JPH0880230A - 鉄道車両用回転式腰掛け - Google Patents

鉄道車両用回転式腰掛け

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JPH0880230A
JPH0880230A JP22041194A JP22041194A JPH0880230A JP H0880230 A JPH0880230 A JP H0880230A JP 22041194 A JP22041194 A JP 22041194A JP 22041194 A JP22041194 A JP 22041194A JP H0880230 A JPH0880230 A JP H0880230A
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footrest
stool
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leg
support portion
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Kazumasa Ishizu
一正 石津
Junichi Ito
順一 伊藤
Kiyoshi Okada
喜代志 岡田
Shigeru Kitayama
茂 北山
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KENMOCHIISAMU DESIGN KENKYUSHO
KENMOCHIISAMU DESIGN KENKYUSHO KK
Central Japan Railway Co
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KENMOCHIISAMU DESIGN KENKYUSHO
KENMOCHIISAMU DESIGN KENKYUSHO KK
Central Japan Railway Co
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安息効果が高く使い勝手の良いフットレスト
を自席に備える鉄道車両用の回転式腰掛けを提供する。 【構成】 腰掛け1の構造は、着座部13,脚台15,
背ずり17,肘掛け19の他、着座部13を支持する箱
状部材である台枠23,脚台15に対して台枠23を1
80°回転可能に支持する回転機構21とから成り、台
枠23内には、フットレスト11及びフットレスト移動
機構が配されている。フットレスト移動機構はサーボモ
ータ41にて駆動され、台枠23前部の開口からフット
レスト11の搬出・格納を行なう。フットレスト11は
足裏支持部11bと脚支持部11aとから成り、足裏支
持部11bを脚支持部11aに重合させたり直角に起こ
したりして、使用者の脚部を様々な状態に支持し安息さ
せることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄道車両の客車に設置
される鉄道車両用回転式腰掛けに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、客車の腰掛けは様々なタイプ
が用いられているが、車両の長手方向に垂直に配置され
る回転式腰掛けは、腰掛けを180°回転させることに
よって前後いずれかに配された腰掛けと向かい合せるこ
とができると共に、肘掛けに格納可能な簡易テーブルを
設けたり、背もたれの裏面に収納網やテーブルを設けた
りすることにより高機能な腰掛けとすることができる。
このような回転式腰掛けにおいて乗客が脚部、特に足の
裏を休めるためのフットレストが設けられた腰掛け6a
もよく知られている(図6参照)。こうしたフットレス
トは、前の腰掛け6bに設けられており、通常はフット
レスト61のように折り畳まれており、使用するときに
はフットレスト63のように揺動されて設置される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしこのようなフッ
トレストは、それを実際に使用する者の前の腰掛け6b
に設けられているため、その設置や折り畳みの際の振動
が前の席に座っている乗客に伝わり、不快感を与えると
いう課題がある。また、腰掛け6bを180°回転させ
て腰掛け6aと向かい合せにすると、フットレスト63
が腰掛け6bの裏側に隠れてしまい使用することができ
ない。
【0004】これを解決するために図7に示すような、
ふくらはぎを支えるレッグレスト71を自席に設けた腰
掛け7が新幹線のグリーン車に実施されたこともあっ
た。しかし、図からも判るようにこのレッグレスト71
は非常に薄いもので、弾力に乏しいという不満な点があ
った。
【0005】また、通常、レッグレスト71は着座部7
3の下に格納されているために、これを使用するために
は一旦席を立ち、レッグレスト71を引き出した後、腰
掛けるという繁雑な作業が必要となる。さもなければ、
腰掛けたまま脚を着座部73よりも高く上げ、レッグレ
スト71を引っ張り出すしかないが、いずれにしても使
い勝手の悪いものであり、当然のことながら格納すると
きも同様の操作が必要となる。
【0006】これは、回転式の腰掛けにレッグレスト若
しくはフットレストを設けようとすると、腰掛けの回転
機構と着座部73の間にある台枠75周辺に設け、使用
しないときには図7の71’のように格納する以外にな
く、しかも回転機構と着座部73の距離がかなり狭いこ
とに起因している。従い、現在ではこのレッグレスト7
1付きの腰掛け7は使用されておらず、図6のような前
の座席にフットレストを設けるタイプの腰掛けが用いら
れ、前の座席の乗客に不快感を与える等の上記問題が存
続している。
【0007】本発明は、こうした問題に鑑みなされたも
ので、自席にフットレスト(以下、レッグレストも含
む)を備えながらも、適度な弾力があって安息効果が高
く、しかも使い勝手のよい腰掛けを提供することを目的
としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた本発明の請求項1に記載の発明は、腰掛け
る者の臀部を支える着座部と、該着座部を支持する台枠
と、鉄道車両の床面に固定され当該腰掛け全体を支持す
る脚台と、台枠を脚台に対し回転可能に両者を接合する
回転機構とを備える鉄道車両用回転式腰掛けにおいて、
当該腰掛けに腰掛ける者の脚を支持するフットレストを
備え、上記台枠が、上記着座部を直接支持する台枠上部
と、該台枠上部の下方に配されて上記回転機構に直接支
持される台枠下部と、該台枠下部と上記台枠上部とに挟
持されて該両者間に、上記フットレストを格納するため
の空間である収納部を確保する枠壁とからなり、上記フ
ットレストを使用しないときには、該フットレストを上
記収納部に格納可能であることを特徴とする。
【0009】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の鉄道車両用回転式腰掛けにおいて、上記フットレスト
が上記収納部に格納された状態から、該フットレストが
使用可能に設置された状態までの、該フットレストの移
動を可逆的に行なうためのフットレスト移動機構と、該
フットレスト移動機構を駆動するための原動機と、を設
けたことを特徴とする。
【0010】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の鉄道車両用回転式腰掛けにおいて、上記原動機が電動
機であり、上記フットレスト移動機構が、上記フットレ
ストの後部両側面に一個ずつ設けられた一対のカムフォ
ロワと、該一対のカムフォロワを前後に移動可能に規制
し、該移動の範囲の後端から略中程までは水平に、略中
程から前方に移動するに連れて該一対のカムフォロワを
上方へ移動させる略「へ」の字型をした一対の溝カム
と、前端を上記フットレストの前後方向の略中央に揺動
可能に接合されたスライドレールと、該スライドレール
を、上記電動機を動力源として水平前後方向に滑動させ
るリンク機構とからなることを特徴とする。
【0011】請求項4に記載の発明は、請求項1から請
求項3にいずれか記載の鉄道車両用回転式腰掛けにおい
て、上記フットレストが、略矩形形状をした板状部材で
あって、腰掛ける者のふくらはぎを支持可能な脚支持部
と、該脚支持部の前部上面に重合された状態から、該脚
支持部とのなす角が略直角となる位置まで、揺動可能に
該脚支持部の先端部に接合された板状部材であって、上
記重合された状態においては上記脚支持部と共に腰掛け
る者のふくらはぎを支え、上記脚支持部とのなす角が略
直角となる状態においては腰掛ける者の足の裏を支える
足裏支持部とを備えることを特徴とする。
【0012】
【作用及び発明の効果】このように構成された本発明の
請求項1に記載の鉄道車両用回転式腰掛け(以下、単に
腰掛けという)及び該腰掛けに備えられたフットレスト
を使用する際には、自席の着座部の下方にある台枠上
部,台枠下部,枠壁により形成された収納部に格納され
ているフットレストを取り出して設置する。使用を中止
するときには、フットレストを収納部に格納する。
【0013】この腰掛けによれば、フットレストが自席
の収納部に格納されているため、フットレストの出し入
れによって前の腰掛けに座っている人に不快感を与える
ことがないだけでなく、収納部に収まる範囲でフットレ
ストを厚くすることができるため、フットレストの意匠
の自由度が増え、例えば、脚部が当接する面に柔らかい
マットレスを用いたり、人間工学的に疲労の少ない形状
にしたりすることにより、安息効果の高いフットレスト
を設けることができる。更にこのフットレストにヒータ
ー、マッサージ機等を内蔵させ、快適性を高めることも
同じ理由により容易になる。また、前方の腰掛けを18
0°回転させて当該腰掛けと対向させても、フットレス
トを使用することができる。当然のことながら、フット
レストを収納部に格納すれば、フットレストのない腰掛
けとして使用することができる。
【0014】請求項2に記載の腰掛け及び該腰掛けに備
えられたフットレストを使用する際には、原動機を作動
させて、フットレスト移動機構を駆動し、収納部からフ
ットレストを搬出し、使用可能状態に設置させる。使用
を中止するときには、原動機によってフットレスト移動
機構を駆動しフットレストを収納部に退避させる。
【0015】この腰掛けによれば、請求項1に記載の腰
掛けの効果に加え、フットレストの移動を原動機の動力
にて行なうため、身体障害者・子供・老人でも該操作を
容易に行なうことができる。従い、たとえ、上記のよう
にフットレストにヒータやマッサージ機構を内蔵させて
重量が増加しても、使い勝手が悪くなることがない。
【0016】請求項3に記載の腰掛けに備えられたフッ
トレストは使用されないときには、水平に近い姿勢で収
納部に格納されている。このフットレストを使用する際
には、電動機を動作させてリンク機構を介してスライド
レールを前方へと移動させ、該スライドレールに接続さ
れたフットレストも前方へと水平移動される。このと
き、フットレストの後部両側面に設けられた一対のカム
フォロワは、「へ」の字型の一対の溝カムの水平部分に
係合しているため、フットレストは略水平姿勢を保った
まま、前方へ平行移動する。スライドレールがその移動
範囲の略中程まで移動されると、上記カムフォロワが上
記溝カムの屈曲部に掛かり、更にスライドレールが前方
へと水平移動されるに伴いカムフォロワが溝カムに沿っ
て上昇し、フットレストは徐々に俯角を大きくしながら
前方へと移動し、遂にはふくらはぎを載せるのに適した
角度及び高さに設置される。また、格納時にはこれとま
ったく逆方向に各部が連動することによりフットレスト
が収納部に退避する。
【0017】この腰掛けによれば、請求項2に記載の腰
掛けの効果に加え、使用時にはフットレストが収納部か
ら搬出され、自動的に脚部を支えるのに適した角度に設
置させることができる。フットレストの格納時にはフッ
トレストを略水平にして収納部に収めるために、収納部
の空間を有効に利用可能であり、より安息効果の高いフ
ットレストにすることができる。更に、原動機が電気で
駆動されるため、鉄道車両で用いられている電源等から
給電を受けて稼働させることができ、新たにエネルギー
源を確保する必要がない。
【0018】請求項4に記載の腰掛けに備えられたフッ
トレストを使用する際には、まず、収納部からフットレ
ストを搬出させる。そして足裏支持部を脚支持部に重ね
た状態か若しくは足裏支持部を脚支持部に対して直角に
起こした状態にする。このフットレストを有する腰掛け
によれば、請求項1〜3にいずれか記載の腰掛けによる
効果に加え、足裏支持部を脚支持部に重ねた状態では該
両支持部によりふくらはぎを支持しつつ足の裏を宙に浮
かせることができ、足裏支持部を脚支持部に対して直角
に起こした状態では脚支持部にてふくらはぎを支持し、
足裏支持部にて足の裏を支えることができる。このた
め、使用者の疲労箇所、好みに合せた部分を安息させる
ことができる。また、足裏支持部を脚支持部に重ねた状
態で収納部に格納するように構成すれば、たとえ収納部
が小さくても以上のような利用方法のあるフットレスト
を格納することができる。
【0019】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面と共に説明す
る。まず、図1は本発明を適用した2人用の腰掛け1を
実施例として示したものであり、図1(a)は該腰掛け
1の側面図、図1(b)は正面図である。図1(b)に
向かって左側の腰掛けのフットレスト11は使用可能に
設置されている。一方、右側の腰掛けのフットレストは
格納されている。
【0020】腰掛け1の構造は、腰掛けとしての周知の
構成である着座部13,脚台15,背ずり17,肘掛け
19の他、脚台15に対してこれより上方に位置する部
分全体を180°回転可能に支持する回転機構21,そ
の回転機構21と着座部13との間に介在して着座部1
3を支持する台枠23とから成っている。背ずり17は
図示しないリクライニング機構により、着座部13に対
する角度が調整できるようにされている。また、台枠2
3内には、フットレスト移動機構及びその原動機として
のサーボモータが配されている。
【0021】台枠23は、直接回転機構21に支持され
る台枠下部23a,直接着座部13を支持する台枠上部
23b,その台枠上部23bと台枠下部23aとに挟持
された左右一対の枠壁23cという三種類の板状の部材
が組み合わされてなる箱状の部材であり、前方が箱の空
き口のようにされ、ここからフットレスト11の搬出・
格納が行なわれる。
【0022】図3はこのフットレスト11の構成を示し
たものであり、図3(a)は脚を載せる面を正面から見
た図であり、フットレスト11を台枠23の収納部から
出した状態を示す側面図である図3(b)のB矢視図に
なっている。図3(a)に示すようにフットレスト11
は、枠27にて規定される略矩形形状をなす板状部材で
ある脚支持部11aと、この先端部にヒンジ25にて接
合された板状部材である足裏支持部11bとからなる。
足裏支持部11bの脚支持部11aと重合される面には
硬質樹脂製の板が貼付してあり、反対側の面11b2に
はナイロン生地にて覆われ、内部に詰められたウレタン
フォームにより適度な弾性を有するようにされている。
【0023】一方、脚支持部11aは、足裏支持部11
bと同様に足裏支持部11bと重合される部分11a1
は硬質樹脂の板が貼付してあり、その他の部分は面11
b2と同様にナイロン生地とされ、適度な弾性を有する
ようにされている。また、ヒンジ25が接合されている
位置の両側方には鉤部29が設けられており、足裏支持
部11bが図3(b)の状態から反時計回りに回動され
ると、鉤部29が足裏支持部11bの面11b1に当接
するように構成されている。
【0024】なお、フットレスト11には足裏支持部1
1bが脚支持部11aに重合されていることを検知する
ための図示しないリミットスイッチが設けられており、
これがオフ、つまり足裏支持部11bが脚支持部11a
に重合されていない状態ではインタロックが掛かって、
当該フットレスト11を移動させる動力源である後述の
サーボモータが作動しないようにされている。
【0025】上記構成からなるフットレスト11を、台
枠23の内部から使用可能な位置までの間を移動させる
ものがフットレスト移動機構である。これは、フットレ
スト11の略中程を水平前後方向に移動させる第1の移
動機構と、フットレスト11の後部を第1の移動機構に
よる移動に伴って所定の軌道に沿って移動させる第2の
移動機構とに分けられる。
【0026】第1の移動機構の構成を図4に示す。図4
(a)は、フットレスト11を台枠23内に格納したと
き、図4(b)は、フットレスト11を使用可能に設置
したときの第1の移動機構の各状態及びその関連部分を
示す平面図であり、図中の左方が腰掛け1の前方にな
る。これらの図中、第1の移動機構に属するものは、一
対のスライドレール31,鞘32,リンク機構33,ギ
ヤボックス34である。
【0027】図4(a)に示すように、一対のスライド
レール31の末端は、一対の鞘32に覆われており、こ
の鞘32によってスライドレール31は水平姿勢に規制
される。一方、先端は枠27(図3(a)参照)の前後
方向の中程に内側から揺動可能に接合されている。ま
た、一対のスライドレール31は、その間を渡すように
固定された支持板45,第1のリンク33a,第2のリ
ンク33b,及びギヤボックス34を介して、当該移動
機構の原動機としてのサーボモータ41に接続されてい
る。
【0028】このサーボモータ41が稼働し、その軸出
力がギヤボックス34によって減速され、軸の方向が変
えられて第2のリンク33bが反時計回りに回動される
と、これに第1のリンク33aが連動し、スライドレー
ル31が図4(b)のように前方に平行移動するように
構成されている。なお、スライドレール31の移動はギ
ヤボックス34における減速で、十分安全な速度、例え
ば毎秒10cm程のゆっくりとした速度で行なわれる。
また、一対の鞘32の対向面には、スライドレール31
が後退して図4(a)の状態にされたときに、支持板4
5が入りこむための溝が設けられている。
【0029】なお、スライドレール31は、図示しない
ロック機構により、図4(a)若しくは図4(b)の状
態に保持可能な構成とされている。このロック機構はス
ライドレールが移動されて図4(a)乃至図4(b)の
状態になると自動的に掛かり、肘掛け19に設けられた
サーボモータ41に動作指令を出すためのスイッチ49
(図1(b)参照)が操作されるとロックが解けるよう
に構成されている。
【0030】また、サーボモータ41は、スイッチ49
が操作されると図示しないサーボコントローラを介し
て、指定を受けた方向に所定数だけ出力軸を回転するよ
うにされており、これによりスライドレール31を図4
(a),図4(b)のいずれかの状態に随意に設定可能
にされている。このサーボモータ41はギヤボックス3
4及び一対の鞘32と共に台枠下部23aに固定されて
いる。
【0031】次に、第2の移動機構の構成を図5に示
す。図5(a)は、フットレスト11を台枠23内に格
納したとき、図5(b)は、フットレスト11を使用可
能に設置したときの第2の移動機構の各状態を図1
(b)のA矢視図で表したものである。これらの図に示
すように、第2の移動機構は、フットレスト11の枠2
7の後部両側面に突部35と共に設けられた一対のカム
フォロワ37とカムフォロワ37を前後移動可能に支持
する一対の溝カム39とからなる。
【0032】一対の溝カム39の形状は、図5(a)に
示すように、溝の後端部から中程よりやや前方に掛けて
は水平にされ、そこから斜め上方へ伸びる略「へ」の字
型を呈している。この溝カム39aと対をなす溝カム
は、溝カム39aと対向するような対称形状にされてい
る。
【0033】この溝カム39の従節としての一対のカム
フォロワ37は、回転軸が腰掛けの幅方向に平行な円柱
部を備えたもので、突部35に脚支持部11aの全幅よ
りも張り出して設けられ、夫々対応する溝カム39の溝
側面に円柱部がころがり接触するように配される。な
お、溝カム39aと係合しているのはカムフォロワ39
に隠れて図示されていないカムフォロワであり、図中の
カムフォロワ37は溝カム39aと対向する溝カムに係
合している。
【0034】以上の構成からなる腰掛け1において、フ
ットレスト11を使用する際にはまずスイッチ49を操
作する。なお、フットレスト11は図5(a)のように
台枠23内に格納された状態、つまり、リンク機構33
やスライドレール31は図4(a)のような状態にされ
ているとする。
【0035】スイッチ49が操作されると、上記ロック
機構が解除され、サーボモータ41が始動し、ギヤボッ
クス34を介して第2のリンク33bが図4(a)にお
いて反時計回りに回動される。すると、これに連動する
第1のリンク33aが、支持板45をスライドレール3
1と共に前方(図中の左方)へ水平に押し出す。脚支持
部11aは、その中程にスライドレール31の先端が接
合され、その後部に突部35を介して配されているカム
フォロワ37が溝カム39によって水平方向に移動可能
にされているため、スライドレール31が前方に移動す
ると、脚支持部11aは図2に示す姿勢を保ったまま足
裏支持部11bと共に前方へと移動される。なお、この
移動は、毎秒10cm程のゆっくりとした速度で行なわ
れる。
【0036】このまま、サーボモータ41が作動を続け
ると、カムフォロワ37の円柱部が溝カム39の溝側面
を転動して、数秒後に溝カム39の屈曲部に達する。屈
曲部を通過したカムフォロワ37は溝カム39の形状に
よってその挙動を変え、前方へ移動されるに伴い上昇さ
れていく。この上昇によりフットレスト11の後部が徐
々に上がる一方で、その中程はスライドレール31を介
して鞘32により水平移動が維持されるため、フットレ
スト11はその傾斜角度を大きくしていき、遂にはカム
フォロワ37が溝カム39の前端に達して図5(b)に
示すような姿勢にされる。このとき、サーボモータ41
の始動前に解除されたロック機構が再び作動し、図5
(b)の状態にフットレスト11が固定され、設置が完
了する。この直後にサーボモータ41は作動を停止する
が、上記の如くこのロックは次にスイッチ49が操作さ
れるまで解除されることがなく、サーボモータ41が停
止されてもこの状態を維持する。
【0037】以上のようにして設置が完了したフットレ
スト11は図3(b)の仮想線で示すように使用する。
すなわち、ふくらはぎを面11b2のナイロン地の面に
載せて、足の裏を宙に浮かせるようにする。若しくは、
足裏支持部11bを回動させ、図1(a)に示すような
状態にし、面11b2の反対側の硬質樹脂が貼付されて
いる面に足の裏を載せても良い。足裏支持部11bを回
動させると、面11b1が鉤部29に当接し、たとえ使
用者の脚が載せられても足裏支持部11bと脚支持部1
1aのなす角が略90°に保たれる。
【0038】なお、図1(a)にはふくらはぎが脚支持
部11aから浮いているような図になっているが、背ず
り17の角度を変えたり腰掛ける姿勢を変えたりすれ
ば、脚支持部11aにてふくらはぎを支えることも可能
である。図1(a)のような、足裏支持部11bと脚支
持部11aのなす角が略90°にされた状態からフット
レスト11を格納するときには、まず、足裏支持部11
bを脚支持部11aに重合させ、それからスイッチ49
を操作する。すると、上記ロック機構が再び解除され、
サーボモータ41が上記とは逆方向に軸を回転させる。
以下、設置時と逆の動作を各部が行ない、フットレスト
11は図5(a)に示したような状態に戻される。する
と設置時と同様に、サーボモータ41の始動前に解除さ
れたロック機構が再び作動し、フットレスト11が固定
され、格納が完了しサーボモータ41は作動を停止す
る。
【0039】以上説明してきた実施例の腰掛け1によれ
ば、フットレスト11が自席の台枠23内に格納されて
いるため、フットレスト11の出し入れによって前の腰
掛けに座っている人に不快感を与えることがなく、前方
の腰掛けを180°回転させて当該腰掛けと対向させて
も、フットレスト11を使用することができるので使い
勝手がよい。当然のことながら、フットレスト11を台
枠23内に格納すれば、フットレストのない通常の腰掛
けとして使用できる。
【0040】また、フットレスト11は足裏支持部11
b、脚支持部11aという二つの部材から構成され、足
裏支持部11bを脚支持部11aに対して重合したり起
こしたりすることにより、ふくらはぎ、足の裏等、使用
者の疲労状態や好みに合せた部分を安息させることがで
きる。
【0041】更に、フットレスト11が格納されるとき
には、図5(a)のように足裏支持部11bが脚支持部
11aの上に重合された上、使用時よりも水平に近い姿
勢にされているため、台枠23内の空間を有効に利用で
き、上記のような多様な使い方があるフットレスト11
を格納するにもかかわらず、その格納スペースが小さく
てすむ。しかも、フットレスト11の移動は電動機の動
力にて行なわれるため、身体障害者・子供・老人でもフ
ットレスト11の設置・格納を容易に行なうことができ
る。
【0042】以上、腰掛け1について説明してきたが、
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、様々な
態様で実施し得る。例えば、格納スペースが有効利用で
きることにより増したフットレストの意匠の自由度を生
かして、脚部が当接する面に柔らかいマットレスを用い
たり、人間工学的に疲労の少ない形状にしたりすること
もできる。このフットレストにヒーター、マッサージ機
等を内蔵させ、快適性を高めることも同じ理由により容
易になり、更に安息効果の高いフットレストとすること
ができる。
【0043】また、足裏支持部11bの足の裏を載せる
面は、貼付された硬質樹脂製の板を着脱自在にしてその
汚損時の交換に対応したり、反対の面11b2と同様の
軟質の材料にして靴を脱いだ状態で足の裏を載せられる
ようにしたり、硬質か軟質かいずれかの状態に切り替え
可能に構成したりしても良い。
【0044】原動機としては、上記のようなサーボモー
タ41に限らず、例えばステッピングモータとしても良
い。また、回転式モータではなくリニアモータにして、
これを溝カム39や鞘32よりも下方に設け、これを用
いてフットレスト11を駆動すればサーボモータ41の
設置場所やリンク機構33が省略でき、より簡素な構成
となる。すると、台枠23内の格納スペースをより有効
に使用できることになるため、フットレスト11の意匠
の自由度が更に増え、より高機能なものにすることがで
きる。以上のような電動機でなくとも、例えば、エアシ
リンダ、油圧シリンダ等の圧力機器を用いたり、設置或
は格納のいずれかの移動をスプリングの弾性力を用いて
行なっても良い。
【0045】サーボモータ41は、フットレスト11の
足裏支持部11bが脚支持部11aに重合されているこ
とを検知するリミットスイッチがオフのときにはインタ
ロックが掛かる旨の記載をしたが、このリミットスイッ
チ及びインタロック機構を省略しても上記効果を奏する
ことができ、より簡素な構成とすることができる。
【0046】また、上記実施例では、フットレスト11
は図5に示した二状態に固定可能としたが、この中間の
所定(又は任意)の位置に固定可能な構成としても良
い。このようにすれば、乗客の疲労状態や好みに合せ
た、きめ細かい安息効果が得られるようになる。
【0047】更に、この固定方法として上記では、図示
しないロック機構にて保持される旨の説明をしたが、こ
のロック機構を廃止し、サーボモータ41を通電状態に
しておいても良い。このようにすれば、より簡素な構成
にてフットレスト11の保持を行なうことができる。
【0048】上記フットレスト11及びその移動機構
は、回転式腰掛けに限らず、固定式の腰掛けに設けるこ
ともでき、同様の安息効果が得られる。上記実施例では
腰掛ける者がスイッチ49を操作することによってフッ
トレストを設置・格納可能にしていたが、これとは別に
所定の指令手段を設け、該指令手段にて列車の全てのフ
ットレストを一括移動可能に構成しても良い。例えば車
掌がその指令手段を操作すると、列車に備えられた全て
のフットレストが一斉に格納されたり設置されたりし
て、列車全体のフットレストの状態の初期化が可能とな
り、その日の初走行を行なう前や車庫に入ったとき等に
は大変便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の腰掛け1を示す説明図である。
【図2】 実施例の腰掛け1のフットレスト11を格納
した状態を示す側面図である。
【図3】 実施例のフットレスト11の構成を示す説明
図である。
【図4】 実施例のスライドレール31及びリンク機構
33の動作の様子を示す説明図である。
【図5】 実施例のフットレストが搬出されて設置され
るまでの様子を示す説明図である。
【図6】 従来の腰掛けの一例を示す説明図である。
【図7】 従来の腰掛けの別の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…腰掛け 11…フットレスト 13
…着座部 15…脚台 21…回転機構 2
3…台枠 31…スライドレール 33…リンク機構 3
4…ギヤボックス 37…カムフォロワ 39…溝カム 4
1…サーボモータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 喜代志 愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番4号 東海旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 北山 茂 愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番4号 東海旅客鉄道株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 腰掛ける者の臀部を支える着座部と、該
    着座部を支持する台枠と、鉄道車両の床面に固定され当
    該腰掛け全体を支持する脚台と、台枠を脚台に対し回転
    可能に接合する回転機構とを備える鉄道車両用回転式腰
    掛けにおいて、 当該腰掛けに腰掛ける者の脚を支持するフットレストを
    備え、 上記台枠が、 上記着座部を直接支持する台枠上部と、 該台枠上部の下方に配されて上記回転機構に直接支持さ
    れる台枠下部と、 該台枠下部と上記台枠上部とに挟持されて該両者間に、
    上記フットレストを格納するための空間である収納部を
    確保する枠壁とからなり、 上記フットレストを使用しないときには、該フットレス
    トを上記収納部に格納可能であることを特徴とする鉄道
    車両用回転式腰掛け。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の鉄道車両用回転式腰掛
    けにおいて、 上記フットレストが上記収納部に格納された状態から、
    該フットレストが使用可能に設置された状態までの、該
    フットレストの移動を可逆的に行なうためのフットレス
    ト移動機構と、 該フットレスト移動機構を駆動するための原動機と、 を設けたことを特徴とする鉄道車両用回転式腰掛け。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の鉄道車両用回転式腰掛
    けにおいて、 上記原動機が電動機であり、 上記フットレスト移動機構が、 上記フットレストの後部両側面に一個ずつ設けられた一
    対のカムフォロワと、 該一対のカムフォロワを前後に移動可能に規制し、該移
    動の範囲の後端から略中程までは水平に、略中程から前
    方に移動するに連れて該一対のカムフォロワを上方へ移
    動させる略「へ」の字型をした一対の溝カムと、 前端が上記フットレストの前後方向の略中央に揺動可能
    に接合されたスライドレールと、 該スライドレールを、上記電動機を動力源として前後方
    向に滑動させるリンク機構とからなることを特徴とする
    鉄道車両用回転式腰掛け。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3にいずれか記載の
    鉄道車両用回転式腰掛けにおいて、 上記フットレストが、 略矩形形状をした板状部材であって、腰掛ける者のふく
    らはぎを支持可能な脚支持部と、 該脚支持部の先端部に、該脚支持部の前部上面に重合さ
    れた状態から該脚支持部とのなす角が略直角となる位置
    まで揺動可能に接合された板状部材であって、上記重合
    された状態においては上記脚支持部と共に腰掛ける者の
    ふくらはぎを支え、上記脚支持部とのなす角が略直角と
    なる状態においては腰掛ける者の足の裏を支える足裏支
    持部とを備えることを特徴とする鉄道車両用回転式腰掛
    け。
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