JPH0852218A - スライディングカテーテル - Google Patents

スライディングカテーテル

Info

Publication number
JPH0852218A
JPH0852218A JP6188583A JP18858394A JPH0852218A JP H0852218 A JPH0852218 A JP H0852218A JP 6188583 A JP6188583 A JP 6188583A JP 18858394 A JP18858394 A JP 18858394A JP H0852218 A JPH0852218 A JP H0852218A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tube
catheter
catheter tube
sliding
slide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6188583A
Other languages
English (en)
Inventor
Osamu Egawa
修 江川
Akitoshi Ito
彰敏 伊藤
Takashi Kawabata
隆司 川端
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP6188583A priority Critical patent/JPH0852218A/ja
Publication of JPH0852218A publication Critical patent/JPH0852218A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スライディングカテーテルの製造時に空気抜
き用チューブを差し込む必要がなく、製造コストが安価
で、スライディングカテーテルの内腔部に圧力流体を封
入する作業が容易なスライディングカテーテルを提供す
ること。 【構成】 体腔内に挿入されるカテーテル管4と、その
内部に軸方向移動に装着されるスライド管6と、これら
の先端部に両端部が接合される筒状のバルーン膜8とで
形成される内腔部に流体圧力を加えることにより、筒状
のバルーン膜8がカテーテル管4の先端内部から反転し
ながら繰り出されるスライディングカテーテル。カテー
テル管4の少なくとも一部が、カテーテル管4内部の液
体を透過せず、カテーテル管4内部の気体を外部に透過
するガス透過部材20で構成してある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血管などの体腔内に挿
入し、きわめて狭い狭窄部、偏心した狭窄部あるいは蛇
行した狭窄部または体腔内分岐部などでも、低摩擦力
で、しかも体腔内壁を傷つけることなく容易に通過させ
ることができるスライディングカテーテルの改良に関す
る。
【0002】
【従来の技術】血管、消化管、卵管、尿管などの体腔内
の特定部位に、薬液あるいは輸液を供給したり、あるい
は体液の圧力を測定したりする目的で、スライディング
カテーテルが使用されている。スライディングカテーテ
ルは、体腔内に挿入されるカテーテル管と、このカテー
テル管の内部に軸方向移動自在に装着されるスライド管
と、このスライド管の先端部に第1開口端部が接合さ
れ、前記カテーテル管の先端部に第2開口端部が接合さ
れる筒状のバルーン膜とを有する。
【0003】スライド管とカテーテル管と筒状のバルー
ン膜との間の内腔部に圧力流体を封入した状態で、スラ
イド管の基端部を操作し、スライド管を軸方向に前進さ
せることで、バルーン膜がカテーテル管の先端部から反
転しながら突出する。このバルーン膜は適度な可撓性を
有し、その表面が反転しながら突出することで、このバ
ルーン膜は、きわめて狭い狭窄部、偏心した狭窄部ある
いは蛇行した狭窄部などでも、低摩擦力で狭窄部を傷つ
けることなく容易に通過することができる。
【0004】バルーン膜が狭窄部を通過した後、さらに
スライド管を前進させれば、スライド管も、狭窄部を通
過することができる。したがって、このスライド管を通
して、薬液あるいは輸液を、狭窄部の背後の特定部位に
導入することができる。また、同様な理由から、その特
定部位の圧力などを検出することもできる。さらに特定
部位から検査用のサンプリングも行うことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなスライディ
ングカテーテルでは、スライド管とカテーテル管と筒状
のバルーン膜の間の内腔部に圧力流体を封入する必要が
あり、その際の空気抜きが問題となる。そこで、たとえ
ば米国特許第4,604,094号に示すように、従来のスライ
ディングカテーテルでは、その製造時に、図5に示すよ
うに、カテーテル管4と筒状のバルーン膜8との間の内
腔部に空気抜き用の細チューブ3を挿入しておき、シリ
ンジ5から分岐管12を通して圧力流体を封入する際
に、空気抜き用のチューブ3を通して空気を抜いてい
た。
【0006】しかし、この場合には、スライディングカ
テーテルの製造時に、空気抜き用の細チューブ3をカテ
ーテル管4に挿入して組み立てなければならず、細いカ
テーテル管4の内部にさらに細い空気抜き用の細チュー
ブ3を挿入する作業を必要とし、その作業が煩雑であっ
た。このため、製造コストが増大していた。
【0007】また、スライディングカテーテルの使用前
に、チューブを通して空気抜きを行いつつ、圧力流体を
封入した後、チューブを抜去する作業を医者が行う必要
があり、その作業が煩雑であった。特に、カテーテル管
の内径が小さくなるほど、上記の作業は困難であった。
【0008】本発明は、このような実状に鑑みてなさ
れ、スライディングカテーテルの製造時に空気抜き用チ
ューブを差し込む必要がなく、製造コストが安価で、ス
ライディングカテーテルの内腔部に圧力流体を封入する
作業が容易なスライディングカテーテルを提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意検討し、カテーテル管をガス透過
性部材で構成してなるスライディングカテーテルを用い
ることによって、内腔部内に圧力液体を封入する作業が
容易になることを見出し、この知見に基づいて、本発明
を完成するに到った。
【0010】かくして本発明によれば、(1)体腔内に
挿入されるカテーテル管と、このカテーテル管の内部に
軸方向移動自在に装着されるスライド体と、このスライ
ド体の遠位端に第1開口端部が接合され、前記カテーテ
ル管の遠位端に第2の開口端部接合される筒状のバルー
ン膜とを有し、前記カテーテル管と前記筒状のバルーン
膜及び前記スライド体とで形成される内腔部に液体が封
入され、前記カテーテル管の少なくとも一部が内腔部内
の液体を透過せず、内腔部内の気体を外部に透過するガ
ス透過部材で構成してなることを特徴とする、スライド
体を軸方向に移動することにより、前記筒状バルーン膜
が前記カテーテル管の遠位端内部から反転しながら繰り
出されるスライディングカテーテルが提供される。
【0011】また、本発明の好適な態様として以下のご
ときものが提供される。 (2)カテーテル管の遠位端部が内腔部内の液体を透過
せず、内腔部内の気体を外部に透過するガス透過部材で
構成されてなることを特徴とする前記(1)のスライデ
ィングカテーテル。
【0012】(3)カテーテル管の全体が、内腔部内の
液体を透過せず、内腔部内の気体を外部に透過するガス
透過部材で構成されてなることを特徴とする前記(1)
のスライディングカテーテル。 (4)カテーテル管とスライド体又はバルーン膜とがガ
ス透過部材で構成されてなることを特徴とする前記
(1)〜(3)のスライディングカテーテル。
【0013】(5)ガス透過部材が、ポリテトラフルオ
ロエチレン又はこれにレーザー光線を照射して得られた
ものからなることを特徴とする前記(1)〜(4)のス
ライディングカテーテル。 本発明のスライディングカテーテルは、カテーテル管の
少なくとも一部がガス透過部材で構成してなるものであ
る。
【0014】本発明では、カテーテル管の全体を、ガス
透過部材で構成することもでき、又、カテーテル管とス
ライド体又はバルーン膜とをガス透過性部材で構成する
こともできる。なお、ガス透過部材は、スライディング
カテーテルの少なくとも一部を構成し、たとえばチュー
ブ状のガス透過部材をカテーテル管の一部に接着または
融着しても良い。また、ガス透過部材を膜状のガス透過
部材で構成し、これをカテーテル管の一部に接着または
融着することもできる。
【0015】ガス透過部材は、気体は透過するが液体を
透過しないものである。ここで気体とは、通常空気であ
る。又、液体は内腔部に封入する液体である。ガス透過
部材の形態としては、多孔質膜またはチューブ、均質膜
またはチューブ、あるいは複合膜またはチューブなどが
挙げられる。多孔質膜またはチューブは、膜またはチュ
ーブそのものに多数のマイクロポアが形成してあり、気
体分子がそのマイクロポアを通過して拡散する。
【0016】多孔質膜としては、ポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)、ポリプロピレン膜、ポリサルフォ
ン膜などが知られている。また、多孔質チューブとして
はテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
共重合体(FEP)、PTFEのごときフッ素樹脂、シ
リコーン、あるいはポリプロピレンなどの撥水性樹脂の
チューブに炭酸ガスレーザなどのレーザ光線を当てて、
マイクロポアを形成させたものが挙げられる。ガス透過
部材中のマイクロポアの大きさは、好ましくは10〜2
00μm 、さらに好ましくは50〜100μm である。
この多孔質チューブをカテーテル管として用いることも
可能である。なお、炭酸ガスレーザとは、赤外線領域
で、強力かつ連続的に作動するレーザであり、10.6
μm の波長で、数百ワットの出力を出すことができる。
この炭酸ガスレーザの照射は、必ずしもチューブの全周
に照射することなく、一部であっても良い。
【0017】また、ガス透過部材である均質膜またはチ
ューブとしては、シリコンゴム、ポリフルオロシラザ
ン、ポリジフェニルシラザン、ポリアルキルサルフォン
などを膜状又はチューブ状に形成したものを例示するこ
とができる。均質膜においては、ガスは膜に溶解し、拡
散されて膜またはチューブの反対側に移動した後、外部
に放出される。
【0018】また、ガス透過部材である複合膜として
は、多孔質膜またはチューブのマイクロポアにシリコン
を充填したもの、多孔質膜またはチューブの片面に均質
膜であるフッ素膜を形成したもの、均質膜またはチュー
ブを多孔質膜で三層に補強したものなどがある。
【0019】これらガス透過部材のうち好適なものは多
孔質膜又はチューブ、好ましくはPTFE又はPTFE
にレーザー光線を照射して得られるものを形成してなる
膜又はチューブである。ガス透過部材は、少なくともカ
テーテル管の遠位端部分に設けることが好ましい。
【0020】なお、本発明において、スライド体とは、
スライド管を含む概念で用い、スライド管のように内部
が中空である必要は必ずしもない。たとえば、スライド
体として、中実の可撓性棒材を用い、棒材の先端にセン
サなどを取り付けても良い。また、スライド体としての
棒材を光ファイバーとすることもできる。
【0021】
【作用】スライディングカテーテルにおいては、その使
用前に、カテーテル管と前記筒状のバルーン膜および前
記スライド体とで形成される内腔部に圧力流体を封入す
る必要がある。この内腔部に圧力流体を封入する際に、
従来では、空気抜きが問題となっていた。本発明では、
カテーテル管の少なくとも一部が、内腔部内部の液体を
透過せず、内腔部内部の気体を外部に透過するガス透過
部材で構成してあるので、圧力流体の封入時に、そのガ
ス透過部材を通して、空気抜きができる。
【0022】そのため、本発明のスライディングカテー
テルでは、スライディングカテーテルの製造時に空気抜
き用チューブを差し込む必要がなく、製造コストの低減
を図ることができる。また、圧力流体の封入後に、空気
抜き用チューブを抜き取る作業が不要になり、スライデ
ィングカテーテルの内腔部に圧力流体を封入する作業が
きわめて容易になる。
【0023】ガス透過部材を、少なくともカテーテル管
の遠位端部分に設けることが好ましいのは、次の理由に
よる。スライディングカテーテルの内腔部に封入される
圧力流体は、通常、カテーテル管の遠位端部を上に向け
て、カテーテル管の基端部側から封入されることから、
少なくともカテーテル管の遠位端部にガス透過部材が装
着してあれば、そこを通して、内腔部の空気抜きを良好
に行うことができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明に係るスライディングカテーテ
ルを、図面に示す実施例に基づき、詳細に説明する。図
1は本発明の一実施例に係るスライディングカテーテル
の概略断面図、図2〜4は同実施例のスライディングカ
テーテルの使用例を示す要部断面図である。
【0025】図1に示すように、スライディングカテー
テル2は、血管などの体腔内に挿入されるカテーテル管
4を有する。このカテーテル管4は中空管で構成され、
その内部には、スライド体としてのスライド管6が、軸
方向移動自在に装着してある。
【0026】このスライド管6の遠位端部外周には、筒
状のバルーン膜8の第1開口端8aが接着または熱融着
してある。また、カテーテル管4の遠位端部外周には、
バルーン膜8の第2開口端8bが接着または熱融着して
ある。スライド管6の内部は、中空であり、第1ルーメ
ン15が形成してある。
【0027】なお、スライド管6とカテーテル管4との
間の隙間には、第2ルーメン17が形成してある。この
第2ルーメン17は、バルーン膜8とカテーテル管4と
で囲まれる内腔に連通している。カテーテル管4は、あ
る程度の可撓性を有する材質で構成されることが好まし
く、たとえばポリエチレン、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル(PV
C)、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレ
タン、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリイミ
ド、ポリイミドエラストマー、フッ素樹脂、シリコー
ン、天然ゴムなどで構成され、好ましくは、ポリウレタ
ン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル又は、
シリコーンで構成される。このカテーテル管4の内表面
には、ハイドローマー被覆層などの摩擦低減層が被覆し
てあることが好ましい。カテーテル管4の内部で、低摩
擦力でスライド管6が軸方向にスライド移動できるよう
にするためである。このような観点からは、スライド管
6の外表面にも、低摩擦層を形成することが好ましい。
【0028】スライド管6は、カテーテル管4と同様
に、ある程度の可撓性を有する材質で構成されることが
好ましく、たとえばポリエチレン、フッ素樹脂、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリプロピレン、エチレン−プ
ロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポ
リ塩化ビニル(PVC)、架橋型エチレン−酢酸ビニル
共重合体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドエラ
ストマー、ポリイミド、ポリイミドエラストマー、シリ
コーン、天然ゴムで構成され、好ましくは、ポリウレタ
ン、ポリエチレン、ポリアミド、シリコーン又はポリ塩
化ビニールで構成される。このスライド管6は、カテー
テル管4と異なり、肉厚の薄い細径の金属チューブ、た
とえばステンレス、Ni−Ti合金で構成することもで
きる。細径の金属チューブであれば、ある程度の可撓性
を有し、しかも、スライド管6をスライド移動させるた
めの操作力が伝達され易い。
【0029】又、上記樹脂に網状の金属を埋め込んだも
のでもよい。筒状のバルーン膜8は、カテーテル管4お
よびスライド管6よりもさらに柔軟性を有する材質で構
成されることが好ましく、たとえばポリエチレン、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリプロピレン、エチレン−
プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
ポリ塩化ビニル(PVC)、架橋型エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリアミ
ド、ポリアミドエラストマー、ポリイミド、ポリイミド
エラストマー、シリコーン、天然ゴムなど、好ましく
は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
アミド、ポリウレタン又は、シリコーンなどで構成され
る。
【0030】カテーテル管4およびスライド管6の外
径、肉厚、軸方向長さなどの寸法は、このスライディン
グカテーテル2の使用目的に応じて種々に改変される
が、一般に、次の寸法であることが好ましい。カテーテ
ル管4の外径は、好ましくは0.3〜15mm、さらに好
ましくは1〜5mmであり、その肉厚は、好ましくは50
〜1000μm、さらに好ましくは100〜500μ
m、その軸方向長さは、好ましくは10〜3000mm、
さらに好ましくは50〜1000mmである。スライド管
6の外径は、好ましくは0.1〜10mm、さらに好まし
くは0.5〜4mmであり、その肉厚は、好ましくは50
〜1000μm、さらに好ましくは100〜500μ
m、その軸方向長さは、カテーテル管4よりも長く、好
ましくは20〜6000mm、さらに好ましくは100〜
2000mmである。
【0031】バルーン膜8の両端開口部8a,8bは、
それぞれスライド管6の遠位端部とカテーテル管4の遠
位端部とに接合される。したがって、バルーン膜8の外
径は、必ずしも軸方向に一定である必要はなく、その第
1開口端8aがスライド管6の遠位端部に接続され、そ
の第2開口端8bがカテーテル管4の遠位端部内周に接
続されるように都合の良い外径を有する。バルーン膜8
の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは10〜10
00μm、さらに好ましくは50〜500μmである。
また、バルーン膜8の軸方向長さは、スライディングカ
テーテルの使用目的に応じて種々に変えることができる
が、好ましくは50〜1000mm、さらに好ましくは1
00〜500mmである。
【0032】図1に示すように、カテーテル管4の基端
部には、分岐部10が設けられ、カテーテル管4内の第
2ルーメン17と連通する分岐管12が装着してある。
図1に示す実施例では、分岐管12が直接カテーテル管
4の基端部外周に装着してあるが、カテーテル管4の基
端に分岐用ハブを接続し、この分岐用ハブに対して分岐
管12を接続することもできる。分岐管及び分岐ハブ
は、患者の体外側に位置するので、カテーテル管4に比
較して剛性の高い材質で構成することができる。
【0033】分岐管12からは、カテーテル管4の第2
ルーメン17を通して、バルーン膜8とカテーテル管4
とで囲まれた内腔に液体が導入される。封入される液体
としては、特に限定されないが、たとえば放射線不透過
性媒体と生理食塩水との50/50混合水溶液などが用
いられる。放射線不透過性媒体を含ませるのは、スライ
ディングカテーテル2の使用時に、放射線を用いてバル
ーン膜8およびカテーテル管4の位置を造影するためで
ある。封入時の圧力としては、特に限定されないが、ゲ
ージ圧で好ましくは0.5〜2気圧程度である。
【0034】このスライディングカテーテル2におい
て、圧力流体を封入する方法としては、通常、スライデ
ィングカテーテル2の遠位端部が上になるように保持
し、次いでシリンジ5を用いて分岐管12から圧力流体
を注入する(図4参照)。従来の方法では、図5に示す
ように、スライディングカテーテルの内腔部に、内腔部
内径より細い径のチューブ3を分岐管12を通して挿入
し、シリンジ5により分岐管12から圧力流体を注入し
ていた。本実施例のスライディングカテーテルでは、従
来のものに比べ、空気抜きのための操作が簡単である。
【0035】カテーテル管4の最基端部には、フランジ
状のカテーテル用ハブ14が装着してある。このカテー
テル用ハブ14は、カテーテル管4の最基端部外周に、
接着ないし融着してあり、カテーテル管4よりも剛性の
高い材質で構成することができる。このハブ14は、具
体的には、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、スチレ
ン−ブタジエン共重合体、シリコーン樹脂、ABS樹
脂、好ましくはポリ塩化ビニル、ポリカーボネート又
は、ABS樹脂で構成される。このハブ14の外径は、
カテーテル管4の外径に対して100〜1000%大き
いことが好ましい。
【0036】なお、このハブ14は、前記分岐ハブと一
体に形成することもできる。カテーテル用ハブ14が装
着されたカテーテル管4の内側には、密封用パッキン1
6が装着してある。密封用パッキン16は、バルーン膜
8の内部と、カテーテル管4の内部の第2ルーメン17
とを密封する。しかも、スライド管6を、カテーテル管
4の内部で軸方向にスライド移動自在とするために、密
封用パッキン16は、スライド管6の外周との摺動性に
優れた材質であることが好ましい。このような観点か
ら、密封用パッキンは、好ましくはシリコーンゴム、ポ
リイソプレン、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリウレタ
ン、ポリ塩化ビニル、さらに好ましくはシリコーンゴ
ム、天然ゴムで構成される。
【0037】スライド管6の最基端にも、フランジ状の
スライド用ハブ18が装着してある。スライド用ハブ1
8は、スライド管6の最基端外周に、接着または融着し
てある。スライド用ハブ18は、カテーテル用ハブと同
様な材質で構成される。スライド管6の内部に形成され
た第1ルーメン15は、その遠位端部に装着されたバル
ーン膜8によっても遠位端開口部が閉塞されず、その基
端部に装着されたハブ18によっても基端開口部が閉塞
されない。
【0038】本実施例では、図1に示すように、カテー
テル管4の遠位端部が、ガス透過部材20で構成してあ
る。カテーテル管4の遠位端部をガス透過部材20で構
成するためには、たとえば、FEPあるいはPTFEな
どのフッ素樹脂チューブ、あるいはシリコーンチュー
ブ、あるいはポリプロピレンチューブなどの撥水性材質
のチューブで、カテーテル管4を構成し、その遠位端部
外周にのみ炭酸ガスレーザなどのレーザ光線を当て、マ
イクロポアが形成されたガス透過部を形成すれば良い。
または、多孔質チューブなどで構成されたガス透過部材
20をカテーテル管4とは別に形成し、この多孔質チュ
ーブなどで構成されたガス透過部材20をカテーテル管
4の遠位端部に接着または融着しても良い。または、カ
テーテル管4の遠位端部に、切欠きまたは孔を設け、そ
の部分に、ガス透過性のある膜、たとえば多孔質膜、均
質膜または複合膜を接着または融着しても良い。
【0039】ガス透過部材20の軸方向長さは、特に限
定されないが、カテーテル管4の全長Lの10〜100
%であることが好ましい。カテーテル管4の全体を、ガ
ス透過部材20で構成することもできる。次に、本実施
例に係るスライディングカテーテル2の使用例について
説明する。
【0040】まず、図2に示すように、カテーテル管4
の先端からスライド管6の先端が最大限に引っ込んだ状
態で、スライディングカテーテル2を、その先端部か
ら、血管、卵管、消化管、尿管あるいはその他の体腔3
0(図2〜4参照)内に挿入する。スライディングカテ
ーテル2を、たとえば動脈血管などの体腔内に挿入する
には、セルジンガー法などを採用すれば良い。
【0041】なお、その挿入の前に、カテーテル管4と
スライド管6と筒状のバルーン膜8との間の内腔である
第2ルーメン17には、図1に示す分岐管12から流体
を封入しておく。封入流体としては、たとえば生理食塩
水+造影剤などの液体が用いられ、その圧力としては、
好ましくは0.5気圧から2気圧である。
【0042】その封入時には、カテーテル管4の先端部
を上に向けて、分岐管12から流体を封入する。その際
に、内腔である第2ルーメン17に存在していた空気
は、封入流体に押され、ガス透過部材20を通して、外
部に放出される。したがって、本実施例では、内腔であ
る第2ルーメン17内を、速やかに流体で満たすことが
できる。
【0043】次に、カテーテル管4の先端が、体腔内狭
窄部32(図3参照)あるいは体腔内分岐部34(図4
参照)の手前にきた場合に、図1に示すスライド管6の
基端部に装着されたハブ18を操作し、スライド管6を
カテーテル管4内で前進させる。その結果、図3または
図4に示すように、カテーテル管4の先端から、筒状の
バルーン膜8が、その表裏面が反転するように突出す
る。
【0044】このように筒状のバルーン膜8が突出する
のは、バルーン膜8の内部に流体が加圧封入してあると
共に、スライド管6が前進移動するからである。封入流
体の圧力は、スライド管6の前進移動に応じて上昇し、
その圧力により、バルーン膜8が、カテーテル管4の先
端部から反転しながら突出する。バルーン膜8の突出量
は、スライド管6の前進移動量の約1/2である。
【0045】バルーン膜8は、可撓性を有すると共に、
その表裏面が反転しながら突出するので、体腔との摩擦
がほとんどなく、きわめて狭い狭窄部32(図3参
照)、偏心した狭窄部あるいは蛇行した狭窄部または体
腔内分岐部34(図4参照)などでも、体腔30の内壁
を傷つけることなく容易に通過させることができる。
【0046】その後、さらにスライド管6を前進させれ
ば、バルーン膜8は、その表裏面が完全に逆転し、その
内側を通して、スライド管6の先端がカテーテル管4の
先端から突出し、スライド管6の先端は、図3に示す狭
窄部32あるいは図4に示す分岐部34を完全に通過す
る。
【0047】その後、このスライド管6の第1ルーメン
15を通して、薬液や輸液を送り込めば、体腔内狭窄部
32または分岐部34の背後の特定部位に対して良好
に、これらを送り込むことができる。また、その特定部
位からの体液のサンプリング、体液の圧力測定などが可
能である。
【0048】また、スライド管6の前進移動を途中で止
め、その後スライド管6を後退移動させることで、いっ
たん突出させたバルーン膜8をカテーテル管4の先端内
に後退移動させることで、バルーン膜8により、体腔内
異物(たとえば結石)を取り込むこともできる。
【0049】さらには、本実施例に係るスライディング
カテーテル2は、内視鏡と組み合わせて用いることもで
きる。内視鏡は、スライディングカテーテル2のスライ
ド管6に形成された第1ルーメン15を通して送り込む
ことができる。また、PTCA(経皮的冠動脈形成術)
用バルーンカテーテルが挿入し難い狭窄部に、まず本実
施例に係るスライディングカテーテル2を通すことで、
その狭窄部にガイドワイヤを通し、その後スライディン
グカテーテル2を抜取り、PTCAバルーンカテーテル
を挿入し、PTCA治療を行うこともできる。
【0050】なお、本発明は、上述した実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変するこ
とができる。
【0051】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明に係る
スライディングカテーテルによれば、スライディングカ
テーテルの製造時に空気抜き用チューブを差し込む必要
がなく、製造コストの低減を図ることができる。また、
圧力流体の封入後に、空気抜き用チューブを抜き取る作
業が不要になり、スライディングカテーテルの内腔部に
圧力流体を封入する作業がきわめて容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例に係るスライディング
カテーテルの概略断面図である。
【図2】図2は同実施例のスライディングカテーテルの
第1使用例を示す要部断面図である。
【図3】図3は同実施例のスライディングカテーテルの
第1使用例を示す要部断面図である。
【図4】図4は同実施例のスライディングカテーテルに
圧力流体の封入操作を示す図である。
【図5】図5は従来のスライディングカテーテルの圧力
流体の封入操作を示す図である。
【符号の説明】
2… スライディングカテーテル 4… カテーテル管 6… スライド管 8… 筒状のバルーン膜 8a… 第1開口端 8b… 第2開口端 10… 分岐部 12… 分岐管 14… カテーテル用ハブ 15… 第1ルーメン 16… 密封用パッキン 17… 第2ルーメン 18… スライド用ハブ 20… ガス透過部材 30… 体腔 32… 狭窄部 34… 分岐部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 体腔内に挿入されるカテーテル管と、 このカテーテル管の内部に軸方向移動自在に装着される
    スライド体と、 このスライド体の遠位端に第1開口端部が接合され、前
    記カテーテル管の遠位端に第2開口端部が接合される筒
    状のバルーン膜とを有し、 前記カテーテル管と前記筒状のバルーン膜および前記ス
    ライド体とで形成される内腔部に液体が封入され、 前記カテーテル管の少なくとも一部が内腔部内の液体を
    透過せず、内腔部内の気体を外部に透過するガス透過部
    材で構成してなることを特徴とする、 スライド体を軸方向に移動することにより、前記筒状バ
    ルーン膜が前記カテーテル管の遠位端内部から反転しな
    がら繰り出されるスライディングカテーテル。
JP6188583A 1994-08-10 1994-08-10 スライディングカテーテル Pending JPH0852218A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6188583A JPH0852218A (ja) 1994-08-10 1994-08-10 スライディングカテーテル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6188583A JPH0852218A (ja) 1994-08-10 1994-08-10 スライディングカテーテル

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0852218A true JPH0852218A (ja) 1996-02-27

Family

ID=16226219

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6188583A Pending JPH0852218A (ja) 1994-08-10 1994-08-10 スライディングカテーテル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0852218A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004530516A (ja) * 2001-06-29 2004-10-07 コロプラスト アクティーゼルスカブ カテーテル装置
WO2008114483A1 (ja) * 2007-03-16 2008-09-25 Olympus Terumo Biomaterials Corp. 椎体圧迫骨折整復ユニット
WO2009084109A1 (ja) * 2007-12-28 2009-07-09 Olympus Terumo Biomaterials Corp. 椎体圧迫骨折整復ユニット
US8002766B2 (en) 2001-06-29 2011-08-23 Coloplast A/S Catheter assembly
JP2014028050A (ja) * 2012-07-31 2014-02-13 Hi-Lex Corporation ステント搬送装置
US8986286B2 (en) 2001-06-29 2015-03-24 Coloplast A/S Catheter device
JP2015512696A (ja) * 2012-03-09 2015-04-30 クリアストリーム・テクノロジーズ・リミテッド フローティングハブを備えるバルーンカテーテル

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004530516A (ja) * 2001-06-29 2004-10-07 コロプラスト アクティーゼルスカブ カテーテル装置
US8002766B2 (en) 2001-06-29 2011-08-23 Coloplast A/S Catheter assembly
US8986286B2 (en) 2001-06-29 2015-03-24 Coloplast A/S Catheter device
US10441454B2 (en) 2001-06-29 2019-10-15 Coloplast A/S Urinary catheter provided as a package
WO2008114483A1 (ja) * 2007-03-16 2008-09-25 Olympus Terumo Biomaterials Corp. 椎体圧迫骨折整復ユニット
WO2009084109A1 (ja) * 2007-12-28 2009-07-09 Olympus Terumo Biomaterials Corp. 椎体圧迫骨折整復ユニット
JP2015512696A (ja) * 2012-03-09 2015-04-30 クリアストリーム・テクノロジーズ・リミテッド フローティングハブを備えるバルーンカテーテル
JP2014028050A (ja) * 2012-07-31 2014-02-13 Hi-Lex Corporation ステント搬送装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
DK172616B1 (da) Kateter til behandling af indsnævrede steder, f.eks. i et blodkar
US5106363A (en) Blood perfusion system and tube used therein
JP2017192815A (ja) 血栓除去装置
JP2019520882A (ja) 向上した補強バルーンカテーテル
JPH01207078A (ja) カテーテルチュブおよび内視鏡
FR2539303A1 (fr) Dispositif d'introduction de songe medicale
JPS63238877A (ja) 灌流型バルーン膨脹装置及びそのカテーテル
JP2758349B2 (ja) カテーテルチューブおよび内視鏡
JPH02949B2 (ja)
CN113546287A (zh) 一种球囊扩张导管
JPS61162956A (ja) リ−クバル−ンカテ−テル
JPH0852218A (ja) スライディングカテーテル
CN103949006B (zh) 一种携带川芎嗪纳米微粒的冠状动脉扩张导管
JPH08308932A (ja) スライディングカテーテル
JPH0871155A (ja) スライディングカテーテル
JPH06233823A (ja) バルーンカテーテル
US20220161046A1 (en) Catheter and light irradiation system
JPH0847538A (ja) スライディングカテーテル
JP3687110B2 (ja) スライディングカテーテル
CN108697879B (zh) 医疗用长条体
MXPA00012958A (es) Cateter de seguridad con trayectoria de fluido sinuosa.
JPH0866476A (ja) スライディングカテーテル
JPH07313601A (ja) スライディングカテーテル
JPH07313602A (ja) スライディングカテーテル
JP3637622B2 (ja) スライディングカテーテル

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050125

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050712