JPH0860515A - メルトブロー不織布およびその製造方法 - Google Patents

メルトブロー不織布およびその製造方法

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JPH0860515A
JPH0860515A JP6196705A JP19670594A JPH0860515A JP H0860515 A JPH0860515 A JP H0860515A JP 6196705 A JP6196705 A JP 6196705A JP 19670594 A JP19670594 A JP 19670594A JP H0860515 A JPH0860515 A JP H0860515A
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nonwoven fabric
stretching
melt
woven fabric
fibers
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JP6196705A
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Katsunori Futai
克典 二井
Masakado Takahashi
正矩 高橋
Katsutoshi Ando
勝敏 安藤
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】融点が200℃以上である半結晶性の熱可塑性
樹脂よりなるメルトブロー不織布であって、最大引張強
力を示す時の伸度が5%〜100%、熱収縮率が15%
以下であり、かつ巻取方向の最大引張強力と巻取方向に
垂直な方向の最大引張強力との比が0.5〜4であるこ
とを特徴とするメルトブロー不織布、およびその製造方
法。 【効果】細繊度、低目付、高強力、かつ熱安定性に優れ
るというメルトブロー不織布を得ることができる。特
に、感熱性孔版印刷用原紙の支持体として優れたメルト
ブロー不織布である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、メルトブロー不織布お
よびその製造方法に関する。さらに詳しくは、高強力、
細繊度、低目付、良好な均一性等の特徴を有することか
ら、産業資材用途、特に感熱性孔版印刷用原紙の支持体
用途に適するメルトブロー不織布およびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】メルトブロー不織布は公知である。例え
ば特公昭56−33511号公報には熱可塑性樹脂を溶
融しノズルから押し出し、加熱ガス流で細化し捕集する
不織布の製造方法が開示されている。このようないわゆ
るメルトブロー不織布は溶融時に繊維形成が完了するた
め、構成繊維は必然的に無配向であり複屈折率も0〜
0.005と非常に低い値になる。このため、高配向、
高強力かつ均一なメルトブロー不織布は従来得られてい
ない。
【0003】メルトブロー不織布の強力を改善する方法
として特公昭60−25541号公報には大部分が一定
方向に配列しかつ分子配向した延伸繊維からなる高強力
不織布が開示されている。このように延伸糸が一定方向
に配列した不織布では、特公昭60−25541号公報
に記載があるように延伸糸の配列方向の強力は高くなる
が、延伸糸の配列方向に垂直な方向については強力を受
け持つ繊維がほとんど存在しないため低強力になる。繊
維配向を高めるため十分な倍率の延伸を行った場合、延
伸糸の配列方向と延伸糸の配列方向に垂直な方向の強力
比は15以上という高い値となり、特に高強力化のため
高倍率延伸をした場合は強力比が40〜50となり非常
に異方性の高い一方向性不織布になる。
【0004】また、特開平5−179554号公報に
は、少なくとも1方向に1.5倍以上延伸された10g
/m2 以下の熱可塑性不織布が示されている。この技術
では100〜160℃の温度範囲で延伸を行っている。
ポリプロピレンのような低融点かつ高結晶性で紡糸時に
結晶化が進むポリマでは結晶を融解しながら延伸を行う
必要があるが、ポリエチレンテレフタレートのような融
点が200℃以上である半結晶性のポリマでは、メルト
ブロー不織布を構成する繊維の結晶化はほとんど進んで
おらず、100℃以上の高温で延伸を行なうと融着によ
る延伸不良を生じるか、仮に延伸できたとしても配向の
ともなわない、いわゆるスーパードロー延伸となり、薄
肉化は可能であるが高強度化は進まない。また100〜
160℃の延伸温度で延伸するのみでは不織布の結晶化
が不十分であり、熱安定性に劣るものとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】横方向の強力を高める
ため延伸前の不織布の構成繊維の配列をランダムなもの
とした場合、捕集面移動方向に延伸しても延伸方向に配
列した一部の繊維しか配向が進まないため、横方向の強
力は改善されない。本発明者らの検討によると、一方向
に延伸した場合、延伸される繊維は延伸方向から30度
までの角度に配列した繊維であり、30度より大きい角
度に配列した繊維はほとんど延伸されないことがわかっ
た。このように強く異方性を有する不織布では一方向の
みに強力が必要な特殊用途に限られてしまう。また、前
述の特公昭60−25541号公報では延伸前の繊維間
の結合は紡糸時の自己粘着性のみに依存している。一方
向性不織布を一軸延伸する場合は紡糸時の自己粘着によ
る接着のみで十分であるが、繊維がランダムに配列した
不織布を二軸延伸する場合、自己粘着のみでは延伸時に
結合部が破壊しやすいため繊維間の接着が十分とは言え
ない。
【0006】また、メルトブロー不織布を構成する繊維
の繊維径は通常2〜20μmであり、細いものでも10
μm以上の繊維径をもつスパンボンド不織布を構成する
繊維に比べ、より細いものをメルトブロー不織布では得
ることができる。しかしさらに細い繊維径の不織布を得
るためにより高圧の空気で溶融ポリマを吹き飛ばすと、
ある圧力から繊維形成しなくなるため限界がある。
【0007】メルトブロー不織布は、細繊化および低目
付化が可能であり、均一性に優れ、吐出段階で単糸間が
自己粘着する等の長所を持つが、低配向度に起因する低
強力および高伸度のため、その適用範囲はフィルター、
ワイパー、生理用品等の狭いものに限られている。ま
た、ポリエチレンテレフタレートのような融点が200
℃以上である半結晶性ポリマからなるメルトブロー不織
布は低結晶化度であるため、延伸繊維からなるスパンボ
ンド不織布に比べ熱安定性が大きく劣っている。本発明
の目的は、メルトブローブロー不織布の用途を拡大する
ため、さらなる細繊度、良好な均一性等の特徴を有しな
がら熱安定性に優れ、測定方向によらず高強力なメルト
ブロー不織布およびその製造方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ため、本発明のメルトブロー不織布は次の構成を有す
る。
【0009】すなわち、融点が200℃以上である半結
晶性の熱可塑性樹脂よりなるメルトブロー不織布であっ
て、最大引張強力を示す時の伸度が5%〜100%、熱
収縮率が15%以下であり、かつ巻取方向の最大引張強
力と巻取方向に垂直な方向の最大引張強力との比が0.
5〜4であることを特徴とするメルトブロー不織布であ
る。
【0010】また、本発明のメルトブロー不織布の製造
方法は次の構成を有する。
【0011】すなわち、融点が200℃以上である半結
晶性の熱可塑性樹脂よりなるメルトブロー不織布を、該
不織布の巻取方向および巻取方向と垂直な方向に1.5
倍〜8倍の倍率で延伸する際に、(Tg−30)℃以上
(Tg+40)℃以下の温度範囲で延伸を行ない、次い
で(Tm−120)℃以上(Tm−30)℃以下の温度
範囲で熱処理を行なうことを特徴とするメルトブロー不
織布の製造方法。
【0012】ここで、Tg:不織布を構成する繊維のガ
ラス転移温度 Tm:不織布を構成する繊維の融点 以下、本発明をさらに具体的に説明する。
【0013】本発明のメルトブロー不織布は、融点が2
00℃以上である半結晶性の熱可塑性樹脂からなるもの
である。ここでいう融点が200℃以上である半結晶性
の熱可塑性樹脂とは、融点が200℃以上であり、かつ
結晶性の低い樹脂を言い、具体的には、一般的な製造方
法(例えば、特公昭56−33511号公報第5頁第1
0欄第27行〜第6頁第11欄第26行に記載されてい
るような製造条件)でメルトブロー不織布を製造したと
きの不織布を構成する繊維の結晶化度が50%以下とな
る融点が200℃以上である熱可塑性樹脂をいう。
【0014】さらに具体的には、たとえばポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリ
エステル、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン6、
ナイロン66などのポリアミドがあげられる。また、繰
り返し単位の25%を上限として第3成分を添加、ある
いは共重合したものであっても良い。添加可能な第3成
分としては特に限定されないが、例えば酸化チタンに代
表される無機粒子、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウムなどに代表される制電剤等があげられる。共重合可
能な成分としてはイソフタル酸等が使用できる。一方、
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン
は、融点が200℃より低く、かつメルトブロー不織布
とした時の不織布を構成する繊維の結晶化度が50%よ
り高くなり、本発明でいう半結晶性の熱可塑性樹脂には
含まれない。
【0015】本発明においては、なかでもポリエチレン
テレフタレートを用いてなるメルトブロー不織布が経済
性と物性のバランスから最も好ましい。
【0016】本発明におけるメルトブロー不織布とは、
メルトブロー法により得られる不織布あるいはその延伸
不織布のことをいう。
【0017】メルトブロー不織布の最大引張強力を示す
時の伸度が100%より大きい場合、不織布を構成する
単糸はほぼ未延伸の状態であり強力が低いため従来のメ
ルトブロー不織布を超えるものとはならない。このため
不織布の最大引張強力を示す時の伸度は100%以下で
ある必要がある。より高い不織布強力を得るためには不
織布の最大引張強力を示す時の伸度は50%以下である
ことが好ましく、より高い強力を持つためには10%以
下であることがさらに好ましい。また、不織布の最大引
張強力を示す時の伸度を5%より小さくするためには、
延伸時の単糸の破断が激しく、不織布の強力が著しく低
下してしまうため不織布の最大引張強力を示す時の伸度
は5%以上である必要がある。ここで不織布の最大引張
強力を示す時の伸度とは、引張試験器によって測定した
不織布の強伸度曲線から読み取った最大引張強力時の伸
度のことであり、繊維の配向度すなわち延伸の程度に対
応する。例えば、従来の方法で得られるポリエチレンテ
レフタレートよりなるメルトブロー不織布の伸度は15
0%以上であり、産業用途に用いられる市販のポリエス
テルスパンボンド不織布の最大引張強力時の伸度は50
%〜100%である。
【0018】本発明の最大引張強力を示す時の伸度が5
〜100%の不織布は、複屈折率で評価すると、ポリエ
チレンテレフタレートの場合には0.050〜0.19
5となる。
【0019】本発明のメルトブロー不織布は、熱収縮率
が15%以下である必要がある。熱収縮率が15%より
大きい場合は不織布の熱安定性が不十分であり耐候性に
劣るものとなる。熱収縮率は5%以下であることが好ま
しく1%以下であることがさらに好ましい。
【0020】本発明において、不織布の巻取方向(縦方
向)の最大引張強力と巻取方向に垂直な方向(横方向)
の最大引張強力の比とは、不織布の巻取方向(縦方向)
の最大引張強力を不織布の巻取方向に垂直な方向(横方
向)の最大引張強力で除した値をいう。この強力比が4
より大きい場合、横方向の強力が不足し本発明の目的を
満たさない。また、メルトブロー不織布を捕集する際、
縦方向に繊維が多く配列するため、強力比を0.5より
小さくするためには横方向の繊維の配向を縦方向のもの
よりかなり高くすることになり、不織布を構成する単糸
の強力の異方性も著しくなる。このため、不織布の巻取
方向の最大引張強力と不織布の巻取方向に垂直な方向の
最大引張強力の比は0.5〜4である必要がある。全方
向により均一な強力を示すためには、強力比は0.8か
ら2であることが好ましく、0.9〜1.5であること
がさらに好ましい。
【0021】また、本発明のメルトブロー不織布は、延
伸時に繊維の交絡部が破壊されやすく不織布の強力が低
下してしまうため、不織布を構成する繊維相互が接着さ
れていることが好ましい。繊維相互が接着した不織布と
は、不織布の任意の繊維が他の繊維との接触する部分に
おいて密着し容易にはずれない状態のことをいう。なか
でも、延伸前に繊維相互が融着しており、その融着した
部分が延伸時にさらに強固に密着して容易にはずれない
状態となったものが好ましい。
【0022】本発明のメルトブロー不織布を構成する繊
維の繊維径(繊維直径)は、引張強力および耐疲労性の
観点から0.01μm以上であることが好ましく、不織
布の均一性の観点から30μm以下であることが好まし
い。フィルター、ワイパーなどの用途には繊維径が0.
01〜5μmであることが好ましく、引張強力、耐久性
が要求される産業資材用途には繊維径が10〜30μm
であることが好ましい。なお、本発明のメルトブロー不
織布を構成する繊維の繊維径分布(単位μm)のCV値
は10以上である。スパンボンド不織布の場合には混繊
等の特殊技術を用いない限りこのCV値は10より小さ
い値を示す。メルトブロー法では溶融ポリマを高圧加熱
空気で吹き飛ばすという製法によって得られるため繊維
径分布は必然的に大きくなる。繊維径分布は小さいほど
均一な構造となるため、本発明のメルトブロー不織布に
おいてCV値は10〜25であることが好ましい。
【0023】本発明のメルトブロー不織布は低目付化が
可能でありながら、細繊度、高強力、良好な均一性を持
つことから、熱可塑性樹脂フィルムと多孔質支持体を貼
り合わせてなる感熱孔版印刷用原紙の多孔質支持体に適
している。
【0024】本発明のメルトブロー不織布を多孔質支持
体として用いた感熱孔版印刷用原紙は、支持体である不
織布が前記したメルトブロー不織布からなるものである
ため、細繊度であることから印刷性能が高解像度にな
り、低目付とすることでインキ透過性が良好になり、さ
らに高強力であることから取扱いの容易な感熱性孔版印
刷用原紙とすることができる。
【0025】感熱孔版印刷用原紙の支持体として用いる
場合の上記不織布の繊度は0.01μm以上10μm以
下、また目付は2g/m2 以上20g/m2 以下の範囲
が好ましい。
【0026】また、本発明のメルトブロー不織布を多孔
質支持体として用いた感熱孔版印刷用原紙における熱可
塑性樹脂フィルムとしては、薄膜のフィルムを成型可能
な樹脂よりなるもの、たとえばポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンナフタレートに代表されるポリエス
テル、ナイロン6、ナイロン66に代表されるポリアミ
ド、ポリフェニレンサルファイド、など特に限定されず
用いることができる。なかでも、ポリエチレンテレフタ
レートを主成分とするフィルムが好ましく用いられる。
フィルムの厚さは、感熱孔版印刷用原紙に適した厚みで
用いればよいが、概ね0.2〜3μm厚さのフィルムが
好ましい。
【0027】次に、本発明のメルトブロー不織布の製造
方法についてポリエチレンテレフタレートの場合を例に
挙げて説明する。
【0028】融点が265℃で半結晶性の熱可塑性樹脂
であるポリエチレンテレフタレートを加熱して溶融体を
形成し、この溶融体を多数のオリフィスを有する口金か
ら押し出し、高圧加熱空気を口金オリフィスから押し出
された溶融体に吹き付けて繊維を形成せしめ、この繊維
と加熱空気の混合したメルトブロー噴射流をドラムまた
は多孔質ベルト等の捕集面上に捕集して得られる。
【0029】得られたメルトブロー不織布を一旦巻き取
った後あるいは連続して二軸延伸を行なう。ここで、延
伸前の不織布の最大強力時の伸度が100%より小さい
場合、延伸倍率が十分とれず延伸後の強力が低くなる。
このため、延伸前の不織布の最大強力時の伸度は100
%以上であることが好ましく、150%以上であること
がさらに好ましい。
【0030】二軸延伸の方法としては、同時二軸延伸、
一軸ずつ延伸を行う逐次二軸延伸、二軸延伸後さらに追
加延伸を行う方法など二方向に不織布が延伸される方法
であればどの様な方法であってもよいが、縦延伸後に横
延伸を行なう逐次二軸延伸法が、工程の安定性、設備の
コンパクトさなどの点で好ましい。
【0031】また、各方向の延伸倍率が1.5倍より小
さいと不織布を構成する単糸の配向度が低く、また延伸
ムラのある単糸となるため不織布の強力が不足し物性ば
らつきも大きくなる。各方向の延伸倍率が8倍より大き
いと延伸時の単糸の破断が著しくなり不織布の強力が低
下する。このため二軸延伸の各方向の延伸倍率は1.5
倍〜8倍である必要があり、十分な強力を持つためには
2.5倍〜6倍であることが好ましく、安定な延伸を行
なうためには3倍〜5倍であることがさらに好ましい。
【0032】延伸前の不織布の目付は、二軸延伸の工程
通過性を良くし、不織布の均一な延伸を行なう観点か
ら、50g/m2 以上であることが好ましい。また、延
伸前の熱接着を均一にする観点から、2000g/m2
以下であることが好ましい。
【0033】低目付の不織布、特に感熱性孔版印刷用原
紙の支持体として用いる場合は、延伸前の不織布の目付
は50g/m2 以上200g/m2 以下であることが好
ましい。
【0034】一方、土木資材用途等の高目付、高強力不
織布を得る場合は、延伸前の不織布の目付は1000g
/m2 以上2000g/m2 以下であることが好まし
い。
【0035】従来の方法で低目付の不織布を紡糸して直
接得ようとすると、目付の均一性が悪化するため低目付
化には限界があった。しかし、本発明の製造方法によれ
ば、単糸の交絡が均一であり、繊度のむらも直接紡糸の
低目付品より小さい高目付不織布を、均一に延伸するこ
とができ、より均一で高強力な低目付不織布が得ること
ができる。
【0036】本発明の不織布は、単糸の配向度を一般に
高強度といわれる通常のスパンボンド不織布よりも高く
することができる。たとえばポリエチレンテレフタレー
トを用いた不織布の場合、スパンボンド不織布では単糸
の複屈折率が約0.10であるのに対し本発明のメルト
ブロー不織布では0.15以上とすることができ単糸強
度においてもスパンボンド不織布の3〜4g/dに対し
6g/d以上となり、通常のスパンボンド不織布に比べ
高いものが得られる。このように、従来の高目付不織布
より低目付でかつ同等の強力をもつ不織布を、高目付の
不織布を高倍率で延伸することにより製造することがで
きる。
【0037】また本発明者らの検討によると、縦延伸の
前後における、延伸方向に垂直な方向の不織布の幅の変
形度が10%を越える場合、延伸の効果が単糸の配向度
を高めることに働かず、不織布の変形に使われる。また
不織布内の位置により単糸の延伸倍率が異なり、均一な
延伸が行われない。ここで変形度とは、(延伸前の不織
布の幅−延伸後の不織布の幅)/延伸前の不織布の幅×
100で求められるものである。
【0038】本発明の製造方法においては、上記変形度
は10%以内であることが好ましく、変形度が5%以内
であることがさらに好ましい。変形度を抑える延伸方法
として、ピンテンター、あるいはクリップテンターなど
が用いられる。また、速度の異なるローラ間で縦延伸を
行う場合は、延伸温度によりその変形度が異なり、延伸
温度が(Tg−30)℃以上(Tg+40)℃以下の範
囲において、その変形度を抑制できることがわかった。
ここで、Tgとは不織布を構成する繊維のガラス転移温
度[℃]を示し、Tmとは不織布を構成する繊維の融点
[℃]を示す。延伸温度が(Tg−30)℃より低い場
合は単糸の延伸がスムーズにいかず、延伸応力が不織布
の変形に使われると考えられる。延伸温度が(Tg+4
0)℃より高い場合、延伸により繊維は細くなるが配向
が進まない、いわゆるスーパードローが起こり、また不
織布中の単糸の接着部分が延伸時に破壊されやすくなる
ため不織布の強力が低下する。このため延伸温度は(T
g−30)℃以上(Tg+40)℃以下とすることが重
要である。
【0039】なお、延伸温度とは延伸時の不織布の温度
のことであり、一定温度に設定したオーブン中で延伸を
行う場合はオーブンの温度を、ローラ間で延伸を行う場
合は第1ローラの温度をいう。
【0040】次に、前記のように縦延伸して得られた不
織布を引き続いて横延伸を行なう。延伸方法としてはピ
ンテンター、あるいはクリップテンターなどが好んで用
いられる。この時の温度も上述した理由により(Tg−
30)℃以上(Tg+40)℃以下とすることが重要で
ある。
【0041】そして、本発明のメルトブロー不織布の製
造方法においては、熱安定性、耐候性を十分なものとす
るため、延伸後にオーブン中あるいは高温ローラ上で熱
処理を行なうことが重要である。この場合の熱処理温度
は(Tm−120)℃以上(Tm−30)℃以下の範囲
であることが重要である。熱処理温度が(Tm−12
0)℃より低い場合は熱処理が不十分となり、(Tm−
30)℃より高い場合は不織布が溶融変形しローラへの
融着の問題も生じる。
【0042】なお、繊維間の融着部または交絡部が延伸
時に破壊することを防ぐため、および不織布の強力をよ
り高めるため、さらに結晶化の進んだ延伸後の不織布を
熱接着することは困難であるという観点から、延伸前の
不織布においては繊維相互が接着されていることが好ま
しい。接着の方法は、(Tg+20)℃以上(Tm−5
0)℃以下に熱した加熱ローラ上に接触させる方法、同
温度領域に加熱した2本のローラ間を通す方法、あるい
は同温度領域のオーブン中を通す方法等により繊維相互
を熱接着することができる。熱接着の温度としては(T
g+20)℃以上(Tm−80)℃以下の範囲がより好
ましい。ここで、Tgとは不織布を構成する繊維のガラ
ス転移温度[℃]を示し、Tmとは不織布を構成する繊
維の融点[℃]を示す。
【0043】上記の如く熱接着処理(延伸前の予備加熱
処理)を施した不織布は、本発明者らの検討によれば、
熱接着処理を施さない不織布に比べて延伸後の強力が2
割程度向上する。これは熱接着部分を有しない不織布
は、延伸応力が単糸の再配列あるいは融着部の破壊に費
やされ単糸の複屈折率ムラが生じるのに対し、熱接着を
有する不織布は単糸の融着点が増えかつ強固になること
で、延伸時の応力が単糸の延伸に完全に活かされ単糸の
複屈折率が一様に増加するためと考えられる。
【0044】次に、本発明のメルトブロー不織布の代表
的な製造方法を図面により説明する。
【0045】図1は、本発明の不織布の製造工程の一例
を示す工程図である。
【0046】メルトブロー装置(1)で噴射されたメル
トブロー噴射流(2)を捕集ドラム(3)上に捕集す
る。捕集されたメルトブロー不織布を引き続き熱接着ロ
ーラ(4)を通し繊維間の融着を進める。次いで加熱し
た延伸ローラ1(5)と延伸ローラ2(6)間(縦延伸
ゾーン(9))で縦延伸を行う。この1軸縦延伸不織布
を、クリップテンター(7)中(横延伸ゾーン(1
0))で横延伸を行い連続して熱処理を行い巻取機
(8)で巻き取る。
【0047】このようにして得られたメルトブロー不織
布は、構成する繊維の繊維径が延伸倍率に対応して細く
なり、例えば、縦4倍で横4倍の二軸延伸を行った場合
にはその繊維径は延伸前の繊維径の約半分になる。すな
わち従来得られなかった繊維径2μm以下の細繊度の繊
維よりなる熱安定性に優れた不織布を安定に得ることが
でき、さらに繊維径が0.01μm以上1μm以下とい
う極細繊維よりなる不織布を得ることもできる。
【0048】本発明の如く二軸延伸を行った不織布は、
構成する単糸の配列方向によらず均一な配向を有する。
延伸方向のみでなく、その中間的な方向に配列した繊維
まで均一に同程度の配向を有する理由については、解明
されていないが次のような作用が推定できる。縦方向の
延伸によりその延伸応力を担う繊維がその配列方向に応
じた倍率で延伸される。次に横方向の延伸を行った場
合、縦方向の延伸倍率が低かった繊維ほど高い倍率で延
伸される。例えば中間的な方向に配列をした繊維は縦延
伸、横延伸でそれぞれ中間的な延伸を連続してうけると
考えられ、どの方向に配列した繊維も縦、横の延伸倍率
の総和はほぼ等しくなるのではないかと考えられる。本
発明者らの検討でも二軸の延伸をそれぞれ同一倍率で行
った場合、どの方向に配列した繊維も、一軸方向の延伸
倍率にほぼ等しい倍率の延伸をうけていることが、複屈
折率の測定値から判明している。
【0049】また、このようにして得られた不織布の強
力は、従来のメルトブロー不織布あるいは一般に高強力
とされるスパンボンド不織布よりも高強力の不織布が得
られる。延伸前の配向度が低い繊維と高い繊維を延伸す
る場合、配向度が高い繊維は延伸前の結晶化度も高いた
め、限界延伸倍率が低くなり到達する配向度も低くな
る。本発明者らが検討を進めた結果、ある程度配向の進
んだスパンボンド不織布に比べ無配向のメルトブロー不
織布は延伸倍率が高くでき、到達する配向度も高いもの
になる。したがって、メルトブロー不織布の延伸体はス
パンボンド不織布の延伸体よりも高強力になると考えら
れる。
【0050】また、延伸と延伸後の熱処理を別工程とし
それぞれの工程に適した温度条件で行なうことで、高配
向でありかつ高結晶化度である高強力で熱安定性に優れ
たメルトブロー不織布を得ることできる。
【0051】
【実施例】以下、本発明の実施例をあげてさらに具体的
に説明する。
【0052】なお、実施例に示す物性値は以下の測定方
法で求められるものである。
【0053】<熱収縮率>140℃のオーブン中におい
て無張力下で10分処理し、処理前の長さと処理後の長
さの差を処理前の長さで除した値の百分率をいう。な
お、サンプルが不織布の場合は、10cm四方のサンプ
ルについて縦、横それぞれの収縮率の平均値を用いる。
【0054】<複屈折率>光源にナトリウムランプを用
いた偏光顕微鏡を使用しコンペンセーター法によって測
定、算出した。なお配向度が低くコンペンセータ法によ
る測定限界以下である場合、複屈折率の値は0とした。
繊維径が数μm以下と細くコンペンセーター法で複屈折
率を測定できない場合は、複屈折率と明瞭な相関を示す
レーザーラマン分光法で測定した下記パラメータから複
屈折率を算出した。なお、算出には十分な糸径をもち複
屈折率の異なる数種類の繊維を、それぞれの方法で測定
して得た複屈折率と下記パラメータの相関グラフを用い
た。
【0055】配向パラメータ=Iyy/Ixx Iyy=繊維軸に平行な偏光時の1615cm-1バンドの
ピーク強力 Ixx=繊維軸に垂直な偏光時の1615cm-1バンドの
ピーク強力 レーザーラマン分光法の測定条件 測定装置:Jobin Yvon/愛宕物産製 光源 :NEC製GLG3300 Arレーザー
514.5nm 顕微鏡 :オリンパス製 BH−2型 対物レンズ×1
00 <密度>n−ヘプタンと四塩化炭素の混合溶媒からなる
25℃に保った密度勾配管に試料を投入し、8時間後に
測定した。
【0056】<結晶化度(Xc)>次式を用い計算し
た。
【0057】Xc=100×Dc×(D−Da)/(D
×(Dc−Da)) ここでXc:結晶化度(%) D :測定密度(g/cm3 ) Da:非晶密度理論値(ポリエチレンテレフタレートで
は1.335 ) Dc:結晶密度理論値(ポリエチレンテレフタレートで
は1.455 ) <固有粘度(IV)>温度25℃においてオルソクロロ
フェノ−ル(以下OCPとする)10mlに対し試料
0.8gを溶解し、オストワルド粘度計を用いて相対粘
度(ηr )を下式により求め、更にIVを算出する。
【0058】 ηr =η・η0 =(t×d)/(t0 ×d0 ) IV=0.0242ηr +0.2634 η :ポリマ溶液の粘度 η0 :溶液の粘度 t :溶液の落下時間(秒) d :溶液の密度(g/cm3 ) t0 :OCPの落下時間(秒) d0 :OCPの密度(g/cm3 ) <最大引張強力、伸度>東洋ボールドウイン社製「テン
シロン」を用いて測定した。
【0059】試料:5cm幅×20cm長さ チャック間、つかみ長さ:10cm 引張速度:20cm/分 不織布の強力としては最大引張強力を、伸度としては最
大引張強力を示す時の伸度を用いた。
【0060】なお、表1で示す「強力比」とは、巻取方
向に垂直な方向(横方向)の最大引張強力に対する巻取
方向(縦方向)の最大引張強力の比を示すものである。
【0061】<目付>20cm×1mの試料を切り取り
重量を測定して1m2 当たりの重量に換算した。
【0062】<繊維径分布のCV値>(株)TOPCO
N製ABT−32型走査型電子顕微鏡により不織布の任
意の部分について観察した像のデータを、(株)ピアス
製パーソナル画像解析システムLA−525に取り込
み、任意に100本の繊維を選び繊維径を測定した。測
定した繊維径(単位μm)から下式を用いて繊維径分布
のCV値を計算した。
【0063】CV値[%]=100×(繊維径分布の標
準偏差)/(繊維径の平均) [実施例1,2、比較例1〜8]口金幅1cmあたり7
本のオリフィスと0.3mmのガス噴射スリット間隙を
有するメルトブロー噴射装置を備える装置を用い、IV
=0.50のポリエチレンテレフタレートを、295℃
で溶融してオリフィスより押し出しガス噴射スリットに
圧力2Kg/cm2 Gで供給した約310℃の加熱空気
を噴射し牽引することで平均直径約20μmのメルトブ
ロー繊維をメルトブロー噴射装置から40cm離して配
した多孔性ベルト上に捕集し、結晶化度1%の不織布を
得た。
【0064】この不織布は90g/m2 の目付を有して
おり、ガラス転移点(Tg)は80℃、融点(Tm)は
265℃であった。捕集された不織布を150℃の予備
加熱ローラに通し繊維間の融着を進め、引続き90℃の
第1延伸ローラに導入し、第1延伸ローラの3.0倍の
速度で回転する第2延伸ローラとの間で縦延伸を行っ
た。このとき不織布の幅方向の変形度は5%であった。
縦延伸を行った不織布は連続してクリップテンタに導入
し3.0倍の横延伸を行なった後巻き取った。
【0065】テンタ内の温度は入り口部で90℃(すな
わち(Tg+10)℃)、出口部で200℃(すなわち
(Tm−65)℃)になるよう段階的に設定し(実施例
1)、また、テンタ内の温度は入り口部で90℃(すな
わち(Tg+10)℃)、出口部で160℃(すなわち
(Tm−105)℃)になるよう段階的に設定(実施例
2)して不織布を作製した。
【0066】得られた不織布の物性を実施例1,2とし
て表1に示す。不織布中の繊維の複屈折率は繊維の方向
によらず0.165〜0.172の範囲であった。
【0067】一方、延伸前のメルトブロー不織布を比較
例1に、縦延伸のみを行なった不織布を比較例2に、市
販のスパンボンド不織布(東レ(株)製“アクスター”
(登録商標))を比較例3にそれぞれ示す。
【0068】また、実施例1と同様の方法で予備加熱を
行わず、クリップテンタ内の温度を90℃一定として不
織布を延伸し巻き取った不織布を比較例4に示す。ま
た、実施例1と同様の方法で第1延伸ローラ温度および
クリップテンタ入口温度を40℃としたものを比較例
5、おなじく第1延伸ローラおよびクリップテンタ入口
温度を125℃としたものを比較例6とする。また実施
例1と同様の方法でクリップテンタ出口部の温度を13
0℃としたものを比較例7、同じく260℃としたもの
を比較例8とする。
【0069】表1に示すように、実施例1は従来になく
低目付でありながら各方向に高強力であり、かつ構成す
る単糸の配向も均一に高いものであった。また実施例1
の繊維径分布のCV値は13.5であった。
【0070】比較例1は強力比は1.3であるが最大引
張強力が目付に対して低く、また熱収縮率も本発明の範
囲外であり、産業用途には適さないものであった。繊維
の複屈折率は測定限界以下であった。
【0071】比較例2は縦方向の強力は高いものになっ
たが横方向の強力が低く、縦横の強力比が6.0と本発
明の範囲を外れるものであった。繊維の複屈折率は0〜
0.152の範囲で大きくばらついていた。比較例3の
繊維径分布のCV値は6.1であり、繊維の複屈折率は
0.093〜0.100であった。比較例4は熱収縮が
大きく、耐熱性、耐候性に劣るものであった。比較例5
は縦延伸時に幅方向の変形が見られかつ繊維が白化し横
延伸時に破れを生じ2軸延伸は不可能であった。比較例
6は第1延伸ローラに不織布が融着し工程を通過しなか
った。比較例7の不織布は熱安定性に劣るものであっ
た。比較例8ではクリップテンタ出口部で不織布が破れ
試料を得ることはできなかった。
【0072】[実施例3]実施例1と同様のポリエチレ
ンテレフタレートおよび装置を用い、延伸前の予備加熱
を行わない以外は実施例1と同様の方法で表1に示す不
織布を得た。実施例1に比べ遜色のない高強力かつ低目
付の不織布が得られた。
【0073】[実施例4]実施例1と同様のポリマを用
い、同様の装置、同様の条件で吐出量のみを変更し、平
均直径約20μmの繊維からなる目付960g/m2
不織布を得た。
【0074】この不織布を実施例1と同様の延伸装置、
同様の条件で延伸倍率のみを各4.0倍に変更し二軸延
伸を行った。縦延伸時の幅方向の変形度は2%であっ
た。得られた不織布の物性を実施例4として表1に示
す。
【0075】実施例4の繊維径分布のCV値は38.2
であった。このように実施例4は従来に無い高い強力を
示し、土木資材等の産業資材用途に適したものである。
【0076】[実施例5]実施例3と同様の熱可塑性樹
脂および装置を用い、300℃で溶融してオリフィスよ
り押し出しガス噴射スリットに圧力4Kg/cm2 Gで
供給した約3200℃の加熱空気を噴射し牽引すること
で平均直径約2μmの繊維よりなるメルトブロー不織布
を得た。
【0077】この不織布を実施例1と同様の延伸装置、
同様の条件で二軸延伸を行った。
【0078】実施例5の繊維径分布のCV値は43.7
であった。実施例5は非常に細繊度の繊維でありながら
従来に無い高い強力を示し、フィルター用途、ワイパー
用途等のの産業資材用途に適したものである。
【0079】[実施例6]実施例1と同様の装置を用
い、ナイロン6を紡糸温度265℃で押し出し、280
℃の高圧空気を噴射し牽引することで目付100g/m
2 、Tg50℃、Tm223℃の不織布を得た。捕集さ
れた不織布を120℃の予備加熱ローラに通し繊維間の
融着を進め、引続き60℃の第1延伸ローラに導入し、
第1延伸ローラの2.5倍の速度で回転する第2延伸ロ
ーラとの間で縦延伸を行った。縦延伸を行った不織布は
連続してクリップテンタに導入し2.5倍の横延伸を行
なった後巻き取った。テンタ内の温度は入り口部で70
℃出口部で160℃になるよう段階的に設定した。得ら
れた不織布はナイロン独特の柔軟な風合いを有しながら
高強力なものであった。
【0080】[実施例7]実施例1と同様の装置を用
い、ナイロン66を紡糸温度290℃で押し出し、30
5℃の高圧空気を噴射し牽引することで目付500g/
2 、Tg60℃、Tm260℃の不織布を得た。捕集
された不織布を140℃の予備加熱ローラに通し繊維間
の融着を進め、引続き80℃の第1延伸ローラに導入
し、第1延伸ローラの2.5倍の速度で回転する第2延
伸ローラとの間で縦延伸を行った。縦延伸を行った不織
布は連続してクリップテンタに導入し2.5倍の横延伸
を行なった後巻き取った。テンタ内の温度は入り口部で
90℃出口部で190℃になるよう段階的に設定した。
熱安定性にすぐれ、産業資材用途に適した不織布が得ら
れた。
【0081】[実施例8]実施例1と同様の装置を用
い、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを紡糸温度3
05℃で押し出し、330℃の高圧空気を噴射し牽引す
ることで目付100g/m2 、Tg125℃、Tm27
0℃の不織布を得た。捕集された不織布を170℃の予
備加熱ローラに通し繊維間の融着を進め、引続き130
℃の第1延伸ローラに導入し、第1延伸ローラの3.0
倍の速度で回転する第2延伸ローラとの間で縦延伸を行
った。縦延伸を行った不織布は連続してクリップテンタ
に導入し3.0倍の横延伸を行なった後巻き取った。テ
ンタ内の温度は入り口部で130℃出口部で220℃に
なるよう段階的に設定した。耐熱性、熱安定性にすぐれ
る不織布が得られた。
【0082】[比較例9]実施例1と同様の装置を用
い、ポリプロピレンを紡糸温度270℃で押し出し、2
85℃の高圧空気を噴射し牽引することで目付100g
/m2 、Tg−35℃、Tm165℃の不織布を得た。
捕集された不織布を25℃の第1延伸ローラに導入し、
第1延伸ローラの3.0倍の速度で回転する第2延伸ロ
ーラとの間で縦延伸を行なおうとしたところ、不織布の
変形が著しくあるいは破れを生じ始め、均一な延伸は不
可能であった。
【0083】[実施例9]実施例1の不織布と厚さ2μ
mのポリエチレンテレフタレート製2軸延伸フィルムを
酢酸ビニル系接着剤を介して貼り合わせ、フィルム表面
にワックス系離型剤をコーティングし、感熱性孔版印刷
用原紙を作成した。
【0084】得られた感熱性孔版印刷用原紙と、上記不
織布の代わりに目付10g/m2 の和紙を用い他は同様
の方法で作成した感熱性孔版印刷用原紙について印字
性、取扱い性を比べたところ、本発明の感熱性孔版印刷
用原紙は、印字性に優れ、取り扱いも容易であった。な
お、印字性は、テストパターンを市販感熱孔版印刷機
(理想科学工業(株)製、RA205)で印字したもの
を目視評価で対比して評価した。取扱い性は、印刷機へ
の装着性、原紙の剛軟度、引張強力を総合的に評価し
た。
【0085】
【表1】 [実施例10,11]実施例1と同様のポリエチレンテ
レフタレートおよび装置を用い、縦横の延伸倍率をそれ
ぞれ4.2倍とした以外は実施例1と同様の方法で表2
の実施例10に示す不織布を得た。また縦横の延伸倍率
をそれぞれ2.0倍としたものを実施例11に示し、
4.5倍としたものを比較例10に示し、1.5倍とし
たものを比較例11に示した。
【0086】実施例10は従来にない強力を示し産業用
途に好適な不織布であった。比較例10は、伸度が縦2
%、横3%と低く、横延伸の段階で不織布を構成する繊
維の破断が生じており、強力も弱く耐久性の低い不織布
であった。実施例11は柔軟で強力も十分な不織布であ
った。比較例11は伸度が縦105%、横115%と高
く、繊維の延伸が均一に生じておらず繊維径のムラの大
きい不織布であり、強力も低く、変形しやすい不織布で
あった。
【0087】[実施例12,13、比較例12,13]
実施例1と同様のポリエチレンテレフタレートおよび装
置を用い、縦/横の延伸倍率を2倍/4.5倍とした以
外は実施例1と同様の方法で表2の実施例12に示す不
織布を得た。また、縦/横の延伸倍率を4.8倍/2.
0倍としたものを実施例13に示し、1.5倍/6倍と
したものを比較例12に示し、5.0倍/1.5倍とし
たものを比較例13に示した。
【0088】実施例12は横方向の強力に優れる不織布
であった。実施例13は特に縦方向の強力に優れる不織
布であった。一方、比較例12,13はともに巻取方向
の引張強力と巻取方向に垂直な方向の引張強力との比
(強力比)が本発明の範囲を外れており、特定方向にお
いて強力が極端に低いため実用に適さない不織布であっ
た。
【0089】
【表2】
【0090】
【発明の効果】本発明の不織布はメルトブロー不織布の
特徴である細繊度、低目付時の均一性という長所をされ
に伸ばしながら従来のメルトブロー不織布では成し得な
かった高強力かつ縦横強力のバランスがとれしかも熱安
定性に優れるという特徴を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造工程の一例を示す工程概略図であ
る。
【符号の説明】 1:メルトブロー装置 2:メルトブロー噴射流 3:捕集ドラム 4:熱接着ローラ 5:加熱延伸ローラ1 6:延伸ローラ2 7:クリップテンター 8:巻取機 9:縦延伸ゾーン 10:横延伸ゾーン

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】融点が200℃以上である半結晶性の熱可
    塑性樹脂よりなるメルトブロー不織布であって、最大引
    張強力を示す時の伸度が5%〜100%、熱収縮率が1
    5%以下であり、かつ巻取方向の最大引張強力と巻取方
    向に垂直な方向の最大引張強力との比が0.5〜4であ
    ることを特徴とするメルトブロー不織布。
  2. 【請求項2】ポリエステルからなることを特徴とする請
    求項1に記載のメルトブロー不織布。
  3. 【請求項3】繊維径が0.01〜30μmであることを
    特徴とする請求項1または2に記載のメルトブロー不織
    布。
  4. 【請求項4】繊維相互が接着している部分を有すること
    を特徴とする請求項1,2または3に記載のメルトブロ
    ー不織布。
  5. 【請求項5】融点が200℃以上である半結晶性の熱可
    塑性樹脂よりなるメルトブロー不織布を、該不織布の巻
    取方向および巻取方向と垂直な方向に1.5倍〜8倍の
    倍率で延伸する際に、(Tg−30)℃以上(Tg+4
    0)℃以下の温度範囲で延伸を行ない、次いで(Tm−
    120)℃以上(Tm−30)℃以下の温度範囲で熱処
    理を行なうことを特徴とするメルトブロー不織布の製造
    方法。 ここで、Tg:不織布を構成する繊維のガラス転移温度 Tm:不織布を構成する繊維の融点
  6. 【請求項6】延伸する前に(Tg+20)℃以上(Tm
    −50)℃以下の温度で予備加熱処理することを特徴と
    する請求項5に記載のメルトブロー不織布の製造方法。
  7. 【請求項7】感熱孔版印刷用原紙の支持体として用いら
    れることを特徴とする請求項1に記載のメルトブロー不
    織布。
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