JPH0873803A - 熱硬化性塗料組成物 - Google Patents
熱硬化性塗料組成物Info
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Abstract
膜を形成することができ、しかも貯蔵安定性に優れた熱
硬化性塗料組成物を得る。 【構成】 1つのエポキシ基を有し、重合性不飽和結合
を有しないエポキシ化合物10〜70重量%、カルボキ
シル基を有するビニル型単量体5〜70重量%およびカ
ルボキシル基を有しないビニル型単量体5〜85重量%
からなる単量体混合物のエステル化および重合反応物で
あって、ヘキサントレランスが100以上の低極性アク
リル樹脂と、水酸基と反応する硬化剤とを含む熱硬化性
塗料組成物。
Description
し、さらに詳しくは1液型の自動車用上塗塗料に適した
熱硬化性塗料組成物に関する。
る雨じみや、洗車機等によるスリ傷の発生が問題視され
ており、耐酸性、耐スリ傷性、耐久性に優れた塗料の開
発が急務となっている。このような問題を解決するた
め、塗膜形成樹脂と硬化剤との架橋形式を複合化するこ
とにより、耐酸性を向上させた塗料組成物が提案されて
いる。
は、水酸基含有アクリル樹脂および/またはポリエステ
ル樹脂、アルキルエーテル化メラミン樹脂、非黄変性多
官能ブロック化イソシアネートならびに有機錫系化合物
を主成分とした塗料組成物であって、主体樹脂と架橋剤
との架橋反応を複合化して、未反応のメラミン樹脂およ
び未反応の水酸基を架橋に取込むことにより耐酸性、耐
スリ傷性に優れた塗膜が得られる塗料組成物が記載され
ている。しかし、この塗料組成物は主体樹脂であるアク
リル樹脂またはポリエステル樹脂の極性が高いため、塗
膜中への酸等の親水性物質の透過性が高く、このため高
度な耐酸性能を得ることは難しいという問題点がある。
水酸基およびカルボキシル基含有アクリル樹脂、水酸基
およびエポキシ基含有アクリル樹脂、アミノ樹脂ならび
に4級ホスホニウム塩を主成分とした塗料組成物であっ
て、カルボキシル基とエポキシ基との硬化反応に、水酸
基とアミノ基との硬化反応を追加することにより耐酸
性、耐水性、耐スリ傷性、耐溶剤性に優れた塗膜が得ら
れる塗料組成物が記載されている。しかし、この塗料組
成物も主体樹脂の極性が高いため、前記特開平4−24
6483号の塗料組成物と同様の問題点がある。また貯
蔵安定性が低いという問題点もある。
性、耐スリ傷性および耐久性に優れた塗膜を形成するこ
とができ、しかも貯蔵安定性に優れた熱硬化性塗料組成
物を提供することである。
料組成物である。 (1)(A)(A1)1個のエポキシ基を有し、重合性
不飽和結合を有しないエポキシ化合物10〜70重量
%、(A2)カルボキシル基を有するビニル型単量体5
〜70重量%、および(A3)カルボキシル基を有しな
いビニル型単量体5〜85重量%からなる単量体混合物
のエステル化および重合反応物であって、ヘキサントレ
ランスが100以上であるアクリル樹脂と、(B)水酸
基と反応する硬化剤とを含むことを特徴とする熱硬化性
塗料組成物。 (2)硬化剤(B)がアミノ樹脂および/またはブロッ
ク化イソシアネート化合物であることを特徴とする上記
(1)記載の塗料組成物。 (3)カルボキシル基を有しないビニル型単量体(A
3)が、軟質セグメントを有する水酸基含有ビニル型単
量体を含むビニル型単量体であることを特徴とする上記
(1)または(2)記載の塗料組成物。
「アクリ」および/または「メタクリ」を示す。
1)は、分子中に1つのエポキシ基(エポキシ環)を有
し、重合性不飽和結合を有しない化合物である。エポキ
シ基以外に水酸基等の重合性二重結合を有しない他の官
能基を含んでいてもよいが、含まないものが好ましい。
しては、例えばバーサチック酸グリシジルエステル、パ
ラターシャリブチル安息香酸グリシジルエステル、三級
脂肪酸グリシジルエステル、スチレンオキシド、シクロ
ヘキサンオキシド、グリシドール、その他に炭素数3〜
20のアルキルグリシジルエステル、炭素数3〜20の
アルキルグリシジルエーテルおよびフェニルグリシジル
エーテル等をあげることができる。これらの中では、バ
ーサチック酸グリシジルエステル、パラターシャリブチ
ル安息香酸グリシジルエステルなどが好ましい。
使用することもできる。市販品の具体的なものとして
は、カージュラE10(油化シェルエポキシ(株)製、
バーサチック酸グリシジルエステル)、PES−10
(扶桑化学(株)製、パラターシャリブチル安息香酸グ
リシジルエステル)、エクアテート9G、エクアテート
13G(出光石油化学(株)製、3級脂肪酸グリシジル
エステル)などがあげられる。エポキシ化合物(A1)
は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組合
せて使用することもできる。
るビニル型単量体(A2)は、分子中に重合性二重結合
および1つ以上のカルボキシル基を有する化合物であ
る。カルボキシル基以外の他の官能基を含んでいてもよ
いが、含まないものが好ましい。他の官能基としては水
酸基等があげられる。
(A2)の具体的なものとしては、例えばアクリル酸、
メタクリル酸、エタクリル酸、プロピルアクリル酸、イ
ソプロピルアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマ
ル酸、イタコン酸、マレイン酸ハーフエステル、イタコ
ン酸ハーフエステルおよびアクリル酸ダイマー等をあげ
ることができる。その他にもアクリル酸のε−カプロラ
クトン付加物、メタクリル酸のε−カプロラクトン付加
物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジ
オールモノ(メタ)アクリレートおよびグリセリン(メ
タ)アクリレート等の水酸基含有ビニル型単量体と、無
水コハク酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸
およびメチル化ヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物
とのハーフエステルなどをあげることができる。ビニル
型単量体(A2)は1種単独で使用することもできる
し、2種以上を組合せて使用することもできる。
酸のε−カプロラクトン付加物、メタクリル酸のε−カ
プロラクトン付加物またはアクリル酸ダイマー等の軟質
モノマーを使用すると耐スリ傷性を付与することも可能
である。
ないビニル型単量体(A3)は、前記カルボキシル基を
有するビニル型単量体(A2)と共重合可能な二重結合
を有する化合物であり、官能基は含んでいてもよい。官
能基としては水酸基等のカルボキシル基以外の基があげ
られる。
(A3)の具体的なものとしては、例えば2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メ
タ)アクリレート、これらの水酸基含有(メタ)アクリ
レートにε−カプロラクトン等のラクトンが付加したラ
クトン付加物、および上記水酸基含有(メタ)アクリレ
ートにエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドが付
加したアルキレンオキシド付加物等の水酸基含有ビニル
型単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n
−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)ア
クリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル
(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレー
ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレー
ト、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよび
ジエチルアミノ(メタ)アクリレート等のアクリル酸ま
たはメタアクリル酸のエステル類などをあげることがで
きる。その他にも、スチレン、α−メチルスチレン、ビ
ニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、メ
チロールメタクリルアミド、塩化ビニル、プロピレン、
エチレンおよびC4〜C10のα−オレフィン等をあげる
ことができる。これらのビニル型単量体(A3)は、1
種単独で使用することもできるし、2種以上を組合せて
使用することもできる。
セグメントを有する水酸基含有ビニル型単量体(以下、
軟質水酸基含有ビニル型単量体という場合がある)を使
用すると、耐酸性、耐久性に加えて、塗膜の耐スリ傷性
を向上させることができる。ここで軟質セグメントを有
する水酸基含有ビニル型単量体とは、ビニル基と水酸基
との間に4個以上の直鎖の元素が存在し、かつ化合物の
末端に位置する水酸基を有するビニル型単量体である。
ものとしては、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)ア
クリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−
ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含
有(メタ)アクリレートにε−カプロラクトン等のラク
トンが付加したラクトン付加物;上記水酸基含有(メ
タ)アクリレートにエチレンオキシドまたはプロピレン
オキシド等のアルキレンオキシドが付加したアルキレン
オキシド付加物などがあげられる。これらの中では、
1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε−カプロ
ラクトン付加物、および2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリートのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシ
ド付加物などが好ましい。このような軟質水酸基含有ビ
ニル型単量体を用いると、得られる塗膜に弾性力を付与
することができるため、柔軟で耐スリ傷性に優れた塗膜
を形成することができる。軟質水酸基含有ビニル型単量
体は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を
組合せて使用することもできる。
前記(A1)、(A2)および(A3)成分をエステル
化および重合して得られるランダム共重合体であって、
ヘキサントレランス(以下、HTという場合がある)が
100以上、好ましくは110〜240の樹脂である。
ヘキサントレランスが100未満のアクリル樹脂を使用
した場合、塗膜の耐酸性が不十分となるので好ましくな
い。
ンで100倍に希釈し、この希釈溶液にn−ヘキサンを
徐々に添加し、樹脂溶液が白濁した時のヘキサン添加g
数で示される値である。ヘキサントレランスは樹脂の極
性を示す指標となり、この値が大きい程樹脂の極性が低
いことを示す。塗膜の耐酸性は樹脂の極性が小さい程高
くなる。従って、本発明ではヘキサントレランスが前記
値となる極性の小さいアクリル樹脂(A)を使用するこ
とにより、塗膜の耐酸性を向上させている。
前記(A1)の存在下に、(A2)および(A3)成分
からなる単量体混合物を、常法の溶液重合法等の重合法
により重合反応を行うことにより製造できる。このとき
使用する各成分の割合は、(A1)成分が10〜70重
量%、好ましくは20〜60重量%、(A2)成分が5
〜70重量%、好ましくは5〜50重量%、(A3)成
分が5〜85重量%、好ましくは20〜85重量%であ
る。耐スリ傷性を向上させるため(A3)成分として軟
質水酸基含有ビニル型単量体を使用する場合は、その使
用割合は(A1)〜(A3)成分の合計量に対して10
〜70重量%、好ましくは10〜60重量%であって、
(A3)成分に対して12〜100重量%、好ましくは
15〜90重量%とするのが望ましい。軟質水酸基含有
ビニル型単量体の使用量が(A1)〜(A3)成分の合
計量に対して10重量%未満の場合は耐スリ傷性の向上
効果が小さく、70重量%を超えると耐酸性が低下して
くる。
は塗膜の耐酸性が不十分となり、70重量%を越える場
合は塗膜の耐候性が低下するため好ましくない。また
(A2)成分が5重量%未満の場合は耐酸性が不十分と
なり、70重量%を越える場合は耐候性が低下するため
好ましくない。また(A3)成分が5%未満の場合は耐
候性が低下し、85重量%を越える場合は耐酸性が不十
分となるため好ましくない。
使用した場合に、耐酸性と他の塗膜性能とのバランスが
特に良好なアクリル樹脂(A)が得られるが、いずれか
の成分が好ましい範囲より広い範囲にあって、他の成分
が好ましい範囲にあるような組合せにおいても、一定の
効果が得られる。最も好ましい組合せは、3者がいずれ
も前記好ましい範囲にあって、しかも(A1)成分/
(A2)成分のモル比が0.7〜1.7、特に1.0〜
1.4となる組合せである。このような量で使用した場
合に、ヘキサントレランスが大きいアクリル樹脂(A)
が得られ、塗膜の耐酸性が最も高くなる。
イソブチロニトリル、4,4′−アゾビス(4−シアノ
ペンタン酸)、2,2′−アゾビス(2−メチル−N−
(2−ヒドロキシエチル)プロピオアミド)等のアゾビ
ス化合物;ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオ
キシ−2−エチルヘキサノエート、クメンヒドロペルオ
キシド等のペルオキシドなどを用いることができ、また
連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン、メルカプトエ
タノール、α−メチルスチレンダイマー等を用いること
ができる。さらに(A1)成分のエポキシ基と(A2)
成分のカルボキシル基とのエステル化反応を促進するた
め、4級ホスホニウム塩類、4級アンモニウム塩類、3
級アミン類、有機金属化合物、有機酸金属塩類、イミダ
ゾール類、ルイス酸、ホウ酸エステル類などを触媒とし
て用いることができる。反応溶媒としては、キシレン、
ソルベッソ#100(商標)等を用いることができる。
り、(A2)および(A3)成分がランダムに重合して
主鎖を形成するとともに、(A2)成分のカルボキシル
基と(A1)成分のエポキシ基とが反応してエステル結
合が形成され、(A1)成分が側鎖として結合する。こ
のときエポキシ環が開環して水酸基が生成する。すなわ
ち、(A2)および(A3)成分からなる主鎖に、エポ
キシ環が開環して水酸基が生成した(A1)成分からな
る側鎖がエステル結合により結合したアクリル樹脂
(A)が得られる。
基を生成させると、この水酸基は側鎖の中間に存在する
ことになり、側鎖の末端はエポキシ化合物(A1)のエ
ポキシ環を除いた部分となる。例えば、エポキシ化合物
(A1)としてターシャリブチル安息香酸グリシジルエ
ステルを用いた場合は、側鎖の末端はt−Bu−C6H5
−となる。このようなアクリル樹脂(A)にあっては、
側鎖の中間に存在する水酸基は、末端の基が立体障害と
なるため、末端の基によって保護された形態となるの
で、水酸基が側鎖の末端にある場合に比べて極性が低下
する。従って、このようなアクリル樹脂(A)を使用す
ることにより、塗膜中への酸等の親水性物質の透過を抑
制することができ、塗膜の耐酸性が高度なものとなる。
れないが、重量平均分子量で3000〜30000であ
るのが好ましい。重量平均分子量が3000未満の場合
は耐候性が、また30000を越える場合は塗膜の外観
が、それぞれ低下するおそれがある。
と反応しうるものであるならば特に制限なく使用できる
が、耐久性に優れた塗膜を形成することができるので、
アミノ樹脂またはブロック化イソシアネートが好まし
い。アミノ樹脂またはブロック化イソシアネートは単独
で使用することもできるが、耐酸性に優れた塗膜を形成
するためには、アミノ樹脂とブロック化イソシアネート
とを併用し、アクリル樹脂(A)との架橋反応を複合化
する方法が好ましい。
素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログア
ナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等のアミ
ノ成分とアルデヒドとの反応によって得られるメチロー
ル化アミノ樹脂を、メタノール、エタノール、n−プロ
パノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブ
タノール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノ
ールなどの適当なアルコールによってエーテル化したも
の等をあげることができる。
ブロック化ポリイソシアネートまたは無黄変型のブロッ
ク化ポリイソシアネートが使用できる。具体的には、ト
ルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシア
ネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;ヘキサメ
チレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化
ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化キシリレン
ジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物;これ
らのアダクト体、ビューレット体またはイソシアヌレー
ト体などを通常のイソシアネートブロック化剤によりブ
ロック化したものなどをあげることができる。上記イソ
シアネートブロック化剤としては、例えばフェノール、
m−クレゾール、キシレノール、チオフェノール等のフ
ェノール類;メタノール、エタノール、ブタノール、2
−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコ
ール類;カプロラクタム、メチルエチルケトンオキシ
ム、ピラゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アセト酢
酸エチル、マロン酸ジエチル等の活性水素含有化合物な
どをあげることができる。
剤(B)との配合割合は特に限定されないが、(A)成
分/(B)成分の重量比で40〜90/60〜10、好
ましくは60〜80/40〜20であるのが望ましい。
アクリル樹脂(A)が上記下限値未満の場合は、塗料組
成物の貯蔵安定性が低下する傾向にある。一方上記上限
値を越える場合は、塗膜の耐酸性が低下する傾向にあ
る。
および(B)成分の必須成分のほかに、他の成分として
補助架橋成分を配合することができる。補助架橋成分と
しては、例えばポリカルボン酸樹脂およびポリエポキシ
樹脂を含む樹脂混合物などがあげられる。ポリカルボン
酸樹脂およびポリエポキシ樹脂は、それぞれカルボキシ
ル基またはエポキシ基の他に水酸基を有していると、前
記硬化剤(B)とも架橋でき、高次構造塗膜を形成でき
るので、耐酸性能をさらに高度化することもできる。こ
れらの補助架橋成分以外にも、他の成分として着色顔
料、メタリック顔料、染料、体質顔料、酸触媒、硬化触
媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、表面調整剤、タレ止め
剤、増粘剤、レベリング剤等を配合することができる。
(A)および(B)成分、ならびに必要により配合する
他の成分を混合することにより製造することができる。
本発明の熱硬化性塗料組成物は、着色顔料、メタリック
顔料、染料または体質顔料等を配合して着色塗料(ソリ
ッドカラー仕上げ)またはメタリック塗料等として使用
できる。また顔料を全くまたは殆ど配合しないで、クリ
ヤー塗料としても使用できる。
る被塗物素材は特に制限されず、鋼板、表面処理鋼板等
の金属やプラスチックなどに塗装することができ、これ
らの被塗物素材に直接またはこれらの被塗物素材にプラ
イマーもしくはプライマー/中塗りを施した塗膜面に、
上塗り塗料として塗装することができる。具体的には、
自動車、その他車両、建築物、構造物等の上塗り塗料と
して使用することができる。
るのが好ましく、塗膜を硬化させるための焼付条件は温
度が約120〜約180℃、時間が10〜40分間程度
とするのが好ましい。
用上塗り塗料として使用するには、2コート1ベークま
たは2コート2ベーク方式等におけるベースコート用エ
ナメル塗料またはトップコート用クリヤー塗料、あるい
は1コート1ベーク方式のソリッドカラー塗料として使
用するのが好ましく、塗装粘度を12〜30秒程度(フ
ォードカップNo.4、20℃)に調整した後、静電塗
装、エアースプレー塗装等により、前記乾燥膜厚となる
ように塗装し、前記焼付条件で硬化塗膜を形成するのが
好ましい。本発明の塗料組成物からなる塗料を2コート
1ベーク方式のクリヤー塗料として用いる場合、ベース
コート用エナメル塗料としては溶剤系塗料、ハイソリッ
ド塗料、水系塗料等のいずれの形態の塗料でも用いるこ
とができる。
性が低く、しかも未反応の水酸基は立体障害により保護
されているので、酸性雨のような低pHの水でも塗膜中
への透過性が抑制され、これにより架橋部の加水分解性
が低下するので、耐酸性および耐久性に優れている。ま
た(A3)成分として軟質水酸基含有ビニル型単量体を
使用した場合は、この水酸基の反応性は高く、硬化剤
(B)と容易に反応するため未反応のまま残留すること
がなく、このため耐酸性および耐久性に加えて、耐スリ
傷性に優れた塗膜が得られる。
脂として用いるアクリル樹脂の水酸基がエポキシ基とカ
ルボキシル基とのエステル化反応で得られるため、この
水酸基は側鎖末端の基によって立体障害により保護さ
れ、かつアクリル樹脂の極性が低いため、耐酸性および
耐久性に優れた塗膜が得られ、しかも貯蔵安定性に優れ
ている。また(A3)成分として軟質水酸基含有ビニル
型単量体を使用した場合は、耐酸性および耐久性に加え
て、耐スリ傷性に優れた塗膜が得られる。
に詳細に説明する。なお、例中、部は重量部、%は重量
%である。 製造例1〜5(アクリル樹脂(A)の製造) 還流冷却器、攪拌器、滴下ロートおよび温度計を取り付
けた4つ口フラスコに、キシレン66.7部およびカー
ジュラE10(油化シェルエポキシ(株)製、バーサチ
ック酸グリシジルエステル、商品名)31.2部を仕込
み、攪拌しながら昇温し140℃まで加熱した。次い
で、表1に示す単量体成分と重合開始剤との混合物を1
40℃の下で一定の添加速度で4時間かけて滴下した。
滴下終了後、1時間経過した後、追加触媒テトラブチル
ホスホニウムアセテート0.2部を加え、さらに2時間
140℃の温度を保ったところで反応を終了し、表1に
示す特性値を有するアクリル樹脂A−1を製造した。ま
た表1、表2に示す成分を用いて、アクリル樹脂A−1
と同様にしてアクリル樹脂A−2ないしA−5を製造し
た。
分を用いてアクリル樹脂a−1を製造した。得られた樹
脂の特性値を表3に示す。
けた4つ口フラスコにキシレン66.7部を仕込み、攪
拌しながら昇温し、140℃まで加熱した。次いで表3
に示す単量体成分と重合開始剤との混合物を140℃の
下で一定の添加速度で2時間かけて滴下した。滴下終了
後、さらに2時間140℃の温度を保ったところで反応
を終了し、表3に示す特性値を有するアクリル樹脂a−
2を得た。得られた樹脂の特性値を表3に示す。
リシジルエステル、商品名 *2 扶桑化学(株)製、パラターシャリブチル安息香
酸グリシジルエステル、商品名 *3 JIS−K5407 4 加熱残分による *4 JIS−K5400 4.5.1 ガードナー型
泡粘度計法による *5 樹脂1gをアセトンで100倍に希釈し、この希
釈溶液にn−ヘキサンを添加し、溶液が白濁したときの
ヘキサンの添加重量 *6 ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン
換算の値 *7 2−ヒドロキシエチルアクリレートに対してε−
カプロラクトン2モルが付加したビニル型単量体(商品
名、ダイセル化学工業(株)製)
けた4つ口フラスコにキシレン50.0部、n−ブタノ
ール16.7部を仕込み、攪拌しながら昇温し、120
℃まで加熱した。次いで表4に示す単量体成分と重合開
始剤との混合物を120℃の下で一定の添加速度で4時
間かけて滴下して、さらに2時間120℃の温度を保っ
たところで反応を終了し、表4に示す特性値を有するポ
リカルボン酸樹脂Cを得た。
けた4つ口フラスコにキシレン100部を仕込み、攪拌
しながら昇温し、140℃まで加熱した。次いで表4に
示す単量体成分と重合開始剤との混合物を140℃の下
で一定の添加速度で2時間かけて滴下した。滴下終了
後、さらに2時間140℃の温度を保ったところで反応
を終了し、表4に示す特性値を有するポリエポキシ樹脂
Dを得た。
たアクリル樹脂溶液(A−1)125.0部、(B)成
分としてブチル化メラミン樹脂(加熱残分60%、ユー
バン20SE、三井東圧化学(株)製、商品名)41.
7部、紫外線吸収剤(チヌビン900、チバガイギー社
製、商品名)の10%キシレン溶液10.0部、ヒンダ
ードアミン系光安定剤(チヌビン292、チバガイギー
社製、商品名)1.0部、レベリング剤(モダフロー、
モンサント社製、商品名)0.5部、およびn−ブタノ
ール3.0部を含む塗料を、シンナー(ソルベッソ#1
00(エッソ社製、芳香族炭化水素、沸点150〜17
7℃)/n−ブタノール=8/2重量比)で塗装粘度
(フォードカップNo.4、20℃で25秒)に希釈す
ることによって、クリヤーコート用塗料を調製した。こ
の塗料を50℃で3日間貯蔵したが、表6に示すように
粘度はほとんど変化せず、貯蔵安定性に優れていた。
アNo.4200、日本油脂株式会社製)を乾燥膜厚2
0μmとなるように電着塗装し、175℃の温度で25
分間焼付け、さらに中塗塗料(商品名ハイエピコNo.
100シーラー、日本油脂株式会社製)を乾燥膜厚40
μmとなるようにエアースプレー塗装し、140℃で3
0分間焼付け、中塗塗装板を得た。この中塗塗装板にベ
ースコート用塗料(商品名ベルコートNo.6000シ
ルバー、日本油脂株式会社製)をインターバル1分30
秒、2ステージで乾燥膜厚20μmになるようにエアー
スプレー塗装した。3分間セッティング後、上記1)で
調製したクリヤーコート用塗料を乾燥膜厚40μmとな
るようにエアースプレー塗装し、140℃で30分間焼
付けた。得られた板を試料として各種試験を行った。そ
の結果、表6に示すように、耐酸性、耐久性および仕上
がり外観に優れた塗膜が得られた。
様の操作を行って各クリヤーコート用塗料を調製した。
得られた塗料はいずれも、表6に示すように、貯蔵安定
性に優れていた。
例1の2)と同様の操作を行って塗膜を形成した。得ら
れた塗膜はいずれも、表6に示すように、耐酸性、耐久
性および仕上がり外観に優れていた。
様の操作を行って各クリヤーコート用塗料を調製した。
得られた塗料はいずれも表6に示すように貯蔵安定性に
優れていた。
成したカチオン電着/中塗塗装板に、水系ベースコート
用塗料(商品名、アクアBC−3ブラック、日本油脂株
式会社製)を乾燥膜厚20μmになるようにエアスプレ
ー塗装し、80℃で10分間乾燥した。この後、上記
1)で調製したクリヤーコート用塗料を乾燥膜厚40μ
mとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分
間焼付けた。得られた板を試料として各種試験を行っ
た。一方、実施例9では前述のカチオン電着/中塗塗装
板に、ベースコート用塗料(商品名、ベルコートNo.
6000ブラック、日本油脂株式会社製)をインターバ
ル1分30秒、2ステージで乾燥膜厚20μmになるよ
うにエアスプレー塗装し、3分間セッティングした。こ
の後、上記1)で調製したクリヤーコート用塗料を乾燥
膜厚40μmとなるようにエアスプレー塗装し、140
℃で30分間焼付けた。得られた板を試料として各種試
験を行った。実施例8、9ともに表6に示すように、耐
酸性、耐久性および仕上り外観に加えて、耐スリ傷性に
も優れた塗膜が得られた。
〜A−5の種類および配合量。表1、表2参照 *2 ブチル化メラミン樹脂、加熱残分60%、三井東
圧化学(株)製、商品名 *3 ブロック化イソシアネート(HDI)、加熱残分
75%、住友バイエルウレタン(株)製、商品名 *4 ブロック化イソシアネート(HDI)、加熱残分
75%、住友バイエルウレタン(株)製、商品名 *5 ブロック化イソシアネート(IPDI)、加熱残
分65%、住友バイエルウレタン(株)製、商品名 *6 補助架橋成分、表4参照 *7 補助架橋成分、表4参照 *8 紫外線吸収剤、チバガイギー社製、商品名、10
%キシレン溶液の配合量 *9 ヒンダードアミン系光安定剤、チバガイギー社
製、商品名 *10 レベリング剤、モンサント社製、商品名
ト状に載せ、60℃で15分間加熱後、水洗してシミ跡
の発生度合いを目視観察した。 *2 60度鏡面光沢:JIS K−5400 7.6
60度鏡面光沢度による *3 耐候性:サンシャインカーボンアーク灯式(HI
S K−5400 9.8.1)を用いて3000時間
暴露後、塗膜の60度鏡面光沢度(上記*2参照)を測
定し、初期光沢値からの光沢保持率を求めた。 *4 耐スリ傷性:試料上に泥水((社)日本粉体工業
技術協会製の8種ダスト/水/中性洗浄=10/99/
1の重量比で混合したもの)をハケで塗布後、自動車用
洗車機にて洗車ブラシを10秒間回転させ、試料を流水
にて洗浄する。以上の操作を3回繰り返したのち、試料
表面のスリ傷の程度を目視観察した。 ○: スリ傷がほとんど認められない △: スリ傷がやや認められる ×: 著しいスリ傷が認められる
様の操作を行って各クリヤーコート用塗料を調製した。
貯蔵安定性試験の結果を表8に示す。
実施例9の2)と同様の操作を行って塗膜を形成した。
結果を表8に示す。
塗料からは、塗膜性能、塗膜外観共に満足する塗膜は得
られなかった。すなわち比較例1では、耐酸性が不十分
な塗膜となった。これは、アクリル樹脂の(A1)成分
であるエポキシ化合物が10重量%未満のため、水酸基
をビンダードにできず、かつヘキサントレランス(H
T)が100未満のため、樹脂の極性が低くならず、酸
の透過性と架橋部の加水分解性を低下させることができ
なかったためである。また、アクリル樹脂/硬化剤の固
形分重量比が30/70であるため、貯蔵安定性にも劣
った。
った。これは、アクリル樹脂のヘキサントレランス(H
T)が100未満のため樹脂の極性が低くならず、酸の
透過性を低下させることができなかったためである。さ
らに、アクリル樹脂の重量平均分子量が30000以上
のため、塗膜外観を示す60度鏡面光沢にも劣った。ま
た比較例1および2は、どちらもアクリル樹脂の(A
3)成分中に軟質水酸基含有ビニル型単量体を含んでい
ないため、耐スリ傷性に劣った。
Claims (3)
- 【請求項1】 (A)(A1)1個のエポキシ基を有
し、重合性不飽和結合を有しないエポキシ化合物10〜
70重量%、(A2)カルボキシル基を有するビニル型
単量体5〜70重量%、および(A3)カルボキシル基
を有しないビニル型単量体5〜85重量%からなる単量
体混合物のエステル化および重合反応物であって、ヘキ
サントレランスが100以上であるアクリル樹脂と、 (B)水酸基と反応する硬化剤とを含むことを特徴とす
る熱硬化性塗料組成物。 - 【請求項2】 硬化剤(B)がアミノ樹脂および/また
はブロック化イソシアネート化合物であることを特徴と
する請求項1記載の塗料組成物。 - 【請求項3】 カルボキシル基を有しないビニル型単量
体(A3)が、軟質セグメントを有する水酸基含有ビニ
ル型単量体を含むビニル型単量体であることを特徴とす
る請求項1または2記載の塗料組成物。
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