JPH0853734A - 大入熱溶接熱影響部靭性の優れた溶接用鋼材の製造方法 - Google Patents

大入熱溶接熱影響部靭性の優れた溶接用鋼材の製造方法

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JPH0853734A
JPH0853734A JP18843594A JP18843594A JPH0853734A JP H0853734 A JPH0853734 A JP H0853734A JP 18843594 A JP18843594 A JP 18843594A JP 18843594 A JP18843594 A JP 18843594A JP H0853734 A JPH0853734 A JP H0853734A
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steel
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JP18843594A
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Masanori Minagawa
皆川昌紀
Akira Ito
昭 伊藤
Tadashi Ishikawa
忠 石川
Toshiaki Haji
土師利昭
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大入熱溶接法を適用した、低温で使用する、
船舶、海洋構造、貯蔵槽等の破損に対する厳しい靭性要
求を満足する溶接用鋼材の製造方法を提供する。 【構成】 基本成分をC:0.03〜0.18%、S
i:≦0.50%、Mn:0.40〜2.0%、P:≦
0.035%、S:0.0010〜0.0080%、
N:0.0020〜0.0060とし、残部がFeおよ
び不可避不純物からなる溶鋼で、脱酸処理を行なう前の
Si量[%Si]で溶存酸素量[%O]が20〜100
ppmになるように調整し、最終含有量が0.005〜
0.030%となるTiを添加して脱酸した後、5分以
内に最終含有量が0.005〜0.030%となるAl
を添加し、その後最終成分に対して不足する分のSi、
Mn等を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、船舶、海洋構造物、貯
蔵槽、中高層ビル等に使用される溶接熱影響部(以下H
AZと称す)の靭性に優れた溶接用鋼材の製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、船舶、海洋構造物、貯蔵槽、中高
層ビル等の大型構造物に使用される溶接用鋼材の材質特
性に対する要望は厳しさを増しており、鋼材自身の靭性
と同様に、HAZの靭性への要求も厳しさを増してい
る。また、溶接方法の変革とともに大入熱溶接の適用が
進められている。
【0003】例えば、−50℃の液化ガスを貯蔵するタ
ンク用鋼材に対するHAZ靭性の要求値として、−50
℃でのCTOD値や、CTOD特性とシャルピー特性と
の差異を考慮して、−80℃におけるシャルピーHAZ
靭性を要求されることがある。
【0004】また北極海で使用される海洋構造物や砕氷
船等でも、−60℃での使用環境での靭性保証が要求さ
れつつある。近年、開発が計画されているサハリン沖の
石油・天然ガス開発プロジェクトではさらに要求は厳し
くなり、シャルピー試験で−80℃での靭性保証および
CTOD(Crack Tip Opening Di
splacement)試験で−50℃での靭性保証が
要求されている。
【0005】さらにそのような構造物を建造する際、溶
接の効率化を促進するため、フラックス−銅バッキング
溶接に代表される片面1パス溶接法のような大入熱溶接
法の適用が希望されている。
【0006】従来、CTOD特性の要求は小中入熱溶接
を適用した部分に限られていたため、CTOD特性を向
上させる方法は、例えば、特公平4−14179号公報
や特開平4−116135号公報に開示されるように成
分を規制することによってCTOD特性を支配している
島状マルテンサイトの生成状態を制御するだけで充分で
あった。ところが、近年では大入熱溶接の適用が進めら
れており、その場合島状マルテンサイトを制御するだけ
では不十分である。
【0007】これを受け、大入熱溶接時の鋼材のHAZ
靭性に注目した提案は従来から数多くある。
【0008】例えば、特公昭55−26164号公報等
に開示されるように、微細なTiNを鋼中に確保するこ
とによって、HAZのオーステナイト粒を小さくし、靭
性を向上させる方法がある。また、特開平3−2646
14号公報ではTiNとMnSとの複合析出物をフェラ
イトの変態核として活用し、HAZの靭性を向上させる
方法が提案されている。
【0009】しかしながら、TiNは、HAZのうち最
高到達温度が1400℃を超える溶接金属との境界(溶
接ボンド部と称する)近傍ではほとんど固溶してしまう
ので靭性劣化抑制効果が低下してしまうという問題があ
り、近年の厳しい鋼材特性への要求を達成することが困
難である。
【0010】この溶接ボンド部近傍の靭性を改善する方
法として、Ti酸化物を含有した鋼が厚板、形鋼などの
様々な分野で使用されている。例えば厚板分野では特開
昭61−79745号公報に例示されているように、T
i酸化物を含有した鋼が大入熱溶接部靭性向上に非常に
有効であり、低温靭性を要求される高張力鋼への適用が
有望である。この原理は、Ti酸化物およびそれを核と
して析出するTiN、MnS等の析出物を核として微細
フェライトが生成し、その結果靭性に有害な粗大フェラ
イトの生成が抑制され、靭性の劣化が防止できるという
ものである。このようなTi酸化物の鋼中への分散方法
としては、Al等の強脱酸元素を実質的に含まない溶鋼
中へのTi添加によるものが主流である。しかしなが
ら、単に溶鋼中にTiを添加するだけでは鋼中のTi酸
化物の個数、分散度を制御することは困難であり、さら
には、TiN、MnS等の析出物の個数、分散度を制御
することも困難である。その結果、Ti脱酸のみによっ
てTi酸化物を分散させた鋼においては、例えば、Ti
酸化物の個数が充分でなかったり、厚板の板厚方向の靭
性変動を生じる等の問題点が認められる。
【0011】また、特開平4−9448号公報に例示さ
れているように、Ti添加後タンディッシュや鋳型内に
Alを添加する方法も考案されている。しかしながら、
この方法はAlNを有効に生成させるための方法であ
り、Ti酸化物さらにはTiN、MnS等の析出物を鋼
中に分散させるための方法ではない。またAlをタンデ
ィッシュで添加するなど、TiとAlとの添加間隔が長
くなれば、酸化物生成におよぼすAlの効果は得られな
い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】特開昭61−7974
5号公報等の従来手法より一層のTi酸化物の均一微細
分散方法を確立することにより、さらに特性を向上させ
られる余地がある。本発明者らは従来のTi脱酸法に加
え、さらにAlを添加することでTi酸化物の代替えと
してTi−Al複合酸化物およびTiN、MnS等の析
出物を均一分散する方法を課題とした。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決するために、脱酸処理を行なう前のSi量[%S
i]を、下記(1)式により求められる溶存酸素量[%
O]が20〜100ppmになるように調整した溶鋼中
に、最終含有量が0.005〜0.030%となるTi
を添加して脱酸した後、5分以内に最終含有量が0.0
05〜0.030%となるAlを添加し、その後最終成
分に対して不足する分のSi、Mn等を添加し、Siを
含むその他の成分組成が重量%で、 C :0.03〜0.18% Si:≦0.50% Mn:0.40〜2.0% P :≦0.035% S :0.0010〜0.0080% N :0.0020〜0.0060%を含有し、残部が
Feおよび不可避不純物からなる溶鋼を鋳造して得られ
た950℃以下の鋳片について、1200℃以上140
0℃以下の温度にて10分以上保持した後、鋳片を圧延
することを特徴とする大入熱溶接熱影響部靭性の優れた
溶接用鋼材の製造方法を第1手段とし、 [%O]=0.00092/[%Si]0.5 ・・・・・・ (1)式 脱酸処理を行なう前のSi量[%Si]を、下記(1)
式により求められる溶存酸素量[%O]が20〜100
ppmになるように調整した溶鋼中に、最終含有量が
0.005〜0.030%となるTiを添加して脱酸し
た後、5分以内に最終含有量が0.005〜0.030
%となるAlを添加し、その後最終成分に対して不足す
る分のSi、Mn等を添加し、Siを含むその他の成分
組成が重量%で、 C :0.03〜0.18% Si:≦0.50% Mn:0.40〜2.0% P :≦0.035% S :0.0010〜0.0080% N :0.0020〜0.0060%を基本成分とし、
さらに Cu:≦1.0% Ni:3.8% Nb:≦0.050% V :≦0.1% Cr:≦0.6% Mo:≦0.6% B :0.0002〜0.0020%の1種または2種
以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる
溶鋼を鋳造して得られた950℃以下の鋳片について、
1200℃以上1400℃以下の温度にて10分以上保
持した後、鋳片を圧延することを特徴とする大入熱溶接
熱影響部靭性の優れた溶接用鋼材の製造方法を第2の手
段とする。
【0014】 [%O]=0.00092/[%Si]0.5 ・・・・・・ (1)式
【0015】
【作用】以下、本発明について詳細に説明する。まず、
本発明者らはTi−Al複合酸化物およびTiN、Mn
S等の析出物を効果的に多数均一微細分散するため、種
々の脱酸元素を用いて、種々の順序による脱酸実験を試
みた。その結果、脱酸処理を行なう前の、Tiよりも脱
酸力の弱い元素であるSiの量を調整して、Si量と平
衡する溶存酸素量を20〜100ppmに調整した溶鋼
中に、最終含有量が0.005〜0.030%となるT
iを添加して脱酸した後、5分以内に最終含有量が0.
005〜0.030%となるAlを添加する方法が最も
多数Ti−Al複合酸化物およびTiN、MnS等の析
出物が均一微細分散し、得られた鋼材を大入熱溶接した
とき、HAZ部の靭性が非常に優れた溶接低温用鋼とな
る結果を得た。更には、このようにして得られた鋳片に
ついて、加熱圧延前に均熱拡散処理を含め種々の熱履歴
を付与した試験を行った結果、鋳片を1200℃以上1
400℃以下に加熱し3時間以下の保持した後冷却した
とき、特に鋳片の厚み方向中心部近傍においてTiN、
MnS等の析出個数がさらに増加するという結果を得
た。
【0016】すなわち本発明者らは、次の(1)〜
(4)に述べる知見を見いだした。
【0017】(1)溶存酸素量は酸化物の生成挙動に大
きく影響する。酸化物を多数生成させるためには適正な
溶存酸素量が存在し、その値は20〜100ppmであ
る。この溶存酸素量を調整するためには、Tiよりも脱
酸力の弱いSiの量を調整すればよい。
【0018】(2)Ti脱酸後に適量のAlを添加する
とTi酸化物個数が増加し、さらにTiN、MnSの析
出個数も増加する。
【0019】(3)Ti脱酸後、Al添加まで、時間間
隔が短いほど、酸化物個数が増加する。
【0020】(4)鋳造後の鋳片を圧延前に1200℃
以上1400℃以下に加熱し3時間以下の保持した後冷
却することで、加熱保持しない場合に比べて、厚み方向
中心部近傍の析出物個数が増加する。この時、加熱保持
温度が低ければ保持時間は長時間必要であり、加熱保持
温度が高ければ保持時間は短縮できる。
【0021】以下に上記4項目について詳細に検討した
結果を述べる。
【0022】上記(1)項について、Ti投入前の溶存
酸素量について調査した結果、溶存酸素量が20ppm
よりも少なくなるとHAZ靭性を確保するために必要な
量のTi酸化物が形成されず、100ppmを超えても
Ti酸化物の個数が少なくなることが明らかとなった。
100ppmを超えてTi酸化物が減少するのは、Ti
が投入された溶鋼の近傍で局所的に過飽和度が高くな
り、核生成頻度が増大して狭い領域に酸化物が多量に生
成し、これらが直ちに凝集して浮上し易くなったためで
あると考えられる。
【0023】また、この時の溶存酸化量は、Siとの平
衡反応で調整する必要がある。溶存酸素量の調整は、こ
の他に吹酸等の方法があるが、例えば吹酸によって溶存
酸素量を調整しても、その直後に溶存酸素量は平衡値に
変化してしまい、Ti投入時の溶存酸素量を正確に調整
できないことが明らかとなった。したがって、Ti投入
時の正確な溶存酸素量調整は、溶鋼中で安定して実現で
きる平衡反応を利用しなければならない。
【0024】上記(2)項について、Ti脱酸後に投入
するAlの効果について検討した結果、Al投入によっ
てTi酸化物が一部還元され、かつ微細化していること
が明らかとなった。また、Ti酸化物個数が増加したの
は、Al添加によって溶存酸素量が低下したためにTi
酸化物の成長が抑制され微細化し、浮上しにくくなった
ためだと考えられる。さらに最適なAlの範囲を明確に
するために実験を行った結果、図1に示すように、Al
が0.005%よりも少ないとTi酸化物の還元および
溶存酸素量の低下が充分でなく、Ti酸化物が粗大化、
浮上してしまう。また、0.030%を超えるとTi酸
化物を完全に還元してしまい、Ti酸化物個数が減少し
てしまうことが明らかとなった。また、TiNが増加し
た原因は、微細なTi酸化物を核としてTiNが生成
し、Ti酸化物が存在しない場合よりも析出個数が増加
したためである。
【0025】上記(3)項について、Ti脱酸後の溶鋼
サンプルを適宜採取し、酸化物の生成挙動を調査した結
果、図2に示す如く、Ti脱酸後時間の経過とともに生
成したTi酸化物は成長・凝集して粗大化し、浮上して
しまうことが明らかとなった。したがって、Ti投入
後、Tiが溶鋼中に均一に混合してすぐにAlを投入す
ることを酸化物を多く得るためには有効である。ただ
し、Ti脱酸後すぐにAlを投入しなくても5分以内で
あればTi酸化物の減少量はさほど多くないため、5分
以内と規定した。なお、請求の範囲および発明の詳細な
説明の中のTiを添加して脱酸した後あるいはTi脱酸
後とは、投入したTiが溶鋼中に均一に混合した後のこ
とを意味する。
【0026】上記(4)項について、鋳片を加熱保持す
るのはTiN等の析出物を一旦高温において溶体化さ
せ、その後の冷却過程においてTi−Al複合酸化物を
核サイトとして新たに微細析出させるためである(以下
この熱処理を「再析出処理」と称す)。鋳造過程におけ
る板厚平均の1300℃〜900℃間の冷却速度は、例
えば板厚250mmの連続鋳造の場合約0.1℃/sで
ある。一方、鋳片を再加熱した際の冷却速度は約0.2
5℃/s以下である。この差は鋳造の場合、1/2厚位
置に最終凝固溶鋼が残存しているためであり、未凝固溶
鋼の有する熱量が拡散しながら鋳片全体が冷却されるた
め、速い冷却速度は達成することができない。したがっ
て、冷却速度を増加させるためには再加熱後の冷却、再
析出処理が有効である。
【0027】再析出処理条件の限定理由について述べ
る。
【0028】第1に、加熱温度はTiN等の析出物が固
溶する温度域であることが必要である。固溶しない温度
域に加熱した場合、析出物は鋳片での状態からオストワ
ルド成長によりさらに粗大化し、その個数は減少する。
このことから、下限を1200℃とした。また、加熱温
度が高くなると、冷却速度が小さくなることや、加熱原
単位が大きくなり過ぎること等を考慮して上限を140
0℃とした。
【0029】第2に、保持時間については、析出物の固
溶に要する時間は10分程度でよいが、偏析を低減させ
るために行う均熱拡散処理と組み合わせてもその効果は
発揮できるので、工程負荷が許容できさえすれば6時間
以上の長時間でも問題はない。
【0030】本発明の基本成分範囲の限定理由について
述べる。
【0031】Cは鋼の強度を向上させる有効な成分とし
て下限を0.03%とし、また0.18%を超える過剰
の添加は、鋼材の溶接性や低温でのHAZ靭性などを著
しく低下させるので、上限を0.18%とした。
【0032】Siは母材の強度確保、予備脱酸などに必
要な成分であるが、HAZの硬化により靭性が低下する
のを防止するため上限を0.50%とした。
【0033】Mnは母材の強度、靭性の確保、および粒
内フェライトの変態核を生成させる成分として0.40
%以上の添加が必要であるが、溶接部の靭性、割れ性な
どの許容できる範囲で上限を2.0%とした。
【0034】NはTiNの析出には極めて重要な元素で
あり、0.0020%未満ではTiNの析出量が不足
し、フェライト組織の充分な生成量が得られない。ま
た、固溶Nの増大はHAZ靭性の低下を招くことから
0.0060%を上限とした。
【0035】Cuは鋼材の強度を向上させるために有効
であるが、1.0%を超えるとHAZ靭性を低下させる
ことから、1.0%を上限とした。
【0036】Niは鋼材の強度および靭性を向上させる
ために有効であるが、Ni量の増加は製造コストを上昇
させるので、3.8%を上限とした。
【0037】Nbは焼き入れ性を向上させることにより
母材の強度および靭性を向上させるために有効な元素で
あるが、HAZ部においては過剰な添加は靭性を著しく
低下させるため0.050%を上限とした。
【0038】V、Cr、MoについてもNbと同様な効
果を有することから、各々0.1%,0.6%,0.6
%を上限とした。
【0039】また、鋼材の圧延方法、加速冷却の方法お
よび焼き入れ焼き戻しの方法においては、当該分野にお
いて従来から適用されている方法を用いてもHAZ靭性
に関しては何等影響を及ぼさないため、従来の方法を適
用できる。
【0040】BはHAZ靭性に有害なフェライトサイド
プレートの成長抑制とBNの析出によるHAZの固有N
の固定のために有効であり、0.0002%以上の添加
でその効果が得られるが、0.0020%を超える過剰
の添加はFe23CB6 の析出により靭性低下を招くため
Bを添加する場合はその範囲を0.0002%〜0.0
020%とする。
【0041】
【実施例】表1に示した化学成分で、40キロ鋼および
50キロ鋼を試作した。1〜13が本発明鋼、14〜1
7が比較鋼である。試作鋼は転炉溶製し、真空脱ガス処
理時に脱酸を行っている。Ti投入前に溶鋼の溶存酸素
を測定し、Siで溶存酸素量を調整した後Ti、Alを
添加し脱酸を行ない、連続鋳造により280mm厚鋳片
に鋳造した。表2に脱酸方法を示す。さらに加熱冷却に
よる再析出処理を施し、再度加熱圧延を経て、板厚32
mmの鋼板として製造した。表3に処理条件を示す。な
お比較鋼の一部は再析出処理を省略している。
【0042】得られた鋼板を1パスのフラックス−銅バ
ッキング溶接(FCB溶接)した。入熱は45kJ/c
2 である。HAZ靭性評価のためのシャルピー値は、
フュージョンラインからHAZ5mmの部位でそれぞれ
9本の試験を行ない、その最低値である。
【0043】表4から明らかなように、1〜13の本発
明鋼は比較鋼と比べて優れたHAZ靭性を有することが
判る。
【0044】一方、比較例の14〜24は、いずれもシ
ャルピー試験−60℃で40J未満の低い靭性しか示さ
なかった。これらの原因は、14、15はSiにより調
整した溶存酸素量が本発明の所定の量に達していなかっ
たため、16はSiにより調整した溶存酸素量が所定の
量を超えたため、17はAl量が予定量を下回ったた
め、18はAl量が所定量を上回ったためである。ま
た、19はTiとAlとの添加順序が本発明とは逆であ
ったため、20はTiとAlとの添加間隔が本発明で規
定した所定時間より長かったためである。また21は圧
延前の再析出処理を施さなかったため、22は再析出処
理の加熱温度が低かったため、23は再析出処理の加熱
温度が高かったため、24は保持時間が短かったためで
ある。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【発明の効果】本発明は、大入熱溶接法を適用した、低
温で使用する、船舶、海洋構造物、貯蔵槽等の破壊に対
する厳しい靭性要求を満足する溶接用鋼材を確実に得る
製造方法であり、この種の産業分野にもたらす効果は極
めて大きく、さらに構造物の安全性の意味から社会に対
する貢献も非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、(a)Ti酸化物個数、(b)TiN
個数および(c)HAZ靭性におよぼすAlの影響を調
査したものであり、Al量がある範囲のときにTi酸化
物個数、TiN個数ともに増加し、HAZ靭性が向上す
ることを示す図。
【図2】図2は、Ti脱酸後の経過時間とTi酸化物の
個数推移と調査したものであり、Ti脱酸後5分以降、
酸化物の個数が減少していくことを示す図。
【図3】図3は、(1)式にTi添加前Si量[%S
i]を代入して得られる溶存酸素量[%O]と酸化物個
数との関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土師利昭 大分市大字西ノ洲1番地 新日本製鐵株式 会社大分製鐵所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱酸処理を行なう前のSi量[%Si]
    を、下記(1)式により求められる溶存酸素量[%O]
    が20〜100ppmになるように調整した溶鋼中に、
    最終含有量が0.005〜0.030%となるTiを添
    加して脱酸した後、5分以内に最終含有量が0.005
    〜0.030%となるAlを添加し、その後最終成分に
    対して不足する分のSi、Mn等を添加し、Siを含む
    その他の成分組成が重量%で、 C :0.03〜0.18% Si:≦0.50% Mn:0.40〜2.0% P :≦0.035% S :0.0010〜0.0080% N :0.0020〜0.0060%を含有し、残部が
    Feおよび不可避不純物からなる溶鋼を鋳造して得られ
    た950℃以下の鋳片について、1200℃以上140
    0℃以下の温度にて10分以上保持した後、鋳片を圧延
    することを特徴とする大入熱溶接熱影響部靭性の優れた
    溶接用鋼材の製造方法 [%O]=0.00092/[%Si]0.5 ・・・・・・ (1)式
  2. 【請求項2】 脱酸処理を行なう前のSi量[%Si]
    を、下記(1)式により求められる溶存酸素量[%O]
    が20〜100ppmになるように調整した溶鋼中に、
    最終含有量が0.005〜0.030%となるTiを添
    加して脱酸した後、5分以内に最終含有量が0.005
    〜0.030%となるAlを添加し、その後最終成分に
    対して不足する分のSi、Mn等を添加し、Siを含む
    その他の成分組成が重量%で、 C :0.03〜0.18% Si:≦0.50% Mn:0.40〜2.0% P :≦0.035% S :0.0010〜0.0080% N :0.0020〜0.0060%を基本成分とし、
    さらに Cu:≦1.0% Ni:3.8% Nb:≦0.050% V :≦0.1% Cr:≦0.6% Mo:≦0.6% B :0.0002〜0.0020%の1種または2種
    以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる
    溶鋼を鋳造して得られた950℃以下の鋳片について、
    1200℃以上1400℃以下の温度にて10分以上保
    持した後、鋳片を圧延することを特徴とする大入熱溶接
    熱影響部靭性の優れた溶接用鋼材の製造方法 [%O]=0.00092/[%Si]0.5 ・・・・・・ (1)式
JP18843594A 1994-08-10 1994-08-10 大入熱溶接熱影響部靭性の優れた溶接用鋼材の製造方法 Pending JPH0853734A (ja)

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Cited By (8)

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