JPH07252785A - インクジェット捺染用布帛及び捺染方法 - Google Patents

インクジェット捺染用布帛及び捺染方法

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JPH07252785A
JPH07252785A JP6042196A JP4219694A JPH07252785A JP H07252785 A JPH07252785 A JP H07252785A JP 6042196 A JP6042196 A JP 6042196A JP 4219694 A JP4219694 A JP 4219694A JP H07252785 A JPH07252785 A JP H07252785A
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water
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cloth
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Masahiro Haruta
昌宏 春田
Shoji Koike
祥司 小池
Kinu Shirota
衣 城田
Tomoya Yamamoto
智也 山本
Fumi Takaide
文 高出
Mariko Suzuki
真理子 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 画像濃度及び色の深みが十分で、布帛の裏面
の発色濃度も十分であるようなインクジェット捺染用布
帛及び捺染方法を提供する。 【構成】 少なくとも水溶性樹脂と、一般式A (R1、R2、R3、R4はそれぞれH又はCH3、nは0
又は1、Xは−O−、−S−、−CH2−、などを示
す。)で示され室温において固体である化合物とを含む
水分散液で前処理されたインクジェット捺染用布帛。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェットプリン
ターを用いて布帛に記録を行うものであり、更に詳しく
は布帛に記録を行う場合に好適な記録方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、布帛にインクジェット記録する方
法として、粘着剤を塗布した伸縮性のない平面支持体上
に一時的に布帛を接着してプリンターで印捺するもの
(特開昭63−6183号公報)や、用いる染料に対し
て非染着性の水溶性高分子物質と、水溶性塩類と、水不
溶性無機微粒子のいずれかを含む水溶液で前処理された
布帛にインクジェット染色する方法(特公昭63−31
594号公報)、セルロース繊維にアルカリ性物質と尿
素又はチオ尿素と水溶性高分子物質を含む水溶液で前処
理し、反応性染料を含むインクでインクジェット染色
し、乾熱固着処理する方法(特公平4−35351号公
報)等があった。これら先行技術の目的とするところは
画像のにじみ防止と、シャープな絵柄、及び高濃度で鮮
明な捺染物を得ることであった。しかしながら、従来の
捺染法(スクリーン捺染)で得られた捺染物と同程度の
色濃度と鮮明性を得るには至っていない。更にまた、布
帛の厚さ方向に対する浸透が悪いために、色の深みや裏
面への均一な色抜けが不十分であった。それゆえ、捺染
物の応用範囲がせばめられてしまっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する問題点は、画像濃度が不十分な点、色の深みが不足
している点、及び、布帛の裏面への色抜けがないために
捺染物の応用範囲がせばめられている点である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記したよう
な問題点を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に至っ
たものである。
【0005】すなわち本発明は、少なくとも水溶性樹脂
と、一般式〔A〕
【0006】
【化13】 (但し、R1、R2、R3、R4はそれぞれH又はCH3
nは0又は1、Xは−O−、−S−、−CH2−、
【0007】
【化14】
【0008】
【化15】
【0009】
【化16】
【0010】
【化17】
【0011】
【化18】 又は直接結合を示す。)で示され室温において固体であ
る化合物とを含む水分散液で前処理されたインクジェッ
ト捺染用布帛である。
【0012】また本発明のインクジェット捺染用布帛
は、綿、絹、麻、レーヨン、アセテート、ナイロン又は
ポリエステル繊維の一からなることを含むものである。
【0013】また本発明のインクジェット捺染用布帛
は、綿、絹、麻、レーヨン、アセテート、ナイロン又は
ポリエステル繊維の複数から混紡されてなることを含む
ものである。
【0014】また本発明は、少なくとも水溶性樹脂と、
一般式〔A〕
【0015】
【化19】 (但し、R1、R2、R3、R4はそれぞれH又はCH3
nは0又は1、Xは−O−、−S−、−CH2−、
【0016】
【化20】
【0017】
【化21】
【0018】
【化22】
【0019】
【化23】
【0020】
【化24】 又は直接結合を示す。)で示され室温において固体であ
る化合物とを含む水分散液で予め前処理された布帛にイ
ンクジェット記録を行い、次いで発色処理を施した後、
洗浄し、乾燥するインクジェット捺染方法である。
【0021】以下に本発明を詳細に説明する。
【0022】本発明においては、布帛上の画像のにじみ
を押さえ色の深みのある高濃度の画像を得るために、少
なくとも水溶性樹脂と、一般式〔A〕で示され室温にお
いて固体である化合物とを含む水分散液で布帛を前処理
することが必要である。
【0023】水溶性樹脂の具体例としては、酸化デンプ
ン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、トラガントガム、グアー
ガム、アラビアガム、アルギン酸ソーダ、ポリアクリル
酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、ポリアクリルアミド、カゼイン等である。
【0024】また、水分散液には必要に応じてpH調整
剤を添加してもよい。pH調整剤の具体例としては、り
ん酸、塩酸、硫酸、ほう酸、けい酸、酢酸、炭酸、クエ
ン酸、酒石酸、マレイン酸、フタル酸、およびこれらの
アルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン
塩、トリエタノールアミン塩、及び苛性ソーダ、トリエ
タノールアミン等である。
【0025】一般式〔A〕で示され室温において固体で
ある化合物としては、ビス(2−ヒドロキシエチル)ビ
スフェノールA、ビス(2−ヒドロキシエチル)ビスフ
ェノールS、ビス(2−ヒドロキシエチル)テトラメチ
ルビスフェノールS、ビス(2−ヒドロキシエチル)ビ
フェノール、ビス(2−ヒドロキシエチル)テトラメチ
ルビフェノール、ビス(2−ヒドロキシエチル)チオジ
フェノール、ビス(2−ヒドロキシエチル)ビフェノー
ルF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェ
ノールF、並びに以下の化学式で示される化合物等を挙
げることができる。
【0026】
【化25】 (以下、化合物No.1とする)
【0027】
【化26】 (以下、化合物No.2とする)
【0028】
【化27】 (以下、化合物No.3とする)
【0029】
【化28】 (以下、化合物No.4とする)
【0030】
【化29】 (以下、化合物No.5とする)上記水溶性樹脂及び上
記一般式〔A〕で示され室温において固体の化合物は、
水に混合して、ボールミル、ロールミル、アトライター
等の分散機で微粒子状に分散して用いる。分散安定性を
向上させるために活性剤等の添加剤を更に添加すること
がより好ましい。
【0031】前処理方法としては、塗布、含浸、スプレ
ー法のいずれかにより、水分散液を布帛に付与する方法
が好ましい。
【0032】上記水分散液の布帛への付与量は、布帛に
対して10〜90wt.%、好ましくは20〜80w
t.%、より好ましくは40〜70wt.%とすること
が発色性向上の点から好適である。
【0033】一般式〔A〕で示され室温で固体である化
合物は、従来の捺染法において用いられている尿素やフ
ェノール類のごときキャリヤー剤と同様な働きをするも
のである。すなわち、加熱発色処理工程において染料の
溶解剤として働くと共に、繊維の膨潤剤としても働き、
染料の染着率を向上させ発色の深みをもたせる効果があ
る。一般式〔A〕で示され室温で固体である化合物の好
ましい使用量は、水分散液全重量に対して1〜30w
t.%、好ましくは2〜20wt.%、より好ましくは
2〜10wt.%である。一般式〔A〕で示される化合
物を使用するときに併用する水溶性樹脂の含有量は0.
5〜5wt.%が好ましい。
【0034】また更に、本発明においては、画像の発色
効率を向上させる目的で、カチオン化処理剤による前処
理を行ってもよい。一般にカチオン化処理はアニオン性
染料の染着効率を向上させるものであり、主に綿やレー
ヨンに適用されて、酸性染料可染性に改質したり、反応
性染料の染着率を向上させる。このようなカチオン化処
理剤の具体例と処理方法については特公昭39−598
5号公報、特公昭46−40510号公報、特開昭60
−134080号公報に記載されている。
【0035】本発明に係る水分散剤には必要に応じて種
々の添加剤を更に添加することができる。例えば、界面
活性剤、水溶性溶剤、還元防止剤、尿素、チオ尿素等で
ある。
【0036】本発明に好適な布帛としては、綿、絹、
麻、ナイロン、レーヨン、アセテート、ポリエステル及
びこれらの混紡布帛が好ましい。
【0037】本発明方法においては、布帛の種類に応じ
て水分散液の組成とpHとを変える必要がある。例え
ば、前処理される布帛が綿、絹、麻、レーヨンである場
合は、水溶性樹脂としてアニオン性樹脂を使用して水分
散液をアルカリ性のpHに調整する。例えば、前処理さ
れる布帛がナイロンである場合は、水分散液のpHは酸
性に調整する。また、前処理される布帛がアセテートと
ポリエステルの場合は、水分散液のpHは中性近傍が好
ましい。
【0038】本発明において特に好ましい布帛はアセテ
ートもしくはポリエステル又はこれらのいずれか一方も
しくは両方と綿との混紡布帛である。この理由として
は、これらの布帛は、布帛に対する反応性染料又は分散
染料の溶解性を向上させる性質があるためである。更
に、好ましい布帛としては、繊維の太さが1.0デニー
ル以下のポリエステルからなる新合繊布帛である。この
理由としてはポリエステルを膨潤させ染料の侵入を助け
る作用が本発明に係る添加剤にあるものと思われる。
【0039】次に本発明に係るインクジェット記録を行
う方法について説明する。
【0040】使用可能なインクとしては、反応性染料、
酸性染料、直接染料、分散染料のいずれかの染料のイン
クを使用することができ、布帛の種類に応じて最適な染
料のインクを用いることができる。記録はインクジェッ
トプリントヘッドを用いて被記録媒体上を走査してイン
クを画像上に付与すればよい。記録後は必要に応じて加
熱発色処理し、次いで洗浄して乾燥することにより目的
が達成される。
【0041】加熱発色処理は従来の捺染プロセスにおい
て行われている公知の方法がそのまま適用される。すな
わち、高温スチーム法やサーモンゾル法が用いられる。
【0042】洗浄方法としては、水又は40〜50℃程
度の温水による洗浄やアルカリ剤含有の水溶液や洗濯用
洗剤含有の水で洗浄するのが一般的である。本発明にお
いては、アルカリ性水で洗浄後、水又は40〜50℃程
度の温水で洗浄、すすぎを行うのが好ましい。
【0043】インクの構成成分としては、染料、水、水
溶性有機溶剤、pH調整剤、防黴剤、界面活性剤、水溶
性樹脂等が適宜用いられる。水溶性有機溶剤の例として
は、グリコール類、グリコールエーテル類、含窒素溶
剤、等である。界面活性剤の例としては、ノニオン、ア
ニオン、カチオン、両性、のいずれの活性剤も使用可能
であり、目的に応じて使い分ける。
【0044】尚、得られたプリント物は、必要に応じ
て、所望の大きさに切り離され、切り離された片は縫
着、接着、溶着等、最終的な加工品を得るための工程が
施され、ネクタイ、ハンカチ等の加工品を得ることがで
きる。
【0045】本発明のインクを用いて捺染を行うのに好
適な装置の一例としては、記録ヘッドの室内のインクに
記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該熱エネルギ
ーにより液滴を発生させる装置が挙げられるが、以下こ
れについて説明する。
【0046】その装置の主要部であるヘッド構成例を図
1、図2及び図3に示す。
【0047】ヘッド13はインクを通す溝14を有する
ガラス、セラミック又はプラスチック板等と、感熱記録
に用いられる発熱ヘッド15(図ではヘッドが示されて
いるが、これに限定されるものではない)とを接着して
得られる。発熱ヘッド15は酸化シリコン等で形成され
る保護膜16、アルミニウム電極17−1、17−2、
ニクロム等で形成される発熱抵抗体層18、蓄熱層1
9、アルミナ等の放熱性のよい基板20よりなってい
る。
【0048】インク21は吐出オリフィス(微細孔)2
2まで来ており、圧力Pによりメニスカス23を形成し
ている。
【0049】今、電極17−1、17−2に電気信号が
加わると、発熱ヘッド15のnで示される領域が急激に
発熱し、ここに接しているインク21に気泡が発生し、
その圧力でメニスカス23が突出し、インク21が吐出
し、オリフィス22より記録小滴24となり、本発明に
使用する布帛25に向かって飛翔する。図3には図1に
示すヘッドを多数並べたマルチヘッドの外観図を示す。
該マルチヘッドはマルチ溝26を有するガラス板27
と、図1に説明したものと同様な発熱ヘッド28を密着
して製作されている。尚、図1は、インク流路に沿った
ヘッド13の断面図であり、図2は図1のA−B線での
切断面である。
【0050】図4に係るヘッドを組み込んだインクジェ
ット記録装置の一例を示す。
【0051】図4において、61はワイピング部材とし
てのブレードであり、その一端はブレード保持部材によ
って保持されて固定端となり、カンチレバーの形態をな
す。ブレード61は記録ヘッドによる記録領域に隣接し
た位置に配設され、又、本例の場合、記録ヘッドの移動
経路中に突出した形態で保持される。62はキャップで
あり、ブレード61に隣接するホームポジションに配設
され、記録ヘッドの移動方向と垂直な方向に移動して吐
出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更
に63はブレード61に隣接して設けられる吸収体であ
り、ブレード61と同様、記録ヘッドの移動経路中に突
出した形態で保持される。上記ブレード61、キャップ
62、吸収体63によって吐出回復部64が構成され、
ブレード61及び吸収体63によってインク吐出口面に
水分、塵埃等の除去が行われる。65は吐出エネルギー
発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する布
帛にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記
録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うた
めのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67
と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモータ6
8によって駆動されるベルト69と接続(不図示)して
いる。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿っ
た移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及
びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0052】51は布帛を挿入するための給布部、52
は不図示のモーターにより駆動される布送りローラであ
る。これらの構成によって記録ヘッドの吐出口面と対向
する位置へ布帛が給付され、記録が進行するにつれて排
布ローラ53を配した排布部へ排布される。
【0053】上記構成において記録ヘッド65が記録終
了等でホームポジションに戻る際、ヘッド回復部64の
キャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避して
いるが、ブレード61は移動経路中に突出している。こ
の結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされ
る。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接
してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッ
ドの移動経路中に突出するように移動する。
【0054】記録ヘッド65がホームポジションから記
録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード
61は上述したワイピング時の位置と同一の位置にあ
る。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐
出口面はワイピングされる。
【0055】上述の記録ヘッドのホームポジションへの
移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘ
ッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔
で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この
移動に伴って上記ワイピングが行われる。図5は、ヘッ
ドにインク供給部材、例えばチューブを介して供給され
るインクを収容したインクカートリッジ45の一例を示
す図である。ここで40は供給用インクを収容したイン
ク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム
製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図
示)を挿入することにより、インク袋40中のインクを
ヘッドに供給可能ならしめる。44は廃インクを受容す
る吸収体である。インク収容部としては、インクとの接
液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されて
いるものが本発明にとって好ましい。本発明で使用され
るインクジェット記録装置としては、上記の如きヘッド
とインクカートリッジとが別体となったものに限らず、
図6に示す如きそれらが一体になったものにも好適に用
いられる。
【0056】図6において、70は記録ユニットであっ
て、この中にはインクを収容したインク収容部、例え
ば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収
体中のインクが複数のオリフィスを有するヘッド部71
からインク滴として吐出される構成になっている。イン
ク吸収体の材料としては、ポリウレタンを用いることが
本発明にとって好ましい。72は記録ユニット内部を大
気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニ
ット70は、図4で示す記録ヘッドに変えて用いられる
ものであって、キャリッジ66に対し着脱自在になって
いる。
【0057】係る本発明は、オフィスユースにも適応可
能であるが、特にオフィスユース以外のインダストリア
ルユースに好適である。
【0058】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説
明する。尚、以下に示す「部」又は「百分率」は特に断
わりの無い限り重量基準である。
【0059】実施例1 カチオン化処理剤として反応性第4級アミン化合物であ
るトリメチル−2ヒドロキシ−3クロルプロピルアンモ
ニウムクロライドにより処理された木綿(厚さ:250
μm)に、水溶性樹脂としてカルボキシメチルセルロー
スを2.0%、一般式〔A〕で示される化合物としてビ
ス(2−ヒドロキシエチル)チオジフェノールを5%含
有する水分散液を含浸させ(絞り率:90%)、乾燥し
て本発明の布帛を得た。得られた本発明の布帛をA4版
の大きさに切り出し市販のインクジェットカラープリン
ター(キャノン製BJC−820J;商品名)を用いて
マルチカラープリントを行った。プリント終了後ただち
にアイロン掛け後、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ
の0.1%水溶液で十分洗浄し、乾燥した。木綿上には
深みのある十分な濃度のカラー画像が鮮やかにプリント
されていた。また、インクが付着しない白色部分の汚れ
もなくシャープな画像が得られた。
【0060】実施例2 水溶性樹脂としてアルギン酸ソーダを1.0%、pH調
整剤として炭酸ソーダを0.6%、及び一般式〔A〕で
示される化合物として前記化合物No.3を10%含有
する水分散液を、厚さ270μmの平織り綿布に含浸さ
せ(絞り率:80%)乾燥して本発明の布帛を得た。得
られた本発明の布帛を、A2版の大きさのシート状に裁
断した。裁断部分の糸ほつれはガスバーナーの火炎で焼
失させた。次いで市販のインクジェットカラープリンタ
ー(キャノン製BJC−440;商品名)を用いて、以
下に示したインクでフルカラープリントを行った。プリ
ント終了後ただちに布帛を102℃の蒸気中で8分間発
色処理し、次いで水洗して乾燥した。得られた綿布上に
は深みのある十分な濃度のカラー画像が鮮やかにプリン
トされていた。また布帛の搬送不良による画像ムラや白
色部分の汚れもなくシャープな画像が得られた。
【0061】インク組成シアンインク C.I.リアクティブブルー15 13部 チオジグリコール 20部 エチレングリコール 15部 イオン交換水 52部マゼンタインク C.I.リアクティブレッド226 10部 チオジグリコール 20部 ジエチレングリコール 10部 イオン交換水 60部イエローインク C.I.リアクティブイエロー95 10部 チオジグリコール 20部 ジエチレングリコール 15部 イオン交換水 55部ブラックインク C.I.リアクティブブラック39 9部 チオジグリコール 20部 エチレングリコール 15部 イオン交換水 56部 上記4種のインクは、混合撹拌後、水酸化ナトリウムで
pHを7.0に調整してからフロロポアフィルターで濾
過して用いた。
【0062】実施例3 水溶性樹脂としてアルギン酸ソーダを1.0%と一般式
〔A〕で示される化合物としてビス(2−ヒドロキシエ
チル)テトラメチルビスフェノールSを10%含有する
水分散液で、厚さ200μmのポリエステル布帛をパッ
ド処理(絞り率:70%)して、本発明の布帛を得た。
次いで、得られた布帛を42cm幅のロール状に切り出
し、市販のインクジェットカラープリンター(キャノン
製BJC−440;商品名)を用いて、下記に示した分
散染料を含有するインクでフルカラープリントを行っ
た。プリント終了後ただちにプリント部分を切り取り、
170℃の加熱蒸気にて7分間発色処理した。次いで、
還元洗浄、水洗の工程を経てから乾燥した。得られたポ
リエステル布帛上には深みのある十分な濃度のカラー画
像が鮮やかにプリントされていた。またインクが付着し
ない白色部分の汚れもなくシャープな画像が得られた。
更に裏面の画像濃度も十分であった。
【0063】インク組成シアンインク C.I.ディスパーズブルー87 7部 リグニンスルホン酸ソーダ 1部 チオジグリコール 15部 トリエチレングリコール 15部 イオン交換水 62部マゼンタインク C.I.ディスパーズレッド92 6部 リグニンスルホン酸ソーダ 1部 チオジグリコール 15部 トリエチレングリコール 15部 イオン交換水 63部イエローインク C.I.ディスパーズイエロー93 6部 リグニンスルホン酸ソーダ 1部 チオジグリコール 15部 トリエチレングリコール 15部 イオン交換水 63部ブラックインク C.I.ディスパーズブラック1 8部 リグニンスルホン酸ソーダ 1部 チオジグリコール 15部 トリエチレングリコール 15部 イオン交換水 61部 上記成分を各々サンドグラインダーを用いて混合分散
し、フィルターで濾過後使用した。
【0064】実施例4 水溶性樹脂としてアルギン酸ソーダを1.0%、同じく
水溶性樹脂としてトラガントガムを1.0%、一般式
〔A〕で示される化合物としてビス(2−ヒドロキシエ
チル)ビスフェノールAを12%含有する水分散液で、
新合繊のポリエステル布(繊維太さ:1.0デニール)
をパッド処理(絞り率:90%)し、乾燥して本発明の
布帛を得た。この後の操作は実施例3と全く同様にして
行い最終のプリント物を得た。得られたポリエステル布
帛上には深みのある十分な濃度のカラー画像が鮮やかに
プリントされていた。更にインクが付着していない白場
部分の汚れもなくシャープな画像が表と裏に得られた。
【0065】実施例5 水溶性樹脂として酸化デンプンを1.5%、pH調整剤
としてクエン酸を0.05%、一般式〔A〕で示される
化合物として化合物No.4を8%含有する水分散液
を、ナイロン布帛(厚さ:240μm)に含浸させ(絞
り率:70%)乾燥して本発明の布帛を得た。得られた
布帛をA3版の大きさに切り出し、市販のインクジェッ
トカラープリンター(キャノン製BJC820J;商品
名)を用いてマルチカラープリントを行った。プリント
終了後ただちに、102℃の過熱蒸気で8分間処理し、
アルカリ水処理し、次いで水洗、乾燥を行った。得られ
たナイロン布帛上にはムラのない深みのある十分な濃度
のカラー画像が鮮やかにプリントされていた。またイン
クが付着しない白色部分の汚れもなくシャープな画像が
得られた。
【0066】比較例1 実施例2で用いた化合物No.3の代わりに、尿素を1
0%用いた以外は実施例2と同様にしてプリント用布を
得た。これに市販のインクジェットプリンター(キャノ
ン製BJC−820J;商品名)を用いて実施例2と同
様に布帛にマルチカラープリントを行った。プリント終
了後も実施例2と同様に処理して捺染物を得た。綿布上
には鮮やかな色調のカラー画像は得られたが、深みのあ
る濃度の画像は得られなかった。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の捺染方法
によれば布ににじみの無い深みのある高濃度画像を記録
することができる。また、本発明の捺染方法によれば、
オフィス用やパーソナル用の市販のインクジェットプリ
ンターにそのまま適用しても発色濃度が高く鮮明な捺染
物が得られる。更に、本発明のインクジェット捺染用布
帛は、布帛の裏面の発色濃度も十分なインクジェット捺
染に好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットプリント装置のヘ
ッド部の1例を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係るインクジェットプリント装置のヘ
ッド部の1例を示す横断面図である。
【図3】図1に示すヘッドをマルチ化したヘッドの外観
斜視図である。
【図4】本発明に係るインクジェットプリント装置の1
例を示す斜視図である。
【図5】インクカートリッジの1例を示す縦断面図であ
る。
【図6】記録ユニットの1例を示す斜視図である。
【符号の説明】
13 ヘッド 14 溝 15 発熱ヘッド 16 保護膜 17 アルミニウム電極 18 発熱抵抗体層 19 蓄熱層 20 基板 21 インク 22 オリフィス 23 メニスカス 24 記録小滴 25 布帛 26 マルチ溝 27 ガラス板 28 発熱ヘッド 40 インク袋(インク収容部) 42 栓 44 吸収体 45 インクカートリッジ 51 給布部 52 布送りローラ 53 排布ローラ 61 ブレード 62 キャップ 63 吸収体 64 吐出回復部 65 記録ヘッド 66 キャリッジ 67 ガイド軸 68 モータ 69 ベルト 70 記録ユニット 71 ヘッド部 72 大気連通口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 智也 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 高出 文 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 鈴木 真理子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも水溶性樹脂と、一般式〔A〕 【化1】 (但し、R1、R2、R3、R4はそれぞれH又はCH3
    nは0又は1、Xは−O−、−S−、−CH2−、 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】 【化6】 又は直接結合を示す。)で示され室温において固体であ
    る化合物とを含む水分散液で前処理されたインクジェッ
    ト捺染用布帛。
  2. 【請求項2】 綿、絹、麻、レーヨン、アセテート、ナ
    イロン又はポリエステル繊維の一からなる布帛である請
    求項1に記載のインクジェット捺染用布帛。
  3. 【請求項3】 綿、絹、麻、レーヨン、アセテート、ナ
    イロン又はポリエステル繊維の複数からなる混紡布帛で
    ある請求項1に記載のインクジェット捺染用布帛。
  4. 【請求項4】 少なくとも水溶性樹脂と、一般式〔A〕 【化7】 (但し、R1、R2、R3、R4はそれぞれH又はCH3
    nは0又は1、Xは−O−、−S−、−CH2−、 【化8】 【化9】 【化10】 【化11】 【化12】 又は直接結合を示す。)で示され室温において固体であ
    る化合物とを含む水分散液で予め前処理された布帛にイ
    ンクジェット記録を行い、次いで発色処理を施した後、
    洗浄し、乾燥するインクジェット捺染方法。
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