JP2002020926A - ポリプロピレンマルチフィラメントの製造方法 - Google Patents

ポリプロピレンマルチフィラメントの製造方法

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JP2002020926A
JP2002020926A JP2000202319A JP2000202319A JP2002020926A JP 2002020926 A JP2002020926 A JP 2002020926A JP 2000202319 A JP2000202319 A JP 2000202319A JP 2000202319 A JP2000202319 A JP 2000202319A JP 2002020926 A JP2002020926 A JP 2002020926A
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stretching
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Yoshishige Shimizu
喜茂 清水
Hiroshi Yamamoto
洋 山本
Masaru Ogasawara
賢 小笠原
Hideo Sakakura
秀夫 坂倉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 養生ネットやロープ等の産業資材用に適した
高強度のポリプロピレンマルチフィラメントを、直接紡
糸・延伸法により、その繊維物性を損なうことなく高速
且つ安定に製造し得る方法を提供する。 【解決手段】 メルトフローレート値が10〜80g/
10分、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによ
り測定される分子量分布Q値(重量平均分子量Mw/数
平均分子量Mn)が3.5以下のポリプロピレンを溶融
紡出し、紡出糸を、冷却後引き取り、引き続き表面温度
が70〜150℃の複数のゴデットローラにて延伸する
際、延伸ゾーンを80〜160℃に加熱する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高生産性の直接紡
糸・延伸法による強度の高いポリプロピレンマルチフィ
ラメントの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン繊維は、優れた強度、弾
性を有し、比重が小さく、耐薬品性に優れている等の利
点から、カーペットのパイルヤーン等の敷物材、養生ネ
ット等の建築土木資材、シートベルト、椅子張り材等の
自動車内装材等々の用途に、織物、編物或いは不織布と
して広く用いられており、通常、ポリプロピレンを溶融
紡出し、冷却し、一旦未延伸糸として巻き取った後、該
未延伸糸を延伸することにより製造される。しかしなが
ら、ポリプロピレン繊維においても、他の合成繊維と同
様に、生産コストの面から製造時の生産性の向上が要求
されており、特に生産性を向上させる上で、繊維物性を
損なわないで高速で安定に得る方法が求められている。
更に製造時のエネルギーコストや適用できる添加剤の種
類を広げる意味から紡糸温度をできるだけ下げることも
求められている。
【0003】近年、合成繊維の生産性を上げる方法とし
て、ポリマーの紡糸から延伸までを連続的に行う方法、
いわゆる直接紡糸・延伸法が提案されている。この直接
紡糸・延伸法は、ポリアミド、ポリエステル等において
は、溶融紡糸の際、耐熱性、耐酸化性、粘弾性、結晶化
速度等の特性が曳糸性に適しているため、延伸する際の
高速側のローラの周速が2000m/分以上の高速での
直接紡糸・延伸を可能にしている。
【0004】しかしながら、ポリプロピレンの場合、ポ
リアミド、ポリエステル等に比べ結晶性が高く、曳糸性
が劣るため高速での延伸が困難であり、例えば特開平5
−186908号公報、特開平5−214609号公
報、特開平6−200442号公報、及び特開平8−9
2813号公報等での直接紡糸・延伸法によるポリプロ
ピレン繊維の製造に関する提案においても、いずれも延
伸する際の高速側のローラの周速としては2000m/
分が限界である。
【0005】一方、高強力ポリプロピレン繊維に関する
特許は数多く出願されているが、その大半が紡糸した未
延伸糸を一旦巻き取った後延伸する非連続方式により製
造されており、更にその多くは溶融するポリプロピレン
の分子量、分子量分布Q値(重量平均分子量Mw/数平
均分子量Mn)、沸騰n−ヘプタン不溶分(HI)、ア
イソタクチックペンタッド分率(IPF)等を規定して
おり、使用するポリプロピレンが制約されている。
【0006】また、直接紡糸・延伸法によるポリプロピ
レン繊維の製造においては、高速で延伸するとその破断
強度が低下するため、強力の高いポリプロピレン繊維を
得ることは困難である。そのため、例えば特開平6−3
13208号公報には、非連続式と同様、溶融するポリ
プロピレンの分子量、分子量分布Q値、沸騰n−ヘプタ
ン不溶分(HI)、アイソタクチックペンタッド分率
(IPF)等を規定して、破断強度5.3cN/dte
xのポリプロピレン繊維を得る方法が記載され、また特
開平9−132815号公報には、ポリプロピレンに特
定の高分子量ポリプロピレンを必須成分として混合し、
且つ延伸する際の高速側のローラの周速を2400m/
分とすることで破断強度6.1cN/dtexのポリプ
ロピレン繊維を得る方法が記載されている。
【0007】一方、特開平8−92813号公報には、
延伸する際の高速側のローラの周速が1800m/分で
破断強度8.2cN/dtexのポリプロピレン繊維を
得る方法が記載されているが、同公報に記載された方法
では未延伸糸の結晶化度及び複屈折率を制御するために
紡糸された溶融フィラメントを冷風で冷却後、実質0℃
〜−30℃の冷却ロールで冷却する必要がある。同様
に、紡糸された溶融フィラメントを0〜10℃の集束剤
付与ローラで急冷することによって、延伸する際の高速
側のローラの周速が2000m/分で破断強度6.2c
N/dtexのポリプロピレン繊維を得る方法が特開平
5−214609号公報に記載されているが、これも紡
糸された溶融フィラメントを急冷することが必要であ
る。
【0008】また、特開平5−186908号公報、特
開平6−200442号公報には、直接紡糸・延伸法に
よって各々破断強度7.9cN/dtex、7.2cN
/dtexのポリプロピレン繊維を得る方法が記載され
ているが、これらも紡糸された溶融フィラメントを急冷
することが必要であり、しかも延伸する際の高速側のロ
ーラの周速が300m/分であって、高生産性の面では
極めて不十分である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点を解消し、養生ネットやロープ等の産業資材用に
適した高強度のポリプロピレンマルチフィラメントを、
直接紡糸・延伸法により、その繊維物性を損なうことな
く高速且つ安定に製造し得る方法の提供を課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、メルト
フローレート値が10〜80g/10分、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィーにより測定される分子量分
布Q値(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が
3.5以下のポリプロピレンを溶融紡出し、紡出糸を冷
却後引き取り、引き続き表面温度が70〜150℃の複
数のゴデットローラにて延伸する際、延伸ゾーンを80
〜160℃で加熱することを特徴とするポリプロピレン
マルチフィラメントの製造方法にある。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で用いるポリプロピレン
は、プロピレンのホモポリマーであっても、プロピレン
と他のα−オレフィンモノマー、例えばエチレン、ブテ
ン−1、4−メチル−1−ペンテン等のモノマーとのコ
ポリマーであってもよいが、メルトフローレート(以下
MFRと略す)値が10〜80g/10分、好ましくは
10〜50g/10分、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィーにより測定される分子量分布Q値が3.5以
下のポリプロピレンを用いることが必要であり、かかる
特定のポリプロピレンを用いることにより、高速での直
接紡糸・延伸法において良好な曳糸性を確保することが
できるのである。
【0012】ポリプロピレンのMFR値が10g/10
分未満では、溶融張力が適正値より大きくなるため、曳
糸性の面で不安定となり、80g/10分を超えると、
分子量が小さくなるため、得られる延伸糸の破断強度が
高くならない。
【0013】また、分子量分布Q値は、一般にその数値
が大きくなるにつれて曳糸性が低下する傾向にあり、分
子量分布Q値が3.5を超えると、1000m/分以上
の紡糸速度では曳糸性が不良となる。これは、ポリマー
の分子量分布が広いものは狭いものに比べ、繊維の断面
方向及び繊維軸方向に外部からの力に対しての耐性の良
好な部位と不良な部位の差が大きくなり、糸切れに寄与
する耐性の不良な部位が必然的に多くなるためであり、
延伸速度が高くなるにつれこの傾向は増大するため、少
なくとも直接紡糸・延伸法においては分子量分布Q値が
3.5以下であることが必要な条件である。
【0014】更に本発明においては、溶融紡出した紡出
糸を、冷却後引き取り、引き続き複数のゴデットローラ
にて延伸する際、ゴデットローラ間の延伸ゾーンを80
〜160℃、好ましくは90〜150℃で加熱すること
が必要である。加熱温度が80℃未満では、延伸倍率を
高く取ることができず破断強度の向上が得られず、16
0℃を超えると、フィラメント切れ、フィラメント間の
融着等が生じ製糸性が低下する。延伸ゾーンを加熱する
ことにより高速での延伸の際、延伸倍率を高く取ること
が可能になり、毛羽立ち、フィラメント切れ等のない破
断強度の高いポリプロピレンマルチフィラメントが得ら
れる。
【0015】加熱方法はフィラメントに十分な熱量を供
給できるものであれば特に限定しない。例えば、スリッ
トヒーター、加熱ボックス、遠赤外線ヒーター、熱ピ
ン、熱板、レーザー加熱等が挙げられるが、安価で非接
触式という点からスリットヒーター方式が好ましい。
【0016】以下本発明を図面に基づいて説明する。図
1は本発明の実施に使用する装置の一例を示す側面図
で、同図において、MFR値が10〜80g/10分、
分子量分布Q値が3.5以下のポリプロピレンを、紡糸
口金(6)より溶融紡出し、紡出糸を冷却部(7)にて
冷風を当てて冷却後、適宜オイリング装置(8)で油剤
を付与し、未延伸糸(10)として引取りローラ(4)
により引き取る。引取りローラ(4)による引取速度
は、紡糸速度に相当するものであり、150〜1000
m/分とすることが好ましく、引取速度が150m/分
未満では、引き続く延伸工程での高速化が不可能となる
傾向にあり、1000m/分を超えると、紡出糸の最大
延伸倍率が減少し、高い破断強度を有するマルチフィラ
メントを得ることができなくなる傾向にある。
【0017】更に、本発明においては、引取りローラ
(4)により引き取られた未延伸糸(10)を、引き続
き、表面温度が70〜150℃、好ましくは85〜15
0℃の複数のゴデットローラ(1)、(2)、(3)に
て、好ましくは延伸倍率4〜8倍で延伸する。延伸する
際には、延伸ゾーンを加熱装置(9)によって加熱す
る。加熱ゴデットローラの表面温度が70℃未満では、
得られる延伸糸の熱収縮率が著しく大きくなり、150
℃を超えると、フィラメント切れ、フィラメント間の融
着が生じ製糸性が低下する。本発明において、ゴデット
ローラは、加熱ローラからなり、引き取った未延伸糸を
連続して延伸するためのものであり、特定条件下で用い
られる。
【0018】本発明においては、引き取られた未延伸糸
(10)を、好ましくは、周速が1000〜3500m
/分の複数のゴデットローラ間で延伸する。すなわち図
1の例では、第1ゴデットローラ(1)と、それより高
周速の第2ゴデットローラ(2)との間で1段目の延伸
をし、第2ゴデットローラ(2)と、それより高周速の
第3ゴデットローラ(3)との間で2段目の延伸をす
る。第2ゴデットローラ(2)及び第3ゴデットローラ
(3)の周速が1000m/分未満では、延伸での高速
化の面で好ましくない。また3500m/分を超えて
も、それ以上の破断強度の向上が望めなくなる傾向にあ
る。
【0019】延伸工程において、引取りローラ(4)と
実質的に同周速である第1ゴデットローラ(1)と好ま
しくは周速1000〜2500m/分の第2ゴデットロ
ーラ(2)との二つのゴデットローラ間で延伸する1段
延伸によっても実用上十分に高い破断強度の延伸糸を得
ることができる。また、3本のゴデットローラを用い
て、第3ゴデットローラ(3)の周速を第2ゴデットロ
ーラ(2)の周速の1.1〜1.4倍とし、且つ第3ゴ
デットローラ(3)を好ましくは周速2500〜300
0m/分として延伸する2段延伸によって、より高い破
断強度の延伸糸を高速で得ることができる。なお、ここ
で実質的に同周速とは、引取りローラ(4)と第1ゴデ
ットローラ(1)の間で未延伸糸(10)がタルミを生
ずることなく且つ延伸されることのない周速を言う。
【0020】尚、2段延伸を行うに当たっては、第3ゴ
デットローラ(3)の周速を第2ゴデットローラ(2)
の周速の1.1〜1.4倍にすることが好ましく、1.
1倍未満では2段延伸の効果が十分に発揮されない場合
があり、1.4倍を超えると、未延伸糸が延伸張力に耐
えられずフィラメント切れが生ずる傾向にある。
【0021】また本発明においては、延伸ゾーンを加熱
装置(9)によって加熱温度が80〜160℃で加熱す
ることが必要である。延伸が2段延伸の場合、1段目の
延伸ゾーンを加熱することが必要であるが、より破断強
度の高いポリプロピレンマルチフィラメントを得るため
には、2段目の延伸ゾーンも加熱することが好ましい。
【0022】加熱装置としては、スリットヒーターが好
適に用いられる。スリットヒーターは、二つのヒーター
面、例えば熱板、遠赤外線ヒーターなどに挟まれた細い
直線状のスリットを有する加熱装置である。スリットの
幅は、マルチフィラメントの幅より広いが、マルチフィ
ラメントが接触しない程度に狭いことが好ましく、マル
チフィラメントの繊度によって適宜変更できる。スリッ
トヒーターの長さは、延伸ゾーンに設置された時、周速
の異なる二つのゴデットローラ間で可能な限りローラと
スリットヒーターの間隔が短くなることが熱効率の点か
ら好ましい。
【0023】延伸ゾーンを加熱すると破断強度が向上す
る理由は明らかでないが、ポリプロピレンのようにガラ
ス転移点温度が室温以下の熱可塑性高分子は室温中でも
延伸が可能であり、給糸側加熱ローラの出側のみなら
ず、周速の異なる一対の加熱ローラ間でも延伸(ゾーン
延伸)が起こっていると考えられる。このゾーン延伸は
糸条の温度が高いほど、より高い延伸比を可能とする。
即ち、スリットヒーターの効果は、加熱ゴデットローラ
によって加熱されたマルチフィラメントが延伸ゾーンで
放熱によって冷却されることを防ぎ、より高い延伸比を
可能ならしめているためであると推定される。この目的
のためには、加熱ゴデットローラを含めて延伸ゾーン全
体を覆うことも考えられるが、装置が大きくなり操作等
が煩雑となるので好ましくない。
【0024】本発明においては、ポリプロピレンマルチ
フィラメントの製造に際し、必要に応じ、ポリプロピレ
ンに対し、着色顔料、酸化防止剤、熱安定剤、光安定
剤、紫外線吸収剤、中和剤、分散剤、蛍光増白剤、艶消
剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、導電防止剤、抗菌剤等
を、ポリプロピレンを溶融する前及び/又は溶融した後
に、添加することもできる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例における各項目の測定は、下記の方法
に拠った。
【0026】(メルトフローレート(MFR)値)JI
S K7210に準じ、230℃で2.16kgf荷重
下における10分間あたりの溶融ポリマーの吐出量を重
量(g)で求めた。
【0027】(分子量分布Q値)ゲルパーミエーション
クロマトグラフィー法によって求めた重量平均分子量M
w及び数平均分子量Mnから次式により求めた。 Q値= Mw/Mn
【0028】(破断強度、伸度)JIS−L1013に
準じて繊維物性を測定し、フィラメントの破断強度(c
N/dtex)と破断伸度(%)で示した。
【0029】(実施例1)MFR値30g/10分、Q
値2.9のポリプロピレンを用い、溶融温度230℃で
孔径0.8mm、60ホールの紡糸口金より紡出し、冷
却した後、紡出未延伸糸に油剤を付与し、引取速度20
0m/分で引き取った。引き続き、未延伸糸を、3本の
ゴデットローラを用い、第1ゴデットローラを表面温度
130℃、周速を引取りローラと実質的に同じ210m
/分とし、第2ゴデットローラを表面温度140℃、周
速1390m/分とし、第1ゴデットローラと第2ゴデ
ットローラ間のスリットヒーター温度を100℃とし
て、1段目の延伸を行い、引き続き、第3ゴデットロー
ラを表面温度140℃、周速1600m/分とし、第2
ゴデットローラと第3ゴデットローラ間のスリットヒー
ター温度を100℃として、第2ゴデットローラと第3
ゴデットローラとの間で2段目の延伸を行い、ワインダ
ーに巻き取って760dtex/60フィラメントの延
伸糸を得た。得られた延伸糸の繊維物性を表1に示し
た。このときの製糸安定性は良好であった。
【0030】(実施例2)実施例1において、スリット
ヒーターの温度を110℃に変更した以外は、実施例1
と同様の方法で760dtex/60フィラメントの延
伸糸を得た。得られた延伸糸の繊維物性を表1に示し
た。このときの製糸安定性は良好であった。
【0031】(比較例1)実施例1において、スリット
ヒーターを使用しない以外は、実施例1と同様の方法で
760dtex/60フィラメントの延伸糸を得たが、
得られた延伸糸の破断強度は実施例1及び2に比較して
低いものであった。得られた延伸糸の繊維物性を表1に
示した。
【0032】(実施例3)実施例1において、MFR値
10g/10分、Q値3.2のポリプロピレンを用い、
溶融温度を280℃、スリットヒーターの温度を120
℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で760d
tex/60フィラメントの延伸糸を得た。得られた延
伸糸の繊維物性を表1に示した。このときの製糸安定性
は良好であった。
【0033】(比較例2)実施例3において、スリット
ヒーターを使用しない以外は、実施例3と同様の方法で
760dtex/60フィラメントの延伸糸を得たが、
得られた延伸糸の破断強度は実施例3に比較して低いも
のであった。得られた延伸糸の繊維物性を表1に示し
た。
【0034】(実施例4及び5)実施例1において、引
取速度、第1、第2、第3ゴデットローラの周速、スリ
ットヒーターの温度を表1に示すように変更した以外
は、実施例1と同様の方法で760dtex/60フィ
ラメントの延伸糸を得た。得られた延伸糸の繊維物性を
表1に示した。このときの製糸安定性は良好であった。
【0035】(実施例6)実施例5において、MFR値
50g/10分、Q値2.7のポリプロピレンを用いた
以外は、実施例5と同様の方法で760dtex/60
フィラメントの延伸糸を得た。得られた延伸糸の繊維物
性を表1に示した。このときの製糸安定性は良好であっ
た。
【0036】(比較例3)実施例3において、MFR値
11g/10分、Q値10.5のポリプロピレンを用い
た以外は、実施例3と同様の方法で延伸糸を得ようとし
たが、延伸時にフィラメント切れが多発し、製糸安定性
は極めて不良で、延伸糸を得ることができなかった。
【0037】(比較例4)実施例1において、MFR値
126g/10分、Q値3.1のポリプロピレンを用
い、溶融温度を190℃に変更した以外は、実施例1と
同様の方法で760dtex/60フィラメントの延伸
糸を得たが、破断強度は低いものであった。得られた延
伸糸の繊維物性を表1に示した。
【0038】(比較例5)実施例1において、スリット
ヒーターの温度を70℃に変更した以外は、実施例1と
同様の方法で760dtex/60フィラメントの延伸
糸を得た。得られた延伸糸の破断強度は実施例1に比較
して低いものであった。得られた延伸糸の繊維物性を表
1に示した。このときの製糸安定性は良好であった。
【0039】(比較例6)実施例1において、スリット
ヒーターの温度を165℃に変更した以外は、実施例1
と同様の方法で760dtex/60フィラメントの延
伸糸を得ようとしたが、延伸時にフィラメント切れが多
発し、製糸安定性は極めて不良で、延伸糸を得ることが
できなかった。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、直接紡糸・延伸法にお
いて、延伸ゾーンを加熱することにより、繊維物性を損
なうことなく強度の高いポリプロピレンマルチフィラメ
ントを高速で且つ極めて安定に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に使用する装置の一例を示す側面
図である。
【符号の説明】
1 第1ゴデットローラ 2 第2ゴデットローラ 3 第3ゴデットローラ 4 引き取りローラ 5 ワインダー 6 紡糸口金 7 冷却部 8 オイリング装置 9 加熱装置 10 未延伸糸 11 延伸糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂倉 秀夫 愛知県豊橋市牛川通四丁目1番地の2 三 菱レイヨン株式会社豊橋事業所内 Fターム(参考) 4L035 BB32 BB79 BB89 FF01 HH04 HH10 4L036 MA04 MA33 PA01 PA03 PA12 PA18 UA25

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メルトフローレート値が10〜80g/
    10分、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによ
    り測定される分子量分布Q値(重量平均分子量Mw/数
    平均分子量Mn)が3.5以下のポリプロピレンを溶融
    紡出し、紡出糸を、冷却後引き取り、引き続き表面温度
    が70〜150℃の複数のゴデットローラにて延伸する
    際、延伸ゾーンを80〜160℃に加熱することを特徴
    とするポリプロピレンマルチフィラメントの製造方法。
  2. 【請求項2】 冷却された紡出糸の引取速度が150〜
    1000m/分である請求項1記載のポリプロピレンマ
    ルチフィラメントの製造方法。
  3. 【請求項3】 引き取られた紡出糸を、周速1000〜
    3500m/分の複数のゴデットローラ間で延伸する請
    求項1又は2記載のポリプロピレンマルチフィラメント
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 3本のゴデットローラを用いて、第1ゴ
    デットローラと第2ゴデットローラとの間、及び 第2
    ゴデットローラと第3ゴデットローラとの間での2段で
    延伸を行い、且つ第3ゴデットローラの周速を第2ゴデ
    ットローラの周速の1.1〜1.4倍とする請求項1〜
    3のいずれか1項に記載のポリプロピレンマルチフィラ
    メントの製造方法。
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Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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