JPH0856020A - 熱電材料および熱電素子 - Google Patents

熱電材料および熱電素子

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JPH0856020A
JPH0856020A JP7139587A JP13958795A JPH0856020A JP H0856020 A JPH0856020 A JP H0856020A JP 7139587 A JP7139587 A JP 7139587A JP 13958795 A JP13958795 A JP 13958795A JP H0856020 A JPH0856020 A JP H0856020A
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JP
Japan
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thermoelectric material
metal
thermoelectric
type
silicide
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Application number
JP7139587A
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English (en)
Inventor
Kazuhiko Shinohara
原 和 彦 篠
Masakazu Kobayashi
林 正 和 小
Keiko Kushibiki
引 圭 子 櫛
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温での熱電特性に優れ、また、高温で十分
な耐熱性を有する熱電材料を提供する。 【構成】 シリコンゲルマニウム化合物を主成分とし且
つシリコンゲルマニウム化合物が化学式Si1−xGe
(0<x<1)で代表される熱電材料にp型ドーパン
トまたはn型ドーパントを含有させた熱電材料におい
て、B,Al,Gaのうちから選ばれるp型ドーパント
を含有させると共に、P,As,Sbのうちから選ばれ
るn型ドーパントを含有させ、Fe,Niまたはその硅
化物を含有させたp型熱電材料およびCr,Zrまたは
その硅化物を含有させたn型熱電材料、ならびにp型熱
電材料5aと、n型熱電材料5bとをp−n接合するか
または高温電極を介してp−n接合した熱電素子1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゼーベック効果による
熱電発電や、ペルチェ効果による電子冷凍等のいわゆる
熱電変換(可動部の無いエネルギーの直接変換)に利用
される熱電材料および熱電素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱電発電や電子冷凍等の熱電変換におけ
る熱電効果としては、ゼーベック効果,ペルチェ効果,
トムソン効果などがあり、ゼーベック効果は、異種導体
または半導体p,nを接合して一方の接合部を高温にし
かつ他方の接合部を低温にすると、温度差に応じた熱起
電力が発生する現象を言い、また、ペルチェ効果は、異
種導体または半導体p,nを接合して電流を流すと、一
方の接合部では熱を吸収し、かつ他方の接合部では熱を
発生する現象を言い、トムソン効果は、均一な導体また
は半導体の一方を高温にしかつ他方を低温にして温度勾
配に沿って直流電流を流すと電流の方向によって材料内
部で熱の吸収または放出が起きる現象を言っており、振
動,騒音,摩耗等を生じる可動部分が全く無く、構造が
簡単で信頼性が高く、高寿命で保守が容易であるという
特長を持った簡略化されたエネルギー直接変換装置によ
り、例えば、各種化石燃料等の燃焼によって直接的に直
流電力を得たり、冷媒を用いないで温度制御したりする
のに適している。
【0003】ところで、熱電素子を熱電発電などに用い
る場合、熱電材料として高い性能指数(z=2×10
−3[1/K]以上)を有し、使用環境下で長期間安定
に作動することが望まれる。そして特に、300℃上の
高温での耐熱性があることが必要である。
【0004】従来、このような熱電材料としては、Bi
Te,BiSbTe15,BiTeSe,P
bTe等のテルル系化合物や、CrSi,MnSi
1.7 ,FeSi,CoSi等やそれらの混合物
等のシリサイド系材料、さらにはSiGe等が用いられ
てきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Bi−
Te系に代表されるようなテルル系化合物よりなる熱電
材料は、熱電特性の指標となる性能指数zが室温付近で
約2×10−3[1/K]と比較的大きいものの、30
0℃以上では特性が低下し、使用温度が著しく制限され
るという問題点がある。また、材料組成にテルルやセレ
ン等の揮発成分を含むため、融点が低く化学的安定性に
も欠け、さらに、製造過程が複雑となるため、組成変動
による特性のばらつきが発生しやすいという問題点があ
る。
【0006】これに比べてシリコンゲルマニウム系材料
は、化学的に安定で、300℃以上での温度領域でも使
用可能であるが、しかし、熱電特性はテルル系化合物に
くらべ性能指数zで最大でも1×10−3[1/K]程
度と低く、テルル系化合物に匹敵するような十分な熱電
特性が得られていなかった。
【0007】そのため、300℃以上の高温で十分な耐
熱性があり、しかも高温での熱電特性に優れている高温
用熱電材料の開発が望まれているという課題があった。
【0008】
【発明の目的】本発明は、このような従来の課題にかん
がみてなされたものであり、とくに、高温での熱電特性
に優れ、また、高温で十分な耐熱性を有する熱電材料お
よびこれを用いた熱電素子を提供することを目的として
いる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる熱電材料
は、請求項1に記載しているように、シリコンゲルマニ
ウム化合物を主成分とし且つシリコンゲルマニウム化合
物の化学式がSi1− Ge(0<x<1)で代表さ
れる熱電材料にp型ドーパントを含有させた熱電材料に
おいて、金属またはその硅化物を含有させた構成とした
ことを特徴としており、このような熱電材料に係わる発
明の構成をもって前述した従来の課題を解決するための
手段としている。
【0010】そして、本発明に係わる熱電材料の一実施
態様においては、請求項2に記載しているように、金属
またはその硅化物の含有量が、0.01原子%以上5原
子%以下であるものとすることができ、同じく実施態様
において、請求項3に記載しているように、金属または
その硅化物における金属が、Feであるものとすること
ができ、請求項4に記載しているように、金属またはそ
の硅化物における金属が、Niであるものとすることが
でき、同じく実施態様において、請求項5に記載してい
るように、p型ドーパントは、B,Al,Gaのうちか
ら選ばれるものとすることができ、同じく実施態様にお
いて、請求項6に記載しているように、p型ドーパント
は、最終状態のキャリア濃度で1×1018cm−3
ら1×1021cm−3までの範囲であるものとするこ
とができる。
【0011】また、同じ目的を達成する本発明に係わる
熱電材料は、請求項7に記載しているように、シリコン
ゲルマニウム化合物を主成分とし且つシリコンゲルマニ
ウム化合物の化学式がSi1−xGe(0<x<1)
で代表される熱電材料にn型ドーパントを含有させた熱
電材料において、金属またはその硅化物を含有させた構
成としたことを特徴としており、このような熱電材料に
係わる発明の構成をもって前述した従来の課題を解決す
るための手段としている。
【0012】そして、上記発明に係わる熱電材料の一実
施態様においては、請求項8に記載しているように、金
属またはその硅化物の含有量が、0.01原子%以上5
原子%以下であるものとすることができ、同じく実施態
様において、請求項9に記載しているように、金属また
はその硅化物における金属が、Crであるものとするこ
とができ、請求項10に記載しているように、金属また
はその硅化物における金属が、Zrであるものとするこ
とができ、同じく実施態様において、請求項11に記載
しているように、n型ドーパントは、P,As,Sbの
うちから選ばれるものとすることができ、同じく実施態
様において、請求項12に記載しているように、n型ド
ーパントは、最終状態のキャリア濃度で1×1018
−3から1×1021cm−3までの範囲であるもの
とすることができる。
【0013】また、本発明に係わる熱電素子は、請求項
13に記載しているように請求項1ないし6のいずれか
に記載のp型熱電材料と、適宜のn型熱電材料とを、あ
るいは請求項14に記載しているように、請求項7ない
し12のいずれかに記載のn型熱電材料と、適宜のp型
熱電材料(請求項1ないし6のいずれかに記載のp型熱
電材料を含む。)とを、p−n接合するかまたは高温電
極を介してp−n接合してなる構成としたことを特徴と
している。
【0014】この種の熱電材料において、その性能は性
能指数zで表わされ、z=Sσ/κの関係がある。こ
こで、Sはゼーベック係数、σは電気伝導度、κは熱伝
導度である。
【0015】本発明に係わる熱電材料は、シリコンゲル
マニウム化合物を主成分とした熱電材料であるが、ゼー
ベック係数および電気伝導度をともに向上させるか、熱
伝導度を小さくさせることにより、この熱電材料の性能
向上が図れる。一般には、この熱電材料にGaP等の成
分を少量加えることによって、熱伝導度を小さく抑えて
性能指数zの向上を目指している(例えば、「新素材ハ
ンドブック」平成元年5月30日 丸善株式会社発行
第539頁〜第546頁 『34・2 熱電変換材
料』)。
【0016】一方、本発明では、(ゼーベック係数)
と電気伝導度の積である電力因子を向上させることに主
眼点を置いており、このような特性を得る目的で上述の
様な添加物を加えることとしている。
【0017】一般の半導体の場合、電気伝導度とゼーベ
ック係数は相反する性質を持っており、電気伝導度が増
加するとゼーベック係数が低下する。また、電気伝導度
が増加すると熱伝導度も増加してしまう。この電気伝導
度の制御は、半導体中のキャリア濃度で制御することが
一般的に行なわれ、電力因子または性能指数が最大とな
るようにキャリア濃度量を設定する。
【0018】そして、本発明に係わる熱電材料は、シリ
コンゲルマニウム化合物を主成分とし、前記シリコンゲ
ルマニウム化合物の化学式がSi1−xGe(0<x
<1)で代表される熱電材料にp型ドーパントまたはn
型ドーパントを含有させた熱電材料において、金属また
はその硅化物を含有させたものとしたことを特徴として
いる。
【0019】本発明に係わる熱電材料では、このような
金属またはその硅化物の相を半導体粒同士の粒界に設け
たことにより、その粒界にエネルギー障壁が形成され
る。このエネルギー障壁は、ゼーベック係数の向上を電
気伝導度の低下無しに実現している。
【0020】このような金属またはその硅化物は、半導
体の内部にエネルギー障壁を作るが、この障壁が低すぎ
ると、単なる金属と半導体との混合物となってしまい、
熱電特性の大きな向上は期待できない。
【0021】これに対し、特定の金属またはその硅化
物、とくに望ましくはFe,Ni,Cr,Zrまたはそ
の硅化物は、半導体内部に必要かつ十分なエネルギー障
壁を作りだすことができ、熱電特性の大きな向上が可能
となる。
【0022】そして、金属またはその硅化物の量は0.
01原子%以上5原子%以下であるようにすることが望
ましく、0.01原子%未満の場合に、添加の効果が十
分でなく、また、5原子%を超えると金属相が部分的に
つながり始め、金属相の性質が主になってしまうため熱
電特性の低下につながってしまう。よって、金属または
その硅化物の量は0.01原子%から5原子%までの範
囲とするのが適当である。
【0023】また、最終状態のキャリアの濃度は使用温
度範囲によって1×1018cm から1×1021
cm−3までの程度とするのが適切である。このような
効果は、上記金属に限ったものではなく、他の金属でも
実現可能である。そして、これらの条件としては、半導
体内部に必要かつ十分なエネルギー障壁を作りだすこと
であり、これを満足する添加物としては、B,Al,G
a等のp型ドーパントを添加したp型に対しては、上記
Fe,Niのほか、Cr,Hf,Mo,Pb,Ta,T
i,Zrのうちから選ばれる金属およびその硅化物が使
用され、P,As,Sb等のn型ドーパントを添加した
n型の場合、その添加物は、上記Cr,Zrのほか、A
u,Co,Cu,Ir,Ni,Mn,Mo,Pd,P
t,Rh,Ta,Ti,Wのうちから選ばれる金属また
はその硅化物が有効である。
【0024】本発明に係わる熱電材料を用いて熱電素子
を作製するに際しては、例えば、SiとGeのインゴッ
トさらには伝導キャリア用不純物の粉末を出発原料とし
て用い、所定量を秤量して混合したのち、溶解混合を1
380℃前後で行なう。この温度は、シリコンとゲルマ
ニウムの組成比により異なり、ここでは、Si:Ge=
4:1程度とした場合を例にしている。この場合の溶製
は、一般に行なわれている溶融体作製工程で容易に溶製
可能なものである。
【0025】この溶製ののち、粉砕して粒径を4〜6μ
m程度にする。このとき、粒径は細かいほうが、熱伝導
度を抑える効果がでる。そして、材料の均質化を図るた
め、この状態で再度溶融、圧粉+焼結、またはホットプ
レス焼結によりバルク体とし、その後粉砕して先に示し
た程度の粒径とする。また、さらにGaPを添加する場
合はここで所定量混合する。GaPの粒径は任意である
が、偏析を避けるために、SiGeの粒径と同程度かそ
れ以下とすることが望ましい。また、熱伝導度を抑える
ためのGaPの量は2原子%程度か、それ以下が望まし
い。
【0026】ここで、特定の金属またはその硅化物、と
くに望ましくはFe,Ni,Cr,Zrまたはその硅化
物を含有させる。原料の形態は金属元素そのままでも、
その硅化物でも構わない。金属元素をそのまま入れた場
合も、その後の熱処理により、仕込み量のほとんどの金
属が硅化物に変化してしまう。この金属またはその硅化
物の粒径は、GaPを混合させる場合と同様に原料粉と
同等かそれ以下が望ましい。
【0027】ここで得られた原料粉を不活性ガス中、真
空中、あるいは還元雰囲気中でホットプレスまたは圧粉
後常圧焼結によりバルク体を得る。
【0028】このようにして得られた熱電素子の模式図
を図1に示す。図1に示す薄膜熱電素子1において、2
は吸熱部基板、3は放熱部基板、4は電力取り出し電
極、5aは本発明例によるp型熱電材料、5bは本発明
例によるn型熱電材料、6は電極部である。また、本発
明のp型熱電材料とn型熱電材料とを高温電極を介して
p−n接合することもでき、この場合、高温電極として
は、例えば,Mo,Si−Ge,Si等が用いられる。
【0029】
【発明の作用】本発明に係わる熱電材料は、請求項1に
記載しているように、シリコンゲルマニウム化合物を主
成分とし、前記シリコンゲルマニウム化合物の化学式が
Si −xGe(0<x<1)で代表される熱電材料
にp型ドーパントを含有させた熱電材料において、金属
またはその硅化物を含有させた構成としていることによ
り、特に、300℃以上での熱電特性に優れ、高温で十
分な耐熱性を有する熱電材料となる。そして、請求項2
に記載しているように、金属またはその硅化物の含有量
が、0.01原子%以上5原子%以下であるものとする
ことによって、性能指数zのより一層の向上がもたらさ
れることとなる。
【0030】また、このp型熱電材料において含有させ
る金属またはその硅化物における金属が、請求項3に記
載しているように、Feであるものとしたり、請求項4
に記載しているようにNiであるものとしたりすること
によって、p型熱電材料の性能指数zの向上がはかられ
ることになって、特に、300℃以上での熱電特性に優
れ、高温で十分な耐熱性を有するp型熱電材料となり、
請求項5に記載しているように、p型ドーパントは、
B,Al,Gaのうちから選ばれるものとし、請求項6
に記載しているように、このp型ドーパントは、最終状
態のキャリア濃度で1×1018cm−3から1×10
21cm−3までの範囲であるものとすることによっ
て、p型熱電材料の性能指数zがより一層向上したもの
となる。
【0031】さらにまた、本発明に係わる熱電材料は、
請求項7に記載しているように、シリコンゲルマニウム
化合物を主成分とし、前記シリコンゲルマニウム化合物
の化学式がSi1−xGe(0<x<1)で代表され
る熱電材料にn型ドーパントを含有させた熱電材料にお
いて、金属またはその硅化物を含有させた構成としてい
ることにより、特に、300℃以上での熱電特性に優
れ、高温で十分な耐熱性を有する熱電材料となる。そし
て、請求項8に記載しているように、金属またはその硅
化物の含有量が、0.01原子%以上5原子%以下であ
るものとすることによって、性能指数zのより一層の向
上がもたらされることとなる。
【0032】また、このn型熱電材料において含有させ
る金属またはその硅化物における金属が、請求項9に記
載しているように、Crであるものとしたり、請求項1
0に記載しているようにZrであるものとしたりするこ
とによって、n型熱電材料の性能指数zの向上がはから
れることになって、特に、300℃以上での熱電特性に
優れ、高温で十分な耐熱性を有するn型熱電材料とな
り、請求項11に記載しているように、n型ドーパント
は、P,As,Sbのうちから選ばれるものとし、請求
項12に記載しているように、このn型ドーパントは、
最終状態のキャリア濃度で1×1018cm−3から1
×1021cm−3までの範囲であるものとすることに
よって、n型熱電材料の性能指数zがより一層向上した
ものとなる。
【0033】
【実施例】実施例1 SiとGeのインゴットさらには伝導キャリア用不純物
(p型ドーパントであるB,Al,Ga)の粉末を出発
原料として用い、所定量を秤量して混合したのち、溶解
混合を1380℃で行なった。この温度は、この実施例
においてSi:Ge=4:1としていることにより選定
した温度である。
【0034】この溶製を行ったのち、粉砕を行なって粒
径を4〜6μmとし、再度溶融および焼結することによ
ってバルク体とし、再度粉砕を行なって粒径を4〜6μ
mとした。
【0035】次に、添加材料としてFeを添加して得た
原料粉をアルゴンガス中で焼結することによってバルク
体を得たあと、図1に示したような構造の熱電材料5
a,5bを用いた熱電素子1を作製した。
【0036】そして、本発明実施例において得た各種の
熱電材料のうち、キャリア濃度が1×1019cm−3
のBをp型ドーパントとして含有し、2原子%のFeを
含有するp型熱電材料で得られた性能指数の温度依存性
を調べたところ図2に示す結果であった。また、比較の
ため、同様のドーパント量でFeを含まない熱電材料で
得られた性能指数を調べたところ、同じく図2に示す結
果であった。
【0037】さらに、Feを含有する熱電材料について
600℃での性能指数のFe含有量依存性について調べ
たところ、図3に示す結果であった。
【0038】この図2および図3より明らかなように、
一定量のBをp型ドーパントとして含有するシリコンゲ
ルマニウム化合物においてFeを添加することによって
熱電特性が向上していくことが明らかである。そして、
その量についてこの実施例では、明確な特性の向上が得
られる0.05原子%から5.0原子%までの範囲が適
量といえる。
【0039】続いて、伝導制御用のキャリアの種類と濃
度を変えた場合の性能指数の600℃における結果を、
p型ドーパントとしてB,Al,Gaを添加しかつ金属
としてFeを1.0原子%含有させた場合について調べ
たところ、表1に示すように、ドーパントの種類を変え
ても明らかに特性が向上していることが認められた。ま
た、キャリアの濃度が1×1018cm−3以上となる
と特性の向上が顕著になり、1×1021cm−3を超
えると効果が減少することが認められた。
【0040】
【表1】
【0041】従って、図2および図3に示した結果より
また、また、FeのほかFeと同様にしてNiを添加し
た場合を示した図6の結果より、FeやNiを含有させ
ることによって性能指数がFeやNiを含まない場合に
比較して著しく向上することが明らかであり、熱電特性
がより一層向上した熱電材料が提供できる。
【0042】また、本発明による熱電材料は、シリコン
ゲルマニウム化合物の結晶構造を基本としており、耐熱
性、成型性に優れた材料である。そして、この添加物を
加えるための新たな工程を必要とせず、従来の同一の工
程での熱電材料ないしは熱電素子の作製が可能である。
【0043】実施例2 SiとGeのインゴットさらには伝導キャリア用不純物
(n型ドーパントであるP,As,Sb)の粉末を出発
原料として用い、所定量を秤量して混合したのち、溶解
混合を1380℃で行なった。この温度は、この実施例
においてSi:Ge=4:1としていることにより選定
した温度である。
【0044】この溶製を行ったのち、粉砕を行なって粒
径を4〜6μmとし、再度溶融および焼結することによ
ってバルク体とし、再度粉砕を行なって粒径を4〜6μ
mとした。
【0045】次に、添加材料としてCrを添加して得た
原料粉をアルゴンガス中で焼結することによってバルク
体を得たあと、図1に示したような構造の熱電材料5
a,5bを用いた熱電素子1を作製した。
【0046】そして、本発明実施例において得た各種の
熱電材料のうち、キャリア濃度が1×1019cm−3
のPをn型ドーパントとして含有し、2原子%のCrを
含有するn型熱電材料で得られた性能指数の温度依存性
を調べたところ図4に示す結果であった。また、比較の
ため、同様のドーパント量でCrを含まない熱電材料で
得られた性能指数を調べたところ、同じく図4に示す結
果であった。
【0047】さらに、Crを含有する熱電材料について
600℃での性能指数のCr含有量依存性について調べ
たところ、図5に示す結果であった。
【0048】この図4および図5より明らかなように、
一定量のPをn型ドーパントとして含有するシリコンゲ
ルマニウム化合物においてCrを添加することによって
熱電特性が向上していくことが明らかである。そして、
その量についてこの実施例では、明確な特性の向上が得
られる0.05原子%から5.0原子%までの範囲が適
量といえる。
【0049】続いて、伝導制御用のキャリアの種類と濃
度を変えた場合の性能指数の600℃における結果を、
n型ドーパントとしてP,As,Sbを添加しかつ金属
としてCrを1.0原子%含有させた場合について調べ
たところ、表2に示すように、ドーパントの種類を変え
ても明らかに特性が向上していることが認められた。ま
た、キャリアの濃度が1×1018cm−3以上となる
と特性の向上が顕著になり、1×1021cm−3を超
えると効果が減少することが認められた。
【0050】
【表2】
【0051】従って、図4および図5に示した結果よ
り、また、CrのほかCrと同様にしてZrを添加した
場合を示した図6の結果より、CrやZrを含有させる
ことによって性能指数がCrやZrを含まない場合に比
較して著しく向上することが明らかであり、熱電特性が
より一層向上した熱電材料が提供できる。
【0052】また、本発明による熱電材料は、シリコン
ゲルマニウム化合物の結晶構造を基本としており、耐熱
性、成型性に優れた材料である。そして、この添加物を
加えるための新たな工程を必要とせず、従来の同一の工
程での熱電材料ないしは熱電素子の作製が可能である。
【0053】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明に係わ
る熱電材料は、請求項1および7に記載しているよう
に、シリコンゲルマニウム半導体において、金属または
その硅化物を含有させた構成としたから、従来知られて
いたシリコンゲルマニウム化合物熱電材料の持つ熱電特
性をより一層向上させることが可能であると共に高温で
十分に使用可能な優れた耐熱性を有する熱電材料を提供
することが可能であり、これを例えば熱電発電に用いた
場合には外部負荷において、より大きな電力を取り出す
ことが可能になるという著しく優れた効果がもたらさ
れ、請求項2および8に記載しているように、金属また
はその硅化物の含有量が、0.01原子%以上5原子%
以下であるものとすることによって、性能指数zのより
一層の向上が可能になるという著しく優れた効果がもた
らされる。
【0054】また、請求項3,4に記載しているよう
に、p型熱電材料において含有させる金属またはその硅
化物における金属が、Fe,Niであるものとすること
によって、あるいは、請求項9,10に記載しているよ
うにn型熱電材料において含有させる金属またはその硅
化物における金属が、Cr,Zrであるものとすること
によって、p型熱電材料およびn型熱電材料の性能指数
zの向上が実現されることになって、特に、300℃以
上での熱電特性に優れ、高温で十分な耐熱性を有するp
型熱電材料およびn型熱電材料とすることが可能であ
り、また、請求項5に記載しているように、p型ドーパ
ントは、B,Al,Gaのうちから選ばれるものとし、
請求項11に記載しているように、n型ドーパントは、
P,As,Sbのうちから選ばれるものとし、このp型
ドーパントおよびn型ドーパントは、請求項6,12に
記載しているように、最終状態のキャリア濃度で1×1
18cm−3から1×1021cm−3までの範囲で
あるものとすることによって、p型熱電材料およびn型
熱電材料の性能指数zをより一層向上させることができ
るという著しく優れた効果がもたらされる。
【0055】そして、請求項13,14に記載している
ように、上記p型熱電材料とn型熱電材料とをp−n接
合した熱電素子とすれば、発電効率が著しく向上すると
ともに、高い耐熱性素子となる。また、上記p型熱電材
料とn型熱電材料とを高温電極を介してp−n接合した
素子とすることによっても、発熱効率は著しく向上し、
高耐熱性素子とすることができるという優れた効果がも
たらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による熱電材料を用いた熱電素子の基本
構成を示す斜面説明図である。
【図2】キャリア濃度が1×1019cm−3のBをp
型ドーパントとして含有しかつ2原子%のFeを含有す
るp型熱電材料で得られた性能指数の温度依存性をFe
を含有しない場合と比較して調べた結果を示すグラフで
ある。
【図3】Feを含有する熱電材料について600℃での
性能指数のFe含有量依存性について調べた結果を示す
グラフである。
【図4】キャリア濃度が1×1019cm−3のPをn
型ドーパントとして含有しかつ2原子%のCrを含有す
るn型熱電材料で得られた性能指数の温度依存性をCr
を含有しない場合と比較して調べた結果を示すグラフで
ある。
【図5】Crを含有する熱電材料について600℃での
性能指数のCr含有量依存性について調べた結果を示す
グラフである。
【図6】金属(Fe,Ni,Zr,Cr)添加による性
能指数の向上を示すグラフである。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコンゲルマニウム化合物を主成分と
    し且つシリコンゲルマニウム化合物が化学式Si1−x
    Ge(0<x<1)で代表される熱電材料にp型ドー
    パントを含有させた熱電材料において、金属またはその
    硅化物を含有させたことを特徴とする熱電材料。
  2. 【請求項2】 金属またはその硅化物の含有量が、0.
    01原子%以上5原子%以下であることを特徴とする請
    求項1に記載の熱電材料。
  3. 【請求項3】 金属またはその硅化物における金属が、
    Feであることを特徴とする請求項1または2に記載の
    熱電材料。
  4. 【請求項4】 金属またはその硅化物における金属が、
    Niであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれ
    かに記載の熱電材料。
  5. 【請求項5】 p型ドーパントは、B,Al,Gaのう
    ちから選ばれることを特徴とする請求項1ないし4のい
    ずれかに記載の熱電材料。
  6. 【請求項6】 p型ドーパントは、最終状態のキャリア
    濃度で1×1018cm−3から1×1021cm−3
    までの範囲であることを特徴とする請求項1ないし5の
    いずれかに記載の熱電材料。
  7. 【請求項7】 シリコンゲルマニウム化合物を主成分と
    し且つシリコンゲルマニウム化合物が化学式Si1−x
    Ge(0<x<1)で代表される熱電材料にn型ドー
    パントを含有させた熱電材料において、金属またはその
    硅化物を含有させたことを特徴とする熱電材料。
  8. 【請求項8】 金属またはその硅化物の含有量が、0.
    01原子%以上5原子%以下であることを特徴とする請
    求項7に記載の熱電材料。
  9. 【請求項9】 金属またはその硅化物における金属が、
    Crであることを特徴とする請求項7または8に記載の
    熱電材料。
  10. 【請求項10】 金属またはその硅化物における金属
    が、Zrであることを特徴とする請求項7ないし9のい
    ずれかに記載の熱電材料。
  11. 【請求項11】 n型ドーパントは、P,As,Sbの
    うちから選ばれることを特徴とする請求項7ないし10
    のいずれかに記載の熱電材料。
  12. 【請求項12】 n型ドーパントは、最終状態のキャリ
    ア濃度で1×10 cm−3から1×1021cm
    −3までの範囲であることを特徴とする請求項7ないし
    11のいずれかに記載の熱電材料。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし6のいずれかに記載の
    p型熱電材料と、n型熱電材料とをp−n接合するかま
    たは高温電極を介してp−n接合したことを特徴とする
    熱電素子。
  14. 【請求項14】 請求項7ないし12のいずれかに記載
    のn型熱電材料と、p型熱電材料とをp−n接合するか
    または高温電極を介してp−n接合したことを特徴とす
    る熱電素子。
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