JPH0873963A - 高酸素クロムターゲット用焼結成形体の製造方法 - Google Patents
高酸素クロムターゲット用焼結成形体の製造方法Info
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- JPH0873963A JPH0873963A JP21494294A JP21494294A JPH0873963A JP H0873963 A JPH0873963 A JP H0873963A JP 21494294 A JP21494294 A JP 21494294A JP 21494294 A JP21494294 A JP 21494294A JP H0873963 A JPH0873963 A JP H0873963A
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- powder
- chromium oxide
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 磁気記録媒体上にターゲット材の薄膜を形成
させる際に起こる酸化物の発塵現象が防止できると共
に、記録密度の向上を図ることができるクロムターゲッ
ト用焼結成形体を有利に製造する技術を提案すること。 【構成】 金属クロム中に、クロム酸化物結晶粒子を分
散させてなるクロムターゲット用焼結成形体を製造する
にあたり、固溶酸素または酸化物結晶を含有する金属ク
ロム粉末および/または酸化クロム粉末とを混合し、次
いで、その混合粉末を熱間静水圧プレス成形処理するこ
とにより、金属クロム中に、粒径0.1 〜100 μmのクロ
ム酸化物結晶粒子を析出または結晶成長させた焼結体と
する。
させる際に起こる酸化物の発塵現象が防止できると共
に、記録密度の向上を図ることができるクロムターゲッ
ト用焼結成形体を有利に製造する技術を提案すること。 【構成】 金属クロム中に、クロム酸化物結晶粒子を分
散させてなるクロムターゲット用焼結成形体を製造する
にあたり、固溶酸素または酸化物結晶を含有する金属ク
ロム粉末および/または酸化クロム粉末とを混合し、次
いで、その混合粉末を熱間静水圧プレス成形処理するこ
とにより、金属クロム中に、粒径0.1 〜100 μmのクロ
ム酸化物結晶粒子を析出または結晶成長させた焼結体と
する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸素含有量の高いクロ
ムターゲット用焼結成形体の製造方法に関し、特に、ス
パッタリングによる成膜時の発塵現象を効果的に防止し
て磁気特性に優れたクロムターゲット用原料(焼結成形
体)を製造する技術に関しての提案である。
ムターゲット用焼結成形体の製造方法に関し、特に、ス
パッタリングによる成膜時の発塵現象を効果的に防止し
て磁気特性に優れたクロムターゲット用原料(焼結成形
体)を製造する技術に関しての提案である。
【0002】
【従来の技術】近年、スパッタリング法は、エレクトロ
ニクスや光学、精密機器、切削工具等の分野において、
薄膜形成技術の一つとして広く採用されている。このス
パッタリング法は、蒸着源となる材料を成形加工して得
たターゲットに、アルゴンその他のイオンを衝突させ、
このとき発生した金属粒子を、基板やウエハー等の被蒸
着材上に堆積させることにより、薄膜を形成する技術と
して有効な方法の1つである。
ニクスや光学、精密機器、切削工具等の分野において、
薄膜形成技術の一つとして広く採用されている。このス
パッタリング法は、蒸着源となる材料を成形加工して得
たターゲットに、アルゴンその他のイオンを衝突させ、
このとき発生した金属粒子を、基板やウエハー等の被蒸
着材上に堆積させることにより、薄膜を形成する技術と
して有効な方法の1つである。
【0003】このような方法に用いられるターゲット用
原料として、最近、光学特性, 電気特性および耐食性に
優れるクロムが脚光を浴びている。即ち、、このクロム
は、Co−Ni等の磁気記録媒体における下地薄膜等の蒸着
源(ターゲット)として注目されているものの1つであ
る。このような背景の下で最近、クロムターゲット用原
料についての研究, 即ち、溶解鋳造や粉末冶金による金
属クロムの製造方法についての研究が種々なされてき
た。
原料として、最近、光学特性, 電気特性および耐食性に
優れるクロムが脚光を浴びている。即ち、、このクロム
は、Co−Ni等の磁気記録媒体における下地薄膜等の蒸着
源(ターゲット)として注目されているものの1つであ
る。このような背景の下で最近、クロムターゲット用原
料についての研究, 即ち、溶解鋳造や粉末冶金による金
属クロムの製造方法についての研究が種々なされてき
た。
【0004】例えば、粉末冶金法によって金属クロムを
製造する方法として、高純度の金属クロム粉末を熱間静
水圧プレス(以下、「HIP」という。)処理によっ
て、加圧成形する方法などが知られている。また、特公
平4−48868 号公報には、O:1000ppm 以下、N:300
ppm 以下、残部実質的にCrからなる磁気記録媒体の磁性
薄膜の下地膜形成用クロムターゲット部材が開示されて
いるが、この公報の開示においても、上記粉末冶金法に
よって作製した高純度クロムを用いることが好ましい旨
の記載がある。なお、これらの従来技術の特徴は、不純
物元素であるO, Nに着目し、O, N量を一定量以下に
押さえることにより、高い保磁力と高いスパッター速度
を得るという点にある。
製造する方法として、高純度の金属クロム粉末を熱間静
水圧プレス(以下、「HIP」という。)処理によっ
て、加圧成形する方法などが知られている。また、特公
平4−48868 号公報には、O:1000ppm 以下、N:300
ppm 以下、残部実質的にCrからなる磁気記録媒体の磁性
薄膜の下地膜形成用クロムターゲット部材が開示されて
いるが、この公報の開示においても、上記粉末冶金法に
よって作製した高純度クロムを用いることが好ましい旨
の記載がある。なお、これらの従来技術の特徴は、不純
物元素であるO, Nに着目し、O, N量を一定量以下に
押さえることにより、高い保磁力と高いスパッター速度
を得るという点にある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、磁気記録媒
体の保磁力や角型比を向上させるには、上記従来技術に
も開示されているように、不純物は少ない方が好まし
く、それ故に、O, N等の不純物元素の少ないことが望
ましいとされてきた。
体の保磁力や角型比を向上させるには、上記従来技術に
も開示されているように、不純物は少ない方が好まし
く、それ故に、O, N等の不純物元素の少ないことが望
ましいとされてきた。
【0006】ところが、最近の研究によると、高い記録
密度を有する磁気記録媒体を得るためには、不純物元素
は常に少ない方がよいわけではなく、逆に、酸素含有量
が高い方が記録密度の向上に寄与する場合があることが
判ってきた。底で最近では、酸素含有量の高いクロムタ
ーゲットおよびその原料の供給が求められるようになっ
てきている。
密度を有する磁気記録媒体を得るためには、不純物元素
は常に少ない方がよいわけではなく、逆に、酸素含有量
が高い方が記録密度の向上に寄与する場合があることが
判ってきた。底で最近では、酸素含有量の高いクロムタ
ーゲットおよびその原料の供給が求められるようになっ
てきている。
【0007】しかしながら、一般に、クロム中の酸素固
溶限は極めて低く、例えば数千ppmの酸素をクロム中に
添加し、800 ℃以上の熱履歴を受けると、酸素のほとん
どはクロム酸化物( Cr2O3)として介在物の形態で存在す
ることが知られている。
溶限は極めて低く、例えば数千ppmの酸素をクロム中に
添加し、800 ℃以上の熱履歴を受けると、酸素のほとん
どはクロム酸化物( Cr2O3)として介在物の形態で存在す
ることが知られている。
【0008】そのため、このような介在物がターゲット
中に無秩序に存在すると、スパッタリングによる成膜の
際に、当該介在物の帯電あるいは局部的な異常放電等を
誘発し、その結果、介在物が破壊され、あるいは介在物
がターゲットより離脱し、成膜槽中を浮遊する、いわゆ
る発塵現象を引き起こすという問題を生じる。
中に無秩序に存在すると、スパッタリングによる成膜の
際に、当該介在物の帯電あるいは局部的な異常放電等を
誘発し、その結果、介在物が破壊され、あるいは介在物
がターゲットより離脱し、成膜槽中を浮遊する、いわゆ
る発塵現象を引き起こすという問題を生じる。
【0009】このような発塵は、発塵により浮遊した介
在物粒子が、成膜時に、膜中に取り込まれるか、あるい
は膜上に付着して突起を形成することから、磁性体の記
録密度の向上を図る上で好ましくない現象であった。特
に、近年の記録密度の増加に伴って磁気ヘッドのフライ
ングハイトが1μm以下と低くなると、磁性体膜に存在
する上記突起とヘッドが衝突する, いわゆるヘッドクラ
ッシュという致命的な故障を生ずる可能性が高くなる傾
向にあった。
在物粒子が、成膜時に、膜中に取り込まれるか、あるい
は膜上に付着して突起を形成することから、磁性体の記
録密度の向上を図る上で好ましくない現象であった。特
に、近年の記録密度の増加に伴って磁気ヘッドのフライ
ングハイトが1μm以下と低くなると、磁性体膜に存在
する上記突起とヘッドが衝突する, いわゆるヘッドクラ
ッシュという致命的な故障を生ずる可能性が高くなる傾
向にあった。
【0010】そこで本発明の目的は、クロムターゲット
に使用する高酸素含有金属クロムの焼結成形体を有利に
製造するための技術を提案することにあり、具体的に
は、磁気記録媒体上にターゲット材の薄膜を形成させる
際に起こる酸化物の発塵現象が防止できると共に、記録
密度の向上を図ることができるクロムターゲット用焼結
成形体を有利に製造する技術を提案することにある。
に使用する高酸素含有金属クロムの焼結成形体を有利に
製造するための技術を提案することにあり、具体的に
は、磁気記録媒体上にターゲット材の薄膜を形成させる
際に起こる酸化物の発塵現象が防止できると共に、記録
密度の向上を図ることができるクロムターゲット用焼結
成形体を有利に製造する技術を提案することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上掲の目
的実現のために鋭意研究を行った結果、以下に示すよう
な本発明に想到した。 (1) 金属クロム中に、クロム酸化物結晶粒子を分散させ
てなるクロムターゲット用焼結成形体を製造するにあた
り、固溶酸素またはクロム酸化物結晶を含有する金属ク
ロム粉末を直接、熱間静水圧プレス成形処理することに
より、金属クロム中に、粒径0.1 〜100 μmのクロム酸
化物結晶粒子を析出または結晶成長させた焼結体とする
ことを特徴とする高酸素クロムターゲット用焼結成形体
の製造方法。 (2) 金属クロム中に、クロム酸化物結晶粒子を分散させ
てなるクロムターゲット用焼結成形体を製造するにあた
り、固溶酸素またはクロム酸化物結晶を含有する金属ク
ロム粉末および/または酸化クロム粉末とを混合し、次
いで、その混合粉末を熱間静水圧プレス成形処理するこ
とにより、金属クロム中に、粒径0.1 〜100 μmのクロ
ム酸化物結晶粒子を析出または結晶成長させた焼結体と
することを特徴とする高酸素クロムターゲット用焼結成
形体の製造方法。
的実現のために鋭意研究を行った結果、以下に示すよう
な本発明に想到した。 (1) 金属クロム中に、クロム酸化物結晶粒子を分散させ
てなるクロムターゲット用焼結成形体を製造するにあた
り、固溶酸素またはクロム酸化物結晶を含有する金属ク
ロム粉末を直接、熱間静水圧プレス成形処理することに
より、金属クロム中に、粒径0.1 〜100 μmのクロム酸
化物結晶粒子を析出または結晶成長させた焼結体とする
ことを特徴とする高酸素クロムターゲット用焼結成形体
の製造方法。 (2) 金属クロム中に、クロム酸化物結晶粒子を分散させ
てなるクロムターゲット用焼結成形体を製造するにあた
り、固溶酸素またはクロム酸化物結晶を含有する金属ク
ロム粉末および/または酸化クロム粉末とを混合し、次
いで、その混合粉末を熱間静水圧プレス成形処理するこ
とにより、金属クロム中に、粒径0.1 〜100 μmのクロ
ム酸化物結晶粒子を析出または結晶成長させた焼結体と
することを特徴とする高酸素クロムターゲット用焼結成
形体の製造方法。
【0012】
【作用】本発明にかかるターゲット用原料, 即ち、高酸
素含有クロムターゲット用焼結成形体の製造方法は、こ
の焼結成形体中の金属クロムの中に、クロム酸化物結晶
粒子を、当該酸化物結晶粒子を構成する総ての結晶の表
面の少なくとも一部が前記金属クロムに接した状態で均
一に分散している状態の高酸素クロムターゲット用焼結
成形体を得る方法である。このような焼結成形体は、酸
化物が金属クロム中にほぼ均一に分散した状態の成形
体、即ち、ターゲットとなるので、このクロムターゲッ
トを使って、所定の板材上にスパッタリングして金属ク
ロムを蒸着させることにより薄膜を形成する場合、酸化
物の発塵現象を効果的に防止でき、ヘッドクラッシュな
どの極めて少ない高密度の磁気記録媒体等を得ることが
できる。
素含有クロムターゲット用焼結成形体の製造方法は、こ
の焼結成形体中の金属クロムの中に、クロム酸化物結晶
粒子を、当該酸化物結晶粒子を構成する総ての結晶の表
面の少なくとも一部が前記金属クロムに接した状態で均
一に分散している状態の高酸素クロムターゲット用焼結
成形体を得る方法である。このような焼結成形体は、酸
化物が金属クロム中にほぼ均一に分散した状態の成形
体、即ち、ターゲットとなるので、このクロムターゲッ
トを使って、所定の板材上にスパッタリングして金属ク
ロムを蒸着させることにより薄膜を形成する場合、酸化
物の発塵現象を効果的に防止でき、ヘッドクラッシュな
どの極めて少ない高密度の磁気記録媒体等を得ることが
できる。
【0013】本発明製造方法によって得られる焼結成形
体中におけるクロム酸化物結晶粒子とは、金属クロム中
に固溶して内在する酸素を析出させたもの、および酸化
物結晶をさらに結晶成長させたもののどちらか一方また
は両方を含むものをいう。また、このクロム酸化物結晶
粒子は、その酸化物結晶粒子を構成する総ての結晶の表
面の少なくとも一部が金属クロムマトリックスに接した
状態であることが重要であり、そのためには、単結晶粒
子、および単結晶粒子が二次元的にまたは連鎖状につな
がった状態にある粒子になることが好ましい。なお、本
発明において、高酸素とは、約1000〜10000 ppm の酸素
濃度のことをいう。
体中におけるクロム酸化物結晶粒子とは、金属クロム中
に固溶して内在する酸素を析出させたもの、および酸化
物結晶をさらに結晶成長させたもののどちらか一方また
は両方を含むものをいう。また、このクロム酸化物結晶
粒子は、その酸化物結晶粒子を構成する総ての結晶の表
面の少なくとも一部が金属クロムマトリックスに接した
状態であることが重要であり、そのためには、単結晶粒
子、および単結晶粒子が二次元的にまたは連鎖状につな
がった状態にある粒子になることが好ましい。なお、本
発明において、高酸素とは、約1000〜10000 ppm の酸素
濃度のことをいう。
【0014】このような焼結成形体中のクロム酸化物結
晶粒子は、粒径が0.1 〜100 μm、好ましくは 0.1〜20
μm以下の粒子とする。この理由は、粒径が 100μmを
超えると、粒子が割れやすくなり、割れた場合には発塵
現象を引き起こす恐れがあるからである。
晶粒子は、粒径が0.1 〜100 μm、好ましくは 0.1〜20
μm以下の粒子とする。この理由は、粒径が 100μmを
超えると、粒子が割れやすくなり、割れた場合には発塵
現象を引き起こす恐れがあるからである。
【0015】このようなクロム酸化物結晶粒子を含む焼
結成形体は、 固溶酸素または酸化物結晶を含む金属クロム粉、ま
たはこの金属クロム粉にさらに酸化クロム粉を加えた混
合クロム原料粉を、 HIP処理することによって、クロム酸化物結晶粒
子を成長させることによって得られたものである。 このHIP処理によって、固溶酸素を析出させまたはク
ロム酸化物結晶を成長させる理由は、三次元的集合体を
形成しないクロム酸化物結晶粒子を均一な大きさで均一
に分布した状態のクロムターゲット用焼結成形体が、簡
易かつ確実に得られるからである。
結成形体は、 固溶酸素または酸化物結晶を含む金属クロム粉、ま
たはこの金属クロム粉にさらに酸化クロム粉を加えた混
合クロム原料粉を、 HIP処理することによって、クロム酸化物結晶粒
子を成長させることによって得られたものである。 このHIP処理によって、固溶酸素を析出させまたはク
ロム酸化物結晶を成長させる理由は、三次元的集合体を
形成しないクロム酸化物結晶粒子を均一な大きさで均一
に分布した状態のクロムターゲット用焼結成形体が、簡
易かつ確実に得られるからである。
【0016】本発明製造方法において、出発原料である
金属クロム粉に含まれる酸化物結晶または酸化クロム粉
末の粒径は、5μm以下であることが好ましい。この理
由は、酸化物結晶または酸化クロム粉末の粒径が5μm
を超えると、成長後の粒子径を 100μm以下に制御しに
くいからである。
金属クロム粉に含まれる酸化物結晶または酸化クロム粉
末の粒径は、5μm以下であることが好ましい。この理
由は、酸化物結晶または酸化クロム粉末の粒径が5μm
を超えると、成長後の粒子径を 100μm以下に制御しに
くいからである。
【0017】本発明にかかる製造方法は、固溶酸素また
はクロム酸化物結晶を含有する金属クロム粉、もしくは
Cr2O3 等の酸化クロム粉末を混合した混合クロム原料
粉、あるいはそれらの予備成形体を、脱気した成形容器
内に装入し、不活性ガス雰囲気中において、等方的に加
圧しながら加熱焼結するHIP処理する方法である。
はクロム酸化物結晶を含有する金属クロム粉、もしくは
Cr2O3 等の酸化クロム粉末を混合した混合クロム原料
粉、あるいはそれらの予備成形体を、脱気した成形容器
内に装入し、不活性ガス雰囲気中において、等方的に加
圧しながら加熱焼結するHIP処理する方法である。
【0018】また、本発明製造方法において、原料とし
て用いる金属クロム粉は、ターゲットに求められる純
度、組成を満足するものであれば、例えばいわゆる電解
法やテルミット法など、いかなる製法によるものでもよ
い。従って、複数の製法、純度, 組成の金属クロムを混
合しても本発明の効果を十分に奏することができる。さ
らに、本発明においては、著しい酸化あるいは還元反応
を生じない限り、目的に応じ、酸素, クロム以外の元素
を添加することができる。
て用いる金属クロム粉は、ターゲットに求められる純
度、組成を満足するものであれば、例えばいわゆる電解
法やテルミット法など、いかなる製法によるものでもよ
い。従って、複数の製法、純度, 組成の金属クロムを混
合しても本発明の効果を十分に奏することができる。さ
らに、本発明においては、著しい酸化あるいは還元反応
を生じない限り、目的に応じ、酸素, クロム以外の元素
を添加することができる。
【0019】なお、本発明において、固溶した酸素ある
いは固溶酸素とは、学術的に厳密な意味での固溶ではな
く、原子レベルで混合された極微細な酸化物粒子あるい
は、本発明にかかるターゲット用成形体の金属部を酸等
で溶解し、酸化物粒子を抽出採取した時に回収できない
程度の酸化物の形態で存在する酸素も含めるものとす
る。
いは固溶酸素とは、学術的に厳密な意味での固溶ではな
く、原子レベルで混合された極微細な酸化物粒子あるい
は、本発明にかかるターゲット用成形体の金属部を酸等
で溶解し、酸化物粒子を抽出採取した時に回収できない
程度の酸化物の形態で存在する酸素も含めるものとす
る。
【0020】(実施例1)酸素を約4500ppm 含有する金
属成分の純度が99.8%である電解法で製造した金属クロ
ム( 試料No.1:化学分析値を表1に示す) を粉砕し、48
メッシュのふるいを通過して得た金属クロム粉を所定の
条件でHIP処理を施した。このHIP処理で得られた
焼結成形体の酸素含有形態を観察し、解析したところ、
金属クロム中に均一に分散し、かつ三次元的集合体を形
成していないCr2O3粒子を確認した。また、出発混合原
料の酸化クロム粉末の一次粒子の平均粒径が 0.4μm程
度であったものが、このHIP処理により結晶成長し、
0.1 〜5μmの結晶粒径となっていることが確認され
た。次に、このような本発明にかかるクロムターゲット
用原料成形体を所定の形状に加工し、得られたターゲッ
トを用いてスパッタリングによる成膜を行ったところ、
発塵現象が極めて少ないことが確認された。
属成分の純度が99.8%である電解法で製造した金属クロ
ム( 試料No.1:化学分析値を表1に示す) を粉砕し、48
メッシュのふるいを通過して得た金属クロム粉を所定の
条件でHIP処理を施した。このHIP処理で得られた
焼結成形体の酸素含有形態を観察し、解析したところ、
金属クロム中に均一に分散し、かつ三次元的集合体を形
成していないCr2O3粒子を確認した。また、出発混合原
料の酸化クロム粉末の一次粒子の平均粒径が 0.4μm程
度であったものが、このHIP処理により結晶成長し、
0.1 〜5μmの結晶粒径となっていることが確認され
た。次に、このような本発明にかかるクロムターゲット
用原料成形体を所定の形状に加工し、得られたターゲッ
トを用いてスパッタリングによる成膜を行ったところ、
発塵現象が極めて少ないことが確認された。
【0021】(実施例2)金属成分の純度が99.9%であ
る電解法で製造した金属クロム( 試料No.2:化学分析値
を表1に示す) を粉砕し、目標酸素含有量が4000〜5000
ppm となるように、48メッシュのふるいを通過した金属
クロム粉末 100重量部にCr2O3 粉末を添加混合した後、
所定の条件でHIP処理を施した。このHIP処理で得
られた焼結成形体の酸素含有形態を観察し、解析したと
ころ、金属クロム中に均一に分散し、かつ三次元的集合
体を形成していないCr2O3粒子を確認した。また、出発
混合原料の酸化クロム粉末の一次粒子の平均粒径が 0.4
μm程度であったものが、このHIP処理により結晶成
長し、0.1 〜5μmの結晶粒径となっていることが確認
された。さらに、混合するCr2O3 粉末の一次粒径を変化
させることにより、かかる成形体に分散するクロム酸化
物粒子の平均粒径を 0.1μm〜約50μmまで変化させる
ことができることが確認された。次に、このような本発
明にかかるクロムターゲット用原料成形体を所定の形状
に加工し、得られたターゲットを用いてスパッタリング
による成膜を行ったところ、発塵現象が極めて少ないこ
とが確認された。
る電解法で製造した金属クロム( 試料No.2:化学分析値
を表1に示す) を粉砕し、目標酸素含有量が4000〜5000
ppm となるように、48メッシュのふるいを通過した金属
クロム粉末 100重量部にCr2O3 粉末を添加混合した後、
所定の条件でHIP処理を施した。このHIP処理で得
られた焼結成形体の酸素含有形態を観察し、解析したと
ころ、金属クロム中に均一に分散し、かつ三次元的集合
体を形成していないCr2O3粒子を確認した。また、出発
混合原料の酸化クロム粉末の一次粒子の平均粒径が 0.4
μm程度であったものが、このHIP処理により結晶成
長し、0.1 〜5μmの結晶粒径となっていることが確認
された。さらに、混合するCr2O3 粉末の一次粒径を変化
させることにより、かかる成形体に分散するクロム酸化
物粒子の平均粒径を 0.1μm〜約50μmまで変化させる
ことができることが確認された。次に、このような本発
明にかかるクロムターゲット用原料成形体を所定の形状
に加工し、得られたターゲットを用いてスパッタリング
による成膜を行ったところ、発塵現象が極めて少ないこ
とが確認された。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ス
パッタリングによる成膜時の発塵現象を効果的に防止で
きる酸素含有形態である高酸素クロムターゲット焼結成
形体を、単にHIP処理をするという簡易な方法で簡単
に提供することができる。これにより、突起のない平滑
な酸素含有クロム皮膜を被成することが可能となり、磁
性体の記録密度の向上を図ることができる。
パッタリングによる成膜時の発塵現象を効果的に防止で
きる酸素含有形態である高酸素クロムターゲット焼結成
形体を、単にHIP処理をするという簡易な方法で簡単
に提供することができる。これにより、突起のない平滑
な酸素含有クロム皮膜を被成することが可能となり、磁
性体の記録密度の向上を図ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤沼 龍彦 東京都中央区日本橋小網町8番4号 日本 重化学工業株式会社本社内 (72)発明者 富岡 秀徳 東京都中央区日本橋小網町8番4号 日本 重化学工業株式会社本社内
Claims (2)
- 【請求項1】 金属クロム中に、クロム酸化物結晶粒子
を分散させてなるクロムターゲット用焼結成形体を製造
するにあたり、固溶酸素またはクロム酸化物結晶を含有
する金属クロム粉末を直接、熱間静水圧プレス成形処理
することにより、金属クロム中に、粒径 0.1〜100 μm
のクロム酸化物結晶粒子を析出または結晶成長させた焼
結体とすることを特徴とする高酸素クロムターゲット用
焼結成形体の製造方法。 - 【請求項2】 金属クロム中に、クロム酸化物結晶粒子
を分散させてなるクロムターゲット用焼結成形体を製造
するにあたり、固溶酸素またはクロム酸化物結晶を含有
する金属クロム粉末および/または酸化クロム粉末とを
混合し、次いで、その混合粉末を熱間静水圧プレス成形
処理することにより、金属クロム中に、粒径 0.1〜100
μmのクロム酸化物結晶粒子を析出または結晶成長させ
た焼結体とすることを特徴とする高酸素クロムターゲッ
ト用焼結成形体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21494294A JP2758836B2 (ja) | 1994-09-08 | 1994-09-08 | 高酸素クロムターゲット用焼結成形体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21494294A JP2758836B2 (ja) | 1994-09-08 | 1994-09-08 | 高酸素クロムターゲット用焼結成形体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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