JPH09111673A - インクジェット捺染方法、捺染装置、捺染用インクセット、及び捺染物 - Google Patents

インクジェット捺染方法、捺染装置、捺染用インクセット、及び捺染物

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JPH09111673A
JPH09111673A JP27130995A JP27130995A JPH09111673A JP H09111673 A JPH09111673 A JP H09111673A JP 27130995 A JP27130995 A JP 27130995A JP 27130995 A JP27130995 A JP 27130995A JP H09111673 A JPH09111673 A JP H09111673A
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JP
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ink
blue
violet
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disperse
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JP27130995A
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English (en)
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Shoji Koike
祥司 小池
Tomoya Yamamoto
智也 山本
Mariko Suzuki
真理子 鈴木
Shinichi Hakamata
慎一 袴田
Masahiro Haruta
昌宏 春田
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バイオレット系からブルー系の領域の色再現
範囲が広い捺染物を再現性よく提供する。 【解決手段】 バイオレットとブルーの2色のインク
を、インクジェット方式により布帛上に付与してプリン
トを行う方法であって、(a)前記2色のインクを少な
くとも一部が重なるように布帛上に付与する工程、
(b)前記インクが付与された布帛を熱処理する工程、
(c)前記熱処理した布帛を洗浄する工程、の3工程を
少なくとも有し、前記布帛がポリエステルからなり、前
記インクがいずれも色素、この色素を分散する化合物、
及び水性液媒体を少なくとも含有し、且つ、前記バイオ
レットインクと前記ブルーインクがそれぞれ特定の色素
を含有することを特徴とするインクジェット捺染方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット捺
染方法、捺染装置、捺染用インクセット、及び捺染物に
関する。
【0002】
【従来の技術】現在、捺染の主流はスクリーン捺染やロ
ーラー捺染である。しかしながら、これらの方式は、多
品種少量生産に不向きであり、流行への迅速な対応も困
難であることから、最近では、無製版の電子捺染システ
ムの確立が要望されている。
【0003】この要望に対して、インクジェット方式に
よる捺染方法が数多く提案されており各方面からの期待
も大きくなっている。
【0004】従来のインクジェット捺染方法の課題とし
ては、(1)発色に十分な濃度を与えること、(2)色
素の布帛に対する染着率が高く、洗浄工程後の廃水処理
が容易であること、(3)布帛上で異色間の混色による
不規則なにじみが目立たないこと、(4)色再現の範囲
が広いこと、(5)常に安定した生産が可能であるこ
と、等が挙げられる。
【0005】これらの課題を満足させるために、従来に
おいては、主としてインクに様々な添加剤を加えたり、
インクの打込み量を操作したり、布帛に前もって処理を
施す等の対応を行ってきた。
【0006】また、分散染料を用いて捺染を行う布帛、
例えば、ポリエステル布帛に対するインクジェット捺染
方法として、昇華温度が180℃以上の分散染料を使用
する方法が開示されている(特開昭61−118477
号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、昇華温
度のみに着目した分散染料を色素として用いたインクで
捺染を行うと、各インクを単独で染着させた場合には良
好な発色を示すが、インクを布帛上で混色させた場合
は、使用する染料の組み合わせによって、染着後の濃度
や色調、同じ染着条件で繰り返し染着したときの再現性
が非常に悪くなり、上記の課題(1)・(4)・(5)
等を同時に満たさなくなる場合が多く、様々な色表現を
行うためには、かかる方法では不十分であった。
【0008】したがって、従来の技術だけでは、前述し
た各種の要求項目、とりわけ課題(5)を十分に満たす
ことは不可能であった。
【0009】また、上記課題(4)の色再現範囲の広さ
がどこまでだせるかが、インクジェット捺染方法を広く
普及させるためには重要である。なぜならば、従来の捺
染では、色ごとに捺染糊を調合するため、非常に多くの
色調の染料を自由に採用できたのに対し、インクジェッ
ト方式による捺染では、インクを布帛上で混色させて色
のバリエーションを得るため、使用するインクの色は数
種類に限られてしまう。
【0010】従来の紙等の被記録材へのインクジェット
プリントでは、イエロー・マゼンタ・シアンの3原色に
より減法混色で全ての色を表すことが多かった。しか
し、インクジェット捺染においては、ポリエステルを主
体とするような布帛に対して分散染料を含有するインク
を用いて捺染する際、特にバイオレット系からブルー系
の色再現性は、マゼンタとシアンの混色による手法のみ
では従来の捺染なみの色調や彩度が表現しきれなかっ
た。
【0011】特開平7−26476号公報には上記の課
題に対する発明が開示されているが、より豊かで深みの
あるバイオレット系からブルー系の色再現性の拡大(数
値には表しにくい)が更に要望されている。
【0012】そこで本発明の目的は、分散染料で染色可
能な繊維を主体として構成される布帛にインクジェット
捺染する際に、上述の問題を解決すること、特に、バイ
オレット系からブルー系にかけての色再現範囲が従来技
術に比して格段に広い捺染物を得ることができ、更に、
加熱による染着処理条件が多少変化しても安定な画像を
得ることができる再現性のよいインクジェット捺染方法
を提供することである。また、この方法に用いるインク
ジェット捺染装置、捺染用インクセット、及び捺染物を
提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために種々の検討を重ねた結果、本発明を
完成した。
【0014】第1の発明は、少なくともバイオレットと
ブルーの2色のインクを、インクジェット方式により布
帛上に付与してプリントを行う方法であって、(a)前
記2色のインクを少なくとも一部が重なるように布帛上
に付与する工程、(b)前記インクが付与された布帛を
熱処理する工程、(c)前記熱処理した布帛を洗浄する
工程、の3工程を少なくとも有し、前記布帛が分散染料
で染色可能な繊維を含有し、前記インクがいずれも色
素、この色素を分散する化合物、及び水性液媒体を少な
くとも含有し、前記バイオレットインクがC.I.ディ
スパーズバイオレット26・28・40・43・48・
57・63・77・87・97よりなる群から選ばれる
少なくとも一種の色素を含有し、前記ブルーインクが
C.I.ディスパーズブルー56・73・79:1・1
13・128・148・154・158・165・16
5:1・165:2・183・197・201・214
・224・225・257・266・267・287・
358・368よりなる群から選ばれる少なくとも一種
の色素を含有することを特徴とするインクジェット捺染
方法に関する。
【0015】第2の発明は、布帛が、分散染料で染色可
能な繊維としてポリエステル繊維を含有する第1の発明
のインクジェット捺染方法に関する。
【0016】第3の発明は、工程(b)の熱処理が、高
温蒸熱法(HTスチーミング法)またはサーモゾル法で
ある第1又は第2の発明のインクジェット捺染方法に関
する。
【0017】第4の発明は、インクジェット方式が、熱
エネルギーを利用してインクを吐出させるインクジェッ
ト方式である第1、第2又は第3の発明のインクジェッ
ト捺染方法に関する。
【0018】第5の発明は、インクの吐出速度が5〜2
0m/secである第1〜第4のいずれかの発明のインク
ジェット捺染方法に関する。
【0019】第6の発明は、工程(a)より前に布帛の
前処理を行う第1〜第5のいずれかの発明のインクジェ
ット捺染方法に関する。
【0020】第7の発明は、第1〜第6のいずれかの発
明の方法に使用する少なくともバイオレットインクとブ
ルーインクを含む捺染用インクセットに関する。
【0021】第8の発明は、第1〜第6のいずれかの発
明の方法により捺染された捺染物に関する。
【0022】第9の発明は、バイオレットとブルーの2
色の色素が少なくとも一部重複した状態で捺染されてい
る捺染物であって、前記バイオレット色素がC.I.デ
ィスパーズバイオレット26・28・40・43・48
・57・63・77・87・97よりなる群から選ばれ
る少なくとも一種を含有し、前記ブルー色素がC.I.
ディスパーズブルー56・73・79:1・113・1
28・148・154・158・165・165:1・
165:2・183・197・201・214・224
・225・257・266・267・287・358・
368よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含有
し、且つ、前記捺染物が、分散染料で染色可能な繊維を
含有する布帛に捺染されたものであることを特徴とする
捺染物に関する。
【0023】第10の発明は、布帛が、分散染料で染色
可能な繊維としてポリエステル繊維を含むものである第
9の発明の捺染物。
【0024】第11の発明は、第8、第9又は第10の
発明の捺染物を加工して得られた加工品に関する。
【0025】第12の発明は、インクを収容したインク
収容部と、インクをインク滴として吐出させるための記
録ヘッドを備えた第1〜第6のいずれかの発明の方法に
用いる記録ユニットに関する。
【0026】第13の発明は、記録ヘッドが、インクに
熱エネルギーを作用させてインク滴を吐出させる記録ヘ
ッドである第12の発明の記録ユニットに関する。
【0027】第14の発明は、インクを収容したインク
収容部を備えた第1〜第6のいずれかの発明の方法に用
いるインクカートリッジに関する。
【0028】第15の発明は、インクを吐出するための
記録ヘッド、インクを収容したインク収容部を有するイ
ンクカートリッジ、及びこのインクカートリッジから前
記記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給部を
備えた第1〜第6のいずれかの発明の方法に用いるイン
クジェット捺染装置に関する。
【0029】第16の発明は、記録ヘッドが、インクに
熱エネルギーを作用させてインク滴を吐出させる記録ヘ
ッドである第15の発明のインクジェット捺染装置に関
する。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0031】本発明において使用する布帛は、分散染料
で染色可能な繊維を含有するものである。分散染料で染
色可能な繊維としては、ポリエステル、アセテート、ト
リアセテート等からなるものが好ましい。特に、ポリエ
ステルからなるものが好ましい。これらの繊維は織物、
編物、不織布等いずれの形態でも使用できる。
【0032】本発明に用いる布帛は、分散染料で染色可
能な繊維100%のものが好適であるが、混紡率30%
以上、好ましくは50%以上であれば、分散染料で染色
可能な繊維と他の素材とからなる布帛、例えばレーヨ
ン、綿、ポリウレタン、アクリル、ナイオン、羊毛、絹
等との混紡織布または混紡不織布等も本発明の捺染用布
帛として使用することができる。
【0033】本発明の方法に用いる布帛は、分散染料で
染色可能な繊維の混紡率が100%のものが好適である
が、混紡率が30%以上、好ましくは50%以上であれ
ば、分散染料で染色可能な繊維と他の素材との混紡織布
又は混紡不織布等を使用することができる。他の素材と
しては、例えば、レーヨン、綿、ポリウレタン、アクリ
ル、ナイロン、羊毛、絹等が挙げられる。
【0034】本発明の方法で使用する布帛は、必要に応
じて従来公知の前処理を行ってもよい。特に、尿素、水
溶性高分子、水溶性金属塩等を0.01〜20重量%含
有した処理液(例えば水溶液)を用いること好ましい。
布帛はこの処理液に浸し、脱水後、乾燥する。
【0035】上記水溶性高分子の例としては、トウモロ
コシ・小麦等のデンプン物質、カルボキシメチルセルロ
ース・メチルセルロース・ヒドロキシエチルセルロース
等のセルロース系物質、アルギン酸ナトリウム・アラビ
ヤゴム・ローカストビーンガム・トラントガム・グアー
ガム・タマリンド種子等の多糖類、ゼラチン・カゼイン
等の蛋白質物質、タンニン系物質・リグニン系物質等の
公知の天然水溶性高分子が挙げられる。また、合成高分
子の例としては、例えば、公知のポリビニルアルコール
系化合物、ポリエチレンオキサイド系化合物、アクリル
酸系水溶性高分子、無水マレイン酸系水溶性高分子等が
挙げられる。これらの中でも多糖類系高分子やセルロー
ス系高分子が好ましい。
【0036】上記水溶性金属塩としては、例えばアルカ
リ金属やアルカリ土類金属のハロゲン化物のように、典
型的なイオン結晶を形成するものであって、pH4〜1
0に調整可能な化合物が挙げられる。このような化合物
の代表的な例としては、例えば、アルカリ金属では、N
aCl、Na2SO4、KCl、CH3COONa等が挙
げられ、アルカリ土類金属としてはCaCl2、MgC
2等が挙げられる。なかでも、Na、K、Caの塩類
が好ましい。
【0037】次に、本発明に用いるインクに含有される
バイオレット及びブルーの色素について説明する。これ
は本発明を主に特徴づけるものである。
【0038】従来のイエロー・マゼンタ・シアンで表現
される減法混色法によれば、マゼンタ及びシアンの2つ
のインクの各々を制御することによりバイオレット系か
らブルー系の色相をカバーすることができる。しかしな
がら、濃度の薄い領域で、彩度の高いバイオレットを表
現しようとするときや、ライトブルー・マリンブルー等
を表現したいときなどは、減法混色法では難しく、シア
ンよりも赤みや深みのある青色の色素を含有するインク
が特に必須となる。さらに、この青色の色素としては、
本発明では青色の色相をもつ分散染料が用いられるが、
係る色素は単に色相から選択できるものではなく、染色
特性や吐出特性等の観点からも考慮する必要があり極め
て限定されたものとなる。
【0039】本発明者らは、各種の分散染料を含有する
インクを作製し、前述した布帛上でこれらのインクを混
色させ染色させると、通常の捺染方法に比べて従来のイ
ンクジェット捺染方法は、使用する染料の組み合わせに
よって、染着後の濃度や色調、さらには繰り返し同じ染
着条件で先着したときの再現性が非常に悪くことを発見
した。この現象は、高温蒸熱法(HTスチーミング法)
やサーモゾル法による染着処理を採用した場合、特に顕
著であった。
【0040】従来の捺染方法においても、ポリエステル
の「浸染」染色等で2種類の分散染料を一浴で染めよう
とした場合に、その2種類の染料の相性によって、稀に
染色濃度が異なることがあることは知られており、この
現象は、その2種類の染料が水中でどのような構成をと
っているか(互い独立しているのか、結合しているの
か)に起因するといわれている(「解説 染料化学」色
染社)。しかし、これは「浸染」染色特有の問題であ
り、従来の捺染方法では、この問題はほとんど議論され
ていなかった。
【0041】ところが、インクジェット捺染方法におい
ては、染料の組み合わせによる差が「浸染」染色以上に
顕著である。この理由は定かではないが、インクジェッ
ト捺染方法のようにインク小滴を布帛に順次着滴させる
方法においては、付与される染料の絶対量が少ないこと
や、ドット表現であること等により、染料の組み合わせ
による差が従来の捺染方法よりも格段に明確に発現する
ためと考えられる。
【0042】本発明者らは、上記問題を鑑みて鋭意検討
を行い、以下に記載する非常に限られた色素を使用する
ことにより、特定色素の組み合わせによって、染着後の
濃度や色調が変化したりせず、染着後の色再現性も非常
に安定し、さらにバイオレット系からブルー系にかけて
の色再現範囲が格段に広くなることを見い出した。
【0043】すなわち、本発明に使用する色素は以下の
ものに限られる。
【0044】バイオレットインク中の色素としては、
C.I.ディスパーズバイオレット26・28・40・
43・48・57・63・77・87・97よりなる群
から選ばれる少なくとも1種であり、中でもC.I.デ
ィスパーズバイオレット26・43・77・97よりな
る郡から選ばれる少なくとも1種がより好ましい色素で
ある。
【0045】ブルーインク中の色素としては、C.I.
ディスパーズブルー56・73・79:1・113・1
28・148・154・158・165・165:1・
165:2・183・197・201・214・224
・225・257・266・267・287・358・
368よりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
中でもC.I.ディスパーズブルー56・73・79:
1・128・154・165・183・201・214
・224・257・266・267・287・368よ
りなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
【0046】これらの色素は、本発明のバイオレットイ
ンク及びブルーインクに、それぞれ少なくとも1種以上
含有される。含有量は、インク全重量に対して合計で
0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、
より好ましくは1〜10重量%の範囲である。
【0047】本発明におけるインクは、少なくとも、上
述した色素、この色素を分散する化合物、及び水性液媒
体からなる。
【0048】前記色素を分散する化合物としては、いわ
ゆる分散剤、界面活性剤、樹脂分散剤等を用いることが
できる。
【0049】上記分散剤または界面活性剤としては、ア
ニオン系・ノニオン系のいずれも使用できるが、アニオ
ン系のものとしては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル
塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレ
ンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキ
ルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン
縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、
これらの置換誘導体等が挙げられる。ノニオン系のもの
としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシ
エチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステ
ル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマ
ー、これらの置換誘導体等が挙げられる。
【0050】上記樹脂分散剤としては、スチレン及びそ
の誘導体、ビニルナフタレン及びその誘導体、α,β−
エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステ
ル、アクリル酸及びその誘導体、マレイン酸及びその誘
導体、イタコン酸及びその誘導体、フマール酸及びその
誘導体、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリ
ドン、アクリルアミド、これらの誘導体等から選ばれた
少なくとも2つ以上の単量体(このうち少なくとも1つ
は親水性単量体)からなるブロック共重合体、ランダム
共重合体及びグラフト共重合体、並びにこれらの塩等を
挙げることができる。これらの樹脂は、塩基を溶解させ
た水溶液に可溶な、アルカリ可溶型樹脂であることが好
ましい。
【0051】本発明におけるインクは、水性液媒体を含
有し、その必須成分である水を、インク全重量に対して
10〜93重量%、好ましくは25〜87重量%、より
好ましくは30〜82重量%の範囲で含有することが好
ましい。
【0052】さらに、水性液媒体として、水溶性有機溶
剤を使用することによって、本発明の効果をより顕著に
することもできる。そのような溶剤としては、例えば、
メタノール・エタノール・イソプロピルアルコール等の
一価アルコール類、アセトン・ジアセトンアルコール等
のケトン又はケトアルコール類、テトラヒドロフラン・
ジオキサン等のエーテル類、ジエチレングリコール・ト
リエチレングリコール・テトラエチレングリコール・ジ
プロピレングリコール・トリプロピレングリコール・ポ
リエチレングリコール・ポリプロピレングリコール等の
オキシエチレン又はオキシプロピレン付加重合体、エチ
レングリコール・プロピレングリコール・トリメチルグ
リコール・ブチレングリコール・ヘキシレングリコール
等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレ
ングリコール類、1,2,6−ヘキサトリオール等のト
リオール類、チオジグリコール、ビスヒドロキシエチル
スルホン、グリセリン、エチレングリコールモノメチル
(又はエチル)エーテル・ジエチレングリコールモノメ
チル(又はエチル)エーテル・トリエチレングリコール
モノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコール
の低級アルキルエーテル類、トリエチレングリコールジ
メチル(又はエチル)エーテル・テトラエチレングリコ
ールジメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコー
ルの低級ジアルキルエーテル類、スルホラン、N−メチ
ル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチ
ル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記水溶性
有機溶剤の含有量は、一般的にはインクの全重量に対し
て1〜50重量%、好ましくは2〜45重量%の範囲で
ある。
【0053】上記のごとき水性液媒体を併用する場合は
単独でも混合物としても使用できるが、最も好ましい水
性液媒体の組成は、上記の溶剤として少なくとも1種の
一価または多価アルコール及びその誘導体を含有するも
のである。中でもチオジグリコール、ビスヒドロキチエ
チルスルホン、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エタ
ノールは特に良好なものである。
【0054】本発明に使用するインクの主要成分は上記
の通りであるが、その他各種の、粘度調整剤、表面張力
調整剤、蛍光増白剤、消泡剤を必要に応じて添加するこ
とができる。例えば、ポリビニルアルコール・セルロー
ス類・水溶性樹脂等の粘度調整剤、ジエタノールアミン
・トリエタノールアミン等の表面張力調整剤、緩衝液に
よるpH調整剤、防カビ剤等である。また、染料を分散
させるため以外の目的で、インクの成分として各種の界
面活性剤等を必要に応じて添加することができる。
【0055】本発明におけるインクは、上記の色素、こ
の色素を分散させる化合物、水、溶剤、その他添加物を
用いて、従来公知の分散方法や混合方法等により製造す
ることができる。
【0056】本発明のインクジェット捺染方法は、前記
布帛に上記インクの小滴をインクジェット方式で着滴さ
せて、少なくとも2色以上のインクによる混色部を形成
するものである。
【0057】この場合、混色部の各色素の付着量の合計
は、0.01〜1mg/cm2が適応であり、好ましく
は0.015〜0.6mg/cm2、より好ましくは
0.02〜0.4mg/cm2の範囲である。この値
は、インクの吐出量とインク中の色素濃度を実測するこ
とにより求めることができる。色素の付着量が0.01
mg/cm2未満では、高濃度な発色が難しいので本発
明の効果が明確にならない。また、1mg/cm2を超
える場合は、濃度、色再現範囲、発色安定性等の向上の
顕著な効果が認められない。
【0058】本発明のインクジェット捺染に用いるイン
クジェット方式は、従来公知のいずれのインクジェット
記録方式でもよいが、例えば、特開昭54−59936
号公報に記載されている方法で、熱エネルギーの作用を
受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化に
よる作用力によって、インクをノズル口から吐出させる
方式、即ち、バブルジェット方式が最も有効である。
【0059】これは、上記インクジェット方式において
複数のノズルを有する記録ヘッドを用いる場合、各ノズ
ルのインクの吐出速度のバラツキが小さく、インクの吐
出速度が5〜20m/secの範囲に集約されており、こ
の速度で分散染料を含むインクが布帛に衝突した場合、
着滴時の液滴の繊維に対する浸透の具合が最適となるた
めと思われる。
【0060】本発明では、上記インクジェット方式で長
時間連続的に捺染を行っても、そのヒーター上への異物
の沈着やヒーターの断線が発生せず、安定した捺染が可
能となる。
【0061】さらに、上記インクジェット方式におい
て、特に高い効果を得る条件としては、吐出液滴が20
〜200pl、インク打込み量が4〜40nl/mm2
駆動周波数1.5kHz以上、及びヘッド温度が35〜
60℃が好ましい。
【0062】以上のようにして前記の布帛上に付与され
たインクは、この状態では単に付着しているに過ぎない
ので、引き続き、繊維への色素の染着、及び未染着の色
素の除去を施す必要がある。このような染着、及び未染
着の色素の除去は、従来公知の方法で行うことができ
る。
【0063】上記染着の方法としては、高温蒸着法(H
Tスチーミング法)またはサーモゾル法を用いることが
好ましい。HTスチーミング法の場合は、140℃〜1
90℃で2〜30分間の処理条件が好ましく、160℃
〜180℃で6〜8分間の処理条件がより好ましい。サ
ーモゾル法の場合は、160℃〜210℃で10秒〜5
分の処理条件が好ましく、180℃〜210℃で20秒
〜2分の処理条件がより好ましい。
【0064】以上のようにして得られた捺染物は、必要
に応じて所望の大きさに切り離され、この切り離された
片は、縫着・接着・溶着等の最終的な加工品を得るため
の処理が施され、ネクタイやハンカチ等の加工品を得る
ことができる。
【0065】次に、本発明のインクジェット捺染方法に
用いる装置について説明する。好適な装置としては、記
録ヘッドの室内のインクに記録信号に対応した熱エネル
ギーを与え、この熱エネルギーにより液滴を発生させる
装置が挙げられる。そのような装置の主要部である記録
ヘッドの構成例を図1、図2及び図3に示す。図1は記
録ヘッドの外観斜視図、図2は記録ヘッドの図1のA−
A線断面図、図3は記録ヘッドの図2のB−B線断面図
である。
【0066】記録ヘッドは、インクの吐出口であるオリ
フィス(1)を有し、インクを通す溝(4)を有する板
部(2)(ガラス、セラミックス、プラスチック等から
なる)と乾熱記録に用いられる発熱ヘッド(3)とを接
着して得られる。発熱ヘッド(3)は、酸化シリコン等
で形成される保護膜(5)、アルミニウム電極(6a、
6b)、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層(7)、
蓄熱層(8)、アルミナ等の放熱性のよい基板(9)か
らなっている。
【0067】インクはオリフィス(1)まできており、
圧力Pによりメニスカスを形成している。アルミニウム
電極(6a、6b)に電気信号が加わると、発熱ヘッド
(3)のnで示される領域が急激に発熱し、ここに接し
ているインクに気泡が発生する。この気泡の圧力によっ
てメニスカスが突出し、インクがオリフィス(1)から
吐出される。吐出したインクはオリフィス(1)より記
録小滴を形成し、布帛に向かって飛翔する。
【0068】図4に、上述の記録ヘッドを組み込んだイ
ンクジェット捺染装置の一例を示す。図4において、4
01はワイピング部材としてのブレードであり、その一
端はブレード保持部材によって保持されて固定端とな
り、カンチレバーの形態をなす。ブレード(401)は
記録ヘッドによる記録領域に隣接した位置に配設され、
また、本例の場合、記録ヘッドの移動経路中に突出した
形態で保持される。402はキャップであり、ブレード
(401)に隣接するホームポジションに配設され、記
録ヘッドの移動方向と垂直な方向に移動して吐出口面と
当接し、キャッピングを行う構成を備える。さらに40
3は、ブレード(401)に隣接して設けられる回復用
吸収体であり、ブレード(401)と同様、記録ヘッド
の移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレー
ド(401)、キャップ(402)、回復用吸収体(4
03)によって吐出回復部(404)が構成され、ブレ
ード(401)及び回復用吸収体(403)によってイ
ンク吐出口面の水分や塵埃等の除去が行われる。
【0069】405は記録ヘッドであり、この記録ヘッ
ド(405)は吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口
を配した吐出口面は布帛に対向する位置に配置される。
406は記録ヘッド(405)を搭載してこの記録ヘッ
ドの移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ
(406)は、ガイド軸(407)と摺動可能に係合
し、キャリッジ(406)の一部はモータ(408)に
よって駆動されるベルト(409)と接続(不図示)し
ている。これによりキャリッジ(406)はガイド軸
(407)に沿った移動が可能となり、記録ヘッド(4
05)による記録領域及びその隣接した領域の移動が可
能となる。
【0070】410は布帛を挿入するための給布部、4
11は不図示のモータにより駆動される布送りローラで
ある。これらの構成によって記録ヘッド(405)の吐
出口面と対向する位置へ布帛が給付され、記録が進行す
るにつれて排布ローラ(412)を配した排布部(不図
示)へ排布される。
【0071】上記の構成において、記録ヘッド(40
5)が記録終了等でホームポジションに戻る際、吐出回
復部(404)のキャップ(402)は記録ヘッド(4
05)の移動経路から退避しているが、ブレード(40
1)は移動経路中に突出している。この結果、記録ヘッ
ド(405)の吐出口面がワイピングされる。なお、キ
ャップ(402)が記録ヘッド(405)の吐出面に当
接してキャッピングを行う場合、キャップ(402)は
記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。
【0072】記録ヘッド(405)がホームポジション
から記録開始位置へ移動する場合、キャップ(402)
及びブレード(401)は上述したワイピング時の位置
と同一の位置にある。この結果、この移動においても記
録ヘッド(405)の吐出口面はワイピングされる。
【0073】上述の記録ヘッドのホームポジションへの
移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘ
ッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔
で記録領域に隣接したホームポジション移動し、この移
動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0074】図5に、インクカートリッジの断面図を示
す。インクカートリッジは、記録ヘッドにインク供給部
材(例えばチューブ等)を介してインクを供給する。こ
こで501は供給用インクを収容したインク収容部(例
えばインク袋等)であり、その先端にはゴム製の栓(5
02)が設けられている。この栓(502)に針(不図
示)を挿入することにより、インク収容部(501)中
のインクを記録ヘッドに供給可能にできる。503は廃
インクを受容する廃インク吸収体である。インク収容部
(501)としては、インクと接液面がポリオレフィ
ン、特にポリエチレンで形成されているものが本発明に
とって好ましい。
【0075】本発明のインクジェット捺染装置として
は、上記のごとき記録ヘッドとインクカートリッジとが
別体となったものに限らず、図6に示すような一体型の
もの(以下「記録ユニット」という。)も好適に用いら
れる。
【0076】図6において、記録ユニットの中には供給
用インクを収容したインク収容部(例えばインク吸収体
等)が収納されており、このインク収容部中のインクが
複数のオリフィスを有する記録ヘッド(601)からイ
ンク滴として吐出される構成になっている。インク吸収
体の材料としては、ポリウレタンを用いることが本発明
にとって好ましい。602は記録ユニット内部を大気に
連通させるための大気連通口である。この記録ユニット
は、図4に示す記録ヘッド(405)に代えて用いられ
るものであって、キャリッジ(406)に対し脱着自在
になっている。
【0077】本発明のインクジェット捺染方法・装置・
インクセットは、オフィスユースにも適用可能である
が、特に、オフィスユース以外のインダストリアルユー
スに好適である。
【0078】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに説明する
が、本発明はこれらに限定するものではない。なお、文
中、「部」および「%」とあるのは特に断りのない限り
重量基準である。
【0079】実施例1 分散染料液(I)及び(II)の作製:ポリオキシエチレ
ンアルキリエーテル硫酸ナトリウム5部、イオン交換水
75部、ジエチレングリコール5部を混合し、この溶液
に下記の分散染料15部を加え、30分間プレミキシン
グを行った後、下記の条件で分散処理を行った。分散染
料:C.I.ディスパーズバイオレット26(染料分散
液(I)用)、C.I.ディスパーズブルー183(染
料分散液(II)用)、分散機:サンドグラインダー(五
十嵐機械製)、粉砕メディア:ジルコニウムビーズ1mm
径、粉砕メディアの充填率:50%(体積)、粉砕時
間:3時間。
【0080】次いで、遠心分離処理(12000rp
m、20分間)を行った後、フロロポアフィルターFP
−250(住友電工社製)にて濾過を行い粗大粒子を除
去して分散染料液(I)及び(II)をそれぞれ得た。
【0081】インク(A)及び(B)の作製:下記の成
分を混合し、この混合液を酢酸でpH5〜7に調整して
インク(A)及び(B)をそれぞれ得た。上記分散染料
液(I)又は(II):40部、ビスヒドロキシエチルス
ルホン:24部、ジエチレングリコール:11部、イオ
ン交換水:25部。
【0082】布帛上にインクを付与する前に、ポリエス
テル100%の織布からなる布帛を、予め処理液(尿素
10%、アルギン酸ソーダ2%、水88%)に浸し、絞
り率30%で脱水後乾燥した。
【0083】この布帛上に、インク(A)及び(B)を
それぞれカラーバブルジェットプリンターBJC(商品
名、キヤノン製)によりプリントし、2×4cmの大き
さで下記のような印字パッチを計24種類を作製した。
【0084】単色印字パッチ:インク(A)及び(B)
をそれぞれ各インク打込み量2、4、6、8nl/mm2
で印字したもの。
【0085】混色印字パッチ:インク(A)及び(B)
を上記の打込み量の全ての組み合わせで重ねて印字した
もの(例えば、インク(A)とインク(B)を両方とも
に2nl/mm2で印字したパッチ、インク(A)を4n
l/mm2、インク(B)を2nl/mm2で印字したパッチ
等)16種類。
【0086】このように印字した布帛をそれぞれ160
℃で6〜8分間蒸熱処理(HTスチーミング法)による
染着を行った。次いで、これらの布帛を中性洗剤で洗浄
して本発明の捺染物を得た。
【0087】後述の評価方法により、捺染物のバイオレ
ット系からブルー系の領域の発色性及び発色安定性につ
いて評価した。結果を表1に示す。表1に示すように、
バイオレット系からブルー系の領域の発色性が良好で、
しかも混色部での発色安定性も良好であった。
【0088】実施例2 分散染料液(III)及び(IV)の作製:リグニンスルホ
ン酸ナトリウム2部、イオン交換水73部、ジエチレン
グリコール15部を混合し、この溶液に下記の分散染料
10部を加え、30分間プレミキシングを行った後、下
記の条件で分散処理を行った。分散染料:C.I.ディ
スパーズバイオレット77(染料分散液(III)用)、
C.I.ディスパーズブルー165(染料分散液(IV)
用)、分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製)、
粉砕メディア:ガラスビーズ0.5mm径、粉砕メディア
の充填率:70%(体積)、粉砕時間:3時間。
【0089】次いで、遠心分離処理(12000rp
m、20分間)を行った後、フロロポアフィルターFP
−250(住友電工社製)にて濾過を行い粗大粒子を除
去して分散染料液(III)及び(IV)をそれぞれ得た。
【0090】インク(C)及び(D)の作製:下記の成
分を混合し、この混合液を酢酸でpH5〜7に調整して
インク(C)及び(D)をそれぞれ得た。上記分散染料
液(III)又は(IV):30部、チオジグリコール:5
部、ジエチレングリコール:10部、テトラエチレング
リコールジメチルエーテル:5部、イオン交換水:50
部。
【0091】実施例1と同様な布帛上に、インク(C)
及び(D)をそれぞれ実施例1と同様の方法で同様のパ
ターンをプリントした。次いで200℃で40〜50秒
間のサーモゾル処理による染着を行った。その後、これ
らの布帛を中性洗剤で洗浄して本発明の捺染物を得た。
【0092】後述の評価方法により、捺染物のバイオレ
ット系からブルー系の領域の発色性及び発色安定性につ
いて評価した。結果を表1に示す。表1に示すように、
バイオレット系からブルー系の領域の発色性が良好で、
しかも混色部での発色安定性も良好であった。
【0093】実施例3 分散染料液(V)及び(VI)の作製:βナフタレンスル
ホン酸ホルムアルデヒド縮合物20部、イオン交換水5
0部、ジエチレングリコール10部を混合し、この溶液
に下記の分散染料20部を加え、30分間プレミキシン
グを行った後、下記の条件で分散処理を行った。分散染
料:C.I.ディスパーズバイオレット97(染料分散
液(V)用)、C.I.ディスパーズブルー79:1
(染料分散液(VI)用)、分散機:パールミル(アシザ
ワ製)、粉砕メディア:ガラスビーズ1mm径、粉砕メデ
ィアの充填率:50%(体積)、吐出速度:10ml/
min。
【0094】次いで、遠心分離処理(12000rp
m、20分間)を行った後、フロロポアフィルターFP
−250(住友電工社製)にて濾過を行い粗大粒子を除
去して分散染料液(V)及び(VI)をそれぞれ得た。
【0095】インク(E)及び(F)の作製:下記の成
分を混合し、この混合液を酢酸でpH5〜7に調整して
インク(E)及び(F)をそれぞれ得た。上記分散染料
液(V)又は(VI):50部、エチレングリコール:5
部、ビスヒドロキシエチルスルホン:18部、ジエチレ
ングリコール:5部、イソプロピリアルコール:3部、
イオン交換水:19部。
【0096】布帛上にインクを付与する前に、ポリエス
テル70%と綿30%を混紡した織布からなる布帛を、
予め処理液(尿素10%、カルボキシメチルセルロース
2%、水88%)に浸し、絞り率30%で脱水後乾燥し
た。
【0097】この布帛上に、インク(E)及び(F)を
それぞれ実施例1と同様の方法で同様のパターンをプリ
ントした。次いで160℃で6分〜8分間の蒸熱処理
(HTスチーミング法)を行った。その後、これを中性
洗剤で洗浄して本発明の捺染物を得た。
【0098】後述の評価方法により、捺染物のバイオレ
ット系からブルー系の領域の発色性及び発色安定性につ
いて評価した。結果を表1に示す。表1に示すように、
バイオレット系からブルー系の領域の発色性が良好で、
しかも混色部での発色安定性も良好であった。
【0099】比較例1 分散染料液(VII)及び(VIII)の作製:ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム5部、イオン交
換水7部、ジエチレングリコール5部を混合し、この溶
液に下記の分散染料15部を加え、30分間プレミキシ
ングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。分散
染料:C.I.ディスパーズレッド43(染料分散液
(VII用)、C.I.ディスパーズブルー81:1(染
料分散液(VIII)用)、分散機:サンドグラインダー
(五十嵐機械製)、粉砕メディア:ジルコニウムビーズ
1mm径、粉砕メディアの充填率:50%(体積)、粉砕
時間:3時間。
【0100】次いで、遠心分離処理(12000rp
m、20分間)を行った後、フロロポアフィルターFP
−250(住友電工社製)にて濾過を行い粗大粒子を除
去して分散染料液(VII)及び(VIII)をそれぞれ得
た。
【0101】インク(G)及び(H)の作製:下記の成
分を混合し、この混合液を酢酸でpH5〜7に調整して
インク(G)及び(H)をそれぞれ得た。上記分散染料
液(VII)又は(VIII):40部、ビスヒドロキシエチル
スルホン:24部、ジエチレングリコール:11部、イ
オン交換水:25部。
【0102】実施例1と同様な布帛上に、インク(G)
及び(H)をそれぞれ実施例1と同様の方法で同様のパ
ターンをプリントした。次いで160℃で6〜8分間の
蒸熱処理(HTスチーミング法)を行った。その後、こ
れらの布帛を中性洗剤で洗浄して捺染物を得た。
【0103】後述の評価方法により、捺染物のバイオレ
ット系からブルー系の領域の発色性及び発色安定性につ
いて評価した。結果を表1に示す。表1に示すように、
バイオレット系からブルー系の領域の発色性はよくな
く、しかも混色部での発色安定性も悪かった。
【0104】比較例2 分散染料液(IX)の作製:ポリオキシエチレンアルキル
エーテル硫酸ナトリウム5部、イオン交換水75部、ジ
エチレングリコール5部を混合し、この溶液に下記の分
散染料15部を加え、30分間プレミキシングを行った
後、下記の条件で分散処理を行った。分散染料:C.
I.ディスパーズレッド188(染料分散液(IX)
用)、分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製)、
粉砕メディア:ジルコニウムビーズ1mm径、粉砕メディ
アの充填率:50%(体積)、粉砕時間:3時間。
【0105】次いで、遠心分離処理(12000rp
m、20分間)を行った後、フロロポアフィルターFP
−250(住友電工社製)にて濾過を行い粗大粒子を除
去して分散染料液(IX)を得た。
【0106】インク(I)の作製:下記の成分を混合
し、この混合液を酢酸でpH5〜7に調整してインク
(I)を得た。上記分散染料液(IX):40部、ビスヒ
ドロキシエチルスルホン:24部、ジエチレングリコー
ル:11部、イオン交換水:25部。
【0107】実施例1と同様な布帛上に、インク(I)
及び実施例1で使用したインク(B)を実施例1と同様
の方法で同様のパターンをプリントした。次いで160
℃で6〜8分間蒸熱処理(HTスチーミング法)を行っ
た。その後、これを中性洗剤で洗浄して捺染物を得た。
【0108】後述の評価方法により、捺染物のバイオレ
ット系からブルー系の領域の発色性及び発色安定性につ
いて評価した。結果を表1に示す。表1に示すように、
バイオレット系からブルー系の領域の発色性はよくな
く、しかも混色部での発色安定性も悪かった。
【0109】比較例3 分散染料液(X)の作製:βナフタレンスルホン酸ホル
ムアルデヒド縮合物20部,イオン交換水50部、ジエ
チレングリコール10部を混合し、この溶液に下記の分
散染料20部を加え、30分間プレミキシングを行った
後、下記の条件で分散処理を行った。分散染料:C.
I.ディスパーズブルー7(シアン色)(染料分散液
(X)用)、分散機:パールミル(アシザワ製)、粉砕
メディア:ガラスビーズ1mm径、粉砕メディアの充填
率:50%(体積)、吐出速度:100ml/min。
【0110】次いで、遠心分離処理(12000rp
m、20分間)を行った後、フロロポアフィルターFP
−250(住友電工社製)にて濾過を行い粗大粒子を除
去して分散染料液(X)を得た。
【0111】インク(J)の作製:下記の成分を混合
し、この混合液を酢酸でpH5〜7に調整しインク
(J)を得た。上記分散染料液(X):50部、エチレ
ングリコール:5部、ビスヒドロキシエチルスルホン:
18部、ジエチレングリコール:5部、イソプロピリア
ルコール:3部、イオン交換水:19部。
【0112】実施例3と同様な布帛上に、インク(J)
及び実施例3で使用したインク(E)を実施例1と同様
の方法で同様のパターンをプリントした。次いで160
℃で6〜8分間の蒸熱処理(HTスチーミング法)によ
る染着を行った。その後、これを中性洗剤で洗浄して捺
染物を得た。
【0113】下記の評価方法により、捺染物のバイオレ
ット系からブルー系の領域の発色性及び発色安定性につ
いて評価した。結果を表1に示す。表1に示すように、
バイオレット系からブルー系の領域の発色性はよくな
く、しかも混色部での発色安定性も悪かった。
【0114】評価方法 捺染物のバイオレット系からブルー系の領域の発色性:
得られた印字パッチを、マンセルの色標と照らし合わ
せ、色がパープルとパープルブルーに分類されるものを
選んだ。次いで、選んだ印字パッチの各々の色度a*
びb*を、ミノルタ製分光測色計CM−2022で測定
して彩度C*を算出し、彩度C*が55以上のものの数に
より評価した(10以上:○、5〜9:△、5未満:
×)。なお、彩度C*は、その数値が大きいほど彩度が
優れ、色表現の範囲が広いといえる。彩度C*の算出
は、C*=((a*2+(b*21/2より求められる。
また、マンセルの色標とは、色見本により対象物の色を
判定するための方法であり、色相をブルー・パープル・
パープルブルー等の10種類に分類している。この分類
法では、バイオレット系からブルー系の領域の色はパー
プルとパープルブルーに含まれる。
【0115】発色安定性:次式により得られるK/S値
の変化により評価した。 K/S値=(1−R)2/2R、Rは最大吸収波長の反
射率。 実施例1と3、比較例1〜3については、160℃で6
分間蒸熱処理したものと8分間蒸熱処理したものについ
てそれぞれK/S値を測定し、それらの差をみた。実施
例2については、200℃で40秒間サーモゾル処理し
たものと50秒間処理したものについてそれぞれK/S
値を測定し、それらの差をみた。K/S値の差が1以下
(加熱条件による差が小さい)を○、K/S値の差が1
を超え2未満(加熱条件による差が多少ある)を△、K
/S値の差が2以上(加熱条件による差が大きい)を×
とした。
【0116】
【表1】
【0117】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、バイオレット系からブルー系の領域の発色性が
優れた(色再現範囲の広い)捺染物を得ることができ
る。しかも発色安定性に優れるため、加熱による染着処
理条件が多少変化しても安定な画像を得ることができ、
再現性よく捺染を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット捺染装置の記録ヘッド
の外観斜視図である。
【図2】本発明のインクジェット捺染装置の記録ヘッド
の図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明のインクジェット捺染装置の記録ヘッド
の図2のB−B線断面図である。
【図4】本発明のインクジェット捺染装置の説明図であ
る。
【図5】本発明のインクジェット捺染装置のインクカー
トリッジの断面図である。
【図6】本発明のインクジェット捺染装置の記録ユニッ
トの斜視図である。
【符号の説明】
1 オリフィス 2 板部 3 発熱ヘッド 4 溝 5 保護膜 6a、6b アルミニウム電極 7 発熱抵抗体層 8 蓄熱層 9 基板 401 ブレード 402 キャップ 403 回復用吸収体 404 吐出回復部 405、601 記録ヘッド 406 キャリッジ 407 ガイド軸 408 モータ 409 ベルト 410 給付部 411 布送りローラ 412 排布ローラ 501 インク収容部 502 栓 503 廃インク吸収体 602 大気連通孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 袴田 慎一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 春田 昌宏 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともバイオレットとブルーの2色
    のインクを、インクジェット方式により布帛上に付与し
    てプリントを行う方法であって、(a)前記2色のイン
    クを少なくとも一部が重なるように布帛上に付与する工
    程、(b)前記インクが付与された布帛を熱処理する工
    程、(c)前記熱処理した布帛を洗浄する工程、の3工
    程を少なくとも有し、前記布帛が分散染料で染色可能な
    繊維を含有し、前記インクがいずれも色素、この色素を
    分散する化合物、及び水性液媒体を少なくとも含有し、
    前記バイオレットインクがC.I.ディスパーズバイオ
    レット26・28・40・43・48・57・63・7
    7・87・97よりなる群から選ばれる少なくとも一種
    の色素を含有し、前記ブルーインクがC.I.ディスパ
    ーズブルー56・73・79:1・113・128・1
    48・154・158・165・165:1・165:
    2・183・197・201・214・224・225
    ・257・266・267・287・358・368よ
    りなる群から選ばれる少なくとも一種の色素を含有する
    ことを特徴とするインクジェット捺染方法。
  2. 【請求項2】 布帛が、分散染料で染色可能な繊維とし
    てポリエステル繊維を含有する請求項1記載のインクジ
    ェット捺染方法。
  3. 【請求項3】 工程(b)の熱処理が、高温蒸熱法(H
    Tスチーミング法)またはサーモゾル法である請求項1
    又は2記載のインクジェット捺染方法。
  4. 【請求項4】 インクジェット方式が、熱エネルギーを
    利用してインクを吐出させるインクジェット方式である
    請求項1、2又は3記載のインクジェット捺染方法。
  5. 【請求項5】 インクの吐出速度が5〜20m/secで
    ある請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェッ
    ト捺染方法。
  6. 【請求項6】 工程(a)より前に布帛の前処理を行う
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット捺
    染方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の方
    法に使用する少なくともバイオレットインクとブルーイ
    ンクを含む捺染用インクセット。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の方
    法により捺染された捺染物。
  9. 【請求項9】 バイオレットとブルーの2色の色素が少
    なくとも一部重複した状態で捺染されている捺染物であ
    って、前記バイオレット色素がC.I.ディスパーズバ
    イオレット26・28・40・43・48・57・63
    ・77・87・97よりなる群から選ばれる少なくとも
    一種を含有し、前記ブルー色素がC.I.ディスパーズ
    ブルー56・73・79:1・113・128・148
    ・154・158・165・165:1・165:2・
    183・197・201・214・224・225・2
    57・266・267・287・358・368よりな
    る群から選ばれる少なくとも一種を含有し、且つ、前記
    捺染物が、分散染料で染色可能な繊維を含有する布帛に
    捺染されたものであることを特徴とする捺染物。
  10. 【請求項10】 布帛が、分散染料で染色可能な繊維と
    してポリエステル繊維を含むものである請求項9記載の
    捺染物。
  11. 【請求項11】 請求項8、9又は10記載の捺染物を
    加工して得られた加工品。
  12. 【請求項12】 インクを収容したインク収容部と、イ
    ンクをインク滴として吐出させるための記録ヘッドを備
    えた請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法に用いる
    記録ユニット。
  13. 【請求項13】 記録ヘッドが、インクに熱エネルギー
    を作用させてインク滴を吐出させる記録ヘッドである請
    求項12記載の記録ユニット。
  14. 【請求項14】 インクを収容したインク収容部を備え
    た請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法に用いるイ
    ンクカートリッジ。
  15. 【請求項15】 インクを吐出するための記録ヘッド、
    インクを収容したインク収容部を有するインクカートリ
    ッジ、及びこのインクカートリッジから前記記録ヘッド
    にインクを供給するためのインク供給部を備えた請求項
    1〜6のいずれか1項に記載の方法に用いるインクジェ
    ット捺染装置。
  16. 【請求項16】 記録ヘッドが、インクに熱エネルギー
    を作用させてインク滴を吐出させる記録ヘッドである請
    求項15記載のインクジェット捺染装置。
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