JPH0838182A - オプソニン活性を有する新規な蛋白質 - Google Patents
オプソニン活性を有する新規な蛋白質Info
- Publication number
- JPH0838182A JPH0838182A JP6178787A JP17878794A JPH0838182A JP H0838182 A JPH0838182 A JP H0838182A JP 6178787 A JP6178787 A JP 6178787A JP 17878794 A JP17878794 A JP 17878794A JP H0838182 A JPH0838182 A JP H0838182A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- protein
- amino acid
- acid sequence
- formula
- dna
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Saccharide Compounds (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Abstract
蛋白質、それをコードするDNA、ヒト血漿をマンナン
に接触させ、N−アセチルグルコサミン溶液で溶出する
ことを特徴とする当該蛋白質の製造方法、および当該蛋
白質を含有する感染症予防治療剤。 【効果】 本発明の蛋白質は、貪食細胞による病原微生
物の貪食を活性化する作用を有するので、感染症の予防
治療剤として有用である。アミノ酸配列および塩基配列
の解明により、遺伝子工学的手法による本発明蛋白質の
製造が可能となる。
Description
新規なヒト血漿由来蛋白質、それをコードするDNA、
当該蛋白質の製造方法、および当該蛋白質を含有する感
染症予防治療剤に関する。
球、単球、マクロファージなどの貪食細胞による貪食作
用を受けやすくする物質をオプソニンと呼び、このよう
な貪食作用を増強する活性をオプソニン活性という。免
疫グロブリンや補体成分であるC3bはオプソニン活性
を有する。これは貪食細胞の表面にFcレセプターやC
3bレセプターがあるためである。血清蛋白の一つであ
るC反応性蛋白(CRP)も肺炎球菌に対してオプソニ
ン活性を有している。
重要である。例えば、肺炎球菌の多糖体抗原、サルモネ
ラのO抗原、Vi抗原、レンサ球菌のM蛋白に対する特
異抗体は、オプソニン活性が強く、好中球、マクロファ
ージによる貪食を高め、病原体の感染抑制に働くことか
ら感染防御抗体と呼ばれている。菌体表層に貪食作用に
抵抗する莢膜がある場合でも、これらの特異抗体が菌体
に結合することによって貪食細胞による貪食が著しく容
易になる。細菌などの病原微生物による感染症に対して
はオプソニン活性が最も重要な生体防御反応である。
症の予防または治療に有用な、オプソニン活性を有する
新規蛋白質、ならびにその製造方法を提供することにあ
る。また本発明の目的は、この新規蛋白質を遺伝子工学
手法により製造するために、当該蛋白質のアミノ酸配列
を明らかにし、当該蛋白質をコードするDNAを提供す
ることにある。さらに本発明の目的は、新規な感染症予
防治療剤を提供することにある。
チンの中でマンノースとN−アセチルグルコサミンを認
識するC型レクチンであるマンノース結合蛋白質(MB
P)とコングルチニンは、生体防御機構において重要な
働きをしている。これらのレクチンはコラーゲン様構造
を有し、コレクチンと呼ばれるファミリーを形成してい
る。
血漿中からマンナンに結合し、N−アセチルグルコサミ
ンで溶出される新規な蛋白質を見出し、この蛋白質が、
貪食細胞の貪食能を活性化するオプソニン活性を有する
ことを見出した。さらに本発明者らは、当該蛋白質をコ
ードするcDNAのクローニングを行い、そのcDNA
の塩基配列から当該新規蛋白質のアミノ酸配列を明らか
にした。
ミノ酸配列を有してなる蛋白質に関する。
れるアミノ酸配列を含んでいればよい。式(I)はコラ
ーゲン様ドメインを示す。このコラーゲン様ドメイン
は、Gly −X−Y(Gly はグリシンを表し、XとYはグ
リシン以外のアミノ酸を表す)で表される繰り返しパタ
ーンを含む。好ましくは当該蛋白質は、式(V)に示さ
れるコラーゲン様ドメインを含む。
−Y(Gly,XおよびYは前記の通り)で表される繰り返
しパターンの間に1つ以上のアミノ酸からなるアミノ酸
配列が挿入されていてもよい。具体的には当該蛋白質
は、式(VI)に示されるコラーゲン様ドメインを含む。
ノ酸(式(VI) 中の下線部分)をはさんで2回と15回
のGly −X−Yの繰り返しパターンが存在する。
ミノ酸配列を有してなる蛋白質に関する。
れるアミノ酸配列を含んでいればよい。式(II)はフィ
ブリノーゲン様ドメインを示す。このフィブリノーゲン
様ドメイン中には、Ca結合に関与するEFhandに
類似した配列(式(II)中の破線部分)が含まれてい
る。これは本発明蛋白質がCaイオンと結合する可能性
を示唆する。
るアミノ酸配列および実質的に上記式(II)に示される
アミノ酸配列を有してなる蛋白質に関する。(I)と
(II)の配列の順序は限定されないが、好ましくはN末
端側に(I)の配列を、C末端側に(II)の配列を含む
蛋白質である。当該蛋白質は(I)の配列と(II)の配
列の間に1つ以上のアミノ酸からなるアミノ酸配列を含
んでいてもよい。
ミノ酸配列を有してなる蛋白質に関する。
は式(I)、(II)又は(III) の各式に示されるアミノ
酸配列を有する蛋白質に限定されず、当該アミノ酸配列
を有する蛋白質と同様な生物学的性質(オプソニン活
性)を有する限り、当該アミノ酸配列中のアミノ酸の幾
つかについて欠失、置換、もしくは付加があってもよい
ことを意味する。
してなるポリペプチドにさらに糖が結合したものであっ
てもよい。上記式中で用いた略号は次の意味を有する。 A Ala アラニン R Arg アルギニン N Asn アスパラギン D Asp アスパラギン酸 C Cys システイン Q Gln グルタミン E Glu グルタミン酸 G Gly グリシン H His ヒスチジン I Ile イソロイシン L Leu ロイシン M Met メチオニン K Lys リジン F Phe フェニルアラニン P Pro プロリン S Ser セリン T Thr スレオニン W Trp トリプトファン Y Tyr チロシン V Val バリン
質を有するヒト血漿由来の蛋白質P35が挙げられる。 ヒト血漿をマンナンに接触させ、N−アセチルグルコ
サミン溶液で溶出することにより得ることができる。 還元下のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
により測定した分子量が約35kDaである。 N末端に式(IV)に示されるアミノ酸配列を有する。
結合する。P35は、N−アセチルグルコサミンを介し
て糖と結合すると考えられる。即ち、N−グリコシド型
糖鎖の高マンノース型には結合せず、複合型、混合型に
は結合する。
することにより、あるいは組換えDNA技術、ポリペプ
チド合成法などの常法によって調製することができる。
合は、イオン交換クロマトグラフィー、限外濾過、ゲル
濾過、アフィニティクロマトグラフィー、吸着剤処理、
塩析、等電点沈澱法、ポリエチレングリコール分画法な
どの公知の血漿蛋白質の精製法を適宜組合せることに得
ることができる。好ましくは、ヒト血漿をマンナンに接
触させ、N−アセチルグルコサミン溶液で溶出すること
により調製することができる。
示す。マンナンに接触させるヒト血漿画分は、ヒト血清
をポリエチレングリコール分画処理した沈澱画分が好ま
しい。詳細には、常法に従ってヒト血漿からフィブリン
を除去して調製したヒト血清に、分子量4000のポリエチ
レングリコールを終濃度7%になるように添加し、沈澱
画分を回収する。このポリエチレングリコール分画処理
は2〜8℃好ましくは4℃付近で行う。
ナンに接触させる。緩衝液は塩濃度0.1〜2M、pH
6〜8が好ましく、具体的には1〜1.5M塩化ナトリ
ウム含有20〜100mM Tris−塩酸またはリン
酸緩衝液(pH7〜8)が例示される。マンナンは、不
溶性担体にマンナンを結合したものが好適に使用され、
例えばマンナン−セファロース、マンナンアフィゲルな
どのカラムが用いられる。次いで、マンノース溶液でマ
ンノース結合蛋白質を溶出させた後、N−アセチルグル
コサミン溶液で溶出することにより、本発明蛋白質を含
有する画分が得られる。マンノース溶液は、好ましくは
0.1〜0.5M、より好ましくは0.3Mのマンノー
スを含有する緩衝液であり、緩衝液としては前記のもの
が好適に使用される。N−アセチルグルコサミン溶液
は、好ましくは0.1〜0.5M、より好ましくは0.
3MのN−アセチルグルコサミンを含有する緩衝液であ
り、緩衝液としては前記のものが好適に使用される。本
発明蛋白質を含有する溶出画分は、好ましくは抗Ig
M、抗IgGを不溶性担体に結合させたカラムを通して
不純物成分のIgM、IgGを除去する。
調製する場合には、常法に従って、本発明蛋白質をコー
ドするDNA(後述)を含む発現ベクターで形質転換さ
れた宿主細胞を培地中で培養し、該培養物から本発明蛋
白質を採取することによって調製することができる。
ば、大腸菌、枯草菌)、酵母(例えば、サッカロミセス
属)〕、動物細胞(例えば、COS細胞、チャイニーズ
ハムスター卵巣(CHO)細胞)、昆虫細胞(例えば、
S.f.細胞)などが使用できる。
2, pUC13などの大腸菌由来のプラスミド、pUB110, pTP
5, pC194 などの枯草菌由来のプラスミド、pSH19, pSH1
5などの酵母由来のプラスミド、λファージなどのバク
テリオファージ、バキュロウイルス(核多角体ウイル
ス)などの昆虫ウイルスなど、公知の入手可能なベクタ
ーを使用することができる。
酸配列を有する蛋白質のアミノ酸配列をコードする塩基
配列を含むDNAに関する。当該DNAは、上記塩基配
列を含んでいればいかなるDNAであってもよいが、少
なくとも式(I)に示されるアミノ酸配列をコードする
塩基配列を有するDNAである。式(I)に示されるア
ミノ酸配列をコードする塩基配列としては、式(I)に
示されるアミノ酸配列をコードしうる塩基配列であれば
特に限定されないが、具体的には図2、3に示される塩
基配列中5’末端から数えて塩基番号161〜295で
示される塩基配列が例示される。
列を有する蛋白質のアミノ酸配列をコードする塩基配列
を含むDNAに関する。当該DNAは、上記塩基配列を
含んでいればいかなるDNAであってもよいが、少なく
とも式(II)に示されるアミノ酸配列をコードする塩基
配列を有するDNAである。式(II)に示されるアミノ
酸配列をコードする塩基配列としては、式(II)に示さ
れるアミノ酸配列をコードしうる塩基配列であれば特に
限定されないが、具体的には図2、3に示される塩基配
列中5’末端から数えて塩基番号296〜949で示さ
れる塩基配列が例示される。
ミノ酸配列および式(II)に示されるアミノ酸配列を有
する蛋白質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む
DNAに関する。当該DNAは、上記塩基配列を含んで
いればいかなるDNAであってもよいが、少なくとも式
(I)に示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列お
よび式(II)に示されるアミノ酸配列をコードする塩基
配列を有するDNAである。式(I)に示されるアミノ
酸配列をコードする塩基配列または式(II)に示される
アミノ酸配列をコードする塩基配列としては、上述した
塩基配列が例示される。
ノ酸配列を有する蛋白質のアミノ酸配列をコードする塩
基配列を含むDNAに関する。当該DNAは、上記塩基
配列を含んでいればいかなるDNAであってもよいが、
少なくとも式(III) に示されるアミノ酸配列をコードす
る塩基配列を有するDNAである。式(III) に示される
アミノ酸配列をコードする塩基配列としては、式(III)
に示されるアミノ酸配列をコードしうる塩基配列であれ
ば特に限定されないが、具体的には図2、3に示される
塩基配列中5’末端から数えて塩基番号86〜949で
示される塩基配列が例示される。また、当該DNAは、
その5’末端に、シグナルペプチドをコードする塩基配
列を含有していてもよい。シグナルペプチドの由来は特
に限定されず、マンノース結合蛋白等が例示されるが、
好ましくはヒト血漿のオプソニン活性を有する蛋白質に
由来するものである。具体的には、図2中の下線で示さ
れるアミノ酸配列(アミノ酸番号1〜25で示される配
列)をコードするDNAであり、より具体的には図2、
3に示される塩基配列中5’末端から数えて塩基番号1
1〜85で示される塩基配列が例示される。
伝暗号の縮重に従い、遺伝子から産生される蛋白質のア
ミノ酸配列を変えることなくその遺伝子のDNA配列の
少なくとも一つの塩基を他の塩基に置換することができ
る。従って、本発明のDNAは図2、3に示される塩基
配列に特定されず、当該図2、3で示される塩基配列を
遺伝暗号に基づく置換によって変化させた塩基配列を有
するものをも包含する。
得られるものであってもよい。例えばmRNAから調製
される相補DNA(cDNA)、ゲノムDNAから調製
されるDNA、化学合成によって得られるDNA、RN
AまたはDNAを鋳型としてPCR法で増幅させて得ら
れるDNAおよびこれらの方法を適当に組み合わせて構
築されるDNAをも全て包含するものである。
本発明の蛋白質のmRNAからcDNAをクローン化す
る方法、ゲノムDNAを単離してスプライシング処理す
る方法、化学合成する方法等により取得することができ
る。
のcDNAクローニングは、常法(Sambrook, Fritsch
& Maniatis, Molecular Cloning, 2nd Ed. Cold Spring
Harbor Lab. Press, 1989) に従って行うことができ
る。具体的には、以下の方法が例示される。まず、ヒト
肝臓などヒト由来オプソニン活性を有する蛋白質を培養
し、その培養液から該蛋白質をコードするmRNAを調
製する。mRNAの調製は、例えばグアニジンチオシア
ネート法〔Chirgwin, J. M. et al., Biochem., 18, 52
94 (1979) 〕、熱フェノール法もしくはAGPC法等の
公知の方法を用いて調製した全RNAをオリゴ(dT)
セルロースやポリU−セファロース等によるアフィニテ
ィクロマトグラフィーにかけることによって行うことが
できる。次いで得られたmRNAを鋳型として、例えば
逆転写酵素を用いる等の公知の方法〔例えばOkayama,H.
らの方法{Okayama, H. et al., Mol. Cell. Biol., 2,
161 (1982) 及び同誌 3, 280 (1983)}やGubler,U. と
Hoffman,B.J.の方法{Gubler, H. and Hoffman, B.J.,
Gene, 25, 263 (1983)}が例示される。〕でcDNA鎖
を合成し、cDNAの二本鎖cDNAへの変換を行う。
このcDNAをプラスミドベクターもしくはファージベ
クターに組み込み、大腸菌を形質転換して、あるいはイ
ンビトロパッケージング後、大腸菌に形質移入(トラン
スフェクト)することによりcDNAライブラリーを作
製する。ここで用いられるプラスミドベクターとして
は、宿主内で複製保持されるものであれば特に制限され
ず、また用いられるファージベクターとしても宿主内で
増殖できるものであれば良い。常法的に用いられるクロ
ーニング用ベクターとしてpUC119,λgt10,
λgt11,λZAP等が例示される。ただし、後述の
免疫学的スクリーニングに供する場合は、宿主内で本発
明蛋白質の遺伝子を発現させうるプロモーターを有した
ベクターであることが好ましい。
ては、例えば Maniatis, T. ら, モレキュラークローニ
ング,ア・ラボラトリー・マニュアル (Molecular Clon
ing,A Laboratory Manual), Cold Spring Harbor Labor
atory, p.239 (1982)に記載の方法などが挙げられる。
また、ファージベクターにcDNAを組み込む方法とし
ては、Hyunh,T. V. らの方法〔Hyunh,T.V., DNA Clonin
g, a practical approach,1,49(1985)}などが挙げられ
る。簡便には、市販のライゲーションキット(例えば、
宝酒造製等)を用いることもできる。このようにして得
られる組換えプラスミドやファージベクターは、原核細
胞(例えば、E.coliHB101,DH5またはM
C1061/P3等)等の適当な宿主に導入する。
は、Maniatis, T.らのモレキュラークローニング,ア・
ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning, A Labo
ratoryManual), Cold Spring Harbor Laboratory, p.23
9 (1982) に記載の塩化カルシウム法または塩化カルシ
ウム/塩化ルビジウム法、エレクトロポレーション法等
が挙げられる。また、ファージベクターを宿主に導入す
る方法としてはファージDNAをインビトロパッケージ
ングした後、増殖させた宿主に導入する方法等が例示さ
れる。インビトロパッケージングは、市販のインビトロ
パッケージングキット(例えば、ストラタジーン社製,
アマシャム社製等)を用いることによって簡便に行うこ
とができる。
イブラリーから、本発明の蛋白質をコードするcDNA
を単離する方法は、一般的なcDNAスクリーニング法
を組み合わせることによって行うことができる。例え
ば、別個に本発明蛋白質のアミノ酸配列に対応すると考
えられるオリゴヌクレオチドを化学合成したのち、これ
を32Pでラベルしてプローブとなし、公知のコロニーハ
イブリダイゼーション法〔Crunstein, M. and Hogness,
D.S.: Proc. Natl. Acid. Sci. USA 72, 3961 (1975)
〕またはプラークハイブリダイゼーション法〔Molecul
ar Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbo
r Laboratory, p.239 (1982) 〕により、目的のcDN
Aを含有するクローンをスクリーニングする方法、PC
Rプライマーを作製し、本発明の蛋白質の特定領域をP
CR法により増幅し、該領域をコードするDNA断片を
有するクローンを選択する方法等が挙げられる。また、
cDNAを発現しうるベクター(例えば、λgt11フ
ァージベクター)を用いて作製したcDNAライブラリ
ーを用いる場合には、本発明蛋白質に対する抗体を用い
る抗原抗体反応を利用して、目的のクローンを選択する
ことができる。大量にクローンを処理する場合には、P
CR法を利用したスクリーニング法を用いることが好ま
しい。
マキサム・ギルバート法〔Maxam, A.M. and Gilbert,
W., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 74, 560 (1977)〕
あるいはファージM13を用いたジデオキシヌクレオチ
ド合成鎖停止の方法〔Sanger,f.ら、Proc. Natl. Acad.
Sci. USA., 74, 5463-5467 (1977) 〕によって決定す
ることができる。本発明のDNAは、その全部または一
部を上記のようにして得られるクローンから制限酵素等
により切り出すことにより取得できる。
発明の蛋白質をコードするDNAを単離することによる
調製方法としては、例えば以下の方法が例示される。ヒ
ト肝臓を好ましくはSDSまたはプロテナーゼK等を用
いて溶解し、フェノールによる抽出を反復してDNAの
脱蛋白質を行う。RNAを好ましくはリボヌクレアーゼ
により消化する。得られるDNAを適当な制限酵素によ
り部分消化し、得られるDNA断片を適当なファージま
たはコスミドで増幅しライブラリーを作成する。そして
目的の配列を有するクローンを、例えば放射性標識され
たDNAプローブを用いる方法等により検出し、該クロ
ーンから本発明の蛋白質のDNAの全部または一部を制
限酵素等により切り出し取得する。
Aの製造は、図2、3に示される塩基配列をもとにし
て、常法に従って行うことができる。
病原微生物を不活化する作用を有するので、細菌、ウイ
ルス、真菌などの病原微生物による感染症の予防又は治
療に有効である。細菌としては、サルモネラ、大腸菌、
緑膿菌などのグラム陰性菌、ブドウ球菌、レンサ球菌、
肺炎球菌などのグラム陽性菌、ウイルスとしては、ヘル
ペスウイルス、HIVなど、真菌としては、カンジダ、
アスペルギルスなどが挙げられる。これらの病原微生物
による感染症としては、急性胃腸炎、食中毒、尿路感染
症、膀胱炎、腎盂炎、肺炎、敗血症、ブドウ球菌症、皮
膚疾患、ヘルペスウイルス感染症、帯状ほう疹、白癬、
カンジダ症などが挙げられる。
胞(単球、マクロファージ、好中球など)による病原微
生物の貪食を増加させる作用を意味する。オプソニン活
性は、例えば、貪食細胞により貪食される微生物の数を
測定することにより測定することができる。貪食細胞と
してはヒト由来の単球、マクロファージ、好中球などが
使用できる。
剤(例えば、担体、賦形剤、希釈剤など)などの製薬上
必要な成分と適宜混合し、粉末、顆粒、錠剤、カプセル
剤、注射剤などの形態で医薬組成物として、経口的又は
非経口的(静脈内、筋肉内または局所的)に投与するこ
とができる。好ましくは、生理食塩水、注射用蒸留水、
滅菌精製水などの希釈剤に溶解した、またはそれを凍結
乾燥した注射剤の形態である。投与経路は静脈内投与が
好ましい。
い。安定化剤は、血漿蛋白製剤の安定化剤として通常使
用されるものであれば特に限定されない。例えばショ
糖、マルトース、グルコース等の糖類、マンニトール、
ソルビトール等の糖アルコール、グリシン、アスパラギ
ン酸、グルタミン酸等のアミノ酸、塩化ナトリウム、ク
エン酸ナトリウム、リン酸塩等の塩、リン脂質、アルブ
ミン、ゼラチン、クエン酸、リンゴ酸などを用いること
ができる。
が配合される。投与量は投与経路、患者の症状、体重あ
るいは年齢などによっても異なるが、例えば成人患者に
静脈内投与する場合は10μg〜10mgを1日1〜数
回に分けて投与するのが望ましい。本発明の蛋白質はヒ
ト血漿由来の成分であるため毒性は極めて低く、医薬と
して安全に投与することができる。
を挙げるが、本発明はこれらによって何ら限定されるも
のではない。
化カルシウムを加えて37℃、1時間反応させて凝固さ
せた。これを濾過してフィブリンを除き、9,000rpm、2
0分間の遠心により得た上清(血清)にポリエチレング
リコール4,000を終濃度7%となるように加え、4℃で
1時間、反応させた。9,000rpm、20分間の遠心操作で
沈澱画分を得た。これを50mM Tris,1M塩化ナトリ
ウム, 50mM塩化カルシウム含有緩衝液(pH7.
8)に溶解後、酵母マンナンセファロースカラムにアプ
ライした。前記緩衝液でカラムを洗浄後、0.3Mマン
ノースを含有する前記緩衝液でマンノース結合タンパク
を溶出させた。その後、0.15M N−アセチルグル
コサミンを含む前記緩衝液で本発明の蛋白質P35を溶
出させた。P35含有画分には、不純物成分としてIg
MとIgGが含まれていたので、抗IgM−セファロー
スカラムと抗IgGセファロースカラムを用いてそれら
を除いてP35を精製した。得られたP35は、還元下
のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS
−PAGE)で35kDaのバンドとして認められた。
P35はN末端に次式(IV) で示されるアミノ酸配列を
有していた。
rook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning, 2nd E
d. Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に従って行
なった。λZAPおよびλgt10をベクターとして、
ヒト肝臓cDNAライブラリーを構築した。実施例1で
精製したP35タンパク質のN末端アミノ酸配列に基づ
いて、ライブラリースクリーニングのための2種類のオ
リゴヌクレオチドを合成した。このオリゴヌクレオチド
をプローブとして、まずλZAPcDNAライブラリー
をスクリーニングした。プラークを転写したナイロンメ
ンブレンとプローブとのハイブリダイゼーションは、5
×デンハルツ(Denhardts),4×SSC,0.1%SD
S,10mM EDTA,40mM Tris-HCl,pH7.
5,100μg/mlサケDNAおよび32P標識オリゴ
ヌクレオチドを含む溶液中で37〜42℃、一昼夜行な
った。ハイブリダイゼーション後の洗浄は、1×SSC
中室温で50分間、さらに40〜43℃で1〜2時間行
なった。2種類のオリゴヌクレオチドプローブの両方に
陽性のクローンを選択した結果、1クローンのP35c
DNAの断片が得られた。
プローブとして、λZAPおよびλgt10cDNAラ
イブラリーを再びスクリーニングした。この時のハイブ
リダイゼーションは、オリゴヌクレオチドプローブの場
合と同様の溶液中で60℃、一昼夜行なった。ハイブリ
ダイゼーション後の洗浄は、1×SSC中室温で30分
間、さらに0.1×SSC中65℃で1〜2時間行なっ
た。この結果、約20万のλZAPおよび約20万のλ
gt10から、それぞれ4クローンと2クローンのP3
5cDNAが得られた。これらを制限酵素で切断してpB
luescript II KS + にサブクローニングし、Sangerらの
方法(Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 74, 5463, 1977)
に従って塩基配列を決定した。
2、3に示すようなP35cDNA配列が得られた。図
1にP35の制限酵素地図を示す。このcDNAは93
9bpの長さのORF(転写解読枠)を持ち、25アミ
ノ酸からなるシグナルペプチド(図2中の下線部分)と
これに続く288アミノ酸の成熟P35蛋白質をコード
していた。成熟P35(シグナルペプチドを除く)の分
子量は実施例1で単離されたP35の分子量とほぼ一致
した。
P35のN端側にはコラーゲン様構造があり、6個のア
ミノ酸をはさんで2回と15回のGly −X−Yの繰り返
しが存在する。この構造はMBPのコラーゲン様構造に
類似しており、この部分でオリゴマーを形成していると
推定される。P35のC端側には、MBPと異なり、2
18個のアミノ酸からなるフィブリノーゲン様構造が存
在する。データバンクとのホモロジイ検索の結果、P3
5はブタ子宮の細胞膜から単離されたFicolinαおよび
βと高いホモロジイをもつことがわかった(参考文献:
Ichijo, H.ら、J. Biol. Chem. 268, 14505-14513 (199
3))。フィブリノーゲン様構造をもつ蛋白質はこれまで
数種類知られている。これらの蛋白質のフィブリノーゲ
ン様配列から得られたコンセンサス配列とP35を比較
してみると、システインの位置ならびに幾つかのアミノ
酸が完全に保存されていることがわかった。フィブリノ
ーゲン様構造の中にCa結合に関与するEFhand(T
ufty & Kretsinger, Science, 187, 167, 1975) に類似
した配列が2カ所認められ(図2、3中の破線部分)、
P35がCaイオンと結合する可能性を示唆する。P3
5はその精製過程からレクチンの一種と考えられるが、
P35のアミノ酸配列の中にMBPなどのコレクチンに
認められる糖鎖認識ドメイン(CRD)と相同の配列は
認められなかった。
食能に対する活性化作用を調べた。 (1) 単球の分離 健康成人から単球を分離した。ヘパリン採血後、Ficoll
hypaqueにて単核球の層を取り出し、さらに低張溶菌(h
ypotonic lysis) にて赤血球を除き、リン酸緩衝生理食
塩水(PBS)で2回洗浄する。RPMI1640+1
0%ウシ胎児血清(FCS)に浮遊させ、1×107 個
/mlに調整する。上記のように調製した単球浮遊液を
8-chamber Lab-Tek slideに500μlずつ分け、37
℃のCO2 インキュベーターで培養した。24時間後、
付着細胞を0.1%ゼラチンと10mM CaCl 2を含む
HBSS(以下、GHBSSという)にて3回洗浄し、
これを単球として使用した。 (2) 単球によるサルモネラの貪食 サルモネラは、GHBSS+10mM CaCl 2に浮遊さ
せ、4×108 個/mlに調整する。50μlずつ1.
5mlエッペンドルフチューブに入れる。GHBSS+
10mM CaCl 2にて20μg/mlに調整したP35
を50μl加え、4℃で30分振盪しながら放置する
(P35によりサルモネラが凝集するのを防ぐため)。
サルモネラはGHBSS+10mM CaCl 2で、130
0gで5分、3回洗浄した。200μlのGHBSS+
10mM CaCl 2を加えてボルテックスミキサーにより
攪拌し、凝集したサルモネラをほぐした。上記のように
調製した単球にサルモネラを加えた。37℃で5分、1
0分、20分、40分培養し、氷冷PBSを追加して貪
食を終了させ、さらにPBSで3回洗浄した。May-Giem
sa染色し、単球400個に貪食されているサルモネラを
数えた。 (3) 結果 結果を図5に示す。─■─はコントロール、─□─はP
35の結果を示す。本発明蛋白質P35の添加により単
球の貪食能の活性化が認められた。
解し、安定化剤としてヒトアルブミンを加え、pHを
7.5に調整した。除菌濾過後、バイアル瓶に充填し凍
結乾燥して注射剤を調製した。
病原微生物の貪食を活性化するオプソニン活性を有し、
細菌、ウイルス、真菌などの病原微生物による感染症の
予防又は治療に有用である。また本発明によれば、当該
新規蛋白質をヒト血漿から簡便に、効率よく調製する方
法が提供される。
酸配列、および当該蛋白質をコードするDNAの塩基配
列を初めて明らかにするものである。かかるアミノ酸配
列および塩基配列の解明により、遺伝子工学的手法によ
る本発明蛋白質の製造、それに基づく構造活性相関の研
究が可能となる。すなわち、本発明のアミノ酸配列およ
び塩基配列は、当該蛋白質の分子あるいは遺伝子レベル
での物理化学的性状、および生物学的性状の解析に有用
である。
図である。
およびP35のアミノ酸配列を示す図である(図3に続
く)。
およびP35のアミノ酸配列を示す図である。
35の影響を示すグラフである。
Claims (11)
- 【請求項1】 実質的に式(I)に示されるアミノ酸配
列を有してなる蛋白質。 【化1】 - 【請求項2】 実質的に式(II)に示されるアミノ酸配
列を有してなる蛋白質。 【化2】 - 【請求項3】 実質的に式(I)に示されるアミノ酸配
列および実質的に式(II)に示されるアミノ酸配列を有
してなる蛋白質。 【化3】 - 【請求項4】 実質的に式(III)に示されるアミノ酸配
列を有してなる蛋白質。 【化4】 - 【請求項5】 請求項1記載の蛋白質のアミノ酸配列を
コードする塩基配列を含むDNA。 - 【請求項6】 請求項2記載の蛋白質のアミノ酸配列を
コードする塩基配列を含むDNA。 - 【請求項7】 請求項3記載の蛋白質のアミノ酸配列を
コードする塩基配列を含むDNA。 - 【請求項8】 請求項4記載の蛋白質のアミノ酸配列を
コードする塩基配列を含むDNA。 - 【請求項9】 ヒト血漿をマンナンに接触させ、N−ア
セチルグルコサミン溶液で溶出することを特徴とする請
求項1〜4のいずれかに記載の蛋白質の製造方法。 - 【請求項10】 (1) ヒト血漿をマンナンに接触させ、
N−アセチルグルコサミン溶液で溶出することにより得
ることができる物質であり、(2) 還元下のSDS−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動法により測定した分子量が
約35kDaであり、(3) N末端に式(IV) に示される
アミノ酸配列を有する蛋白質。 【化5】 - 【請求項11】 請求項1〜4および10のいずれかに
記載の蛋白質を有効成分とする感染症予防治療剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17878794A JP3571371B2 (ja) | 1994-07-29 | 1994-07-29 | オプソニン活性を有する新規な蛋白質 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17878794A JP3571371B2 (ja) | 1994-07-29 | 1994-07-29 | オプソニン活性を有する新規な蛋白質 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0838182A true JPH0838182A (ja) | 1996-02-13 |
JP3571371B2 JP3571371B2 (ja) | 2004-09-29 |
Family
ID=16054638
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17878794A Expired - Fee Related JP3571371B2 (ja) | 1994-07-29 | 1994-07-29 | オプソニン活性を有する新規な蛋白質 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3571371B2 (ja) |
-
1994
- 1994-07-29 JP JP17878794A patent/JP3571371B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3571371B2 (ja) | 2004-09-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2795286B2 (ja) | 新規の抗菌性ペプチド、該ペプチドを含有する組成物及びその使用 | |
JP3086685B2 (ja) | 生物学的に活性な殺菌性/透過性増大蛋白質断片 | |
JP2002543837A (ja) | 組換えセトマンナン結合性レクチン | |
JPH09507501A (ja) | 殺菌性/透過性が向上したタンパク質の機能領域に由来する生物学的に活性なペプチドおよびその使用 | |
JPS6222799A (ja) | 血液凝固阻害作用を有する新規ポリペプチド | |
CA2229208A1 (en) | Dna sequences and secreted proteins encoded thereby | |
JPH08508165A (ja) | ウシ好中球由来の新規な抗微生物性ペプチド | |
JP2002515893A (ja) | ヒトラクトフェリンおよびその改変体の有用な特性 | |
CA2264192A1 (en) | Secreted proteins and polynucleotides encoding them | |
US5766593A (en) | Anti-inflammatory CD14 peptides | |
JP4855627B2 (ja) | 医薬用途のためのトロンボモジュリン | |
US7344861B2 (en) | Secreted proteins and polynucleotides encoding them | |
US20060194732A1 (en) | Recombinant SP-A for the treatment or prevention of pulmonary infection and inflammation | |
JP2001517422A (ja) | 単離したおよび組換えによる抗菌ペプチドトロンボシジン−1(tc−1)およびトロンボシジン−2(tc−2)またはその変異体 | |
JP3654667B2 (ja) | ポリペプチド、その製造法およびそれをコードするdna | |
JPH08504085A (ja) | リポ多糖体結合及び抗擬血活性をもつ哺乳動物のカチオン性タンパク質 | |
JP3571371B2 (ja) | オプソニン活性を有する新規な蛋白質 | |
JP2023549878A (ja) | 自己抗体に対する回避率又は活性が向上したadamts13バリアント | |
EP0937141A1 (en) | Polynucleotides encoding secreted proteins from human dendritic cells | |
US5210027A (en) | DNA encoding novel antimicrobial polypeptide and methods for obtaining such polypeptide | |
CA2251934A1 (en) | Secreted proteins and polynucleotides encoding them | |
WO1991004276A1 (fr) | Polypetpides de thrombomoduline humaine physiologiquement actifs et isoles | |
JP3040781B2 (ja) | 生物学的に活性な殺菌性/透過性増大蛋白質断片 | |
JPH1080281A (ja) | 新規蛋白質及びその製造方法 | |
JPH1132759A (ja) | グルコースを認識する新規なレクチン |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040127 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040324 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040601 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040624 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |