JPH0835181A - 捺染方法、該方法により得られる捺染物及びインク - Google Patents

捺染方法、該方法により得られる捺染物及びインク

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JPH0835181A
JPH0835181A JP16943694A JP16943694A JPH0835181A JP H0835181 A JPH0835181 A JP H0835181A JP 16943694 A JP16943694 A JP 16943694A JP 16943694 A JP16943694 A JP 16943694A JP H0835181 A JPH0835181 A JP H0835181A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高濃度で、加熱による染着処理条件が多少変
化しても色調の変化のない、鮮明なシアン色の画像が得
られる捺染物を提供する。 【構成】 シアンとブル−の分散染料をそれぞれ含む2
色のインクの少なくとも一部を重ねて混色部を形成する
捺染方法であって、シアン染料とブル−染料の打込比が
10:1〜100:1の範囲にあることを特徴とする捺
染方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット法によ
り布帛に捺染を行う方法、該方法により得られる捺染物
及びインクジェット捺染用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、捺染の主流はスクリーン捺染、ロ
ーラー捺染である。しかしながら、これらの方式は、多
品種少量生産に不向きであり、流行への迅速な対応も困
難であることから最近では、無製版の電子捺染システム
の確立が要望されている。
【0003】この要望に対してインクジェット記録によ
る捺染方法が数多く提案されており各方面からの期待も
大きくなっている。
【0004】インクジェット捺染の課題としては、
(1)発色に十分な濃度を与えること、(2)色素の布
帛に対する染着率が高く洗浄工程後の、廃水処理が容易
であること、(3)布帛上で異色間の混色による不規則
なにじみが目立たないこと、(4)色再現の範囲が広い
こと、(5)安定した発色性を示す生産が可能であるこ
と、等が挙げられる。
【0005】これらの課題を満足させるために、従来に
おいては、主としてインクに様々な添加剤を加えたり、
インクの打込量を操作したり、布帛に前もって処理を施
す等の対応を行ってきた。またポリエステル布帛に対す
る捺染方法としては特開昭61−118477号公報に
インクジェット用として昇華温度の180℃以上の分散
染料を使用するという方法が開示されている。しかし、
本発明者らが、昇華温度のみに着目した分散染料を色素
として用いたインクを作成し、布に印捺して染着させた
ところ、各インクを単独で染着させた場合には良好な発
色を示すのに対し、インクを布上で混色させた場合、使
用する染料の組み合わせによっては、染着後の濃度や、
色調、同じ染着条件で染着したときの繰り返しの再現性
が非常に異なり、上記の(1)、(4)、(5)等を同
時に満たさなくなる場合が多く、さまざまな色表現を行
うためにはかかる方法ではまだ不十分であった。したが
って、従来の技術だけでは、前述した各種の要求項目、
とりわけ(5)項を充分に満たすことは不可能である。
【0006】またとりわけ分散染料を用いる場合は、染
料の染着のメカニズムから染料分子構造上に制約があ
り、減法混色の基本となるシアンの濃度が得にくいとい
う問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、分散染料で染色可能な繊維を主体として構成される
布帛に、インクジェット捺染する際に上述のごとき従来
の一般的なインクジェット捺染の問題を解決すること、
とりわけ高濃度で鮮明なシアン色の捺染物を得ることが
でき、さらに加熱による染着処理条件が多少変化しても
色調の変化のない安定な画像を得ることができる捺染方
法、捺染物及びインクを提供することである。
【0008】更に本発明は、良好なシアン色を得ること
によりイエロ−インクとの混色におけるグリ−ン表現に
おいても格段の色再現性の拡大が得られる捺染方法を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。すなわち本発明は少なくともシア
ン及びブルーの分散染料をそれぞれ含有するシアン及び
ブルーのインクを、インクジェット方式によって、分散
染料により染色可能な繊維を含有する布帛に付与して捺
染を行う方法であって、(a)前記2色のインクを少な
くともその一部が重なるように布帛に付与する工程、
(b)前記インクが付与された布帛を熱処理する工程、
(c)前記熱処理した布帛を洗浄する工程、を少なくと
も有し、前記重なり部のシアン染料とブルー染料の打ち
込み比が重量比で10:1〜100:1の範囲にあるこ
とを特徴とする捺染方法及びそれによって得られる捺染
物である。
【0010】また少なくともシアン及びブルーの2種の
分散染料と水性液媒体とを含むインクジェット捺染用イ
ンクにおいて、シアン染料とブルー染料の含有重量比が
10:1〜100:1の範囲にあることを特徴とするイ
ンクジェット捺染用インクである。
【0011】
【作用】本発明者らはインクジェット捺染に関して前述
の種々の性能上の要件を同時に満足させるべく検討を行
った。その結果分散染料を用いたインクにてインクジェ
ット捺染を行う場合に、シアン染料部に10:1〜10
0:1の割合でブル−の染料を打ち込むことによって前
述の性能の要件を満足させられることを見いだした。
【0012】シアン色を持つ分散染料としては、色相、
耐光性の点から発色団としてアントラキノンをもつ染料
が好ましい。しかし染料の染着のメカニズムから染料分
子構造上に制約があり濃色が得にくかったが、ここにブ
ル−の色相を持つ染料を10:1〜100:1の割合で
打ち込むと、濃いシアン色を得ることができ、また該混
色シアン部にイエロ−インクと混色させることにより濃
く、彩度の高いグリ−ンが得られ、またビルドアップ性
がよく、さらに発色時に温度、時間等の固着条件が多少
異なっても発色性に大きな差異はみられず安定したプリ
ント物が得られることを知見した。
【0013】インクジェット捺染はスクリ−ン捺染に代
表される従来捺染に比較してインクの粘度が極端に低い
ためインクあふれを考慮して一般に布帛への染料の付着
量が少ない。また数種類のインクにより無限の色調をド
ットの打ち込み比率を変化させることにより表現するた
めインクの打ち込み順序、布のばらつき等が発色性に及
ぼす影響が極めて大きい。
【0014】本発明の効果のうち、まずビルドアップ性
については分散染料は染着量に独立性があり、複数の染
料を用いたほうが染着量が大きくなりインクジェット方
式におけるおおきな課題であったビルドアップ性向上に
特に有利となる。
【0015】また発色の安定性という面では混色部にお
ける染料の種類は多ければ多いほどインクの打ち込み順
序や布帛上での染料の分布状態が発色安定性に及ぼす影
響が少なくなることが知見され、単独染料よりは複数の
染料を特定の割合で混合させることが重要である。
【0016】(好ましい実施態様)次に好ましい実施態
様を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
【0017】まず本発明において使用する布帛について
説明する。
【0018】本発明において使用する布帛を構成する素
材としては、分散染料で染色可能な繊維を含有するもの
である。中でも、ポリエステル、アセテート、トリアセ
テートを含有するものが好ましい。その中でもポリエス
テルを含有するものが特に好ましいものである。上記繊
維は織物、編物、不織布等いずれの形態でも使用でき
る。
【0019】係る布帛は、分散染料で染色可能な繊維1
00%のものが好適であるが、混紡率30%以上、好ま
しくは50%以上であれば、分散染料で染色可能な繊維
と他の素材、例えばレーヨン、綿、ポリウレタン、アク
リル、ナイロン、羊毛、絹等との混紡織布または混紡不
織布等も本発明の捺染用布帛として使用することができ
る。
【0020】また、かかる布帛を構成する糸の太さとし
ては、10d〜100dの範囲が好ましく、更にその糸
を構成している繊維の太さとしては特に制限はないが、
1d以下であると本発明の効果がより発揮される。
【0021】上記のインクジェット捺染用布帛は、布帛
の乾燥重量に対して0.01〜20重量%の水溶性金属
塩、水溶性高分子、尿素、チオ尿素および界面活性剤か
らなる群から選ばれる少なくとも1つの物質を含有する
と好適である。それらの物質を合わせた含有量は、好ま
しくは0.5〜18重量%、より好ましくは1〜15重
量%である。0.01重量%以下ではこれらの物質を添
加する効果がなく、20重量%以上では布帛の搬送性の
点から好ましくない場合がある。
【0022】水溶性高分子の例としては、トウモロコ
シ、小麦等のデンプン物質;カルボキシメチルセルロー
ス、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等
のセルロース系物質;アルギン酸ナトリウム、アラビヤ
ゴム、ローカスイトビーンガム、トラガントガム、グア
ーガム、タマリンド種子等の多糖類;ゼラチン、カゼイ
ン等の蛋白質物質、タンニン系物質;リグニン系物質等
の天然水溶性高分子が挙げられる。更に、合成高分子で
は、例えば、ポリビニルアルコール系化合物、ポリエチ
レンオキサイド系化合物、アクリル酸系水溶性高分子、
無水マレイン酸系水溶性高分子等が挙げられる。これら
の中でも多糖類系高分子やセルロース系高分子が好まし
い。
【0023】水溶性金属塩類としては、例えば、アルカ
リ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物の様に、典型
的なイオン結晶を作るものであって、pH4〜10であ
る化合物が挙げられる。かかる化合物の代表的な例とし
ては、例えば、アルカリ金属塩では、NaCl、Na2
SO4 、KCl、CH3 COONa等が挙げられ、又、
アルカリ土類金属塩としては、CaCl2 、MgCl2
等が挙げられる。中でもNa、K、Caの塩類が好まし
い。
【0024】界面活性剤としては、アニオン系、カチオ
ン系、両性、ノニオン系のものが使用され、代表的に
は、アニオン系では高級アルコール硫酸エステル塩、ナ
フタレン誘導体のスルホン酸塩、カチオン系では第4級
アンモニウム塩、両性ではイミダゾリン誘導体、ノニオ
ン系ではポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオ
キシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン
脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸
エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド
付加物等が挙げられる。
【0025】次に、本発明の布帛においてはその水分率
を好ましくは、1.0〜101.0%、より好ましく
は、3.0〜81.0%の範囲とする。水分率が1.0
%未満の場合では、発色性及びにじみ防止性の点で不都
合が生じたり、水分率が101.0%を超えると、搬送
性及び特に滲みの点で好ましくない場合がある。
【0026】尚、布帛中の水分率の測定方法としては、
JIS−L−1019を参照した。即ち、試料100g
を正確に秤り取り、105±2℃の乾燥器中に入れ恒量
になるまで乾燥した後、水洗処理を行い、再び恒量にな
るまで乾燥し、繊維部のみの乾燥後重量を測定し、次式
によって布帛中の水分率を求める。
【0027】 水分率(%)={(W−W’)/W”}×100 (W:乾燥前重量、W’:乾燥後重量、W”:水洗乾燥
後繊維部重量)
【0028】次に、本発明の捺染方法に用いるインクと
しては、分散染料及び水性液媒体から構成されるインク
である。
【0029】分散染料として、好適な具体例としては、
シアンインクに関しては、C.I.ディスパ−ズブル−
60、87、87:1、143、176、185及び1
98、ブル−インクに関してはC.I.ディスパ−ズブ
ル−56、73、79、79:1、113、128、1
48、154、158、165、165:1、165:
2、183、197、201、214、224、22
5、257、266、267、287、358及び36
8が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】これら染料の含有量(2種以上を併用して
使用する場合は総含有量)は、0.1〜25重量%、好
ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15
重量%の範囲である。分散染料の含有量が0.1重量%
未満の場合は、発色の濃度が不十分である。また25重
量%を超えて含有するとインクの保存安定性劣化やノズ
ル先端付近におけるインク蒸発に伴う増粘や析出による
不吐出を引き起こし易い。
【0031】また本発明の別形態として上記例示したも
のに代表されるシアン染料とブル−染料を同一インク中
に10:1〜100:1、好ましくは12:1〜50:
1、より好ましくは15:1〜50:1の範囲で調製し
たインクが挙げられる。
【0032】この場合、染料の含有量は0.5−20重
量%、好ましくは1−15重量%、より好ましくは1.
5−10重量%の範囲である。
【0033】単独のインクにおいて本発明の効果を得る
ためには布帛上での染料の分布に関しては均一となる
が、ドットの打ち込み比を変化させる表現においてイン
クの重ね打ち法に比して制約があるためインク中での染
料の濃度に関しては重ね打ち法によるインクよりも好適
な範囲がせまくなる。
【0034】なお本発明でいうシアン及びブル−の表現
については、該インクで布帛を染色した後の色を、JI
S−Z−8721準拠の標準色票と照らし合わせて、色
がBG(blue Green)に分類されるものをシ
アン,色がB(Blue)に分類されるものをブル−と
する。JIS−Z−8721準拠の標準色票とは、色見
本により対象物の色を判定するための方法で、色相をB
G、B等の10通りに分類している。
【0035】更に、本発明あるいは本発明に使用するイ
ンクの水性媒体に分散染料を分散させる化合物として
は、いわゆる分散剤、界面活性剤、樹脂等を用いること
ができる。分散剤または界面活性剤としては、アニオン
系、ノニオン系のいずれも使用できるが、例えば、アニ
オン系のものとしては脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル
塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレ
ンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキ
ルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン
縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、
及びこれらの置換誘導体等があり、ノニオン系のものと
しては、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエ−テル、ポリオキシエ
チレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポ
リオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステ
ル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマ
−、及びこれらの置換誘導体等が挙げられる。
【0036】樹脂分散剤としてはスチレン及びその誘導
体、ビニルナフタレン及びその誘導体、α,β−不飽和
カルボン酸の脂肪族アルコ−ルエステル等、アクリル酸
及びその誘導体、マレイン酸及びその誘導体、イタコン
酸及びその誘導体、フマ−ル酸及びその誘導体、酢酸ビ
ニル、ビニルアルコ−ル、ビニルピロリドン、アクリル
アミド、及びその誘導体等から選ばれる少なくとも2つ
以上の単量体(このうち少なくとも1つは親水性単量
体)からなるブロック共重合体、ランダム共重合体及び
グラフト共重合体、並びにこれらの塩などを挙げること
ができる。これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に
可溶なアルカリ可溶型樹脂であることが好ましい。
【0037】また本発明及び本発明に使用するインク
は、水を主成分とし、インク全重量に対して10〜93
重量%、好ましくは25〜87重量%、より好ましくは
30〜82重量%の範囲で含有することが好ましい。更
に、水溶性有機溶剤を使用することによって、本発明の
効果をより顕著にすることもできる。そのような溶剤と
しては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピ
ルアルコール等の1価アルコール類、アセトン、ジアセ
トンアルコールなどのケトン又はケトアルコール類;テ
トラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチ
レングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピ
レングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレ
ン付加重合体;エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、
ヘキシレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭
素原子を含むアルキレングリコール類;1,2,6−ヘ
キサントリオール等のトリオール類;チオジグリコー
ル;ビスヒドロキシエチルスルホン;グリセリン;エチ
レングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジ
エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテ
ル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)
エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル
類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エ
ーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチ
ル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエー
テル類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2
−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノ
ン等が挙げられる。上記水溶性有機溶剤の含有量は、一
般的にはインクの全重量に対して重量%で0〜50%、
好ましくは2〜45%の範囲である。
【0038】上記のごとき媒体を併用する場合は単独で
も混合物としても使用できるが、最も好ましい液媒体組
成は、該溶剤が少なくとも1種の1価または多価アルコ
ール及びその誘導体を含有するものである。中でもチオ
ジグリコール、ビスヒドロキシエチルスルホン、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、トリエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリ
コールジメチルエーテル、エタノールは特に良好なもの
である。
【0039】本発明及び本発明の捺染方法に使用される
インクの主成分は上記の通りであるが、その他各種の分
散剤、界面活性剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、蛍光
増白剤等を必要に応じて添加することができる。
【0040】次に、シアンインクとブル−インクを用い
た本発明を特徴づける捺染方法について説明する。
【0041】本発明は、少なくともシアン及びブル−の
分散染料をそれぞれ含有するシアンインク及びブル−イ
ンクのインクを布帛上で重ね合わせて用い、重なり部分
のシアン染料とブル−染料の打ち込み比が重量比で1
0:1〜100:1、好ましくは12:1〜50:1、
より好ましくは15:1〜50:1の範囲とすることに
特徴がある。シアン染料の打ち込み比が100:1未満
となるとシアンの色相表現として濃色化の効果が認めら
れず、また10:1を越えるとブル−の色相が強過ぎて
減法混色法に用いるシアンとしては不適となり、イエロ
−との混色によるグリ−ン表現においても彩度の著しい
低下を引き起こし問題となる。
【0042】使用するインクジェット記録方式は、従来
公知のいずれのインクジェット記録方式でも良いが、例
えば、特開昭54−59936号公報に記載されている
方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体
積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、イ
ンクをノズルから吐出させる方式が最も有効である。そ
の理由としては、上記方式は複数のノズルを有する記録
ヘッドを用いる場合、各ノズル間のインクの吐出速度の
ばらつきが小さく、インクの吐出速度が5〜20m/s
ecの範囲に集約されいることがあげられる。この速度
で分散染料を含むインクが布帛に衝突した場合の着滴時
の液滴の繊維に対する浸透の具合が最適である。またこ
の様な方式において本発明に使用するインク中に列挙し
た染料を用いると、長時間連続的に記録を行ってもその
ヒーター上の異物の沈着や断線が発生せず、安定した印
捺が可能となる。
【0043】更に本発明で、特に効果の高い捺染方法が
得られる条件としては、吐出液滴が20〜200pl、
インク打込量が4〜40nl/mm2 、駆動周波数1.
5KHz以上、及びヘッド温度35〜60℃の条件が好
ましい。
【0044】本発明のインクを用いて捺染を行うのに好
適な装置の一例として、記録ヘッドの室内のインクに記
録信号に対応した熱エネルギーを与え、該熱エネルギー
よりに滴を発生させる装置が挙げられるが、以下にこれ
について説明する。
【0045】その装置の主要部であるヘッド構成例を図
1、図2及び図3に示す。
【0046】ヘッド13はインクを通す溝14を有する
ガラス、セラミックスまたはプラスチック板等と、感熱
記録に用いられる発熱ヘッド15(図ではヘッドが示さ
れているが、これに限定されるものではない)とを接着
して得られる。発熱ヘッド15は酸化シリコン等で形成
される保護膜16、アルミニウム電極17−1、17−
2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層18、蓄熱層
19、アルミナ等の放熱性のよい基板20よりなってい
る。
【0047】インク21は吐出オリフィス(微細孔)2
2まで来ており、圧力Pによりメニスカス23を形成し
ている。
【0048】今、電極17−1、17−2に電気信号が
加わると、発熱ヘッド15のnで示される領域が急激に
発熱し、ここに接しているインク21に気泡が発生し、
その圧力でメニスカス23が突出し、インク21が吐出
し、オリフィス22より記録小滴24となり、分散染料
で染色可能な繊維を含有する布帛25に向かって飛翔す
る。図3には図1に示すヘッドを多数並べたマルチヘッ
ドの外観図を示す。該マルチヘッドはマルチ溝26を有
するガラス板27と、図1に説明したものと同様な発熱
ヘッド28を密着して製作されている。尚、図1は、イ
ンク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図2は図
1の2−2線での切断面である。
【0049】図4にかかるヘッドを組み込んだインクジ
ェット記録装置の一例を示す。
【0050】図4において、61はワイピング部材とし
てのブレードであり、その一端はブレード保持部材によ
って保持されて固定端となり、カンチレバーの形態をな
す。ブレード61は記録ヘッドによる記録領域に隣接し
た位置に配設され、又、本例の場合、記録ヘッドの移動
経路中に突出した形態で保持される。62はキャップで
あり、ブレード61に隣接するホームポジションに配設
され、記録ヘッドの移動方向と垂直な方向に移動して吐
出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更
に63はブレード61に隣接して設けられる吸収体であ
り、ブレード61と同様、記録ヘッドの移動経路中に突
出した形態で保持される。上記ブレード61、キャップ
62、吸収体63によって吐出回復部64が構成され、
ブレード61及び吸収体63によってインク吐出口面に
水分、塵埃等の除去が行われる。
【0051】65は吐出エネルギー発生手段を有し、吐
出口を配した吐出口面に対向する布帛にインクを吐出し
て記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載
して記録ヘッド65の移動を行う為のキャリッジであ
る。キャリッジ66はガイド軸67と慴動可能に係合
し、キャリッジ66の一部はモータ68によって駆動さ
れるベルト69と接続(不図示)している。これにより
キャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能とな
り、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領
域の移動が可能となる。
【0052】51は布帛を挿入する為の給布部、52は
不図示のモータにより駆動される布送りローラである。
これらの構成によって記録ヘッドの吐出口面と対向する
位置へ布帛が給布され記録が進行するにつれて排布ロー
ラ53を配した排布部へ排布される。
【0053】上記構成において記録ヘッド65が記録終
了等でホームポジションに戻る際、ヘッド回復部64の
キャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避して
いるが、ブレード61は移動経路中に突出している。こ
の結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされ
る。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接
してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッ
ドの移動経路中に突出する様に移動する。
【0054】記録ヘッド65がホームポジションから記
録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード
61は上述したワイピング時の位置と同一の位置にあ
る。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐
出口面はワイピングされる。
【0055】上述の記録ヘッドのホームポジションへの
移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘ
ッドが記録の為に記録領域を移動する間に所定の間隔で
記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移
動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0056】図5は、ヘッドにインク供給部材、例えば
チューブを介して供給されるインクを収容したインクカ
ートリッジの一例を示す図である。ここで40は供給用
インクを収容したインク収容部、例えば、インク袋であ
り、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。こ
の栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク
袋40中のインクをヘッドに供給可能ならしめる。44
は廃インクを受容する吸収体である。インク収容部とし
ては、インクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエ
チレンで形成されているものが本発明にとって好まし
い。本発明で使用されるインクジェット記録装置として
は、上記の如きヘッドとインクカートリッジとが別体に
なったものに限らず、図6に示す如きそれらが一体にな
ったものにも好適に用いられる。
【0057】図6において、70は記録ユニットであっ
て、この中にはインクを収容したインク収容部、例え
ば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収
体中のインクが複数のオリフィスを有するヘッド部71
からインク滴として吐出される構成になっている。イン
ク吸収体の材料としては、ポリウレタンを用いることが
本発明にとって好ましい。72は記録ユニット内部を大
気に連通させる為の大気連通口である。この記録ユニッ
ト70は、図4で示す記録ヘッドに代えて用いられるも
のであって、キャリッジ66に対し着脱自在になってい
る。
【0058】以上の如くして本発明に使用されるインク
は、布帛上に付与されるがこの状態では単に付着してい
るに過ぎないので、引続き繊維への染料の反応定着工程
及び未定着の染料の除去工程を施すことが必須である。
この様な反応定着工程及び未定着の染料の除去方法は、
定着法に関しては、HTスチ−ミング法またはサ−モゾ
ル法を用いた場合、本発明の効果が顕著である。さらに
HTスチ−ミング法の場合、140℃〜180℃で2分
〜30分間の処理条件の場合が好ましく、160℃〜1
80℃で6分〜8分間の処理条件の場合がより好まし
い。サ−モゾル法の場合は、160℃〜210℃で10
秒〜5分の処理条件の場合が好ましく、180℃〜21
0℃で20秒〜2分の処理条件の場合がより好ましい。
また、除去方法に関しては、従来公知の方法で行えば良
いが、特に還元洗浄を行うことが好ましい。
【0059】なお以上述べた処理が施された布帛は、そ
の後所望の大きさに切り離され、その切り離された片
は、縫着、接着、溶着などの最終的な加工品を得るため
の工程を施され、ワンピース、ドレス、ネクタイ、水着
などの衣類や布団カバー、ソファーカバー、ハンカチ、
カーテンなどを得ることができる。布帛を縫製などによ
って加工して衣類その他の日用品とする方法は、例えば
「最新ニット縫製マニュアル」(センイジャーナル社発
行)や月刊誌「装苑」(文化出版局発行)など、公知の
書籍に多数記載されている。
【0060】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に
具体的に説明する。尚、文中部及び%とあるのは特に断
りのない限り重量基準である。
【0061】実施例1布帛(A)の作成 平均太さ2dのポリエステルフイラメント繊維からなる
平均太さ40dのポリエステル糸からなる平織布を、予
め濃度10%の尿素の水溶液に浸し、絞り率60%で脱
水後乾燥し、布帛の水分率を7%に調整した。
【0062】分散染料液(I〜II)の作成 βナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物 20部 イオン交換水 55部 ジエチレングリコール 10部 上記成分を混合し、この溶液に新たに下記分散染料15
部をそれぞれ加え、30分間プレミキシングを行った
後、下記の条件で分散処理を行った。
【0063】 分散染料 C.I.ディスパーズ ブルー 60(分散染料液I用) C.I.ディスパーズ ブルー 183(分散染料液II用) 分散機 サンドグラインダー(五十嵐機械製) 粉砕メディア ジルコニウムビーズ1mm径 粉砕メディアの充填率 50%(体積) 回転数 1500rpm 粉砕時間 3時間 さらに、フロロポアフィルターFP−250(住友電工
社製)にてろ過し粗大粒子を除去して分散染料液(I〜
II)を得た。
【0064】インク(a)の製造 上記分散染料液(I) 40部 チオジグリコール 24部 ジエチレングリコール 11部 メタケイ酸ナトリウム 0.0005部 硫酸鉄 0.001部 塩化ニッケル 0.0003部 硫酸亜鉛 0.0003部 塩化カルシウム 0.002部 イオン交換水 25部 上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナトリウムでp
H8に調整し、2時間攪拌した後、フロロポアフィルタ
ーFP−100(商品名、住友電工製)にてろ過し、イ
ンク(a)を得た。
【0065】インク(b)の製造 上記分散染料液(II) 30部 チオジグリコール 15部 ジエチレングリコール 10部 テトラエチレングリコールジメチルエーテル 5部 メタケイ酸ナトリウム 0.0005部 硫酸鉄 0.001部 塩化ニッケル 0.0003部 硫酸亜鉛 0.0003部 塩化カルシウム 0.002部 イオン交換水 40部 上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナトリウムでp
H8に調整し、2時間攪拌した後、フロロポアフィルタ
ーFP−100(商品名、住友電工製)にてろ過し、イ
ンク(b)を得た。
【0066】この様にして得られたインク(a、b)を
カラーバブルジェットプリンターBJC600(商品
名、キヤノン製)に搭載し、上記の織布(A)に表1に
示した様に各インクの印字密度及びインクの打ち込み順
序を調整し2色インク混色のサンプルのプリントを行
い、180℃で8分間の蒸熱処理による定着を行った。
その後、これを水洗及び還元洗浄して、染色品の色相、
濃度及び発色安定性について評価した。その結果を表1
に示す。表1から明らかなように、インクの打ち込み順
序が変わっても発色安定性が良好で、かつシアン色相の
濃色が得られた。
【0067】実施例2分散染料液(III〜IV)の作成 リグニンスルホン酸ナトリウム 15部 イオン交換水 55部 ジエチレングリコール 15部 上記成分を混合し、この溶液に新たに下記分散染料15
部をそれぞれ加え、30分間プレミキシングを行った
後、下記の条件で分散処理を行った。
【0068】 分散染料 C.I.ディスパーズ ブルー 87(分散染料液III用) C.I.ディスパーズ ブルー 214(分散染料液IV用) 分散機 サンドグラインダー(五十嵐機械製) 粉砕メディア ガラスビーズ0.5mm径 粉砕メディアの充填率 70%(体積) 回転数 1500rpm 粉砕時間 3時間 さらに、フロロポアフィルターFP−250(住友電工
社製)にてろ過し粗大粒子を除去して分散染料液(II
I〜IV)を得た。
【0069】インク(c)の製造 上記分散染料液(III) 30部 チオジグリコール 19部 ジエチレングリコール 11部 イソプロピルアルコール 5部 メタケイ酸ナトリウム 0.0005部 硫酸鉄 0.001部 塩化ニッケル 0.0003部 硫酸亜鉛 0.0003部 塩化カルシウム 0.002部 イオン交換水 35部 上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナトリウムでp
H8に調整し、2時間攪拌した後、フロロポアフィルタ
ーFP−100(商品名、住友電工製)にてろ過し、イ
ンク(c)を得た。
【0070】インク(d)の製造 上記分散染料液(IV) 30部 チオジグリコール 15部 ジエチレングリコール 10部 トリエチレングリコール 5部 メタケイ酸ナトリウム 0.0005部 硫酸鉄 0.001部 塩化ニッケル 0.0003部 硫酸亜鉛 0.0003部 塩化カルシウム 0.002部 イオン交換水 40部 上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナトリウムでp
H8に調整し、2時間攪拌した後、フロロポアフィルタ
ーFP−100(商品名、住友電工製)にてろ過し、イ
ンク(d)を得た。
【0071】この様にして得られたインク(c、d)を
使用し、実施例1で使用した織布(A)に同様の方法で
プリントを行った。ついで180℃で8分間蒸熱処理を
行った。その後、これを水洗及び還元洗浄して、染色品
の色相、濃度及び発色安定性について評価した。その結
果を表1に示す。表1から明らかなとおり、インクの打
ち込み順序が変わっても発色安定性が良好で、かつシア
ン色相の濃色が得られた。
【0072】実施例3布帛(B)の作成 平均太さ0.7dのポリエステルフィラメント繊維から
なる平均太さ70dのポリエステル糸からなる平織布
を、予め濃度1%のカルボキシメチルセルロースの水溶
液に浸し、絞り率60%で脱水後乾燥し、布帛の水分率
を10%に調整した。
【0073】分散染料液(V〜VI)の作成 ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム 5部 β−ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物 10部 イオン交換水 55部 エチレングリコール 20部 上記成分を混合し、この溶液に新たに下記分散染料10
部をそれぞれ加え、30分間プレミキシングを行った
後、下記の条件で分散処理を行った。
【0074】 分散染料 C.I.ディスパーズ ブルー 185(分散染料液V用) C.I.ディスパーズ ブルー 165(分散染料液VI用) 分散機 サンドグラインダー(五十嵐機械製) 粉砕メディア ガラスビーズ1mm径 粉砕メディアの充填率 50%(体積) 回転数 1500rpm 粉砕時間 3時間 さらに、フロロポアフィルターFP−250(住友電工
社製)にてろ過し粗大粒子を除去して分散染料液(V〜
VI)を得た。
【0075】インク(e)の製造 上記分散染料液(V) 30部 チオジグリコール 24部 ジエチレングリコール 11部 メタケイ酸ナトリウム 0.0005部 硫酸鉄 0.001部 塩化ニッケル 0.0003部 硫酸亜鉛 0.0003部 塩化カルシウム 0.002部 イオン交換水 35部 上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナトリウムでp
H8に調整し、2時間攪拌した後、フロロポアフィルタ
ーFP−100(商品名、住友電工製)にてろ過し、イ
ンク(e)を得た。
【0076】インク(f)の製造 上記分散染料液(VI) 35部 チオジグリコール 20部 ジエチレングリコール 10部 メタケイ酸ナトリウム 0.0005部 硫酸鉄 0.001部 塩化ニッケル 0.0003部 硫酸亜鉛 0.0003部 塩化カルシウム 0.002部 イオン交換水 35部 上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナトリウムでp
H8に調整し、2時間攪拌した後、フロロポアフィルタ
ーFP−100(商品名、住友電工製)にてろ過し、イ
ンク(f)を得た。
【0077】この様にして得られたインク(e、f)を
使用し、上記の織布(B)に同様の方法でプリントを行
った。ついで180℃で8分間蒸熱処理を行った。その
後、これを水洗及び還元洗浄して、染色品の色相、濃度
及び発色安定性について評価した。その結果を表1に示
す。表1から明らかなとおり、インクの打ち込み順序が
変わっても発色安定性が良好で、かつシアン色相の濃色
が得られた。
【0078】実施例4分散染料液(VII〜VIII)の作成 ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム 5部 β−ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物 10部 イオン交換水 55部 エチレングリコール 20部 上記成分を混合し、この溶液に新たに下記分散染料10
部をそれぞれ加え、30分間プレミキシングを行った
後、下記の条件で分散処理を行った。
【0079】 分散染料 C.I.ディスパーズ ブルー 143(分散染料液VII用 ) C.I.ディスパーズ ブルー 79(分散染料液VIII 用) 分散機 サンドグラインダー(五十嵐機械製) 粉砕メディア ガラスビーズ1mm径 粉砕メディアの充填率 50%(体積) 回転数 1500rpm 粉砕時間 3時間 さらに、フロロポアフィルターFP−250(住友電工
社製)にてろ過し粗大粒子を除去して分散染料液(VI
I〜VIII)を得た。
【0080】インク(g)の製造 上記分散染料液(VII) 30部 チオジグリコール 24部 ジエチレングリコール 11部 メタケイ酸ナトリウム 0.0005部 硫酸鉄 0.001部 塩化ニッケル 0.0003部 硫酸亜鉛 0.0003部 塩化カルシウム 0.002部 イオン交換水 35部 上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナトリウムでp
H8に調整し、2時間攪拌した後、フロロポアフィルタ
ーFP−100(商品名、住友電工製)にてろ過し、イ
ンク(g)を得た。
【0081】インク(h)の製造 上記分散染料液(VIII) 35部 チオジグリコール 20部 ジエチレングリコール 10部 メタケイ酸ナトリウム 0.0005部 硫酸鉄 0.001部 塩化ニッケル 0.0003部 硫酸亜鉛 0.0003部 塩化カルシウム 0.002部 イオン交換水 35部 上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナトリウムでp
H8に調整し、2時間攪拌した後、フロロポアフィルタ
ーFP−100(商品名、住友電工製)にてろ過し、イ
ンク(h)を得た。
【0082】この様にして得られたインク(g、h)を
使用し、実施例3の織布(B)に同様の方法でプリント
を行った。ついで200℃で40秒間サーモゾル処理を
行った。その後、これを水洗及び還元洗浄して、染色品
の色相、濃度及び発色安定性について評価した。その結
果を表1に示す。表1から明らかなとおり、インクの打
ち込み順序が変わっても発色安定性が良好で、かつシア
ン色相の濃色が得られた。
【0083】比較例1 実施例1で使用したインク(a、b)を使用し、実施例
1の織布(A)に同様の方法で表1に示したようにプリ
ントを行った。ついで180℃で8分間蒸熱処理を行っ
た。その後、これを水洗及び還元洗浄して、染色品の色
相、濃度及び発色安定性について評価した。その結果を
表1に示す。実施例1に比べて発色安定性及び色相が悪
化し、濃度も低くなった。
【0084】比較例2 実施例2で使用したインクジェット捺染インク(c、
d)を使用し、実施例2の織布(A)に同様の方法で表
1に示したようにプリントを行った。ついで180℃で
8分間蒸熱処理を行った。その後、これを水洗及び還元
洗浄して、染色品の色相、濃度及び発色安定性について
評価した。その結果を表1に示す。実施例2に比べて発
色安定性及び色相が悪化し、濃度も低くなった。
【0085】実施例5インク(i)の製造 分散染料液(I) 38部 分散染料液(II) 2部 チオジグリコール 24部 ジエチレングリコール 11部 メタケイ酸ナトリウム 0.0005部 硫酸鉄 0.001部 塩化ニッケル 0.0003部 硫酸亜鉛 0.0003部 塩化カルシウム 0.002部 イオン交換水 25部 上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナトリウムでp
H8に調整し、2時間攪拌した後、フロロポアフィルタ
ーFP−100(商品名、住友電工製)にてろ過し、本
発明のインクジェット捺染インク(i)を得た。
【0086】この様にして得られたインクジェット捺染
インク(i)をカラーバブルジェットプリンターBJC
600(商品名、キヤノン製)に搭載し、実施例1の織
布(A)に印字密度100%及び200%のサンプルの
プリントを行い、180℃で8分間の蒸熱処理による定
着を行った。その後、これを水洗及び還元洗浄して、染
色品の色相及び濃度について評価した。その結果を表2
に示す。表2から明らかなとおり、シアン色相の濃色が
得られた。
【0087】実施例6インク(j)の製造 分散染料液(I) 39.2部 分散染料液(II) 0.8部 チオジグリコール 24部 ジエチレングリコール 11部 メタケイ酸ナトリウム 0.0005部 硫酸鉄 0.001部 塩化ニッケル 0.0003部 硫酸亜鉛 0.0003部 塩化カルシウム 0.002部 イオン交換水 25部 上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナトリウムでp
H8に調整し、2時間攪拌した後、フロロポアフィルタ
ーFP−100(商品名、住友電工製)にてろ過し、本
発明のインクジェット捺染インク(j)を得た。
【0088】この様にして得られたインクジェット捺染
インク(j)を使用し、実施例1の織布(A)に実施例
5と同様の方法でプリントを行い、180℃で8分間の
蒸熱処理による定着を行った。その後、これを水洗及び
還元洗浄して、染色品の色相及び濃度について評価し
た。その結果を表2に示す。シアン色相の濃色が得られ
た。
【0089】実施例7インク(k)の製造 分散染料液(I) 37.5部 分散染料液(II) 2.5部 チオジグリコール 24部 ジエチレングリコール 11部 メタケイ酸ナトリウム 0.0005部 硫酸鉄 0.001部 塩化ニッケル 0.0003部 硫酸亜鉛 0.0003部 塩化カルシウム 0.002部 イオン交換水 25部 上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナトリウムでp
H8に調整し、2時間攪拌した後、フロロポアフィルタ
ーFP−100(商品名、住友電工製)にてろ過し、本
発明のインクジェット捺染インク(k)を得た。
【0090】この様にして得られたインクジェット捺染
インク(k)を使用し、実施例1の織布(A)に実施例
5と同様の方法でプリントを行い、180℃で8分間の
蒸熱処理による定着を行った。その後、これを水洗及び
還元洗浄して、染色品の色相及び濃度について評価し
た。その結果を表2に示す。シアン色相の濃色が得られ
た。
【0091】実施例8インク(l)の製造 分散染料液(V) 38.4部 分散染料液(VI) 1.6部 チオジグリコール 15部 ジエチレングリコール 10部 テトラエチレングリコールジメチルエーテル 7部 メタケイ酸ナトリウム 0.0005部 硫酸鉄 0.001部 塩化ニッケル 0.0003部 硫酸亜鉛 0.0003部 塩化カルシウム 0.002部 イオン交換水 28部 上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナトリウムでp
H8に調整し、2時間攪拌した後、フロロポアフィルタ
ーFP−100(商品名、住友電工製)にてろ過し、本
発明のインクジェット捺染インク(l)を得た。
【0092】この様にして得られたインクジェット捺染
インク(l)を使用し、実施例3の織布(B)に実施例
5と同様の方法でプリントを行い、180℃で8分間の
蒸熱処理による定着を行った。その後、これを水洗及び
還元洗浄して、染色品の色相及び濃度について評価し
た。その結果を表2に示す。シアン色相の濃色が得られ
た。
【0093】実施例9インク(m)の製造 分散染料液(VII) 38.7部 分散染料液(VIII) 1.3部 チオジグリコール 20部 ジエチレングリコール 6部 イソプロピルアルコール 4部 メタケイ酸ナトリウム 0.0005部 硫酸鉄 0.001部 塩化ニッケル 0.0003部 硫酸亜鉛 0.0003部 塩化カルシウム 0.002部 イオン交換水 30部 上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナトリウムでp
H8に調整し、2時間攪拌した後、フロロポアフィルタ
ーFP−100(商品名、住友電工製)にてろ過し、本
発明のインクジェット捺染インク(m)を得た。
【0094】この様にして得られたインクジェット捺染
インク(m)を使用し、実施例3の織布(B)に実施例
5と同様の方法でプリントを行い、200℃で40秒間
のサーモゾル処理による定着を行った。その後、これを
水洗及び還元洗浄して、染色品の色相及び濃度について
評価した。その結果を表2に示す。シアン色相の濃色が
得られた。
【0095】比較例3インク(n)の製造 分散染料液(I) 36部 分散染料液(II) 4部 チオジグリコール 24部 ジエチレングリコール 11部 メタケイ酸ナトリウム 0.0005部 硫酸鉄 0.001部 塩化ニッケル 0.0003部 硫酸亜鉛 0.0003部 塩化カルシウム 0.002部 イオン交換水 25部 上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナトリウムでp
H8に調整し、2時間攪拌した後、フロロポアフィルタ
ーFP−100(商品名、住友電工製)にてろ過し、イ
ンクジェット捺染インク(n)を得た。
【0096】この様にして得られたインクジェット捺染
インク(n)を使用し、実施例1の織布(A)に実施例
5と同様の方法でプリントを行い、180℃で8分間の
蒸熱処理による定着を行った。その後、これを水洗及び
還元洗浄して、染色品の色相及び濃度について評価し
た。その結果を表2に示す。実施例5〜7に比べて色相
がブルー領域に移行した。
【0097】比較例4インク(o)の製造 分散染料液(I) 39.63部 分散染料液(II) 0.37部 チオジグリコール 24部 ジエチレングリコール 11部 メタケイ酸ナトリウム 0.0005部 硫酸鉄 0.001部 塩化ニッケル 0.0003部 硫酸亜鉛 0.0003部 塩化カルシウム 0.002部 イオン交換水 25部 上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナトリウムでp
H8に調整し、2時間攪拌した後、フロロポアフィルタ
ーFP−100(商品名、住友電工製)にてろ過し、イ
ンクジェット捺染インク(o)を得た。
【0098】この様にして得られたインクジェット捺染
インク(o)を使用し、実施例1の織布(A)に実施例
5と同様の方法でプリントを行い、180℃で8分間の
蒸熱処理による定着を行った。その後、これを水洗及び
還元洗浄して、染色品の色相及び濃度について評価し
た。その結果を表2に示す。実施例5〜7に比べて濃度
が低くなった。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【発明の効果】以上説明した様に本発明の捺染方法によ
れば、高濃度で、鮮明なプリント物を得ることができ、
更にインクの打ち込み順序が多少変化しても、色調の変
化のない安定な画像を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッド部の縦断面図
【図2】インクジェット記録装置のヘッド部の横断面図
【図3】図1に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外
観斜視図
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図
【図5】インクカートリッジの縦断面図
【図6】記録ユニットの斜視図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 真理子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 高出 文 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 春田 昌宏 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともシアン及びブルーの分散染料
    をそれぞれ含有するシアン及びブルーのインクを、イン
    クジェット方式によって、分散染料により染色可能な繊
    維を含有する布帛に付与して捺染を行う方法であって、
    (a)前記2色のインクを少なくともその一部が重なる
    ように布帛上に付与する工程、(b)前記インクが付与
    された布帛を熱処理する工程、(c)前記熱処理した布
    帛を洗浄する工程、を少なくとも有し、前記重なり部の
    シアン染料とブルー染料の打ち込み比が重量比で10:
    1〜100:1の範囲にあることを特徴とする捺染方
    法。
  2. 【請求項2】 前記シアンインクが色素としてC.I.
    ディスパ−ズブル−60、87、87:1、143、1
    76、185及び198よりなる群の中から選ばれる少
    なくとも一種を含有し、ブルーインクがC.I.ディス
    パ−ズブル−56、73、79、79:1、113、1
    28、148、154、158、165、165:1、
    165:2、183、197、201、214、22
    4、225、257、266、267、287、358
    及び368よりなる群の中から選ばれる少なくとも一種
    を含有する請求項1に記載の捺染方法。
  3. 【請求項3】 前記熱処理が、高温蒸熱(HTスチ−ミ
    ング)法またはサ−モゾル法である請求項1に記載の捺
    染方法
  4. 【請求項4】 前記インクジェット方式が熱エネルギー
    を利用したインクを吐出させる方式である請求項1に記
    載の捺染方法。
  5. 【請求項5】 前記布帛が、水溶性金属塩、水溶性高分
    子、尿素、チオ尿素及び界面活性剤からなる群から選ば
    れる少なくとも1つの物質を布帛の乾燥重量に対して
    0.01〜20重量%含有する請求項1に記載の捺染方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の方法により捺染した捺
    染物。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の捺染物を加工して得ら
    れる加工品。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の捺染物を所定の大きさ
    に切り離して片とし、1つ以上の該片を加工して得られ
    る加工品。
  9. 【請求項9】 加工が縫製である請求項8に記載の加工
    品。
  10. 【請求項10】 シアン及びブルーの2色の染料が少な
    くとも一部重複した状態で染色された捺染物であって、
    前記重なり部のシアン染料とブルー染料の重量比が1
    0:1〜100:1の範囲にあることを特徴とする捺染
    物。
  11. 【請求項11】 前記シアン染料がC.I.ディスパ−
    ズブル−60、87、87:1、143、176、18
    5及び198よりなる群の中から選ばれる少なくとも一
    種であり、ブルー染料がC.I.ディスパ−ズブル−5
    6、73、79,79:1、113、128、148、
    154、158、165、165:1、165:2、1
    83、197、201、214、224、225、25
    7、266、267、287、358及び368よりな
    る群の中から選ばれる少なくとも一種である請求項10
    に記載の捺染物。
  12. 【請求項12】 少なくともシアン及びブルーの2種の
    分散染料と水性液媒体とを含むインクジェット捺染用イ
    ンクであって、シアン染料とブルー染料の含有重量比が
    10:1〜100:1の範囲にあることを特徴とするイ
    ンクジェット捺染用インク。
  13. 【請求項13】 前記シアン染料がC.I.ディスパ−
    ズブル−60、87、87:1、143、176、18
    5及び198よりなる群の中から選ばれる少なくとも一
    種であり、ブルー染料がC.I.ディスパ−ズブル−5
    6、73、79、79:1、113、128、148、
    154、158、165、165:1、165:2、1
    83、197、201、214、224、225、25
    7、266、267、287、358及び368よりな
    る群の中から選ばれる少なくとも一種である請求項12
    に記載のインクジェット捺染用インク。
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