JPH0860176A - 切削液、その製造方法およびインゴットの切断方法 - Google Patents
切削液、その製造方法およびインゴットの切断方法Info
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Abstract
危険性や、被切削材洗浄工程に伴う有機溶剤による大気
汚染問題を解決するとともに、大径のシリコン単結晶等
のインゴットを切断するときのスライス品の反りを低下
させる。 【構成】 ベントナイトの水分散液に、N−メチル−2
−ピロリドンとステアリン酸との反応物と、ベンゾトリ
アゾールとオレイン酸との反応物と、エタノールアミン
とを溶解してなる主成分に砥粒の沈降防止剤、保水性向
上剤、洗浄性向上剤、摩擦係数低下剤、防錆力補助剤、
消泡剤等の補助剤を添加して水溶性切削液とする。
Description
晶、その他化合物半導体やセラミック等のインゴットの
切断用に有効な切削液(水溶性切削液)、その製造方法
およびこの切削液を用いるインゴットの切断方法に関す
る。
断用の切削液としては、主に、鉱物油を主成分とする非
水溶性切削油が用いられており、この切削油にSiC等
の砥粒を混合・分散させた切削剤(スラリー)をインゴ
ットの切断部に供給することにより、インゴットのスラ
イスが行われている。そして、このスライス品は、洗浄
工程を経て次工程に供される。また、インゴットの切断
に用いられた後のスラリーは、廃棄物として処理されて
いる。
切削油等を除去するものであり、従来、洗浄液として有
機溶剤系のもの(例えばトリクロロエタン、塩化メチレ
ン等)が用いられてきた。この有機溶剤系の洗浄液によ
れば、洗浄作業が簡単になる利点がある。
ては外周刃、内周刃、バンドソーまたはワイヤソーが用
いられている。この場合、直径3インチ以上の比較的大
径のインゴットの切断には、ワイヤソーやバンドソーが
多用されるようになっている。その理由は、他の加工具
に比べて、より均一な厚さでインゴットをスライスする
ことができ、切断屑の発生量が少なくてすむだけでな
く、一度に多数枚のウエーハを切断できるからである。
分とする切削油は、引火性のある危険物であり、上記有
機溶剤系の洗浄液は、発ガンや大気汚染(オゾン層の破
壊)の主原因になるため最近、使用が禁止されている。
また、前記スラリーは切断に供された後、廃棄物として
焼却処理されるのが一般的であり、この焼却も大気汚染
の一原因になっている。このため、その代替品の開発が
待たれていた。
は、切断速度の増大とともに得られたスライス品に「反
り」が発生(スライス品の中央部が凸状になる)しやす
くなり、ワイヤーソーの場合では直径6インチのシリコ
ン単結晶インゴットを切断速度1mm/min以上で切
断すると、反りが10μmを超えることがあり、このよ
うな大きな反りは、シリコンウエーハ等を製造加工する
時の障害になると共に、結果として、その歩留りが低下
する原因にもなっている。
り、上記従来の問題点を解決したものである。すなわ
ち、本発明の目的は、従来の非水溶性切削油を用いる場
合における引火の危険性や、被切削材の洗浄工程におけ
る有機溶剤の使用に伴う大気汚染等の諸問題を解決する
とともに、大径のシリコン単結晶インゴット等を切断す
るときのスライス品の反りを低下させることにある。
は、ベントナイトの水分散液にN−メチル−2−ピロリ
ドンと飽和脂肪酸との反応物と、ベンゾトリアゾールと
不飽和脂肪酸との反応物と、アルカノールアミンとを溶
解したものを主成分とすることを特徴とする。
いて前記飽和脂肪酸はステアリン酸であり、前記不飽和
脂肪酸はオレイン酸であることを特徴とする。
は2において、前記主成分と、砥粒の沈降防止剤、保水
性向上剤、洗浄性向上剤、摩擦係数低下剤、防錆力補助
剤および消泡剤からなる群より任意に選ばれた一種また
は複数種の補助剤とからなることを特徴とする。
求項2に記載の切削液を製造するに際し、N−メチル−
2−ピロリドンとステアリン酸を加温下で反応させて得
た原料液(1)と、水にエチレンジアミンテトラ酢酸N
a塩およびベンゾトリアゾールを溶解した後、オレイン
酸を添加し、該水溶液中のベンゾトリアゾールとオレイ
ン酸を加温下で反応させて得た原料液(2)とを用意
し、ベントナイトの水分散液にアルカノールアミンを溶
解し、該溶液に前記原料液(2)を溶解した後、該溶液
にグリコールエーテルと前記原料液(1)とを溶解し、
更にホウ酸およびエチレングリコールを添加して前記原
料液(2)中に残留するベンゾトリアゾールと反応させ
ることを特徴とする。
は、請求項1,2または3に記載の切削液に砥粒を分散
させた分散液を切削剤(スラリー)として用い、ワイヤ
ソーまたはバンドソーによりシリコン単結晶等のインゴ
ットをスライスすることを特徴とする。
種補助剤との組合せにより構成される。 (A)精製水:切削液をイオン化するためのイオン化溶
媒として作用する。 (B)ベントナイト:架橋型の分散剤であり、砥粒の沈
降防止剤として作用する。 (C)アルカノールアミン:この切削液の増粘・防錆剤
として作用、トリエタノールアミンが用いられる。 (D)グリコールエーテル:この切削液の洗浄性向上剤
として作用、トリプロピレングリコールモノメチルエー
テルが用いられる。 (E)飽和脂肪酸:砥粒の分散性向上剤として作用す
る。通常、純度95%以上のステアリン酸が用いられ
る。 (F)不飽和脂肪酸:この切削液の摩擦係数低下剤(潤
滑性向上剤)として作用する。通常、純度90%以上の
オレイン酸が用いられる。 (G)N−メチル−2−ピロリドン:飽和脂肪酸の溶解
を促進するための溶媒として作用する。 (H)ホウ酸:この切削液の防錆力補助剤として作用す
る。 (I)エチレンジアミンテトラ酢酸Na塩:金属イオン
吸着剤(キレート剤)として作用する。2Na〜4Na
塩が使用される。 (J)ベンゾトリアゾール(トリルトリアゾール):こ
の切削液の防錆力補助剤として作用する。 (K)エチレングリコール:この切削液の保水性向上剤
としての外、潤滑性補助剤として作用する。 (L)消泡剤:シリコーン樹脂系のものを使用した。
造される。 原料液(1)の調製(脂肪酸ピロリドンステアレートの
合成):N−メチル−2−ピロリドンに飽和脂肪酸(ス
テアリン酸)を添加し、温度40℃〜50℃に加温し、
かつ攪拌することにより、これらを反応させる。 原料液(2)の調製:精製水にエチレンジアミンテトラ
酢酸Na塩を、次いでベンゾトリアゾール(トリルトリ
アゾール)を溶解し、該水溶液に温度40℃〜50℃に
加温した不飽和脂肪酸(オレイン酸)を添加して、ベン
ゾトリアゾールと不飽和脂肪酸を反応させて原料液
(2)とする。 切削液(1)の調製:精製水にベントナイトを添加して
攪拌・分散させ、アルカノールアミン(トリエタノール
アミン)を常温で溶解し、この溶液に前記原料液(2)
を添加・溶解する。この溶液にグリコールエーテル(ト
リプロピレングリコールモノメチルエーテル)を添加
後、前記原料液(1)を添加・溶解する。更に、この溶
液にホウ酸を添加して前記原料液(2)中に残留するベ
ンゾトリアゾールと反応させる。これにより、切削液
(1)の主成分液が得られる。この主成分液に砥粒の沈
降防止剤、エチレングリコールのような保水性向上剤、
洗浄性向上剤、摩擦係数低下剤、防錆力補助剤および消
泡剤のうちから任意に一種又は複数種を選んで添加・混
合し完成品とする。尚、ホウ酸は原料(2)に、予め添
加しておいてもよい。
従来のものでは表面張力が高くて浸透性に劣るうえ、摩
擦係数が高くて潤滑性が十分でない。また、防錆力も不
足しているだけでなく、液分が蒸発しやすいという欠点
があった。これに対し、本発明の水溶性切削液は、上記
従来のものの欠点を解消し、化学的酸素要求量(CO
D)を低下させるとともに、防錆力低下および粘度低下
をアルカノールアミンで補い、更に架橋型の分散剤とし
てベントナイトを使用することで切削時に混入される砥
粒の沈降防止効果を促進した点に特徴がある。
散させて用いられ、シリコン単結晶または多結晶からな
るインゴットの切断用に特に有効であるが、化合物半導
体あるいはセラミック等々の切断にも広く使用すること
ができる。また、この切削液が用いられる切断装置の典
型例としては、ワイヤソーやバンドソー、これらを多重
化したマルチワイヤソーやマルチバンドソーが含まれ
る。更には外周刃や内周刃の切断装置にも転用が可能で
ある。
切削液(1)の標準的な原料成分およびその組成は、
[表1]に示すとおりであり、該切削液(1)の構成成
分および組成は[表2]のとおりである。
別の切削液(2)の標準的な原料成分およびその組成
は、[表3]に示すとおりであり、該切削液(2)の構
成成分および組成は[表4]のとおりである。
よる比較例について説明する。 実施例1,2および比較例1 実施例1の切削液(1)の構成成分と組成、および実施
例2の切削液(2)の構成成分と組成は、それぞれ[表
5]に示すとおりであり、組成はいずれも重量%であ
る。
と、従来例の非水溶性切削油の物性を示すと、[表6]
のとおりである。
削油と砥粒(SiC砥粒であり、GC♯600、平均砥
粒径19〜20μm)を1.0〜1.5リットル:1.
5kgの割合で混合・分散させたスラリーを用い、線径
が0.18mmのマルチワイヤソーの張力を3.0kg
fとし、シリコン単結晶のインゴットを切断速度1mm
/minで、肉厚0.75mmのスライス品に切断し
た。
(2)を用いた場合、直径8インチのインゴットでは、
スライス品の反り(凸状に変形した中央部と、外周部と
の高さの差の最大値)は100枚の全てが20μm以下
となった。これに対し、比較例1の従来の切削油を用い
た場合、直径8インチのインゴットでは、スライス品の
反りは100枚中、97枚が20μm以下となった。こ
のように、本発明の水溶性切削液によれば、従来の非水
溶性切削油と同等の切断結果を得ることができ、分散性
が向上した分、スラリーの寿命が向上した。
切削液によれば、大径のシリコン単結晶等のインゴット
を、従来の切削油の場合と同等に高速で、かつスライス
品に大きな反りを発生させることなく切断することがで
きる効果がある。また、本発明の切削液は水溶性である
から、引火性による火災の危険性はなく、得られたスラ
イス品に付着する切削液の洗浄を水洗により行うことが
できて好都合である。また、洗浄排水の処理では、既設
の排水設備を利用することが可能であり、切断に供した
スラリーの処理も同様に行うことができるため、従来の
有機溶媒系の洗浄液を用いる場合と異なり大気汚染を引
き起こす心配もなくなるなどの効果がある。
Claims (5)
- 【請求項1】 ベントナイトの水分散液にN−メチル−
2−ピロリドンと飽和脂肪酸との反応物と、ベンゾトリ
アゾールと不飽和脂肪酸との反応物と、アルカノールア
ミンとを溶解したものを主成分とすることを特徴とする
切削液。 - 【請求項2】 前記飽和脂肪酸はステアリン酸であり、
前記不飽和脂肪酸はオレイン酸であることを特徴とする
請求項1に記載の切削液。 - 【請求項3】 前記主成分と、砥粒の沈降防止剤、保水
性向上剤、洗浄性向上剤、摩擦係数低下剤、防錆力補助
剤および消泡剤からなる群より任意に選ばれた一種また
は複数種の補助剤とからなることを特徴とする請求項1
または2に記載の切削液。 - 【請求項4】 請求項2に記載の切削液を製造するに際
し、N−メチル−2−ピロリドンとステアリン酸を加温
下で反応させて得た原料液(1)と、水にエチレンジア
ミンテトラ酢酸Na塩およびベンゾトリアゾールを溶解
した後、オレイン酸を添加し、該水溶液中のベンゾトリ
アゾールとオレイン酸を加温下で反応させて得た原料液
(2)とを用意し、ベントナイトの水分散液にアルカノ
ールアミンを溶解し、該溶液に前記原料液(2)を溶解
した後、該溶液にグリコールエーテルと前記原料液
(1)とを溶解し、更にホウ酸およびエチレングリコー
ルを添加して前記原料液(2)中に残留するベンゾトリ
アゾールと反応させることを特徴とする切削液の製造方
法。 - 【請求項5】 請求項1,2または3に記載の切削液に
砥粒を分散させた分散液を切削剤(スラリー)として用
い、ワイヤソーまたはバンドソーによりシリコン単結晶
等のインゴットをスライスすることを特徴とするインゴ
ットの切断方法。
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JP22423994A JP3572104B2 (ja) | 1994-08-25 | 1994-08-25 | 切削液、その製造方法およびインゴットの切断方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH0860176A true JPH0860176A (ja) | 1996-03-05 |
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- 1994-08-25 JP JP22423994A patent/JP3572104B2/ja not_active Expired - Fee Related
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