JP3387812B2 - インクジェット染色用布帛、布帛用前処理剤、捺染方法、捺染物、布帛の製造方法及び捺染物の品位を向上させる方法 - Google Patents

インクジェット染色用布帛、布帛用前処理剤、捺染方法、捺染物、布帛の製造方法及び捺染物の品位を向上させる方法

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JP3387812B2
JP3387812B2 JP04552998A JP4552998A JP3387812B2 JP 3387812 B2 JP3387812 B2 JP 3387812B2 JP 04552998 A JP04552998 A JP 04552998A JP 4552998 A JP4552998 A JP 4552998A JP 3387812 B2 JP3387812 B2 JP 3387812B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット方
式を用いてプリントするのに好適な布帛、布帛用前処理
剤、前記布帛を用いた捺染方法、これにより得られた捺
染物、前記布帛の製造方法及び得られる捺染物の品位を
向上させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、布にインクジェット記録する方法
として、用いる染料に対して非染着性の水溶性高分子物
質と、水溶性塩類と、水不溶性無機微粒子のいずれかを
含む水溶液で前処理された布に、インクジェット染色す
る方法(特公昭63−31594号公報)や、セルロー
ス繊維にアルカリ性物質と尿素またはチオ尿素と水溶性
高分子を含む水溶液で前処理し、反応染料を含むインク
でインクジェット染色し、乾熱固着処理する方法(特公
平4−35351号公報)等がある。
【0003】これら従来技術や先願技術の目的とすると
ころは、画像の滲み防止と、シャープな絵柄、及び高濃
度で鮮明な捺染物を得ることである。しかしながら、こ
れらの技術では、従来の捺染法(スクリーン捺染)で得
られた捺染物と同程度の色濃度と鮮明性を得るは至って
いない。さらにまた、布の厚さ方向に対する浸透が悪い
ために、色の深みやベタ部での均一性、インクの付与量
が多い場合の滲みが問題である。それゆえ、捺染物への
応用範囲が狭められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、画像濃度が十分高く、色の深みがあり、ベタ部での
均一性が優れ、インクの付与量が多い場合でも滲みの発
生を極力抑えることができるインクジェット染色用布
帛、布帛用前処理剤、前記布帛を用いた捺染方法、これ
により得られる捺染物、前記布帛の製造方法及び得られ
る捺染物の品位を向上させる方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記の目的は以下の手段
によって達成される。
【0006】すなわち、本発明のインクジェット染色用
布帛は、布帛素材に、パラフィンワックス及びポリエチ
レンワックスを該布帛素材に対してそれぞれ10重量%
を上限として含有させたことを特徴とするもので、布帛
素材に対して少なくとも、パラフィンワックスを0.0
1〜10重量%、ポリエチレンワックスを0.01〜1
0重量%含有するもの、前記パラフィンワックスとポリ
エチレンワックスの混合比率が10:1〜1:2である
こと、ノニオン系界面活性剤を0.5〜30重量%併用
すること、さらに、パラフィンワックス及びポリエチレ
ンワックスが含浸によって該布帛に含有されていること
を含む。
【0007】本発明の布帛用前処理剤は、インクジェッ
ト染色に用いる布帛の前処理剤であって、エマルジョン
状態でパラフィンワックス及びポリエチレンワックスを
含有していることを特徴とするものであり、水溶液から
なるもの、ノニオン系界面活性剤を含有するものを包含
する。
【0008】また、本発明の捺染方法は、本発明の布帛
に、インクジェット方式によりインクを付与し、次いで
発色処理後、洗浄し、乾燥する工程を含むことを特徴と
するものであり、該発色処理としてスチームを用いるこ
と、および、該インク付与に際し、インクの吐出液滴を
5〜200plに制御することを含む。さらに本発明は
これらの捺染方法により得られたことを特徴とする捺染
物を提案するものである。さらに本発明はパラフィンワ
ックス及びポリエチレンワックスを含浸により、布帛素
材に対してそれぞれ10重量%を上限として布帛に含有
させる工程を含むことを特徴とするインクジェット染色
用布帛の製造方法を提案するものである。さらに本発明
は布帛にインクジェットプリンタを用いてインクを付与
し、発色処理後、洗浄および乾燥を行なうことにより得
られる捺染物の品位を向上させる方法であって、該布帛
にパラフィンワックス及びポリエチレンワックスを布帛
素材に対してそれぞれ10重量%を上限として含有させ
る前処理工程を含むことを特徴とする捺染物の品位を向
上させる方法を提案するものである。
【0009】本発明においては、布帛素材にパラフィン
ワックスとポリエチレンワックスとを含有させることに
より、この布帛にインクジェット方式による捺染を行っ
て、画像濃度が高く、色の深みがあり、ベタ部での均一
性が優れ、かつインクの付与量が多い場合でも滲みの発
生を極力抑えた捺染物を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明者らは鋭意検討の結果、布帛素材に
対しパラフィンワックスとポリエチレンワックスを併用
して含有させると、布帛表面に染料を留めて発色性を向
上させ、均一性に優れ、色の深みのある高濃度の画像を
得られることを知見した。
【0012】ここで、パラフィンワックスのみや、ポリ
エチレンワックスのみを布帛に含有させただけでは性能
上不十分である。2種類を併用することにより、布表面
のワックスの付着むらとインクが付着する際の浸透のむ
らが著しく減少し、発色時のばらつきを極力抑えること
ができる。
【0013】パラフィンワックスの含有量は、布帛素材
に対して、0.01〜10重量%、好ましくは0.05
〜8重量%、より好ましくは0.1〜5重量%の範囲が
よい。ポリエチレンワックスの含有量は、布帛素材に対
して、0.01〜10重量%、好ましくは0.03〜8
重量%、より好ましくは0.05〜5重量%の範囲であ
る。いずれのワックスもその含有量が10重量%より多
いと、処理液にした場合の安定性が悪く、均一に布帛に
含有させることができない。また、いずれのワックスも
その含有量が0.01重量%未満であると、画像濃度向
上の効果が達成できない。
【0014】また、本発明の効果をより顕著にするため
には、パラフィンワックスとポリエチレンワックスの混
合比率は10:1〜1:2、好ましくは5:1〜1:1
の範囲がよい。
【0015】パラフィンワックスとポリエチレンワック
スを付与する方法は、特に手段を選ばないがパラフィン
ワックスとポリエチレンワックスを水性エマルジョンに
し、少なくともそのエマルジョンを含有する水溶液(以
下前処理剤という)で処理する方法等が挙げられる。中
でもパットドライ法が本発明を実施するのに特にふさわ
しい方法である。
【0016】本発明で使用するパラフィンワックスとポ
リエチレンワックスは、その分子量等特に限定されず、
広範囲のものを使用できる。さらに、ノニオン系界面活
性剤を前記前処理剤中に1種類以上併用させることが好
ましい。
【0017】ノニオン系の界面活性剤としては、例え
ば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オ
キシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、及び
これらの置換誘導体等が挙げられる。中でもポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ンソルビタン脂肪酸エステルが特に好ましい。これらの
活性剤は、布帛に対して、0.5〜30重量%、好まし
くは、1〜20重量%含有させるとよい。
【0018】またさらに、インクジェット染色を行った
場合の滲み防止の効果を向上させるために、水溶性無機
塩やヒドロトロープ剤、キレート剤等を添加することも
できる。
【0019】本発明のインクジェット捺染用布帛に用い
られる布帛はいずれのものでもよいが、例えば、綿、
絹、麻、レーヨン、アセテート、ナイロンもしくはポリ
エステル繊維からなる布帛、またはこれらの繊維の2種
類以上からなる混紡布帛が好ましく用いられる。
【0020】次に、上記した構成の本発明のインクジェ
ット捺染用布帛を用い、該布帛上にインクジェット記録
を行う本発明の捺染方法について説明する。
【0021】本発明の捺染方法においては、上記した種
々の布帛に応じた最適な染料が含有されているインクを
用いるとよい。本発明において使用可能なインク中の色
剤としては、反応染料・酸性染料・直接染料・分散染料
等が挙げられる。インクの構成成分としては、これらの
染料の他、水、あるいは水と水溶性有機溶剤とからなる
液媒体を少なくとも含み、その他、pH調整剤、防黴
剤、界面活性剤、水溶性樹脂等の各種添加剤が適宜含有
されているものが用いられる。水溶性有機溶剤として
は、例えば、グリコール類、グリコールエーテル類、含
窒素溶剤等が挙げられる。界面活性剤としては、ノニオ
ン性、アニオン性、カチオン性、両性のいずれの界面活
性剤も使用可能であり、これらを目的に応じて適宜に使
い分ければよい。
【0022】分散染料を含むインクには分散剤が必須で
あり、その具体例としては、リグニンスルホン酸塩、ナ
フタレンスルホン酸ホルマリン縮合物や、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0023】本発明の捺染方法では、先に説明した本発
明のインクジェット捺染用布帛上に、上記したようなイ
ンクを用いてインクジェット記録方法により画像を形成
するが、その際、インクジェット記録ヘッドを布帛上で
走査してインクを所望の位置に付与することによって画
像記録を行う。そして、インクジェット記録後、必要に
応じた発色処理を行い、次いで、洗浄及び乾燥して目的
の捺染物を得る。発色処理には、従来の捺染プロセスに
おいて行われる加熱発色処理等の従来公知の方法がその
まま適用できる。すなわち、高温スチーム法やサーモゾ
ル法が用いられる。
【0024】本発明で使用するインクジェット染色方式
は、従来公知のいずれのインクジェット記録方式でもよ
いが、例えば、特開昭54−59936号公報に記載さ
れている方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが
急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によ
って、インクをノズルから吐出させる方式が最も有効で
ある。その理由としては、上記方式は複数のノズルを有
する記録ヘッドを用いる場合、各ノズル間のインクの吐
出速度のばらつきが小さく、インクの吐出速度が5〜2
0m/sec.の範囲に集約されていることが挙げられ
る。この速度でインクが布帛上に衝突すると、着滴時の
液滴の繊維に対する浸透の具合が最適である。
【0025】さらに本発明で特に効果の高い染色方法が
得られるインク付与条件としては、吐出液滴が5〜20
0pl.インク打ち込み量が4〜40nl/mm2 、駆
動周波数が1.5kHz以上、及びヘッドの温度が35
〜60℃の条件が好ましい。
【0026】本発明のインクを用いて染色を行うのに好
適な装置の一例として、記録ヘッドの液室のインクに記
録信号に対応した熱エネルギーを与え、該熱エネルギー
より液滴を発生させる装置が挙げられるが、以下それに
ついて説明する。
【0027】その装置の主要部分であるヘッド構成例を
図1、図2及び図3に示す。
【0028】ヘッド13はインクを通す溝14を有する
ガラス、セラミックスまたはプラスチック板等と、乾熱
記録に用いられる発熱ヘッド15(図ではヘッドが示さ
れているが、これに限定されるものではない)とを接着
して得られる。発熱ヘッド15は酸化シリコン等で形成
される保護膜16、アルミニウム電極17−1,17−
2、ニクロム等形成される発熱抵抗体層18、蓄熱層1
9、アルミナ等の放熱のよい基板20よりなっている。
【0029】インク21は吐出オリフィス(微細孔)2
2まできており、圧力Pによりメニスカス23を形成し
ている。
【0030】今、電極17−1,17−2に電気信号が
加わると、発熱ヘッド15のnで示される境域が急激に
発熱し、ここに接しているインク21に気泡が発生し、
その圧力でメニスカス23が突出し、インク21が吐出
し、オリフィス22より記録小滴24となり、布帛25
に向かって飛翔する。図3には図1に示すヘッドを多数
並べたマルチヘッドの外観図を示す。該マルチヘッドは
マルチ溝26を有するガラス板27と、図1に説明した
ものと同様な発熱ヘッド28を密着して作製されてい
る。なお、図1は、インク流路に沿ったヘッド13の断
面図であり、図2は図1の2−2線での切断面である。
【0031】図4にかかるヘッドを組み込んだインクジ
ェット記録装置の一例を示す。
【0032】図4において、61はワイピング部材とし
てのブレードであり、その一端はブレード保持部材によ
って保持されて固定端となり、カンチレバーの形態をな
す。ブレード61は記録ヘッドによる記録領域に隣接し
た位置に配設され、また、本例の場合、記録ヘッドの移
動経路中に突出した形態で保持される。62はキャップ
であり、ブレード61に隣接するホームポジションに配
設され、記録ヘッドの移動方向と垂直な方向に移動して
吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。
さらに63はブレード61に隣接して設けられている吸
収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッドの移動経
路中に突出した形態で保持される。上記ブレード61、
キャップ62、吸収体63によって吐出口面に水分、塵
埃等の除去が行われる。
【0033】65は吐出エネルギー発生手段を有し、吐
出口を配した吐出口面に対向する布帛にインクを吐出し
て記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載
して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジであ
る。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合
し、キャリッジ66の一部はモータ68によって駆動さ
れるベルト69と接続(不図示)している。これにより
キャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能とな
り、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領
域の移動が可能となる。
【0034】51は布帛を挿入するための給布部、52
は不図示のモータにより駆動される布送りローラであ
る。これらの構成によって記録ヘッドの吐出口面と対向
する位置へ布帛が給布され記録が進行するにつれて排布
ローラ53を配した排布部へ排布される。
【0035】上記構成において記録ヘッド65が記録終
了等でホームポジションに戻る際、ヘッド回復部64の
キャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避して
いるが、ブレード61は移動経路中に突出している。こ
の結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされ
る。なお、キャップ62が記録ヘッド65の吐出口面に
当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録
ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。
【0036】記録ヘッド65がホームポジションから記
録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード
61は上述したワイピング時の位置と同一の位置にあ
る。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐
出口面はワイピングされる。
【0037】上述の記録ヘッドのホームポジションへの
移動は、記録終了時や吐出口回復時ばかりでなく、記録
ヘッドが記録のための記録領域を移動する間に所定の間
隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、こ
の移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0038】図5は、ヘッドのインク供給部材、例えば
チューブを介して供給されるインクを収容したインクカ
ートリッジの一例を示す図である。ここで、40は供給
用インクを収容したインク収容部、例えば、インク袋で
あり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。
この栓42に針(不図示)を挿入することにより、イン
ク袋40中のインクをヘッドに供給可能ならしめる。4
4は廃インクを受容する吸収体である。インク収容部と
しては、インクとの接液面がポリオレフィン、特にポリ
エチレンで形成されているものが好ましい。本発明で使
用されるインクジェット記録装置としては、上記の如き
ヘッドとインクカトリッジが別体になったものに限ら
ず、図6に示すが如きそれらが一体になったものにも好
適に用いられる。
【0039】図6において、70は記録ユニットであっ
て、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば
インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中
のインクが複数のオリフィスを有するヘッド部71から
インク滴として吐出される構成になっている。72は記
録ユニット内部を大気に連通させるための大気連通口で
ある。この記録ユニット70は、図4で示す記録ヘッド
に変えて用いられるものであって、キャリッジ66に対
し着脱可能になっている。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例によりさら
に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。なお、特に断わらない限り「部」は「重量
部」を、「%」とは「重量%」をいう。評価結果は表1
にまとめた。実施例1 パラフィンワックスの水性エマルジョンの作製:パラフ
ィンワックス(分子量300〜600)を30部、ポリ
オキシエチレンセチルエーテルを2部、ポリオキシエチ
レンソルビタンパルミチン酸エステルを1部、水を67
部とを常法により乳化して、パラフィンワックスの水性
エマルジョンとした。
【0041】ポリエチレンワックスの水性エマルジョン
の作製:ポリエチレンワックス(分子量2000〜30
00)を30部、ポリオキシエチレンセチルエーテルを
2部、ポリオキシエチレンソルビタンパルミチン酸エス
テルを1部、水を67部とを常法により乳化して、ポリ
エチレンワックスの水性エマルジョンとした。
【0042】上記パラフィンワックスの水性エマルジョ
ンを3.0部、ポリエチレンワックスの水性エマルジョ
ンを2.0部、ポリオキシエチレン(n=25)ステア
リルエーテルを15部、重炭酸ソーダを5.0部、水を
75.0部を混合し、50℃に加温した状態で3時間攪
拌混合し、溶液状の前処理剤を得た。この前処理剤を平
織りの綿布に含浸させ(絞り率:100%)乾燥して、
本実施例のインクジェット捺染用布帛を得た。なお、絞
り率(%)は、下記の式で求めた。
【0043】絞り率(%)=[(前処理剤の付与重量)
/(布の重量)]×100 上記で得られた布帛をA4版の大きさに切り出し、市販
のインクジェットカラープリンター(キヤノン製BJC
−820、商品名)を用いて、以下に示す組成のインク
を使用してフルカラープリントを行った。また、4種の
インクは各々、各成分を混合攪拌後、水酸化ナトリウム
でpH=7.0に調整してからフロロポアフィルターで
濾過して用いた。
【0044】 イエローインク ・C.I.リアクティブイエロー95 8部 ・チオジグリコール 20部 ・ジエチレングリコール 15部 ・イオン交換水 57部 マゼンタインク ・C.I.リアクティブレッド226 8部 ・チオジグリコール 20部 ・ジエチレングリコール 10部 ・イオン交換水 62部 シアンインク ・C.I.リアクティブブルー15 10部 ・チオジグリコール 20部 ・ジエチレングリコール 15部 ・イオン交換水 55部 ブラックインク ・C.I.リアクティブブラック39 11部 ・チオジグリコール 20部 ・ジエチレングリコール 15部 ・イオン交換水 54部 プリント終了後、直ちに102℃で8分間スチーム処理
を行い、次いで水洗、乾燥した。この結果、得られた綿
布上には深みのある十分な濃度のカラー画像が鮮やかに
プリントされていた。また、画像ムラもなく、シャープ
な画像が得られた。実施例2 実施例1に記載のパラフィンワックスの水性エマルジョ
ンを0.04部、ポリエチレンワックスの水性エマルジ
ョンを0.02部、ポリオキシエチレン(n=25)ス
テアリルエーテルを15.0部、重炭酸ソーダを5.0
部、水を79.94部を混合し、50℃に加温した状態
で3時間攪拌混合し、溶液状の前処理剤を得た。この前
処理剤を平織りの綿布に含浸させ(絞り率:100%)
乾燥して、本実施例のインクジェット捺染用布帛を得
た。
【0045】上記で得られた布帛をA4版の大きさに切
り出し、市販のインクジェットカラープリンター(キヤ
ノン製BJC−620、商品名)を用いて、実施例1に
示す組成のインクを使用してフルカラープリントを行っ
た。
【0046】プリント終了後、直ちに102℃で8分間
スチーム処理を行い、次いで水洗、乾燥した。この結
果、得られた綿布上には深みのある十分な濃度のカラー
画像が鮮やかにプリントされていた。また、画像ムラも
なく、シャープな画像が得られた。実施例3 実施例1に記載のパラフィンワックスの水性エマルジョ
ンを32.0部、ポリエチレンワックスの水性エマルジ
ョンを25.0部、ポリオキシエチレン(n=50)セ
チルエーテルを15.0部、重炭酸ソーダを5.0部、
水を23.0部を混合し、50℃に加温した状態で3時
間攪拌混合し、溶液状の前処理剤を得た。この前処理剤
を絹布に含浸させ(絞り率:100%)乾燥して、本実
施例のインクジェット捺染用布帛を得た。
【0047】上記で得られた布帛をA4版の大きさに切
り出し、市販のインクジェットカラープリンター(キヤ
ノン製BJC−600、商品名)を用いて、実施例1に
示す組成のインクを使用してフルカラープリントを行っ
た。
【0048】プリント終了後、直ちに102℃で8分間
スチーム処理を行い、次いで水洗、乾燥した。この結
果、得られた絹布上には深みのある十分な濃度のカラー
画像が鮮やかにプリントされていた。また、画像ムラも
なく、シャープな画像が得られた。実施例4 実施例1に記載のパラフィンワックスの水性エマルジョ
ンを2.5部、ポリエチレンワックスの水性エマルジョ
ンを0.5部、ポリオキシエチレン(n=25)ステア
リルエーテルを12.0部、重炭酸ソーダを5.0部、
水を80.0部を混合し、50℃に加温した状態で3時
間攪拌混合し、溶液状の前処理剤を得た。この前処理剤
を平織りの綿布に含浸させ(絞り率:100%)乾燥し
て、本実施例のインクジェット捺染用布帛を得た。
【0049】上記で得られた布帛をA4版の大きさに切
り出し、市販のインクジェットカラープリンター(キヤ
ノン製BJC−600、商品名)を用いて、実施例1に
示す組成のインクを使用してフルカラープリントを行っ
た。
【0050】プリント終了後、直ちに102℃で8分間
スチーム処理を行い、次いで水洗、乾燥した。この結
果、得られた綿布上には深みのある十分な濃度のカラー
画像が鮮やかにプリントされていた。また、画像ムラも
なく、シャープな画像が得られた。実施例5 実施例1に記載のパラフィンワックスの水性エマルジョ
ンを1.0部、ポリエチレンワックスの水性エマルジョ
ンを2.0部、ポリオキシエチレン(n=50)セチル
エーテルを5.0部、重炭酸ソーダを5.0部、水を8
7.0部を混合し、50℃に加温した状態で3時間攪拌
混合し、溶液状の前処理剤を得た。この前処理剤を絹布
に含浸させ(絞り率:100%)乾燥して、本実施例の
インクジェット捺染用布帛を得た。
【0051】上記で得られた布帛をA4版の大きさに切
り出し、市販のインクジェットカラープリンター(キヤ
ノン製BJC−420、商品名)を用いて、実施例1に
示す組成のインクを使用してフルカラープリントを行っ
た。
【0052】プリント終了後、直ちに102℃で8分間
スチーム処理を行い、次いで水洗、乾燥した。この結
果、得られた絹布上には深みのある十分な濃度のカラー
画像が鮮やかにプリントされていた。また、画像ムラも
なく、シャープな画像が得られた。実施例6 実施例1に記載のパラフィンワックスの水性エマルジョ
ンを3.0部、ポリエチレンワックスの水性エマルジョ
ンを2.0部、ポリオキシエチレン(n=50)ステア
リルエーテルを1.0部、重炭酸ソーダを5.0部、水
を89.0部を混合し、50℃に加温した状態で3時間
攪拌混合し、溶液状の前処理剤を得た。この前処理剤を
絹布に含浸させ(絞り率:100%)乾燥して、本実施
例のインクジェット捺染用布帛を得た。
【0053】上記で得られた布帛をA4版の大きさに切
り出し、市販のインクジェットカラープリンター(キヤ
ノン製BJC−820、商品名)を用いて、実施例1に
示す組成のインクを使用してフルカラープリントを行っ
た。
【0054】プリント終了後、直ちに102℃で8分間
スチーム処理を行い、次いで水洗、乾燥した。この結
果、得られた絹布上には深みのある十分な濃度のカラー
画像が鮮やかにプリントされていた。また、画像ムラも
なく、シャープな画像が得られた。実施例7 実施例1に記載のパラフィンワックスの水性エマルジョ
ンを3.0部、ポリエチレンワックスの水性エマルジョ
ンを2.0部、ポリオキシエチレン(n=20)セチル
エーテルを18.0部、重炭酸ソーダを5.0部、水を
72.0部を混合し、50℃に加温した状態で3時間攪
拌混合し、溶液状の前処理剤を得た。この前処理剤を平
織りの綿布に含浸させ(絞り率:100%)乾燥して、
本実施例のインクジェット捺染用布帛を得た。
【0055】上記で得られた布帛をA4版の大きさに切
り出し、市販のインクジェットカラープリンター(キヤ
ノン製BJC−820、商品名)を用いて、実施例1に
示す組成のインクを使用してフルカラープリントを行っ
た。
【0056】プリント終了後、直ちに102℃で8分間
スチーム処理を行い、次いで水洗、乾燥した。この結
果、得られた綿布上には深みのある十分な濃度のカラー
画像が鮮やかにプリントされていた。また、画像ムラも
なく、シャープな画像が得られた。比較例1 パラフィンワックスの水性エマルジョンとポリエチレン
ワックスの水性エマルジョンを用いない以外は実施例1
と同様にして、比較用の綿布を調整した。
【0057】この布帛に、市販のインクジェットカラー
プリンター(キヤノン製BJC−820、商品名)を用
いて、実施例1に示す組成のインクを使用してフルカラ
ープリントを行った。プリント終了後、実施例1と同様
に処理して捺染物を得た。
【0058】この結果、得られた綿布上には滲みの少な
いカラー画像が得られたが、実施例と比べ鮮明さに欠
け、また、深みのある十分な濃度のカラー画像ではなか
った。 比較例2 パラフィンワックスの水性エマルジョンを用いない以外
は実施例1と同様にして、比較用の綿布を調整した。
【0059】この布帛に、市販のインクジェットカラー
プリンター(キヤノン製BJC−820、商品名)を用
いて、実施例1に示す組成のインクを使用してフルカラ
ープリントを行った。プリント終了後、実施例1と同様
に処理して捺染物を得た。この結果、得られた綿布上に
は滲みの少ない比較的鮮やかな色調のカラー画像が得ら
れたが、深みのある十分な濃度のカラー画像ではなく、
実施例と比べ、特にベタ部にムラが見られた。比較例3 ポリエチレンワックスの水性エマルジョンを用いない以
外は実施例1と同様にして、比較用の綿布を調整した。
【0060】この布帛に、市販のインクジェットカラー
プリンター(キヤノン製BJC−820、商品名)を用
いて、実施例1に示す組成のインクを使用してフルカラ
ープリントを行った。プリント終了後、実施例1と同様
に処理して捺染物を得た。この結果、得られた綿布上に
は滲みの少ない比較的鮮やかな色調のカラー画像が得ら
れたが、深みのある十分な濃度のカラー画像ではなく、
実施例と比べ、特にベタ部にムラが見られた。比較例4 パラフィンワッックスの水性エマルジョンを20.0
部、ポリエチレンワックスの水性エマルジョンを35.
0部を用いた以外は実施例1と同様にして、比較用の綿
布を調整した。しかし、処理液の均一性が悪く、処理し
ずらかった。
【0061】この布帛に、市販のインクジェットカラー
プリンター(キヤノン製BJC−820、商品名)を用
いて、実施例1に示す組成のインクを使用してフルカラ
ープリントを行った。プリント終了後、実施例1と同様
に処理して捺染物を得た。この結果、得られた綿布上に
は濃度、深み的にはよいカラー画像が得られたが、実施
例と比べ、ベタ部にはムラが見られ、シャープさにも欠
ける画像となった。比較例5 パラフィンワッックスの水性エマルジョンを35.0
部、ポリエチレンワックスの水性エマルジョンを10.
0部を用いた以外は実施例1と同様にして、比較用の綿
布を調整した。しかし、処理液の均一性が悪く、処理し
ずらかった。
【0062】この布帛に、市販のインクジェットカラー
プリンター(キヤノン製BJC−820、商品名)を用
いて、実施例1に示す組成のインクを使用してフルカラ
ープリントを行った。プリント終了後、実施例1と同様
に処理して捺染物を得た。この結果、得られた綿布上に
は濃度、深み的にはよいカラー画像が得られたが、実施
例と比べ、ベタ部にはムラが見られ、シャープさにも欠
ける画像となった。
【0063】以上の実施例、比較例の評価結果を表1に
まとめた。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
インクジェット記録装置を利用して各種繊維からなる布
帛上に画像を形成した場合に、鮮明でかつ深みがあり、
ムラのない高濃度の画像を形成することが可能となる。
【0066】また、本発明によれば、オフィス用やパー
ソナル用として市販されている通常のインクジェットプ
リンターによっても、深みがあり、発色濃度が高くかつ
鮮明な各種繊維からなる捺染物を容易に得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用するインクジェットヘッドの構成
例を示すための、インク流路に沿った模式的断面図であ
る。
【図2】図1の2−2線での切断面を示す。
【図3】図1に示すヘッドを多数並べたマルチヘッドの
模式外観図である。
【図4】インクジェットヘッドを組み込んだ、本発明で
使用するインクジェット記録装置の一例を示す斜視図で
ある。
【図5】インクジェットヘッドに供給されるインクを収
容したインクカートリッジの一例を示す断面図である。
【図6】ヘッドとインクカートリッジが一体となってい
るインクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
13 ヘッド 14 溝 15,28 発熱ヘッド 16 保護膜 17−1,17−2 アルミニウム電極 18 発熱抵抗体層 19 蓄熱層 20 基板 21 インク 22 吐出オリフィス 23 メニスカス 24 記録小滴 25 布帛 26 マルチ溝 27 ガラス板 40 インク袋 42 栓 44,63 吸収体 51 給布部 52 布送りローラ 53 排布ローラ 61 ブレード 62 キャップ 64 回復部 65 記録ヘッド 66 キャリッジ 67 ガイド軸 68 モータ 69 ベルト 70 記録ユニット 71 ヘッド部 72 大気連通口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−166473(JP,A) 特開 平8−158271(JP,A) 特開 平9−279490(JP,A) 特開 平10−53973(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06P 5/00 111 D06P 5/00 112

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 布帛素材に、パラフィンワックス及びポ
    リエチレンワックスを該布帛素材に対してそれぞれ10
    重量%を上限として含有することを特徴とするインクジ
    ェット染色用布帛。
  2. 【請求項2】 布帛素材に対して少なくとも、パラフィ
    ンワックスを0.01〜10重量%、ポリエチレンワッ
    クスを0.01〜10重量%含有する請求項1に記載の
    インクジェット染色用布帛。
  3. 【請求項3】 前記パラフィンワックスとポリエチレン
    ワックスの混合比率が10:1〜1:2である請求項2
    に記載のインクジェット染色用布帛。
  4. 【請求項4】 ノニオン系界面活性剤を0.5〜30重
    量%併用する請求項2または3に記載のインクジェット
    染色用布帛。
  5. 【請求項5】 パラフィンワックス及びポリエチレンワ
    ックスが含浸によって該布帛に含有されている請求項1
    〜4のいずれか1項に記載のインクジェット染色用布
    帛。
  6. 【請求項6】 インクジェット染色に用いる布帛の前処
    理剤であって、エマルジョン状態でパラフィンワックス
    及びポリエチレンワックスを含有していることを特徴と
    するインクジェット染色に用いる布帛用前処理剤。
  7. 【請求項7】 前記前処理剤は水溶液からなる請求項6
    に記載の布帛用前処理剤。
  8. 【請求項8】 ノニオン系界面活性剤を含有する請求項
    6に記載の布帛用前処理剤。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載のインクジェット染色用
    布帛に、インクジェット方式によりインクを付与し、次
    いで発色処理後、洗浄し乾燥する工程を含むことを特徴
    とする捺染方法。
  10. 【請求項10】 前記発色処理としてスチームを用いる
    請求項に記載の捺染方法。
  11. 【請求項11】 前記インク付与に際し、インクの吐出
    液滴を5〜200pl.に制御する請求項10に記載の
    捺染方法。
  12. 【請求項12】 請求項ないし11のいずれか1項に
    記載の方法により得られたことを特徴とする捺染物。
  13. 【請求項13】 パラフィンワックス及びポリエチレン
    ワックスを含浸により、布帛素材に対してそれぞれ10
    重量%を上限として布帛に含有させる工程を含むことを
    特徴とするインクジェット染色用布帛の製造方法。
  14. 【請求項14】 布帛にインクジェットプリンタを用い
    てインクを付与し、発色処理後、洗浄および乾燥を行う
    ことにより得られる捺染物の品位を向上させる方法であ
    って、該布帛にパラフィンワックス及びポリエチレンワ
    ックスを布帛素材に対してそれぞれ10重量%を上限と
    して含有させる前処理工程を含むことを特徴とする捺染
    物の品位を向上させる方法。
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