JPH087394Y2 - 画像形成装置の光学系駆動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、例えば光学系移動式複写機などの画像形成
装置における光学系駆動装置に関し、詳しくは、原稿面
に対する露光用の光源を備えた第１光学系走行体と、原
稿面からの反射光を感光体表面に反射するミラーを備え
た第２光学系走行体とを、第１光学系走行体を第２光学
系走行体の２倍速で往復移動させるように構成した光学
系駆動装置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来の光学系駆動装置は、概ね次のように構成されて
いた。即ち、装置本体に対して第１及び第２光学系走行
体の移動方向両側と第２光学系走行体とに、各１個のワ
イヤープーリを設けると共に、装置本体側のプーリ間に
は駆動用のプーリを設ける一方、一端部側が機械的な第
１のベルト固定機構によって装置本体側に固定されたワ
イヤーを、第２光学系走行体のプーリと、装置本体側の
一方のプーリと、駆動用のプーリと、装置本体開放の他
方のプーリと、再び第２光学系走行体のプーリとに、そ
れぞれの順に巻き掛け、かつ、このワイヤーの他端部側
にワイヤー緊張用のスプリングを連結して、このスプリ
ングを機械的な第２の固定機構を介して装置本体に固定
し、更に、ワイヤーを第１光学系走行体に一体化させ
て、駆動プーリの回転に伴って第１光学系走行体を第２
光学系走行体の２倍速で往復移動させるように構成され
ていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところが、スプリングを引っ張ってワイヤーに張りを
与えつつ、このスプリングを機械的な第２の固定機構に
よって装置本体に固定することは極めて困難である上
に、ワイヤーが伸びた際の張力調整も困難であった。

また、このスプリングの付勢力を所定通りに設定する
ことは、画像形成面で極めて重要であることは言うまで
もないが、スプリングの微妙な製作誤差や組み付けの誤
差などによって、画像形成装置の製品毎でワイヤーの緊
張力が微妙に異なることがあり、特に、大型の画像形成
装置においては、第１及び第２の光学系走行体の両側
を、一対の光学系駆動装置によって駆動する形態がとら
れるが、その場合、ワイヤーの張り具合のバランスをと
ることが難しくて、光学系走行体の移動がスムーズに行
えなくなり、画像品質に悪影響を及ぼす問題があった。

本考案は、これまでとは全く異なる光学系の駆動形態
を開発して、上記の不都合を一挙に解決できるに至った
画像形成装置の光学系駆動装置を提供することを目的と
している。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するために、本考案が講じた技術的
手段は次の通りである。即ち、本考案による画像形成装
置の光学系駆動装置は、装置本体に対して第１及び第２
光学系走行体の移動方向両側に、少なくとも駆動側を歯
付きプーリとする第１及び第２の回転体を設けると共
に、第２光学系走行体には少なくとも一方を歯付きプー
リとする第３及び第４の回転体を設け、かつ、少なくと
も一方がベルト緊張機能を有する第１及び第２のベルト
固定機構によって装置本体に固定される歯付きベルト
を、上記の回転体に巻き掛けて、駆動用歯付きプーリの
回転に伴って第１及び第２の光学系走行体を往復移動さ
せるように構成し、更に、前記ベルト緊張機能を有する
ベルト固定機構を、一方向にのみ回転自在な歯付きプー
リと、このプーリとの間で歯付きベルトを挟持するガイ
ド体とから構成して、ベルト端部側の引っ張りに伴う歯
付きプーリの回転によって、当該プーリに噛合された歯
付きベルトを無段階的に緊張させるようにしたことを特
徴としている。

〔作用〕

上記の構成によれば、歯付きベルトを所定の順序で回
転体に巻き掛けて、この回転体の内の歯付きプーリに歯
付きベルトの歯を噛合させる一方、この歯付きベルトの
一端部側を機械的に固定した上で、他端部側を歯付きプ
ーリとガイド体との間に係入するか、或いは、歯付きベ
ルトの両端部側を歯付きプーリとガイド体との間に係入
して、この歯付きプーリとガイド体との間で歯付きベル
トを挟持させることで、駆動が確実に達成される光学系
駆動装置が簡易に構成される。

そして、歯付きプーリとガイド体との間に係入させた
ベルトを引っ張ると、これに伴ってプーリが回転してベ
ルトに張力が付与され、かつ、ベルトの引っ張りを止め
ると、歯付きプーリは逆方向には回転しないので、歯付
きベルトはその引っ張り位置で固定されることから、ベ
ルトはそのときの緊張状態に保持されることになる。

即ち、歯付きプーリとガイド体との間に歯付きベルト
を係入させるだけの簡単な作業で、この歯付きベルトの
端部側の固定が確実に成される上に、このベルトが延び
た際の緊張力の調整も、このベルトの端部側を単に引っ
張るだけで無段階的に達成されるのである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。第
１図は詳細を後述するベルト緊張機能を備えたベルト固
定機構Ａを示し、第２図は画像形成装置の一例の光学系
移動式複写機を示している。

この複写機は、複写機本体１の上部側に原稿台８を設
けると共に、この原稿台８の下部側に光学系移動式の露
光装置９を配置し、かつ、前記複写機本体１にドラム状
の感光体２を横架すると共に、この感光体２のまわり
に、帯電装置３と、現像装置４と、転写装置５と、用紙
分離装置６と、感光体１の残留トナーを除去するクリー
ニング装置７とを、その順に設け、更に、カセットケー
ス10内の用紙を前記転写装置５に搬送する給紙搬送装置
11と、転写・分離後の用紙を定着装置12に搬送する排紙
搬送装置13と、定着後の用紙をトレイ14に排出する排紙
ローラ対15とを、複写機本体１の下部側に配置して成
る。

前記光学系移動式の露光装置９は、第２図および第３
図に示すように、光源16と第１ミラー17を備えた第１光
学系走行体18、第２及び第３ミラー19,20を備えた第２
光学系走行体21、結像レンズ22、第４ミラー23等によっ
て構成され、第１光学系走行体18が第２光学系走行体21
の２倍の速度で往復移動するようになっている。

第１光学系走行体18を第２光学系走行体21の２倍の速
度で往復移動させるための光学系駆動装置の構成は次の
通りである。

即ち、第３図に示すように、前後一対のガイドロッド
24,24を光学系移動方向に沿わせて前記複写機本体１の
上部空間の並設し、第１光学系走行体18の両端側と第２
光学系走行体21の両端側を夫々前記ガイドロッド24,24
に摺動自在に支持させてある。

前記複写機本体１には、モータ25によって回転駆動さ
れるところの外周面に歯を形成した一対の歯付きプーリ
26,26と、外周面の平滑な受動プーリ27,27とを定位置に
固定的に軸架し、第２光学系走行体21の両端側には、外
周面に歯を形成した２個の歯付きプーリ28,29を軸架し
てある。

そして、一端部側が機械的な第１のベルト固定機構Ｂ
によって複写機本体１に固定された前後一対の歯付きベ
ルト（この実施例では、２本の短尺ベルトの歯の向きを
上下に反転させて、このベルトを複写機本体１側のプー
リ26,27間で連結したものを用いている。）30,30を、第
２光学系走行体21の一方の歯付きプーリ28と、駆動用と
受動用のプーリ26,27と、第２光学系走行体21の他方の
歯付きプーリ29の順に巻き掛けると共に、この歯付きベ
ルト30,30の他端部側を、ベルト緊張機能を有する第２
のベルト固定機構Ａによって複写機本体１に連結し、か
つ、第１光学系走行体18の両端側を、一方の歯付きプー
リ28と駆動用プーリ26との間において歯付きベルト30,3
0に連結して、上記駆動用の歯付きプーリ26の回転に伴
って、第１光学系走行体18を第２光学系走行体21の２倍
速で露光方向に往復移動させるようにしている。

尚、実用新案登録請求の範囲では、上記の駆動用歯付
きプーリ26と受動プーリ27とを第１及び第２の回転体と
称し、第２光学系走行体21に軸架した２個の歯付きプー
リ28,29を第３及び第４の回転体と称している。

また、実用新案登録請求の範囲で言う装置本体とは、
この実施例では複写機本体１を指している。

上記の機械的な第１のベルト固定機構Ｂの図解説明は
省略するが、概略は、歯付きベルト30の一端部側を当該
ベルト30の歯に噛み合う複数の歯を有する凹凸状のプレ
ートと平坦なプレートとで挟持し、これらを貫通するビ
スで複写機本体１に固定するように構成されている。

第２のベルト固定機構Ａは、第１図に示すように、一
方向（矢印で示す方向）にのみ回転自在な歯付きプーリ
31と、このプーリ31との間に当該プーリ31の回転方向で
のみ歯付きベルト30の他端部側を係入するガイド体32と
から成る。

具体的には、一方向にのみ回転自在に構成された歯付
きプーリ31と、この歯付きプーリ31と平行な軸芯周りで
回転自在に構成された外周面の平滑なコロより成るガイ
ド体32とを、前記歯付きプーリ31の外周歯部31aとガイ
ド体32の外周面との間に所定の間隙が形成された状態に
設けて、歯付きプーリ31とガイド体32との間で歯付きベ
ルト30を挟持させるようにして成るもので、上記の間隙
は、歯付きプーリ31とガイド体32との間に歯付きベルト
30を係入させた状態で、その歯付きベルト30の背面とガ
イド体32の外周面とが密着するか、或いは、たとえ隙間
ができても、その隙間が歯付きベルト30の歯高よりも狭
くなるような寸法に設定される。

而して、上記の構成によれば、歯付きプーリ31とガイ
ド体32との間に、歯付きベルト30の他端部側を歯付きプ
ーリ31の回転可能な方向から係入させ、この歯付きベル
ト30の歯30aを歯付きプーリ31の外周歯部31aに噛み合わ
せて、このベルト30の他端部側を引っ張ると、これに伴
ってプーリ31が回転してベルト30に張力が付与され、か
つ、ベルト30の引っ張りを止めると、歯付きプーリ31は
逆方向には回転しないので、歯付きベルト30はその引っ
張り位置で固定されることから、ベルト30はそのときの
緊張状態に保持されることになる。

即ち、歯付きプーリ31とガイド体32との間に歯付きベ
ルト30を挿入するだけの簡単な作業で、この歯付きベル
ト30の他端部側の固定が確実に成される上に、このベル
ト30が延びた際の緊張力の調整も、このベルト30の他端
部側を単に引っ張るだけで無段階的に達成されるのであ
る。

尚、図示しないが、上記の歯付きベルト固定機構Ａに
よって、前記歯付きベルト30の両端部側を固定させる形
態をとるもよい。

また、この実施例では、２本の短尺ベルトの歯30a…
の向きを上下に反転させて連結した歯付きベルト30を用
いて、その歯30a…を第２光学系走行体21に並設された
２個の可動プーリ28,29の歯に噛み合わせるようにして
いるが、第４図に示すように、受動プーリ27を歯付きプ
ーリとし、第２光学系走行体21側の他方の回転体29を外
周面の平滑なものとする場合は、歯付きベルト30の表裏
を中央部で反転させる必要はなく、歯付きベルト30を１
本物の構造にすることができる。

更に、ガイド体32としては、図示のようなコロで構成
したものの他、第５図に示すような板状のものであって
もよい。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、歯付きベルトを
所定の順序で回転体に巻き掛けて、この回転体の内の歯
付きプーリに歯付きベルトの歯を噛合させ、かつ、この
歯付きベルトの一端部側を機械的に固定した上で、他端
部側を歯付きプーリとガイド体との間に係入させるか、
或いは、歯付きベルトの両端部側を歯付きプーリとガイ
ド体との間に係入させることで、駆動が確実に達成され
る光学系駆動装置が簡易に構成される。

そして、歯付きプーリとガイド体との間に歯付きベル
トを係入させるだけで、このベルトの固定が簡易に達成
される上に、この歯付きベルトの端部側を、例えばばね
秤を介して引っ張るだけの簡単な操作で、ベルトに正確
な初期張力を付与することができ、勿論、歯付きベルト
に伸びが生じた場合の張力調整も簡易に行うことができ
る。

しかも、その張力の付与を無段階的に行わせられるの
で、上記のベルト張力の微調整が可能となり、而して、
画像形成装置が大型であって、それの第１及び第２光学
系走行体の両側を駆動する形態をとる場合であっても、
ベルトの張り具合のバランスを旨くとることができるこ
とから、第１及び第２光学系走行体の移動をスムーズに
行わせられ、延いては高品質の画像を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案の一実施例を示し、第１図は
ベルト緊張機能を有する歯付きベルト固定機構の詳細
図、第２図は光学系移動式複写機の概略断面図、第３図
は光学系駆動装置の概略斜視図である。 第４図は別実施例の光学系駆動装置の概略側面図、第５
図はベルト緊張機能を有する歯付きベルト固定機構の別
実施例の詳細図である。 18…第１光学系走行体、21…第２光学系走行体、30…歯
付きベルト、31…歯付きプーリ、32…ガイド体、A,B…
ベルト固定機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】原稿面に対する露光用の光源を備えた第１
   光学系走行体と、原稿面からの反射光を感光体表面に反
   射するミラーを備えた第２光学系走行体とを、第１光学
   系走行体を第２光学系走行体の２倍速で往復移動させる
   画像形成装置の光学系駆動装置であって、装置本体に対
   して第１及び第２光学系走行体の移動方向両側に、少な
   くとも駆動側を歯付きプーリとする第１及び第２の回転
   体を設けると共に、第２光学系走行体には少なくとも一
   方を歯付きプーリとする第３及び第４の回転体を設け、
   かつ、少なくとも一方がベルト緊張機能を有する第１及
   び第２のベルト固定機構によって装置本体に固定される
   歯付きベルトを、上記の回転体に巻き掛けて、駆動用歯
   付きプーリの回転に伴って第１及び第２の光学系走行体
   を往復移動させるように構成し、更に、前記ベルト緊張
   機能を有するベルト固定機構を、一方向にのみ回転自在
   な歯付きプーリと、このプーリとの間で歯付きベルトを
   挟持するガイド体とから構成して、ベルト端部側の引っ
   張りに伴う歯付きプーリの回転によって、当該プーリに
   噛合された歯付きベルトを無段階的に緊張させるように
   したことを特徴とする画像形成装置の光学系駆動装置。