14517619

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP62109724A Expired - Lifetime JPH089802B2 (ja) 1987-05-06 1987-05-07 超高分子量エチレン−α−オレフィン共重合体の分子配向成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH089802B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001115367A (ja) * 1999-08-09 2001-04-24 Mitsui Chemicals Inc 柔軟性不織布
WO2008001772A1 (fr) * 2006-06-27 2008-01-03 Asahi Kasei Chemicals Corporation Feuille de polyoléfine de poids moléculaire ultra élevé, moulée par étirement, présentant une excellente transparence et d'excellentes propriétés mécaniques, et son procédé de fabrication
JP7192212B2 (ja) * 2018-02-16 2022-12-20 東ソー株式会社 超高分子量ポリエチレン共重合体

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB1568964A (en) * 1975-11-05 1980-06-11 Nat Res Dev Oriented polymer materials
NL8104728A (nl) * 1981-10-17 1983-05-16 Stamicarbon Werkwijze voor het vervaardigen van polyetheen filamenten met grote treksterkte.
JPS61187856U (ja) * 1985-05-16 1986-11-22
JPH033530Y2 (ja) * 1985-05-16 1991-01-30
JPH0341732Y2 (ja) * 1985-05-17 1991-09-02
JPS6241341A (ja) * 1985-08-08 1987-02-23 東洋紡績株式会社 ゲル繊維の高速延伸方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPS63275710A (ja) 1988-11-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0229477B1 (en) Molecularly oriented, silane-crosslinked ultra-high-molecular-weight polyethylene molded article and process for preparation thereof
US5143977A (en) Resin or rubber article reinforced with a polyolefin fiber having improved initial elongation
EP0307155B1 (en) Molecularly oriented molded body of ultra-high-molecular-weight ethylene/polyene copolymer
US5115067A (en) Molecularly oriented molded body of ultra-high-molecular weight ethylene/α-olefin copolymer
KR950013728B1 (ko) 분자배향 및 실란가교 초고분자량 폴리에틸렌 성형체 및 그 제법
JPH089802B2 (ja) 超高分子量エチレン−α−オレフィン共重合体の分子配向成形体
JP2599751B2 (ja) 窓ブラインド用紐
JPH086205B2 (ja) 超高分子量エチレン・プロピレン共重合体の分子配向成形体
JPH089803B2 (ja) 超高分子量エチレン−α−オレフィン共重合体の分子配向成形体
JPH086206B2 (ja) 超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体の分子配向成形体
JP3070694B2 (ja) 超高分子量ポリプロピレン延伸成形体およびその製造方法
JP2601868B2 (ja) 釣 糸
JP3082955B2 (ja) 飛翔体抵抗性物
JP2992323B2 (ja) 高分子量ポリエチレン分子配向成形体
JPH05230732A (ja) 高分子量ポリオレフィンの多段延伸方法及び延伸装置
JPH05140816A (ja) 高分子量ポリオレフイン延伸物の製造方法
JP2557460B2 (ja) ヨット用ロープ
JPH0465512A (ja) クリープ特性に優れたポリエチレン分子配向成形体
JPH01260077A (ja) 登山用ロープ
JPH0823084B2 (ja) 高破断エネルギーを有する超高分子量エチレン・α―オレフィン共重合体延伸成形体
JP2781201B2 (ja) セメント混和材
JP2557461B2 (ja) 係留用ロープ
JP2548292B2 (ja) 漁網および漁網牽引用ロープ
JPH01260078A (ja) テント固定用ロープ
JPH0782606A (ja) ポリエチレン繊維成形用組成物

Legal Events

Date Code Title Description
EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080131

Year of fee payment: 12