JPH0872260A

JPH0872260A - インクジェット記録装置

Info

Publication number: JPH0872260A
Application number: JP21022194A
Authority: JP
Inventors: Yasuhiro Unosawa; 保弘宇野沢
Original assignee: Canon Inc
Current assignee: Canon Inc
Priority date: 1994-09-02
Filing date: 1994-09-02
Publication date: 1996-03-19

Abstract

(57)【要約】【目的】記録ヘッド内、あるいはインクタンク（また
は処理液タンク）と記録ヘッドとを結ぶインク供給パイ
プインク内において、処理液とインクとが接触または部
分的に混合してまうことのないインクジェット記録装置
を提供することを目的とする。【構成】インクジェット記録装置は、被プリント媒体
にインクを吐出して入力画像を記録するための複数の記
録ヘッドを搭載するインクジェット記録装置において、
上記複数の記録ヘッドは、インクを供給するためのイン
クタンクと結合するインク吐出用の記録ヘッドと、上記
インクに含まれる染料を溶媒に対して不溶化する処理液
を供給する処理液タンクと結合する処理液吐出用の記録
ヘッドとからなり、さらに、上記インクタンクの形状と
上記処理液タンクとが上記記録ヘッドに対して分離独立
していることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は被プリント媒体上に高品
位の画像を得ることができるインクジェット記録装置に
関し、詳しくは、インクの吐出に先立って被プリント媒
体上にインク中の染料を溶媒に対して不溶化させる液体
を吐出させるインクジェット記録装置に関するものであ
る。本発明は紙や布、不織布、ＯＨＰ用紙等の被プリン
ト媒体を用いる機器すべてに適用でき、具体的な適用機
器は、プリンタ、複写機、ファクシミリなど事務機器や
大量生産機器等を挙げることができる。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット記録方法は、インクを被
プリント媒体上に直接吐出して画像を記録する低騒音、
かつノンインパクトな記録方法である。また、この方法
は、実施するにあたって複雑な装置を必要としないた
め、低ランニングコスト、装置の小型化、カラー化等が
容易である。したがって、従来からインクジェット記録
方法を適用したプリンタ、複写機、ファクシミリ、ワー
ドプロセッサ等の記録装置が実用化されている。

【０００３】しかし、インクジェット記録方法を適用し
た上記記録装置に用いられるインクは、一般に水溶性の
染料を含むインクが使用される。したがって、いわゆる
普通紙と呼ばれる被プリント媒体上に画像を形成する場
合、形成された画像を構成する染料の耐水性が不十分と
なる。その結果、画像に水滴等が付着することによって
滲みが生じることがある。また、カラー画像を得る場
合、フェザリングの生じない高濃度の画像と色間に滲み
の生じない画像とを同時に得ることが困難である。した
がって、カラー画像品位の著しい低下を招くことがあ
る。

【０００４】画像の耐水性を向上させる方法として、イ
ンク中に含まれる染料に耐水性を持たせたインクも近年
では実用化されている。しかし、その耐水性は上記滲み
を抑えるのには不十分である。また、このような耐水性
は、水に難溶な染料を含むインクが乾燥することによっ
て達成されるため、インク吐出手段（記録ヘッド）のノ
ズル詰りが生じやすく、これを防止するために装置構成
が複雑にならざるを得ないなどの欠点があった。

【０００５】また特開昭５６−８４９９２号では、記録
紙に予め染料を定着するための材料を塗工しておく方法
が開示されている。しかしながら該方法では特定の記録
紙を用いる必要があり、また予め染料を定着するための
材料を塗工するためには装置の大型化、コストアップが
避けられず、さらには記録紙上に安定して上記材料を所
定の膜厚で塗工することは困難であるといった欠点があ
る。

【０００６】そこで、特開昭６４−６３１８５号では、
染料を不溶化する無色のインク（以下、処理液ともい
う）をインクジェット記録ヘッドによって記録紙上に付
着させる技術が開示されている。また、一方で、特願平
５- ２２３６８３号では、装置の小型化および低ランニ
ングコストを図るためにキャリッジ上に搭載されたイン
クジェット記録ヘッドとインクタンクとのうち、インク
タンクのみを交換できる構成のインクジェット記録装置
が開示されている。そこで、インクタンクと処理液タン
クとをキャリッジ上に交互に搭載して使用することが可
能である。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかし、インクタンク
と処理液タンクとをキャリッジ上に交互に搭載して使用
する場合、記録ヘッド内、あるいはインクタンク（また
は処理液タンク）と記録ヘッドとを結ぶインク供給パイ
プインク内において、処理液とインクとが接触または部
分的に混合してしまう場合がある。このような場合、処
理液によって不溶化した染料を含むインクが乾燥した
り、粘性等の物理化学的性状が変化することによって吐
出不良等を招く恐れがある。さらに、最悪の場合は記録
装置の故障を引き起こすこともある。

【０００８】そこで、本発明は上記従来の問題点を解決
し、普通紙上であっても従来よりも優れた耐水性を示
し、またフェザリングやカラー記録の際の色間のにじみ
が生じない高品位且つ高信頼な画像記録と記録装置内で
のインクの凝集固着やヘッドの目詰まりのない高信頼性
とを両立したインクジェット記録装置を提供することに
ある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明にもとづくインクジェット記録装置は、イン
クジェット記録ヘッドのノズルよりインクを吐出して被
プリント媒体に印字を行うインクジェット記録装置のう
ち、上記インクジェット記録ヘッドに加えて、ノズルよ
りインク中の染料を溶媒に対して不溶化する処理液を被
プリント媒体に吐出するインクジェット記録ヘッドを有
するインクジェット記録装置において、上記ノズルより
インクを吐出して被プリント媒体に印字を行うインクジ
ェット記録ヘッドにインクを供給するインクタンクと、
上記ノズルよりインク中の染料を溶媒に対して不溶化す
る処理液を被プリント媒体に吐出するインクジェット記
録ヘッドに上記処理液を供給する処理液タンクとを有
し、上記インクタンクと上記処理液タンクと上記インク
ジェット記録ヘッドに対して分離独立した形態をとるこ
とを特徴とする。

【００１０】好ましくは、上記インクタンクの容量と上
記処理液タンクの容量とが異なる。

【００１１】好ましくは、上記処理液タンクの容量が上
記インクタンクの容量より大きく、かつ上記処理液タン
クの幅が上記インクタンクの幅より大きい。

【００１２】好ましくは、インクジェット記録ヘッドの
ノズルよりインクを吐出して被プリント媒体に印字を行
うインクジェット記録装置において、カラー印刷のため
にイエロー，マゼンタ，シアン，ブラック用の４ケのイ
ンクジェット記録ヘッドを有し、上記４ケのインクジェ
ット記録ヘッドのうちブラック用のインクジェット記録
ヘッドを、インク中の染料を溶媒に対して不溶化する処
理液を吐出するインクジェット記録ヘッドとして使用す
る。

【００１３】好ましくは、インクジェット記録ヘッドの
ノズルよりインクを吐出して被プリント媒体に印字を行
うインクジェット記録装置において、カラー印刷のため
にイエロー，マゼンタ，シアン，ブラック用の４ケのイ
ンクジェット記録ヘッドを有し、上記４ケのインクジェ
ット記録ヘッドのうちブラック用のインクジェット記録
ヘッドに代え、インク中の染料を溶媒に対して不溶化す
る処理液を吐出するインクジェット記録ヘッドを備え
る。

【００１４】好ましくは、上記４ケのインクジェット記
録ヘッドに対し、イエロ，マゼンタ，シアン，ブラック
各色のインクを供給するための４ケの別体となったイン
クタンクを有し、上記４ケのインクタンクのうちブラッ
ク用のインクタンクに代え、上記インク中の染料を溶媒
に対して不溶化する処理液を供給するタンクを備える。

【００１５】好ましくは、上記処理液タンクの容量が上
記インクタンクの容量より大きく、かつ上記処理液タン
クの幅が上記インクタンクの幅より大きい。

【００１６】好ましくは、インク液滴の吐出による被プ
リント媒体への記録に先立ち、インク中の染料を溶媒に
対して不溶化する処理液を被プリント媒体に吐出する。

【００１７】好ましくは、上記処理液の表面張力が、上
記インクの表面張力よりも低い。

【００１８】好ましくは、上記インクジェットヘッドは
上記インクに膜沸騰を生じさせる発熱抵抗素子を上記吐
出のためのエネルギー発生手段とする。

【００１９】好ましくは、上記処理液は、低分子成分と
高分子成分とからなるカチオン性物質を含むもので、上
記インクに含まれる上記染料はアニオン性物質からな
る。

【００２０】好ましくは、上記処理液は、低分子成分と
高分子成分とからなるカチオン性物質を含むもので、上
記インクに含まれる前記染料はアニオン性化合物と顔料
とが含有されている。

【００２１】

【作用】インクを吐出するためのインクジェット記録ヘ
ッドは、インクを供給するためのインクタンクと結合
し、処理液を吐出するための記録ヘッドは、処理液を供
給する処理液タンクと結合する。したがって、同一記録
ヘッド内でインクと処理液とが接触することがない。

【００２２】また、処理液タンクの幅を他のインクタン
クの幅より大きくすることにより、インクタンク、処理
液タンク間でのインクジェット記録ヘッドに対する誤装
着が防止される。

【００２３】他のインクに比べて使用頻度の高い処理液
のタンク容量を大きくすることで、処理液タンクの交換
頻度を下げて使い勝手を良くすることができる。

【００２４】従来のインクジェット記録装置の装置本体
及び通常使用状態のインクジェット記録ヘッドをそのま
ま使用することもできるが、インク中の染料を溶媒に対
して不溶化する処理液専用インクジェット記録ヘッドを
組み込んだインクジェット記録ヘッドを、上記通常使用
状態のインクジェット記録ヘッドに置き換えることもで
きる。

【００２５】

【実施例】本発明にもとづくインクジェット記録装置の
一例を図１および図２を参照して説明する。

【００２６】図１は、本発明にもとづくインクジェット
記録装置に適用されるインクジェット記録ヘッド、イン
クタンク、処理液タンク、およびキャリッジの構成を説
明するための斜視図である。また、図２は図１に示した
キャリッジが搭載されるキャリッジが設けられたインク
ジェット記録装置の概略的構成を説明するための斜視図
である。

【００２７】インクジェット記録装置は、紙送り部、キ
ャリッジ部、パージ部、および各種構成部品を取り付け
るベースとなるシャーシ１を有する。

【００２８】紙送り部は、当該装置の長手方向に設けら
れ、かつ記録紙（不図示）を搬送するための紙送りロー
ラ２、該紙送りローラ２と並列に設けられ、かつ上記記
録紙を紙送りローラ２に押圧させるためのピンチローラ
３、およびこれらのローラ２、３を駆動するための駆動
手段（不図示）から構成される。

【００２９】キャリッジ部は、紙送りローラ２に対向し
かつ平行に設けられたガイドシャフト４、該ガイドシャ
フト４に対向しかつ平行に設けられた磁気式リニアエン
コーダのスケール部５、およびガイドシャフト４に沿っ
て移動するキャリッジ６から構成される。さらに、キャ
リッジ６はインクジェット記録ヘッド１５（図１参照）
をキャリッジ６に固定するためのヘッドレバー７が回動
自在にして係合している。また、キャリッジ２上でイン
クジェット記録ヘッド１５と電気的に接続するフレキシ
ブル基板８によって、装置制御部（不図示）からキャリ
ッジ６に搭載したインクジェット記録ヘッド１５（図１
参照）に記録データが信号送られる一方で、キャリッジ
６に設けられた磁気式リニアエンコーダのセンサ（不図
示）からの出力信号を装置制御部へ送ることができる。
参照符号９はガイドシャフト４と平行に設けられ、シャ
フト４を中心に回動可能に設けられているキャリッジ６
の姿勢を保持するサポートシャフト、１０はキャリッジ
６をガイドシャフト４に沿って走査させるためのキャリ
ッジモータ、１１はキャリッジモータ１０の駆動力をキ
ャリッジに伝達するためのタイミングベルトである。こ
の実施例では、キャリッジ６の走査における基準位置を
設定するためにキャリッジ６の走査領域内に設けられた
フォトインタラプタ１２が設けられている。

【００３０】パージ部は、上記インクジェット記録ヘッ
ド１５（図１参照）の吐出不良を防止またはそれらの回
復に用いられる吸引キャップ１３、およびインクジェッ
ト記録ヘッド待機時にインクジェット記録ヘッドノズル
内の乾燥を防ぐための保護キャップ１４から構成され
る。

【００３１】図１において、参照符号１５は記録ヘッド
を示しており、この記録ヘッド１５は本実施例では主に
カラー印字を行なうために４つのインクジェット記録ヘ
ッドを一体に有してなるものである。記録ヘッド１５は
キャリッジ部２に固定されたものでも、着脱自在のもの
であってもよい。後者の場合、インクジェット記録ヘッ
ドの寿命あるいは何らかの原因で不良となった時点で、
新たな記録ヘッド１５と交換することができる。上記
記録ヘッド１５は、処理液またはインクを吐出するため
のエネルギーを発生するエネルギー発生手段として、熱
エネルギーを利用（膜沸騰現象を利用）して液体を吐出
させる方式（いわゆるバブルジェット方式）をとるもの
である。このタイプの記録ヘッドは、液体吐出口を高密
度に配列することができるために高解像度の記録をする
ことが可能である。また、駆動電気パルス信号により一
対一の対応で液路のインク内に気泡を発生させることが
でき、また即時かつ適切に気泡の成長・収縮を行わせる
ことができるので、特に応答性のすぐれた液滴吐出が達
成できる。

【００３２】図１において、参照符号１５ａ〜１５ｃ
は、各々のインクジェット記録ヘッドにインクを供給す
るインク供給口であり、本実施例の場合１５ａはイエロ
ー、１５ｂはマゼンタ、１５ｃはシアンのインク供給口
である。また１５ｄは従来ブラックのインク供給口であ
るが、本実施例の場合インク中の染料を溶媒に対して不
溶化する処理液用の供給口である。参照符号１６ａ〜１
６ｃは、上記インクジェット記録ヘッドにインクを供給
するインクタンクであり、１６ｄはインク中の染料を溶
媒に対して不溶化する処理液を供給する処理液タンクで
ある。上記処理液タンク１６ｄは、上記インクタンク１
６ａ〜１６ｃに対して容量が大きく、タンク幅も大き
い。

【００３３】図２において、紙送りローラ２とピンチロ
ーラ３によって記録紙（不図示）が所定量ずつ間欠的に
搬送される。一方、紙送りローラ２に対向して設けられ
たガイドシャフト４に沿ってキャリッジが走査し、この
走査の間に上記キャリッジ６上に搭載されたインクジェ
ット記録ヘッドよりインク中の染料を溶媒に対して不溶
化する処理液及びインクが吐出されることによって記録
紙上に上記所定量に対応した幅の記録が行われる。この
際、インク液滴の吐出による被プリント媒体への記録に
先立ち、インク中の染料を溶媒に対して不溶化する処理
液を被プリント媒体に吐出する。

【００３４】図１において、インクタンク１６ａ〜１６
ｃのキャリッジ６への装着はキャリッジ６の右側壁６
ａ、ガイドリブ６ｂ〜６ｄの各々をガイドとして行い、
インク中の染料を溶媒に対して不溶化する処理液タンク
１６ｄのキャリッジ６への装着はガイドリブ６ｄ及びキ
ャリッジ６の左側壁６ｅをガイドとして行う。

【００３５】以上説明してきたように、従来のインクジ
ェット記録装置においてインクジェット記録ヘッドを従
来通り使用し、ブラックのインクに代えインク中の染料
を溶媒に対して不溶化する処理液を用いることにより、
容易に画像の耐水性が良好で、しかも異色境界でのにじ
みがないインクジェット記録装置が実現できる。

【００３６】上記説明において、従来ブラックインク用
としてあるインクジェット記録ヘッドをインク中の染料
を溶媒に対して不溶化する処理液用として使用する際、
ブラックインク用インクジェット記録ヘッドが未使用の
ものである場合には何ら問題は生じないが、今までブラ
ックインク用として実際に使用していたインクジェット
記録ヘッドを上記インクジェット記録ヘッド内にブラッ
クインクが残存している状態で上記処理液用インクジェ
ット記録ヘッドとして使用すると、インクジェット記録
ヘッド内においてインク中の染料が不溶化してしまう。
その結果、同インクジェット記録ヘッドに大きなダメー
ジを与えるという問題があった。しかし、本実施例では
インクジェット記録ヘッド内に残存しているブラックイ
ンクを純水等により置換洗浄することにより上記問題点
を解消し、従来からあるインクジェット記録装置の装置
本体及びインクジェット記録ヘッドをそのまま使用し
て、上記処理液を使用できるインクジェット記録装置を
実現できる。

【００３７】さらに、処理液タンクの幅を他のインクタ
ンクの幅より大きくすることにより、インクタンク、処
理液タンク間でのインクジェット記録ヘッドに対する誤
装着が防止され、その結果インクジェット記録ヘッド内
でインク中の染料がむやみに不溶化しない信頼性の高い
インクジェット記録装置が実現できる。

【００３８】また、他のインクに比べて使用頻度の高い
処理液のタンク容量を大きくすることで、処理液タンク
の交換頻度を下げて使い勝手の良いインクジェット記録
装置が実現できる。

【００３９】インク染料を不溶化する上記無色の液体
（処理液）は、一例として以下のようにして得ることが
できる。

【００４０】すなわち、下記の成分を混合溶解した後、
さらにポアサイズが０．２２μｍのメンブレンフィルタ
（商品名：フロロポアフィルタ、住友電工製）にて加圧
濾過した後、ＮａＯＨでｐＨを４．８に調整し、無色の
液体Ａｌを得ることができる。

【００４１】［Ａｌの成分］カチオン性化合物の低分子成分ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド２．０部（商品名；エレクトロストッパＱＥ、花王製）カチオン性化合物の高分子成分ポリアミンスルホン（平均分子量；５０００）３．０部（商品名；ＰＡＳ−９２、日東紡績製）チオジグリコール１０部水残部また、上記処理液と混合し不溶化するインクの好適な例
として以下のものを挙げることができる。

【００４２】すなわち、下記の成分を混合し、さらにポ
アサイズが０．２２μｍのメンブレンフィルタ（商品
名：クロロポアフィルタ、住友電工製）にて加圧濾過し
てイエロー，マゼンタ，シアン，ブラックのインクＹ
１，Ｍ１，Ｃ１，Ｋ１を得ることができる。

【００４３】Ｙ１Ｃ．Ｉ．ダイレクトイエロー１４２２部チオジグリコール１０部アセチレノールＥＨ（川研ファインケミカル）０．０５部水残部Ｍ１染料をＣ．Ｉ．アシッドレッド−２８９；２．５部に代えた以外はＹ１と同じ組成Ｃ１染料をＣ．Ｉ．アシッドブルー９；２．５部に代えた以外はＹ１と同じ組成Ｋ１染料をＣ．Ｉ．フードブラック２；３部に代えた以外はＹ１と同じ組成以上示したそれぞれ無色の液体とインクとの混合におい
て、本発明では、上述した無色の液体とインクが被プリ
ント媒体上あるいは被プリント媒体に浸透した位置で混
合する結果、反応の第１段階として処理液中に含まれて
いるカチオン性物質の内、低分子量の成分とインクに使
用しているアニオン性基を有する水溶性染料とがイオン
的相互作用により会合を起こし、瞬間的に溶液相から分
離を起こす。

【００４４】次に、反応の第２段階として、上述した染
料と低分子カチオン性物質との会合体が処理液中に含ま
れる高分子成分により吸着されるために、会合で生じた
染料の凝集体のサイズがさらに大きくなり、被プリント
媒体の繊維間の隙間に入り込みにくくなり、その結果と
して固液分離した液体部分のみが記録紙中にしみこむこ
とにより、プリント品位と定着性との両立が達成され
る。同時に上述したようなメカニズムにより生成したカ
チオン物質の低分子成分とアニオン性染料とカチオン性
物質とで形成される凝集体は粘性が大きくなり、液媒体
の動きとともに移動することがないので、フルカラーの
画像形成時のように隣接したインクドットが異色のイン
クで形成されていたとしても互いに混じり合うようなこ
とはなく、ブリーデイングも起こらない。また、上記凝
集体は本質的に水不溶性であり形成された画像の耐水性
は完全なものとなる。また、ポリマーの遮蔽効果により
形成された画像の耐光堅牢性も向上するという効果も有
する。

【００４５】また、本発明の実施にあたっては、従来技
術のように分子量の大きいカチオン性高分子物質や多価
の金属塩を使用する必要がないか、あるいは使用する必
要があっても本発明の効果をさらに向上させるために補
助的に使用するだけで良いので、その使用量を最小限に
抑えることができる。その結果として、従来のカチオン
性高分子物質や多価金属塩を使用して耐水化効果を得よ
うとした場合の問題点であった染料の発色性の低下がな
くなるということを本発明の別の効果として挙げること
ができる。

【００４６】なお、本発明を実施するにあたって使用す
る被プリント媒体については特に制限されるものではな
く、従来から使用されているコピー用紙、ボンド紙等の
いわゆる普通紙を好適に用いることができる。もちろん
インクジェットプリント用に特別に作製したコート紙や
ＯＨＰ用透明フィルムも好適に使用でき、また、一般の
上質紙や光沢紙も好適に使用可能である。

【００４７】（実施例２）実施例１では従来のインクジ
ェット記録装置の装置本体及び通常使用状態のインクジ
ェット記録ヘッドをそのまま使用した。しかし、インク
中の染料を溶媒に対して不溶化する処理液専用インクジ
ェット記録ヘッドを組み込んだインクジェット記録ヘッ
ドを、上記通常使用状態のインクジェット記録ヘッドに
置き換えることによって、実施例１と同等の効果のある
インクジェット記録装置が実現できる。また、この場合
には残存インクの純水等による置換洗浄の手間を省くこ
とができる。さらに、新たに設けた上記処理液専用イン
クジェット記録ヘッドにより、上記処理液の吐出液直径
あるいは吐出液量を最適化することにより、実施例１に
示す装置以上の効果を有するインクジェット記録装置が
実現できる。

【００４８】（実施例３）実施例１および実施例２では
４つのインクジェット記録ヘッドが一体となった記録ヘ
ッドを用いたインクジェット記録装置について説明し
た。しかし、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラッ
ク４色のインクジェット記録ヘッドが別体となった４つ
のインクジェット記録ヘッドを有するインクジェット記
録装置において、ブラック用のインクジェット記録ヘッ
ドを、インク中の染料を溶媒に対して不溶化する処理液
専用のインクジェット記録ヘッドと置き換えることによ
り実施例１および実施例２と同等の効果のあるインクジ
ェット記録装置が実現できる。

【００４９】（その他）なお、本発明を実施するにあた
って、使用するインクは特に染料インクに限るものでは
なく、顔料を分散させた顔料インクを用いることもでき
るし、使用する処理液はその顔料を凝集させるものを用
いることができる。前記した無色液体Ａ１と混合して凝
集を引き起こす顔料インクの一例として以下のものを挙
げることができる。すなわち、下記に述べるようにし
て、それぞれ顔料とアニオン性化合物とを含むイエロ
ー，マゼンタ，シアン，ブラックの各色インク、Ｙ２，
Ｍ２，Ｃ２およびＫ２を得ることができる。

【００５０】ブラックインクＫ２アニオン系高分子Ｐ−１（スチレン−メタクリル酸−エ
チルアクリレート、酸価４００、重量平均分子量６，０
００、固形分２０％の水溶液、中和剤：水酸化カリウ
ム）を分散剤として用い、以下に示す材料をバッチ式縦
型サンドミル（アイメックス製）に仕込み、１ｍｍ径の
ガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ３時
間分散処理を行った。分散後の粘度は９ｃｐｓ、ｐＨは
１０．０であった。この分散液を遠心分離機にかけ粗大
粒子を除去し、重量平均粒径１００ｎｍのカーボンブラ
ック分散体を作製した。

【００５１】（カーボンブラック分散体の組成）・Ｐ−１水溶液（固形分２０％）４０部・カーボンブラックＭｏｇｕｌＬ（キャブラック製）２４部・グリセリン１５部・エチレングリコールモノブチルエーテル０．５部・イソプロピルアルコール３部・水１３５部次に、上記で得られた分散体を充分に拡散して顔料が含
有されたインクジェット用のブラックインクＫ２を得
た。最終調製物の固形分は、約１０％であった。

【００５２】イエローインクＹ２アニオン系高分子Ｐ−２（スチレン−アクリル酸−メチ
ルメタアクリレート、酸価２８０、重量平均分子量１
１，０００、固形分２０％の水溶液、中和剤：ジエタノ
ールアミン）を分散剤として用い、以下に示す材料を用
いて、ブラックインクＫ２の作製の場合と同様に分散処
理を行い、重量平均粒径１０３ｎｍのイエロー色分散体
を作製した。

【００５３】（イエロー分散体の組成）・Ｐ−２水溶液（固形分２０％）３５部・Ｃ．Ｉ．ピグメントイエロー１８０２４部（ノバパームイエローＰＨ−Ｇ、ヘキスト製）・トリエチレングリコール１０部・ジエチレングリコール１０部・エチレングリコールモノブチルエーテル１．０部・イソプロピルアルコール０．５部・水１３５部上記で得られたイエロー分散体を充分に拡散して、顔料
が含有されたインクジェット用のイエローインクＹ２を
得た。最終調製物の固形分は、約１０％であった。

【００５４】シアンインクＣ２ブラックインクＫ２の作製の際に使用したアニオン系高
分子Ｐ−１を分散剤として用い、以下に示す材料を用い
て、前記したカーボンブラック分散体の場合と同様の分
散処理を行い、重量平均粒径１２０ｎｍのシアン色分散
体を作製した。

【００５５】（シアン色分散体の組成）・Ｐ−１水溶液（固形分２０％）３０部・Ｃ．Ｉ．ビグメントブルー１５：３２４部（ファストゲンブル−ＦＧＦ、大日本インキ化学）・グリセリン１５部・ジエチレングリコールモノブチルエーテル０．５部・イソプロピルアルコール３部・水１３５部上記で得られたシアン色分散体を充分に攪拌して、顔料
が含有されたインクジェット用のシアンインクＣ２を得
た。最終調製物の固形分は、約９．６％であった。

【００５６】マゼンタインクＭ２ブラックインクＫ２の作製の際に使用したアニオン系高
分子Ｐ−１を分散剤として用い、以下に示す材料を用い
て、前記したカーボンブラック分散体の場合と同様の分
散処理を行い、重量平均粒径１１５ｎｍのマゼンタ色分
散体を作製した。

【００５７】（マゼンタ色分散体の組成）・Ｐ−１水溶液（固形分２０％）２０部・Ｃ．Ｉ．ピグメントレッド１２２（大日本インキ化学）２４部・グリセリン１５部・イソプロピルアルコール３部・水１３５部上記で得られたマゼンタ色分散体を充分に拡散して、顔
料が含有されたインクジェット用のマゼンタインクＭ２
を得た。最終調製物の固形分は、約９．２％であった。

【００５８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に基づくイ
ンクジェット記録装置は、被プリント媒体にインクを吐
出して入力画像を記録するための複数の記録ヘッドを搭
載するインクジェット記録装置において、上記複数の記
録ヘッドは、インクを供給するためのインクタンクと結
合するインク吐出用の記録ヘッドと、上記インクに含ま
れる染料を溶媒に対して不溶化する処理液を供給する処
理液タンクと結合する処理液吐出用の記録ヘッドとから
なり、さらに、上記インクタンクの形状と上記処理液タ
ンクとが上記記録ヘッドに対し分離独立していることを
特徴とする。そのため、記録ヘッド内、あるいはインク
タンク（または処理液タンク）と記録ヘッドとを結ぶイ
ンク供給パイプインク内において、処理液とインクとが
接触または部分的に混合してしまうことがない。そのた
め、処理液によって不溶化した染料を含むインクが乾燥
したり、粘性等の物理化学的性状が変化することによっ
て吐出不良等を招く恐れを回避することが可能となる。
したがって、本発明によれば、普通紙上であっても従来
よりも優れた耐水性を示し、またフェザリングやカラー
記録の際の色間のにじみが生じない高品位且つ高信頼な
画像記録と記録装置内でのインクの凝集固着やヘッドの
目詰まりのない高信頼性とを両立したインクジェット記
録装置を提供することが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にもとづくインクジェット記録装置内の
キャリッジ周辺の要部斜視図である。

【図２】本発明にもとづくインクジェット記録装置の概
略斜視図である。

【符号の説明】

１シャーシ２紙送りローラ３ピンチローラ４ガイドシャフト５スケール部６キャリッジ７ヘッドレバー８フレキブル基板９サポートシャフト１０キャリッジモータ１１タイミングベルト１２フォトインタラプタ１３吸引キャップ１４保護キャップ１５記録ヘッド１６インクタンク

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｂ４１Ｊ 2/205 Ｂ４１Ｊ 3/04 １０１Ｚ１０３Ｘ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】インクジェット記録ヘッドのノズルより
インクを吐出して被プリント媒体に印字を行うインクジ
ェット記録装置のうち、前記インクジェット記録ヘッド
に加えて、ノズルよりインク中の染料を溶媒に対して不
溶化する処理液を被プリント媒体に吐出するインクジェ
ット記録ヘッドを有するインクジェット記録装置におい
て、前記ノズルよりインクを吐出して被プリント媒体に
印字を行うインクジェット記録ヘッドにインクを供給す
るインクタンクと、前記ノズルよりインク中の染料を溶
媒に対して不溶化する処理液を被プリント媒体に吐出す
るインクジェット記録ヘッドに前記処理液を供給する処
理液タンクとを有し、前記インクタンクと前記処理液タ
ンクと前記インクジェット記録ヘッドに対して分離独立
した形態をとることを特徴とするインクジェット記録装
置。
【請求項２】前記インクタンクの容量と前記処理液タ
ンクの容量とが異なることを特徴とする請求項１に記載
のインクジェット記録装置。
【請求項３】前記処理液タンクの容量が前記インクタ
ンクの容量より大きく、かつ前記処理液タンクの幅が前
記インクタンクの幅より大きいことを特徴とする請求項
１に記載のインクジェット記録装置。
【請求項４】インクジェット記録ヘッドのノズルより
インクを吐出して被プリント媒体に印字を行うインクジ
ェット記録装置において、カラー印刷のためにイエロ
ー，マゼンタ，シアン，ブラック用の４ケのインクジェ
ット記録ヘッドを有し、前記４ケのインクジェット記録
ヘッドのうちブラック用のインクジェット記録ヘッド
を、インク中の染料を溶媒に対して不溶化する処理液を
吐出するインクジェット記録ヘッドとして使用すること
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項５】インクジェット記録ヘッドのノズルより
インクを吐出して被プリント媒体に印字を行うインクジ
ェット記録装置において、カラー印刷のためにイエロ
ー，マゼンタ，シアン，ブラック用の４ケのインクジェ
ット記録ヘッドを有し、前記４ケのインクジェット記録
ヘッドのうちブラック用のインクジェット記録ヘッドに
代え、インク中の染料を溶媒に対して不溶化する処理液
を吐出するインクジェット記録ヘッドを備えたことを特
徴とするインクジェット記録装置。
【請求項６】前記４ケのインクジェット記録ヘッドに
対し、イエロ，マゼンタ，シアン，ブラック各色のイン
クを供給するための４ケの別体となったインクタンクを
有し、前記４ケのインクタンクのうちブラック用のイン
クタンクに代え、前記インク中の染料を溶媒に対して不
溶化する処理液を供給するタンクを備えることを特徴と
する請求項４または５に記載のインクジェット記録装
置。
【請求項７】前記処理液タンクの容量が前記インクタ
ンクの容量より大きく、かつ前記処理液タンクの幅が前
記インクタンクの幅より大きいことを特徴とする請求項
４ないし６のいずれかに記載のインクジェット記録装
置。
【請求項８】インク液滴の吐出による被プリント媒体
への記録に先立ち、インク中の染料を溶媒に対して不溶
化する処理液を被プリント媒体に吐出することを特徴と
する請求項１ないし７のいずれかに記載のインクジェッ
ト記録装置。
【請求項９】前記処理液の表面張力が、前記インクの
表面張力よりも低いことを特徴とする請求項１ないし８
のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項１０】前記インクジェットヘッドは、前記イ
ンクに膜沸騰を生じさせる発熱抵抗素子を前記吐出のた
めのエネルギー発生手段とすることを特徴とする請求項
１ないし９のいずれかに記載のインクジェット記録装
置。
【請求項１１】前記処理液は、低分子成分と高分子成
分とからなるカチオン性物質を含むもので、前記インク
に含まれる前記染料はアニオン性物質からなることを特
徴とする請求項１ないし１０のいずれか一項記載のイン
クジェット記録装置。
【請求項１２】前記処理液は、低分子成分と高分子成
分とからなるカチオン性物質を含むもので、前記インク
に含まれる前記染料はアニオン性化合物と顔料とが含有
されていることを特徴とする請求項１ないし１０のいず
れか一項記載のインクジェット記録装置。