JPH0873397A - 金属石鹸の製造方法 - Google Patents

金属石鹸の製造方法

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JPH0873397A
JPH0873397A JP23835894A JP23835894A JPH0873397A JP H0873397 A JPH0873397 A JP H0873397A JP 23835894 A JP23835894 A JP 23835894A JP 23835894 A JP23835894 A JP 23835894A JP H0873397 A JPH0873397 A JP H0873397A
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fatty acid
reaction
water
temperature
metal soap
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JP23835894A
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Koichi Ohori
浩一 大堀
Yasumitsu Sakuma
泰光 佐久間
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Kao Corp
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】脂肪酸と金属化合物とを直接反応させて金属石
鹸を製造する方法において、水の存在する密閉系で、か
つ得られる金属石鹸の融点以上の温度で反応させること
を特徴とする金属石鹸の製造方法。 【効果】本発明によれば、不純物及び未反応物の極めて
少ない金属石鹸を短時間かつ低コストで製造することが
できる。さらに連続的に製造することが可能であり、設
備のコンパクト化が可能であり設備費も削減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、脂肪酸と金属化合物を
直接反応させて、未反応物の少ない金属石鹸を短時間か
つ効率的に製造するための製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】金属石
鹸は、プラスチック、顔料、セメント、鋳物、金属加
工、潤滑剤、医薬、化粧品等の工業において、潤滑剤、
分散剤、撥水剤、離型剤、触媒、安定化剤、殺菌剤等と
して不可欠な物質である。
【0003】従来、金属石鹸の製造方法としては、複分
解法と直接法が知られている。複分解法は、脂肪酸と苛
性アルカリよりアルカリ金属石鹸を製造した後、金属塩
の水溶液を加え複分解することにより、金属石鹸を得る
方法である。この方法は比較的低温での反応が可能であ
り品質も良好なため、従来より多用されている最も一般
的な方法である。一方、直接法は、脂肪酸と金属化合物
とを高温で加熱処理し直接反応させる方法である。
【0004】しかしながら、これら従来の金属石鹸製造
法においては、以下に示すような問題があった。複分解
法においては、反応に大量の水を使用するため、収量に
対して非常に大きな反応設備が必要である。さらに、反
応により副生する無機塩を除去するためにも大量の洗浄
水が必要であり、十分な水の確保、洗浄脱水設備、排水
処理設備等が必要である。また、脱水後のケークにも大
量の水が含まれており、その除去のために大型で効率の
良い乾燥設備が必要である。このように、複分解法では
設備が複雑となり、設備投資、エネルギーコスト、人件
費等が多額になるという欠点がある。
【0005】一方、直接法では、反応において全く水を
使用しないか使用しても少量でよいため、複分解法に比
較して小さな設備での製造が可能であり、また工程が簡
素化できる。さらに、水分除去にもそれほど熱を必要と
しないため、エネルギー的にも有効である等の利点があ
る。しかし、直接法では、反応が進行するに従って、著
しく粘度が増大し反応速度が極端に低下するため、反応
を完結させるためには長い時間が必要とされる。また粘
度を低下させるためには、反応温度を高くする必要があ
るが、この場合には、金属石鹸の熱分解が生じ、金属石
鹸の純度低下あるいは着色等が避けられれない。
【0006】これらの欠点を改善するための方法として
いくつかの提案がなされている。例えば、特公昭63−
61298号公報では少量のフタル酸、アジピン酸、コ
ハク酸等の多価カルボン酸の存在下で反応させることに
より、反応を促進することが提案されている。また、特
開昭58−167538号公報では、アルキレングリコ
ールやポリアルキレングリコール等の多価アルコールの
存在下で反応することにより減粘及び反応を促進するこ
とが提案されている。
【0007】しかし、このように多価カルボン酸や多価
アルコールの存在下で製造した金属石鹸には、不純物や
未反応原料が残存するため、その用途分野が制限され
る。即ち、プラスチック業界においては、金属石鹸は安
定化剤及び滑剤として使用されている。プラスチックの
加工の際に金属石鹸に不純物や未反応原料として残存し
た金属化合物又は脂肪酸が存在すると、その加工に悪影
響を及ぼす場合がある。そのため、特にプラスチック業
界においては、これら不純物及び未反応物が極力少ない
金属石鹸が要求されている。
【0008】製品中に不純物として残らない反応促進剤
としては、水が従来から知られている。直接法において
も、水を脂肪酸の2重量倍以上使用して反応を行う湿式
直接法と呼ばれる方法があるが、この場合は、複分解法
と同様な欠点を有し、さらに反応の完結性が悪いという
欠点もある。
【0009】また少量の水を使用して反応を行う方法も
提案されている。例えば、特開平4−66551号公報
には、結晶水又は吸着水を有する金属化合物を使用し、
加熱式混練反応機で反応させることが提案されている。
しかし、この方法では反応の完結性は悪く、未反応物の
多い金属石鹸しか得られない。
【0010】また、特公昭58−12267号公報で
は、水を脂肪酸に対し1〜5%添加し、密閉容器内で反
応させることが提案されている。しかしこの方法は、粒
状の金属石鹸を製造することを目的としており、これも
また未反応物の少ない金属石鹸を得ることはできない。
USP2890232には、少量の水を添加し金属石鹸
の融点付近の温度で反応することが記載されている。こ
の場合、金属化合物を50%も過剰に使用する必要があ
り、未反応金属化合物の多い製品となる。この反応を当
量で行ってみたところ、反応は完結せず、未反応脂肪酸
の多い製品となり、さらに反応により粘度が増大し抜き
出しが困難なものとなった。
【0011】このように直接法では未反応物又は不純物
の少ない製品を製造することが困難であり、市販されて
いる金属石鹸のほとんどが複分解法によるものとなって
いる。しかし、コスト的及び設備的には、直接法が有利
であり、直接法による未反応物及び不純物の極めて少な
い金属石鹸の製造方法が望まれている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような問題
を解決するためになされたものであり、直接法におい
て、製品中で不純物となる添加剤を使用せず、未反応物
の極めて少ない金属石鹸を製造する方法を提供すること
を目的とする。本発明者らは従来より反応促進の効果が
あるとされている水を最大限に利用することで本発明を
完成するに至った。
【0013】即ち、本発明の要旨は、(1) 脂肪酸と
金属化合物とを直接反応させて金属石鹸を製造する方法
において、水の存在する密閉系で、かつ得られる金属石
鹸の融点以上の温度で反応させることを特徴とする金属
石鹸の製造方法、(2) 得られる金属石鹸の融点より
5〜50℃高温度で反応させることを特徴とする前記
(1)記載の製造方法、(3) 水の添加量が脂肪酸に
対して5〜60重量%である前記(1)又は(2)記載
の製造方法、(4) 脂肪酸と金属化合物の当量比が
0.9〜1.1である前記(1)〜(3)いずれか記載
の製造方法、(5) 得られる金属石鹸の融点より5〜
50℃高い温度での熟成工程をさらに有することを特徴
とする前記(1)〜(4)いずれか記載の製造方法、
(6) 金属化合物と水及び溶融脂肪酸を連続的に反応
系内に供給し、連続的に反応を行うことを特徴とする前
記(1)〜(4)いずれか記載の製造方法、(7) 金
属化合物と水をスラリー化した後に供給することを特徴
とする前記(6)記載の製造方法、(8) 金属化合物
と溶融脂肪酸をスラリー化した後に供給することを特徴
とする前記(6)記載の製造方法、並びに(9) 溶融
脂肪酸と金属化合物と水をスラリー化した後に供給する
ことを特徴とする前記(6)記載の製造方法、に関す
る。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
使用される脂肪酸は、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ステ
アリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ
酸、パルミチン酸等の炭素数6〜28の飽和又は不飽和
脂肪酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合
物の混合物である。上記の脂肪酸は、パーム油、やし
油、ひまし油、なたね油、牛脂、豚脂等の天然油脂か
ら、公知の方法により加水分解して得たものであってよ
い。
【0015】また本発明で使用される金属化合物とは、
マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、
亜鉛、カドミウム、ストロンチウム、鉛、錫等、アルカ
リ金属以外の金属の酸化物、水酸化物及び炭酸塩からな
る群より選ばれる1種又は2種以上の化合物の混合物で
ある。金属化合物の量は任意に選択できるが、未反応物
の少ない金属石鹸を得るためには、脂肪酸に対して0.
9〜1.1当量倍程度用いるのが好ましい。
【0016】また、本発明においては水が使用される。
水には反応を促進するとともに生成した金属石鹸を減粘
する効果がある。水の添加量は、原料の脂肪酸に対して
好ましくは5〜60重量%であり、より好ましくは10
〜30重量%である。水の添加量がこの範囲未満では反
応促進効果が低く、この範囲を超えると後工程の乾燥負
荷が増大し好ましくない。また、カルシウム石鹸のよう
な高粘度物の場合には、反応槽から抜き出すために10
重量%以上の水を用いるのが好ましい。添加水量が少な
いと、減粘効果が小さく抜き出しが困難となる。
【0017】本発明に係わる金属石鹸は、上記のような
脂肪酸と金属化合物及び水を混合し、生成する金属石鹸
の融点以上の温度まで加熱し密閉容器内で反応すること
により得られる。本発明の方法を用いると、反応が短時
間で完結し、さらに反応物が減粘されるため、連続的に
行うことが可能である。連続的に反応を行う場合、設備
がコンパクトになり設備費も低減できる等、回分反応に
比べメリットが大きい。本発明ではこのように水の存在
する密閉系で金属石鹸の融点以上の温度で反応を行うこ
とを特徴とする。
【0018】原料の仕込み順序及び加熱方法は特に限定
されないが、例えば以下のように行うことができる。ま
ず、回分反応の場合は、加圧反応容器に脂肪酸を仕込
み、脂肪酸の融点付近まで昇温し当該脂肪酸を溶融す
る。溶融脂肪酸に金属化合物及び水を添加し、反応器を
密閉し、それらの混合物を攪拌混合する。生成する金属
石鹸の融点以上の温度まで反応器を加熱し当該混合物を
反応させる。反応温度を高く設定する程、反応速度は速
くなるが、金属石鹸の融点よりかなり高くまで昇温し過
ぎた場合には、熱劣化が生じる傾向があるため好ましく
ない。また、金属石鹸の融点以下では、反応の完結性が
悪くなる傾向がある。従って、反応温度は金属石鹸の融
点より5〜50℃高温であるのが好ましく、10〜30
℃高温であるのがより好ましい。
【0019】反応中、密閉系内の圧力は、その温度での
水の飽和蒸気圧まで上昇するため、加圧下で反応が進行
することとなる。反応時間は昇温速度及び反応温度にも
よるが、約20〜40分間かけて所定の温度まで昇温さ
せて反応を完結させてもよく、あるいは昇温後、金属石
鹸の融点より5〜50℃高い温度範囲内で10〜60分
間程度熟成させてもよい。この熟成工程により生成物中
の未反応物をさらに減少させることができる。尚、この
熟成工程とは、所定の反応温度で反応させた後、その反
応温度を所定時間保持して、さらに反応させるためのも
のであり、水添加量が多いと熟成時間を短くできる。
【0020】反応終了後、加熱により発生した水蒸気を
抜き圧力を減少させると、液状又は半固体状の金属石鹸
が得られる。得られた金属石鹸は、冷却粉砕して粉末状
とするか、噴霧冷却して粒状製品とする。また、反応後
加圧状態で生成物をフラッシュさせると、膨化状態(ス
ポンジ状)の金属石鹸が得られる。この場合は、粉砕し
易い製品が得られ有効である。
【0021】回分反応の別の態様では、金属石鹸の融点
以上の温度に脂肪酸を加熱し、金属化合物と水との混合
スラリーを添加し反応することもできる。この場合、昇
温に要する時間を短縮でき、反応時間を短くできる。回
分反応用の反応装置としては、一般的な加圧反応装置を
用いることができる。
【0022】次に連続反応を行う場合について説明す
る。連続反応の操作方法は、特に限定されるものではな
いが、一般に、金属化合物と水との混合スラリーと溶融
脂肪酸とを別々に連続的に反応系内に供給することで反
応を行うことができる。ここで、反応温度は回分反応と
同様で良い。即ち、反応温度は金属石鹸の融点より5〜
50℃高温であるのが好ましく、10〜30℃高温であ
るのがより好ましい。混合スラリーを作成する為に使用
する水の量は、混合スラリーと溶融脂肪酸とを連続的に
供給した時に対脂肪酸5〜60重量%となる範囲内で、
スラリーとして供給可能な十分な流動性が得られる量が
使用される。例えば、水酸化カルシウムの場合、対脂肪
酸20重量%以上の水が使用される(スラリー濃度約4
2重量%以下)。この場合、使用する水の量が20重量
%以下では、系内に供給するための十分な流動性が得ら
れない。溶融脂肪酸の供給温度は、脂肪酸が融解してい
る温度以上であれば良いが、反応温度に近い温度で供給
すると反応上より好ましい。反応槽内の圧力は、設定温
度での水の飽和蒸気圧よりやや高め(通常1〜5kg/
cm2 高め)に調整する。反応槽内の圧力は、生成物の
抜き出し量で調整することができる。生成物は、連続的
に反応系外にフラッシュし抜き出される。抜き出された
生成物は、脆い粒状またはヌードル状の固体であり、必
要に応じて乾燥/粉砕し製品とする。この操作方法は、
種々の金属石鹸の製造に有効であるが、特に低温で水が
存在しなくとも反応が進行するものについて有効であ
る。
【0023】連続反応の別の態様では、脂肪酸と金属化
合物と水とを脂肪酸の融点よりやや高めの温度(通常5
〜20℃高め)で混合したスラリーとして所定の反応温
度に加熱された反応系内に連続的に供給することで反応
を行うことができる。この場合水の添加量は、反応が完
結する為に必要な最小量でよく水の使用量を低減でき
る。反応温度、圧力、反応後の反応物の処理方法は、前
述の操作方法と同様である。この操作方法は、低温にお
いて水が存在しても反応が殆ど進行しないものについて
有効である。連続反応の更に別の態様では、脂肪酸の融
点よりやや高めの温度(通常5〜20℃高め)で混合し
た脂肪酸と金属化合物との混合スラリーと水とを別々に
連続的に反応系内に供給することで反応を行なうことが
できる。この場合の水の添加量も、反応が完結する為に
必要な最小量で良い。反応温度、圧力、反応後の反応物
の処理方法は、前述の操作方法と同様である。この操作
方法は、水が存在すると低温でも反応が進行するが水が
存在しない場合は殆ど反応が進行しないものについて有
効である。
【0024】連続反応装置は、一般的な装置を使用する
ことができる。例えば、CSTR(連続混合槽型反応装
置)、ループ型、チューブ型、又はこれらの改良型等の
反応装置を用いることができる。
【0025】
【実施例】以下、実施例及び比較例にて本発明を詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例等により限定され
るものではない。なお、実施例中の%は、特に記載しな
い限り重量基準である。
【0026】以下の実施例及び比較例において、遊離脂
肪酸量は次の方法で測定した。 遊離脂肪酸量測定法:試料2gを精秤し三角フラスコに
取り、中和エタノール・トルエン試薬50mlを加え、
よく振り混ぜた後、1時間放置する。放置後、濾紙で濾
過し残渣を中和エタノール・トルエン試薬15mlで3
回洗浄する。濾液と洗浄液を合わせ、フェノールフタレ
インを指示薬として、0.1N−KOH・エタノール標
準液で滴定する。別に同様の条件で空試験を行う。遊離
脂肪酸量は次式で求める。
【0027】
【数1】
【0028】A:試料の滴定に要した標準液量(ml) B:空試験に要した標準液量(ml) f:0.1N−KOH・エタノール標準液のファクター W:脂肪酸の平均分子量 S:サンプル量(g) 遊離脂肪酸量(%)とは、生成した金属石鹸中に占める
遊離脂肪酸の重量%のことである。
【0029】なお、本実施例等においては、下記に示す
組成のパーム脂肪酸(Acidchem社製のPalm
ac630:平均分子量約267)を使用した。また、
本発明における亜鉛石鹸の融点は120〜125℃であ
り、カルシウム石鹸の融点は150〜160℃である。
【0030】
【表1】
【0031】実施例1 1リットルの攪拌機を備えた加圧反応器にパーム脂肪酸
を345.4g(1.30mol)仕込み70℃で溶解
させた。溶解後、酸化亜鉛52.9g(0.65mo
l)と水21g(対脂肪酸6%)を加え反応器を密閉し
て攪拌混合した。即ち、パーム脂肪酸と酸化亜鉛の当量
比は1:1である。攪拌下、加熱して130℃まで昇温
し反応させた。昇温に要した時間は約17分であり、そ
の間反応器内の圧力は2kg/cm2 まで上昇した。温
度が130℃に達した後、すぐに排気を行い圧力を減少
させ液状の亜鉛石鹸を得た。液状亜鉛石鹸は、冷却後粉
砕して粉末製品とした。得られた粉末亜鉛石鹸は、遊離
脂肪酸量0.27%、色相G1以下の良好なものであっ
た。
【0032】実施例2 溶融脂肪酸と酸化亜鉛及び水を混合し、スラリーを作成
した。この時、脂肪酸と酸化亜鉛の混合割合は当量とし
た。また、水は対脂肪酸6重量%とした。作成したスラ
リーを体積1.3リットルのCSTR(連続混合槽型反
応装置)に連続的に供給し、連続的に反応させた。スラ
リーの供給温度は70℃とし、スラリー供給量は130
g/minとした(滞留時間が約10分となるように調
整)。また反応温度は140℃とし、反応圧力は4kg
/cm2 (ゲージ圧)とした。反応物の抜き出しは、反
応槽の底部より大気下に直接フラッシュさせて行った。
得られた製品は、遊離脂肪酸0.2%、水分0.1%と
良好なものであった。抜き出された製品は、フラッシュ
時に脱水され膨化状態(スポンジ状)を呈していた。
【0033】実施例3 溶融脂肪酸と酸化亜鉛を混合し、スラリーを作成した。
この時、脂肪酸と酸化亜鉛の混合割合は当量とした。作
成したスラリーと水を体積1.3リットルのCSTR
(連続混合槽型反応装置)に別々に連続的に供給し、連
続的に反応させた。スラリーの供給温度は80℃とし、
スラリー供給量は123g/minとした。また水の供
給量は7g/minとし、温度は60℃とした。反応温
度は140℃に保持し、反応圧力は4kg/cm2 (ゲ
ージ圧)に調整した。反応物の抜き出しは、反応槽の底
部より大気下に直接フラッシュさせて行った。得られた
製品は、遊離脂肪酸0.2%、水分0.2%と良好なも
のであった。抜き出された製品は、フラッシュ時に脱水
され膨化状態(スポンジ状)を呈していた。
【0034】比較例1 水を添加せず実施例1と同様な操作を行った。得られた
金属石鹸は、遊離脂肪酸量が83.6%であり、ほとん
ど反応が進行していなかった。
【0035】比較例2 実施例1と同様の仕込みを行い、70℃の温度を保持し
3時間反応させた。得られた生成物の遊離脂肪酸量は7
9%であり、ほとんど反応が進行していなかった。
【0036】比較例3 特公昭58−12267号公報の方法に従って追試を行
った。1リットルの攪拌機を備えた加圧反応器にパーム
脂肪酸を337.7g(1.27mol)仕込み65℃
で溶解させた。溶解後、酸化亜鉛51.7g(0.64
mol)と水10g(対脂肪酸3%)を加え反応器を密
閉して攪拌混合した。即ち、パーム脂肪酸と酸化亜鉛の
当量比は1:1である。攪拌下、加熱して80℃まで昇
温し1時間反応させた。昇温に要した時間は約3分であ
り、その間反応器内の圧力は0.5kg/cm2 まで上
昇した。反応終了後、排気を行い圧力を減少させた。大
気圧になった後、さらに5Torrまで減圧し脱水を行
った。得られた生成物はスラリー状で、遊離脂肪酸量は
77%と高く、ほとんど反応が進行していなかった。
【0037】実施例4 1リットルの攪拌機を備えた加圧反応器にパーム脂肪酸
を345.4g(1.30mol)仕込み70℃で溶解
させた。溶解後、純度95%の水酸化カルシウム50.
7g(0.65mol)と水21g(対脂肪酸6%)を
加え反応器を密閉して攪拌混合した。即ち、パーム脂肪
酸と水酸化カルシウムの当量比は1:1である。攪拌
下、加熱して180℃まで昇温し反応させた。昇温に要
した時間は約30分であり、その間、反応器内の圧力は
9.4kg/cm2 まで上昇した。温度が180℃に達
した後、一部サンプリングし遊離脂肪酸量を測定したと
ころ、2.6%であった。180℃の温度を保持し30
分間熟成した後、排気を行い圧力を減少させたところ、
ガム状のカルシウム石鹸が得られた。得られたカルシウ
ム石鹸を、冷却後粉砕して遊離脂肪酸量を測定したとこ
ろ、0.3%であった。
【0038】実施例5 水を34.5g(対脂肪酸10%)添加し、実施例4と
同様な操作を行った。180℃到達直後の生成物中の遊
離脂肪酸量は1%であった。180℃で30分間熟成を
行ったところ、遊離脂肪酸量は0%となった。
【0039】実施例6 水を69g(対脂肪酸20%)添加し、実施例4と同様
な操作を行った。180℃到達後すぐに排気を行い、反
応器内の圧力を減少させ、生成物を抜き出した。得られ
たカルシウム石鹸中の遊離脂肪酸量は、0%であった。
【0040】実施例7 水を172.7g(対脂肪酸50%)添加し、実施例4
と同様な操作を行った。180℃到達後すぐに排気を行
い、反応器内の圧力を減少させ、生成物を抜き出した。
得られたカルシウム石鹸中の遊離脂肪酸量は0%であっ
た。反応中、水が生成物と分離していることが観察され
た。
【0041】実施例8 体積1.3リットルのCSTR(連続混合槽型反応装
置)を使用し、溶融脂肪酸と水酸化カルシウムスラリー
(対脂肪酸30%の水を混合したもの)を各々連続的に
供給し、連続的に反応させた。原料の供給温度は、脂肪
酸90℃、スラリー60℃とし、供給量は水酸化カルシ
ウムが脂肪酸の1当量倍となりかつ滞留時間が10分と
なるように調整した。即ち、脂肪酸の供給量は90g/
min、スラリーの供給量は40g/minとした。ま
た反応温度は180℃とし、反応圧力は10.5kg/
cm2 とした。生成物の抜き出しは、反応槽の底部より
大気下に直接フラッシュさせて行った。得られた製品
は、遊離脂肪酸量0%、水分3%と良好なものであっ
た。また、抜き出された製品は、柔らかい顆粒状を呈し
ていた。
【0042】比較例4 水を添加せず実施例4と同様な操作を行った。1リット
ルの攪拌機を備えた加圧反応器にパーム脂肪酸を34
5.4g仕込み70℃で溶解させた。溶解後、純度95
%の水酸化カルシウム50.7gを加え反応器を密閉し
て攪拌混合した。攪拌下、加熱して180℃まで昇温し
反応させた。昇温に要した時間は約35分であり、その
間反応器内の圧力は6.0kg/cm2 まで上昇した。
温度が180℃に達した後、一部サンプリングし遊離脂
肪酸量を測定したところ、4.4%であった。180℃
の温度で30分間熟成した後、排気を行い圧力を減少さ
せたところ、ガム状のカルシウム石鹸が得られた。得ら
れたカルシウム石鹸を、冷却後粉砕して遊離脂肪酸量を
測定したところ、2.0%であった。
【0043】比較例5 実施例4と同様な仕込みを行い、120℃まで加熱し反
応させた。得られた生成物の遊離脂肪酸量は10.5%
であった。
【0044】比較例6 実施例4と同様な仕込みを行い、150℃まで加熱し反
応させた。得られた生成物の遊離脂肪酸量は8.5%で
あった。
【0045】上記の実施例等の結果をまとめたものを表
2と表3に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】表2及び表3より、本発明によれば、遊離
脂肪酸(即ち、未反応物の脂肪酸)が少なく、良好な品
質の金属石鹸が得られた。一方、水の添加量が請求項に
記載の範囲より少ない例(比較例1及び4)、反応温度
が低い例(比較例2、5及び6)においては、反応が進
行しないために遊離脂肪酸が多く、良好な品質のものが
得られなかった。また、特公昭58−12267号公報
に従って追試を行った例(比較例3)においても、同様
であった。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、不純物及び未反応物の
極めて少ない金属石鹸を短時間かつ低コストで製造する
ことができる。さらに連続的に製造することが可能であ
り、設備のコンパクト化が可能であり設備費も削減でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C11C 1/00 3/00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪酸と金属化合物とを直接反応させて
    金属石鹸を製造する方法において、水の存在する密閉系
    で、かつ得られる金属石鹸の融点以上の温度で反応させ
    ることを特徴とする金属石鹸の製造方法。
  2. 【請求項2】 得られる金属石鹸の融点より5〜50℃
    高い温度で反応させることを特徴とする請求項1記載の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 水の添加量が脂肪酸に対して5〜60重
    量%である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 脂肪酸と金属化合物の当量比が0.9〜
    1.1である請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 得られる金属石鹸の融点より5〜50℃
    高い温度での熟成工程をさらに有することを特徴とする
    請求項1〜4いずれか記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 金属化合物と水及び溶融脂肪酸を連続的
    に反応系内に供給し、連続的に反応を行うことを特徴と
    する請求項1〜4いずれか記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 金属化合物と水をスラリー化した後に供
    給することを特徴とする請求項6記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 金属化合物と溶融脂肪酸をスラリー化し
    た後に供給することを特徴とする請求項6記載の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 溶融脂肪酸と金属化合物と水をスラリー
    化した後に供給することを特徴とする請求項6記載の製
    造方法。
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