JP3369318B2 - 低溶剤型塗料組成物の塗装方法 - Google Patents

低溶剤型塗料組成物の塗装方法

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JP3369318B2
JP3369318B2 JP20682394A JP20682394A JP3369318B2 JP 3369318 B2 JP3369318 B2 JP 3369318B2 JP 20682394 A JP20682394 A JP 20682394A JP 20682394 A JP20682394 A JP 20682394A JP 3369318 B2 JP3369318 B2 JP 3369318B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の被塗物にお
けるクリヤー塗料、中塗塗料、ソリッドカラー及びベー
スコート塗料、特に、自動車のクリヤー塗料に適した低
溶剤型塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有機溶剤を使用する塗料において
は、その塗料を構成する有機溶剤の気化によって環境が
汚染されるのを防止するために、有機溶剤の放出につい
て厳しい制限が課される傾向にある。このため、有機溶
剤量を大幅に低減するか又は実質的に使用しない高固形
分(ハイソリッド)塗料組成物が広く検討されるように
なってきた。有機溶剤量の削減の目的で、有機溶剤を使
用しないか又は実質的に使用しない水性塗料や、粉体塗
料等が広く検討されているが、水性塗料では耐水性が劣
り、依然として有機溶剤量が20%程度必要である。ま
た、粉体塗料では、極めて高いガラス転移温度を有する
樹脂を使用する必要があるため、塗膜が脆くなり易く、
クリヤー塗料等に要求される耐擦り傷性及び耐チッピン
グ性の要件を満たすことができないなど問題となってい
た。従って、塗装し得る限界の有機溶剤量を大幅に低減
しつつ、しかも塗膜の特性、特に、耐擦り傷性や、耐候
性、更には鉛筆硬度、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性
等においても優れた塗料を提供できる塗料組成物が強く
要望されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、塗
装し得る限界の有機溶剤量を大幅に低減しつつ、しかも
塗膜の特性、特に、耐擦り傷性や、耐候性、更には鉛筆
硬度、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性等においても優
れた塗料を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために、鋭意検討した結果、水酸基を有するオ
リゴマーと、1核体メラミンの含有量が50%未満であ
るメラミン樹脂とを含むベースコート塗料組成物を被塗
物の表面に塗装した後、この上に塗装する低溶剤型塗料
組成物において、酸無水物基と、水酸基と、エポキシ基
とを必須官能基として含有し、かつ数平均分子量600
〜1500、重量平均分子量600〜3000、重量平
均分子量/数平均分子量1.0〜2.0を有する1種以
上のビニル重合オリゴマーであって、前記酸無水物基、
水酸基及びエポキシ基が同一又は別個の分子中に存在す
るビニル重合オリゴマーを使用することによって、上記
目的を達成できることを見出し、本発明に到達したもの
である。 即ち、本発明は、以下の発明: 1.水酸基を有するオリゴマーと、1核体メラミンの含
有量が50%未満であるメラミン樹脂とを含むベースコ
ート塗料組成物を被塗物の表面に塗装した後、この上
に、酸無水物基と、水酸基と、エポキシ基とを必須官能
基として含有し、かつ数平均分子量600〜1500、
重量平均分子量600〜3000、重量平均分子量/数
平均分子量1.0〜2.0を有する1種以上のビニル重
合オリゴマーであって、前記酸無水物基、水酸基及びエ
ポキシ基が同一又は別個の分子中に存在するビニル重合
オリゴマーを含有するとともに、有機溶剤量が0〜40
%である低溶剤型樹脂組成物を塗装し、 次いで熱硬化さ
せて前記被塗物の表面に塗膜を形成することを特徴とす
る塗装方法、及び 2.水酸基を有するオリゴマーと、1核体メラミンの含
有量が50%未満であるメラミン樹脂とを含むベースコ
ート塗料組成物を被塗物の表面に塗装した後、この上
に、 (1)酸無水物基と、水酸基と、エポキシ基とを必須官
能基として含有し、かつ数平均分子量600〜150
0、重量平均分子量600〜3000、重量平均分子量
/数平均分子量1.0〜2.0を有する1種以上のビニ
ル重合オリゴマーであって、前記酸無水物基、水酸基及
びエポキシ基が同一又は別個の分子中に存在するビニル
重合オリゴマーと、(2)塩基性触媒と、を含有すると
ともに、有機溶剤量が0〜40%である低溶剤型塗料組
成物を塗装し、 次いで熱硬化させて前記被塗物の表面に
塗膜を形成することを特徴とする塗装方法、に関する。
【0005】以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明のビニル重合オリゴマーの有する酸無水物基は、
式:−CO−O−CO−で示される官能基である。本発
明のビニル重合オリゴマーの有する水酸基は、式:−O
Hで示される官能基である。本発明のビニル重合オリゴ
マーの有するエポキシ基には、非脂環式エポキシ基及び
脂環式エポキシ基が含まれる。非脂環式エポキシ基とし
ては、例えば、1,2−エポキシ基や、1,3−エポキ
シ基等のアルキル基の炭素原子間に酸素原子によるエポ
キシ結合が形成されたのもが挙げられる。脂環式エポキ
シ基としては、5又は6員環(有橋炭化水素も含まれ
る)において、環の隣接する炭素原子間に酸素原子がエ
ポキシ結合したものが挙げられる。この内、脂環式エポ
キシ基よりも、非脂環式エポキシ基を使用することが実
際上好ましい。
【0006】本発明で使用されるビニル重合オリゴマー
の数平均分子量(Mn)は、600〜1500である。数
平均分子量が600よりも小さい場合には、塗膜形成能
が低下し、得られた塗膜の強度が低下し、耐溶剤性及び
耐擦り傷性が低下する。一方、数平均分子量が1500
よりも大きくなると、塗料の粘度が大きくなり過ぎるの
で適当ではない。好ましい数平均分子量は、600〜1
400であり、特に好ましいのは、600〜1300で
ある。上記ビニル重合オリゴマーの重量平均分子量/数
平均分子量(Mw/Mn)は、1.0〜2.0である。重量
平均分子量/数平均分子量が2.0より大きい場合に
は、分子量の大き過ぎるビニル重合オリゴマーや分子量
が小さ過ぎるビニル重合オリゴマーが相対的に多く含ま
れるようになり、分子量が大き過ぎる場合や小さ過ぎる
場合に生じる問題が起こる。下限は、理論的には1.0
であり、ビニル重合オリゴマーの分子量が小さい程、理
論値に近づけることが容易となり、極めて均一な特性を
有する塗料組成物が得られる。好ましい重量平均分子量
/数平均分子量は、1.0〜1.9であり、特に好まし
いのは1.0〜1.8である。本発明で使用するビニル
重合オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、上記数平均
分子量及び重量平均分子量/数平均分子量に対応して、
600〜3000である。好ましい重量平均分子量は、
1000〜2500であり、特に好ましいのは1200
〜2000である。なお、本発明で使用するビニル重合
オリゴマーのガラス転移温度は、好ましくは、−35℃
〜40℃、特に好ましくは−10〜30℃である。40
℃よりもガラス転移温度が高いと、塗料の粘度が高くな
り過ぎるため好ましくない。一方、ガラス転移温度が−
35℃よりも低くなると、塗膜が柔らかくなり過ぎ、耐
ガソリン性が低下するので、やはり好ましくない。
【0007】本発明のビニル重合オリゴマーにおいて、
酸無水物は、水酸基と反応してエステル結合を形成し、
架橋反応を起こす。一方、この際にカルボキシル基を形
成し、このカルボキシル基は、エポキシ基とも反応し、
エステル結合を形成するとともに、エポキシ基に由来す
る2級水酸基が生成する。この2級水酸基は、更に酸無
水物基と反応してエステル結合を形成する。このような
種々の反応が起こり、架橋(硬化)結合を越こし、塗膜
を形成する。必要に応じて、ビニル重合オリゴマーは、
官能基として更に、シラノール基、加水分解性シリル基
及びブロック化カルボキシル基からなる群から選択され
る官能基を有してもよい。シラノール基は、以下の式
(1):
【0008】
【化1】
【0009】(式中、R1及びR2は、同一でも異なってい
てもよい、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、-NR4R5
基(但し、R4及びR5は、アルキル基又はアリール基であ
る)、-NR4COR5(但し、R4及びR5は、アルキル基又はア
リール基である)、-COR4 基(但し、R4は、アルキル基
又はアリール基である)、-OCOR4基(但し、R4は、アル
キル基又はアリール基である)、アリール基、-ONR4R5
基(但し、R4及びR5は、アルキル基又はアリール基であ
る)、-ONCR4R5基(但し、R4及びR5は、アルキル基又は
アリール基である)である。)で示される。上記式中、
アルキル基としては、直鎖又は分岐を有する炭素原子数
1〜10個のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル
基等が挙げられる。アルコキシ基としては、アルキル基
部分が上記アルキル基と同様であるものが挙げられる。
上記アリール基としては、特に、置換又は非置換のフェ
ニル基が含まれ、置換基としては、ハロゲン原子、アル
キル基、アルコキシ基等が挙げられる。このような置換
基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原
子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。置換基とし
てのアルキル基としては、直鎖又は分岐を有する炭素原
子数1〜10のアルキル基が含まれ、例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル
基等が挙げられる。また、置換基としてのアルコキシ基
としては、それを構成するアルキル基が上記アルキル基
と同様のものが挙げられる。好ましい置換基としては、
例えば、フッ素原子等のハロゲン原子や、炭素原子数1
〜5の低級アルキル基が挙げられる。加水分解性シリル
基は、加水分解性基によりシラノール基をブロックした
ものであり、以下の式(2)で示される。
【0010】
【化2】
【0011】上記式(2)中、R1及びR2は、式(1)の
ものと同一であり、R3は、アルキル基、-NR4R5基(但
し、R4及びR5は、アルキル基又はアリール基である)、
-COR4基(但し、R4は、アルキル基又はアリール基であ
る)、アリール基、-NCR4R5 基(但し、R4及びR5は、ア
ルキル基又はアリール基である)である。ブロック化カ
ルボキシル基は、熱及び/又は水分によってカルボキシ
ル基を遊離するブロック基によってブロックされたカル
ボキシル基であれば、特に制限なく使用することができ
る。このようなブロック化カルボキシル基としては、以
下の式(3): ───COO───Z (3) で示される。ここで、Zは、カルボキシル基の水酸基に
結合したブロック化剤に由来するブロック基である。こ
のZとしては、以下の式で示されるブロック基が、好ま
しいものとして例示することができる。 〔1〕シリルブロック基 シリルブロック基としては、以下の式(4)で示される
シリルブロック基を例示することができる。
【0012】
【化3】
【0013】上記式(4)中のR1〜R3は、各々独立して
アルキル基又はアリール基である。アルキル基として
は、炭素原子数1〜10個の直鎖又は分岐を有するアル
キル基が挙げられ、例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基等の炭素原子数1〜8個の低級アルキル
基が特に好ましい。アリール基としては、置換基を有し
てもよい、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等が
含まれ、特に、フェニル基が好ましい。式(4)で示さ
れるシリルブロック基としては、トリメチルシリル基、
ジエチルメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、ブ
チルジメチルシリル基、ブチルメチルエチルシリル基、
フェニルジメチルシリル基、フェニルジエチルシリル
基、ジフェニルメチルシリル基、ジフェニルエチルシリ
ル基等が挙げられる。特に、R1〜R3の分子量が小さい
程、揮発成分が少なくなり、有機溶剤量を低減させるの
で好ましい。このようなシリルブロック基を形成するブ
ロック化剤としては、ハロゲン化シランが好ましいもの
として使用することができる。ハロゲン化シランに含ま
れるハゲン原子としては、塩素原子又は臭素原子等が挙
げられる。具体的なブロック化剤としては、例えば、ト
リメチルシリルクロライド、ジエチルメチルシリルクロ
ライド、エチルジメチルシリルクロライド、ブチルジメ
チルシリルブロマイド、ブチルメチルエチルシリルブロ
マイド等が挙げられる。 〔2〕ビニルエーテルブロック基 ビニルエーテルブロック基としては、以下の式(5)で
示されるビニルエーテルブロック基が例示される。
【0014】
【化4】
【0015】上記式(5)中のR1、R2及びR3は、それぞ
れ独立に水素原子又は炭素原子数1〜18の炭化水素基
である。R4は、炭素原子数1〜18の炭化水素基であ
る。Yは、酸素原子又は硫黄原子である。また、R3とR4
とは互いに結合して、Yをヘテロ原子とする複素環を形
成してもよい。上記式中における炭化水素基としては、
アルキル基、シクロアルキル基、アリール基等が挙げら
れる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基等の炭素原子数1〜8個の低級
アルキル基が特に好ましい。シクロアルキル基としては
例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げ
られる。アリール基としては、置換基を有してもよい、
フェニル基、ナフチル基、アントラセン基等が含まれ、
特に、フェニル基が好ましい。このようなビニルエーテ
ルブロック基は、脂肪族ビニルエーテル又はチオエーテ
ル又は環状ビニルエーテル又はチオエーテルをカルボキ
シル基の水酸基に反応させることによって形成すること
ができる。脂肪族ビニルエーテルとしては、例えば、メ
チルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロ
ピルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソ
ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエー
テル、シクロヘキシルビニルエーテル等、又はこれに対
応するビニルチオエーテルが挙げられる。環状ビニルエ
ーテルとしては、例えば、2,3−ジヒドロフラン、
3,4−ジヒドロフラン、2,3−ジヒドロ−2H−ピ
ラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒ
ドロ−2−メトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ
−4,4−ジメチル−2H−ピラン−2−オン、3,4
−ジヒドロ−2−エトキシ−2H−ピラン、3,4−ジ
ヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸ナトリム等が挙
げられる。シラノール基は、水酸基と反応して Si-O 結
合を形成する。また、加水分解性シリル基は、水分の存
在下で、好ましくは例えば、リン酸、カルボン酸、ジブ
チルスズジラウレート、ジメチルスズジクロライド、ジ
ブチルスズジマレート等の解離触媒の存在下において、
シラノール基を生成し、同様にして、水酸基と反応し
て、 Si-O 結合を形成する。更に、シラノール基同志で
も反応が生じて、 Si-O-Si結合を形成する。この Si-O
結合又は Si-O-Si結合が塗膜中に存在すると、塗膜の強
度は向上し、また柔軟性が増す。また、ブロック化カル
ボキシル基は、熱又は水分の存在下に、ブロック基が外
れ、カルボキシル基を遊離する。このカルボキシル基
は、エポキシ基と反応し、架橋(硬化)反応を起こす。
ここで、加水分解性シリル基及びブロック化カルボキシ
ル基のように、シラノール基又はカルボキシル基をブロ
ック化剤によりブロックすると、それらの極性を抑制す
ることができるため、更に低溶剤量にしても粘度の低い
塗料組成物が得られる。
【0016】本発明で使用するビニル重合オリゴマーに
おいては、酸無水物基、水酸基又はエポキシ基は、同一
のビニル重合オリゴマー中に存在していてもよく(但
し、酸無水物基と水酸基は同一のオリゴマー中に存在さ
せることはできない。)、また別個のビニル重合オリゴ
マー中にそれぞれ存在していてもよい。本発明で使用す
るビニル重合オリゴマー1分子中に含まれる官能基の数
は、使用するビニル重合オリゴマーの分子量にもよる
が、好ましくは1〜5個、更に好ましくは2〜4個であ
る。官能基の数が2個よりも少ない場合には、塗膜の強
度が低下するので好ましくない。一方、官能基の数が5
個を越えると、粘度が高くなり過ぎたり、塗膜に硬化収
縮を生じたり、更には、割れやすくなり、塗膜が脆弱と
なるなど、好ましくない。酸無水物基の量は、0.5〜
2.0モル/kg樹脂、好ましくは1.0〜1.5モル/
kg樹脂である。なお、2.0モル/kg樹脂よりも多くな
ると、架橋密度が大きくなり過ぎ、塗膜が脆くなるので
好ましくない。また、水酸基の量は、一般に0.5〜
2.0モル/kg樹脂、好ましくは1.0〜1.5モル/
kg樹脂である。0.5モル/kg樹脂よりも少ないと、架
橋密度が上がらず、塗膜物性が不充分で好ましくない。
一方、2.0モル/kg樹脂よりも多くなると、残存水酸
基も多くなり耐水性等が不充分で、好ましくない。更
に、エポキシ基の量は、一般に1〜5モル/kg樹脂、好
ましくは2〜4モル/kg樹脂である。1モル/kg樹脂よ
りも少ないと、耐擦り傷性及び耐溶剤性が低下すること
となり、好ましくない。一方、5モル/kg樹脂よりも多
くなると、粘度が高くなり過ぎるので、好ましくない。
なお、必要に応じて任意に使用されるシラノール基又は
加水分解性シリル基の量は、1.0〜3.0モル/kg樹
脂、好ましくは1.5〜2.0モル/kg樹脂である。
3.0モル/kg樹脂よりも多くなると、架橋密度が大き
くなり過ぎ、塗膜が脆くなるので好ましくない。また、
必要に応じて任意に使用されるブロック化カルボキシル
基の量は、一般に1〜5モル/kg樹脂、好ましくは2〜
4モル/kg樹脂である。1モル/kg樹脂よりも、少ない
と、耐擦り傷性及び耐溶剤性が低下することととなり、
好ましくない。一方、5モル/kg樹脂よりも多くなる
と、粘度低下の効果よりもブロック基の揮散量が多くな
り過ぎるので、好ましくない。
【0017】酸無水物基と水酸基との(モル/kg樹脂と
しての)使用割合は、一般に、0.5〜1.0:1であ
り、好ましくは0.8〜1.0:1である。酸無水物基
の量が、0.5:1よりも少ないと、架橋密度が上がら
ず塗膜性能が不充分となり好ましくない。一方、酸無水
物基の量が、1.0:1よりも多くなると、焼付時に黄
変を起こし、やはり好ましくない。酸無水物基とエポキ
シ基との使用割合は、一般に、0.7〜1.0:1であ
り、好ましくは0.8〜1.0:1である。酸無水物基
の量(モル/kg樹脂として)が、0.7:1よりも少な
いと、架橋密度が上らず、耐擦り傷性等が不充分となり
好ましくない。一方、酸無水物基の量が、1.0:1よ
りも多くなると、塗膜の黄変が著しく低下しなり、やは
り好ましくない。本発明で使用するビニル重合オリゴマ
ー1分子中における全官能基の数は、好ましくは2〜5
mol/Kg樹脂、特に好ましくは3〜4mol/kg樹脂である。
官能基の数が、2mol/kg樹脂よりも少ないと、架橋密度
が小さくなるため、形成する塗膜の強度及び柔軟性が低
下し、耐衝撃性、耐擦り傷性、耐溶剤性等の塗膜性能が
低下する。一方、全官能基の数が5mol/kg樹脂よりも多
くなると、粘度が高くなり過ぎるとともに架橋密度が大
きくなり過ぎるため、塗膜が脆くなりなど、塗膜性能が
大きく低下する。なお、任意に使用されるシラノール基
又は加水分解性シリル基を含む場合には、全官能基の数
は、好ましくは0.5〜5モル/kg樹脂、更に好ましく
は1〜4モル/kg樹脂である。0.5モル/kg樹脂より
も全官能基が少ない場合には、架橋密度が小さくなる。
一方、5モル/kg樹脂よりも多くなると、架橋が密にな
り過ぎ、塗膜が脆くなる。なお、全官能基数を選択する
場合には、特に、オリゴマーの分子量との関係を考慮す
る必要がある。即ち、ビニル重合オリゴマーの分子量が
小さい場合には、全官能基数を大きくしないと、1分子
中に官能基が存在しないビニル重合オリゴマーが生じる
ため、塗膜性能を十分発揮させることはできない。ま
た、ビニル重合オリゴマーの分子量が大きい場合には、
それ自体で粘度が大きくなるので好ましくない。いずれ
にしても、分子量と全官能基との適切な組合せは、当業
者において本発明の範囲内において実験的に容易に決定
することができる。なお、シラノール基又は加水分解性
シリル基を使用する場合には、酸無水物基に対する使用
割合は、酸無水物基:シラノール基又は加水分解性シリ
ル基のモル/kg樹脂における比は、一般に、0.5〜
2.0:1、好ましくは1.0〜2.0:1である。酸
無水物基の量が0.5:1よりも少ない場合には、シリ
ル基の自己縮合の割合が多くなり、塗膜がワレやすくな
るため、好ましくない。一方、酸無水物基の量が2.
0:1よりも多くなると、残存する酸無水物基が極端に
多くなり、耐候性の低下をおこし、やはり好ましくな
い。また、ブロック化カルボキシル基を使用する場合に
は、酸無水物基に対する使用割合は、酸無水物基:ブロ
ック化カルボキシル基のモル/kg樹脂における比は、一
般に、1〜4:1、好ましくは1〜3.5:1である。
酸無水物基の量が1:1よりも少ない場合には、架橋密
度が上らず、充分な塗膜性能が得られず、好ましくな
い。一方、酸無水物基の量が4.0:1よりも多くなる
と、残存酸無水物基が多くなる弊害や高温焼付時にもろ
くなり、やはり好ましくない。1分子中に、酸無水物
基、水酸基又はエポキシ基とともに、シラノール基、加
水分解性シリル基又はブロック化カルボキシル基を含む
ビニル重合オリゴマー、又はシラノール基、加水分解性
シリル基又はブロック化カルボキシル基のみを有するビ
ニル重合オリゴマーの数平均分子量、重量平均分子量、
及び重量平均分子量/数平均分子量は、既に規定した範
囲に入るものである。
【0018】上記ビニル重合オリゴマーは、酸無水物
基、水酸基又はエポキシ基を有しかつ重合性不飽和結合
を有するモノマーを重合又は共重合(以下、単に「重
合」と言う)することによって得られる。例えば、ビニ
ル重合オリゴマーを、このような官能基を有するアクリ
ル酸又はメタクリル酸モノマーから合成すると、アクリ
ル系オリゴマーが得られる。これらのモノマーの重合方
法は、公知の慣用手段で行うことができる。例えば、ア
ニオン重合や、カチオン重合等のイオン重合、若しくは
ラジカル重合によって重合を行うことができる。本発明
においては、重合の容易性の観点から、ラジカル重合に
よることが好ましい。但し、本発明においては、低分子
量のビニル重合オリゴマーを製造する必要があるので、
重合に際しては、低分子量でビニル重合オリゴマーが製
造できるように、メルカプトエタノール、チオグリセロ
ール、ラウリルメルカプタン等のメルカプタン類又は連
鎖移動剤を使用する方法や、60〜180℃で反応させ
る方法、若しくは低いモノマー濃度で反応させる方法等
を採用することが望ましい。なお、ビニルエーテル基で
ブロックした水酸基含有モノマーを重合する場合には、
60〜100℃で重合を行なうことが好ましい。100
℃より高温で重合を行なうと、ブロック基が解離しやす
い。また、ビニル重合オリゴマーの分子構造は、特に限
定されず、例えば、直線状、櫛型状、ブロック状、スタ
ー型、スターバースト型等の種々の構造のものとするこ
とができる。ラジカル重合は、溶液中で行うことが望ま
しい。そのようなラジカル溶液重合に使用される溶剤と
しては、従来よりアクリルモノマー等のビニル重合性の
モノマーの重合に使用される溶剤を制限なく使用するこ
とができる。このような溶剤としては、例えば、トルエ
ン、キシレン、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、ソルベッソ(エクソン製)等が挙
げられる。ラジカル溶液重合に使用されるラジカル反応
開始剤としては、従来よりラジカル重合において使用さ
れる反応開始剤を制限なく使用することができる。この
ような反応開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオ
キサイド、ラウロイルパーオキサイド、t-ブチルハイド
ロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノール等の過酸化物や、アゾビスバレロニトリル、
アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルプ
ロピオニトリル)等のアゾ化合物を挙げることができ
る。
【0019】酸無水物基含有モノマーとしては、酸無水
物基と、ラジカル重合性不飽和結合基を有するモノマー
が好適に使用される。このような酸無水物とラジカル重
合性不飽和結合基とを有するモノマーとしては、例え
ば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の分子内で酸無
水物基を形成するモノマーや、1分子中に、ラジカル重
合性不飽和結合と1個のカルボキシル基とを有するモノ
マーに、1分子中に1個のカルボキシル基を有する化合
物を脱水又は脱アルコール反応によって、縮合させたモ
ノマーが挙げられる。1分子中に1個のカルボキシル基
を有する化合物としては、その分子中にラジカル重合性
不飽和結合を有するものでも、有さないものでもよい。
このようなモノマーとしては、例えば、無水メタクリル
酸や、例えば、マレイン酸モノアルキル又はイタコン酸
モノアルキル等の2価の多塩基酸のモノエステルを脱ア
ルコール反応によって縮合したモノマーが挙げられる。
水酸基含有モノマーとしては、水酸基と、ラジカル重合
性不飽和結合基とを有するモノマーが好適に使用され
る。このようなラジカル重合性不飽和結合としては、以
下の式(6)で示されるものが好ましい。
【0020】
【化5】
【0021】上記式において、R1は、水素原子又はメチ
ル基である。R2は、アルキレン基、シクロアルキレン基
又はアリーレン基である。Yは、-COO- 、単結合又は-O
- である。特に、Yが-COO- であるアクリル系モノマー
が好ましい。アルキレン基としては、直鎖又は分岐を有
する炭素数1〜18のアルキレン基が含まれ、例えば、
メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、
イソブチレン基、ヘキサメチレン基の炭素数1〜6の低
級アルキレン基等が挙げられる。シクロアルキレン基と
しては、例えば、炭素数5〜18のシクロアルキレン基
が挙げられ、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキ
シレン基の炭素数5〜8のシクロアルキレン基が好まし
く挙げられる。アリーレン基としては、例えばオルト、
メタ又はパラ−フェニレン基、ナフタレン基、フルオレ
ン基、インドレン基、アントラセン基、フラン基、チオ
フェン基等が挙げられる。好ましい具体的な水酸基含有
モノマーとしては、水酸基含有アクリルモノマーが挙げ
られ、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げら
れる。
【0022】エポキシ基含有モノマーとしては、1分子
中にエポキシ基とラジカル重合性不飽和結合基とを有す
るモノマーが好ましく使用される。ラジカル重合性不飽
和結合基としては、例えば、以下(7)〜(13)で示
される基が挙げられる。
【0023】
【化6】
【0024】(式中、R1は、水素原子又はメチル基であ
り、R2は、2価の脂肪族炭化水素基であり、R3は、水素
原子又は炭化水素基1〜10のアルキル基であり、Ph
は、フェニレン基である。) R2における脂肪族炭化水素基としては、アルキレン基、
シクロアルキレン基、アリーレン基等が挙げられる。ア
ルキレン基としては、直鎖又は分岐状アルキレン基が含
まれ、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン
基、ブチレン基、イソブチレン基、ヘキサメチレン基等
が挙げられる。シクロアルキレン基としては、例えば、
シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等が好ましく
挙げられる。アリーレン基としては、例えば、オルト、
メタ又はパラ−フェニレン基、ナフタレン基、アントラ
セン基等が挙げられる。また、R3としては、例えば、メ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブ
チル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等を挙
げることができる。これらのラジカル重合性不飽和結合
基の内、上記式(7)で示されるものが特に好ましい。
上記ラジカル重合性不飽和結合基を有しかつエポキシ基
を有する好ましいエポキシ基含有モノマーとしては、グ
リシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシク
ロヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有脂
環式又は非脂環式モノマーが挙げられる。この内、特に
グリシジル(メタ)アクリレート等の非脂環式エポキシ
基含有モノマーが好適に使用される。
【0025】任意で使用されるシラノール基、加水分解
性シリル基又はブロック化カルボキシル基を含有するモ
ノマーとしては、以下の態様のものが挙げられる。シラ
ノール基又は加水分解性シリル基を有するモノマーとし
ては、上記式(1)又は(2)で示されるシラノール基
又は加水分解性シリル基と、ラジカル重合性不飽和結合
基とを有するモノマーが好適に使用することができる。
ラジカル重合性不飽和結合基としては、以下の式(1
4)〜(18)で示されるものが好適なものとして挙げ
られる。 1 1 1
【0026】
【化7】
【0027】(上記式(14)〜(18)中、R1は、水
素原子又は炭素数1〜6個のアルキル基であり、Phは、
フェニレン基である。) ここで、炭素数1〜6個のアルキル基としては、例え
ば、直鎖又は分岐状のアルキル基が含まれ、例えば、メ
チル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基s-ブチル
基、t-ブチル基、n-ペンチル基、s-ペンチル基、ヘキシ
ル基、n-ヘプチル基、s-ヘプチル基、オクチル基、ノニ
ル基、デシル基、ウンデシル基等を挙げることができ
る。好ましいアルキル基としては、メチル基、エチル基
等である。この内、特に、式(14)で示されるラジカ
ル重合性不飽和結合基が好ましい。式(14)式で示さ
れるラジカル重合性不飽和結合基としては、以下の式
(19)で示されるモノマーが好適である。
【0028】
【化8】
【0029】上記式(19)中において、R1は、上記定
義の通りであり、R2は、2価の脂肪族炭化水素基であ
り、Xは、上記式(1)又は(2)で示されるシラノー
ル基又は加水分解性シリル基を示す。R2としての2価の
脂肪族炭化水素基としては、アルキレン基、シクロアル
キレン基、アリーレン基等が挙げられる。アルキレン基
としては、直鎖又は分岐状アルキレン基が含まれ、例え
ば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン
基、イソブチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ
る。シクロアルキレン基としては、例えば、シクロペン
チレン基、シクロヘキシレン基等が好ましく挙げられ
る。アリーレン基としては、例えば、オルト、メタ又は
パラ−フェニレン基、ナフタレン基、フルオレン基、イ
ンドレン基、アントラセン基、フラン基、チオフェン基
等が挙げられる。上記式(19)で示されるモノマーの
具体例としては、例えば、γ−(メタ)アクリロイロキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロ
イロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)ア
クリロイロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−
(メタ)アクリロイロキシプロピルメチルジメトキシシ
ラン、γ−(メタ)アクリロイロキシプロピルメチルジ
エトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイロキシプロピ
ルメチルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイ
ロキシブチルフェニルジメトキシシラン、γ−(メタ)
アクリロイロキシフェニルジエトキシシラン、γ−(メ
タ)アクリロイロキシフェニルジプロポキシシラン、γ
−(メタ)アクリロイロキシプロピルジメチルメトキシ
シラン、γ−(メタ)アクリロイロキシプロピルジメチ
ルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイロキシプロ
ピルフェニルメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アク
リロイロキシプロピルフェニルメチルエトキシシラン、
γ−(メタ)アクリロイロキシプロピルトリシラノー
ル、γ−(メタ)アクリロイロキシプロピルメチルジヒ
ドロキシシラン、γ−(メタ)アクリロイロキシブチル
フェニルジヒドロキシシラン、γ−(メタ)アクリロイ
ロキシプロピルジメチルヒドロキシシラン、γ−(メ
タ)アクリロイロキシプロピルフェニルメチルヒドロキ
シシラン等が挙げられる。
【0030】ブロック化カルボキシル基を有するモノマ
ーとしては、上記式(4)又は(5)で示されるブロッ
ク化カルボキシル基と、ラジカル重合性不飽和結合基と
を有するモノマーが好適に使用される。ラジカル重合性
不飽和結合基としては、ラジカル重合性のビニル結合
(CHR1=CR2−(R1及びR2は、それぞれ水素原子、アルキ
ル基又は単結合である。)が好ましく挙げられる。ここ
で、アルキル基としては、直鎖又は分岐を有するアルキ
ル基が含まれ、例えば、メチル基や、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基等の炭素数1〜20のアルキル基が好ま
しい。このようなモノマーとしては、例えば、カルボキ
シル基とラジカル重合性不飽和結合基とを有するモノマ
ーを上記ブロック化剤によってブロック化したモノマー
が挙げられる。このようなカルボキシル基と、ラジカル
重合性不飽和結合基とを有するモノマーは、複数のカル
ボキシル基を含んでもよい。分子中に1個のカルボキシ
ル基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アク
リル酸が好ましい。分子中に2個のカルボキシル基を有
するモノマーとしては、例えば、イタコン酸、マレイン
酸、メサコン酸、フマル酸等が挙げられる。また、無水
マレイン酸や、無水イタコン酸等の酸無水物に、炭素数
1〜18のアルコール類やアミンを反応させたものでも
よい。このようなアルコール類としては、例えば、メタ
ノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のア
ルコール類を挙げることができる。アルコール類の炭素
数が18個を越えると、塗膜の可塑性が高くなり過ぎる
ので、好ましくない。また、このようなアミンとして
は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、メチルブチル
アミン、エチルブチルアミン、n-ブチルアミン等の脂肪
族アミンや、アニリン、トルイジン等の芳香族アミンを
挙げることができる。なお、本発明で使用するビニル重
合オリゴマーを製造する際に、必要に応じて他の重合性
モノマー、例えば、α,β−エチレン性不飽和モノマー
を併用してもよい。このようなα,β−エチレン性不飽
和モノマーとしては、例えば、以下に挙げるモノマーを
使用することがでる。
【0031】(1)アクリル酸又はメタクリル酸エステ
ル:例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル
酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、
アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプ
ロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、
メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル等のアク
リル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜18個のアルキル
基エステル;アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸
メトキシブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリ
ル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタ
クリル酸エトキシブチル等のアクリル酸又はメタクリル
酸エステルの炭素数2〜18個のアルコキシアルキルエ
ステル;アリルアクリレート、アリルメタアクリレート
等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜8個のア
ルケニルエステル;アリルオキシエチルアクリレート、
アリルオキシエチルメタアクリレート等のアクリル酸又
はメタクリル酸の炭素数3〜18個のアルケニルオキシ
アルキルエステル。
【0032】(2)ビニル系化合物:例えば、酢酸ビニ
ル、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピ
レン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエ
ン、p-クロルスチレン。 (3)ポリオレフィン系化合物:例えば、ブタジエン、
イソプレン、クロロプレン。 (4)アリルエーテル類:ヒドロキシエチルアリルエー
テル等。 (5)その他:例えば、メタアクリルアミド、アクリル
アミド、ジアクリルアミド、ジメタクリルアミド、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、メチルイソプロペ
ニルケトイン、酢酸ビニル、ビニルプロピオネート、ビ
ニルピバレート、アクリル酸、メタクリル酸、N,N-ジア
ルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、フォスフ
ォノオキシエチル(メタ)アクリレート等の燐酸基含有
(メタ)アクリレート、トリフルオロメチルビニルエー
テル等のパーフルオロビニルエーテル、ヒドロキシエチ
ルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等
のビニルエーテル。
【0033】本発明の低溶剤型塗料組成物に使用する硬
化触媒は、酸無水物基、水酸基及びエポキシ基間の架橋
反応を促進する触媒である。本発明においては、塩基性
触媒が使用される。このような塩基性触媒としては、以
下のものが好ましいものとして挙げることができる。 (1)R1R2R3Pで示される有機ホスフィン類 式中、R1〜R3は、各々アルキル基又はアリール基であ
る。アルキル基としては、直鎖又は分岐を有する、炭素
数が1〜18個のアルキル基が挙げられる。このような
アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル
基、n-ヘキシル基等が挙げられる。また、アリール基と
しては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセ
ン基等が挙げられる。具体的な有機ホスフィン類として
は、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフ
ィン、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。 (2)四級アンモニウム化合物 四級アンモニウム化合物は、四級アンモニウムと、例え
ばハロゲンやアセテート等の対イオンとから形成される
塩である。対イオンを構成するハロゲン原子としては、
例えば、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。四級アン
モニウムを構成するものとしては、R1R2R3R4Nで示され
る。ここで、R1〜R4は、各々独立にアルキル基又はアリ
ール基であり、置換基を有してもよい。アルキル基及び
アリール基の範囲は、上記有機ホスホニウム化合物にお
いて述べたものと同様である。ただし、アルキル基の炭
素数は、4以上であることが好ましい。炭素数が4未満
では、溶剤に溶解し易くなるので好ましくない。具体的
な四級アンモニウムとしては、例えば、テトラメチルア
ンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチル
(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウム、シクロヘキ
シルトリメチルアンモニウム、テトラキス(ヒドロキシ
メチル)アンモニウム、o−トリフルオロメチルフェニ
ルトリメチルアンモニウム、トリラウリルメチルアンモ
ニウム等が挙げられる。 (3)イミダゾール類 例えば、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、2,
4−ジメチルイミダゾール等が挙げられる。 (4)ホスホニウム化合物 ホスホニウム化合物としては、テトラアルキルホスホニ
ウムハライド又はアセテートが好ましいものとして挙げ
られる。テトラアルキルホスホニウムとしては、例え
ば、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニ
ウム、テトラプロピルホスホニウム、テトラブチルホス
ホニウム等が挙げられる。ただし、アルキル基の炭素数
は、4以上であることが好ましい。炭素数が4未満で
は、溶剤に溶解し易くなるので好ましくない。ハライド
を構成するハロゲン原子としてとしては、塩素、臭素、
ヨウ素等が挙げられる。また、ホスホニウム化合物を構
成する陰イオンとしては、上記以外に、例えば、Cl
O4 - 、SbF6 - 、PF6 - 等を挙げることができる。 (5)金属アルコラート 以下の式(20)〜(22)で示される有機アルミネー
ト、有機チタネート及び有機ジルコネートが好ましいも
のとして例示することができる。 1 1 1
【0034】
【化9】
【0035】上記式中、R1、R2及びR3は、同一でも異な
ってもよい、直鎖又は分岐を有する炭素数1〜18のア
ルキル基又はアルケニル基である。このようなアルキル
基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシ
ル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、オク
タデシル基等が挙げられる。アルケニル基としては、例
えば、ビニル基、アリル基等が挙げられる。上記式で示
される有機アルミネートとしては、例えば、アルミニウ
ムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アル
ミニウムトリ2−プロポキシド、アルミニウムトリイソ
プロポキシド、アルミニウムトリブトキシド等を挙げる
ことができる。
【0036】
【化10】
【0037】上記式におけるR1、R2、R3、R4及びR5は、
上記式(20)におけるR1、R2及びR3と同様である。ま
た、nは、0〜20の整数を示す。上記式(21)でn
が0で示される具体的な化合物としては、例えば、テト
ラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラ
n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネー
ト、テトライソブチルチタネート、テトラn-ブチルチタ
ネート、テトラt-ブチルチタネート、テトラn-ペンチル
チタネート、テトラn-ラウリルチタネート等が挙げられ
る。特に、テトライソプロピルチタネート、テトライソ
ブチルチタネート及びテトラn-ブチルチタネートが好ま
しい。また、上記式(21)のnが1以上である具体的
な化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネ
ート、テトライソブチルチタネート及びテトラn-ブチル
チタネートの2量体〜11量体のモノマーを使用するこ
とができる。
【0038】
【化11】
【0039】上記式におけるR1、R2、R3、R4及びR5並び
にnは、上記式(21)におけるものと同様である。上
記式(22)でnが0で示される具体的な化合物として
は、例えば、テトラメチルジルコネート、テトラエチル
ジルコネート、テトラn-プロピルジルコネート、テトラ
イソプロピルジルコネート、テトライソブチルジルコネ
ート、テトラn-ブチルジルコネート、テトラt-ブチルジ
ルコネート、テトラn-ペンチルジルコネート、テトラn-
ラウリルジルコネート等が挙げられる。特に、テトライ
ソプロピルジルコネート、テトライソブチルジルコネー
ト及びテトラn-ブチルジルコネート等が好ましい。ま
た、上記式(22)のnが1以上である具体的な化合物
としては、例えば、テトライソプロピルジルコネート、
テトライソブチルジルコネート及びテトラn-ブチルジル
コネートの2量体〜11量体のモノマーを使用すること
ができる。 (6)熱潜在性塩基性触媒 熱潜在性塩基性触媒は、60℃までは触媒の作用を生じ
ず、60℃以上になると、硬化触媒としての作用を発揮
する触媒である。従って、このような触媒を低溶剤型塗
料組成物に配合して長期保存しても、樹脂がゲル化した
り、増粘することがないので、特に、一液型の塗料とし
て使用する場合には取扱いが容易である。このような熱
潜在性塩基性触媒としては、 (R1n ──M で表される触媒が好ましいものとして例示することがで
きる。式中、R1は、炭素数1〜20のアルキル基、アリ
ール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、又は活性メチ
レン基に隣接したカルボニル基である。アルキル基とし
ては、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基が含まれ、例
えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、
s-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘプチル基、s-ヘプチル基
等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナ
フチル基、アントラセン基等が挙げられる。アルコキシ
基としては、上記アルキル基を有するアルコキシ基が挙
げられる。アシルオキシ基としては、例えば、アセチル
オキシ基、プロパノイロキシ基、ブタノイロキシ基等が
挙げられる。また、活性メチレン基に隣接したカルボニ
ル基としては、例えば、メチルカルボニルメチル基や、
フェニルカルボニルメチル基等が挙げられる。Mは、M
g、Al、Ca、Sn、Pb又は周期表における第4周
期から第6周期の内、3A族から7A族、8族、1B及
び2B族に属する遷移金属原子である。nは、1〜6の
整数である。この内、好ましいMは、Ca、Sn、P
b、Zn及びCoである。
【0040】上記熱潜在性塩基性触媒の具体例として
は、例えば、アルミニウムアセチルアセトネート、鉄ア
セチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネー
ト、ジブチルスズアセチルアセトネート、ジブチルスズ
ジラウレート、ジオクチルスズエステルマレート、ナフ
テン酸マグネシウム、ナフテン酸カルシウム、ナフテン
酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフ
テン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸ジルコニウム、
ナフテン酸鉛、オクチル酸カルシウム、オクチル酸マン
ガン、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸
亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸スズ、オク
チル酸鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛、ステア
リン酸鉛等が挙げられる。好ましい熱潜在性塩基性触媒
としては、例えば、ジブチルスズアセチルアセトネー
ト、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズエステ
ルマレート、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸コバル
ト、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸鉛、オクチル酸カルシ
ウム、オクチルコバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸
スズ、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステ
アリン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛
等が挙げられる。
【0041】これらの塩基性触媒としては、四級アンモ
ニウム塩及びホスホニウム塩が特に好ましい。四級アン
モニウムとしては、特に、トリラウリルメチルアンモニ
ウムアセテート、テトラブチルアンモニウムブロマイ
ド、テトラn-ヘキシルアンモニウムブロマイド等が好ま
しい。一方、ホスホニウム塩としては、テトラブチルホ
スホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウ
ムブロマイド等が好ましい。なお、これらの塩基性触媒
は、適宜、組合せて使用することもできる。塩基性触媒
は、低溶剤型塗料組成物において触媒量で使用される。
具体的には、低溶剤型樹脂組成物に使用されるビニル重
合オリゴマーの100重量部に対して、0.01〜30重
量部、好ましくは0.1〜10重量部の量で使用される。
塩基性触媒の量が少な過ぎると、塗膜と硬化性が低下す
ることにより、一方、多過ぎると、塗膜が着色し、塗膜
の特性を劣化させるので好ましくない。なお、熱潜在性
の塩基性触媒を使用する場合には、通常50〜200
℃、好ましくは60〜150℃において、例えば、2分
〜1時間加熱することにより、樹脂組成物の硬化を促進
させることができる。但し、2液型として塗料組成物を
使用する場合には、使用直前に2液を混合するので、樹
脂の硬化を余り考慮する必要がないので、熱潜在性カチ
オン重合性触媒を使用する必要性は少ない。
【0042】本発明においては、必要に応じて、ビニル
重合オリゴマーの水酸基と反応する硬化剤を適宜使用し
てもよい。このような硬化剤としては、従来よりこのよ
うな架橋反応系に使用される硬化剤であれば、特に制限
されることなく使用することができる。このような硬化
剤としては、例えば、ポリイソシアネート、イソシアネ
ートプレポリマー等のイソシアネート系硬化剤や、メラ
ミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂等のアミノ
樹脂系硬化剤が挙げられる。ポリイソシアネートは、イ
ソシアネート基を複数有するポリイソシアネートであ
る。イソシアネート基の数は、一般に2〜6個、好まし
くは2〜4個である。ポリイソシアネートとしては、特
に、ジイソシアネートが好ましく使用される。このよう
なジイソシアネートとしては、例えば、キシレンジイソ
シアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジ
イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、
1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,10−
デカメチレンジイソシアネート、1,18−オクタデカ
メチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、
リジントリイソシアネート等が挙げられる。これらのジ
イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネ
ートが好ましい。イソシアネートプレポリマーとして
は、ポリイソシアネートの重合体や、ポリイソシアネー
トと水又は多価アルコールとの付加反応体が挙げられ
る。ポリイソシアネートの重合体としては、例えば、ポ
リイソシアネートが複数結合して環状になったポリイソ
シアネート化合物が挙げられる。このような環状ポリイ
ソシアネートとしては、例えば、ポリイソシアネートの
3量体であるイソシアヌル環を有するイソシアヌレート
等が好ましいものとして挙げることができる。
【0043】ポリイソシアネートは、水又は多価アルコ
ールと反応して、複数のイソシアネート基を有する付加
反応体が得られる。ポリイソシアネートと水との反応か
ら、ビュレットが形成する。ここで使用される多価アル
コールとしては、2価又は3価、更には4価以上のアル
コールが挙げられ、例えば、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2−
メチルプロパンジオール、1,4−ブチレルグリコー
ル、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサングリコ
ール、1,2−ドデカンジオール、グリセリン、トリメ
チロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリ
スリトール、ジペンタエリスリトール、ヒドロキシピバ
リン酸ネオペンチルグリコールエステル、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレン
オキシド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキシ
ド付加物、1,4−ヒドロキシハイドロキノン等が挙げ
られる。好ましい具体的なイソシアネートプレポリマー
としては、環状重合体であるヘキサメチレンジイソシア
ネートプレポリマー(例えば、バーノックDN−901
S(大日本インキ化学製))や、デュラネート TPA-100
(旭化成製)等が挙げられる。アミノ樹脂系硬化剤とし
ては、メラミン樹脂が好ましい。メラミン樹脂は、メラ
ミンとホルムアルデヒドとの重合によって製造され、そ
の製造方法は、当業者には周知である。このようなメラ
ミン樹脂としては、特に、以下の式(23)で示される
1核体メラミンを50〜100%含有するメラミン樹脂
が好ましく使用される。
【0044】
【化12】
【0045】(式中、R1〜R6は、独立して、水素原子、
メチロール基又は炭素数1〜5のアルキル基である。) ここで、上記1核体メラミンがメラミン樹脂中において
50%よりも少ない量で配合されている場合には、塗料
粘度が大きくなり過ぎるので、好ましくない。式(2
3)におけるアルコキシ基の炭素数が5よりも多くなる
と、粘度が高くなりすぎ、好ましくない。好ましい炭素
数は、1〜4である。具体的には、このようなアルコキ
シ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、
ブトキシ基、イソブトキシ基等が挙げられる。1核体メ
ラミンの態様としては、上記式(23)のR1〜R6が、全
てアルコキシ基であるもの、水素原子とメチロール基と
の混合体であるもの、水素原子とアルコキシ基との混合
体であるもの、メチロール基とアルコキシ基との混合体
であるもの、更に水素原子と、メチロール基と、アルコ
キシ基との混合体であるものが挙げられる。具体的に
は、三井サイアナミッドから市販されている、サイメル
325、サイメル327、サイメル370(以上、何れ
も、式(23)中、R1〜R6がメチロール基であり、1核
体メラミン含量は、70%である)、更には、サイメル
303(式(23)中、R1〜R6は全てアルコキシ基であ
り、1核体メラミン含量は、80%である)が挙げられ
る。
【0046】なお、式(23)で示される1核体メラミ
ンは、ホルムアルデヒドによって2個以上のメラミンが
相互に結合された形式の2核体以上のメラミンとは異な
るが、上記式(23)で示される1核体メラミンの量が
50%以上含まれる限り、そのような2核体以上のメラ
ミンを含むメラミン樹脂(多核型のメラミン樹脂)を併
用してもよい。上記1核体メラミンを50〜100%含
有するメラミン樹脂は、当業者には容易に調製すること
ができる。一般には、式(23)で示されるメラミンと
ホルムアルデヒドとを反応させた後、ゲルパーミュエー
ションクロマトグラフィーにより分取することによっ
て、多核型のメラミン樹脂の量を50%未満まで調整し
たり又は完全に除去することができる。硬化剤としてイ
ソシアネートプレポリマーを使用する場合には、イソシ
アネートプレポリマーは、本発明のビニル重合オリゴマ
ーの水酸基1モル対して、一般に0.6〜1.4モル、
好ましくは0.8〜1.2モル、特に好ましいのは0.
9〜1.1モルの量で使用される。硬化剤としてメラミ
ン樹脂を使用する場合には、メラミン樹脂は、ビニル重
合オリゴマーの重量に対して、20〜140%、好まし
くは40〜100の量で使用される。硬化剤としては、
1核体メラミンが50〜100%であるメラミン樹脂
が、低粘度化の目的で、特に好ましい。なお、本発明の
低溶剤型樹脂組成物においては、上記イソシアネートプ
レポリマーとメラミン樹脂とを混合して使用することも
できる。その際の配合割合としては、メラミン樹脂の量
が一般に0.1〜99.9重量%、好ましくは0.1〜
5.0重量%である。
【0047】本発明の低溶剤型塗料組成物で得られる塗
膜の特性を向上させるために、酸無水物基、水酸基又は
エポキシ基を必須官能基として有する本発明のビニル重
合オリゴマーとともに、必要に応じて、水酸基又はブロ
ック化水酸基、加水分解性シリル基、エポキシ基等の官
能基を有する化合物(非重合体)を反応性希釈剤として
使用することができる。このような化合物には、セロキ
サイド2021、セロキサイド2081、セロキサイド
2083(以上、ダイセル化学製)などの脂環式エポキ
シ基を有する化合物や、TSL8350(東芝シリコン
製)などの加水分解性シリル基とエポキシ基とを有する
化合物、オクチルアルコール、1,5−ペンタンジオー
ルなどの水酸基を有する化合物、4−メチルヘキサヒド
ロ無水フタル酸等の酸無水物基を有する化合物等を挙げ
ることができる。これらの化合物の粘度は、25℃で5
00センチポイズ以下、好ましくは300センチポイズ
以下のものである。500センチポイズ以上では、希釈
剤としての効果がない。本発明の低溶剤型樹脂組成物
は、そのままで、又は必要に応じて、従来より塗料の分
野において使用されている種々の顔料(例えば、着色顔
料や、光輝剤)、タレ止め剤又は沈降防止剤、レベリグ
剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、シ
ンナー等を適宜配合して、本発明の低溶剤型塗料組成物
を調製することができる。顔料又は光輝剤としては、例
えば、酸化チタン、カーボンブラック、沈降性硫酸バリ
ウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、シリカ、マ
イカ、アルミニウム、ベンガラ、クロム酸鉛、モリブデ
ン酸鉛、酸化クロム、アルミン酸コバルト、アゾ顔料、
フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料等を好ましく
使用することができる。タレ止め剤又は沈降性防止剤と
しては、例えば、シリカ、ヒマシ油ワックス、アマイド
ワックス、マイクロジェル、アルミニウムアセテート等
を好ましく使用することができる。レベリング剤として
は、例えば、KF69、Kp321 及びKp301 (以上、信越化学
製)等のシリコン系のものや、モタフロー(三菱モンサ
ント製)、BYK358(ビックケミージャパン製)及びダイ
ヤエイドAD9001(三菱レイヨン製)等を好ましく使用す
ることができる。
【0048】紫外線吸収剤としては、例えば、チヌビン
900 、チヌビン384 、チヌビンP(以上、チバガイギー
製)等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤や、サンド
バ−3206(サンド製)等のシュウ酸アニリド系紫外線吸
収剤等を好ましく使用することができる。光安定剤とし
ては、例えば、サノールLS292 (チバガイギー製)及び
サンドバー3058 (サンド製)等のヒンダードアミン光
安定剤等を好ましく使用することができる。シンナーと
しては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン
等の芳香族化合物、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノール、イソブタノール等のアルコール、ア
セトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケト
ン、シクロヘキサノン、イソホロン、N−メチルピロリ
ドン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロ
ソルブ等のエステル化合物、もしくはこれらの混合物等
を使用することができる。帯電防止剤としては、例え
ば、エソカードC25 (ライオンアーマー製)等を好まし
く使用することができる。
【0049】本発明の低溶剤型塗料組成物は、特に、自
動車の塗装に使用されるクリヤー塗料、中塗塗料、ソリ
ッドカラー塗料及びベースコート塗料として有用であ
る。特に、クリヤー塗料として有用である。本発明の低
溶剤型塗料組成物は、2コート1ベーク、3コート2ベ
ーク又はオーバーコートに使用するクリヤー塗料として
特に優れている。また、本発明の低溶剤型塗料組成物
は、それぞれを順次、中塗塗料、ベースコート塗料及び
クリヤー塗料として塗装したり、又はソリッドカラー塗
料及びクリヤー塗料として塗装することができる。更
に、本発明の低溶剤型塗料組成物は、これを中塗塗料と
して使用し、更にこの上に従来公知の有機溶剤型塗料又
は水性塗料からなるベースコート塗料を、ウェットオン
ウェットで塗装することができる。また、本発明の塗料
組成物をベースコート塗料として使用し、その上に従来
公知のクリヤー塗料を塗装することもできる。更には、
従来公知のベースコート塗料を塗布した後、この上に本
発明の塗料組成物としてのクリヤー塗料をウェットオン
ウェットで塗装してもよい。この場合、ベースコート塗
料としては、例えば、水酸基を有しかつ重量平均分子量
が6000以下のオリゴマーと、メラミン樹脂とを含む
塗料組成物を使用することが好ましい。このようなベー
スコート塗料組成物としては、有機溶剤型塗料であって
も、水性塗料であってもよい。更に、このベースコート
塗料組成物は、塗料の固形分が35重量%以上、特に4
0重量%以上であることが好ましい。
【0050】本発明の低溶剤型塗料組成物は、有機溶剤
の量が少ないにもかかわらず、塗料組成物の粘度を小さ
くすることができる。即ち、塗料の固形分を従来よりも
大幅に向上できるにもかかわらず、塗料に適した粘度に
保持することができる。本発明の低溶剤型塗料組成物
は、一般に、被塗物に対して、所定の量で塗装した後、
セット(乾燥)し、次いで焼付けを行うことによって、
塗膜形成が好ましく行われる。セット(乾燥)は、一般
に5〜30分、好ましくは10〜15分で、室温又は周
囲温度において行う。焼付けは、60〜200℃、好ま
しくは80〜160℃で、1〜60分、好ましくは10
〜40分行うことが好ましい。本発明の低溶剤型塗料組
成物は、ホットスプレーすることにより、更に溶剤量を
低下させながら、塗料を塗布することができる。このよ
うなホットスプレーは、例えば、低溶剤型塗料組成物を
貯蔵するタンクから、スプレーを行う直前までの工程を
所定の温度、一般に、30〜80℃、好ましくは35〜
70℃に保温することによって行うことができる。本発
明の低溶剤型塗料組成物においては、形成する塗膜の特
性、例えば、耐溶剤性、耐擦り傷性、耐酸性、耐水性等
の種々の特性において、また塗膜外観において、優れた
品質を有するとともに、有機溶剤量を、これまでよりも
遙かに低下させることができる。例えば、25℃におい
て塗装し得る最少の有機溶剤量を、40%以下、好まし
くは35%以下、更に好ましくは30%以下に低減させ
ることができる。従って、有機溶剤の放出に基づく環境
汚染の問題を大幅に軽減させることができる。なお、下
限は、5%が好ましい。
【0051】
【実施例】次に、本発明を参考例、実施例、応用例及び
比較応用例により、一層、具体的に説明する。但し、本
発明の範囲は、それらの例のみに限定されるものではな
い。なお、以下において、部及び%は、特に断りの無い
限り、重量基準である。
【0052】参考例1:水酸基を有するアクリルオリゴ
マーの調製 撹拌装置、不活性ガス導入口、温度計及び冷却器を備え
た4つ口フラスコに、キシレンの2000部を仕込ん
で、140℃に昇温した。次いで、スチレンの100
部、2−エチルヘキシルメタクリレートの50部、n−
ブチルメタアクリレートの50部、n-ブチルアクリレー
トの100部、2−エチルヘキシルアクリレートの56
部、4−ヒドロキシブチルアクリレートの144部から
なる混合物と、キシレンの500部、t-ブチルパーオキ
シ−2−エチルヘキサノエートの75部及びアゾビスバ
レロニトリルの5部からなる混合物とを7時間かけて滴
下した。次いで、同温度で、5時間、反応を続行するこ
とにより、不揮発分が20%であるアクリルオリゴマー
の溶液を得た。次いで、減圧下に、キシレンを留去し
て、25℃における粘度が4550センチポイズ(cp
s)のアクリルオリゴマーを得た。得られたアクリルオ
リゴマー(a−1)の特性は、以下の表1に示す通りで
ある。
【0053】参考例2:水酸基と、エポキシ基とを有す
るアクリルオリゴマーの調製 キシレンの2000部を仕込んで、スチレンの50部、
n-ブチルアクリレートの70部、n-ブチルメタクリレー
トの33部、2−エチルヘキシルアクリレートの75
部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの130部及
びグリシジルメタクリレートの142部よりなる混合物
を用いたことを除いて、参考例1と同様にして、不揮発
分が20.8%のアクリルオリゴマー(a−2)の溶液
を得た。このアクリルオリゴマー溶液から、溶剤を留去
した後、粘度が6000cpsであるアクリルオリゴマ
ー(a−2)を得た。得られたアクリルオリゴマー(a
−2)の特性は、以下の表1に示す通りである。
【0054】参考例3〜15:酸無水物基、水酸基又は
エポキシ基、若しくは任意に使用されるシラノール基、
加水分解性シリル基又はブロック化カルボキシル基を含
有するアクリルオリゴマーの調製 以下の表1に示す原料組成に従って、参考例1と同様に
して、各種のアクリルオリゴマーを調製した。得られた
アクリルオリゴマーの特性を表1に併記した。
【0055】なお、以下の表1中、以下の表示は以下の
意味を有する。 AA基………酸無水物基 OH基………水酸基 EP基………エポキシ基 Si基………加水分解性シリル基 BC基………ブロック化カルボキシル基 ABNV………アゾビスバレロニトリル P−O…………t-ブチルーパー−2−エチルヘキサノエ
ート
【0056】
【表1】 表1 参考例1 参考例2 参考例3 参考例4 オリゴマーの呼称 a−1 a−2 a−3 a−4 オリゴマーの特性 数平均分子量(Mn) 1200 1250 1050 950 重量平均分子量(Mw) 2350 2400 2000 1800 Mw/Mn 1.96 1.92 1.90 1.89 Tg(℃) −8.9 7.9 12.2 16.8 官能基量 (モル/kg樹脂) AA基 OH基 2.0 2.0 1.8 1.0 EP基 2.0 1.0 Si基 2.0 1.0 BC基 合成原料 スチレン 100 50 50 ブチルアクリレート 100 70 50 50 ブチルメタクリレート 50 33 50 50 シクロヘキシルメタ 62 100 クリレート 2−エチルヘキシル 50 54 メタアクリレート 2−エチルヘキシル 56 75 アクリレート 2−ヒドロキシエチル 130 116 65 メタクリレート 4−ヒドロキシブチル 144 アクリレート グリシジルメタクリ 142 71 レート メタクリロイロキシプロ 222 110 ピルトリメトキシシラン 1−エトキシエチルメタ クリレート キシレン 2000 2000 1200 1300 P−O 75 80 75 95 ABNV 5 7 5キシレン 500 500 300 200
【0057】
【表2】 表1(続き) 参考例5 参考例6 参考例7 参考例8 オリゴマーの呼称 a−5 a−6 a−7 a−8 オリゴマーの特性 Mn 1030 1400 920 1300 Mw 1950 2700 1800 2500 Mw/Mn 1.89 1.93 1.96 1.92 Tg(℃) −1.5 26.0 3.0 16.2 官能基量 (モル/kg樹脂) AA基 OH基 2.0 1.7 2.7 1.6 EP基 2.8 1.0 Si基 1.0 0.5 BC基 2.0 1.0 1.1 0.5 合成原料 スチレン 20 40 40 ブチルアクリレート 29 ブチルメタクリレート 75 20 50 100 シクロヘキシルメタ 30 クリレート 2−エチルヘキシル 50 71 メタアクリレート 2−エチルヘキシル 75 29 6 アクリレート 2−ヒドロキシエチル 113 174 メタクリレート 4−ヒドロキシブチル 144 130 アクリレート グリシジルメタクリ レートM−100(注) 197 98 メタクリロイロキシ 100 50 プロピルトリメト キシラン 1−エトキシエチル 202 101 51 メタクリレート トリメチルシリル 80 メタクリレート キシレン 1300 2000 1300 1200 P−O 85 75 95 100 ABNV キシレン 200 500 400 300 注)M−100は、ダイセル化学工業(株)製の以下の構造を有する脂環式エポ キシ基含有メタクリレートである。
【0058】
【化13】
【0059】
【表3】 表1(続き) 参考例9 参考例10 参考例11 参考例12 オリゴマーの呼称 a−9 a−10 a−11 a−12 オリゴマーの特性 Mn 1055 1400 980 1450 Mw 2018 2700 1760 2900 Mw/Mn 1.91 1.93 1.80 2.00 Tg(℃) 18.1 30.1 12.2 22.9 官能基量 (モル/kg樹脂) AA基 3.0 1.0 OH基 EP基 2.0 2.0 Si基 1.0 2.2 BC基 2.0 2.0 合成原料 スチレン 170 50 50 ブチルアクリレート 13 ブチルメタクリレート 56 75 シクロヘキシルメタ 40 クリレート 2−エチルヘキシル 50 72 60 メタアクリレート 2−エチルヘキシル 170 120 24 アクリレート 2−ヒドロキシエチル メタクリレート 4−ヒドロキシブチル アクリレート グリシジルメタクリ 142 142 レートM−100 メタクリロイロキシ 100 110 プロピルトリメト キシラン 1−エトキシエチル 202 メタクリレート トリメチルシリル 158 メタクリレート 無水マレイン酸 147 49 キシレン 1300 1700 1700 1700 P−O 95 100 90 95 ABNV 5 5 10 10キシレン 200 500 300 300
【0060】
【表4】 表1(続き) 参考例13 参考例14 参考例15 オリゴマーの呼称 a−13 a−14 a−15 オリゴマーの特性 Mn 980 890 910 Mw 1900 1690 1700 Mw/Mn 1.94 1.89 1.86 Tg(℃) 6.8 24.5 18.0 官能基量(モル/kg樹脂) AA基 OH基 EP基 3.0 2.0 Si基 2.0 2.0 BC基 合成原料 スチレン 25 50 ブチルメタクリレート 50 60 28 シクロヘキシルメタ 51 100 クリレート 2−エチルヘキシル 100 メタアクリレート 2−エチルヘキシル 154 アクリレート グリシジルメタクリ 142 レートM−100 296 メタクリロイロキシ 222 222 プロピルトリメト キシラン キシレン 1300 550 550 P−O 80 100 85 ABNV 10 5 キシレン 200 200 200
【0061】実施例1〜13及び比較例1〜2 1.クリヤー塗料の調製 以下の表2に示す配合に基づいて、クリヤー塗料用の樹
脂組成物を調製した。次いで、クリヤー塗料の粘度が、
塗装温度(以下の表3参照)において、フォードカップ
No.4による粘度が40秒となるように、得られた樹
脂組成物をメチルアミルケトンで希釈し、クリヤー塗料
を調製した。
【0062】2.塗装仕上げ クリヤー塗料を塗布する被塗物としては、燐酸亜鉛処理
鋼板上に、市販の電着塗料と、中塗り塗料とを、35μ
mとなるように塗装をし、焼付けを行なった後、更に以
下のベース塗料を塗装したものを使用した。
【0063】溶剤型ベース塗料(I)の場合 使用したベース塗料(I)は、アクリデイック47−7
12(大日本インキ化学工業(株)製の水酸基含有アク
リル樹脂)と、スーパーベッカミンL−117−60
と、アルミペースト7160NS(東洋アルミニウム
(株)製のアルミニウム・ペースト)、ファストゲン・
スーパー・レッドBN(大日本インキ化学工業(株)
製)とを用いて得られた、いわゆるメタリック・ベース
塗料である。なお、金属アルミニウムの顔料重量濃度
(PWC)は13%であり、赤顔料のPWCは15%で
あった。このベース塗料は、まず、トルエン/酢酸n−
ブチル/キシレン(混合重量部比=40/30/30)
なる混合溶剤により、フォードカップNo.4による粘
度が15秒となるように希釈し、乾燥後の膜厚が17μ
mとなるように塗装した。次いで、その塗装後5分後
に、クリヤー塗料を、塗装温度で40μmとなるように
塗装した。上述のように塗装した塗料を、10分間セッ
トした後、140℃で、30分間、焼付けを行なった。
【0064】水性型ベース塗料(II)の場合(参考例) 使用したベース塗料(II)は、スチレン:メチルメタ
クリレート:n−ブチルアクリレート:メタクリル酸:
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート=10:35:
48:2:5(混合重量部比)の組成を有し、常法に従
って得られる形のもので、不揮発分が40%である水酸
基含有ビニル系共重合体エマルジョンと、サイメルC−
325((有)三井サイアナミッド製のメチルエーテル
化メラミン樹脂)と、プライマルASE−60と、アル
ミペーストWZ7160(東洋アルミニウム(株)製の
アルミニウム・ペースト)とを用いて得られる形の、い
わゆるメタリック・ベース塗料である。まず、このベー
ス塗料を、水/イソプロピルアルコール(混合重量部比
=80/20)なる混合溶剤により、フォードカップN
o.4による粘度が15秒となるように希釈し、乾燥後
の膜厚が17μmとなるように塗装し、次いで、80℃
で、5分間加熱して水分を除去した後、クリヤー塗料
を、塗装温度で、40μmとなるように塗装した。上述
のように塗装した塗料を、10分間のあいだセットした
後に、140℃で、30分間焼付けを行なった。なお、
【0065】
【表5】 表2 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5 塗料の称呼 CR−1 CR−2 CR−3 CR−4 CR−5 オリゴマー種類 (aー1) 1000 (aー2) 1000 400 (a−3) 400 (a−4) 1000 (a−5) 500 (a−9) 650 300 530 200 (a−10) 500 (a−11) 100 (a−12) 1000 (a−13) 650 600(a−15) 200 ヘキサメトキ 200 100 シメチルシ ラン バーノックDN− 200 150 100 901S(注) A−187(注) 4−メチルヘキサ 100 ヒドロ無水フタ ル酸 1−メチル 10.5 11.0 10.0 イミダゾール ジブチルスズ 1.5 2.9 5.0 ジラウレート 燐酸モノイソ 10.0 プロピル テトラブチルア 15.0 20.0 ンモニウムブ ロマイド 注)バーノックDN−901Sは、ヘキサメチレンジイソシアネート環状プレポ リマーである。 A−187は、以下の構造式で示される、日本ユニカ製
のグリシジル基及び加水分解性シリル基含有化合物であ
る。
【0066】
【化14】
【0067】
【表6】 表2(続き) 実施例6 実施例7 実施例8 実施例9 実施例10 塗料の称呼 CR−6 CR−7 CR−8 CR−9 CR−10 オリゴマー種類 (a−1) 500 (a−6) 1000 (a−7) 500 (a−8) 1000 1000 (a−9) 600 200 500 650 (a−12) 1000 200(a−13) 600 500 ヘキサメトキ 100 50 100 シメチルシ ランA−187 50 1−メチル 20.0 50.0 イミダゾール ジブチルスズ 2.0 ジラウレート
【0068】
【表7】 表2(続き) 実施例11 実施例12 実施例13 塗料の称呼 CR−11 CR−12 CR−13 オリゴマー種類 (aー1) 500 (a−4) 1000 (a−6) 1000 (a−9) 500 600 (a−12) 1000 (a−13) 600 (a−14) 750(a−15) 200 DN901S 220 1−メチル 10.0 イミダゾール 燐酸モノイソ 25.0 15.0 プロピル
【0069】
【表8】 表2(続き) 比較例1 比較例2 塗料の称呼 C−1 C−2 オリゴマー種類 (aー1) 1000(a−10) 1000 ヘキサメトキ 400 シメチルシ ラン 燐酸モノイソ 30.0 プロピル パラトルエン 14.0 スルホン酸
【0070】応用例1〜13及び比較応用例1〜2 実施例及び比較例で得られたクリヤー塗料と、上記ベー
ス塗料(I)及び(II)とを、以下の表3に示す配合
割合で組合わせて被塗物を塗装し、得られた被膜の特性
を評価した。その結果は、同表3に示す。なお、表3に
おける評価試験は、下記の要領で行なった。但し、以下
の応用例において、水性型ベース塗料(II)を使用する
場合は、参考例である。 (1)25℃溶剤含有率(%):25℃におけるホット
スプレーによる塗料可能な限界粘度での溶剤含有率を測
定した。 (2)光沢:60度鏡面反射率(%)で評価した。 (3)鉛筆硬度:三菱ユニ(三菱鉛筆(株)製品)を用
いて、塗膜が傷付き始める時点の鉛筆の硬度で評価し
た。 (4)耐衝撃値:デュポン式衝撃試験により、1/2イ
ンチ・ノッチ付きでかつ荷重を500gとして評価し
た。 (5)耐酸性:5% H2SO4水溶液の0.2ミリリットル
を滴下してから、80で、30分間乾燥した後、塗膜の
状態の変化を目視により評価した。 (6)耐アルカリ性:5%NaOH水溶液の0.2ミリ
リットルを滴下してから80℃で、30分間乾燥した
後、塗膜の状態の変化を目視により評価した。 (7)耐擦り傷性:フェルトに、5%量のクレンザーを
浸ませ、1Kgの荷重をかけて、30回往復させた後、
その光沢保持率(%)を評価した。 (8)耐溶剤性:キシレン・ラビング試験により、キシ
レンを浸ませたフェルトで、10回往復のラビングを行
なった後、その塗膜の状態の変化を目視により評価し
た。 (9)耐候性:促進耐候性試験機に3000時間かけた
後、その塗膜の光沢保持率(%)を評価した。
【0071】
【表9】 表3 応用例1 応用例2 応用例3 応用例4 使用ベース塗料 I II II II 使用クリヤー塗料 CR−1 CR−2 CR−3 CR−4 塗装温度(℃) 60 60 60 60溶剤含有率(%) 16 18 17 20 25℃溶剤含有率 光 沢 90 91 92 91 鉛筆硬度 F H H H 耐衝撃性 40 30 30 40 耐溶剤性 良好 良好 良好 良好 耐酸性 痕跡なし 痕跡なし 痕跡なし 痕跡なし 耐アルカリ性 痕跡なし 痕跡なし 痕跡なし 痕跡なし 耐擦り傷性 (%) 85 78 86 79耐候性 82 85 82 81
【0072】
【表10】 表3(続き) 応用例5 応用例6 応用例7 応用例8 使用ベース塗料 I II II II 使用クリヤー塗料 CR−5 CR−6 CR−7 CR−8 塗装温度(℃) 60 60 70 60溶剤含有率(%) 21 22 23 20 25℃溶剤含有率 光 沢 92 91 90 91 鉛筆硬度 H 2H 2H 2H 耐衝撃性 35 30 30 30 耐溶剤性 良好 良好 良好 良好 耐酸性 痕跡なし 痕跡なし 痕跡なし 痕跡なし 耐アルカリ性 痕跡なし 痕跡なし 痕跡なし 痕跡なし 耐擦り傷性 (%) 85 78 80 87耐候性 82 88 85 90
【0073】
【表11】 表3(続き) 応用例9 応用例10 応用例11 応用例12 使用ベース塗料 II II II II 使用クリヤー塗料 CR−9 CR−10 CR−11 CR−12 塗装温度(℃) 60 60 60 60溶剤含有率(%) 18 20 22 17 25℃溶剤含有率 光 沢 92 89 92 90 鉛筆硬度 H H H H 耐衝撃性 30 40 30 35 耐溶剤性 良好 良好 良好 良好 耐酸性 痕跡なし 痕跡なし 痕跡なし 痕跡なし 耐アルカリ性 痕跡なし 痕跡なし 痕跡なし 痕跡なし 耐擦り傷性 (%) 80 78 82 90 耐候性 85 83 84 88
【0074】
【表12】 表3(続き) 比較 比較 応用例13 応用例1 応用例2 使用ベース塗料 I I II 使用クリヤー塗料 CR−13 C−1 C−2 塗装温度(℃) 60 20 20 溶剤含有率(%) 22 30 35 25℃溶剤含有率 光 沢 92 94 90 鉛筆硬度 H 2H HB 耐衝撃性 35 30 20 耐溶剤性 良好 良好 不良 耐酸性 痕跡なし 痕跡あり 痕跡なし 耐アルカリ性 痕跡なし 痕跡あり 痕跡なし 耐擦り傷性 (%) 78 58 43 耐候性 80 50 65
【0075】
【発明の効果】本発明の低溶剤型樹脂組成物を使用する
ことにより、塗装し得る限界の有機溶剤量を大幅に低減
しつつ、しかも塗膜の特性、特に、耐擦り傷性や、耐候
性、更には鉛筆硬度、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性
等において優れた塗料を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08G 59/62 C08G 59/62 C09D 163/00 C09D 163/00 (72)発明者 富田 敬 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 植村 浩行 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 古賀 一陽 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 大澤 美香 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 佐々木 真二 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 岩村 悟郎 大阪府堺市御池台3−27−3 (72)発明者 松井 茂樹 大阪府泉大津市条南町4−17 (72)発明者 小坂 典生 大阪府泉大津市東助松町3−3−31 (56)参考文献 特開 平8−1089(JP,A) 特開 平6−73155(JP,A) 特開 平4−325579(JP,A) 特開 平4−234424(JP,A) 特開 平2−228320(JP,A) 特開 平8−3286(JP,A) 特開 平3−137118(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 7/24 B05D 1/36 C08G 59/20 C08G 59/42 C08G 59/62 C09D 163/00 - 163/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水酸基を有するオリゴマーと、1核体メラ
    ミンの含有量が50%未満であるメラミン樹脂とを含む
    ベースコート塗料組成物を被塗物の表面に塗装した後、
    この上に、 酸無水物基と、水酸基と、エポキシ基とを必須官能基と
    して含有し、かつ数平均分子量600〜1500、重量
    平均分子量600〜3000、重量平均分子量/数平均
    分子量1.0〜2.0を有する1種以上のビニル重合オ
    リゴマーであって、前記酸無水物基、水酸基及びエポキ
    シ基が同一又は別個の分子中に存在するビニル重合オリ
    ゴマーを含有するとともに、有機溶剤量が0〜40%で
    る低溶剤型樹脂組成物を塗装し、 次いで熱硬化させて前記被塗物の表面に塗膜を形成する
    ことを特徴とする塗装方法。
  2. 【請求項2】前記ビニル重合オリゴマーが、更に、シラ
    ノール基、加水分解性シリル基及びブロック化カルボキ
    シル基からなる群から選択される官能基を有する請求項
    1記載の塗装方法。
  3. 【請求項3】水酸基を有するオリゴマーと、1核体メラ
    ミンの含有量が50%未満であるメラミン樹脂とを含む
    ベースコート塗料組成物を被塗物の表面に塗装した後、
    この上に、 (1)酸無水物基と、水酸基と、エポキシ基とを必須官
    能基として含有し、かつ数平均分子量600〜150
    0、重量平均分子量600〜3000、重量平均分子量
    /数平均分子量1.0〜2.0を有する1種以上のビニ
    ル重合オリゴマーであって、前記酸無水物基、水酸基及
    びエポキシ基が同一又は別個の分子中に存在するビニル
    重合オリゴマーと、(2)塩基性触媒と、を含有すると
    ともに、有機溶剤量が0〜40%である低溶剤型塗料組
    成物を塗装し、 次いで熱硬化させて前記被塗物の表面に塗膜を形成する
    ことを特徴とする塗装方法。
  4. 【請求項4】前記低溶剤型塗料組成物を30〜80℃で
    被塗物の表面に塗装する請求項3に記載の塗装方法。
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