JPH0847539A - スライディングカテーテル - Google Patents

スライディングカテーテル

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JPH0847539A
JPH0847539A JP6185719A JP18571994A JPH0847539A JP H0847539 A JPH0847539 A JP H0847539A JP 6185719 A JP6185719 A JP 6185719A JP 18571994 A JP18571994 A JP 18571994A JP H0847539 A JPH0847539 A JP H0847539A
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tube
sliding
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Akitoshi Ito
彰敏 伊藤
Osamu Egawa
修 江川
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    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M25/00Catheters; Hollow probes
    • A61M25/01Introducing, guiding, advancing, emplacing or holding catheters
    • A61M25/0105Steering means as part of the catheter or advancing means; Markers for positioning
    • A61M25/0119Eversible catheters
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M25/00Catheters; Hollow probes
    • A61M25/10Balloon catheters
    • A61M2025/1043Balloon catheters with special features or adapted for special applications
    • A61M2025/1045Balloon catheters with special features or adapted for special applications for treating bifurcations, e.g. balloons in y-configuration, separate balloons or special features of the catheter for treating bifurcations

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 筒状のバルーン膜の進行方向を任意に選択す
ることが可能であり、分岐部がある体腔内でも、任意の
分岐方向に侵入させることが可能なスライディングカテ
ーテルを提供すること。 【構成】 筒状のバルーン膜8の少なくとも周方向一部
20を、他の周方向部分22と異なる物性に設定する。
筒状のバルーン膜8がめくり上げられながら反転して突
出する際に、筒状のバルーン膜にかかる軸方向の引っ張
り力に対して、延伸率の高い物性部分が延伸率の低い物
性部分よりも多く突出し、その結果として筒状のバルー
ン膜8の先端に一定の角度を持たせることが可能となっ
た。また、別の方法として、筒状のバルーン膜8の表面
を、軸方向に対して直角な断面において、一定の角度に
渡って摩擦係数に差がつくような異なる組成の親水性ポ
リマー25で被覆する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血管などの体腔内に挿
入し、きわめて狭い狭窄部、偏心した狭窄部あるいは蛇
行した狭窄部または体腔内分岐部などでも、低摩擦力
で、しかも体腔内壁を傷つけることなく容易に通過させ
ることができるスライディングカテーテルに関する。
【0002】
【従来の技術】血管、消化管、卵管、尿管などの体腔内
の特定部位に、薬液あるいは輸液を供給したり、あるい
は体液の圧力を測定したりする目的で、スライディング
カテーテルが開発されている。
【0003】スライディングカテーテルは、体腔内に挿
入されるカテーテル管と、このカテーテル管の内部に軸
方向移動自在に装着されるスライド管と、このスライド
管の先端部に第1開口端部が接合され、前記カテーテル
管の先端部に第2開口端部が接合される筒状のバルーン
膜とを有する。
【0004】スライド管とカテーテル管との間の隙間に
圧力流体を封入した状態で、スライド管の基端部を操作
し、スライド管を軸方向に前進させることで、筒状のバ
ルーン膜がカテーテル管の先端内部からめくり上げられ
ながら突出する。この筒状のバルーン膜は適度な可撓性
を有し、その表面がめくり上げられながら突出すること
で、きわめて狭い狭窄部、偏心した狭窄部あるいは蛇行
した狭窄部などでも、低摩擦力で狭窄部を傷つけること
なく容易に通過させることができる。
【0005】筒状のバルーン膜が狭窄部を通過した後、
さらにスライド管を前進させれば、スライド管も、狭窄
部を通過することができる。したがって、このスライド
管を通して、薬液あるいは輸液を、狭窄部の背後の特定
部位に導入することができる。また、同様な理由から、
その特定部位の圧力などを検出することもできる。さら
に特定部位から検査用のサンプリングを行うこともでき
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のスラ
イディングカテーテルでは、カテーテル遠位端部から突
出する筒状のバルーン膜は、軸方向に真っ直ぐ繰り出さ
れるのみで、狭窄部を持つ体腔内に分岐部がある場合な
どには、筒状のバルーン膜の突き出した先端部の方向を
任意の方向に向けることが困難であった。
【0007】本発明は、体腔内の分岐部において、カテ
ーテルを希望する分岐腔へ向けて挿入することができる
スライディングカテーテルを提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者ら
は、スライディングカテーテルの筒状のバルーン膜を2
種類の異なる材質で作成することで、めくり上げられな
がら反転して突き出すバルーン膜の先端が一定の角度で
曲がるようにすることができるので、カテーテルを任意
の分岐腔へ向けて挿入できるスライディングカテーテル
を得ることに成功した。
【0009】かくして、本発明によれば、体腔内に挿入
されるカテーテル管と、このカテーテル管の内部に軸方
向移動自在に装着されるスライド体と、このスライド体
の遠位端に第1開口端部が接合され、前記カテーテル管
の遠位端に第2開口端部が接合される筒状のバルーン膜
とを有し、前記カテーテル管と前記筒状のバルーン膜及
び前記スライド体とで形成される内腔部に圧力流体が封
入され、前記筒状のバルーン膜が、スライド体を軸方向
に移動することにより、カテーテル管の遠位端内部から
反転しながら繰り出されたときに、一定の角度で曲がる
ことができるように、バルーン膜の一物性値を周方向に
分布してなることを特徴とするスライディングカテーテ
ルが提供される。
【0010】本発明のスライディングカテーテルは、筒
状のバルーン膜の一物性値が、周方向に分布を有するも
のである。本発明における一物性値とは、延伸率、摩擦
係数、弾性率、剛度、硬度などの機械的物性値;膜厚な
どの物理的物性値などをいう。特に、一物性値の周方向
で相隣合う部分の相違が小さい場合にも、スライディン
グカテーテルの遠位端から繰り出して突き出たバルーン
膜の曲がり角度が大きくなる物性値としては、延伸率も
しくは摩擦係数が挙げられる。
【0011】周方向に分布してなるとは、周方向で相隣
合う部分における一物性値が相違することをいう。具体
的な分布の態様としては、相隣合う部分で連続的に変化
して相違する物性値になるものでもよいし、段階的に変
化して相違する物性値になるものでもよい。この一物性
値が周方向に分布を有する範囲は、バルーン膜の軸方向
一部であってもよいが、軸方向全体であるのが好まし
い。
【0012】周方向に分布を有する範囲において、その
一物性値が最も高い部分と、最も低い部分との、物性値
の比率は、最も低い物性値を100としたときに、最も
高い物性値が105〜500、好ましくは120〜20
0である。比率が小さいと突き出したバルーン膜を一定
の角度で曲げることが困難になり、大きいとバルーン膜
が反転して突出し難くなる。
【0013】段階的に物性値を変化させる場合、その段
階の数は特に限定されない。通常、低い物性値部分と高
い物性値部分との2段階で変化させる。低い物性値部分
と高い物性値部分との周方向長さの比率は、通常、1/
9〜9/1、好ましくは1/3〜3/1、さらに好まし
くは1/2〜2/1である。
【0014】本発明において一物性値が周方向に分布を
有するものとするには、バルーン膜の膜厚を周方向で変
化させて成形するか、物性値の異なる2種の樹脂を用い
て成形するか、像影剤、有色顔料などの充填剤を練り混
んだ樹脂と、充填剤を練り混んでいない樹脂とを用いて
成形するか、バルーン膜を成形後、膜表面の一部に親水
性樹脂などを塗布して皮膜を形成する、などの手段を用
いることにより達成できる。
【0015】本発明のスライディングカテーテルの好適
な態様を以下に示す。 (1)体腔内に挿入されるカテーテル管と、このカテー
テル管の内部に軸方向移動自在に装着されるスライド体
と、このスライド体の遠位端に第1開口端部が接合さ
れ、前記カテーテル管の遠位端部に第2開口端部が接合
される筒状のバルーン膜とを有し、前記筒状のバルーン
膜が、スライド体を軸方向に移動することにより、カテ
ーテル管の遠位端内部から反転しながら繰り出されたと
きに、一定の角度で、曲がることができるように、バル
ーン膜の一物性値が周方向に分布してなることを特徴と
するスライディングカテーテル。
【0016】(2)一物性値が機械的物性値であること
を特徴とする前記(1)のスライディングカテーテル。 (3)一物性値が延伸率又は摩擦係数であることを特徴
とする前記(1)のスライディングカテーテル。
【0017】(4)バルーン膜の膜厚を周方向で変化さ
せてなることを特徴とする前記(1)のスライディング
カテーテル。 (5)バルーン膜の表面に、周方向で、異なる濃度の塗
料を塗布してなることを特徴とする前記(1)のスライ
ディングカテーテル。
【0018】(6)バルーン膜の表面に、周方向で、異
なる濃度の親水性ポリマーの溶液を塗布してなることを
特徴とする前記(4)のスライディングカテーテル。 (7)バルーン膜が一物性値の異なる2種以上の樹脂を
用いて形成してなるものであることを特徴とする前記
(1)のスライディングカテーテル。
【0019】(8)バルーン膜が充填剤を練り混んだ樹
脂と、充填剤を練り混んでいない樹脂とを用いて形成し
てなるものであることを特徴とする前記(1)のスライ
ディングカテーテル。
【0020】
【実施例】以下、本発明に係るスライディングカテーテ
ルを、図面に示す実施態様に基づき、詳細に説明する。
図1(A)は本発明の一実施態様に係るスライディング
カテーテルの概略断面図、図1(B)は図1(A)に示
すスライディングカテーテルのB−B線に沿う要部横断
面図、図1(C)は本発明の他の実施態様に係るスライ
ディングカテーテルに用いるバルーン膜の横断面図、図
2〜5は図1に示すスライディングカテーテルの使用例
を示す要部概略断面図である。
【0021】第1実施態様 図1(A),(B)に示すように、本発明の実施態様に
係るスライディングカテーテル2は、血管などの体腔内
に挿入されるカテーテル管4を有する。このカテーテル
管4は中空管で構成され、その内部には、スライド体と
してのスライド管6が、軸方向移動自在に装着してあ
る。
【0022】このスライド管6の遠位端部外周には、筒
状のバルーン膜8の第1開口端8aが接着または熱融着
してある。また、カテーテル管4の遠位端部外周には、
バルーン膜8の第2開口端8bが接着または熱融着して
ある。遠位端とは、バルーン膜が接合された部分のこと
を、遠位端部とは、遠位端及び遠位端から軸方向に、通
常、15mmの距離の範囲内をいう。
【0023】スライド管6の内部は、中空であり、第1
ルーメン15が形成してある。なお、スライド管6とカ
テーテル管4との間の隙間には、第2ルーメン17が形
成してある。この第2ルーメン17は、バルーン膜8の
内部に連通している。筒状のバルーン膜8の構成につい
ては後述する。
【0024】カテーテル管4は、ある程度の可撓性を有
する材質で構成されることが好ましく、たとえばポリエ
チレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレ
ン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、架橋型エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリアミ
ド、ポリアミドエラストマー、ポリイミド、ポリイミド
エラストマー、フッ素樹脂、シリコーン、天然ゴムなど
で構成され、好ましくは、ポリウレタン、ポリエチレ
ン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル又はシリコーンで構成
される。このカテーテル管4の内表面には、ハイドロー
マー被覆層などの摩擦低減層が被覆してあることが好ま
しい。カテーテル管4の内部で、低摩擦力でスライド管
6が軸方向にスライド移動できるようにするためであ
る。このような観点からは、スライド管6の外表面に
も、低摩擦層を形成することが好ましい。
【0025】スライド管6は、カテーテル管4と同様
に、ある程度の可撓性を有する材質で構成されることが
好ましく、たとえばポリエチレン、フッ素樹脂、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリプロピレン、エチレン−プ
ロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポ
リ塩化ビニル(PVC)、架橋型エチレン−酢酸ビニル
共重合体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドエラ
ストマー、ポリイミド、ポリイミドエラストマー、シリ
コーン、天然ゴム、金属(ステンレス、Ni−Ti合
金)などで構成され、好ましくは、ポリウレタン、ポリ
エチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、シリコーン又
は金属で構成される。このスライド管6は、カテーテル
管4と異なり、肉厚の薄い細径の金属チューブ、たとえ
ばステンレス、Ni−Ti合金で構成することもでき
る。細径の金属チューブであれば、ある程度の可撓性を
有し、しかも、スライド管6をスライド移動させるため
の操作力が伝達され易いことから好ましい。また、前記
樹脂に、芯材として網状の金属などを埋め込んだもので
構成されたものであってもよい。
【0026】カテーテル管4およびスライド管6の外
径、肉厚、軸方向長さなどの寸法は、このスライディン
グカテーテル2の使用目的に応じて種々に改変される
が、一般に、次の寸法であることが好ましい。カテーテ
ル管4の外径は、好ましくは0.3〜15mm、さらに好
ましくは1〜5mmであり、その肉厚は、好ましくは50
〜1000μm、さらに好ましくは100〜500μ
m、その軸方向長さは、好ましくは10〜3000mm、
さらに好ましくは50〜1000mmである。スライド管
6の外径は、好ましくは0.1〜10mm、さらに好まし
くは0.5〜4mmであり、その肉厚は、好ましくは50
〜1000μm、さらに好ましくは100〜500μ
m、その軸方向長さは、カテーテル管4よりも長く、好
ましくは20〜6000mm、さらに好ましくは100〜
2000mmである。
【0027】図1に示すように、カテーテル管4の基端
部には、分岐部10が設けられ、カテーテル管4内の第
2ルーメン17と連通する分岐管12が装着してある。
図1に示す実施態様では、分岐管12が直接カテーテル
管4の基端部外周に装着してあるが、カテーテル管4の
基端に分岐用ハブを接続し、この分岐用ハブに対して分
岐管12を接続することもできる。分岐管および分岐ハ
ブは、患者の体外側に位置するので、カテーテル管4に
比較して剛性の高い材質で構成することができる。
【0028】分岐管12からは、カテーテル管4の第2
ルーメン17を通して、バルーン膜8の内部に液体が導
入される。封入される液体としては、特に限定されない
が、たとえば放射線不透過性媒体と生理食塩水との50
/50混合水溶液などが用いられる。放射線不透過性媒
体を含ませるのは、スライディングカテーテル2の使用
時に、放射線を用いてバルーン膜8およびカテーテル管
4の位置を造影するためである。封入時の圧力として
は、特に限定されないが、ゲージ圧で好ましくは0.5
〜2気圧程度である。放射線不透過性媒体とは、生体の
X線透過撮影において通常用いられる造影剤のことをい
う。
【0029】カテーテル管4の最基端部には、フランジ
状のカテーテル用ハブ14が装着してある。このカテー
テル用ハブ14は、カテーテル管4の最基端部外周に、
接着又は融着してあり、カテーテル管4よりも剛性の高
い材質で構成することができる。このハブ14は、具体
的には、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、スチレン
−ブタジエン共重合体、シリコーン樹脂、ABS樹脂、
好ましくはポリ塩化ビニル、ポリカーボネート又はAB
S樹脂で構成される。このハブ14の外径は、カテーテ
ル管4の外径に対して100〜1000%大きいことが
好ましい。
【0030】なお、このハブ14は、前記分岐ハブと一
体に形成することもできる。カテーテル用ハブ14が装
着されたカテーテル管4の内側には、密封用パッキン1
6が装着してある。密封用パッキン16は、バルーン膜
8の内部と、カテーテル管4の内部の第2ルーメン17
とを密封する。しかも、スライド管6を、カテーテル管
4の内部で軸方向にスライド移動自在とするために、密
封用パッキン16は、スライド管6の外周との摺動性に
優れた材質であることが好ましい。このような観点か
ら、密封用パッキンは、好ましくはシリコーン、ポリイ
ソプレン、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリウレタン、
ポリ塩化ビニル、さらに好ましくはシリコーン又は天然
ゴムで構成される。
【0031】スライド管6の最基端部にも、フランジ状
のスライド用ハブ18が装着してある。スライド用ハブ
18は、スライド管6の最基端部外周に、接着または融
着してある。スライド用ハブ18は、カテーテル用ハブ
と同様な材質で構成される。スライド管6の内部に形成
された第1ルーメン15は、その遠位端部に装着された
バルーン膜8によっても遠位端開口部が閉塞されず、そ
の基端部に装着されたハブ18によっても基端開口部が
閉塞されない。
【0032】図1に示す筒状のバルーン膜は、延伸率の
異なる2種以上の樹脂を用いて成形してなるもので、延
伸率を周方向で2段階で変化させたものである。図1
(B)は、第1周方向部分20と、第2周方向部分との
材質を変えたバルーン膜の例の断面図である。
【0033】これら第1周方向部分20および第2周方
向部分22は、たとえばポリエチレン、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビ
ニル(PVC)、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合
体、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリアミド、ポリ
アミドエラストマー、ポリイミド、ポリイミドエラスト
マー、シリコーン、天然ゴムなど、好ましくは、ポリエ
チレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポ
リウレタン、シリコーンから選ばれる材質で構成してあ
り、相互に異なる材質で構成される。
【0034】たとえば第1周方向部分20と第2周方向
部分22との組合わせ材質を、ポリウレタンとポリ塩化
ビニルとの組合せ、ポリアミドエラストマーとポリウレ
タンとの組合せ又は、エチレン−プロピレン共重合体と
エチレン−酢酸ビニル共重合体との組合せで構成するこ
とが好ましい。また、筒状のバルーン膜は、膜の樹脂材
料そのものを変えなくても、第1周方向部分を像影剤な
どの充填剤を練り混んだ樹脂で、第2周方向部分を充填
剤を練り混んでいない樹脂で形成したものであってもよ
い。
【0035】第1周方向部分20の範囲Xは、筒状のバ
ルーン膜8の軸方向に対して直角な断面において、全周
の、通常、1/9〜9/1、好ましくは1/3〜3/
1、さらに好ましくは1/2〜2/1である。この範囲
Xは、筒状のバルーン膜8の軸方向に沿って必ずしも均
一である必要はなく、軸方向に沿って不均一であっても
良い。たとえば、バルーン膜8の第2開口端8b付近で
は、範囲Xが全周の2/3であり、第1開口端8a付近
では、範囲Xが全周の1/3となるように、範囲Xが軸
方向に沿って漸次またはステップ的に変化するように設
定することも可能である。
【0036】これら第1周方向部分20と第2周方向部
分22とから成るバルーン膜8の開口端8a,8bは、
それぞれスライド管6の遠位端部とカテーテル管4の遠
位端部とに接合される。したがって、バルーン膜8の外
径は、必ずしも軸方向に一定である必要はなく、その第
1開口端8aがスライド管6の遠位端部に接続され、そ
の第2開口端8bがカテーテル管4の遠位端部に接続さ
れるように都合の良い外径を有する。
【0037】バルーン膜8の膜厚は、特に限定されない
が、好ましくは10〜1000μm、さらに好ましくは
50〜500μmである。また、バルーン膜8の軸方向
長さは、スライディングカテーテルの使用目的に応じて
種々に変えることができるが、好ましくは50〜100
0mm、さらに好ましくは100〜500mmである。
【0038】第1周方向部分20と第2周方向部分22
とから成るバルーン膜を製造するには、たとえば二軸押
し出し法を用いることができる。あるいは、第1周方向
部分20と第2周方向部分22とを別々に製造し、これ
らを融着することによっても製造することができる。
【0039】次に本実施態様に係るスライディングカテ
ーテル2の使用例について説明する。まず、図2,4に
示すように、図1に示すカテーテル管4の遠位端からス
ライド管6の遠位端が最大限に引っ込んだ状態で、スラ
イディングカテーテル2を、その遠位端部から、血管、
卵管、消化管、尿管あるいはその他の体腔40(図2〜
5参照)内に挿入する。スライディングカテーテル2
を、たとえば動脈血管などの体腔内に挿入するには、セ
ルジンガー法などを採用すれば良い。
【0040】図2,4に示すように、カテーテル管4の
遠位端が、体腔内狭窄部42あるいは体腔内分岐部44
の手前にきた場合に、図1に示すスライド管6の基端部
に装着されたハブ18を操作し、スライド管6をカテー
テル管4内で前進させる。その結果、図3,5に示すよ
うに、カテーテル管4の遠位端から、バルーン膜8が、
その表裏面がめくり上げられるように突出する。
【0041】このようにバルーン膜8が突出するのは、
バルーン膜8の内部に流体が加圧封入してあると共に、
スライド管6が前進移動するからである。封入流体の圧
力は、スライド管6の前進移動に応じて上昇し、その圧
力により、バルーン膜8が、カテーテル管4の遠位端部
から突出する。バルーン膜8の突出量は、スライド管6
の前進移動量の約1/2である。
【0042】カテーテル管4の遠位端が、図4に示すよ
うに、分岐部44の手前にきた場合には、次のように操
作することにより、分岐部44の第1分岐部44aまた
は第2分岐部44bに選択的に挿入することができる。
具体的には、スライド管6をカテーテル管4内で前進さ
せて、筒状のバルーン膜8をめくり上げられながら反転
して突出させる際に、スライド管6を回転させ、バルー
ン膜8の延伸率の低い第2周方向部分22を、挿入しよ
うとする第1分岐部44a側に位置させる。その状態
で、筒状のバルーン膜8をめくり上げながら反転して突
出させると、筒状のバルーン膜8にかかる軸方向の引っ
張り力に対して、延伸率の高い第1周方向部分20が延
伸率の低い第2周方向部分22よりも多く突出する。そ
の結果として、筒状のバルーン膜8の遠位端に一定の角
度を持たせて突出させることが可能になり、バルーン膜
8を、目的とする第1分岐部44aに向かわせることが
できる(図5)。スライド管6の回転角度を調節するこ
とで、第2分岐部44bに向かわせることも容易にでき
る。
【0043】また、バルーン膜8は、可撓性を有すると
共に、その表裏面がめくり上げられながら突出するの
で、体腔との摩擦がほとんどなく、図3に示すように、
きわめて狭い狭窄部42、偏心した狭窄部あるいは蛇行
した狭窄部または体腔内分岐部などでも、体腔40の内
壁を傷つけることなく容易に通過させることができる。
【0044】その後、さらにスライド管6を前進させれ
ば、バルーン膜8は、その表裏面が完全に逆転し、その
内側を通して、スライド管6の遠位端がカテーテル管4
の遠位端から突出し、スライド管6の遠位端は、図3に
示す狭窄部42あるいは図5に示す分岐部44aを完全
に通過する。その後、このスライド管6の第1ルーメン
15を通して、薬液や輸液を送り込めば、体腔内狭窄部
42または分岐部44aの背後の特定部位に対して良好
に、これらを送り込むことができる。また、その特定部
位からの体液のサンプリング、体液の圧力測定などが可
能である。
【0045】さらに、スライド管6の前進移動を途中で
止め、その後スライド管6を後退移動させることで、い
ったん突出させたバルーン膜8をカテーテル管4の遠位
端内に後退移動させることで、バルーン膜8により、体
腔内異物(たとえば結石)を取り込むこともできる。
【0046】さらには、本実施態様に係るスライディン
グカテーテル2は、内視鏡と組み合わせて用いることも
できる。内視鏡は、スライディングカテーテル2のスラ
イド管6に形成された第1ルーメン15を通して送り込
むことができる。また、PTCA(経皮的冠動脈形成
術)用バルーンカテーテルが挿入し難い狭窄部に、まず
本実施態様に係るスライディングカテーテル2を通すこ
とで、その狭窄部にガイドワイヤを通し、その後スライ
ディングカテーテル2を抜取り、PTCAバルーンカテ
ーテルを挿入し、PTCA治療を行うこともできる。
【0047】第2実施態様 本実施態様のスライディングカテーテルでは、図1
(B)に示すバルーン膜8の第1周方向部分20と第2
周方向部分22とを同一材質で構成し、第1周方向部分
20の膜厚を、第2周方向部分22の膜厚に比較して、
25〜75%薄く設定してある。たとえば第1周方向部
分20の膜厚を、50〜150μmに設定し、第2周方
向部分22の膜厚を200〜500μmに設定する。
【0048】このように設定することで、第1周方向部
分20の延伸率を、第2周方向部分22のそれに比較し
て高くすることができ、前記第1実施態様のスライディ
ングカテーテルと同様な作用を有する。肉厚の薄い第1
周方向部分20と肉厚の厚い第2周方向部分22とから
成るバルーン膜8は、第1周方向部分20と第2周方向
部分22とを融着することにより成形することができ
る。別の成形方法としては、均一肉厚のバルーン膜8を
製造した後、第1周方向部分20側のみを、機械加工あ
るいは化学的エッチング加工などを行うことにより、肉
厚を薄く設定することもできる。
【0049】その他の構成については、前記第1実施態
様のスライディングカテーテルと同様なので、その説明
は省略する。第3実施態様 本実施態様のスライディングカテーテルでは、図1
(B)に示すバルーン膜8の第1周方向部分20と第2
周方向部分22とを同一材質で構成し、第1周方向部分
20または第2周方向部分22を、変質させることによ
り、第1周方向部分20の延伸率を、第2周方向部分2
2のそれに比較して高くする。この実施態様でも、前記
第1実施態様のスライディングカテーテルと同様な作用
を有する。
【0050】第1周方向部分20または第2周方向部分
22を変質させる手段としては、筒状のバルーン膜8を
製造した後、第1周方向部分20または第2周方向部分
22側のみを、溶液または溶剤に浸漬すれば良い。本実
施態様において用いることができる溶剤としては、テト
ラヒドロキシフラン、メチルエチルケトン、ジメチルス
ルホキシドなどを例示することができる。
【0051】その他の構成については、前記第1実施態
様のスライディングカテーテルと同様なので、その説明
は省略する。第4実施態様 本実施態様のスライディングカテーテルでは、図1
(C)に示すように、筒状のバルーン膜8を、その横断
面(軸方向に対して直角な断面)において均一な材質お
よび膜厚に設定し、筒状のバルーン膜8の表面を、摺動
性被膜25で覆う。
【0052】摺動性被膜25は、一定の角度範囲Xの周
方向部分が、他の周方向部分に比較して、摩擦係数が小
さくなるように、異なる摩擦係数の第1,第2摺動性被
膜25a,25bで構成される。第1,第2摺動性被膜
25a,25bとしては、親水性ポリマーを用いること
ができ、親水性ポリマーとしては、ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミ
ド、ポリビニルピロリドンなどを例示することができ
る。
【0053】異なる摩擦係数の第1,第2摺動性被膜2
5a,25bを形成するためには、たとえば、角度範囲
Xのバルーン膜周方向部分を、4〜10%のポリビニル
ピロリドン溶液に浸漬し、他のバルーン膜周方向部分
を、0.1〜2%のポリビニルピロリドン溶液に浸漬す
れば良い。なお、変形例として、バルーン膜の周方向一
部分のみに、摺動性被膜を形成し、残りの部分には摺動
性被膜を形成しないことにより、摩擦係数に差をつける
こともできる。
【0054】本実施態様のスライディングカテーテルで
は、筒状のバルーン膜8がめくり上げられながら反転し
て突出する際に、摩擦係数の差によって筒状のバルーン
膜8のめくり上がり易さに差が生じ、その結果として、
筒状のバルーン膜8の先端に一定の角度を持たせること
が可能である。
【0055】その他の構成および作用については、前記
第1実施態様のスライディングカテーテルと同様なの
で、その説明は省略する。なお、本発明は、上述した実
施態様に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種
々に改変することができる。
【0056】次に、本発明をさらに具体的な実施例を比
較例との関係において説明するが、本発明は、これら実
施例に限定されない。実施例1 図1(A)に示す構造のスライディングカテーテル2を
準備した。ただし、この実施例では、スライド管6とし
て、外径1.5mmのポリウレタン製チューブを用いた。
筒状のバルーン膜8はポリウレタンで形成され、その長
さは300mm、外径は1.6mm、肉厚は100μm であ
った。その材質および肉厚は、周方向および軸方向に沿
って一定であった。カテーテル管4としては、外径が
2.3mm、肉厚250μm 、長さ300mmのポリウレタ
ン製チューブ(全長にわたりJIS硬度75(D硬度を
言う。以下同様))を用いた。
【0057】ただし、筒状のバルーン膜8の外周には、
図1(C)に示すように、軸方向に対して直角な断面に
おいて、半周を1%のポリビニルピロリドン溶液に漬け
て第2摺動被膜25bを形成し、残り半周を4%のポリ
ビニルピロリドン溶液に漬けて第1摺動被膜25aを形
成した。その結果、半周の範囲Xのバルーン膜周方向部
分の摩擦係数が、その他のバルーン膜周方向部分に比較
して小さくなった。
【0058】比較例1 筒状のバルーン膜8の摺動被膜が、バルーン膜の全周に
渡って3%のポリビニルピロリドン溶液に漬けることで
形成されている以外は、実施例1と同様にしてスライデ
ィングカテーテルを作製した。
【0059】実験1 比較例1および実施例1の各スライディングカテーテル
について、筒状のバルーン膜の全長のうち半分をカテー
テル管の遠位端部より突出させた。この時、実施例1の
スライディングカテーテルは、筒状のバルーン膜8の先
端が、R=7mmの曲がりを持っていた。
【0060】図6に示すように、分岐部51を有する塩
化ビニル製の模擬血管50の入口52から各スライディ
ングカテーテルの遠位端部を差し込み、分岐部51から
矢印A方向の分岐管に侵入させる際の挿入選択性につい
て評価した。模擬血管50の内径は、カテーテル管の外
径の約2倍に等しい。
【0061】一分以内に矢印A方向の分岐管へスライデ
ィングカテーテルを約10mm侵入させることができた
回数を評価した。10回試行して、成功した回数が、0
〜3回を×とし、4〜6回を△とし、7〜8回を○と
し、9〜10回を◎とした。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】実験2 比較例1および実施例1の各スライディングカテーテル
について、筒状のバルーン膜の全長のうち半分をカテー
テル管の遠位端部より突出させた。この時、実施例1の
スライディングカテーテルは、筒状のバルーン膜先端
が、R=7mmの曲がりを持っていた。
【0064】図7に示すように、分岐部54を有する塩
化ビニル製の模擬血管53の入口55から各スライディ
ングカテーテルの先端部を差し込み、分岐部54から矢
印B方向の分岐管に侵入させる際の挿入選択性について
評価した。模擬血管53の内径は、カテーテル管の外径
の約2倍に等しい。
【0065】一分以内に矢印B方向の分岐管へスライデ
ィングカテーテルを約10mm侵入させることができた
回数を評価した。10回試行して、成功した回数が、0
〜3回を×とし、4〜6回を△とし、7〜8回を○と
し、9〜10回を◎とした。結果を表1に示す。
【0066】評価 前記表1に示すように、本実施例のスライディングカテ
ーテルの挿入選択性は、比較例のそれに比較して格別に
優れていることが確認された。
【0067】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明に係る
スライディングカテーテルによれば、筒状のバルーン膜
の突き出した先端部が一定の角度で曲がるので、分岐部
がある体腔内でも、任意の分岐方向に侵入させることが
できる。また、本発明に係るスライディングカテーテル
は、きわめて狭い狭窄部、偏心した狭窄部あるいは蛇行
した狭窄部または体腔内分岐部などでも、低摩擦力で、
しかも体腔内壁を傷つけることなく容易に通過させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明の一実施態様に係るスライ
ディングカテーテルの概略断面図、図1(B)は図1
(A)に示すスライディングカテーテルのB−B線に沿
う要部横断面図、図1(C)は本発明の他の実施態様に
係るスライディングカテーテルに用いるバルーン膜の横
断面図である。
【図2】図2は図1に示すスライディングカテーテルの
第1使用例を示す要部概略断面図である。
【図3】図3は図1に示すスライディングカテーテルの
第1使用例を示す要部概略断面図である。
【図4】図4は図1に示すスライディングカテーテルの
第2使用例を示す要部概略断面図である。
【図5】図5は図1に示すスライディングカテーテルの
第2使用例を示す要部概略断面図である。
【図6】図6は本発明の実施例で行う試験の要部断面図
である。
【図7】図7は本発明の実施例で行うその他の試験の要
部断面図である。
【符号の説明】
2… スライディングカテーテル 4… カテーテル管 6… スライド管 8… 筒状のバルーン膜 8a… 第1開口端 8b… 第2開口端 10… 分岐部 12… 分岐管 14… カテーテル用ハブ 15… 第1ルーメン 16… 密封用パッキン 17… 第2ルーメン 18… スライド用ハブ 20… 第1周方向部分 22… 第2周方向部分 25… 摺動性被膜 25a… 第1摺動性被膜 25b… 第2摺動性被膜 40… 体腔 42… 狭窄部 44… 分岐部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 体腔内に挿入されるカテーテル管と、 このカテーテル管の内部に軸方向移動自在に装着される
    スライド体と、 このスライド体の遠位端に第1開口端部が接合され、前
    記カテーテル管の遠位端に第2開口端部が接合される筒
    状のバルーン膜とを有し、 前記カテーテル管と前記筒状のバルーン膜および前記ス
    ライド体とで形成される内腔部に圧力流体が封入され、 前記筒状のバルーン膜が、スライド体を軸方向に移動す
    ることにより、カテーテル管の遠位端内部から反転しな
    がら繰り出されるときに、一定の角度で曲がることがで
    きるように、バルーン膜の一物性値が周方向に分布して
    なることを特徴とするスライディングカテーテル。
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