JPH0860942A - 非耐力外壁ユニット及びその施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 サッシ枠を備えた非耐力外壁ユニットにおい
て、施工を容易とし、長期の使用に耐え、コストの低減
を図ることのできる非耐力外壁ユニットを得る。 【構成】 外枠部材の内側に配されたサッシ枠と、該サ
ッシ枠と前記外枠部材とを一体に連結した連結枠部材と
を備え、外装壁板によって外装側の前記サッシ枠と外枠
部材との間が覆われたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、集合住宅等の構造躯体
の開口部に装着される構造耐力を負担しない非耐力壁の
外壁ユニットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】集合住宅の構造躯体は鉄筋コンクリート
造（ＲＣ造）が広く採用されている。また、その構造形
式は「壁式構造」と「ラーメン構造」の２つに大別され
る。その中でも集合住宅の躯体構造の中で、大量供給の
主役となったのが、壁式構造である。

【０００３】その理由は、壁式構造が集合住宅に付随す
る戸境壁や内部間仕切壁を耐力壁とする単純な躯体構造
で、施工性・経済性に優れ、かつ大きな耐震強度が得ら
れることと、またラーメン構造のような柱型・梁型によ
る凹凸が住宅内に現れず、住空間としても優れているこ
とによる。

【０００４】しかし、近年のＲＣ造の技術の目覚ましい
進歩により、壁式構造とラーメン構造との両方の特性を
組み合わせ、鉄骨を用いない新しいＲＣ造として、高層
集合住宅を対象とした壁式ラーメン構造が開発された。
この構造は、柱を偏平とし、梁幅を柱幅と同一とするこ
とで、壁式構造と同様なシンプルな躯体を構成でき、施
工性・経済性に優れ、従来のＳＲＣ造（鉄骨鉄筋コンク
リート造）の建物と比較して、躯体費でのコスト低減が
可能となっている。

【０００５】また、高品質・高強度の構造材料の開発，
信頼性の向上によって、経済性を重視したＲＣ造のラー
メン構造による高層及び超高層集合住宅の建設も開始さ
れており、年々増加の傾向を示している。

【０００６】一方、ユーザの住居に対する要求は多様化
・個性化しており、集合住宅といえどもこれらの住宅ニ
ーズに応えることを必要としている。このユーザの個々
のニーズに応えることや、住宅性能の向上、開放性のあ
る魅力ある住空間を供給することを目的として、従来の
構造概念を越えたシェルターとしての個性・可変性を構
造躯体に付与するという発想のもとに梁のない新しい構
法の研究開発に取り組んでいる。

【０００７】例えばボイドラーメン構造、ボイドスラブ
構造に加え、壁式フラットスラブ構造、トリコラム構造
などの新しい構造躯体が現在開発されている。その新し
い構造躯体の共通の特徴として梁のほとんど現われない
大きな室内空間が得られ、構造躯体の開口部が大きく確
保できることから次のメリットがある。

【０００８】(1) 外壁（シェルター）が構造耐力を負担
しない設計が可能なので外壁が構造躯体から開放され
る。 (2) プランニングに対する構造躯体の制約がきわめて少
ないので、住宅の外壁も含めたプランニングの自由度が
高い。また将来の必要に応じて容易にプランニング、内
装を変更することができるだけでなく、シェルター自体
も自由に選択，取替え可能とすることができる。 (3) シェルターが２次部材として施工されるので工業生
産化の道がひらけ、施工の合理化の可能性が大きい。

【０００９】以上のように、新しい構法によって可能と
なった広い開口部に設ける外壁・窓・玄関等の非耐力外
壁ユニットを２次部材として開発し、そのシステム化を
図り、個性化対応，生産の合理化等を図ることが種々試
みられている。

【００１０】図４は非耐力外壁ユニットの概要を説明す
る説明図であり、ａ図は共同住宅の廊下側、ｂ図はバル
コニー側を示す。ａ，ｂ図に示す通り、新しい構法によ
る構造躯体(40)は、共同住宅の廊下側(41)及びバルコニ
ー側(42)に大きな開口部(43)が形成され、この開口部(4
3)に装着される壁面(44)は非耐力壁で構成できる。この
ため、開口部(43)に装着される壁面(44)を種々のデザイ
ンの非耐力外壁ユニット(44)として、ユーザの好みの外
壁ユニット(44)を装着することができる。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】このような非耐力外壁
ユニットにおいて、窓などのサッシ枠を設ける際には、
予めサッシ枠取付け穴を設けた外壁ユニットを開口部に
取付けた後、サッシ枠を取付け穴に取付けるか、外壁ユ
ニットを開口部に取付けた後、壁面を切断して所望のサ
ッシ枠取付け穴を設けて行っていた。

【００１２】前述のように、非耐力外壁ユニットは耐力
壁を構成しないため、枠と外壁とからなるもので、簡略
な構造で軽量であり、加工性の自由度が高いものであ
る。従って、サッシ枠等を取付ける際には、制約も少な
く、所望の位置に簡単に設けることが可能である。

【００１３】しかしながら、外壁ユニットに設けたサッ
シ枠自体は、この外壁で支えるか、特別にサッシ枠を支
える支持部材を外壁ユニット内部に設ける必要があっ
た。従って、サッシ枠の支持が長期の使用に耐えないこ
と、支持部材の施工が難しいことなどの問題があった。

【００１４】本発明は、窓を備えた非耐力外壁ユニット
において、施工を容易とし、長期の使用に耐え、コスト
の低減を図ることのできる非耐力外壁ユニットを得るこ
とを目的とする。

【００１５】

【課題を解決するための手段】本請求項１に記載された
発明に係る非耐力外壁ユニットでは、構造躯体の開口部
上下壁に各々係止可能な高さを有した金属製の外枠部材
と、前記外枠部材の外装側側面を覆った外装壁板とを備
えた非耐力外壁ユニットにおいて、前記外枠部材の内側
に配されたサッシ枠と、該サッシ枠と前記外枠部材とを
一体に連結した連結枠部材とを備え、前記外装壁板によ
って外装側の前記サッシ枠と外枠部材との間が覆われた
ものである。

【００１６】本請求項２に記載された発明に係る非耐力
外壁ユニットの施工方法では、請求項１に記載の非耐力
外壁ユニットの施工方法において、構造躯体の開口部上
下壁の予め定められた位置に開口部内に突設した捨て枠
部材を複数個固定し、該捨て枠部材の外側から前記非耐
力外壁ユニットを当接させ、前記捨て枠部材と非耐力外
壁ユニットとを係止し、前記非耐力外壁ユニットの内装
側の前記サッシ枠と外枠部材との間を内装壁板によって
覆うものである。

【００１７】

【作用】本発明においては、外枠部材の内側に配された
サッシ枠と、該サッシ枠と前記外枠部材とを一体に連結
した連結枠部材とを備え、外装壁板によって外装側の前
記サッシ枠と外枠部材との間が覆われたものであるた
め、サッシ枠が外壁ユニットと一体になり、施工現場で
非耐力外壁ユニットに穴をあけて、その穴にサッシ枠を
取付ける操作を必要とせず、施工を容易とする。また、
予めユニット自体にサッシ枠が一体となっているため、
不要となる部材が少なく、コストの低減を図ることがで
きる。

【００１８】また、サッシ枠は連結枠部材によって外枠
部材と一体となっているため、サッシを支持する強度を
充分に確保でき、長期の使用にも耐える。更に、サッシ
枠が予め一体となり、外装壁板は予め覆われているた
め、現場で外装壁板を切断する等の作業が不要となり、
施工を容易とするだけでなく、仕上り面もきれいであ
る。

【００１９】更に、サッシ枠を外枠部材に連結する連結
部材が、外壁ユニットの変形を防止する補強材ともなる
ため、外壁ユニットの運搬，据え付け等の作業にも変形
し難く、重量も過大にならない。また、サッシ枠も通常
の窓枠のようなものから、出窓や二重サッシ窓のよう
に、過大な荷重がかかる枠であっても良好に支持ができ
る。

【００２０】外壁板は種々の材質のものが使用可能であ
る。例えば、木製，石膏ボード，これらのボードにタイ
ルを張り付けたもの等が使用できが、ＡＬＣ等の耐火ボ
ードが、加工の点でも良好である。この外壁板は、外枠
部材，サッシ枠，連結部材と直接又は間接的に連結され
る。

【００２１】また、非耐力外壁ユニットの内装側は、こ
のユニットを開口部に取付けた後に、部屋の内装工事と
共に行われる。具体的な非耐力外壁ユニットの施工方法
は、構造躯体の開口部上下壁の予め定められた位置に開
口部内に突設した捨て枠部材を複数個固定した後、この
捨て枠部材の外側から前記非耐力外壁ユニットを当接さ
せ、前記捨て枠部材と非耐力外壁ユニットとを係止し、
前記非耐力外壁ユニットの内装側の前記サッシ枠と外枠
部材との間を内装壁板によって覆うものである。

【００２２】従って、部屋の内装工事の際に、外壁ユニ
ットの内装側を他の内装材と統一することができ、内装
材の選択の幅が広がる。尚、内装壁板を覆う際に、外壁
ユニット内部に断熱材や防音材を封入したり、開口部壁
との間の目地部分にシーリング材，コーキング材等を埋
める操作を行ってもよい。

【００２３】

【実施例】図１は本発明の非耐力外壁ユニットの一実施
例の枠材の構成を示す説明図である。図２は構造躯体の
開口部に装着された非耐力外壁ユニットの縦断面図であ
る。図３は図２の横断面図である。

【００２４】図に示す通り、非耐力外壁ユニット(10)
は、金属製フレームを矩形状に組んだ外枠部材(11)を有
する。この外枠部材の大きさは、装着する開口部に装着
可能な高さを有し、同様の構成の他のドアを有した外壁
ユニットや外壁のみの外壁ユニット等を連結して開口部
を覆うように組み合わせる。

【００２５】この外枠部材(11)の内側には、サッシ枠(1
2)が配されている。サッシ枠(12)は同じく金属製フレー
ムからなる連結部材(13)によって外枠部材(11)と一体に
連結される。これら外枠部材(11)とサッシ枠(12)と連結
部材(13)とを組み合わせたユニットの骨組みは、開口部
に装着された場合に外側となる側面に外枠部材(11)とサ
ッシ枠(12)との間を４枚の外壁板(14)で覆われる。

【００２６】ＡＬＣ製の耐火ボードにタイルを貼着した
外壁板(14)は、外枠部材(11)，サッシ枠(12)，連結部材
(13)とに連結されたＬ字板(15)を介してボルト(16)によ
って固定される。

【００２７】この非耐力外壁ユニット(10)は、サッシ枠
(12)を連結枠部材によって外枠部材(11)と一体としてい
るため、サッシを保持する強度を充分に確保でき、長期
の使用にも耐える。

【００２８】非耐力外壁ユニット(10)を構造躯体の開口
部に装着するには、先ず第１に、構造躯体の開口部上壁
(20)及び下壁(21)の予め定められた位置に捨て枠部材(2
2)をアンカーボルト(23)で固定する。この捨て枠部材(2
2)は開口部内に突設した断面Ｌ字状の部材である。

【００２９】この複数の捨て枠部材(22)をアンカーボル
ト(23)で固定した後に、この捨て枠部材(22)の外側から
前記非耐力外壁ユニット(10)を移動させ、捨て枠部材(2
2)と非耐力外壁ユニット(10)の上下外枠部材の係合面と
を当接させる。当接した位置で外壁ユニット(10)を保持
させるため、開口部内側からＬ字状のブラケット(24)を
上下の捨て枠部材(22)の各々に当接させ、ボルト(25)を
締めて係止する。

【００３０】係止した外壁ユニット(10)の内装側は内装
工事を行う。その際に、断熱材(26)（防音材）を隙間に
埋めて、緩衝材(27)を介して内装壁板(28)を床面（天井
面）からサッシ枠(12)位置まで切断して嵌め込む。尚、
外壁側の外壁ユニットと構造躯体の開口部との上下側方
の隙間は、ガスケット(29)で目地を埋めた後に、更にコ
ーキング材(30)を注入して、目地止めする。

【００３１】以上のように、金属製の外枠フレームに耐
火性能等のある外装壁板を取付けたユニットを単位とす
る住宅用シェルターウォールシステムにおいて、サッシ
枠を連結部材で外枠フレームと一体に構成したため、現
場でのサッシ枠の取付け操作を不要としただけではな
く、サッシを支持する強度を充分に確保でき、長期の使
用にも耐えることができる。

【００３２】本発明のサッシ枠が一体となった外壁ユニ
ットは、幾つかの外壁ユニットと連結して、住戸のシェ
ルターを構成する。現場での外壁ユニットの取付けは捨
て枠を躯体の天井と床にアンカーボルトで固定して、こ
の捨て枠に金物でパネルを固定する。従って、アンカー
ボルトの位置を動かしてシェルターパネルの位置を移動
することも可能である。

【００３３】また、外装壁の仕上は、戸建て住宅用の窯
業系サイディングを用いて現場で加工している。意匠及
び詳細な検討により、ユーザのニーズに充分に応えるこ
とも可能であり、更に施工の合理化も可能である。

【００３４】

【発明の効果】本発明は以上説明したとおり、外枠部材
の内側に配されたサッシ枠と、該サッシ枠と前記外枠部
材とを一体に連結した連結枠部材とを備え、外装壁板に
よって外装側の前記サッシ枠と外枠部材との間が覆われ
たものであるため、サッシ枠が外壁ユニットと一体にな
り、施工現場で非耐力外壁ユニットに穴をあけて、その
穴にサッシ枠を取付ける操作を必要とせず、施工を容易
とする。また、予めユニット自体にサッシ枠が一体とな
っているため、不要となる部材が少なく、コストの低減
を図ることができる。

【００３５】また、サッシ枠は連結枠部材によって外枠
部材と一体となっているため、サッシを保持する強度を
充分に確保でき、長期の使用にも耐える。更に、外装壁
板は予め覆われているため、現場で外装壁板を切断する
作業が不要となり、施工を容易とするだけでなく、仕上
りもきれいである。

【００３６】更に、サッシ枠を外枠部材に連結する連結
部材が、外壁ユニットの変形を防止する補強材となるた
め、外壁ユニットの運搬，据え付け等の作業にも変形し
難く、重量も過大にならない。

【００３７】また、非耐力外壁ユニットの施工方法は、
構造躯体の開口部上下壁の予め定められた位置に開口部
内に突設した捨て枠部材を複数個固定した後、この捨て
枠部材の外側から前記非耐力外壁ユニットを当接させ、
前記捨て枠部材と非耐力外壁ユニットとを係止し、前記
非耐力外壁ユニットの内装側の前記サッシ枠と外枠部材
との間を内装壁板によって覆うものであるため、部屋の
内装工事の際に、外壁ユニットの内装側を他の内装材と
統一することができ、内装材の選択の幅が広がるという
効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の非耐力外壁ユニットの一実施例の枠材
の構成を示す説明図である。

【図２】構造躯体の開口部に装着された非耐力外壁ユニ
ットの縦断面図である。

【図３】図２の横断面図である。

【図４】非耐力外壁ユニットの概要を説明する説明図で
あり、ａ図は共同住宅の廊下側、ｂ図はバルコニー側を
示す。

【符号の説明】

(10)…非耐力外壁ユニット、 (11)…外枠部材、 (12)…サッシ枠、 (13)…連結部材、 (14)…外壁板、 (15)…Ｌ字板、 (16)…アンカーボルト、 (20)…開口部上壁、 (21)…開口部下壁、 (22)…捨て枠部材、 (23)…アンカーボルト、 (24)…ブラケット、 (25)…ボルト、 (26)…断熱材（防音材）、 (27)…緩衝材、 (28)…内装壁板、 (29)…ガスケット、 (30)…コーキング材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 構造躯体の開口部上下壁に各々係止可能
   な高さを有した金属製の外枠部材と、前記外枠部材の外
   装側側面を覆った外装壁板とを備えた非耐力外壁ユニッ
   トにおいて、 前記外枠部材の内側に配されたサッシ枠と、 該サッシ枠と前記外枠部材とを一体に連結した連結枠部
   材とを備え、 前記外装壁板によって外装側の前記サッシ枠と外枠部材
   との間が覆われたことを特徴とする非耐力外壁ユニッ
   ト。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の非耐力外壁ユニットの
   施工方法において、 構造躯体の開口部上下壁の予め定められた位置に開口部
   内側に突設した捨て枠部材を複数個固定し、 該捨て枠部材の外側から前記非耐力外壁ユニットを当接
   させ、 前記捨て枠部材と非耐力外壁ユニットとを係止し、 前記非耐力外壁ユニットの内装側の前記サッシ枠と外枠
   部材との間を内装壁板によって覆うことを特徴とする非
   耐力外壁ユニットの施工方法。