JPH10120954A - インクジェット用インク、これを用いた記録方法及び該方法により得られた記録物 - Google Patents

インクジェット用インク、これを用いた記録方法及び該方法により得られた記録物

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JPH10120954A
JPH10120954A JP29705596A JP29705596A JPH10120954A JP H10120954 A JPH10120954 A JP H10120954A JP 29705596 A JP29705596 A JP 29705596A JP 29705596 A JP29705596 A JP 29705596A JP H10120954 A JPH10120954 A JP H10120954A
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ink
disperse dye
water
disperse
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JP29705596A
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Kinu Shirota
衣 城田
Mariko Suzuki
真理子 鈴木
Masahiro Haruta
昌宏 春田
Shoji Koike
祥司 小池
Tomoya Yamamoto
智也 山本
Shinichi Hakamata
慎一 袴田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高濃度で鮮明なシアン色画像を与え、熱エネ
ルギーによる方式においても長期間安定した吐出が行え
るインクジェット用インク、及び高濃度で鮮明なシアン
色の捺染物が得られ、加熱による定着処理条件が多少変
化したとしても得られる染色物の色調、特に、シアン色
調に変化のない捺染方法等の提供。 【解決手段】 色材として一般式(1)で示される分散
染料が含まれているインクジェット用インク、該インク
を用いたインクジェット記録方法、捺染方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分散染料を用いた
インクジェット用インク及び該インクを用いたインクジ
ェット記録方法、更に、インクジェット捺染用インク、
インクジェット方式により布帛に捺染を行う捺染方法、
及び該方法により得られる捺染物、該捺染物を利用した
加工品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、インクジェット用インクにつ
いては、実に様々なものが提案されている。なかでも近
年では、コピー紙及びレポート用紙等のオフィスで一般
に使用されている普通紙の他、フィルムやプラスチック
材料からなるポスター等の大きいプリント物、或いは各
種の材質からなる布帛等に対してもインクジェット記録
方式で良好な記録を行う為に、顔料や分散染料等の水難
溶性或いは水不溶性色材を使用したインクの提案が盛ん
に行われている。インクジェット用インクの色材として
分散染料を使用することが出来ればポリエステル繊維の
染色が可能となることから、これらの中でも、インクジ
ェット記録方式によって布帛上に画像形成を行うインク
ジェット捺染の分野において、分散染料をインクジェッ
ト用インクとして使いこなす為の様々な提案がなされて
いる。更に、分散染料は、染色以外の用途においても、
例えば、フィルムやプラスチック材料等の被記録材に間
接的或いは直接的に印字を行うことによって、色材とし
て顔料を用いた場合よりも彩度の高い美しい画像を描き
出すことが可能であるため、この分野への応用も期待さ
れている。
【0003】分散染料を、染色に用いるにしろ、それ以
外の用途に用いるにしろ、インクジェット方式において
色再現範囲の広い画像を得る為には、減法混色の基本と
なる最適な色調のイエロー、マゼンタ、及びシアン色を
発色し得る染料が必要となる。これに対し、分散染料の
染着メカニズムから、分散染料として使用し得る染料に
は、分子の大きさ等、染料分子の構造上の制約があり、
特に、高濃度で鮮明なシアン色を発色し得る分散染料が
得にくいという問題があった。
【0004】又、インクジェット方式としては現在、特
開昭54−59936号に記載されている様な、熱エネ
ルギーによるインクの発泡現象によってインクを吐出さ
せる方式が様々な特徴を有することから広く用いられて
いる。そして、このインクジェット記録方式に用いられ
るインクに対する要求性能としては、他のインクジェッ
ト記録方式に用いた場合にも必要な、色調、目詰まりし
にくい等の性能の他、長期にわたりヒーターに熱エネル
ギーを与えてもヒーター上に異物の沈着が発生せずに、
安定した吐出が行えることが必要となる。これに対し、
従来からある分散染料が用いられたインクジェット用イ
ンクでは、上記の問題点を部分的には満たしても全てを
満足し得るものはなかった。
【0005】更に、分散染料をインクジェット用インク
として使うインクジェット捺染の分野においては、下記
の如き問題がある。現在、捺染方法の主流は、スクリー
ン捺染或いはローラー捺染と呼ばれる図柄等の版を必要
とする方法であるが、これらの方式は、多品種少量生産
には不向きであり流行への迅速な対応が困難であること
から、最近では、特に流行性の高い分野において、無版
の電子捺染システムの確立が要望されている。この要望
に対して近年、インクジェット方式を用いる捺染方法が
数多く提案されており、各方面からの期待も大きくなっ
ている。この様な、インクジェット方式による捺染方法
の課題としては、以下に掲げる事項がある。 発色濃度が十分で濃色の捺染物が得られること。 色材の布帛に対する染着率が高く、且つ洗浄工程後
の廃水処理が容易であること。 異色間の混色による不規則な滲みが目立たない捺染
物が得られること。 色再現の範囲が広いこと。 安定した発色性を示し、その状態での安定生産が可
能であること。
【0006】上記〜の課題を満足させるため、従来
においては主として、インク中に様々な添加剤を加えた
り、インクの打ち込み量を操作したり、或いは布帛に前
もって、各種処理を施す等の対応を行ってきた。ポリエ
ステル布帛に対する捺染方法としては、例えば、特開昭
61−118477号公報にインクジェット用インクと
して、昇華温度が180℃以上の分散染料を使用すると
いう方法が開示されている。しかしながら、本発明者等
が昇華温度のみに着目し、分散染料を色材に用いた各種
のインクを作製して布帛に印捺して染着させたところ、
各インクを単独で染着させた場合には良好な発色が再現
性よく出来るのに対し、色調の異なる複数のインクを布
帛上で重ね打ちして混色させた場合には、染着後の濃
度、色調、同じ染着条件で染着したときの繰り返し再現
性が、使用する染料の組み合わせによっては非常に異な
り、上記に挙げた、、等の要求を同時に満たし得
なくなる場合が多く、様々な色表現を行うためには、か
かる方法では未だ不充分な場合があることがわかった。
即ち、従来の技術だけでは、工業的に捺染物を得ようと
する場合に、前述した各種の要求項目、とりわけに挙
げた『安定した発色性と、その状態での安定生産』を充
分に満たすことが困難であった。更に、前述したよう
に、分散染料を色材として用いる場合には、染料の染着
メカニズムから染料分子構造上の制約があり、とりわけ
減法混色の基本となるシアン色の布帛上における発色濃
度が得にくいという問題もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の第1
の目的は、高濃度で鮮明なシアン色画像を形成し得るイ
ンクジェット用インク、特に、インクジェット用分散染
料インクを提供することにあり、又、熱エネルギーによ
るインクジェット方式においても長期にわたって安定し
た吐出が行えるインクジェット記録方法に使用し得るイ
ンクジェット用インクを提供することにある。更に、本
発明の第2の目的は、分散染料で染色可能な繊維を主体
に構成されている布帛に、インクジェット方式による捺
染を行う場合に、従来の一般的なインクジェット捺染の
問題を解決し、とりわけ、高濃度で鮮明なシアン色の捺
染物が得られ、更に、加熱による定着処理条件が多少変
化したとしても得られる捺染物の色調、特に、シアン色
調に変化のない安定した画像を得ることの出来る捺染方
法、インクジェット捺染用インク、更にこれらによって
得られる高品位の捺染物及び加工品を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発
明によって達成される。即ち、本発明の第1の発明は、
少なくとも色材とこれを溶解又は分散するための液媒体
を有するインクジェット用インクにおいて、色材として
下記一般式(1)で示される分散染料が含まれているこ
とを特徴とするインクジェット用インク、該インクを用
いたインクジェット記録方法である。
【化6】 (但し、式(1)中のR1は水素原子又はアルキル基、
2及びR3は水素原子又はアルキル基或いはアルコキシ
ル基を表す)
【0009】又、本発明の第2の発明は、分散染料で染
色することが可能な繊維が含有されている布帛上にイン
クを用いてインクジェット記録方式で画像を形成し、次
いでインクが付与されている布帛を熱処理し、更に熱処
理された布帛を洗浄して布帛に捺染を行う捺染方法にお
いて、上記インクに、少なくとも下記一般式(1)で示
される分散染料Aと下記一般式(2)で示される分散染
料Bの2種類の染料が併用され、且つ布帛上に付与され
たインク中におけるこれらの分散染料の重量比がA:B
=100:1〜1:100の範囲内にあることを特徴と
する捺染方法である。又、別の態様として、少なくとも
分散染料Aを有するインクと、分散染料Bを有するイン
クの2種類のインクを用いて布帛上にインクジェット方
式によりインクを付与する場合に、付与された2種類の
インクの夫々の付着部の少なくとも一部が互いに重なる
ようにして2種類のインクを布帛に付与する捺染方法で
ある。更に、上記捺染方法に好適な少なくとも下記一般
式(1)で示される分散染料Aと下記一般式(2)で示
される分散染料Bの2種類の染料と水溶性液媒体とを有
し、且つこれらの分散染料の含有重量比がA:B=10
0:1〜1:100の範囲にあることを特徴とするイン
クジェット捺染用インク、上記捺染方法によって製造さ
れた捺染物、該捺染物を加工した加工品である。
【0010】
【化7】 (但し、式(1)中のR1は水素原子又はアルキル基、
2及びR3は水素原子又はアルキル基或いはアルコキシ
ル基を表す)
【0011】
【化8】 (但し、式(2)中、Aは酸素原子又はNH、Rはアル
キル基又はアルコキシル基を表す)
【0012】
【発明の実施の形態】
(第1の発明)従来より、シアン色を発色する分散染料
には、アントラキノン系の染料が多く使われている。し
かしながら、分散染料の場合、染料の染着のメカニズム
から染料分子の構造上の制約があり、シアンの濃色が得
られにくいという問題がある。本発明者らは、インクジ
ェット用インク、更にインクジェット用の捺染インクと
しても使用し得る分散染料について鋭意研究を行ったと
ころ、本発明で使用する一般式(1)で示される分散染
料は、インクジェット用インクに用いて画像を形成した
場合に、より色再現の範囲が広い画像が得られることを
知見して本発明の第1の発明に至った。
【0013】更に、本発明のインクジェット用インク
は、熱エネルギーを利用するインクジェット方式に用い
た場合おいても、長期にわたりヒーターに熱エネルギー
を与えても、ヒーター上に異物の沈着がなく、安定した
吐出が可能となることがわかった。この原因としては、
一般式(1)で示される分散染料は、分子構造から耐熱
性、分散剤との親和性が極めて良好であるため、熱変性
を受けにくく、ヒーター上に異物の沈着が起こらないと
考えられる。
【0014】(第2の発明)本発明者等は、分散染料を
用いたインクジェット記録方式を用いた捺染に関し、前
述の性能上の要件を同時に満足させるべく種々の検討を
行った。その結果、インクの色材として分散染料を用い
たインクによりインクジェット捺染を行う場合に、シア
ン色インクの色材として、少なくとも前記一般式(1)
で示される分散染料Aと、前記一般式(2)で示される
分散染料Bとを併用するか、或いは2種類の分散染料が
別々のインクから布帛上に付与され、布帛上のインクが
付与されている部分における染料の重量比が100:1
〜1:100である場合に、前述したインクジェット方
式による捺染方法の課題であった〜の要件をいずれ
も満足させることが出来ることを知見して本発明の第2
の発明に至った。
【0015】即ち、下記に述べる様な理由で、上記の如
き優れた本発明の効果が得られたものと考えている。シ
アン色を発色する分散染料としては、従来、堅牢性の点
から発色団として一般式(2)の構造を有するアントラ
キノン系の分散染料が多く使用されているが、アントラ
キノン系の染料は、染料の染着のメカニズムから染料の
分子構造上に制約があり、濃色が得られにくいという問
題点があった。更に、布帛に対する染料付与量を増す
と、得られる画像の色調が暗くなってしまい、色再現範
囲の広い画像を得ることが難しかった。これは布帛に対
して一定以上、同様の構造を有する染料が存在すると、
染料同士がインタラクションを持ち、色相がずれるため
と考えられる。特に、インクジェット捺染を行う場合に
は、粘度の低いインクが布帛上で滲まない様に、布帛に
前処理が行われることが一般的であるが、このような布
帛上では発色直前まで分散染料が凝集しているため、発
色後にも染料同士のインタラクションによる色相のずれ
が起き易い。
【0016】これに対して、一般式(1)で示される本
発明で使用する分散染料は、第1に、溶解状態で610
〜620nmにシャープな吸光のピークを持つシアン染
料であり、更に、分子構造がアントラキノン系の染料と
は全く異なることから、一般式(2)に示した構造の従
来のアントラキノン系の分散染料と併用すると、布帛上
でインタラクションを起こしにくくなり、濃色で鮮明な
理想に近いシアン色調の画像を得ることが出来る。又、
上記2種類の染料を用いた混色シアン部に、更に、イエ
ローインクを打ち込んで混色させれば、濃色で且つ彩度
の高いグリーン画像を得ることが出来ることもわかっ
た。又、上記本発明の構成によれば、ビルドアップ性が
よく、更に、発色時における温度及び時間等の固着条件
が多少異なったとしても発色性に大きな差異は見られ
ず、安定した捺染物(プリント物)が得られる。
【0017】更に、分散染料は染着量に独立性があり、
本発明の第2の発明の様に複数の染料を用いた方が染着
量が大きくなり、インクジェット方式における大きな課
題であったビルドアップ性向上に、特に有利となる。
又、本発明者らの検討によれば、発色の安定性という面
では、混色部における分散染料の種類が多ければ多いほ
ど、打ち込み順序や布帛上での分散染料の分布状態が発
色安定性に及ぼす影響が少なくなることが知見された。
従って、単独の染料を用いるよりも、複数の染料を特定
の割合で混合させて使用することが重要であることもわ
かった。
【0018】(第1の発明)次に、本発明で使用する分
散染料等の構成材料等について、好ましい実施の形態を
挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明の第1の発
明のインクジェット用インク主たる特徴は、先に示した
一般式(1)で表される分散染料を用いることにある。
一般式(1)で表される化合物は従来公知の合成方法で
得られるが、具体的には、下記に挙げる化合物例1〜5
を使用することが出来る。勿論、本発明は、これらに限
定されるものではない。
【0019】
【化9】 化合物例1
【0020】
【化10】 化合物例2
【0021】
【化11】 化合物例3
【0022】
【化12】 化合物例4
【0023】
【化13】 化合物例5
【0024】本発明のインクジェット用インクにおい
て、上記に例示した様な分散染料のインク中における含
有量は特に限定されないが、インクの全重量に対して
0.01〜25重量%、好ましくは0.05〜20重量
%、より好ましくは0.1〜15重量%の範囲とするの
がよい。即ち、分散染料の含有量が0.01重量%未満
の場合は、被記録材上に画像を形成した場合に発色濃度
が不十分となり、一方、25重量%を超えると、インク
の保存安定性の劣化や、ノズル先端付近におけるインク
蒸発に伴う増粘や析出による不吐出を引き起こし易い。
【0025】更に、上記に示した染料は、インク中に分
散させて用いるが、このときに分散後のインク中の染料
の粒径を最適に制御すれば、本発明の効果をより顕著に
発現させることが出来る。即ち、本発明においては、イ
ンクジェット用インク中に含有される分散染料の平均粒
径の範囲を、好ましくは0.05μm以上0.5μm以
下、より好ましくは0.07μm以上0.4μm以下、
更に好ましくは0.1μm以上0.3μm以下の範囲と
する。平均粒径が0.5μmを超える場合には、インク
供給系及びインク吐出部分等への目詰まりが生じ易くな
り、又、0.05μm未満では、インク中での分散安定
性が劣り、インクを長期間保存した際に、凝集が進み易
くなる等の弊害が起こり易い。尚、本発明における平均
粒径の測定条件は、レーザー光散乱法による機器ELS
−800(大塚電子製)を用い、3mm×3mmのセル
を使用して、積算回数200回にて測定した。
【0026】又、上記した分散染料と共に本発明のイン
クジェット用インクを構成する水溶性液媒体としては、
水を主成分とすることが好ましく、又、インク中の液媒
体の含有量はインク全重量に対して、10〜95重量
%、好ましくは25〜93重量%、より好ましくは40
〜90重量%の範囲とすることが望ましい。又、本発明
のインクジェット用インクにおいては、水溶性液媒体と
して、水を単独で用いてもよいが、水に、水溶性有機溶
剤を併用させることによって、本発明の効果をより顕著
なものとすることもできる。本発明で使用する水として
は、イオン交換水が好ましく用いられる。
【0027】この際に使用し得る水溶性有機溶剤として
は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルア
ルコール等の1価のアルコール類;アセトン、ジアセト
ンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラ
ヒドロフラン、ジオキン等のエーテル類;ジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、テトラエチレング
リコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレング
リコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン付加
重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、
トリメチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシ
レングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子
を含むアルキレングリコール類;1,2,6−ヘキサン
トリオール等のトリオール類;チオジグリコール;ビス
ヒドロキシエチルスルホン;グリセリン;エチレングリ
コールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレン
グリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエ
チレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等
の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;トリエチ
レングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テト
ラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル
等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類;スル
ホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリド
ン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げ
られる。
【0028】上記のような水溶性有機溶剤の含有量は、
一般的には、インクの全重量に対して合計して50重量
%以下、好ましくは5〜40重量%の範囲とすることが
望ましい。又、上記の如き水溶性有機溶剤を併用する場
合には、単独或いは混合物としても使用することができ
るが、最も好ましい水溶性液媒体組成としては、水に、
水溶性溶剤として、少なくとも1種の1価アルコール又
は多価アルコール或いはその誘導体が含有されたものが
望ましい。この様なものの中でも、チオジグリコール、
ビスヒドロキシエチルスルホン、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコール
モノメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチ
ルエーテル、エタノール等の水溶性有機溶剤が特に好適
である。
【0029】又、上記のような水溶性有機溶剤の他に、
尿素、チオ尿素、尿素誘導体をインクに含有させること
により、ノズル先端付近におけるインクの蒸発に伴う増
粘や析出を防ぐことができる。これらの含有量は、イン
ク全重量に対して、0.1〜10重量%の範囲とするこ
とが好ましい。
【0030】本発明のインクジェット用インクは、上記
に挙げた様な水溶性液媒体中に、先に述べた特定の分散
染料が分散されて形成される。本発明においては、分散
染料を液媒体中に良好に分散させる為に、インク中に、
所謂、分散剤、界面活性剤及び樹脂等を含有させること
ができる。この際に使用される分散剤又は界面活性剤と
しては、アニオン系及びノニオン系のいずれのものも使
用することが出来る。具体的には、アニオン系のものと
しては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、
アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンス
ルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキル燐
酸エステル塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮
合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮
合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、及
びこれらの置換誘導体等が挙げられる。これらのアニオ
ン系の分散剤は、インク中に染料に対して2〜5倍の量
で含まれるようにすると、特に熱エネルギーを利用する
インクジェット方式においては長期にわたり安定な吐出
を得ることができる。
【0031】ノニオン系のものとしては、例えば、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸
エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンア
ルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチ
レンオキシプロピレンブロックポリマー、及びこれらの
置換誘導体等が挙げられる。
【0032】更に、樹脂分散剤としては、例えば、スチ
レン及びその誘導体、ビニルナフタレン及びその誘導
体、α,β−不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエス
テル等、アクリル酸及びその誘導体、マレイン酸及びそ
の誘導体、イタコン酸及びその誘導体、フマール酸及び
その誘導体、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピ
ロリドン、アクリルアミド、及びその誘導体等から選ば
れる少なくとも2つ以上の単量体(このうち少なくとも
1つは親水性単量体)からなるブロック共重合体、ラン
ダム共重合体及びグラフト共重合体、並びにこれらの塩
等を挙げることができる。これらの樹脂は、塩基を溶解
させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂であることが
好ましい。更に、本発明のインクジェット用インク中に
は、以上に挙げたものの他、粘度調整剤、表面張力調整
剤、及び蛍光増白剤等を必要に応じて添加することがで
きる。
【0033】上記の様な本発明のインクジェット用イン
クは、インク滴を熱エネルギーを利用して記録信号に応
じてオリフィスから吐出させて被記録材に記録を行うイ
ンクジェット記録方法に好適に用いられる。この様な方
式の装置の一例として、記録ヘッドの室内のインクに記
録信号に対応した熱エネルギーを与え、該熱エネルギー
により小液滴を発生させる装置が挙げられるが、以下に
これについて説明する。その装置の主要部であるヘッド
構成例を図1、図2及び図3に示す。
【0034】ヘッド13は、インクを通す溝14を有す
るガラス、セラミック又はプラスチック板等と、感熱記
録に用いられる発熱ヘッド15(図では薄膜ヘッドが示
されているが、これに限定されるものではない)とを接
着して得られる。発熱ヘッド15は、酸化シリコン等で
形成される保護膜16、アルミニウム電極17−1及び
17−2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層18、
蓄熱層19、及びアルミナ等の放熱性のよい基板20よ
り成っている。
【0035】インク21は吐出オリフィス(微細孔)2
2まで来ており、不図示の圧力によりメニスカス23を
形成している。今、アルミニウム電極17−1及び17
−2に電気信号情報が加わると、発熱ヘッド15のnで
示される領域が急激に発熱し、ここに接しているインク
21に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が突出
し、インク21が吐出しインク小滴24となり、吐出オ
リフィス22より被記録材25に向かって飛翔する。
【0036】図3には図1に示すヘッドを多数並べたマ
ルチヘッドの外観図を示す。該マルチヘッドはマルチ溝
26を有するガラス板27と、図1で説明したものと同
様の発熱ヘッド28を密着して作製されている。尚、図
1は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、
図2は図1のA−B線での断面図である。
【0037】図4に、上記ヘッドを組み込んだインクジ
ェット記録装置の一例を示す。図4において、61はワ
イピング部材としてのブレードであり、その一端はブレ
ード保持部材によって保持されて固定端となり、カンチ
レバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65に
よる記録領域に隣接した位置に配置され、又、本例の場
合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持
される。62は記録ヘッド65の吐出口面のキャップで
あり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置
され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動し
て、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成
を備える。更に、63はブレード61に隣接して設けら
れるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘ
ッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0038】上記ブレード61、キャップ62及びイン
ク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレ
ード61及びインク吸収体63によってインク吐出口面
の水分、塵埃等の除去が行われる。65は吐出エネルギ
ー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する
被記録材にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、6
6は記録ヘッド65を搭載してその移動を行う為のキャ
リッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可
能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によ
って駆動されるベルト69と接続(不図示)している。
これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動
が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその
隣接した領域の移動が可能となる。
【0039】51は被記録材を挿入する為の給紙部、5
2は不図示のモーターにより駆動する紙送りローラーで
ある。これらの構成によって記録ヘッド65の吐出口面
と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進行する
につれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙され
る。
【0040】上記構成において記録ヘッド65が記録終
了等でホームポジションに戻る際、吐出回復部64のキ
ャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避してい
るが、ブレード61は移動経路中に突出している。この
結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。
尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出口面に当接し
てキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッド
の移動経路中に突出する様に移動する。
【0041】記録ヘッド65がホームポジションから記
録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード
61は、上述したワイピング時の位置と同一の位置にあ
る。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐
出口面はワイピングされる。上述の記録ヘッド65のホ
ームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ば
かりでなく、記録ヘッド65が記録の為に記録領域を移
動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジ
ションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行
われる。
【0042】図5は、ヘッドにインク供給部材、例え
ば、チューブを介して供給されるインクを収容したイン
クカートリッジの一例を示す図である。ここで、40は
供給用インクを収容したインク収容部、例えば、インク
袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられてい
る。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、
インク袋40中のインクをヘッドに供給可能ならしめ
る。44は廃インクを受容するインク吸収体である。イ
ンク吸収部としては、インクとの接液面がポリオレフィ
ン、特にポリエチレンで形成されているものが本発明に
とって好ましい。
【0043】本発明で使用されるインクジェット記録装
置としては、上記のごときヘッドとインクカートリッジ
とが別体となったものに限らず、図6に示すごときそれ
らが一体になったものにも好適に用いられる。図6にお
いて、70は記録ユニットであって、この中にはインク
を収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納
されており、かかるインク吸収体中のインクが複数のオ
リフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出
される構成になっている。
【0044】インク吸収体の材料としては、ポリウレタ
ン、セルロース又はポリビニルアセタールを用いること
が本発明にとって好ましい。72は記録ユニット内部を
大気に連通させる為の大気連通口である。この記録ユニ
ット70は、図4で示す記録ヘッドに代えて用いられる
ものであって、キャリッジ66に対し着脱自在になって
いる。
【0045】本発明のインクジェット用インクは、上記
した様なインクジェット記録装置に搭載されて、被記録
材上に画像を形成した場合に、色再現性の範囲の広い画
像が得られ、且つ長期にわたってヒーターに熱エネルギ
ーを与えても、ヒーター上に異物の沈着がなく、安定し
た吐出が行える。この際に、特に好ましく用いられる被
記録材としては、ポリエステル、アセテート、トリアセ
テート等の繊維を含有する布帛が挙げられるが、その
他、耐熱性を有するポリエステル等のプラスチックフィ
ルムやシート、これらの樹脂を被覆したコート紙、或い
は、普通紙でもよい。布帛に画像を形成してプリント物
を得る場合には、その後、染料を布帛に定着させるため
の熱処理、及び未定着の染料を除去する為の洗浄を行う
必要がある。又、コート紙に画像を形成する場合には、
分散染料がコート紙上に良好に付着する様に、親水性の
水溶性高分子層を予め形成しておくとよい。
【0046】(第2の発明)次に、本発明の第2の発明
で使用する分散染料等の構成材料等について、好ましい
実施の形態を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発
明の捺染方法においても本発明の第1の発明のインクジ
ェット用インクで使用したと同様に、前述した下記一般
式(1)で示される分散染料を使用するが、本発明の捺
染方法においては、この下記一般式(1)で示される分
散染料Aと、下記一般式(2)で示される分散染料Bと
を併用してインクジェット記録方式でインクを付与し、
且つ布帛上に付与されたインク中におけるこれらの分散
染料の重量比がA:B=100:1〜1:100の範囲
内にあるようにしたことを特徴とする。この際、分散染
料Aと分散染料Bとを布帛上で併存させる方法として
は、分散染料Aと分散染料Bを同一のインク中に上記の
割合で含有させてインクジェット捺染用インクとし、該
インクを用いてインクジェット記録方式で布帛上に付与
してもよいし、分散染料Aを含むインクと、分散染料B
を含むインクの2種類のインクを用い、これらのインク
を布帛上にインクジェット方式で付与する場合に、少な
くともインクの一部が重なるように重ね打ちして付与し
てもよい。
【0047】
【化14】 (但し、式(1)中のR1は水素原子又はアルキル基、
2及びR3は水素原子又はアルキル基或いはアルコキシ
ル基を表す)
【0048】
【化15】 (但し、式(2)中、Aは酸素原子又はNH、Rはアル
キル基又はアルコキシル基を表す)
【0049】一般式(1)で示される化合物例として
は、先に挙げた化合物例1〜5等が挙げられ、又、一般
式(2)で示される化合物例としては、例えば、C.
I.ディスパースブルー60及びC.I.ディスパース
ブルー87等が挙げられる。これらはいずれも従来公知
の方法によって得ることが出来る。
【0050】本発明の捺染方法においては、上記した
A、B、2種類の分散染料を併用する際には、夫々の分
散染料の使用割合を重量比で示した場合に、布帛上で、
分散染料A:分散染料B=100:1〜1:100の範
囲となる様にする。この結果、先に挙げたインクジェッ
ト捺染における課題、特に、安定した発色性と、その状
態での安定生産という課題をも満足させることが出来
る。従って、A、B、2種類の分散染料を別々のインク
に夫々含有させた2種類のインクを使用する場合には、
布帛に付与された2種類のインクの重なり部における各
分散染料の打ち込み比が、重量比で100:1〜1:1
00の範囲内になる様にする。この割合から外れると、
2種類の分散染料を用いることによる上記効果が得られ
なくなる。
【0051】上記したA、B、2種類の分散染料を夫々
含有させた2種類のインクを用いる場合のインク中にお
ける分散染料の含有量は、インク全重量に対して、好ま
しくは0.01〜25重量%、より好ましくは0.05
〜20重量%、更に好ましくは0.1〜15重量%の範
囲とするのがよい。分散染料の含有量が0.01重量%
未満の場合は、布帛上での発色濃度が不十分となり美麗
な捺染物が得られにくく、又、25重量%を超える場合
は、インクの保存安定性劣化やノズル先端付近における
インク蒸発に伴う増粘や析出による不吐出等、インクジ
ェット方式における問題を引き起こし易い。
【0052】又、上記したA、B、2種類の分散染料を
併用する別の態様として、同一インク中にA、B、2種
類の分散染料を含有させたインクを用いる場合には、イ
ンク中に含有させる分散染料A及び分散染料Bの含有量
が重量比で、分散染料A:分散染料B=100:1〜
1:100、より好ましくは10:1〜1:10、更に
好ましくは5:1〜1:5の範囲となる様に調製する。
この場合には、インク中の分散染料の総含有量が、好ま
しくは0.01〜25重量%、より好ましくは0.05
〜20重量%、更に好ましくは0.1〜15重量%の範
囲とすることが望ましい。
【0053】上記した本発明の捺染方法におけるいずれ
の態様においても、使用するインクを作製する場合に
は、A、B、2種類の分散染料と共に水溶性液媒体が使
用される。この際に使用する液媒体も、先に説明した第
1の発明のインクジェット用インクの場合と同様に、水
を主成分とするものが好ましい。又、この際のインク中
の液媒体の含有量はインク全重量に対して、10〜93
重量%、好ましくは25〜87重量%、より好ましくは
30〜82重量%の範囲とすることが望ましい。更に、
第1の発明の場合と同様に、液媒体に水溶性有機溶剤を
併用することによって、本発明の効果をより顕著なもの
にすることもできるが、その際に使用し得る水溶性有機
溶剤としては、先に説明した第1の発明のインクジェッ
ト用インクに使用したと同様のものを使用することが出
来る。又、水溶性有機溶剤の含有量は、本発明の捺染方
法に使用するインクの場合には、インクの全重量に対し
て50重量%以下、好ましくは5〜45重量%の範囲と
することが望ましい。
【0054】又、本発明の捺染方法に用いるインク中に
も、本発明の第1の発明のインクジェット用インクの説
明に挙げたと同様の、分散剤、界面活性剤及び樹脂等を
用いることができる。又、その他の、粘度調整剤、表面
張力調整剤、及び蛍光増白剤等を必要に応じて添加する
こともできる。更に、インク中に分散させる分散染料の
平均粒径の範囲も、本発明の第1の発明のインクジェッ
ト用インクの場合と同様に、ヘッドの目詰りの発生や、
インク中の分散染料の凝集を防止する為に、好ましくは
0.05μm以上0.5μm以下、より好ましくは0.
07μm以上0.4μm以下、更に好ましくは0.1μ
m以上0.3μm以下の範囲とするのがよい。
【0055】本発明の捺染方法において用いるインクジ
ェット方式としては、従来公知のいずれのインクジェッ
ト方式でもよいが、例えば、特開昭54−59936号
公報に記載されている方法で、熱エネルギーの作用を受
けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化によ
る作用力によって、インクをノズルから吐出させる方式
が最も有効である。その理由としては、上記方式は、複
数のノズルを有する記録ヘッドを用いる場合に、各ノズ
ル間のインクの吐出速度のばらつきが小さく、又、イン
クの吐出速度が、5〜20m/secの範囲に集約され
ていることが挙げられる。この速度で分散染料を含むイ
ンクを吐出させると、インクが布帛に衝突した場合の着
滴時の液滴の繊維に対する浸透の具合が最適となる。
又、このような方式において、本発明の捺染方法で使用
するインク中に先に列挙した分散染料を用いると、長時
間連続的に記録を行ってもそのヒーター上の異物の沈着
や断線が発生せず、安定した印捺が可能となる。
【0056】更に、本発明の捺染方法で、特に効果の高
い捺染物が得られるインクジェット記録の条件として
は、吐出液滴が20〜200pl、インク打込量が4〜
40nl/mm2、駆動周波数1.5kHz以上、及び
ヘッド温度35〜60℃の条件が好ましい。本発明にお
けるインクを用いて捺染を行うのに好適な装置として
は、具体的には、先に説明した本発明の第1の発明で使
用したと同様の装置を使用することが出来る。
【0057】次に、本発明の捺染方法において使用する
布帛について説明する。本発明において使用する布帛を
構成する素材としては、分散染料で染色可能な繊維を含
有するものであれば、特に制限はないが、中でも、ポリ
エステル、アセテート、トリアセテート等の繊維を含有
するものが好ましい。その中でも、少なくともポリエス
テル繊維が含有されている布帛が特に好ましい。布帛と
しては、上記に挙げた繊維を、織物、編物、不織布等い
ずれの形態にしたものでもよい。又、本発明で使用し得
る布帛としては、分散染料で染色可能な繊維が100%
であることが好適であるが、混紡率30%以上、好まし
くは50%以上であれば、分散染料で染色可能な繊維と
他の素材、例えば、レーヨン、綿、ポリウレタン、アク
リル、ナイロン、羊毛及び絹等との混紡織布又は混紡不
織布等も捺染用布帛として使用することができる。又、
上記の様な布帛を構成する糸の太さとしては、10〜1
00dの範囲が好ましく、更に、その糸を構成している
繊維の太さとしては特に制限はないが、1d以下である
と本発明の効果がより効果的に発揮される。
【0058】更に、本発明の捺染方法においては、上記
の布帛に、水溶性金属塩、水溶性高分子、尿素、チオ尿
素、界面活性剤及び撥水剤からなる群から選ばれる少な
くとも1つの物質を含有させることが、より好適であ
る。これらの物質は単独或いは複数で用いられ、それら
の物質を合わせた含有量は、布帛の乾燥重量に対して、
好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.
5〜18重量%、更に好ましくは1〜15重量%の範囲
とすることが望ましい。0.01重量%未満ではこれら
の物質を添加する効果がなく、20%重量を超えると布
帛の搬送性の点から好ましくない場合がある。
【0059】この際に使用する水溶性金属塩類として
は、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属のハロゲ
ン化物のように、典型的なイオン結晶を作るものであっ
て、pH4〜10である化合物が挙げられる。かかる化
合物の代表的な例としては、例えば、アルカリ金属塩で
は、NaCl、Na2SO4、KCl、CH3COONa
等が挙げられ、又、アルカリ土類金属塩としては、Ca
Cl2、MgCl2等が挙げられる。中でもNa、K、C
aの塩類が好ましい。
【0060】又、水溶性高分子としては、例えば、トウ
モロコシ、小麦等のデンプン物質;カルボキシメチルセ
ルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース等のセルロース系物質;アルギン酸ナトリウム、ア
ラビヤゴム、ローカスイトビーンガム、トラガントガ
ム、グアーガム、タマリンド種子等の多糖類;ゼラチ
ン、カゼイン等の蛋白質物質、タンニン系物質;リグニ
ン系物質等の天然水溶性高分子が挙げられる。更に、合
成高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール系化
合物、ポリエチレンオキサイド系化合物、アクリル酸系
水溶性高分子、無水マレイン酸系水溶性高分子等が挙げ
られる。これらの中でも多糖類系高分子やセルロース系
高分子が好ましい。
【0061】界面活性剤としては、例えば、アニオン
系、カチオン系、両性、ノニオン系のものが使用され、
代表的には、アニオン系の界面活性剤としては、高級ア
ルコール硫酸エステル塩、ナフタレン誘導体のスルホン
酸塩等;カチオン系の界面活性剤としては、第4級アン
モニウム塩等;両性界面活性剤としては、イミダゾリン
誘導体等;ノニオン系の界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロ
ピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチ
レンアルコールのエチレンオキサイド付加物等;が挙げ
られる。又、撥水剤としては、例えば、シリコン、フッ
素系及びワックス系のものが挙げられる。
【0062】更に、本発明の捺染方法に用いる布帛は、
インクジェット方式でのインク付与工程において、その
水分率を、好ましくは1.0〜101.0%、より好ま
しくは3.0〜81.0%の範囲に調整されたものであ
ることが望ましい。水分率が1.0%未満の場合では、
発色性及び滲み防止性の点で不都合が生じたり、一方、
水分率が101.0%を超えると、搬送性、特に滲みの
点で好ましくない場合がある。上記した布帛中の水分率
は、JIS−L−1019に準拠して測定したものであ
る。即ち、試料100gを正確に秤り取り、105±2
℃の乾燥器中に入れ恒量になるまで乾燥した後、水洗処
理を行い、再び恒量になるまで乾燥し、繊維部のみの乾
燥後重量を測定し、次式によって布帛中の水分率を求め
る。 水分率(%)={(W−W')/W"}×100 (W:乾燥前重量、W':乾燥後重量、W":水洗乾燥後
繊維部重量)
【0063】本発明の捺染方法では、上記した分散染料
で染色することが可能な繊維が含有されている布帛上
に、先に述べた構成のインクを用いてインクジェット記
録方式で画像を形成した後(インク付与工程)、インク
が付与されている布帛を熱処理し(熱処理工程)、更に
熱処理された布帛を洗浄すること(洗浄工程)によって
布帛への捺染が完了し、捺染物が得られる。即ち、本発
明の捺染方法においては、色材として分散染料が使用さ
れている為、前述したインク付与工程においては、布帛
上へのインクの付与が行われただけの状態であり、単に
布帛上にインクが付着しているに過ぎない。従って、引
続き、繊維に染料を染着させて画像を定着させるための
熱処理と、未定着の染料を除去するための洗浄処理が必
要となる。
【0064】本発明の捺染方法において、分散染料を繊
維に定着させるには、インクが付与されている布帛を熱
処理する方法等により行うが、特に、熱処理に、高温蒸
熱法であるHTスチーミング法を用いた場合や、サーモ
ゾル法等を用いた場合に、染料が繊維に良好に染着して
本発明の顕著な効果が得られる。HTスチーミング法に
よる場合には、140〜200℃で2〜30分間の熱処
理条件で行うことが好ましく、更に、160〜190℃
で6〜8分間の熱処理条件で行うことがより好ましい。
サーモゾル法による場合には、160〜210℃で10
秒間〜5分間の熱処理条件で行うことが好ましく、18
0〜210℃で20秒間〜2分間の熱処理条件で行うこ
とがより好ましい。又、本発明の捺染方法において、未
定着の染料を布帛上から除去する方法に関しては、従来
公知の洗浄方法を用いることが出来るが、特に還元洗浄
を行うことが好ましい。
【0065】以上述べた処理が施された布帛は、その
後、所望の大きさに切り離され、その切り離された片
は、縫着、接着及び溶着等の最終的な加工品を得るため
の工程を経て、ワンピース、ドレス、ネクタイ及び水着
等の衣類や、布団カバー、ソファーカバー、ハンカチ及
びカーテン等の製品とされる。尚、布帛を縫製等の手段
によって加工し、衣類やその他の日用品とする方法は、
例えば「最新ニット縫製マニュアル」(センイジャーナ
ル社発行)や月刊誌「装苑」(文化出版局発行)等の公
知の書籍に多数記載されている。
【0066】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明する。尚、文中「部」及び「%」とあるのは、特に
断りのない限り重量基準である。 (第1の発明) 実施例1 <分散染料液(1)の作製> ・β−ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物 20部 ・イオン交換水 55部 ・ジエチレングリコール 10部 上記の成分を混合して得られた溶液に、先に挙げた化合
物例1に示される分散染料15部を加えて、30分間の
プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行
った。 ・分散機 サンドグラインダー(五十嵐機械製) ・粉砕メディア ジルコニウムビーズ1mm径 ・粉砕メディアの充填率 50%(体積) ・回転数 1,500rpm ・粉砕時間 3時間 更に、フロロポアフィルターFP−250(商品名、住
友電工社製)を用いて濾過を行い、粗大粒子を除去して
分散染料液(1)を得た。
【0067】 <インク(a)の製造> ・分散染料液(1) 40部 ・ビスヒドロキシエチルスルホン 24部 ・ジエチレングリコール 11部 ・イオン交換水 25部 上記の全成分を混合して、得られた混合液を水酸化ナト
リウムでpH8に調整して2時間撹拌した後、フロロポ
アフィルターFP−100(商品名、住友電工社製)を
用いて濾過を行い、実施例1の分散染料インク(a)を
得た。
【0068】実施例2 分散染料液(1)の作製時に、分散染料として化合物例
1の代わりに化合物例2で示される分散染料を用いた以
外は全て実施例1と同様にして、分散染料インク(b)
を得た。
【0069】実施例3 分散染料液(1)の作製時に、分散染料として化合物例
1の代わりに化合物例3で示される分散染料を用いた以
外は全て実施例1と同様にして、分散染料インク(c)
を得た。
【0070】実施例4 分散染料液(1)の作製時に、分散染料として化合物例
1の代わりに化合物例4で示される分散染料を用いた以
外は全て実施例1と同様にして、分散染料インク(d)
を得た。
【0071】実施例5 分散染料液(1)の作製時に、分散染料として化合物例
1の代わりに化合物例5で示される分散染料を用いた以
外は全て実施例1と同様にして、分散染料インク(e)
を得た。
【0072】[使用例1及び評価]上記で得られた分散
染料インク(a)〜(e)をカラーバブルジェットプリ
ンターBJC600(商品名、キヤノン社製)に搭載し
て、被記録材上に画像を形成して画像の評価を行った。
この際に使用した被記録材としては、ポリエステル10
0%の繊維からなる平均太さ40dの織布を、予めポリ
エチレンオキサイド(商品名:アハコックスE−10
0、粘度平均分子量250〜300)1.0%の水溶液
に浸し、絞り率60%で脱水した後に乾燥を行って布帛
の水分率を7%に調整したポリエステル布帛を用いた。
【0073】上記のポリエステル布帛上に、カラーバブ
ルジェットプリンターBJC600(商品名、キヤノン
社製)によって、インクの印字密度100%のベタパッ
チを夫々分散染料インク(a)〜(e)でプリントし、
その後、180℃で8分間の蒸熱処理により、インクを
布帛上に定着させた。その後、これを常法により水洗、
還元洗浄及び乾燥して捺染物を得た。得られた染色品の
色相及び濃度を目視にて評価したところ、いずれも鮮明
なシアン色相を呈し、且つ濃色であった。
【0074】[使用例2及び評価]実施例1〜5で得ら
れた分散染料インク(a)〜(e)を用い、各インク
を、記録信号に応じて熱エネルギーを付与することによ
りインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッド
を有するインクジェット記録装置(商品名:BJC60
0、キヤノン社製)を用いて、A4サイズの普通紙上
に、4ノズルを連続印字させるパターンを印字させて吐
出性の評価を行った。そして、4ノズル中2ノズルが吐
出不能になった時点での印字枚数をチェックし(A4紙
1枚に、1ノズル当たり155,520ドット印字させ
ている)、その結果を表1に示した。表1に示した様
に、実施例1〜5で得られたインクを使用した場合に
は、ノズルでのインクの沈着を生じることなく、吐出安
定性に優れることが確認された。
【0075】
【表1】 表1:実施例1〜5のインクの吐出安定性の評価結果
【0076】(第2の発明) 実施例6 <分散染料液(2)及び分散染料液(3)の作製> ・β−ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物 30部 ・イオン交換水 55部 ・ジエチレングリコール 10部 上記の成分を混合して得られた溶液に、更に、分散染料
Aとして先に挙げた化合物例1に示した分散染料15部
を加えて、30分間のプレミキシングを行った後、下記
の条件で分散処理及び濾過処理して分散染料液(2)を
得た。又、化合物例1に示した分散染料に変えて、分散
染料BとしてC.I.ディスパースブルー60を15部
用いた以外は、上記と同様にして分散染料液(3)を得
た。 ・分散機 サンドグラインダー(五十嵐機械製) ・粉砕メディア ジルコニウムビーズ1mm径 ・粉砕メディアの充填率 50%(体積) ・回転数 1,500rpm ・粉砕時間 3時間 上記分散処理の後、更に、フロロポアフィルターFP−
250(商品名、住友電工社製)を用いて濾過を行って
粗大粒子を除去した。
【0077】 <インク(f)の製造> ・分散染料液(2) 40部 ・チオジグリコール 10部 ・尿素 8部 ・イオン交換水 42部 上記の全成分を混合して、得られた混合液を水酸化ナト
リウムでpH8に調整して2時間撹拌した後、フロロポ
アフィルターFP−100(商品名、住友電工社製)を
用いて濾過を行い、分散染料インク(f)を得た。
【0078】 <インク(g)の製造> ・分散染料液(3) 30部 ・ビスヒドロキシエチルスルホン 15部 ・ジエチレングリコール 10部 ・尿素 5部 ・イオン交換水 40部 上記の全成分を混合し、この混合液を水酸化ナトリウム
でpH8に調整して、2時間撹拌した後、フロロポアフ
ィルターFP−100(商品名、住友電工社製)を用い
て濾過を行い、インク(g)を得た。
【0079】[捺染及び評価]先ず、ポリエステル10
0%の繊維からなる平均太さ40dの織布を、予めポリ
エチレンオキサイド(商品名:アハコックスE−75、
粘度平均分子量200〜250)1.0%の水溶液に浸
し、絞り率60%で脱水した後に乾燥して、布帛の水分
率を7%に調整した。そして、上記で得られた2種類の
インク(f)及びインク(g)を、夫々カラーバブルジ
ェットプリンターBJC600(商品名、キヤノン社
製)に搭載して、水分率を7%に調整した上記の布帛上
にインクを付与した。その際、2種類のインク(f)及
びインク(g)の打ち込み比を、表2に示したインクの
打ち込み比とし、且つ布帛に付与される染料の総打込み
量が50ng/cm2になる様に調整した。以上の様に
して、2種類の分散染料が併用された2インク混色のサ
ンプルプリント物を2組作成し、得られたプリント物を
夫々170℃と180℃で、各々8分間の蒸熱処理して
染料を定着させた。その後、これらを常法により水洗、
還元洗浄及び乾燥を行い、染色品を得た。この得られた
染色品について、色相、画像濃度及び発色安定性
について評価した。その結果を表2に示す。表2から明
らかな通り、発色条件が変わっても発色安定性が良好
で、更に、鮮明なシアン色相を呈する濃色の染色品が得
られた。
【0080】実施例7 <分散染料液(4)及び分散染料液(5)の作製> ・メチルナフタレンスルホン酸ナトリウム 35部 ・イオン交換水 55部 ・ジエチレングリコール 15部 上記の成分を混合して得られた溶液に、更に、分散染料
Aとして、先に挙げた化合物例2に示した分散染料15
部を加えて、30分間のプレミキシングを行った後、下
記の条件で分散処理及び濾過処理して分散染料液(4)
を得た。又、化合物例2に示した分散染料に変えて、分
散染料BとしてC.I.ディスパースブルー87を15
部用いた以外は、上記と同様にして分散染料液(5)を
得た。 ・分散機 サンドグラインダー(五十嵐機械製) ・粉砕メディア ガラスビーズ0.5mm径 ・粉砕メディアの充填率 70%(体積) ・回転数 1,500rpm ・粉砕時間 3時間 上記分散処理の後、更に、フロロポアフィルターFP−
250(商品名、住友電工社製)を用いて濾過を行って
粗大粒子を除去した。
【0081】 <インク(h)の製造> ・分散染料液(4) 30部 ・ビスヒドロキシエチルスルホン 19部 ・ジエチレングリコール 11部 ・イソプロピルアルコール 5部 ・イオン交換水 35部 上記の全成分を混合し、この混合液を水酸化ナトリウム
でpH8に調整して2時間撹拌した後、フロロポアフィ
ルターFP−100(商品名、住友電工社製)を用いて
濾過を行い、インク(h)を得た。
【0082】インク(i)の製造 ・分散染料液(5) 30部 ・チオジグリコール 15部 ・ジエチレングリコール 10部 ・トリエチレングリコール 5部 ・イオン交換水 40部 上記の全成分を混合し、この混合液を水酸化ナトリウム
でpH8に調整して2時間撹拌した後、フロロポアフィ
ルターFP−100(商品名、住友電工社製)を用いて
濾過を行い、インク(i)を得た。
【0083】このようにして得られた2種類のインク
(h)及び(i)を使用し、実施例6で使用したと同様
の布帛上に、実施例6と同様の方法で2種類の分散染料
が併用された2インク混色のサンプルプリント物を2組
作成した。その際に行った2種類のインクの打ち込み比
を、表2に示した。得られたプリント物は、夫々170
℃と180℃で、各々8分間蒸熱処理して染料を定着さ
せた。その後、これらを常法により水洗、還元洗浄及び
乾燥を行い、染色品を得た。この得られた染色品につい
て、色相、画像濃度及び発色安定性について評価
した。その結果を表2に示す。表2から明らかな通り、
発色条件が変わっても発色安定性が良好で、更に、鮮明
なシアン色相を呈する濃色の染色品が得られた。
【0084】実施例8 <分散染料液(6)の作製> ・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム 5部 ・β−ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物 25部 ・イオン交換水 40部 ・エチレングリコール 20部 上記の成分を混合して得られた溶液に、更に、分散染料
Aとして、先に挙げた化合物例3に示した分散染料10
部を加えて、30分間のプレミキシングを行った後、下
記の条件で分散処理及び濾過処理を行って分散染料液
(6)を得た。 ・分散機 サンドグラインダー(五十嵐機械製) ・粉砕メディア ガラスビーズ1mm径 ・粉砕メディアの充填率 50%(体積) ・回転数 1,500rpm ・粉砕時間 3時間 上記分散処理の後、更に、フロロポアフィルターFP−
250(商品名、住友電工社製)を用いて濾過を行って
粗大粒子を除去した。
【0085】 <インク(j)の製造> ・分散染料液(6) 30部 ・チオジグリコール 10部 ・ジエチレングリコール 11部 ・尿素 14部 ・イオン交換水 35部 上記の全成分を混合し、この混合液を水酸化ナトリウム
でpH8に調整して、2時間撹拌した後、フロロポアフ
ィルターFP−100(商品名、住友電工社製)を用い
て濾過を行い、インク(j)を得た。
【0086】上記で得られたインク(j)と、分散染料
BとしてC.I.ディスパースブルー60が分散されて
いる実施例6で作製したインク(g)とを使用し、実施
例6で使用したと同様の布帛上に、実施例6と同様の方
法で、2種類の分散染料が併用された2インク混色のサ
ンプルプリント物を2組作成した。その際に行った2種
類のインクの打ち込み比を、表2に示した。得られたプ
リント物は、夫々170℃と180℃で、各々8分間蒸
熱処理して染料を定着させた。その後、これらを常法に
より水洗、還元洗浄及び乾燥を行い、染色品を得た。こ
の得られた染色品について、色相、画像濃度及び
発色安定性について評価した。その結果を表2に示す。
表2から明らかな通り、発色条件が変わっても発色安定
性が良好で、更に、鮮明なシアン色相を呈する濃色の染
色品が得られた。
【0087】実施例9 <インク(k)の製造> ・実施例6で作製した分散染料液(2) 21部 ・実施例6で作製した分散染料液(3) 9部 ・チオジグリコール 24部 ・ジエチレングリコール 11部 ・イオン交換水 35部 上記の全成分を混合し、この混合液を水酸化ナトリウム
でpH8に調整して、2時間撹拌した後、フロロポアフ
ィルターFP−100(商品名、住友電工社製)を用い
て濾過を行い、インク(k)を得た。
【0088】上記で得られたA、B、2種類の分散染料
が含有されたインク(k)を用い、カラーバブルジェッ
トプリンターBJC600(商品名、キヤノン社製)に
搭載して、実施例6で使用したと同様の布帛上に、印字
密度100%で印字し、サンプルを2組プリントした。
得られたプリント物は、夫々170℃と180℃で、各
々8分間蒸熱処理して染料を定着させた。その後、これ
らを常法により水洗、還元洗浄及び乾燥を行い、染色品
を得た。この得られた染色品について、色相、画像
濃度及び発色安定性について評価した。その結果を表
3に示す。表3から明らかな通り、発色条件が変わって
も発色安定性が良好で、更に、鮮明なシアン色相を呈す
る濃色の染色品が得られた。
【0089】実施例10 <インク(l)の製造> ・実施例6で作製した分散染料液(2) 15部 ・実施例6で作製した分散染料液(3) 10部 ・チオジグリコール 24部 ・ジエチレングリコール 11部 ・イオン交換水 40部 上記の全成分を混合し、この混合液を水酸化ナトリウム
でpH8に調整して、2時間撹拌した後、フロロポアフ
ィルターFP−100(商品名、住友電工社製)を用い
て濾過を行い、インク(l)を得た。
【0090】上記で得られたA、B、2種類の分散染料
が含有されているインク(l)を用い、実施例6で使用
したと同様の布帛上に、実施例9と同様の方法でプリン
トを行った。得られたプリント物は、夫々170℃と1
80℃で、各々8分間蒸熱処理して染料を染料を定着さ
せた。その後、これらを常法により水洗、還元洗浄及び
乾燥を行い、染色品を得た。この得られた染色品につい
て、色相、画像濃度及び発色安定性について評価
した。その結果を表3に示す。表3から明らかな通り、
発色条件が変わっても発色安定性が良好で、更に、鮮明
なシアン色相を呈する濃色の染色品が得られた。
【0091】実施例11 <インク(m)の製造> ・実施例6で作製した分散染料液(2) 10部 ・実施例6で作製した分散染料液(3) 15部 ・チオジグリコール 24部 ・ジエチレングリコール 11部 ・イオン交換水 40部 上記の全成分を混合し、この混合液を水酸化ナトリウム
でpH8に調整して、2時間撹拌した後、フロロポアフ
ィルターFP−100(商品名、住友電工社製)を用い
て濾過を行い、インク(m)を得た。
【0092】上記で得られたA、B、2種類の分散染料
が含有されているインク(m)を用い、実施例6で使用
したと同様の布帛上に、実施例9と同様の方法でプリン
トを行った。得られたプリント物は、夫々170℃と1
80℃で、各々8分間蒸熱処理して染料を定着させた。
その後、これらを常法により水洗、還元洗浄及び乾燥を
行い、染色品を得た。この得られた染色品について、
色相、画像濃度及び発色安定性について評価した。
その結果を表3に示す。表3から明らかな通り、発色条
件が変わっても発色安定性が良好で、更に、鮮明なシア
ン色相を呈する濃色の染色品が得られた。
【0093】実施例12 <インク(n)の製造> ・実施例7で作製した分散染料液(4) 8部 ・実施例7で作製した分散染料液(5) 32部 ・チオジグリコール 15部 ・ジエチレングリコール 10部 ・テトラエチレングリコールジメチルエーテル 7部 ・イオン交換水 28部 上記全成分を混合し、混合液を水酸化ナトリウムでpH
8に調整し、2時間撹拌した後、フロロポアフィルター
FP−100(商品名、住友電工社製)を用いて濾過を
行い、インク(n)を得た。
【0094】上記で得られたA、B、2種類の分散染料
が含有されているインク(n)を使用して、実施例6で
使用したと同様の布帛上に、実施例9と同様の方法でプ
リントを行った。得られたプリント物は、夫々170℃
と180℃で、各々8分間蒸熱処理して染料を定着させ
た。その後、これらを常法により水洗、還元洗浄及び乾
燥を行い、染色品を得た。この得られた染色品につい
て、色相、画像濃度及び発色安定性について評価
した。その結果を表3に示す。表3から明らかな通り、
発色条件が変わっても発色安定性が良好で、更に、鮮明
なシアン色相を呈する濃色の染色品が得られた。
【0095】
【表2】 表2:2種類のインクを重ね打ちした場合
【0096】
【表3】 表2:A、B、2種類の分散染料が含有されたインクを
用いた場合
【0097】[評価基準] 色相 彩度の高さを目視により判断した。 ◎:特に鮮明で良好なシアン色を呈している。 ○:鮮明で良好なシアン色を呈している。 ×:鮮明性に欠け、色調が暗くなっている。 濃度 染料を定着させる発色温度180℃で得られた色パッチ
について、光学濃度(O.D.値)を、マクベス社製の
反射濃度計RD−918で測定した。 ○:O.D.値が1.3以上。(濃度が高く濃色) ×:O.D.値が1.3未満。(濃度が低く淡色) 発色安定性 染料を定着させる発色温度170℃及び180℃で得ら
れた各々の色パッチについて、光学濃度(O.D.値)
を、マクベス社製の反射濃度計RD−918で夫々測定
し、両者の差から判定した。 ○:O.D.値の差が0.02未満で、発色条件による
差が小さい。 △:O.D.値の差が0.02以上0.04未満の範囲
で、発色条件による差が多少ある。 ×:O.D.値の差が0.04以上で、発色条件による
差が大きい。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高濃度で且つ鮮明なシアン色相を呈する画像を得ること
ができ、更に、長時間インクジェット記録を行っても、
発熱ヘッドの表面に異物が沈着することなく、安定した
吐出が可能な分散染料が含有されたインクジェット用イ
ンクが提供される。更に、本発明の捺染方法によれば、
高濃度で、特に、鮮明なシアン色相を呈する濃色のプリ
ント物を得ることができ、更に発色条件が多少変化して
も、安定な状態で染色物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッドの縦断面図で
ある。
【図2】インクジェット記録装置のヘッドの横断面図で
ある。
【図3】図1に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外
観斜視図である。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図で
ある。
【図5】インクカートリッジの縦断面図である。
【図6】記録ユニットの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
13:ヘッド 14:インク溝 15:発熱ヘッド 16:保護膜 17−1、17−2:アルミニウム電極 18:発熱抵抗体層 19:蓄熱層 20:基板 21:インク 22:吐出オリフィス(微細孔) 23:メニスカス 24:インク小滴 25:被記録材 26:マルチ溝 27:ガラス板 28:発熱ヘッド 40:インク袋 42:栓 44:インク吸収体 45:インクカートリッジ 51:給紙部 52:紙送りローラー 53:排紙ローラー 61:ブレード 62:キャップ 63:インク吸収体 64:吐出回復部 65:記録ヘッド 66:キャリッジ 67:ガイド軸 68:モーター 69:ベルト 70:記録ユニット 71:ヘッド部 72:大気連通口
フロントページの続き (72)発明者 小池 祥司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 山本 智也 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 袴田 慎一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも色材とこれを溶解又は分散す
    るための水溶性液媒体とを有するインクジェット用イン
    クにおいて、色材として下記一般式(1)で示される分
    散染料が含まれていることを特徴とするインクジェット
    用インク。 【化1】 (但し、式(1)中のR1は水素原子又はアルキル基、
    2及びR3は水素原子又はアルキル基或いはアルコキシ
    ル基を表す)
  2. 【請求項2】 色材の含有量が、インク全量に対して、
    0.01〜25重量%の範囲にある請求項1に記載のイ
    ンクジェット用インク。
  3. 【請求項3】 水溶性液媒体が水を含んでいる請求項1
    に記載のインクジェット用インク。
  4. 【請求項4】 水の含有量がインク全量に対して10〜
    95重量%である請求項3に記載のインクジェット用イ
    ンク。
  5. 【請求項5】 水溶性液媒体が水溶性有機溶剤を含んで
    いる請求項1に記載のインクジェット用インク。
  6. 【請求項6】 水溶性有機溶剤の含有量がインク全量に
    対して50重量%以下である請求項5のインクジェット
    用インク。
  7. 【請求項7】 インク滴を熱エネルギーを利用して記録
    信号に応じてオリフィスから吐出させて被記録材に記録
    を行うインクジェット記録方法において、請求項1〜請
    求項6のいずれかに記載のインクジェット用インクを使
    用することを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 【請求項8】 分散染料で染色することが可能な繊維が
    含有されている布帛上にインクを用いてインクジェット
    記録方式で画像を形成し、次いでインクが付与されてい
    る布帛を熱処理し、更に熱処理された布帛を洗浄して布
    帛に捺染する捺染方法において、上記インクに、少なく
    とも下記一般式(1)で示される分散染料Aと下記一般
    式(2)で示される分散染料Bの2種類の染料が併用さ
    れ、且つ布帛上に付与されたインク中におけるこれらの
    分散染料の重量比がA:B=100:1〜1:100の
    範囲内にあることを特徴とする捺染方法。 【化2】 (但し、式(1)中のR1は水素原子又はアルキル基、
    2及びR3は水素原子又はアルキル基或いはアルコキシ
    ル基を表す) 【化3】 (但し、式(2)中、Aは酸素原子又はNH、Rはアル
    キル基又はアルコキシル基を表す)
  9. 【請求項9】 少なくとも分散染料Aを有するインク
    と、分散染料Bを有するインクの2種類のインクを用
    い、2種類のインクの少なくとも一部が重なるようにし
    てインクジェット方式により布帛上にインクを付与し、
    且つ2種類のインクが重なっている部分の染料の打ち込
    み比が、重量比で100:1〜1:100の範囲内とな
    るように布帛上にインクを付与する請求項8に記載の捺
    染方法。
  10. 【請求項10】 少なくとも下記一般式(1)で示され
    る分散染料Aと下記一般式(2)で示される分散染料B
    の2種類の染料と水溶性液媒体とを有し、且つこれらの
    分散染料の含有重量比がA:B=100:1〜1:10
    0の範囲にあることを特徴とするインクジェット捺染用
    インク。 【化4】 (但し、式(1)中のR1は水素原子又はアルキル基、
    2及びR3は水素原子又はアルキル基或いはアルコキシ
    ル基を表す) 【化5】 (但し、式(2)中、Aは酸素原子又はNH、Rはアル
    キル基又はアルコキシル基を表す)
  11. 【請求項11】 インクに、請求項10に記載のインク
    ジェット捺染用インクを用いる請求項8に記載の捺染方
    法。
  12. 【請求項12】 熱処理の方法が、高温蒸熱法(HTス
    チーミング)又はサーモゾル法である請求項8、請求項
    9又は請求項11に記載の捺染方法。
  13. 【請求項13】 インクジェット方式が、熱エネルギー
    を利用してインクを吐出させる方式である請求項8、請
    求項9又は請求項11に記載の捺染方法。
  14. 【請求項14】 布帛中に、水溶性金属塩、水溶性高分
    子、尿素、チオ尿素、界面活性剤及び撥水剤からなる群
    から選ばれる少なくとも1つの物質が、布帛の乾燥重量
    に対して0.01〜20重量%含有されている請求項
    8、請求項9又は請求項11に記載の捺染方法。
  15. 【請求項15】 請求項8、請求項9又は請求項11に
    記載の方法により捺染されたことを特徴とする捺染物。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の捺染物を加工して
    得られることを特徴とする加工品。
  17. 【請求項17】 請求項15に記載の捺染物を所定の大
    きさに切り離して片とし、1つ以上の片を加工して得ら
    れることを特徴とする加工品。
  18. 【請求項18】 加工の方法が縫製である請求項17に
    記載の加工品。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014095006A (ja) * 2012-11-08 2014-05-22 Seiko Epson Corp インクおよび染色物

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