JPH086061Y2 - ジェットルームにおける緯糸絡み防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はジェットルームにおける緯糸絡み防止装置に
関するものである。

［従来の技術］ 緯糸選択パターンに従って複数の緯糸のうちのいずれ
か１本のみを選択緯入れするジェットルームでは、緯入
れ待機中の緯糸に低圧の噴射作用を与えて先端部の姿勢
を整え、これにより良好な緯入れ及び緯入れ用メインノ
ズルの噴射口から延出する緯糸先端部同士の絡み防止が
図られている。しかしながら、低圧噴射を作用させても
緯糸先端部の振動はあり、これにより緯糸先端部同士の
絡みを完全に防止することはできない。

そのため、特開昭60−167951号公報では緯入れ待機中
の緯糸を機械的に引き戻し、緯入れ用メインノズル内へ
引っ込ませておく装置が開示されている。又、特開昭61
−138747号公報では各緯入れ用メインノズルの噴射口間
に分離体を配設し、噴射口の直前の噴射領域を互いに分
離遮断する構成が開示されている。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、特開昭60−167951号公報の絡み防止装
置では緯入れ待機中の緯糸をタイミングよく引き戻すた
めのタイミング調整が難しく、絡み防止装置のコスト、
設置スペースに関しても問題がある。

特開昭61−138747号公報の分離体方式ではコスト、設
置スペースに関しては問題ないが、分離体を緯入れ用メ
インノズルに装置した際の取付精度の確保が難しく、こ
の取付精度が低いと良好な緯入れ作用を得ることが出来
ず、緯入れ失敗、緯入れ不良が生じ易い。又、分離体自
体が緯入れ用メインノズルからの緯入れ噴射作用に干渉
することになるが、この干渉による緯入れ噴射作用に対
する悪影響を確実に排除することは困難である。

本考案は前記のような問題を解消しつつ良好な緯入れ
を達成し得るジェットルームにおける緯糸絡み防止装置
を提供することを目的とするものである。

［課題を解決するための手段］ そのために本考案では、低圧噴射機能を備えた複数の
緯入れ用メインノズルの列設方向を少なくともそれらの
揺動中心の半径方向に方向成分を持つように設定し、絡
み防止片を各緯入れ用メインノズルの噴射口と経糸との
間の噴射領域間に配設し、緯入れ期間の境に対応する前
記噴射口の揺動位置程度まで織前側から筬側へ絡み防止
片を延設した。

［作用］ 緯入れ用メインノズルの噴射口は緯入れ期間以外では
絡み防止片に沿って揺動しており、この間では各噴射口
の直前の低圧噴射領域の交流が絡み防止片によって阻止
される。従って、緯入れ用メインノズルの噴射口から延
出する緯糸先端部同士の絡み合いが阻止される。緯入れ
期間では強力な緯入れ噴射作用、緯入れ用メインノズル
に至る経糸経路長の変動が緯糸絡みを阻止しており、緯
糸同士が絡み合うのは緯入れ期間以外のみであり、緯入
れ期間に対応する噴射口の揺動領域に絡み防止片は配設
されていない。従って、緯入れ期間では緯入れ用メイン
ノズルからの噴射流が絡み防止片と干渉することはな
く、良好な緯入れが行われる。

［実施例］ 以下、本考案を具体化した一実施例を図面に基づいて
説明する。

スレイ１上には一対の緯入れ用メインノズル2,3及び
変形筬４が支持されており、両緯入れ用メインノズル2,
3は上下に並設されている。緯入れ用メインノズル2,3の
支持基台８は変形筬４を締付支持するスレイ１上の溝1a
内に締付支持されている。両緯入れ用メインノズル2,3
の噴射口2a,3aの噴射方向は変形筬４前面の緯入れ通路4
aの入口を指向するように設定されている。

各緯入れ用メインノズル2,3には図示しない低圧エア
供給系が接続されており、両緯入れ用メインノズル2,3
には常時低圧エアが供給されている。緯入れ用メインノ
ズル2,3からの緯入れに待機する緯糸Y₁，Y₂の先端部
Ｙ′₁,Y′₂はこの低圧噴射作用によって緯入れ用メイン
ノズル2,3の噴射口2a,3aから延出している。

織布Ｗの織前W₁上に筬打ちされた緯糸を緯入れ用メイ
ンノズルから切断分離するカッター５の支持ブラケット
６には絡み防止部材７が止着されている。絡み防止部材
７は、取付基部7aと、この取付基部7aから変形筬４側へ
一体に延出する円弧状の絡み防止片7bとからなり、円弧
状の絡み防止片7bの半径中心はスレイ１の揺動中心Ｃに
設定されていると共に、絡み防止片7bの半径Ｒは両緯入
れ用メインノズル2,3の噴射口2a,3aの揺動半径の中間値
に設定されている。第３図に示すように絡み防止片7bの
断面形状は略２等辺三角形に設定されており、その頂角
が両噴射口2a,3a側を向くように絡み防止片7bが両噴射
口2a,3aの揺動領域とカッター５との間に配置設定され
ている。そして、絡み防止片7bの先端位置は緯入れ用メ
インノズル2,3の緯入れ噴射開始タイミングに対応する
噴射口2a,3aの揺動位置の所に設定されている。なお、
この実施例では緯入れ噴射開始タイミング及び緯入れ噴
射停止タイミングに対応する噴射口2a,3aの揺動位置は
略同じとしている。

緯入れ用メインノズル2,3の噴射口2a,3aは第２図に実
線で示す最後退位置と鎖線で示す筬打ち位置との間を揺
動する。絡み防止片7bの円弧半径Ｒは両噴射口2a,3aの
揺動半径の中間値に設定されているため、絡み防止片7b
の配設領域では両噴射口2a,3aの直前の低圧噴射領域の
交流が絡み防止片7bによって阻止される。即ち、両噴射
口2a,3aからの低圧噴射流が絡み防止片7bの略２等辺三
角形の断面形状によって上下に分流され、この分流作用
によって緯糸Y₁，Y₂の延出先端部Ｙ′₁,Y′₂が絡み防止
片7bを境として上下に吹き晒される。これにより延出先
端部Ｙ′₁,Y′₂同士が絡み合うことはない。

緯入れ用メインノズル2,3の緯入れ噴射が始まると、
この強力な緯入れ噴射作用が緯入れ待機中の緯糸の延出
先端部と緯入れ開始された緯糸との絡み合いを阻止す
る。又、緯入れ用メインノズル2,3の手前の図示しない
糸ガイドから緯入れ用メインノズル2,3までの緯糸経路
長が緯入れ揺動領域側で長くなることによる緯糸引き戻
し作用が緯入れ領域側での絡みを抑制する。それ故に絡
み防止片7bの先端の延設位置は緯入れ噴射開始タイミン
グに対応する噴射口2a,3aの揺動位置の所に抑えられて
いる。従って、緯入れ用メインノズル2,3の緯入れ噴射
流が絡み防止片7bと干渉することはなく、緯入れ噴射流
と絡み防止片7bとの干渉に起因する緯入れ失敗、飛走不
良といった異常は回避される。

このような効果をもたらす絡み防止片7bは緯入れ噴射
流に対して干渉しない領域に配設されるため、緯入れ用
メインノズルに分離体を直接取付ける従来の場合のよう
な高い取付精度を要求されることはない。又、コストに
関しても機械的な緯糸引き戻し装置に比して非常に有利
である。

本考案は勿論前記実施例にのみ限定されるものではな
く、例えば緯入れ終了タイミングに対応する噴射口の揺
動位置が緯入れ開始タイミングに対応する噴射口の揺動
位置よりも織前側にある場合には絡み防止片の先端位置
を緯入れ終了タイミングに対応する噴射口の揺動位置に
設定したり、絡み防止片の断面形状として薄板形状とい
った適宜の形状を用いたり、あるいは３本以上の緯入れ
用メインノズルをそれらの揺動半径方向に列設した多色
ジェットルームに本考案を適用することも可能である。

又、緯入れ用メインノズルの列設方向が揺動半径方向
に対して傾いている（少なくとも揺動半径方向に列設方
向成分をもっている）場合にも本発明を適用することが
できる。さらには緯入れ用メインノズルの揺動半径が大
きい場合には絡み防止片を直線部材とすることも可能で
ある。

［考案の効果］ 以上詳述したように本考案は、絡み防止片を各緯入れ
用メインノズルの噴射口と経糸との間の噴射領域間に配
設し、緯入れ期間の境に対応する前記噴射口の揺動位置
の所まで織前側から筬側へ絡み防止片を延設したので、
緯糸先端部同士の絡み合いを起こす可能性のある噴射口
の揺動領域では各噴射口からの低圧噴射流の交流が絡み
防止片によって阻止されると共に、緯入れ噴射作用と絡
み防止片との干渉が回避され、良好な緯入れ噴射作用及
び低コストを達成しつつ緯糸絡みを確実に解消すること
ができるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案を具体化した一実施例を示し、第１図は斜
視図、第２図は側面図、第３図は第２図のＡ−Ａ線拡大
断面図である。 緯入れ用メインノズル2,3、噴射口2a,3a、絡み防止片7
b、揺動中心Ｃ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】緯糸選択パターンに従って複数の緯入れ用
   メインノズルのうちのいずれか１つを選択して緯糸を射
   出緯入れするジェットルームにおいて、低圧噴射機能を
   備えた複数の緯入れ用メインノズルの列設方向を少なく
   ともそれらの揺動中心の半径方向に方向成分を持つよう
   に設定し、絡み防止片を各緯入れ用メインノズルの噴射
   口と経糸との間の噴射領域間に配設し、緯入れ期間の境
   に対応する前記噴射口の揺動位置の所まで織前側から筬
   側へ絡み防止片を延設したジェットルームにおける緯糸
   絡み防止装置。