JPH089763B2 - TiB▲下2▼皮膜形成方法及びTiB▲下2▼皮膜 - Google Patents

TiB▲下2▼皮膜形成方法及びTiB▲下2▼皮膜

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JPH089763B2
JPH089763B2 JP2298657A JP29865790A JPH089763B2 JP H089763 B2 JPH089763 B2 JP H089763B2 JP 2298657 A JP2298657 A JP 2298657A JP 29865790 A JP29865790 A JP 29865790A JP H089763 B2 JPH089763 B2 JP H089763B2
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tib
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coating
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文和 伊ヶ崎
国男 神谷
周一郎 加藤
昭一 金気
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工業技術院長
株式会社日本アルミ
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、基体表面にプラズマ溶射によりTiB2皮膜を
形成する方法、及び形成されたTiB2皮膜に関するもので
ある。
(従来技術及びその問題点) 金属ホウ化物の一種であるTiB2は、高融点で電気伝導
性を有し、硬く、耐酸化性に優れている。そのため、耐
摩耗性材料、電極材料、耐食材料、耐熱材料等として利
用しようとする要望が強かった。
しかし、TiB2は焼結では緻密な成型体が得られにく
く、材料としては充分に利用されていなかった。
(発明の目的) 本発明は、特に高い硬度を生かした耐摩耗性材料等と
して利用できるTiB2皮膜を得ることのできるTiB2皮膜形
成方法、及び特に高い硬度を生かした耐摩耗性材料等と
して利用できるTiB2皮膜を提供することを目的とする。
(目的を達成するための手段) 本発明のTiB2皮膜形成方法は、Ti粉末及びB粉末を基
体表面にプラズマ溶射して基体表面にTiB2皮膜を形成す
る方法であって、Ti粉末をB粉末で被覆するよう混合
し、この混合粉を、大気中にて、溶射の際にTi粉末の全
てが完全には大気に晒されない条件で基体表面にプラズ
マ溶射するものであり、その条件を、溶射ノズル先端と
基体表面との間の距離で設定することを特徴とするもの
であり、例えば、溶射ノズル先端と基体表面との間の距
離は、溶射ノズル先端が大気に晒されている場合には10
0mmより小としたものである。また、本発明のTiB2皮膜
は、基体表面にプラズマ溶射により形成されたTiB2皮膜
であって、Ti単体、TiB2、及びTi酸化物という3種類の
成分のみを含有し、Ti単体を他の成分粒子間の結合剤と
して機能する量だけ含有していることを特徴とするもの
であり、例えば、Ti単体を5重量%以上含有しているも
のである。
第1図は本発明において用いるプラズマ溶射装置の一
例を示す概略図である。図において、11はプラズマを溶
射するプラズマガン、12はプラズマガン11にTi粉末及び
B粉末を供給する粉末供給装置、13は電源を備え、他の
装置を制御する制御装置、14はプラズマガン11にプラズ
マガスを供給するプラズマガス供給装置、15は冷却水循
環装置である。なお、16は基板である。
上記装置を用いた基板16表面へのTiB2皮膜の形成は、
次のように行なう。まず、基板16をプラズマガン11の溶
射ノズル先端11aから所定の距離(溶射距離)に設置す
る。なおこの溶射距離については後述する。次に、Ti粉
末及びB粉末を粉末供給装置2内に投入し、混合する。
この混合は、第2図に示す写真(倍率×1250)及びその
写真を模式的に示す第3図に示すように、ホソカワミク
ロン株式会社のメカノフュージョン処理によってTi粉末
1の凹凸のある表面1aにB粉末2を入り込ませ、更にTi
粉末1をB粉末2で被覆するように行なう。そして、プ
ラズマガス供給装置14からプラズマガスを供給してプラ
ズマガン11から基板16にプラズマを照射すると同時に、
上記のようにして得られた混合粉を粉末供給装置12から
プラズマ内に供給する。
(作用) プラズマ溶射される際、TiとBは自己発熱反応を起こ
してTiB2へと変化する。
ところで、プラズマには、Ti粉末1をB粉末2で被覆
してなる混合粉が供給されるが、溶射の際にB粉末2は
Ti粉末1表面から離れていき、Ti粉末1は大気に晒され
るようになる。大気に晒されたTiは、酸素により酸化さ
れてTi2O3やTi3O5のTi酸化物へと変化する。しかし、プ
ラズマガン11の溶射ノズル先端11aと基板16との間隔即
ち溶射距離は、Ti粉末1の全てが完全には大気に晒され
ない距離に設定されているので、酸化されないままのTi
も存在することとなる。この溶射距離は、例えば、溶射
ノズル先端11aが大気に晒されている場合には100mmより
小に設定する。
従って、TiB2、Ti酸化物、Ti単体が基板16に溶射され
ることとなり、基板16には、これら3種類の成分のみか
らなる皮膜であるTiB2皮膜が形成される。
こうして得られたTiB2皮膜では、Ti単体が5重量%以
上含有されており、Ti単体が他の成分粒子間の結合剤と
して機能している。また、Ti酸化物は、TiB2ほど硬くは
ないが、通常の硬質皮膜並の硬さは有しており、TiB2
膜に含まれていても硬さをあまり低下させることはな
い。従って、得られたTiB2皮膜は、緻密で硬度の高いも
のとなる。
(発明の効果) 以上のように、本発明のTiB2皮膜形成方法によれば、
緻密で硬度の高いTiB2皮膜を大気中であっても得ること
ができ、耐摩耗性材料等として利用できるTiB2皮膜を容
易に得て、TiB2の利用度を向上させることができる。
また、本発明のTiB2皮膜は、TiB2、Ti酸化物、Ti単体
という3種類の成分のみを含有しているため、緻密で硬
度が高く且つTiB2のみの皮膜よりも更に耐食性が向上し
ている。従って、高い硬度を生かした耐摩耗性材料及び
耐食性材料として利用することができる。
(実施例) 粒径38〜44μmのTi粉末1モルに対して平均粒径0.8
μmのB粉末を2モルの割合で用い、ホソカワミクロン
株式会社のメカノフュージョン処理装置によって両粉末
を第2図及び第3図に示す混合粉となるように混合し
た。なお、B粉末の使用割合はTi粉末1モルに対して1.
1〜2.0モルであればよく、2モルに限らない。この混合
粉を、第1図に示すプラズマ溶射装置により基板16表面
に溶射した。プラズマ溶射の条件としては、表1に示す
〜の4つの条件で行なった。
上記各条件において大きく異なるのは、溶射距離であ
る。溶射距離即ち溶射ノズル先端11aと基板16表面との
距離が100mmの場合では、溶射中にTi粉末1に被覆され
たB粉末2が略完全にTi粉末1表面から離れてしまう
が、60mmの場合では完全には離れてしまわない。即ち、
溶射距離が60mmの場合では、Ti粉末1の全ては完全には
大気に晒されないようになっている。
表2は上記条件ないしで得られた皮膜の膜厚を示
す。条件、では皮膜の基板に対する密着性が悪いた
め、薄い膜厚となっている。
第4図ないし第7図はそれぞれ上記条件ないしで
得られた皮膜の断面を示す光学顕微鏡写真(倍率×10
0)である。図中、下層は基板、上層はTiB2皮膜であ
る。条件、で得られたTiB2皮膜(第4図、第5図)
は緻密な構造をしているのに対し、条件、で得られ
たTiB2皮膜は粗い構造をしていることがわかる。表3は
上記条件ないしで得られたTiB2皮膜の硬度を示す。
ここでは、荷重100gで測定したマイクロビッカース硬度
を示している。
表3から明らかなように、条件、で得られたTiB2
皮膜は、耐摩耗性材料として用いるのに十分な硬度を有
しており、特に条件で得られたTiB2皮膜の硬度はきわ
めて高いものとなっている。これに対し、条件、で
得られたTiB2皮膜は、TiB2皮膜中の粒子間の密着性、基
板16に対する密着性が悪く、剥れ易く、使用に耐えない
ものである。
第8図ないし第11図はそれぞれ条件ないしで得ら
れたTiB2皮膜のX線回折図である。第8図に示すよう
に、条件で得られたTiB2皮膜は、TiB2、Ti2O3、Ti
3O5、Ti単体を成分として含有しており、第9図に示す
ように、条件で得られたTiB2皮膜は、TiB2、Ti3O5、T
i単体を成分として含有している。第8図及び第9図に
おいて、Ti単体を示すピークは明瞭に認識できる。第10
図に示すように、条件で得られたTiB2皮膜はTiB2、Ti
3O5を成分として含有しているが、Ti単体を示すピーク
は明瞭には認識できない。第11図に示すように、条件
で得られたTiB2皮膜は、TiB2、Ti2O3、Ti3O5を成分とし
て含有しているが、Ti単体を示すピークは明瞭には認識
できない。条件、と条件、とでそれぞれ得られ
たTiB2皮膜は、Ti単体をX線回折結果においてピークと
して明瞭に認識できる量だけ含有しているか否かの点で
大きく異なっている。一般にX線回折結果においてピー
クとして明瞭に認識できる量は5重量%以上であること
が知られている。従って、条件、で得られたTiB2
膜が緻密な構造を有していることには、5重量%以上含
有されているTi単体が関与しているとみられ、Ti単体は
TiB2皮膜中の他の成分粒子間の結合剤として機能してい
ると考えられる。
第12図は条件で得られ樹脂に埋め込まれた皮膜の断
面を示す2次電子像の写真(倍率×200)である。図
中、下層は基板、中層はTiB2皮膜、上層は樹脂である。
第13図及び第14図は第12図に示す断面のX線マイクロア
ナライザによる分析図(倍率×200)であり、第13図は
Bの分布を、第14図はTiの分布を示す。これから、Ti、
B共に均一に分布していることがわかる。
以上のように、溶射距離を溶射の際にTi粉末1の全て
が完全には大気に晒されない距離とした条件、によ
れば、非常に高い硬度を有した緻密な構造のTiB2皮膜を
得ることができる。
また、こうして得られたTiB2皮膜は、TiB2、Ti酸化
物、Ti単体を成分として含有しており、Ti単体は5重量
%以上含有されており、Ti単体は他の成分粒子間の結合
剤として機能し、Ti酸化物は皮膜の硬度をあまり低下さ
せることなしに耐食性を向上させていると考られ、緻密
で硬度が高く耐食性も良好なものであるので、特に高い
硬度を生かした耐摩耗性材料及び耐食性材料として有効
に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のTiB2皮膜形成方法で用いるプラズマ溶
射装置の一例を示す概略図、第2図は粒子構造を示すた
めの図面に代わる写真であって、具体的にはTi粉末とB
粉末との混合状態を示す。第3図は第2図を模式的に示
した図、第4図ないし第7図はそれぞれ結晶の構造を示
すための図面に代わる写真であって、具体的にはそれぞ
れ条件ないしで得られたTiB2皮膜の断面を示す。第
8図ないし第11図はそれぞれ条件ないしで得られた
TiB2皮膜のX線回折図、第12図は結晶の構造を示すため
の図面に代わる写真であって、具体的には条件で得ら
れ樹脂に埋め込まれたTiB2皮膜の断面を示す。第13図及
び第14図は第12図に示す部分のX線マイクロアナライザ
による分析図であり、第13図はBの分布を、第14図はTi
の分布を示す。1……Ti粉末、2……B粉末、11a……
溶射ノズル先端、16……基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 周一郎 大阪府大阪市淀川区三国本町3丁目9番39 号 日本アルミニウム工業株式会社内 (72)発明者 金気 昭一 大阪府大阪市淀川区三国本町3丁目9番39 号 日本アルミニウム工業株式会社内 審査官 奥井 正樹 (56)参考文献 特開 平2−236266(JP,A) 特開 昭59−104446(JP,A) 特開 昭61−104077(JP,A) 特開 平3−230095(JP,A) 特開 平2−80547(JP,A) 特公 昭40−22363(JP,B1) 特公 昭60−31901(JP,B2) 特表 平2−504044(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ti粉末及びB粉末を基体表面にプラズマ溶
    射して基体表面にTiB2皮膜を形成する方法であって、Ti
    粉末をB粉末で被覆するよう混合し、この混合粉を、大
    気中にて、溶射の際にTi粉末の全てが完全には大気に晒
    されない条件で基体表面にプラズマ溶射するものであ
    り、その条件を、溶射ノズル先端と基体表面との間の距
    離で設定することを特徴とするTiB2皮膜形成方法。
  2. 【請求項2】溶射ノズル先端と基体表面との間の距離
    は、溶射ノズル先端が大気に晒されている場合には100m
    mより小である特許請求の範囲第1項記載のTiB2皮膜形
    成方法。
  3. 【請求項3】基体表面にプラズマ溶射により形成された
    TiB2皮膜であって、Ti単体、TiB2、及びTi酸化物という
    3種類の成分のみを含有し、Ti単体を5重量%以上含有
    していることを特徴とするTiB2皮膜。
JP2298657A 1990-11-02 1990-11-02 TiB▲下2▼皮膜形成方法及びTiB▲下2▼皮膜 Expired - Lifetime JPH089763B2 (ja)

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JPS6031901A (ja) * 1983-07-29 1985-02-18 松下電工株式会社 集成単板の製法
JPH02236266A (ja) * 1989-03-09 1990-09-19 Tocalo Co Ltd 溶融金属用部材およびその製造方法

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