JPH0823084B2 - 高破断エネルギーを有する超高分子量エチレン・α―オレフィン共重合体延伸成形体 - Google Patents

高破断エネルギーを有する超高分子量エチレン・α―オレフィン共重合体延伸成形体

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JPH0823084B2
JPH0823084B2 JP62244246A JP24424687A JPH0823084B2 JP H0823084 B2 JPH0823084 B2 JP H0823084B2 JP 62244246 A JP62244246 A JP 62244246A JP 24424687 A JP24424687 A JP 24424687A JP H0823084 B2 JPH0823084 B2 JP H0823084B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は超高分子量エチレン・α−オレフィン共重合
体の高配向延伸成形体に関する。さらに、詳しくは超高
分子量エチレン・α−オレフィン共重合体の高濃度ドー
プを調整し、該ドープをノズルから押出してドラフトを
かけながら押出物を引き取り、そして該押出物中の超高
分子量エチレン・α−オレフィン共重合体を結晶化させ
る工程を包含するドープ成形法によって製造される高破
断エネルギーを有する延伸成形体に関する。
(従来の技術) 高強度を特徴とした工業繊維は、多く知られている。
例えばカーボン繊維やアラミド繊維である。カーボン繊
維はその高強度ゆえにさまざまな複合材用途に利用され
ている。しかしながらまたひとつの特徴である高弾性率
ゆえにその破断点伸度は極めて小さく、通常1%以上の
変形には耐えられず、もっぱら微小変形領域を利用する
分野に供されている。しかしながら突発的な大変形、例
えば衝撃的な変形には弱く、しばしば問題となってい
る。これは破断点伸度が低いことによる低破断エネルギ
ー特性が災いしている。アラミド繊維はこの点が改良さ
れているため、炭素繊維では供されることのなかった動
索等の衝撃的な変形が係る分野で利用され始めている。
しかしながら、アラミド繊維の代表例であるケブラー
49(デュポン社製)の破断点伸びは約2%であり同程度
の強度(2.6GPa)の炭素繊維と比較して破断エネルギー
特性は約2倍程度しか改良されておらず、同分野での利
用に全く不安がない訳ではない。
近年、分子量が数10万〜200万程度の高分子量ポリマ
ーとくに高分子量線状ポリエチレンの弾性率・強度を改
良しようとする試みがいくつか報告されている。例えば
特開昭55−107506号公報、特開昭56−150408号公報、特
開昭57−128213号公報あるいは特開昭58−5228号公報に
は超高分子量ポリエチレンの希薄溶液を紡糸し、得られ
るフィラメントを延伸することが記載されている。また
特開昭59−130313号公報には、超高分子量ポリエチレン
とワックスとを溶融混合し、この混練物を押出し、冷却
固化後延伸することが記載され更に特開昭59−187614号
公報には、上記溶融混合物を押出し、ドラフトをかけた
後冷却固化し、次いで、延伸することが記載されてい
る。本発明者らはかかる公知文献の開示に従って、一例
として分子量約190万のポリエチレンからなる未延伸糸
をそれぞれ20倍、25倍、および30倍延伸したところ、強
度、破断点伸度、破断エネルギーは延伸倍率が20倍のも
ので、2.5GPa、4.5%、65J/g、同25倍のものが、2.7GP
a、3.6%、55J/g、そして同30倍のものが3.1GPa、2.1
%、50J/g、であった。この例に見られる様に超高分子
量線状ポリエチレンを溶剤もしくは可塑剤の存在下にて
超延伸することにより、高強度と高破断点伸度を維持
し、この結果、従来の高弾性率・高強度繊維にない高破
断エネルギー特性を得る方法として注目されている。
しかしながら、これらの方法は公知文献の開示に従っ
て示した一例からも示唆される様に、延伸倍率の上昇と
ともに高強度化はするものの破断点伸度は逆に減少し、
この結果破断エネルギーは延伸倍率の上昇に従って低下
を示している。つまり当該法においては、他の高強度繊
維と比較して改良された破断エネルギー特性を持つ繊維
を得ることはできるが、上述の強度と破断点伸度との関
係よりあるレベルを越えるものではない。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明者らは基本的にはこれらの公知文献と同じく高
分子量ポリエチレンから高強度繊維を得んとしたもので
あるが、そこでさらに改良すべき点として着目したの
が、当該高強度繊維の破断エネルギー特性の更なる改良
である。
かかる破断エネルギー特性の改良に関する方法として
は特開昭59−100710号公報が知られる。この方法は分子
量40万以上のポリマーからなり強度が15g/d以上の延伸
された繊維を熱収縮処理することを特徴とする高破断エ
ネルギーを有する高分子量ポリエチレン繊維の製造方法
である。
該方法は、熱収縮により弾性率が低下する反面破断点
伸度が上昇し、この結果、強度に大きな変化がないと仮
定すれば破断エネルギーが上昇することに着目したもの
である。しかしながら現実は熱収縮により増加した繊維
の断面に応じて低下する以上に糸強度は低下し、実に30
%の収縮に対して約50%の強度が失なわれる。またこの
結果破断エネルギーの上昇は約1.5倍から2倍程度にす
ぎず、破断エネルギー値とさらにもうひとつの目的であ
る高強度は反比例しており、これら両物性の性能設計に
自由度がないなどの問題点も多い。
特開昭58−81612号公報には、高分子量ポリエチレン
の溶液を紡糸し、フィラメントを延伸することによって
引張り強さの大きいポリエチレンフィラメントを製造す
るさいに、炭素数が3〜8のアルケン1種類かそれ以上
を最大でも5重量%含み、重量平均分子量Mwが4×105K
g/kmole以上で、そして重量平均分子量と数平均分子量
の比Mw/Mnが5未満のエチレン重合体か、エチレン共重
合体と、少なくとも80重量%の溶剤との溶液を該溶液の
ゲル化点を上回る温度で紡糸し、紡糸したものをゲル化
点未満に冷却し、そして得られたフィラメントを溶剤を
含むか含まないゲルの形で延伸して、室温で測定した引
張り強さが1.5GPa以上のフィラメントを形成することを
特徴とするポリエチレンフィラメントの製造方法の記載
がある。該製造方法において、強度の優れた繊維を得る
ことが唯一の発明の効果となっているが、このためには
重量平均分子量と数平均分子量の比Mw/Mnすなわち、分
子量分布を狭くすることは一般的概念から的を得ている
が、エチレン鎖を共重合により不均一化することは上記
の目的上好ましくはない。又、該公報には、エチレン・
アルケン共重合体の実施例の記載は見られず、これらの
共重合体を用いたことにより破断エネルギー値が向上す
ることについての実質的記載及び概念についての記載は
見られない。
また実際の調製濃度は2重量%及び8重量%と著しく
低く、この様な低濃度での調製では、例えば[B.Kald,
A.J.Pennings,Journal of Materials Science,15,2584
−2590(1980)]に一般的に示される様に分子間−分子
間の相互作用すなわち分子鎖の絡み点の数が極端に少な
く、この結果、高弾性率と低破断点伸度とによって高破
断エネルギーは達成できない虞がある。
さらに該方法は、最大でも重合体濃度が20重量%以下
と低く経済性に乏しい問題点を持っている。
従って本発明の目的は、顕著に改善された高破断エネ
ルギーと高強度を有する超高分子量ポリエチレン系の延
伸成形体を提供するにある。
さらに、本発明の目的は、20重量%以上の高濃度ドー
プより効率的に高破断エネルギーを有する超高分子量ポ
リエチレン系延伸成形体を提供するにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、炭素数4以上のα−オレフィンを限定
された少量でエチレンと共重合せしめた超高分子量エチ
レン・α−オレフィン共重合体を含有するドープを溶液
もしくは溶融紡糸を、延伸してその過程で溶剤もしく
は、可塑剤等を抽出して延伸成形体とするときには、従
来のポリエチレンの延伸物には全く認められない顕著に
改善された高破断エネルギーと高強度とを有する超高分
子量エチレン・α−オレフィン共重合体延伸成形体が得
られることを見出した。更にこの延伸成形体は従来の熱
収縮により破断エネルギーを向上させる方法と比較して
共単量体の組成を制御することにより強度を著しく損う
ことなく高破断エネルギーを達成することができること
を見出した。
本願発明は、本発明者らによって見いだされた上記知
見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明によれば、極限粘度[η]が少なく
とも5dl/gで、炭素数が4以上のα−オレフィンの含有
量が0.2乃至5モル%である超高分子量エチレン・α−
オレフィン共重合体の延伸成形体であって、該延伸成形
体は、X線回折半価巾による配向度として求め0.93以上
の配向度と、応力−歪曲線からその破断点迄の積分値と
して求めて80ジュール/g以上の破断エネルギーを有し、
かつ、2.0GPa以上の引張強度と6%以上の破断点伸度を
有する延伸成形体が提供される。
また、本発明によれば、該成形体は拘束状態で示差走
査熱量計で測定したとき、少なくとも2個の結晶融解吸
熱ピークを有すると共に、二回目昇温時の主融解吸熱ピ
ークとして求められる超高分子量エチレン・α−オレフ
ィン共重合体本来の結晶融解温度(Tm)よりも少なくと
も20℃高い温度に少なくとも1個の結晶融解吸熱ピーク
(Tp)を有し、且つ全融解熱量当りのこの結晶融解吸熱
ピーク(Tp)に基づく熱量が15%以上である上記延伸成
形体が提供される。
(作 用) 本発明は、限定された量のα−オレフィン(C4以上)
をエチレンと共重合させて得られる、超高分子量エチレ
ン・α−オレフィン共重合体を含有する紡糸用ドープを
溶液もしくは溶融紡糸し、延伸してその過程で溶液もし
くは可塑剤等を抽出し延伸成形体とすると、該延伸成形
体は顕著に改善された高破断エネルギーと高強度を有す
るという驚くべき知見に基づくものである。
ここで破断エネルギーとは、延伸成形体が破断に至る
までに必要とされるエネルギーで、通常、引張試験を行
なう際に荷重を変位で積分する、つまり応力・歪曲線を
求め、これと破断点から歪軸に垂した垂線とに囲まれた
面積を求めることにより容易に算出することができる。
通常この値を試料の来歴断面積、長さ等の異なった試料
と比較するために試料の重量もしくは体積で除すること
により正規化を行う。一般的にはタフネスと称し破断応
力(g/d)と破断点伸度(%)を掛けたもので破断エネ
ルギーを表わす場合もあるが、応力・歪曲線が直角三角
形や相似形になることは極めて稀であり正しくない。
α−オレフィンを共単量体として超高分子量ポリエチ
レンに導入した共重合体の物性についての学術文献は知
られていないため、当該法で得られた超高分子量エチレ
ン・α−オレフィン共重合体の延伸成形体が顕著に改善
された高破断エネルギーと高強度とを有する理論的根拠
は類推のすべもないが蓋然的には以下の様に考えられ
る。
前述した従来の技術による超高分子量ポリエチレン延
伸成形体の破断エネルギーが、例えばアラミド繊維に比
較して改良されている事実は、その極端に長い分子鎖に
起因している。例えば百万の分子量と云うと超高分子量
ポリエチレンとして決して大きな分子量ではないが、こ
の分子鎖を直線状に引き伸すと実に16μに達し、これは
分子レベルの間隔からすると実に巨大な数字であること
が分る。このような巨大分子が引き揃えられ、いわゆる
伸び切り鎖結晶を構成していると考えられるが、いずれ
にしてもこの構成は完全なものではない。つまりここで
の欠陥は分子鎖相互の絡み合いである。この分子鎖の絡
み合いが伸び切り結晶形成に及ぼす効果についての概念
は、松生(日本レオロジー学会誌,13,4(1985))によ
って詳しく議論されている。高弾性率と高強度とを兼ね
備えた完全性の高い伸び切り鎖結晶の達成は出来るだけ
少ない数の絡み合いを持った折り畳み鎖結晶から出発す
ることが不可欠である。逆に絡み合いを多く持った折り
畳み鎖結晶からは分子鎖の絡み合いによって延伸物の繊
維軸方向に強度向上に有効な分子鎖を集中することがで
きず高弾性率は勿論、高強度も達成できない。つまり低
破断エネルギーである。
したがって分子鎖の絡み合いを排除して高強度化を計
ることは高破断エネルギー化のひとつの必要条件であ
る。しかしながら伸び切り鎖結晶は完全なものに近づく
にしたがって、高破断エネルギー化のもうひとつは必要
条件である破断点伸びは著しく減少する。これより明白
であるが前述した従来技術による超高分子量ポリエチレ
ンの延伸成形体の破断エネルギーがあるレベルを越える
ことのできない理由は高破断エネルギー化のための高強
度化と高破断点伸度とが根本的に逆相関していることに
よる。分子鎖同士が絡み合っていない、つまり分子鎖同
士がもっとも弱い結合力であるファンデルワース力のみ
で凝集しているにすぎないことも破断エネルギーを向上
できない理由とも云える。
上述の理由から明らかな様にかかる問題を解決しさら
に著しく破断エネルギーを向上させるためには、分子鎖
を引き揃え、高強度に必要な分子鎖を延伸成形体の繊維
軸方向に集中させると同時に分子鎖のところどころに立
体的障害を与え、この結果において隣接分子をこれに密
接に絡み合せる必要があると考えられる。この立体障害
をα−オレフィン共単量体が担っていると考えられる。
以上が、限定された量のα−オレフィン(C4以上)を
エチレンと共重合させて得られる超高分子量エチレン・
α−オレフィン共重合体を含有する紡糸用ドープを溶液
もしくは溶融紡糸し、延伸して、その過程で溶剤もしく
は可塑剤等を抽出し延伸成形体としたときに従来のポリ
エチレン延伸成形体には全く認められない顕著に改善さ
れた高破断エネルギーと高強度とを発現する理由である
と考えられる。
(好適実施態様の説明) 本発明を、その理解が容易なように、原料、製造方法
及び目的物の順に以下に説明する。
原 料 本発明に用いる超高分子量エチレン・α−オレフィン
共重合体は、エチレンと、コモノマーとしての炭素数4
以上のα−オレフィンとを、チーグラー系触媒を使用
し、例えば有機溶媒でスラリー重合させることによって
得られる。
炭素数4以上のα−オレフィンとしては、ブテン−
1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン
−1、ヘプテン−1、オクテン−1の1種又は2種以上
の組合せ等が挙げられるが、4−メチルペンテン−1、
ヘキセン−1、オクテン−1等の炭素数6以上のα−オ
レフィンが好適である。用いるα−オレフィンコモノマ
ーの量は、前述した範囲の重合体鎖中のα−オレフィン
含有量を与えるものでなければならない。また、用いる
超高分子量エチレン・α−オレフィン共重合体は、前述
した極限粘度〔η〕に対応する分子量を有するべきであ
る。
α−オレフィン含有量が0.2モル%以下の場合には高
破断エネルギーので達成に有効な分子間絡み合い構造を
作ることができない場合があり、又逆にα−オレフィン
含有量が5モル%を超えると高強度を達成するに必要な
分子鎖を繊維軸に集中させた構造を作ることが困難とな
る傾向がある。
本発明における超高分子量エチレン・α−オレフィン
共重合体中のα−オレフィン成分の定量は赤外分光光度
計(日本分光工業製)によって行った。つまりエチレン
鎖の中に込まれたα−オレフィンのメチル基の変角振動
を表わす1378cm-1の吸光度を測定し、これからあらかじ
13C核磁気共鳴装置にて、モデル化合物を用いて作成
した検査線にて1000炭素原子当りのメチル分岐数に換算
することにより測定した値から算出した。
製造方法 本発明では、上記超高分子量エチレン・α−オレフィ
ン共重合体の溶液および溶融成形を可能にするために、
上記成分と共に稀釈剤を配合する。このような稀釈剤と
しては、超高分子量エチレン共重合体に対する溶剤や、
超高分子量エチレン共重合体に対して相溶性を有する各
種ワックス状物が使用される。
溶剤は、好ましくは前記共重合体の融点以上、更に好
ましくは融点+20℃以上の沸点を有する溶剤である。
かかる溶剤としては、具体的には、n−ノナン、n−
デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−テトラデ
カン、n−オクタンデカンあるいは流動パラフィン、灯
油等の脂肪族炭化水素溶媒、キシレン、ナフタリン、テ
トラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、シクロヘキシ
ルベンゼン、ジエチルベンゼン、ベンチルベンゼン、ド
デシルベンゼン、ビシクロヘキシル、デカリン、メチル
ナフタリン、エチルナフタリン等の芳香族炭化水素溶媒
あるいはその水素化誘導体、1,1,2,2,−テトラクロロエ
タン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、1,2,
3−トリクロロプロパン、ジクロロベンゼン、1,2,4−ト
リクロロベンゼン、プロモベンゼン等のハロゲン化炭化
水素溶媒、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プ
ロセスオイル、芳香族プロセスオイル等の鉱油が挙げら
れる。
ワックス類としては、脂肪族炭化水素化合物或はその
誘導体が使用される。
脂肪族炭化水素化合物としては、飽和脂肪族炭化水素
化合物を主体とするもので、通常分子量が2000以下、好
ましくは1000以下、更に好ましくは800以下のパラフィ
ン系ワックスと呼ばれるものである。これら脂肪族炭化
水素化合物としては、具体的にはドコサン、トリコサ
ン、テトラコサン、トリアコンタン等の炭素数22以上の
n−アルカンあるいはこれらを主成分とした低級n−ア
ルカンとの混合物、石油から分離精製された所謂パラフ
ィンワックス、エチレンあるいはエチレンと他のα−オ
レフィンとを共重合して得られる低分子量重合体である
中・低圧ポリオレフィンワックス、高圧法ポリエチレン
ワックス、エチレン共重合ワックスあるいは中・低圧法
ポリエチレン、高圧法ポリエチレン等のポリエチレンを
熱減成等により分子量を低下させたワックス及びそれら
のワックスの酸化物あるいはマレイン酸変性物である、
酸化ワックス、マレイン酸変性ワックス等が挙げられ
る。
脂肪族炭化水素化合物誘導体としては、例えば脂肪族
炭化水素基(アルキル基、アルケニル基)の末端もしく
は内部に1個又はそれ以上、好ましくは1ないし2個、
特に好ましくは1個のカルボキシル基、水酸基、カルバ
モイル基、エステル基、メルトカプト基、カルボニル基
等の官能基を有する化合物である炭素数8以上、好まし
くは炭素数12〜50又は分子量13〜2000、好ましくは200
〜800の脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸アミド、脂
肪酸エステル、脂肪族メルカプタン、脂肪族アルデヒ
ド、脂肪族ケトン等を挙げることができる。
具体的には、脂肪酸としてカプリン酸、ラウリン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン
酸、脂肪族アルコールとしてラウリルアルコール、ミリ
スチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアル
コール、脂肪酸アミドとしてカプリンアミド、ラウリン
アミド、パルミチンアミド、ステアリルアミド、脂肪酸
エステルとしてステアリル酢酸エステル等を例示するこ
とができる。
超高分子量エチレン共重合体と稀釈剤との比率は、こ
れらの種類によっても相違するが、一般的に言って15:8
5乃至80:20、特に30:70乃至60:40の重量比で用いるのが
よい。稀釈剤の量が上記範囲よりも低い場合には、溶融
粘度が高くなり過ぎ、溶融混練や溶融成形が困難となる
と共に、成形物の肌荒れが著しく、延伸切れ等を生じ易
い。一方、稀釈剤の量が上記範囲よりも多いと、やはり
溶融混練が困難となり、また成形品の延伸性が劣るよう
になる。
溶融混練は一般的に150乃至300℃、特に170乃至270℃
の温度で行なうのが望ましく、上記範囲よりも低い温度
では、溶融粘度が高すぎて、溶融成形が困難となり、ま
た上記範囲よりも高い場合には、熱減成により超高分子
量エチレン共重合体の分子量が低下して高弾性率及び高
強度の成形体を得ることが困難となる。尚、配合はヘン
シェルミキサー、V型ブレンダー等による乾式ブレンド
で行ってもよいし、或いは単軸或いは多軸押出機を用い
る溶融混合で行ってもよい。
溶融成形は、一般に溶融押出成形により行われる。例
えば、紡糸口金を通じて溶融押出しすることにより、延
伸用フィラメントが得られ、またフラットダイ或いはリ
ングダイを通じて押出すことにより、延伸用フィルム或
いはシート或いはテープが得られ、更にサーキュラーダ
イを通じて押出すことにより、延伸ブロー成形用パイプ
(パリソン)が得られる。本発明は特に、延伸フィラメ
ントの製造に有用であり、この場合、紡糸口金より押出
された溶融物にドラフト、即ち溶融状態での引き伸しを
加えることもできる。溶融樹脂のダイ・オリフィス内で
の押出速度V0と冷却固化した未延伸物の巻き取り速度V
との比をドラフト比として次式に定義することができ
る。
ドラフト比=V/V0 ……(2) かかるドラフト比は混合物の温度及び超高分子量エチ
レン共重合体の分子量等によるが通常は3以上、好まし
くは6以上とすることができる。
勿論、溶融成形は押出成形のみに限定されず、各種延
伸成形容器等の製造の場合には、射出成形で延伸ブロー
成形用のプリフォームを製造することも可能である。成
形物の冷却固化は風冷、水冷等の強制手段で行うことが
できる。
かくして得られる超高分子量エチレン共重合体の未延
伸成形体を延伸処理する。延伸処理の程度は、勿論、成
形体の超高分子量エチレン共重合体に少なくとも一軸方
向の分子配向が有効に付与されるようなものである。
超高分子量エチレン共重合体の成形体の延伸は、一般
に40乃至160℃、特に80乃至145℃の温度で行うのが望ま
しい。未延伸成形体を上記温度に加熱保持するための熱
媒体としては、空気、水蒸気、液体媒体の何れをも用い
ることができる。しかしながら、熱媒体として前述した
稀釈剤を溶出除去することができる溶媒で、しかもその
沸点が成形体組成物の融点よりも高いもの、具体的には
デカリン、デカン、灯油等を使用して、延伸操作を行う
と、前述した稀釈剤の除去が可能となると共に、延伸時
の延伸むらの解消並びに高延伸率の達成が可能となるの
で好ましい。
勿論、超高分子量エチレン共重合体から過剰の稀釈剤
を除去する手段は、前記方法に限らず、未延伸成形体を
ヘキサン、ヘプタン、熱エタノール、クロロホルム、ベ
ンゼン等の溶剤で処理後延伸する方法、延伸成形体をヘ
キサン、ヘプタン、熱エタノール、クロロホルム、ベン
ゼン等の溶剤で処理する方法によっても、成形物中の過
剰の稀釈剤の除去を有効に行ない、高弾性率、高強度の
延伸成形体を得ることができる。
延伸操作は、一段或いは二段以上の多段で行うことが
できる。延伸倍率は、所望とるする分子配向及びこれに
伴なう融解温度向上の効果にも依存するが、一般に5乃
至80、特に10乃至50倍の延伸倍率となるように延伸操作
を行えば満足すべき結果が得られる。
一般には、二段以上の多段延伸が有利であり、一段目
では80乃至120℃の比較的低い温度で押出成形体中の稀
釈剤を押出しながら延伸操作を行ない、二段目以降で
は、120乃至160℃の温度でしかも一段目延伸温度よりも
高い温度で成形体の延伸操作を続行するのがよい。
フィラメント、テープ或いは一軸延伸等の一軸延伸操
作の場合には、周速の異なるローラ間で引張延伸を行え
ばよく、また二軸延伸フィルムの場合には、周速の異な
るローラ間で縦方向に引張延伸を行なうと共に、テンタ
ー等により横方向にも引張延伸を行う。また、インフレ
ーション法による二軸延伸も可能である。更に、容器等
の立体成形物の場合には、横方向への引張り延伸と周方
向への膨張延伸との組合せにより二軸延伸成形体を得る
ことができる。
延伸成形体 本発明の延伸成形体は、前述した化学的組成及び分子
量を有する超高分子量エチレン・α−オレフィン共重合
体から形成されるが、この成形体は繊維軸方向に顕著に
分子配向されている。
成形体における分子配向の程度は、X線回折法、複屈
折法、蛍光偏光法等で知ることができる。本発明の超高
分子量エチレン共重合体の延伸フィラメントの場合、例
えば呉祐吉、久保輝一郎:工業化学雑誌第39巻、922頁
(1939)に詳しく述べられているX線回折半価巾による
配向度、即ち式 式中、H゜は赤道線上最強のパラトロープ面のデバイ
環に沿って強度分布曲線の半価幅(゜)である。
で定義される配向度(F)が0.93以上、特に好適には0.
95以上の範囲にあるという特徴を有している。
本発明による延伸成形体は、このような高度の分子配
向を有しながら、しかも従来の高分子配向繊維に比べて
予想外に高い破断エネルギー、即ち80J/g以上、好適に
は100J/g以上、最も好適には120J/g以上の破断エネルギ
ーを有する。
超高分子量エチレン・α−オレフィン共重合体の延伸
物の破断エネルギーは先述の様に引張試験を行なう際に
荷重を変位で積分することによって求めることができ
る。さらに詳しくは、引張試験(23℃、100%歪/分)
を行なう際、記録紙上に応力、歪曲線を描き、これと破
断点から歪軸に垂した垂線と、そして歪軸とによって囲
まれた部分の面積を求めることによって算出することが
出来る。
第1図は本発明による超高分子量エチレン・α−オレ
フィン共重合体の延伸フィラメントの応力−歪曲線であ
り、第2図は超高分子量ポリエチレンの延伸フィラメン
トの応力−歪曲線であり、これらの破断点迄の積分値が
破断エネルギーに相当する。これらの結果から本発明の
延伸成形体における破断エネルギーの改良が顕著且つ予
想外のものであることが了解されよう。
尚、本発明の延伸成形体は高い破断エネルギーに対応
して、高い引張強度と大きい破断点伸度との組合せを有
することは当然であり、前述した破断エネルギーに対応
する引張強度、破断点伸度は2.0GPa以上、6%以上、好
ましくは2.2GPa以上、9%以上、最も好適には2.4GPa以
上、15%以上である。
本発明による超高分子量エチレン・α−オレフィン共
重合体の分子配向成形体は、該共重合体本来の結晶融解
温度(Tm)よりも少なくとも20℃高い温度に少なくとも
1個の結晶融解ピーク(Tp)を有し、しかも全融解熱量
当りのこの結晶融解ピーク(Tp)に基づく融解熱量が15
%以上、好ましくは20%以上、特に30%以上であること
が耐熱性の点で好ましい。
超高分子量エチレン共重合体本来の結晶融解温度(T
m)は、この成形体を一度完全に融解した後冷却して、
成形体における分子配向を緩和させた後、再度昇温させ
る方法、所謂示差走査型熱量計におけるセカンド・ラン
で求めることができる。
更に説明すると、本発明の分子配向成形体では、前述
した共重合体本来の結晶融解温度域には結晶融解ピーク
は全く存在しないか、存在するとしても極くわずかにテ
ーリングとして存在するにすぎない。結晶融解ピーク
(Tp)は一般に、温度範囲Tm+20℃〜Tm+50℃、特にTm
+20℃〜Tm+100℃の領域に表わされるのが普通であ
り、このピーク(Tp)は上記温度範囲内に単一又は複数
のピークとして表われることが多い。
これらの高い結晶融解ピーク(Tp)は、超高分子量エ
チレン・α−オレフィン共重合体の成形体の耐熱性を顕
著に向上させ、かつ高温の熱履歴後での強度保持率や弾
性率保持率に寄与するものであると思われる。
本発明における融点及び結晶融解熱量は以下の方法に
より測定した。
融点は示差走査熱量計で以下の様に行なった。示差走
査熱量計はDSC II型(パーキンエルマー社製)を用い
た。試料は約3mgを4mm×4mm、厚さ0.2mmのアルミ板に巻
きつけることにより配向方向に拘束した。次いでアルミ
板に巻きつけた試料をアルミバンの中に封入し、測定用
試料とした。又、リファレンスホルダーにいれる通常空
のアルミバンには、試料に用いたと同じアルミ板を封入
し熱バランスを取った。まず試料を30℃で約1分間保持
し、その後10℃/minの昇温速度で250℃まで昇温し、第
1回目昇温時の融点測定を完了した。引き続き250℃の
状態で10分間保持し、次いで20℃/minの降温速度で降温
し、さらに30℃で10分間試料を保持した。次いで二回目
の昇温を10℃/minの昇温速度で250℃まで昇温し、この
際2回目昇温時(セカンドラン)の融点測定を完了し
た。このとき融解ピークの最大値をもって融点とした。
ショルダーとして表われる場合は、ショルダーのすぐ低
温側の変曲点とすぐ高温側の変曲点で接線を引き交点を
融点とした。
また吸熱曲線の60℃と244℃との点を結び該直線(ベ
ースライン)と二回目昇温時の主融解ピークとして求め
られる超高分子量エチレン共重合体本来の結晶融解温度
(Tm)より20℃高い点に垂線を引き、これらによって囲
まれた低温側の部分を超高分子量エチレン共重合体本来
の結晶融解(Tm)に基づくものとし、又高温側の部分を
本発明成形体の機能を発現する結晶融解(Tp)に基づく
ものとし、それぞれの結晶融解熱量は、これらの面積よ
り算出した。又、Tp1およびTp2の融解に基づく融解熱量
も上述の方法に従い、Tm+20℃からの垂線とTm+35℃か
らの垂線に囲まれた部分をTp2の融解に基づく融解熱量
のものとし、高温側部分をTp1の融解に基づく融解熱量
のものとして同様に算出した。
かくして得られる延伸物は、所望により、拘束条件
下、もしくは若干の収縮条件下に熱処理することができ
る。この処理は、一般に100℃乃至140℃、特に120℃乃
至140℃の温度で1乃至15分間、特に3乃至10分間行う
ことができる。熱処理により、配向結晶部の結晶化が一
段と進行し、結晶融解温度の高温側移行に伴なう耐熱性
の向上、強度と弾性率の向上が期待できる。
(発明の効果) 本発明の超高分子量エチレン・α−オレフィン共重合
体の延伸物は、破断エネルギー値と強度との組合せに優
れている。かくして、この特性を利用して、本発明の延
伸物は、高強度マルチフィラメント、ひも、ロープ、不
織布、織布、等の産業用紡織材料の他に、梱包用テープ
等の包装材料として有用である。特に高破断エネルギー
特性を生かして、衝撃的な力の作用する各種浮子綱、養
殖用ロープ、もやい綱、錨綱、等の漁業用ロープ、ホー
サー、タグロープ、作業用標識ロープ、ヨット用ロー
プ、係船用ロープ等の船舶用ロープ、農作業用ロープ、
作業用標識ロープ、トラック用荷掛綱、シート縁綱、テ
ント縁用ロープ、テント固定用固定索等の陸上用ロー
プ、水上スキー用ロープ、パラグライダー用ロープ等海
上レジャー用ロープ、海底石油掘削リグ固定ロープ及び
同ロープペンダントロープ、海底マンガン団塊掘削用ロ
ープ、熱水鉱床掘削用ロープ、釣橋架設用リーディング
ロープ等の海用ロープまたはこれらを編網してなる地引
き網、トロール用網、巻き網、建網、差し網、投網等漁
業用網、安全ネット、防護ネット、等保護網、あるいは
織成してなる安全ベルト、帆布、防弾用布、などの用途
に好適であることは明らかである。
(実施例) 以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する
が、本発明の要旨を越えない限り、それらの実施例に何
ら制約されるものではない。
実施例1 (超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体の重合) チーグラー系触媒を用い、n−デカン1を重合溶媒
として超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体のスラ
リー重合を行った。エチレンとブテン−1との組成がモ
ル比で97.0:3.00の比率の混合モノマーガスを重合容器
の圧力が5kg/cm2を保つ用に重合容器へ連続的に供給し
た。重合に先立ち、分子量調整のための水素30mlを重合
容器に一括添加した。重合は70℃の反応温度で約2時間
で終了した。得られた超高分子量エチレン・ブテン−1
共重合体粉末の収量は135gで極限粘度(デカリン:135
℃)は、11.2dl/g、赤外分光光度計によるブテン−1含
量は1.23モル%であった。
(超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体延伸物の調
整) 上述の重合により得られた超高分子量エチレン・ブテ
ン−1共重合体粉末25重量部とパラフィンワックス(融
点=96℃、分子量=490)75重量部との混合物を次の条
件で溶融紡糸した。該混合物100重量部にプロセス安定
剤として3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトル
エンを0.1重量部配合した。次いで、該混合物をスクリ
ュー式押出機(スクリュー径:2.5mm、L/D=25、サーモ
プラスチックス社製)を用いて、設定温度190℃で溶融
混練を行った。引き続き、該混合物を押出機に付属する
オリフィス径2mmの紡糸ダイより溶融防止した。押出溶
融物は180cmのエアーギャップで40倍のドラフト比で引
き取られ、空気中にて冷却、固化し、未延伸繊維を得
た。さらに該未延伸繊維を次の条件で延伸した。
三台のゴデットロールを用いて二段延伸を行った。こ
のとき第一延伸槽の熱媒はn−デカンであり、温度は11
0℃、第二延伸槽の熱媒はトリエチレングリコールであ
り、温度は145℃であった。槽の有効長はそれぞれ50cm
であった。延伸に際しては第一ゴデットロールの回転速
度を0.5m/minとして第三ゴデットロールの回転速度を変
更することにより、所望の延伸比の延伸繊維を得た。第
三ゴデットロールの回転速度は安定延伸可能な範囲で適
宜選択した。初期に混合された、パラフィンワックスは
ほぼ全量が延伸時n−デカン中に抽出された。このあと
延伸繊維は水洗し、減圧下室温にて一昼夜乾燥し、諸物
性の測定に供した。なお延伸比は第一ゴデットロールと
第三ゴデットロールとの回転速度比から計算で求めた。
(引張特性および破断エネルギーの測定) 引張速度及び破断エネルギーは、インストロン万能試
験機モデル−1122型(インストロン社製)を用い室温
(23℃)にて測定した。このときクランプ長は250mmで
引張速度は250mm/min(100%/分歪速度)であった。計
算に必要な繊維断面積は密度を0.960g/ccとして重量か
ら計算で求めた。破断エネルギーは前述の様に歪−応力
曲線の断面積から試料の破断エネルギーを求め、これを
クランプ間の試料重量で除することにより、正規化し
た。表1に得られた延伸試料の引張特性を示す。
なお、得られた繊維の繊度は単糸9.2デニールであ
り、引張試験は該単糸を100本束ねたマルチファイバー
を用いて測定を行なった。このときの応力−歪曲線を第
1図に示した。またX線回折による繊維配向度は0.955
であった。
超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体配向延伸物
(試料−1)の本来の結晶融解ピークは126.0℃、全結
晶融解ピーク面積に対するTpの割合は45.3%であった。
比較例1 (超高分子量エチレン単重合体延伸成形体の調製) 超高分子量エチレン単重合体(極限粘度:〔η〕=1
1.8dl/g)粉末25重量部とパラフィンワックス(融点=6
9℃、分子量=490)75重量部との混合物を実施例1の
(超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体延伸成形体
の調製)の項に記載の方法で紡糸延伸し延伸成形体を得
た。表2に得られた延伸成形体の引張特性を示す。
なお、得られた繊維の繊度は単糸で8.0デニールであ
り、引張試験は該単糸を100本束ねたマルチファイバー
を用いて測定を行なった。このときの応力−歪曲線を第
2図に示した。またX線回折による繊維配向度は0.975
であった。
超高分子量エチレン単重合体配向延伸物(試料−2)
の本来の結晶融解ピークは135.5℃、全結晶融解ピーク
面積に対するTpの割合は13.7%であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による超高分子量エチレン・α−オレフ
ィン共重合体の延伸フィラメントの応力−歪曲線であ
り、第2図は超高分子量ポリエチレンの延伸フィラメン
トの応力−歪曲線である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】極限粘度[η]が少なくとも5dl/gで、炭
    素数が4以上のα−オレフィンの含有量が0.2乃至5モ
    ル%である超高分子量エチレン・α−オレフィン共重合
    体の延伸成形体であって、該延伸成形体は、X線回折半
    価巾による配向度として求め0.93以上の配向度と、応力
    −歪曲線からその破断点迄の積分値として求めて80ジュ
    ール/g以上の破断エネルギーを有し、かつ、2.0GPa以上
    の引張強度と6%以上の破断点伸度を有する延伸成形
    体。
  2. 【請求項2】該成形体は拘束状態で示差走査熱量計で測
    定したとき、少なくとも2個の結晶融解吸熱ピークを有
    すると共に、二回目昇温時の主融解吸熱ピークとして求
    められる超高分子量エチレン・α−オレフィン共重合体
    本来の結晶融解温度(Tm)よりも少なくとも20℃高い温
    度に少なくとも1個の結晶融解吸熱ピーク(Tp)を有
    し、且つ全融解熱量当りのこの結晶融解吸熱ピーク(T
    p)に基づく熱量が15%以上である請求項1記載の延伸
    成形体。
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