JPH0839160A - 絞り成形装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダイとしての上型５の押圧面７と、パンチと
しての下型１の周りに配置されたブランクホルダ９の押
圧面１０との間に挟持されるブランクＷを、上型押圧面
７のビード成形部１５によりブランクホルダ９の押圧面
１０におけるビード溝１４に押し込んで、ビードＷ１を
成形し、このビードＷ１によりブランクＷに抵抗を与え
て絞り成形するとき、ビード成形時に発生するブランク
Ｗのしわを抑制し、絞り成形品のしわや割れを防いでそ
の品質の向上を図る。 【構成】 ビード溝１４内に、上端部１９ａとビード成
形部１５との間でブランクＷを挟持可能な押え部材１９
をビード成形部１５に接近する方向に付勢して摺動可能
に配置し、ビードＷ１の成形時にブランクＷをビード成
形部１５と押え部材１９とで挟持してビード溝１４内に
押し込み、ブランクＷに張力を与えてしわの発生を抑制
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、絞り成形装置に関し、
特に、絞り成形時にブランクにビードにより抵抗を付与
するようにしたものの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、この種の絞り成形装置は、ブラ
ンク（加工前の薄板材料）をダイ及びブランクホルダの
押圧面間に挟持してその動きを拘束した状態で、該ブラ
ンクに対してパンチを押し付けて、そのパンチとダイと
の間でブランクを絞り加工するようにしたものである。

【０００３】そして、上記ブランクの拘束度を高めるた
めに、ダイ又はブランクホルダの一方の押圧面にビード
溝を形成する一方、他方の押圧面に、上記ビード溝に嵌
挿可能なビード成形部を形成し、ブランクホルダ及びダ
イの押圧面間にブランクを挟持するとき、そのブランク
をビード成形部によりビード溝に押し込んでビードを成
形し、絞り成形時に上記ビードによりブランクに抵抗を
与えるようにすることが知られている。

【０００４】また、特開平２―３７９２１号公報に示さ
れるものでは、ブランクホルダ及びダイの押圧面間に形
成されるビードの外側にさらに多連エンボス構造等の折
曲げ部を形成し、これら折曲げ部により絞り成形の際の
ブランクのダイへの引込み量を規制するようになされて
いる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このように
ブランクの絞り成形の開始時にビード溝とビード成形部
とによりビード成形を行う場合には、図５に示す如く、
ブランクＷが例えばダイとしての上型５のビード成形部
１５によりブランク９のビード溝１４′内に押し込まれ
るのに伴い、ビード成形部１５両側のブランクＷが撓ん
でしわが発生するという問題がある。そして、このしわ
は、その後、ブランクホルダ９及び上型５の押圧面間で
ブランクＷを挟持したときにも残り、このしわに起因し
て、絞り成形された製品にクラックやしわが発生する。

【０００６】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
で、その目的は、ブランクにビードを成形するためのビ
ード成形構造を改良することで、ビード成形に伴うブラ
ンクのしわの発生を抑制し、絞り成形品のしわや割れを
防いでその品質の向上を図ることにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的の達成のた
め、請求項１の発明では、ビード溝内に押え部材を配置
し、その押え部材によりブランクをビード成形部との間
で挟持した状態でビード成形を開始し、ブランクに張力
を与えしわの発生を抑制するようにした。

【０００８】具体的には、この発明では、互いに接離可
能に設けられ、ブランクを絞り成形するパンチ及びダイ
と、上記パンチの周りに配置され、押圧面によりブラン
クをダイの押圧面との間に押圧して挟持するブランクホ
ルダとを備える一方、上記ダイ又はブランクホルダの一
方の押圧面に形成されたビード溝と、ダイ又はブランク
ホルダの他方の押圧面に形成され、上記ビード溝に嵌挿
可能なビード成形部とを備え、ブランクホルダ及びダイ
の押圧面間に挟持されるブランクをビード成形部により
ビード溝に押し込んでビードを成形するようにした絞り
成形装置が前提である。

【０００９】そして、上記ビード溝内にビード成形部に
対し接離する方向に摺動可能に配置され、先端部と上記
ビード成形部との間でブランクを挟持可能な押え部材
と、この押え部材をビード成形部に接近する方向に付勢
する付勢手段とを設ける。

【００１０】請求項２の発明では、上記ビード溝、押え
部材及び付勢手段は何れもブランクホルダに設ける。

【００１１】請求項３の発明では、上記押え部材のビー
ド成形部への接近方向の移動を押え部材先端部がブラン
クホルダの押圧面と面一になるように規制するストッパ
を設ける。

【００１２】

【作用】上記の構成により、請求項１の発明では、絞り
成形しようとするブランクは、まず、ダイ及びブランク
ホルダの押圧面間に挟持される。そのとき、ブランクホ
ルダ及びダイの押圧面間に挟持されるブランクは、ダイ
又はブランクホルダの一方の押圧面のビード溝に対し他
方の押圧面のビード成形部により押し込まれ、このこと
でブランクにビードが成形される。このビード成形部と
ビード溝との間でブランクにビードを成形した状態でパ
ンチ及びダイが接近してブランクが絞り成形される。

【００１３】上記ビード溝内には、先端部とビード成形
部との間でブランクを挟持可能な押え部材が配置され、
この押え部材は付勢手段によりビード成形部に接近する
方向に付勢されているので、上記のビード成形時には、
まず、押え部材の先端部とビード成形部との間でブラン
クが挟持され、その後にビード成形部がビード溝に嵌挿
される際、該ビード成形部はブランクを押え部材先端部
との間に挟持した状態で付勢手段の付勢力に抗してビー
ド溝へ押し込みながらビード溝に嵌挿され、このことで
ブランクにビードが成形される。こうしてブランクを押
え部材で挟持してビード溝内に押し込み、ビードを成形
するので、ブランクに張力が付与されながらビードが成
形されることとなり、ビード成形時のしわの発生を抑制
することができる。よって、その後の絞り成形時には、
上記しわに起因する製品の割れやしわの発生がなくな
り、絞り成形品の品質を向上させることができる。

【００１４】請求項２の発明では、ビード溝、押え部材
及び付勢手段はブランクホルダに設けられているので、
押え部材や付勢手段をブランクホルダ内にコンパクトに
配置することができる。

【００１５】請求項３の発明では、ストッパによる押え
部材の規制により、その先端部がブランクホルダの押圧
面と面一になるので、ビード成形部がブランクを押え部
材先端部との間で挟持するのと同期してビード成形を開
始することができ、押え部材の機能を適正なタイミング
で発揮させることができる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図３及び図４は本発明の実施例に係る絞り成形装
置を示す。これらの図において、１は図外の基台上に固
定されたパンチとしての下型で、基部２と、その上面に
一体に突設された絞り成形部３とを備えてなる。

【００１７】５は下型１の上方に図外のシリンダにより
昇降可能つまり下型１に対し接離可能に配設されたダイ
としての上型であって、その下面中央部には上記下型１
の絞り成形部３に対応して該絞り成形部３を嵌挿可能な
凹陥部６が形成され、この凹陥部６の周りの下面は押圧
面７とされている。

【００１８】さらに、上記下型１の絞り成形部３周りに
は該絞り成形部３を取り囲むように環状のブランクホル
ダ９が配置されている。このブランクホルダ９の上面は
上記上型５下面の押圧面７とでブランクＷを挟持可能な
押圧面１０とされている。ブランクホルダ９は上記基台
に対し、下型１の基部２を貫通する複数のクッションピ
ン１２，１２，…により昇降可能にかつ図外の付勢機構
により上方に付勢されて支持されている。そして、ブラ
ンクＷの絞り成形時には、シリンダにより上型５を上昇
させて下型１から離した状態で、ブランクＷをブランク
ホルダ９の押圧面１０上に載置支持し、上型５の下降に
より、まず、その下面の押圧面７とブランクホルダ９上
面の押圧面１０との間にブランクＷの周縁部を挟持し、
その状態で、上型５のさらなる下降移動により下型１の
絞り成形部３をブランクＷの中央部と共に上型５下面の
凹陥部６内に押し込んで、ブランクＷを絞り成形部３に
対応した形状に絞り成形するようになっている。

【００１９】上記ブランクホルダ９上面の押圧面１０に
は略矩形断面形状のビード溝１４が下型１の絞り成形部
３と略同心状に形成されている。一方、上型５下面の押
圧面７には上記ビード溝１４に嵌挿可能な断面矩形状の
ビード成形部１５が突設されており、上記ブランクＷの
絞り成形時にブランクホルダ９及び上型５の押圧面７，
１０間にブランクＷの周縁部を挟持したとき、そのブラ
ンクＷの周縁部をビード成形部１５によりビード溝１４
に押し込んで、ビード成形部１５に対応した断面矩形状
のビードＷ１を凹陥成形するようにしている。

【００２０】さらに、本発明の特徴として、図１及び図
２に拡大詳示するように、上記ビード溝１４はブランク
ホルダ９の下面近くまでの深さとされ、その溝幅は溝底
部に向かう途中の段差部１７から開口側の溝上部よりも
大きくなっている。そして、このビード溝１４内の上部
には下型１の絞り成形部３を取り囲むように配置された
環状の押え部材１９がビード成形部１５に対し接離する
上下方向に摺動可能に収容され、この押え部材１９は上
型５のビード成形部１５との間でブランクＷ周縁部を挟
持可能な上端部１９ａ（先端部）を有する。また、この
押え部材１９の下端部にはビード溝１４底部の溝幅に対
応して上部よりも広幅の広幅部１９ｂが形成されてお
り、押え部材１９がビード溝１４内で上昇移動すると
き、その広幅部１９ｂの上面をビード溝１４の段差部１
７下面に当接させて、押え部材１９のビード成形部１５
へ接近する方向の上昇移動を規制するようにしたストッ
パ２０が構成されている。そして、このストッパ２０の
規制状態では押え部材１９の上端部１９ａ（先端部）が
ブランクホルダ９上面の押圧面１０と面一にされる。

【００２１】また、ビード溝１４内の下部には付勢手段
としての複数のスプリング２１，２１，…がビード溝方
向に沿って所定間隔をあけて配置されており、このスプ
リング２１，２１，…により押え部材１９を上型５のビ
ード成形部１５に接近する方向たる上方に付勢し、ビー
ドＷ１の成形以外のときに押え部材１９をその上端部１
９ａがブランクホルダ９上面の押圧面１０と面一になる
ように保持している。

【００２２】次に、上記実施例の作用について説明す
る。ブランクＷの絞り成形時、シリンダにより上型５を
上昇させて下型１から離しておき、その状態で、ブラン
クＷをブランクホルダ９の押圧面１０上に載置支持す
る。しかる後にシリンダにより上型５を下降移動させる
と、この上型５の下降により、まず、その下面の押圧面
７とブランクホルダ９上面の押圧面１０との間にブラン
クＷの周縁部が挟持される。この状態では、上記ブラン
クＷが上型５下面の押圧面７におけるビード成形部１５
によりブランクホルダ９の押圧面１０のビード溝１４に
押し込まれ、このことでブランクＷの周縁部にビードＷ
１が成形される。

【００２３】そのとき、上記ビード溝１４内には押え部
材１９が配置され、この押え部材１９は、スプリング２
１，２１，…によりビード成形部１５に接近する上方に
付勢されかつストッパ２０に規制されて上端部１９ａが
ブランクホルダ９の押圧面１０と面一になっているの
で、上記ビードＷ１の成形時には、まず、図１に示すよ
うに、押え部材１９の上端部１９ａないしブランクホル
ダ９の押圧面１０とビード成形部１５との間でブランク
Ｗが挟持される。その後、図２に示す如く、ビード成形
部１５がビード溝１４に嵌挿されると、該ビード成形部
１５はブランクＷを押え部材１９の上端部１９ａとの間
に挟持した状態で押え部材１９と共にスプリング２１，
２１，…の付勢力に抗してビード溝１４に押し込み、こ
のことでビードＷ１が形成される。その際、ビード溝１
４内の押え部材１９は、その上端部１９ａがブランクホ
ルダ９の押圧面１０と面一になるようにストッパ２０に
より移動規制されているので、ビード成形部１５がブラ
ンクＷを押え部材１９の上端部１９ａとの間で挟持する
のと同期してビードＷ１の成形を開始することができ、
押え部材１９の機能を適正なタイミングで発揮させるこ
とができる。

【００２４】そして、こうしてブランクＷを上型５のビ
ード成形部１５と押え部材１９の上端部１９ａとの間で
挟持しながらビード溝１４内に押し込み、ビードＷ１を
成形するので、ブランクＷに張力が付与されながらビー
ドＷ１が成形されることとなり、ビード成形部１５周り
のブランクＷが上方に彎曲してしわが発生するのを防止
することできる。

【００２５】このようなビードＷ１の成形後、上記ビー
ド成形部１５によりブランクＷをブランクホルダ９のビ
ード溝１４内に嵌挿した状態で、上型５の下降移動によ
り、下型１の絞り成形部３がブランクＷの中央部と共に
上型５下面の凹陥部６内に押し込まれ、このことでブラ
ンクＷが絞り成形部３に対応した形状に絞り成形され、
絞り成形品が得られる。

【００２６】このとき、上記の如く、ブランクＷにビー
ドＷ１の成形時のしわの発生がないので、このしわに起
因して絞り成形品に割れやしわが発生することはなくな
り、よって、得られる絞り成形品の品質を向上させるこ
とができる。

【００２７】また、この実施例では、上記ビード溝１
４、押え部材１９及びスプリング２１，２１，…がブラ
ンクホルダ９に設けられているので、押え部材１９や各
スプリング２１をブランクホルダ９内にコンパクトに配
置することができる。

【００２８】尚、上記実施例では、上型５下面の押圧面
７にビード成形部１５を形成する一方、ブランクホルダ
９上面の押圧面１０にビード溝１４を形成し、その中に
押え部材１９及びスプリング２１，２１，…を収容して
いるが、逆に、ブランクホルダ９上面の押圧面１０にビ
ード成形部を形成し、上型５下面にビード溝を形成し、
その内部に押え部材及びスプリングを配置するようにし
てもよい。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１の発明に
よると、ブランクホルダ及びダイの押圧面間に挟持され
るブランクに対し、それをダイ又はブランクホルダの一
方の押圧面のビード成形部により他方の押圧面のビード
溝に押し込んでビードを成形し、このビードによりブラ
ンクに抵抗を与えて絞り成形する場合において、上記ビ
ード溝内に、先端部とビード成形部との間でブランクを
挟持可能な押え部材をビード成形部に接近する方向に付
勢して摺動可能に配置し、ブランクをビード成形部と押
え部材とで挟持してビード溝内に押し込んでビードを成
形するようにしたことにより、ブランクに張力を付与し
ながらビードを成形して、ビード成形時のしわの発生を
抑制でき、絞り成形時にビード成形時のしわに起因する
製品の割れやしわの発生を防止して、絞り成形品の品質
の向上を図ることができる。

【００３０】請求項２の発明によると、ビード溝、押え
部材及び付勢手段をブランクホルダに設けたことによ
り、押え部材や付勢手段をブランクホルダ内にコンパク
トに配置することができる。

【００３１】請求項３の発明によると、押え部材をその
先端部がブランクホルダの押圧面と面一になるように移
動規制するストッパを設けたことにより、ビード成形部
がブランクを押え部材先端部との間で挟持するのと同期
してビード成形を開始でき、押え部材の機能を適正なタ
イミングで発揮させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係る絞り成形装置の要部のビ
ード成形開始前の状態を示す縦断面図である。

【図２】ビード成形状態を示す図１相当図である。

【図３】絞り成形装置の縦断面図である。

【図４】絞り成形装置における下型及びブランクホルダ
の配置構造を示す平面図である。

【図５】従来例を示す図１相当図である。

【符号の説明】

１ 下型（パンチ） ３ 絞り成形部 ５ 上型（ダイ） ７ 押圧面 ９ ブランクホルダ １０ 押圧面 １４ ビード溝 １５ ビード成形部 １７ 段差部 １９ 押え部材 １９ａ 上端部（先端部） ２０ ストッパ ２１ スプリング（付勢手段） Ｗ ブランク Ｗ１ ビード

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに接離可能に設けられ、ブランクを
   絞り成形するパンチ及びダイと、 上記パンチの周りに配置され、押圧面によりブランクを
   ダイの押圧面との間に押圧して挟持するブランクホルダ
   とを備える一方、 上記ダイ又はブランクホルダの一方の押圧面に形成され
   たビード溝と、ダイ又はブランクホルダの他方の押圧面
   に形成され、上記ビード溝に嵌挿可能なビード成形部と
   を備え、ブランクホルダ及びダイの押圧面間に挟持され
   るブランクをビード成形部によりビード溝に押し込んで
   ビードを成形するようにした絞り成形装置において、 上記ビード溝内にビード成形部に対し接離する方向に摺
   動可能に配置され、先端部と上記ビード成形部との間で
   ブランクを挟持可能な押え部材と、 上記押え部材をビード成形部に接近する方向に付勢する
   付勢手段とを設けたことを特徴とする絞り成形装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の絞り成形装置において、 ビード溝、押え部材及び付勢手段はブランクホルダに設
   けられていることを特徴とする絞り成形装置。
3. 【請求項３】 請求項２記載の絞り成形装置において、 押え部材のビード成形部への接近方向の移動を押え部材
   先端部がブランクホルダの押圧面と面一になるように規
   制するストッパを設けたことを特徴とする絞り成形装
   置。