JPH0878231A - 希土類系磁石装置及び希土類系磁石の接合方法 - Google Patents
希土類系磁石装置及び希土類系磁石の接合方法Info
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- JPH0878231A JPH0878231A JP6240736A JP24073694A JPH0878231A JP H0878231 A JPH0878231 A JP H0878231A JP 6240736 A JP6240736 A JP 6240736A JP 24073694 A JP24073694 A JP 24073694A JP H0878231 A JPH0878231 A JP H0878231A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】破損し易いNd−Fe−B系等の希土類系磁石
の接合性を向上すること。 【構成】軟磁性材(S15C)からなる基体4、銀ろう
箔5、厚み0.5mmの純銅板2、Nd−Fe−B系の
希土類系磁石1を順に積層し、その状態で真空中で83
0℃で10min加熱し、その後アルゴンガスで冷却す
る。これにより磁石1と純銅板2との界面に拡散層3が
生成し、これにより接合強度を高める。
の接合性を向上すること。 【構成】軟磁性材(S15C)からなる基体4、銀ろう
箔5、厚み0.5mmの純銅板2、Nd−Fe−B系の
希土類系磁石1を順に積層し、その状態で真空中で83
0℃で10min加熱し、その後アルゴンガスで冷却す
る。これにより磁石1と純銅板2との界面に拡散層3が
生成し、これにより接合強度を高める。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はNd−Fe−B系等の希
土類系磁石装置、及び希土類系磁石の接合方法に関す
る。本発明は例えば電気モータ、電磁アクチュエ−タ、
磁気的センサ等に利用できる。
土類系磁石装置、及び希土類系磁石の接合方法に関す
る。本発明は例えば電気モータ、電磁アクチュエ−タ、
磁気的センサ等に利用できる。
【0002】
【従来の技術】希土類系磁石は優れた磁気的特性を有
し、磁石として重要な位置を近年占めている。かかる希
土類系磁石を目的の箇所に取付ける場合、希土類系磁石
が硬くて脆いために、穴開け、ネジ切りなどの機械加工
が困難であり、また溶接やろう付接合も成功例が少な
い。
し、磁石として重要な位置を近年占めている。かかる希
土類系磁石を目的の箇所に取付ける場合、希土類系磁石
が硬くて脆いために、穴開け、ネジ切りなどの機械加工
が困難であり、また溶接やろう付接合も成功例が少な
い。
【0003】例えばブラシレス電気モータの回転子は、
希土類系磁石をシャフト材に多数個取付けた構造である
が、希土類系磁石の保持には、保持バンド、バインド線
またはテープ、あるいはエポキシ系などの有機接着剤、
あるいは接着剤とバインド線との併用などの方法が採ら
れている。しかし保持バンド、バインド線、テープ等は
固定子とのエアギャップを増大させ磁束減少の要因とな
り好ましくない。また有機接着剤による接合強度は温度
の上昇と共に急激に低下し、信頼性が低い欠点があり、
好ましくない。
希土類系磁石をシャフト材に多数個取付けた構造である
が、希土類系磁石の保持には、保持バンド、バインド線
またはテープ、あるいはエポキシ系などの有機接着剤、
あるいは接着剤とバインド線との併用などの方法が採ら
れている。しかし保持バンド、バインド線、テープ等は
固定子とのエアギャップを増大させ磁束減少の要因とな
り好ましくない。また有機接着剤による接合強度は温度
の上昇と共に急激に低下し、信頼性が低い欠点があり、
好ましくない。
【0004】また複雑な形状や異形の形状の希土類系磁
石装置を形成する場合には、特殊な分布の磁場を発生す
る装置とプレス型を必要とするため製造コストは高価な
ものとなる。製造コストを下げるために、複数個の希土
類系磁石を使って目的の形状に組立てることが考えられ
るが、上記した様に希土類系磁石の溶接やろう接合が容
易でないため、組付けは容易ではない。この様に従来の
技術では信頼性、製造コスト、組付性などの面で問題が
ある。
石装置を形成する場合には、特殊な分布の磁場を発生す
る装置とプレス型を必要とするため製造コストは高価な
ものとなる。製造コストを下げるために、複数個の希土
類系磁石を使って目的の形状に組立てることが考えられ
るが、上記した様に希土類系磁石の溶接やろう接合が容
易でないため、組付けは容易ではない。この様に従来の
技術では信頼性、製造コスト、組付性などの面で問題が
ある。
【0005】また特開平4−265644号公報には、
サマリウム(Sm)−コバルト(Co )系の希土類磁
石と、アルミニウム、スズ、亜鉛からなる接合部材とを
用い、接合部材を希土類磁石と軟鉄系の回転軸の外周面
との間に介在させた状態で、加熱オーブンに装入し、希
土類磁石のキュリー点未満でかつ接合部材の融点を越え
る温度領域に加熱し、これにより接合部材の全体を溶融
し、以て希土類磁石と回転軸とを接合した構造の電気モ
ータの回転子が開示されている。
サマリウム(Sm)−コバルト(Co )系の希土類磁
石と、アルミニウム、スズ、亜鉛からなる接合部材とを
用い、接合部材を希土類磁石と軟鉄系の回転軸の外周面
との間に介在させた状態で、加熱オーブンに装入し、希
土類磁石のキュリー点未満でかつ接合部材の融点を越え
る温度領域に加熱し、これにより接合部材の全体を溶融
し、以て希土類磁石と回転軸とを接合した構造の電気モ
ータの回転子が開示されている。
【0006】また特開昭50−36997号公報等には
Sm−Co系の希土類系磁石を保護ガス雰囲気において
基体にろう付けする技術が開示されている。また特開平
5−15117号公報には、Nd−Fe−B系の希土類
系磁石粉末と、真鍮つまりCu−Zn系のシャフトと、
鉄系の筒形カプセルとを用い、筒形カプセルの中央にシ
ャフトを配置するとともに筒形カプセル内に希土類系磁
石粉末を装填し、この状態で筒形カプセルを700℃で
押出処理してこれを縮径して固め、その後に筒形カプセ
ルを切削除去する技術が開示されている。
Sm−Co系の希土類系磁石を保護ガス雰囲気において
基体にろう付けする技術が開示されている。また特開平
5−15117号公報には、Nd−Fe−B系の希土類
系磁石粉末と、真鍮つまりCu−Zn系のシャフトと、
鉄系の筒形カプセルとを用い、筒形カプセルの中央にシ
ャフトを配置するとともに筒形カプセル内に希土類系磁
石粉末を装填し、この状態で筒形カプセルを700℃で
押出処理してこれを縮径して固め、その後に筒形カプセ
ルを切削除去する技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記した特開平4−2
65644号公報にかかる技術では、接合部材を溶融さ
せ、磁石空孔部へ浸透させて固着力を得るため、多孔質
な磁石が要求され、磁束密度の点で難点がある。また、
接合部材の融点を越える温度域に加熱されるため、接合
部材を構成する母材の融液が排出される等のおそれがあ
り、良好な接合を得るには必ずしも充分ではない。
65644号公報にかかる技術では、接合部材を溶融さ
せ、磁石空孔部へ浸透させて固着力を得るため、多孔質
な磁石が要求され、磁束密度の点で難点がある。また、
接合部材の融点を越える温度域に加熱されるため、接合
部材を構成する母材の融液が排出される等のおそれがあ
り、良好な接合を得るには必ずしも充分ではない。
【0008】また、前記した特開昭50−36997号
公報等に開示されている技術では、従来から用いられて
いるろう合金、例えば銀ろう(Ag−Cu系、Ag−C
u−Zn系など)、Zn−Alろう、Al−Siろう等
を使用して希土類系磁石(RE−TM−B系磁石)を基
体(例えば電磁軟鉄、軟鋼、ケイ系鋼、フェライト系ス
テンレス鋼などの軟磁性材製)にろう付すると、磁石の
内部や磁石とろうとの反応部分に割れが生じて剥離し、
満足な接合が得られなかった。これは希土類系磁石の熱
膨張係数が基体(通常は軟磁性材)よりもかなり小さい
ために、ろう付けの際に熱膨張差による応力が発生し、
硬くて脆い希土類系磁石が破壊に至るものと考えられ
る。この様な熱膨張差による応力を緩和するために、本
発明者は低融点のろう合金を使用して接合を試みたが、
接合部に厚くて脆い金属間化合物が生成されて剥離する
に到った。
公報等に開示されている技術では、従来から用いられて
いるろう合金、例えば銀ろう(Ag−Cu系、Ag−C
u−Zn系など)、Zn−Alろう、Al−Siろう等
を使用して希土類系磁石(RE−TM−B系磁石)を基
体(例えば電磁軟鉄、軟鋼、ケイ系鋼、フェライト系ス
テンレス鋼などの軟磁性材製)にろう付すると、磁石の
内部や磁石とろうとの反応部分に割れが生じて剥離し、
満足な接合が得られなかった。これは希土類系磁石の熱
膨張係数が基体(通常は軟磁性材)よりもかなり小さい
ために、ろう付けの際に熱膨張差による応力が発生し、
硬くて脆い希土類系磁石が破壊に至るものと考えられ
る。この様な熱膨張差による応力を緩和するために、本
発明者は低融点のろう合金を使用して接合を試みたが、
接合部に厚くて脆い金属間化合物が生成されて剥離する
に到った。
【0009】また前記した特開平5−15117号公報
にかかる技術では、粉末磁石材料が要求され、固化した
磁石では応用が困難である。また、押出温度が700℃
と比較的低温であるため、磁石とシャフトとの界面に
は、液相の発生に起因する拡散層は形成されていないも
のと考えられ、したがって接合界面の接合強度は必ずし
も充分ではない。更に筒形カプセルを切削加工する関係
上、切削加工の際の衝撃で、脆い希土類系磁石が損傷し
易い問題もある。
にかかる技術では、粉末磁石材料が要求され、固化した
磁石では応用が困難である。また、押出温度が700℃
と比較的低温であるため、磁石とシャフトとの界面に
は、液相の発生に起因する拡散層は形成されていないも
のと考えられ、したがって接合界面の接合強度は必ずし
も充分ではない。更に筒形カプセルを切削加工する関係
上、切削加工の際の衝撃で、脆い希土類系磁石が損傷し
易い問題もある。
【0010】本発明は上記した実情に鑑みなされたもの
であり、各請求項の共通課題は、希土類系磁石と接合部
材との接合を良好にし得る希土類系磁石装置及び希土類
系磁石の接合方法を提供することにある。。
であり、各請求項の共通課題は、希土類系磁石と接合部
材との接合を良好にし得る希土類系磁石装置及び希土類
系磁石の接合方法を提供することにある。。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を満
足すべく希土類系磁石の接合形態について開発を進め
た。そして本発明者は、模式的構成図である図1から理
解できる様に、希土類系磁石1と銅を主要成分とする接
合部材2とを対面接触させ、その状態で、接合部材2及
び希土類系磁石1の界面において、接合部材2及び希土
類系磁石1の融点よりも低い温度に加熱して液相を生じ
させれば、液相に起因して薄膜状の拡散層3が生成し、
これにより接合部材2と希土類系磁石1とを冶金的に短
時間で確実に接合できることを知見した。本発明はかか
る知見に基づくものである。
足すべく希土類系磁石の接合形態について開発を進め
た。そして本発明者は、模式的構成図である図1から理
解できる様に、希土類系磁石1と銅を主要成分とする接
合部材2とを対面接触させ、その状態で、接合部材2及
び希土類系磁石1の界面において、接合部材2及び希土
類系磁石1の融点よりも低い温度に加熱して液相を生じ
させれば、液相に起因して薄膜状の拡散層3が生成し、
これにより接合部材2と希土類系磁石1とを冶金的に短
時間で確実に接合できることを知見した。本発明はかか
る知見に基づくものである。
【0012】例えば、重量比でFe−27.4%Nd−
5.6%Dy−0.6%Pr−1.1%B−0.3%A
l組成の希土類系磁石と、純銅製の接合部材との接合形
態では、この液相を生じる温度は、後述する様に示差熱
分析によれば約800℃である。なお図1において、4
は磁石の保持機能を奏する軟磁性材製等の基体、5は基
体4に接合部材2を接合するための銀ろうである。
5.6%Dy−0.6%Pr−1.1%B−0.3%A
l組成の希土類系磁石と、純銅製の接合部材との接合形
態では、この液相を生じる温度は、後述する様に示差熱
分析によれば約800℃である。なお図1において、4
は磁石の保持機能を奏する軟磁性材製等の基体、5は基
体4に接合部材2を接合するための銀ろうである。
【0013】すなわち、請求項1の希土類系磁石装置
は、希土類系磁石と、希土類系磁石に接合すると共に銅
を主要成分とする接合部材と、希土類系磁石と接合部材
との界面に形成された拡散層とを有することを特徴とす
るものである。請求項2の希土類系磁石の接合方法は、
希土類系磁石と、銅を主要成分とする接合部材とを用
い、希土類系磁石と接合部材とを互いに接触させた状態
で、希土類系磁石及び接合部材の母材の融点未満の温度
でかつ加熱により希土類系磁石と接合部材とが反応して
液相を生じる温度に加熱し、その後冷却することによ
り、希土類系磁石と接合部材との界面に拡散層を形成
し、拡散層を介して希土類系磁石と接合部材とを接合す
ることを特徴とするものである。
は、希土類系磁石と、希土類系磁石に接合すると共に銅
を主要成分とする接合部材と、希土類系磁石と接合部材
との界面に形成された拡散層とを有することを特徴とす
るものである。請求項2の希土類系磁石の接合方法は、
希土類系磁石と、銅を主要成分とする接合部材とを用
い、希土類系磁石と接合部材とを互いに接触させた状態
で、希土類系磁石及び接合部材の母材の融点未満の温度
でかつ加熱により希土類系磁石と接合部材とが反応して
液相を生じる温度に加熱し、その後冷却することによ
り、希土類系磁石と接合部材との界面に拡散層を形成
し、拡散層を介して希土類系磁石と接合部材とを接合す
ることを特徴とするものである。
【0014】請求項3の希土類系磁石の接合方法は、希
土類系磁石と、銅を主要成分とする接合部材と、ろう材
と、基体とを用い、基体、ろう材、接合部材、希土類系
磁石を接触させつつ順に積層した状態で希土類系磁石及
び接合部材の融点未満の温度でかつ加熱により希土類系
磁石と接合部材とが反応して液相を生じる温度に加熱
し、その後冷却することにより、希土類系磁石と接合部
材との界面に拡散層を形成し、拡散層を介して希土類系
磁石と接合部材とを接合すると共に、接合部材と基材の
界面にろう付層を形成し、ろう付層を介して接合部材と
基体とを接合することを特徴とするものである。
土類系磁石と、銅を主要成分とする接合部材と、ろう材
と、基体とを用い、基体、ろう材、接合部材、希土類系
磁石を接触させつつ順に積層した状態で希土類系磁石及
び接合部材の融点未満の温度でかつ加熱により希土類系
磁石と接合部材とが反応して液相を生じる温度に加熱
し、その後冷却することにより、希土類系磁石と接合部
材との界面に拡散層を形成し、拡散層を介して希土類系
磁石と接合部材とを接合すると共に、接合部材と基材の
界面にろう付層を形成し、ろう付層を介して接合部材と
基体とを接合することを特徴とするものである。
【0015】請求項4の希土類系磁石の接合方法は、少
なくとも2個の希土類系磁石と、銅を主要成分とする接
合部材と用い、希土類系磁石間に接合部材を接触させた
状態で配置し、希土類系磁石及び接合部材の母材の融点
未満の温度でかつ加熱により希土類系磁石と接合部材と
が反応して液相を生じる温度に加熱し、希土類系磁石と
接合部材との界面に拡散層を形成し、希土類系磁石同士
を接合することを特徴とするものである。
なくとも2個の希土類系磁石と、銅を主要成分とする接
合部材と用い、希土類系磁石間に接合部材を接触させた
状態で配置し、希土類系磁石及び接合部材の母材の融点
未満の温度でかつ加熱により希土類系磁石と接合部材と
が反応して液相を生じる温度に加熱し、希土類系磁石と
接合部材との界面に拡散層を形成し、希土類系磁石同士
を接合することを特徴とするものである。
【0016】本発明で用いる希土類系磁石は、希土類元
素を含む磁石であり、一般的には、RE−TM系の焼結
体であり、特にRE−TM−B系が好ましい。ここでは
REはY、およびランタノイドのうちから選んだ一種ま
たは二種以上の組合わせ、TMはFe、Coを中心とす
る遷移金属であって一部を他の金属元素または非金属元
素で置換しても良く、Bはボロンを指す。希土類系磁石
の組成は適宜選択できるが、Nd−Fe−B系、Nd−
Dy−Fe−B系、Pr−Cu−Fe−B系、Sm−C
o系などを採用できる。本発明で用いる希土類系磁石
は、焼結法、あるいは熱間鍛造・押出しなどの加工法に
よって緻密化した等方性あるいは異方性の磁石を採用で
きる。
素を含む磁石であり、一般的には、RE−TM系の焼結
体であり、特にRE−TM−B系が好ましい。ここでは
REはY、およびランタノイドのうちから選んだ一種ま
たは二種以上の組合わせ、TMはFe、Coを中心とす
る遷移金属であって一部を他の金属元素または非金属元
素で置換しても良く、Bはボロンを指す。希土類系磁石
の組成は適宜選択できるが、Nd−Fe−B系、Nd−
Dy−Fe−B系、Pr−Cu−Fe−B系、Sm−C
o系などを採用できる。本発明で用いる希土類系磁石
は、焼結法、あるいは熱間鍛造・押出しなどの加工法に
よって緻密化した等方性あるいは異方性の磁石を採用で
きる。
【0017】また本発明で用いる接合部材は、銅を主要
成分とするものであり、純銅材、銅系合金材を採用でき
る。純銅材は、電気銅、あるいはタフピッチ銅、脱酸
銅、無酸素銅などの鋳造材または冷間・熱間加工材を採
用できる。銅系合金材とは、クロム銅、黄銅、青銅など
の銅成分が50wt%以上のものを採用できる。本発明
において接合部材(銅材または銅合金材)の役割は、希
土類系磁石との拡散接合と、接合時に発生する熱応力の
緩和である。熱応力の緩和には柔らかいことが必要であ
り、延性を有することが最低条件となる。よって接合部
材の母材である銅合金の組成は、延性を有する範囲、即
ちα固溶体を有することが目安となる。例えば希土類系
磁石と軟磁性材等の基体とを接合する場合には、両者の
熱膨張係数がかなり異なるので、熱応力の緩和のため
に、接合部材としては、銅成分が95wt%以上の銅合
金または純銅が望ましく、純銅が更に望ましい。
成分とするものであり、純銅材、銅系合金材を採用でき
る。純銅材は、電気銅、あるいはタフピッチ銅、脱酸
銅、無酸素銅などの鋳造材または冷間・熱間加工材を採
用できる。銅系合金材とは、クロム銅、黄銅、青銅など
の銅成分が50wt%以上のものを採用できる。本発明
において接合部材(銅材または銅合金材)の役割は、希
土類系磁石との拡散接合と、接合時に発生する熱応力の
緩和である。熱応力の緩和には柔らかいことが必要であ
り、延性を有することが最低条件となる。よって接合部
材の母材である銅合金の組成は、延性を有する範囲、即
ちα固溶体を有することが目安となる。例えば希土類系
磁石と軟磁性材等の基体とを接合する場合には、両者の
熱膨張係数がかなり異なるので、熱応力の緩和のため
に、接合部材としては、銅成分が95wt%以上の銅合
金または純銅が望ましく、純銅が更に望ましい。
【0018】接合部材は例えば鋳造材または冷間・熱間
加工材を採用できる。この場合、接合部材としてはその
厚みは適宜選択でき、板材、箔材、またはこれらの打抜
き材、あるいは塊材などが挙げられる。本発明方法にお
いて接合する際の加熱温度は、接合部材である純銅材ま
たは銅合金材、希土類系磁石のそれぞれの融点よりも低
く、かつ両者の反応によって液相を生成する温度が指標
となる。なお、RE−TM−B系希土類磁石としてFe
−27.4%Nd−5.6%Dy−0.5%Pr−1.
1%B−0.9%Co−0.3%Al組成の希土類系焼
結磁石を用いた場合において、適切な加熱温度を選択す
べく液相生成温度を測定した。即ち、希土類系磁石を砕
いて粉末とし、これと銅粉末とを混ぜて圧粉成形した試
料を用い、標準試料(アルミナ)との間で示差熱分析し
たところ、800〜820℃で液相が出現することが確
認された。
加工材を採用できる。この場合、接合部材としてはその
厚みは適宜選択でき、板材、箔材、またはこれらの打抜
き材、あるいは塊材などが挙げられる。本発明方法にお
いて接合する際の加熱温度は、接合部材である純銅材ま
たは銅合金材、希土類系磁石のそれぞれの融点よりも低
く、かつ両者の反応によって液相を生成する温度が指標
となる。なお、RE−TM−B系希土類磁石としてFe
−27.4%Nd−5.6%Dy−0.5%Pr−1.
1%B−0.9%Co−0.3%Al組成の希土類系焼
結磁石を用いた場合において、適切な加熱温度を選択す
べく液相生成温度を測定した。即ち、希土類系磁石を砕
いて粉末とし、これと銅粉末とを混ぜて圧粉成形した試
料を用い、標準試料(アルミナ)との間で示差熱分析し
たところ、800〜820℃で液相が出現することが確
認された。
【0019】本発明方法では、希土類系磁石(例えばR
E−TM−B系磁石)と接合部材(純銅材または銅合金
材製)とを接合する場合には、両者の接合界面を対面接
触させた状態で加熱する。本発明方法では、上記したR
E−TM−B系磁石と純銅との組合わせの場合には、約
800℃以上で磁石と純銅とが反応して両者の界面に液
相が生成し、これに起因して両者の界面に薄膜状の拡散
層ができ、両者が接合する。
E−TM−B系磁石)と接合部材(純銅材または銅合金
材製)とを接合する場合には、両者の接合界面を対面接
触させた状態で加熱する。本発明方法では、上記したR
E−TM−B系磁石と純銅との組合わせの場合には、約
800℃以上で磁石と純銅とが反応して両者の界面に液
相が生成し、これに起因して両者の界面に薄膜状の拡散
層ができ、両者が接合する。
【0020】ここで、加熱温度が高過ぎると拡散層が厚
くなり、拡散層の生成に伴う応力、または冷却に伴う応
力を吸収しきれなくなって磁石が割れてしまう傾向とな
る。そこで、拡散層の厚みは接合部材(純銅材または銅
合金材製)の厚みよりも薄くするのがよい。なお、請求
項4のように希土類系磁石同士の接合の場合には熱膨張
差に起因する熱応力が小さいため、拡散層の厚みは接合
部材の厚みと同程度であってもよい。このように拡散層
の厚みを薄くするため接合部材として純銅を使用した場
合における加熱温度は、{(液相を生じる反応開始温
度)〜(反応開始温度+50℃)}の温度領域が望まし
い。更に{(反応開始温度+10℃)〜(反応開始温度
+30℃)}の温度領域が望ましい。接合部材として銅
合金を用いた場合にも、銅合金の融点以下で液相を生じ
て希土類系磁石と反応して液相を生成するが、反応開始
温度は銅合金の融点の高低とは必ずしも一致せず、『銅
合金の融点が純銅よりも100℃低いので、銅合金の反
応温度も純銅よりも100℃低くなる』ことにはならな
い。
くなり、拡散層の生成に伴う応力、または冷却に伴う応
力を吸収しきれなくなって磁石が割れてしまう傾向とな
る。そこで、拡散層の厚みは接合部材(純銅材または銅
合金材製)の厚みよりも薄くするのがよい。なお、請求
項4のように希土類系磁石同士の接合の場合には熱膨張
差に起因する熱応力が小さいため、拡散層の厚みは接合
部材の厚みと同程度であってもよい。このように拡散層
の厚みを薄くするため接合部材として純銅を使用した場
合における加熱温度は、{(液相を生じる反応開始温
度)〜(反応開始温度+50℃)}の温度領域が望まし
い。更に{(反応開始温度+10℃)〜(反応開始温度
+30℃)}の温度領域が望ましい。接合部材として銅
合金を用いた場合にも、銅合金の融点以下で液相を生じ
て希土類系磁石と反応して液相を生成するが、反応開始
温度は銅合金の融点の高低とは必ずしも一致せず、『銅
合金の融点が純銅よりも100℃低いので、銅合金の反
応温度も純銅よりも100℃低くなる』ことにはならな
い。
【0021】接合部材として銅合金を用いた場合にも、
磁石と接合部材との接合に適した加熱温度は、基本的に
は純銅の場合と同様に液相を生じさせる反応開始温度で
決定される。よって、{(反応開始温度)〜(反応開始
温度+50℃)}の温度領域が望ましく、{(反応開始
温度+10℃)〜(反応開始温度+30℃)}の温度領
域が更に望ましい。
磁石と接合部材との接合に適した加熱温度は、基本的に
は純銅の場合と同様に液相を生じさせる反応開始温度で
決定される。よって、{(反応開始温度)〜(反応開始
温度+50℃)}の温度領域が望ましく、{(反応開始
温度+10℃)〜(反応開始温度+30℃)}の温度領
域が更に望ましい。
【0022】本発明方法においては、上記の拡散層の厚
さは、一般的には加熱温度と加熱保持時間に関係し、加
熱温度が高く、加熱保持時間が長いほど厚くなる。拡散
層の厚さが300μm以上では希土類系磁石が割れ、ま
た拡散層が厚くなると接合強度が低下するので、本発明
の希土類系磁石装置においては拡散層の厚さは100μ
m以下が望ましく、更に60μm以下の範囲、40μm
以下の範囲、殊に10〜30μmの範囲が更に望まし
い。
さは、一般的には加熱温度と加熱保持時間に関係し、加
熱温度が高く、加熱保持時間が長いほど厚くなる。拡散
層の厚さが300μm以上では希土類系磁石が割れ、ま
た拡散層が厚くなると接合強度が低下するので、本発明
の希土類系磁石装置においては拡散層の厚さは100μ
m以下が望ましく、更に60μm以下の範囲、40μm
以下の範囲、殊に10〜30μmの範囲が更に望まし
い。
【0023】本発明方法としては次の形態が考えられ
る。 (1)希土類系磁石(例えばRE−TM−B系磁石)と
接合部材(純銅材または50wt%以上の銅成分を有す
る銅系合金材)とを接触させ、接合部材及び希土類系磁
石の各々の融点以下の温度に加熱し、両者を接合する方
法。 (2)複数個の希土類系磁石(例えばRE−TM−B系
磁石)の境界に、接合部材(純銅材または50wt%以
上の銅成分を有する銅系合金材)を接触した状態で介在
させ、接合部材及び希土類系磁石の各々の融点以下の温
度に加熱し、希土類系磁石と希土類系磁石とを接合して
一体化する方法。これにより複雑または異形の磁石装置
を容易に製造できる。 (3)希土類系磁石(例えばRE−TM−B系磁石)と
基体(例えば軟磁性材製)とを接合する場合には、先ず
(1)の形態によって希土類系磁石と接合部材(純銅材
または銅合金材)とを接合し、次に、ろう付処理などの
冶金的方法または機械的方法によって接合部材(純銅材
または銅合金材)と基体(軟磁性材)とを接合する方
法。 (4)また一度の加熱で接合を完了させる方法が挙げら
れる。即ち、軟磁性材等からなる基体の上に、ろう合金
の箔、接合部材(純銅板または銅合金板)、そして希土
類系磁石の順序に重ねて置き、全体を加熱する方法が挙
げられる。例えば接合部材として純銅板を使用すると、
磁石と純銅板の接合温度は800℃程度が好ましい。従
って、純銅板と基体とを接合するために適するろう合金
箔としては、液相線が780℃の銀ろう(JIS BA
g−8)が候補として挙げられる。またこの場合、ろう
合金箔に代えてろう合金線材等を、接合部材としての純
銅板の回りにセットしておく方法、純銅または銅合金と
ろう合金とのクラッド板を接合部材として使用する方法
もある。
る。 (1)希土類系磁石(例えばRE−TM−B系磁石)と
接合部材(純銅材または50wt%以上の銅成分を有す
る銅系合金材)とを接触させ、接合部材及び希土類系磁
石の各々の融点以下の温度に加熱し、両者を接合する方
法。 (2)複数個の希土類系磁石(例えばRE−TM−B系
磁石)の境界に、接合部材(純銅材または50wt%以
上の銅成分を有する銅系合金材)を接触した状態で介在
させ、接合部材及び希土類系磁石の各々の融点以下の温
度に加熱し、希土類系磁石と希土類系磁石とを接合して
一体化する方法。これにより複雑または異形の磁石装置
を容易に製造できる。 (3)希土類系磁石(例えばRE−TM−B系磁石)と
基体(例えば軟磁性材製)とを接合する場合には、先ず
(1)の形態によって希土類系磁石と接合部材(純銅材
または銅合金材)とを接合し、次に、ろう付処理などの
冶金的方法または機械的方法によって接合部材(純銅材
または銅合金材)と基体(軟磁性材)とを接合する方
法。 (4)また一度の加熱で接合を完了させる方法が挙げら
れる。即ち、軟磁性材等からなる基体の上に、ろう合金
の箔、接合部材(純銅板または銅合金板)、そして希土
類系磁石の順序に重ねて置き、全体を加熱する方法が挙
げられる。例えば接合部材として純銅板を使用すると、
磁石と純銅板の接合温度は800℃程度が好ましい。従
って、純銅板と基体とを接合するために適するろう合金
箔としては、液相線が780℃の銀ろう(JIS BA
g−8)が候補として挙げられる。またこの場合、ろう
合金箔に代えてろう合金線材等を、接合部材としての純
銅板の回りにセットしておく方法、純銅または銅合金と
ろう合金とのクラッド板を接合部材として使用する方法
もある。
【0024】本発明方法においては、接合に先立って、
希土類系磁石や接合部材の接合面を研磨・脱脂して清浄
にすることが好ましい。また接合に際しては、それぞれ
の自重ばかりでなく、錘などを使用して加圧下で加熱す
ることが好ましい。前述した様に本発明の特徴は、希土
類系磁石(例えばRE−TM−B系磁石)の接合にあた
り、銅を主要成分とする接合部材を使用することであ
る。しかし、電気伝導度、硬さ、強度、耐食性などから
の制約を受けることがある。例えば、希土類系磁石の組
成は一様でなく、また軟磁性材等からなる基体と接合部
材との接合の際にろう合金を使用する場合には、融点、
ぬれ性、浸食性などを考慮する必要がある。このような
問題に対して幅広く対応するために、適宜、RE元素、
B、Cr、Zr、Ti、Be、Ni、Mn、Si、P、
Zn、Snなどの元素の一種または二異以上を0.00
1〜50wt%の範囲で、接合部材に含有することがで
きる。
希土類系磁石や接合部材の接合面を研磨・脱脂して清浄
にすることが好ましい。また接合に際しては、それぞれ
の自重ばかりでなく、錘などを使用して加圧下で加熱す
ることが好ましい。前述した様に本発明の特徴は、希土
類系磁石(例えばRE−TM−B系磁石)の接合にあた
り、銅を主要成分とする接合部材を使用することであ
る。しかし、電気伝導度、硬さ、強度、耐食性などから
の制約を受けることがある。例えば、希土類系磁石の組
成は一様でなく、また軟磁性材等からなる基体と接合部
材との接合の際にろう合金を使用する場合には、融点、
ぬれ性、浸食性などを考慮する必要がある。このような
問題に対して幅広く対応するために、適宜、RE元素、
B、Cr、Zr、Ti、Be、Ni、Mn、Si、P、
Zn、Snなどの元素の一種または二異以上を0.00
1〜50wt%の範囲で、接合部材に含有することがで
きる。
【0025】希土類系磁石の代表例であるRE−TM−
B系磁石は酸素との親和力が強く、また基本タイプの磁
石は結晶粒界部にREに富む相が分布しており、腐食さ
れ易いとされている。そのため接合の際に活性フラック
スを使用すると、磁石と直接反応し、またはフラツクス
の残査のために腐食が生じることがある。そのため接合
の際におけるフラックスの使用は極力避けた方が好まし
い。また上記理由から、本発明方法においては、接合の
際の雰囲気としては、真空、減圧Ar、Ar、Heなど
の保護性雰囲気が推奨される。このような雰囲気中で加
熱できれば、例えば発熱線を内蔵した電気炉でも、誘導
加熱でも適用可能であり、加熱方法には制限されない。
B系磁石は酸素との親和力が強く、また基本タイプの磁
石は結晶粒界部にREに富む相が分布しており、腐食さ
れ易いとされている。そのため接合の際に活性フラック
スを使用すると、磁石と直接反応し、またはフラツクス
の残査のために腐食が生じることがある。そのため接合
の際におけるフラックスの使用は極力避けた方が好まし
い。また上記理由から、本発明方法においては、接合の
際の雰囲気としては、真空、減圧Ar、Ar、Heなど
の保護性雰囲気が推奨される。このような雰囲気中で加
熱できれば、例えば発熱線を内蔵した電気炉でも、誘導
加熱でも適用可能であり、加熱方法には制限されない。
【0026】希土類系磁石の代表例であるRE−TM−
B系磁石はいわゆるニュークリエーションタイプであ
り、真の保磁力iHcは結晶粒の大きさに依存し、結晶
粒が微細なほど大きい。従って、本発明方法において
は、接合のための加熱温度は磁石の結晶粒の成長が著し
い温度であってはならない。またRE−TM−B系磁石
は、一層高いiHcを得るには、500〜600℃の熱
処理が施される場合があるが、この場合に本発明方法で
は、接合部材と磁石とを接合した後に、かかる熱処理を
行うことができる。
B系磁石はいわゆるニュークリエーションタイプであ
り、真の保磁力iHcは結晶粒の大きさに依存し、結晶
粒が微細なほど大きい。従って、本発明方法において
は、接合のための加熱温度は磁石の結晶粒の成長が著し
い温度であってはならない。またRE−TM−B系磁石
は、一層高いiHcを得るには、500〜600℃の熱
処理が施される場合があるが、この場合に本発明方法で
は、接合部材と磁石とを接合した後に、かかる熱処理を
行うことができる。
【0027】
【作用及び発明の効果】希土類系磁石と相手材との熱膨
張による応力を軽減するには、希土類系磁石と接合部材
との反応生成物である拡散層が延性を保有することが望
ましい。この点請求項1によれば、拡散層は柔らかく、
熱膨張差の吸収に有利であるので、希土類系磁石と接合
部材との接合強度を確保するのに有利である。従って、
使用環境温度が高い場合(例えば200℃)であって
も、希土類系磁石と接合部材との接合界面の耐久性を向
上できる。
張による応力を軽減するには、希土類系磁石と接合部材
との反応生成物である拡散層が延性を保有することが望
ましい。この点請求項1によれば、拡散層は柔らかく、
熱膨張差の吸収に有利であるので、希土類系磁石と接合
部材との接合強度を確保するのに有利である。従って、
使用環境温度が高い場合(例えば200℃)であって
も、希土類系磁石と接合部材との接合界面の耐久性を向
上できる。
【0028】例えば、希土類系磁石がNd−Fe−B系
の場合には一般的にはビッカース硬度が約700であ
り、かなり硬い。これに対して、接合部材において銅側
の拡散層の領域の硬度はマイクロビッカース硬度で30
0程度と柔らかく、磁石側の拡散領域の硬度はマイクロ
ビッカース硬度で250程度と柔らかく、熱膨張差の吸
収に有利である。
の場合には一般的にはビッカース硬度が約700であ
り、かなり硬い。これに対して、接合部材において銅側
の拡散層の領域の硬度はマイクロビッカース硬度で30
0程度と柔らかく、磁石側の拡散領域の硬度はマイクロ
ビッカース硬度で250程度と柔らかく、熱膨張差の吸
収に有利である。
【0029】請求項2によれば、希土類系磁石及び接合
部材の融点未満の温度に加熱して両者の界面に液相を生
じさせるので、上記した拡散層が良好に生成できる。し
かも接合部材の全体が溶融することなく、希土類系磁石
及び接合部材を接合できるので、界面に生成した拡散層
の厚みも薄いものとなり、接合部における強度確保に有
利である。
部材の融点未満の温度に加熱して両者の界面に液相を生
じさせるので、上記した拡散層が良好に生成できる。し
かも接合部材の全体が溶融することなく、希土類系磁石
及び接合部材を接合できるので、界面に生成した拡散層
の厚みも薄いものとなり、接合部における強度確保に有
利である。
【0030】請求項3によれば、基体(例えば軟磁性材
など)に希土類系磁石を容易に装備するのに有利であ
る。請求項4によれば、少なくとも2個の希土類系磁石
を接合するので、希土類系磁石装置が複雑な形状、異形
の場合であっても組付け得る。従って、一体成形が難し
い異形の磁石が作製可能である。
など)に希土類系磁石を容易に装備するのに有利であ
る。請求項4によれば、少なくとも2個の希土類系磁石
を接合するので、希土類系磁石装置が複雑な形状、異形
の場合であっても組付け得る。従って、一体成形が難し
い異形の磁石が作製可能である。
【0031】本発明による希土類系磁石と接合部材との
界面をEPMA(電子線マイクロアナライザー)分析し
たところ、接合部材への磁石成分の拡散と、希土類磁石
への銅または銅合金成分の拡散が認められた。またこの
拡散層の領域は、銅側では厚さがほぼ一定の層状である
が、磁石側では磁石との界面が凹凸に波打っている場合
がある。かかる波打ちも接合強度の向上に有利であると
推察される。
界面をEPMA(電子線マイクロアナライザー)分析し
たところ、接合部材への磁石成分の拡散と、希土類磁石
への銅または銅合金成分の拡散が認められた。またこの
拡散層の領域は、銅側では厚さがほぼ一定の層状である
が、磁石側では磁石との界面が凹凸に波打っている場合
がある。かかる波打ちも接合強度の向上に有利であると
推察される。
【0032】本発明方法において希土類系磁石が割れず
に接合できる理由は、接合部材の母材である銅または銅
合金の融点を下回る温度で、接合部材と希土類系磁石と
を接合できるので、希土類系磁石との反応が比較的緩や
かであること、接合部材の高温強度が低いこと、そして
拡散層が希土類系磁石よりも硬さが低く、比較的延性を
有するため、拡散層が応力の一部を吸収することによる
ものと推察される。
に接合できる理由は、接合部材の母材である銅または銅
合金の融点を下回る温度で、接合部材と希土類系磁石と
を接合できるので、希土類系磁石との反応が比較的緩や
かであること、接合部材の高温強度が低いこと、そして
拡散層が希土類系磁石よりも硬さが低く、比較的延性を
有するため、拡散層が応力の一部を吸収することによる
ものと推察される。
【0033】
【実施例】以下、本発明の試験例を比較例と共に説明す
る。試験例と比較例との差を明瞭にするために、各試験
例及び比較例ともに、希土類系磁石は、重量比でFe−
27.4%Nd−5.6&%Dy−0.5%Pr−1.
1%B−0.9%Co−0.3%Al組成の焼結磁石
(融点1160℃)を使用した。そして希土類系磁石の
接合面をエメリーペーパー#1000で仕上げた後、ア
セトンに漬けて超音波洗浄を行って試験に供した。
る。試験例と比較例との差を明瞭にするために、各試験
例及び比較例ともに、希土類系磁石は、重量比でFe−
27.4%Nd−5.6&%Dy−0.5%Pr−1.
1%B−0.9%Co−0.3%Al組成の焼結磁石
(融点1160℃)を使用した。そして希土類系磁石の
接合面をエメリーペーパー#1000で仕上げた後、ア
セトンに漬けて超音波洗浄を行って試験に供した。
【0034】(試験例1)この試験例では、接合部材と
して純鋼板(融点1083℃)を用いた。この純銅板と
上記希土類系磁石とが反応して液相を生じる温度は80
0〜820℃である。接合部材として12mm×12m
m角で厚さが0.5mmの純銅板、直径10mm×7m
mの希土類系磁石、25gの錘の順に積重ねてステンレ
ス鋼製ボートに乗せた。これを真空加熱炉中に装入し、
800℃×10minで保持した後に、冷却ガスとして
Arガスを導入して冷却した。炉の昇温速度は、常温か
ら『目標温度−100℃』までは50℃/min、そし
て目標温度までは5℃/minで昇温し、目標温度で1
0min保持して冷却の条件に設定して接合試験を行っ
た。加熱時の真空度は3×10-5Torrであった。冷
却後の試験片を樹脂に埋め込み、試験片の接合界面の光
学顕微鏡組織を観察し、これを図4(倍率:50倍)に
示した。図4において上部の黒点が散在している部分が
磁石であり、図4の中央域の白抜きの部分がCu(接合
部材)であり、図4の下部の黒色部分は埋め込み樹脂で
あり、Cuと磁石との界面に薄膜状の拡散層が生成して
いるのが確認される。この様に800℃における加熱に
より、希土類系磁石と純銅板とが界面において反応し、
拡散層が生成している。しかも欠陥のない状態で接合し
ていることが確認された。
して純鋼板(融点1083℃)を用いた。この純銅板と
上記希土類系磁石とが反応して液相を生じる温度は80
0〜820℃である。接合部材として12mm×12m
m角で厚さが0.5mmの純銅板、直径10mm×7m
mの希土類系磁石、25gの錘の順に積重ねてステンレ
ス鋼製ボートに乗せた。これを真空加熱炉中に装入し、
800℃×10minで保持した後に、冷却ガスとして
Arガスを導入して冷却した。炉の昇温速度は、常温か
ら『目標温度−100℃』までは50℃/min、そし
て目標温度までは5℃/minで昇温し、目標温度で1
0min保持して冷却の条件に設定して接合試験を行っ
た。加熱時の真空度は3×10-5Torrであった。冷
却後の試験片を樹脂に埋め込み、試験片の接合界面の光
学顕微鏡組織を観察し、これを図4(倍率:50倍)に
示した。図4において上部の黒点が散在している部分が
磁石であり、図4の中央域の白抜きの部分がCu(接合
部材)であり、図4の下部の黒色部分は埋め込み樹脂で
あり、Cuと磁石との界面に薄膜状の拡散層が生成して
いるのが確認される。この様に800℃における加熱に
より、希土類系磁石と純銅板とが界面において反応し、
拡散層が生成している。しかも欠陥のない状態で接合し
ていることが確認された。
【0035】また比較例として、加熱温度だけを750
℃に変更し、残りの条件を試験例1と同様にした条件で
加熱し、比較例にかかる試験片を作製した。これを光学
顕微鏡組織で観察したところ、磁石と純銅板との界面に
おいて拡散層を生成する反応が開始せず、純銅板と磁石
との接合は行われていないのが確認された。従って、加
熱温度の選定が重要である。
℃に変更し、残りの条件を試験例1と同様にした条件で
加熱し、比較例にかかる試験片を作製した。これを光学
顕微鏡組織で観察したところ、磁石と純銅板との界面に
おいて拡散層を生成する反応が開始せず、純銅板と磁石
との接合は行われていないのが確認された。従って、加
熱温度の選定が重要である。
【0036】上記した事項から前記した特開平5−15
117号公報にかかる技術によれば、加熱温度が低いた
め、磁石とシャフトとの接合界面において拡散層は生成
していないものと考えられる。 (試験例2)この試験例は、軟磁性材(炭素鋼:S15
C)と希土類系磁石とを一回の加熱で接合した例であ
る。この例では、直径25mm×5mmの軟磁性材(S
15C)の上に10mm×10mmで厚さ40μmの銀
ろう箔(JIS BAg−8)、接合部材として12m
m×12mmで厚さ0.5mmの純銅板、直径10mm
×7mmの希土類系磁石、その上に25gの錘の順に積
重ねてステンレス鋼製ボートに乗せた。これを真空加熱
炉中に装入し、830℃×10minで保持した後、冷
却ガスとしてArガスを導入して冷却した。尚、加熱炉
の昇温パターンは試験例1と同様である。
117号公報にかかる技術によれば、加熱温度が低いた
め、磁石とシャフトとの接合界面において拡散層は生成
していないものと考えられる。 (試験例2)この試験例は、軟磁性材(炭素鋼:S15
C)と希土類系磁石とを一回の加熱で接合した例であ
る。この例では、直径25mm×5mmの軟磁性材(S
15C)の上に10mm×10mmで厚さ40μmの銀
ろう箔(JIS BAg−8)、接合部材として12m
m×12mmで厚さ0.5mmの純銅板、直径10mm
×7mmの希土類系磁石、その上に25gの錘の順に積
重ねてステンレス鋼製ボートに乗せた。これを真空加熱
炉中に装入し、830℃×10minで保持した後、冷
却ガスとしてArガスを導入して冷却した。尚、加熱炉
の昇温パターンは試験例1と同様である。
【0037】試験片における接合界面の光学顕微鏡組織
を図5(倍率:50倍)に示す。図5において上部の黒
点が散在している部分が磁石であり、白抜きの部分がC
u(接合部材)であり、下部の部分は軟磁性材(S15
C)であり、Cuと磁石との界面に拡散層が生成してい
るのが確認され、拡散層を介して希土類系磁石と純銅板
(Cu)とは良好に接合している。尚、軟磁性材(S1
5C)と純銅板(Cu)も銀ろうを介して良好に接合し
ている。なお、接合に使用した銀ろうは、接合時に外へ
押出されたために厚さが薄くなっている。
を図5(倍率:50倍)に示す。図5において上部の黒
点が散在している部分が磁石であり、白抜きの部分がC
u(接合部材)であり、下部の部分は軟磁性材(S15
C)であり、Cuと磁石との界面に拡散層が生成してい
るのが確認され、拡散層を介して希土類系磁石と純銅板
(Cu)とは良好に接合している。尚、軟磁性材(S1
5C)と純銅板(Cu)も銀ろうを介して良好に接合し
ている。なお、接合に使用した銀ろうは、接合時に外へ
押出されたために厚さが薄くなっている。
【0038】(試験例3)前記した様に本発明方法は、
接合部材(純銅材または銅合金材)の融点以下の温度に
加熱して、希土類系磁石と接合部材とを接合させること
を特徴としている。この様に加熱温度が融点以下のた
め、接合時間を要するおそれがある。そこでこの試験例
では加熱時間と接合との関係を試験した。
接合部材(純銅材または銅合金材)の融点以下の温度に
加熱して、希土類系磁石と接合部材とを接合させること
を特徴としている。この様に加熱温度が融点以下のた
め、接合時間を要するおそれがある。そこでこの試験例
では加熱時間と接合との関係を試験した。
【0039】この試験例では、速い昇温速度を得るため
に、高周波誘導加熱炉を使用して3×10-5Torrの
真空中での接合を行った。加熱電源の周波数は10kH
zである。この例では図2から理解できる様に、10m
m×10mm×30mmの角材状の軟磁性材(S15
C)4xの中央部に、8mm×8mmで厚さ40μmの
銀ろう箔5x(JIS BAg−8)、接合部材として
10mm×10mmで厚さ0.5mmの純銅板2xの順
に乗せ、さらにその上に10mm×10mm×30mm
の希土類系磁石1xを軟磁性材4xと直交するように置
き、十字の形にセットして加熱炉中で接合を行った。こ
の時の昇温速度は1200℃/minである。尚試験片
の温度は、直径0.2mmの熱電対7xを軟磁性材(S
15C)4xの接合部近傍に電気溶接して測定した。
に、高周波誘導加熱炉を使用して3×10-5Torrの
真空中での接合を行った。加熱電源の周波数は10kH
zである。この例では図2から理解できる様に、10m
m×10mm×30mmの角材状の軟磁性材(S15
C)4xの中央部に、8mm×8mmで厚さ40μmの
銀ろう箔5x(JIS BAg−8)、接合部材として
10mm×10mmで厚さ0.5mmの純銅板2xの順
に乗せ、さらにその上に10mm×10mm×30mm
の希土類系磁石1xを軟磁性材4xと直交するように置
き、十字の形にセットして加熱炉中で接合を行った。こ
の時の昇温速度は1200℃/minである。尚試験片
の温度は、直径0.2mmの熱電対7xを軟磁性材(S
15C)4xの接合部近傍に電気溶接して測定した。
【0040】試験例3では試験片が830℃に到達する
と同時(つまり0秒)に加熱を停止して試験片を作製し
た。更に試験片が830℃に到達した後に30秒、60
秒、120秒、180秒、300秒までの保持を行って
から加熱を停止し、試験片を作製した。830℃に到達
すると同時に加熱を停止した試験片の光学顕微鏡組織を
図6(倍率:50倍)及び図7(倍率:400倍)に示
す。図6において上部の黒点が散在している部分が磁石
であり、白抜きの部分がCu(接合部材)であり、下部
の部分は軟磁性材(S15C)であり、Cuと磁石との
界面に拡散層が生成しているのが確認され、軟磁性材
(S15C)とCuとの界面に銀ろうのろう付層が生成
している。この様に図6、図7においても接合部材と磁
石との界面において薄膜状の拡散層が生成されているの
がわかる。
と同時(つまり0秒)に加熱を停止して試験片を作製し
た。更に試験片が830℃に到達した後に30秒、60
秒、120秒、180秒、300秒までの保持を行って
から加熱を停止し、試験片を作製した。830℃に到達
すると同時に加熱を停止した試験片の光学顕微鏡組織を
図6(倍率:50倍)及び図7(倍率:400倍)に示
す。図6において上部の黒点が散在している部分が磁石
であり、白抜きの部分がCu(接合部材)であり、下部
の部分は軟磁性材(S15C)であり、Cuと磁石との
界面に拡散層が生成しているのが確認され、軟磁性材
(S15C)とCuとの界面に銀ろうのろう付層が生成
している。この様に図6、図7においても接合部材と磁
石との界面において薄膜状の拡散層が生成されているの
がわかる。
【0041】更に、830℃に到達してから160秒保
持した試験片の接合部分における光学顕微鏡組織を図8
(倍率:50倍)、図9(倍率:400倍)に示す。図
8において上部の黒点が散在している部分が磁石であ
り、白抜きの部分がCu(接合部材)であり、下部の部
分は軟磁性材(S15C)であり、Cuと磁石との界面
に拡散層が生成しているのが確認され、軟磁性材(S1
5C)とCuとの界面に銀ろうのろう付層が生成してい
る。
持した試験片の接合部分における光学顕微鏡組織を図8
(倍率:50倍)、図9(倍率:400倍)に示す。図
8において上部の黒点が散在している部分が磁石であ
り、白抜きの部分がCu(接合部材)であり、下部の部
分は軟磁性材(S15C)であり、Cuと磁石との界面
に拡散層が生成しているのが確認され、軟磁性材(S1
5C)とCuとの界面に銀ろうのろう付層が生成してい
る。
【0042】拡散層は接合部材(Cu)側と磁石側の両
方に認められる。従って拡散層は、銅側拡散層と磁石側
拡散層とで構成できる。しかし磁石側拡散層は0秒では
殆ど認められない。この様に図8、図9においても接合
部材と磁石との界面において薄膜状の拡散層が生成され
ているのがわかる。更に、830℃に到達してから30
0秒保持した試験片の光学顕微鏡組織を図10(倍率:
50倍)、図11(倍率:400倍)に示す。図10に
おいて上部の黒点が散在している部分が磁石であり、白
抜きの部分がCu(接合部材)であり、下部の部分は軟
磁性材(S15C)であり、Cuと磁石との界面に拡散
層が生成しているのが確認され、軟磁性材(S15C)
とCuとの界面に銀ろうのろう付層が生成している。こ
の様に図10、図11においても接合部材と磁石との界
面において薄膜状の拡散層が生成されているのがわか
る。また、300秒の保持では拡散層の厚みが厚くな
り、その厚みは銅側拡散層で約25μm、磁石側拡散層
で約190μmである。
方に認められる。従って拡散層は、銅側拡散層と磁石側
拡散層とで構成できる。しかし磁石側拡散層は0秒では
殆ど認められない。この様に図8、図9においても接合
部材と磁石との界面において薄膜状の拡散層が生成され
ているのがわかる。更に、830℃に到達してから30
0秒保持した試験片の光学顕微鏡組織を図10(倍率:
50倍)、図11(倍率:400倍)に示す。図10に
おいて上部の黒点が散在している部分が磁石であり、白
抜きの部分がCu(接合部材)であり、下部の部分は軟
磁性材(S15C)であり、Cuと磁石との界面に拡散
層が生成しているのが確認され、軟磁性材(S15C)
とCuとの界面に銀ろうのろう付層が生成している。こ
の様に図10、図11においても接合部材と磁石との界
面において薄膜状の拡散層が生成されているのがわか
る。また、300秒の保持では拡散層の厚みが厚くな
り、その厚みは銅側拡散層で約25μm、磁石側拡散層
で約190μmである。
【0043】このように保持時間が0〜300秒の間に
おいて、つまり接合時間が0秒であっても拡散層が生成
しており、短時間で接合可能であることが理解できる。
上記した試験例3の方法で作製した試験片の接合界面の
引張強度を試験した。図3に示す様に、十字形に接合し
た試験片のうち磁石1xを支持台85の突部85cに乗
せると共に、軟磁性材4xにコ字体80の端部81を当
てがい、コ字体80に圧縮荷重を加え、接合界面におけ
る引張試験を行った。引張試験は、常温(25℃)〜2
00℃において行った。この様に引張試験において試験
片の破断は、接合(Cu)板/軟磁性材(S15C)と
の界面における銀ろう付部ではなく、希土類系磁石/接
合(Cu)板の接合界面を含む希土類系磁石側で発生し
た。
おいて、つまり接合時間が0秒であっても拡散層が生成
しており、短時間で接合可能であることが理解できる。
上記した試験例3の方法で作製した試験片の接合界面の
引張強度を試験した。図3に示す様に、十字形に接合し
た試験片のうち磁石1xを支持台85の突部85cに乗
せると共に、軟磁性材4xにコ字体80の端部81を当
てがい、コ字体80に圧縮荷重を加え、接合界面におけ
る引張試験を行った。引張試験は、常温(25℃)〜2
00℃において行った。この様に引張試験において試験
片の破断は、接合(Cu)板/軟磁性材(S15C)と
の界面における銀ろう付部ではなく、希土類系磁石/接
合(Cu)板の接合界面を含む希土類系磁石側で発生し
た。
【0044】830℃×60secの条件で接合した試
験片の試験結果(引張強度)を図12の特性線Pに示
す。図12の特性線Pに示す様に、引張強度は、25℃
では約120kg/cm2 であるが、試験温度が高くな
るにつれて次第に上昇し、200℃では約300kg/
cm2 になっている。これは、接合界面自体の接合強度
の変化というよりもむしろ、希土類系磁石の母材の性質
を反映しているものと推察される。即ち、200℃とい
う高温領域では希土類系磁石の母材の切欠感受性が低下
するため、これの影響によるものと推察される。
験片の試験結果(引張強度)を図12の特性線Pに示
す。図12の特性線Pに示す様に、引張強度は、25℃
では約120kg/cm2 であるが、試験温度が高くな
るにつれて次第に上昇し、200℃では約300kg/
cm2 になっている。これは、接合界面自体の接合強度
の変化というよりもむしろ、希土類系磁石の母材の性質
を反映しているものと推察される。即ち、200℃とい
う高温領域では希土類系磁石の母材の切欠感受性が低下
するため、これの影響によるものと推察される。
【0045】即ち、本試験例で用いた希土類系磁石は極
めて脆く、上記引張強度は希土類系磁石の面粗さや接合
部分に含まれる欠陥によって影響されることが推察され
る。従って試験結果である引張強度は、希土類系磁石の
母材の性質と、接合部分に含まれる欠陥の両方から影響
を受けているものと考えられる。更に、830℃で保持
時間を種々変化させて接合した場合において、25℃に
おける引張強度を図13の特性線R1に示し、200℃
における引張強度を図13の特性線R2に示す。参考ま
でに拡散層の厚さTも図13の右側の縦軸にとり、提示
した。図13において領域T1は磁石側拡散層の厚みを
示し、領域T2は接合部材側の拡散層の厚み、つまり銅
側拡散層の厚みを示す。特性線T、領域T1、T2から
理解できる様に、保持時間が長くなるにつれて、拡散層
の厚さが次第に増す傾向となる。特に領域T1即ち磁石
側拡散層の厚みが増す傾向となる。
めて脆く、上記引張強度は希土類系磁石の面粗さや接合
部分に含まれる欠陥によって影響されることが推察され
る。従って試験結果である引張強度は、希土類系磁石の
母材の性質と、接合部分に含まれる欠陥の両方から影響
を受けているものと考えられる。更に、830℃で保持
時間を種々変化させて接合した場合において、25℃に
おける引張強度を図13の特性線R1に示し、200℃
における引張強度を図13の特性線R2に示す。参考ま
でに拡散層の厚さTも図13の右側の縦軸にとり、提示
した。図13において領域T1は磁石側拡散層の厚みを
示し、領域T2は接合部材側の拡散層の厚み、つまり銅
側拡散層の厚みを示す。特性線T、領域T1、T2から
理解できる様に、保持時間が長くなるにつれて、拡散層
の厚さが次第に増す傾向となる。特に領域T1即ち磁石
側拡散層の厚みが増す傾向となる。
【0046】また図13の特性線R1から理解できる様
に、25℃における引張強度は、830℃において保持
した保持時間によってはあまり変化せず、約100kg
/cm2 程度であった。図13の特性線R2から理解で
きる様に、200℃における引張強度は、25℃におけ
る引張強度はよりも高く、保持時間が0secで引張強
度は360kg/cm2 であり、保持時間が増加するに
つれて引張強度は低下する傾向が認められる。これは保
持時間が長いと、前述の様に拡散層の厚さが増す傾向と
なり、拡散層の厚さが影響を及ぼしているためであると
考えられる。従って拡散層の厚みは過剰に厚くない方が
好ましい。いずれにしても本発明による試験片における
希土類系磁石の接合強度は、200℃のような高温領域
においてすらも、希土類系磁石と接合部材とは実用上充
分な接合強度を有している。
に、25℃における引張強度は、830℃において保持
した保持時間によってはあまり変化せず、約100kg
/cm2 程度であった。図13の特性線R2から理解で
きる様に、200℃における引張強度は、25℃におけ
る引張強度はよりも高く、保持時間が0secで引張強
度は360kg/cm2 であり、保持時間が増加するに
つれて引張強度は低下する傾向が認められる。これは保
持時間が長いと、前述の様に拡散層の厚さが増す傾向と
なり、拡散層の厚さが影響を及ぼしているためであると
考えられる。従って拡散層の厚みは過剰に厚くない方が
好ましい。いずれにしても本発明による試験片における
希土類系磁石の接合強度は、200℃のような高温領域
においてすらも、希土類系磁石と接合部材とは実用上充
分な接合強度を有している。
【0047】(試験例4)希土類系磁石を接合した後に
おける希土類系磁石の磁気特性の変化も重要である。そ
こで、この試験例では、直径10mm×7mmの希土類
系磁石を用い、接合時と同じ条件、即ち830℃×10
minにおいて真空中加熱を行った後、500℃×60
minにおいて熱処理を施し、その後に希土類系磁石の
磁気特性を測定した。更に、接合前の状態つまり人手状
態における希土類系磁石の磁気特性も測定し、両者を比
較した。
おける希土類系磁石の磁気特性の変化も重要である。そ
こで、この試験例では、直径10mm×7mmの希土類
系磁石を用い、接合時と同じ条件、即ち830℃×10
minにおいて真空中加熱を行った後、500℃×60
minにおいて熱処理を施し、その後に希土類系磁石の
磁気特性を測定した。更に、接合前の状態つまり人手状
態における希土類系磁石の磁気特性も測定し、両者を比
較した。
【0048】
【表1】 表1に比較結果を示す。表1に示す様に、加熱後の磁石
は、残留磁束密度Brが11.8(kG)、真の保磁力
iHcが22.0(kOe)、保持力BHcが11.6
(kOe)、最大磁気エネルギー積(BH)maxが3
4.4(MGOe)であった。一方、加熱前即ち入手状
態のままの磁石は、残留磁束密度Brが11.9(k
G)、真の保磁力iHcが22.1(kOe)、保持力
BHcが11.8(kOe)、最大磁気エネルギー積
(BH)maxが35.1(MGOe)であった。この
様に熱処理した後における磁石の磁気特性は、入手状態
の磁石の磁気特性とほぼ同じであった。従って、本発明
による接合の際においても熱履歴を経ても、希土類系磁
石の磁気的性能が劣化しないことは明白である。
は、残留磁束密度Brが11.8(kG)、真の保磁力
iHcが22.0(kOe)、保持力BHcが11.6
(kOe)、最大磁気エネルギー積(BH)maxが3
4.4(MGOe)であった。一方、加熱前即ち入手状
態のままの磁石は、残留磁束密度Brが11.9(k
G)、真の保磁力iHcが22.1(kOe)、保持力
BHcが11.8(kOe)、最大磁気エネルギー積
(BH)maxが35.1(MGOe)であった。この
様に熱処理した後における磁石の磁気特性は、入手状態
の磁石の磁気特性とほぼ同じであった。従って、本発明
による接合の際においても熱履歴を経ても、希土類系磁
石の磁気的性能が劣化しないことは明白である。
【0049】(試験例5)この試験例では、直径7mm
×10mmの軟磁性材(S15C)の上に、6mm×6
mm角で厚さが40μmの銀ろう箔(JIS BAg−
8)、接合部材として直径10mmで厚さがそれぞれ
0.1、0.5mmの純銅板、直径7×10mm希土類
系磁石、25gの錘の順序に積重ねてステンレス鋼製ボ
ートに乗せた。これを真空炉中で830℃×10min
加熱した後、500℃×60min加熱して熱処理を施
した。かかる炉の雰囲気は、接合時には3×10-5To
rrの真空とし、熱処理時には1atmのArガスを使
用した。熱処理時に雰囲気として1atmのArガスを
用いたのは、熱処理後の冷却性を確保するためである。
×10mmの軟磁性材(S15C)の上に、6mm×6
mm角で厚さが40μmの銀ろう箔(JIS BAg−
8)、接合部材として直径10mmで厚さがそれぞれ
0.1、0.5mmの純銅板、直径7×10mm希土類
系磁石、25gの錘の順序に積重ねてステンレス鋼製ボ
ートに乗せた。これを真空炉中で830℃×10min
加熱した後、500℃×60min加熱して熱処理を施
した。かかる炉の雰囲気は、接合時には3×10-5To
rrの真空とし、熱処理時には1atmのArガスを使
用した。熱処理時に雰囲気として1atmのArガスを
用いたのは、熱処理後の冷却性を確保するためである。
【0050】これらの試験片を150kOeのパルス磁
場中で着磁して、磁束(オープンフラックス)および、
接合界面から4.5mm離れた磁石内部の残留磁束密度
Brを測定した。測定結果を図14の●および■で示
す。更に比較例として、希土類系磁石と軟磁性材(S1
5C)との間に純銅板を接合せずに挟んだだけの試験片
も作製し、その試験片について、純銅板の厚さと磁束お
よび残留磁束密度との関係を測定し、測定結果を図14
の特性線V1、V2に示す。ここで特性線V1は磁束を
示し、特性線V2は残留磁束密度Brを示す。図14の
特性線V1、V2の上に●および■がのっていることか
ら、試験例と比較例との磁気的特性はほぼ一致してお
り、従って、接合によって特に磁石の磁気特性が低下し
た徴候は認められなかった。
場中で着磁して、磁束(オープンフラックス)および、
接合界面から4.5mm離れた磁石内部の残留磁束密度
Brを測定した。測定結果を図14の●および■で示
す。更に比較例として、希土類系磁石と軟磁性材(S1
5C)との間に純銅板を接合せずに挟んだだけの試験片
も作製し、その試験片について、純銅板の厚さと磁束お
よび残留磁束密度との関係を測定し、測定結果を図14
の特性線V1、V2に示す。ここで特性線V1は磁束を
示し、特性線V2は残留磁束密度Brを示す。図14の
特性線V1、V2の上に●および■がのっていることか
ら、試験例と比較例との磁気的特性はほぼ一致してお
り、従って、接合によって特に磁石の磁気特性が低下し
た徴候は認められなかった。
【0051】(試験例6)試験例1と同様の方法に従
い、接合部材として厚さ0.5mmの純銅板の上に直接
に希土類系磁石を乗せて、760℃、780℃、800
℃の各温度において10min保持した後に冷却して両
者の反応を調べた。更に接合部材として、重量比でCu
−5%Zn、Cu−30%Zn、Cu−40%Znを採
用し、これらについても同様に試験した。尚、加熱雰囲
気としては純銅板の場合には真空を採用し、Cu−Zn
合金の場合には1atmのArガスを採用した。Arガ
スを用いたのは、Znは蒸気圧が高く蒸発し易いことを
考慮したものである。
い、接合部材として厚さ0.5mmの純銅板の上に直接
に希土類系磁石を乗せて、760℃、780℃、800
℃の各温度において10min保持した後に冷却して両
者の反応を調べた。更に接合部材として、重量比でCu
−5%Zn、Cu−30%Zn、Cu−40%Znを採
用し、これらについても同様に試験した。尚、加熱雰囲
気としては純銅板の場合には真空を採用し、Cu−Zn
合金の場合には1atmのArガスを採用した。Arガ
スを用いたのは、Znは蒸気圧が高く蒸発し易いことを
考慮したものである。
【0052】
【表2】 試験結果を表2に示す。表2において『反応あり』を○
で示し、『反応なし』を×で示した。これは、目視観察
および試験片断面の光学顕微鏡組織観察によって評価し
た。表2に示す様に、融点が1083℃である純銅で
は、800℃において反応が認められた。融点が107
0℃であるCu−5%Znでも、800℃において反応
が認められた。融点が950℃であるCu−30%Zn
でも、800℃において反応が認められた。融点が89
5℃であるCu−40%Znでも、780℃及び800
℃において反応が認められた。この様にどの組成の接合
部材においても、接合部材の融点以下で反応が生じ、つ
まり液相の発生が認められる。なお、融点が他に比較し
て895℃と低めであるCu−40%Znの場合でも、
反応開始温度は780℃であり、それほど低下していな
いものである。
で示し、『反応なし』を×で示した。これは、目視観察
および試験片断面の光学顕微鏡組織観察によって評価し
た。表2に示す様に、融点が1083℃である純銅で
は、800℃において反応が認められた。融点が107
0℃であるCu−5%Znでも、800℃において反応
が認められた。融点が950℃であるCu−30%Zn
でも、800℃において反応が認められた。融点が89
5℃であるCu−40%Znでも、780℃及び800
℃において反応が認められた。この様にどの組成の接合
部材においても、接合部材の融点以下で反応が生じ、つ
まり液相の発生が認められる。なお、融点が他に比較し
て895℃と低めであるCu−40%Znの場合でも、
反応開始温度は780℃であり、それほど低下していな
いものである。
【0053】(試験例7)この例は互いに別体の複数個
の希土類系磁石を接合した例を示す。この例では、直径
10mm×7mmの希土類系磁石の上に直径10mm×
0.1mmの純銅製の接合部材、そして直径10mm×
7mmの別の希土類系磁石を乗せ、試験例1と同様の方
法で真空中で830℃×10min加熱し、その後アル
コンガスで冷却した。
の希土類系磁石を接合した例を示す。この例では、直径
10mm×7mmの希土類系磁石の上に直径10mm×
0.1mmの純銅製の接合部材、そして直径10mm×
7mmの別の希土類系磁石を乗せ、試験例1と同様の方
法で真空中で830℃×10min加熱し、その後アル
コンガスで冷却した。
【0054】この例においても試験片における接合界面
の光学顕微鏡組織を観察し、これを図15(倍率:50
倍)に示した。図15から理解できる様に希土類系磁石
と希土類系磁石は、純銅製の接合部材の拡散層を介して
良好に接合している。 (試験例8)この例は、接合部材として、重量比でCu
−40%Znの銅系合金材からなる板を用いて、希土類
系磁石と希土類系磁石とを接合した例を示す。この例で
は、直径10mm×7mmの希土類系磁石の上に、直径
10mm×0.15mmの重量比でCu−40%Znの
接合部材、そして直径10mm×7mmの希土類系磁石
を乗せて、試験例1と同様の方法で790℃×7min
加熱した。尚、Znの蒸気圧の高さを考慮して加熱雰囲
気として1atmのArガスを用いた。
の光学顕微鏡組織を観察し、これを図15(倍率:50
倍)に示した。図15から理解できる様に希土類系磁石
と希土類系磁石は、純銅製の接合部材の拡散層を介して
良好に接合している。 (試験例8)この例は、接合部材として、重量比でCu
−40%Znの銅系合金材からなる板を用いて、希土類
系磁石と希土類系磁石とを接合した例を示す。この例で
は、直径10mm×7mmの希土類系磁石の上に、直径
10mm×0.15mmの重量比でCu−40%Znの
接合部材、そして直径10mm×7mmの希土類系磁石
を乗せて、試験例1と同様の方法で790℃×7min
加熱した。尚、Znの蒸気圧の高さを考慮して加熱雰囲
気として1atmのArガスを用いた。
【0055】試験片における接合界面の光学顕微鏡組織
を観察したところ、希土類系磁石と希土類系磁石とはC
u−40%Znの合金からなる接合部材を介して良好に
接合している。 (試験例9)この例は、Cu−5%Znからなる銅系合
金材製の接合部材および銀ろう箔を使用して、希土類系
磁石と軟磁性材(S15C)とを一回の加熱で接合した
例である。この例では、試験例2の方法において、純銅
板に代えて、厚さ0.5mmのCu−5%Znの接合部
材を用いた。そして、軟磁性材/銀ろう箔/Cu−5%
Zn合金製の接合部材/磁石/錘の順に積重ねて、80
0℃×5min、1atmのArガス中雰囲気で加熱
し、その後冷却した。
を観察したところ、希土類系磁石と希土類系磁石とはC
u−40%Znの合金からなる接合部材を介して良好に
接合している。 (試験例9)この例は、Cu−5%Znからなる銅系合
金材製の接合部材および銀ろう箔を使用して、希土類系
磁石と軟磁性材(S15C)とを一回の加熱で接合した
例である。この例では、試験例2の方法において、純銅
板に代えて、厚さ0.5mmのCu−5%Znの接合部
材を用いた。そして、軟磁性材/銀ろう箔/Cu−5%
Zn合金製の接合部材/磁石/錘の順に積重ねて、80
0℃×5min、1atmのArガス中雰囲気で加熱
し、その後冷却した。
【0056】試験片における接合界面の光学顕微鏡組織
を観察し、これを図16(倍率:50倍)に示す。図1
6から理解できる様に、希土類系磁石と軟磁性材(S1
5C)とは、Cu−5%Znの接合部材と磁石との界面
の拡散層を介して良好に接合している。更にCu−5%
Znの接合部材とS15Cとは銀ろうのろう付層を介し
て良好に接合している。
を観察し、これを図16(倍率:50倍)に示す。図1
6から理解できる様に、希土類系磁石と軟磁性材(S1
5C)とは、Cu−5%Znの接合部材と磁石との界面
の拡散層を介して良好に接合している。更にCu−5%
Znの接合部材とS15Cとは銀ろうのろう付層を介し
て良好に接合している。
【0057】(比較例1)この例は上記した試験例とは
異なり、接合部材としての銅板を採用していない。即
ち、10mm×10mm×30mmの軟磁性材(S15
C)製の角材の中央部に、厚さ100μmの銀ろう圧延
板(JIS BAg−8)を10mm×10mmに切断
して乗せ、更にその上に10mm×10mm×30mm
の希土類系磁石を軟磁性材と直交するように乗せて十字
の形にセットした。この試験片をステンレス鋼製ボート
に乗せて真空加熱炉中で加熱し、接合を試みた。この例
では、常温から730℃まで50℃/min、730℃
から830℃まで5℃/minの昇温速度で加熱し、1
0min保持した後に、Arガスを導入して冷却した。
加熱時の真空度は3×10-5Torrであった。
異なり、接合部材としての銅板を採用していない。即
ち、10mm×10mm×30mmの軟磁性材(S15
C)製の角材の中央部に、厚さ100μmの銀ろう圧延
板(JIS BAg−8)を10mm×10mmに切断
して乗せ、更にその上に10mm×10mm×30mm
の希土類系磁石を軟磁性材と直交するように乗せて十字
の形にセットした。この試験片をステンレス鋼製ボート
に乗せて真空加熱炉中で加熱し、接合を試みた。この例
では、常温から730℃まで50℃/min、730℃
から830℃まで5℃/minの昇温速度で加熱し、1
0min保持した後に、Arガスを導入して冷却した。
加熱時の真空度は3×10-5Torrであった。
【0058】接合界面における磁石側の光学顕微鏡組織
を図17(A)(倍率:50倍)に示し、軟磁性材側を
図17(B)(倍率:50倍)に示した。図17(A)
(B)から理解できる様に、銀ろうと希土類系磁石とは
反応しているが、希土類系磁石と拡散層との界面におい
て割れを生じており、希土類系磁石が剥離している。従
って希土類系磁石は軟磁性材に接合しなかった。図17
によれば、銀ろうと軟磁性材(S15C)とは接合した
徴候がなく、銀ろうと希土類系磁石との反応が優先した
ことを示している。
を図17(A)(倍率:50倍)に示し、軟磁性材側を
図17(B)(倍率:50倍)に示した。図17(A)
(B)から理解できる様に、銀ろうと希土類系磁石とは
反応しているが、希土類系磁石と拡散層との界面におい
て割れを生じており、希土類系磁石が剥離している。従
って希土類系磁石は軟磁性材に接合しなかった。図17
によれば、銀ろうと軟磁性材(S15C)とは接合した
徴候がなく、銀ろうと希土類系磁石との反応が優先した
ことを示している。
【0059】(比較例2)この比較例では、接合部材と
して、銅板に代えて、厚さ0.1mmの純Zn板を用い
て接合を試みた。この例では、純Zn板に55CsF/
45AlF(mol%)のフラックスを塗って使用した
他は、比較例1と基本的に同じ条件である。更に、予め
470℃に昇温しておいたAr雰囲気炉中へ試験片を装
入し、15min保持した後に冷却する方法を採った。
して、銅板に代えて、厚さ0.1mmの純Zn板を用い
て接合を試みた。この例では、純Zn板に55CsF/
45AlF(mol%)のフラックスを塗って使用した
他は、比較例1と基本的に同じ条件である。更に、予め
470℃に昇温しておいたAr雰囲気炉中へ試験片を装
入し、15min保持した後に冷却する方法を採った。
【0060】純Zn板は基本的には融点が420°Cで
あるため、全体が溶融した後に凝固したものと推察され
る。接合界面のうち希土類系磁石側の光学顕微鏡組織を
図18(A)(倍率:50倍)に示し、軟磁性材側を図
18(B)(倍率:50倍)に示した。これらの図から
理解できる様に、軟磁性材(S15C)とZn板、希土
類系磁石とZn板とはそれぞれ反応しているが、拡散層
が脆弱なために、クラックや脱落が認められる。従っ
て、低融点のろう合金を使用するだけでは、良好な接合
が得られないことを示している。
あるため、全体が溶融した後に凝固したものと推察され
る。接合界面のうち希土類系磁石側の光学顕微鏡組織を
図18(A)(倍率:50倍)に示し、軟磁性材側を図
18(B)(倍率:50倍)に示した。これらの図から
理解できる様に、軟磁性材(S15C)とZn板、希土
類系磁石とZn板とはそれぞれ反応しているが、拡散層
が脆弱なために、クラックや脱落が認められる。従っ
て、低融点のろう合金を使用するだけでは、良好な接合
が得られないことを示している。
【0061】(比較例3)この例は、加熱温度を900
°Cにした点を除いて、試験例1の条件に従って接合し
た例である。接合界面の光学顕微鏡組織を観察したとこ
ろ、希土類系磁石が割れて剥離していた。拡散層は生じ
ていたものの拡散層と希土類系磁石との境界部で剥離が
発生し、かつ、拡散層の厚さは厚く、特に銅板は0.5
mmの全厚さが拡散層になっている。
°Cにした点を除いて、試験例1の条件に従って接合し
た例である。接合界面の光学顕微鏡組織を観察したとこ
ろ、希土類系磁石が割れて剥離していた。拡散層は生じ
ていたものの拡散層と希土類系磁石との境界部で剥離が
発生し、かつ、拡散層の厚さは厚く、特に銅板は0.5
mmの全厚さが拡散層になっている。
【0062】また純銅板の中央部では共晶組織の様相を
呈している。更に灰色の粒子が希土類系磁石と純銅板と
の間から押出されているのが目視された。従って900
℃加熱では接合界面だけではなく、純銅板の略全域にお
いて液相が存在し、これが固化、流出したものであると
推察される。このように接合部材である純銅板の融点以
下に加熱した場合であっても、加熱温度が900°Cと
高過ぎる場合には、希土類系磁石が割れる。従って適切
な加熱温度の選定は重要である。
呈している。更に灰色の粒子が希土類系磁石と純銅板と
の間から押出されているのが目視された。従って900
℃加熱では接合界面だけではなく、純銅板の略全域にお
いて液相が存在し、これが固化、流出したものであると
推察される。このように接合部材である純銅板の融点以
下に加熱した場合であっても、加熱温度が900°Cと
高過ぎる場合には、希土類系磁石が割れる。従って適切
な加熱温度の選定は重要である。
【図1】希土類系磁石を銅系の接合部材を介して基体に
接合している形態を模式的に示す断面構成図である。
接合している形態を模式的に示す断面構成図である。
【図2】希土類系磁石を銅系の接合部材を介して基体
(S15C)に接合する直前の形態を模式的に示す構成
図である。
(S15C)に接合する直前の形態を模式的に示す構成
図である。
【図3】希土類系磁石を銅系の接合部材を介して基体
(S15C)に接合した試験片を用い、その接合強度を
試験する形態を示す構成図である。
(S15C)に接合した試験片を用い、その接合強度を
試験する形態を示す構成図である。
【図4】試験例1にかかる接合界面の金属組織を示す写
真である。
真である。
【図5】試験例2にかかる接合界面の金属組織を示す写
真である。
真である。
【図6】試験例3にかかる接合界面の金属組織を示す写
真である。
真である。
【図7】同接合界面の金属組織を拡大して示す写真であ
る。
る。
【図8】試験例3にかかる他の試験片にかかる接合界面
の金属組織を示す写真である。
の金属組織を示す写真である。
【図9】同接合界面の金属組織を拡大して示す写真であ
る。
る。
【図10】試験例3にかかる他の別の試験片にかかる接
合界面の金属組織を示す写真である。
合界面の金属組織を示す写真である。
【図11】同接合界面の金属組織を拡大して示す写真で
ある。
ある。
【図12】接合界面の引張強度と加熱温度との関係を示
すグラフである。
すグラフである。
【図13】接合界面の引張強度と加熱保持時間との関
係、接合界面の拡散層の厚みと加熱保持時間との関係を
示すグラフである。
係、接合界面の拡散層の厚みと加熱保持時間との関係を
示すグラフである。
【図14】銅板の厚みと磁束及び残留磁気密度との関係
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図15】試験例7にかかる接合界面の金属組織を示す
写真である。
写真である。
【図16】試験例9にかかる接合界面の金属組織を示す
写真である。
写真である。
【図17】比較例にかかる未接合状態の界面の金属組織
を示す写真である。
を示す写真である。
【図18】比較例にかかる未接合状態の界接合界面の金
属組織を示す写真である。
属組織を示す写真である。
図中、1は希土類系磁石、2は接合部材、3は拡散層、
4は基体を示す。
4は基体を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浜本 弘 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 加藤 義雄 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 川端 康己 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 三浦 徹也 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 近藤 正恒 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 久保 馨 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内
Claims (4)
- 【請求項1】希土類系磁石と、 該希土類系磁石に接合すると共に銅を主要成分とする接
合部材と、 該希土類系磁石と該接合部材との界面に形成された拡散
層とを有することを特徴とする希土類系磁石装置。 - 【請求項2】希土類系磁石と、銅を主要成分とする接合
部材とを用い、 該希土類系磁石と該接合部材とを互いに接触させた状態
で、該希土類系磁石及び該接合部材の母材の融点未満の
温度でかつ加熱により希土類系磁石と接合部材とが反応
して液相を生じる温度に加熱し、その後冷却することに
より、 該希土類系磁石と該接合部材との界面に拡散層を形成
し、該拡散層を介して該希土類系磁石と該接合部材とを
接合することを特徴とする希土類系磁石の接合方法。 - 【請求項3】希土類系磁石と、銅を主要成分とする接合
部材と、ろう材と、基体とを用い、該基体、該ろう材、
該接合部材、該希土類系磁石を接触させつつ順に積層し
た状態で、該希土類系磁石及び該接合部材の融点未満の
温度でかつ加熱により希土類系磁石と接合部材しが反応
して液相を生じる温度に加熱し、その後冷却することに
より、 該希土類系磁石と該接合部材との界面に拡散層を形成
し、該拡散層を介して該希土類系磁石と該接合部材とを
接合すると共に、該接合部材と該基材の界面にろう付層
を形成し、該ろう付層を介して該接合部材と該基体とを
接合することを特徴とする希土類系磁石の接合方法。 - 【請求項4】少なくとも2個の希土類系磁石と、銅を主
要成分とする接合部材とを用い、 該希土類系磁石間に該接合部材を接触させた状態で配置
し、該希土類系磁石及び該接合部材の母材の融点未満の
温度でかつ加熱により希土類系磁石と接合部材とが反応
して液相を生じる温度に加熱し、 該希土類系磁石と該接合部材との界面に拡散層を形成
し、該拡散層を介して該希土類系磁石同士を接合するこ
とを特徴とする希土類系磁石の接合方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6240736A JPH0878231A (ja) | 1994-09-07 | 1994-09-07 | 希土類系磁石装置及び希土類系磁石の接合方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6240736A JPH0878231A (ja) | 1994-09-07 | 1994-09-07 | 希土類系磁石装置及び希土類系磁石の接合方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0878231A true JPH0878231A (ja) | 1996-03-22 |
Family
ID=17063942
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6240736A Pending JPH0878231A (ja) | 1994-09-07 | 1994-09-07 | 希土類系磁石装置及び希土類系磁石の接合方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0878231A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000161520A (ja) * | 1998-09-22 | 2000-06-16 | Fuji Koki Corp | 電動弁 |
CN103312064A (zh) * | 2012-03-16 | 2013-09-18 | 西门子公司 | 具有永磁激励的转子,具有转子的电机和转子制造方法 |
-
1994
- 1994-09-07 JP JP6240736A patent/JPH0878231A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000161520A (ja) * | 1998-09-22 | 2000-06-16 | Fuji Koki Corp | 電動弁 |
CN103312064A (zh) * | 2012-03-16 | 2013-09-18 | 西门子公司 | 具有永磁激励的转子,具有转子的电机和转子制造方法 |
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