JP2014062142A - インクセット、捺染方法、及び布帛 - Google Patents

インクセット、捺染方法、及び布帛 Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット捺染によって2色以上の画像を形成したときに、混色による滲みを抑制でき、経時による退色バランスを良好に維持できるインクセットを提供する。
【解決手段】ポリアミド系繊維を含む布帛のインクジェット捺染に用いられ、−XR基〔Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。Rは、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。〕によって置換されたフタロシアニン母核又はその類縁体を有するフタロシアニン系染料、及び水を含有し、シアンの色相を示す第1のインクと、H酸アゾ母核、RR酸アゾ母核、K酸アゾ母核、若しくはヘテリルアゾ母核を有するアゾ系染料、C.I.アシッドレッド289、又は、アントラキノン母核を有するアントラキノン系染料、及び水を含有し、前記第1のインクとは色相が異なる第2のインクと、を備えたインクセットである。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクセット、捺染方法、及び布帛に関する。
従来より、布帛等に対する捺染の方式として、スクリーン印刷の技術を用いたスクリーン捺染等が採用されてきた。
近年では、スクリーン捺染とは別に、インクジェット法の技術を用いたインクジェット捺染も採用されている。
インクジェット捺染は、従来のスクリーン捺染とは異なり、版を作製する必要がないという利点や、手早く階調性に優れた画像を形成できるという利点を有している。更に、画像形成に必要な量のインクのみを使用するため、スクリーン捺染方式などの従来の方式と比較すると廃液が少ない等の環境的利点も有している。
インクジェット捺染では、色相が異なる2色以上の染料インクを備えたインクセットが用いられることがある。
例えば、マゼンタ〜バイオレット〜ブルーの色相範囲での色再現範囲が広く、白場汚染の極めて少ない印捺物の提供が可能で、吐出安定性も良好なインクジェット捺染用インクセットとして、C.I.アシッドブルー112を特定量含むブルーの染料インクと、C.I.アシッドレッド289を特定量含むマゼンタの染料インクと、を備えたインクジェット捺染用インクセットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、インクジェット捺染用の染料や染料インク(染料を含むインク)に限らず、従来より、種々な染料や染料インクが知られている。
例えば、衣料用等の緑色染料として有用な水溶性フタロシアニン化合物として、スルホ基で置換された特定構造の水溶性フタロシアニン化合物が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、良好な発色性と良好な湿潤堅牢性とを兼備したインクジェット捺染用インク組成物として、C.I.アシッドレッド131を含むインクジェット捺染用インク組成物が知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、インクジェット捺染用の染料ではないが、マゼンタ色素として色再現性に優れた吸収特性を有し、且つ十分な堅牢性を有する特定構造のアゾ染料が知られている(例えば、特許文献4参照)。
特開2004−51776号公報 特開2001−213884号公報 特開2007−31562号公報 特開2006−143989号公報
一般に、インクジェット捺染では、画像の滲みを抑制することが要求される。このため、インクジェット捺染では、画像の滲みが少ない染料インクを選択することが一般的である。
しかしながら、互いに色相が異なる2種以上の染料インクを用いて2色以上の画像を形成すると、形成された画像において、混色による滲みが発生する場合があることが判明した。例えば、単独で用いた場合(単色画像を形成する場合)には滲みが問題とならない染料インクを用いた場合であっても、この染料インクと他の色相の染料インクとを用いて2色以上の画像を形成すると、混色による滲みが発生する場合がある。
また、インクジェット捺染において、互いに色相が異なる2種以上の染料インクを用いて2色以上の画像を形成すると、形成された画像において、経時による退色バランスが低下する場合がある。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、インクジェット捺染によって2色以上の画像を形成したときに、混色による滲みを抑制でき、経時による退色バランスを良好に維持できるインクセット及び捺染方法を提供することである。また、混色による滲みが抑制され、経時による退色バランスが良好な画像を備えた布帛を提供することである。
本発明者等は、2色以上の染料インクの組み合わせを特定することにより、混色による滲みが抑制され、かつ、経時による退色バランスが良好に維持されるとの知見を得、この知見に基づき本発明を完成させた。
即ち、前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> ポリアミド系繊維を含む布帛のインクジェット捺染に用いられ、−XR基〔Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。Rは、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。〕によって置換されたフタロシアニン母核又はその類縁体を有するフタロシアニン系染料、及び水を含有し、シアンの色相を示す第1のインクと、H酸アゾ母核、RR酸アゾ母核、K酸アゾ母核、若しくはヘテリルアゾ母核を有するアゾ系染料、C.I.アシッドレッド289、又は、アントラキノン母核を有するアントラキノン系染料、及び水を含有し、前記第1のインクとは色相が異なる第2のインクと、を備えたインクセットである。
<2> 前記フタロシアニン母核又はその類縁体は、1つ以上3つ以下の前記−XR基によって置換されている<1>に記載のインクセットである。
<3> 前記第2のインクが、前記アゾ系染料として下記一般式(A)で表される染料を含有する<1>又は<2>に記載のインクセットである。
〔一般式(A)中、Rは、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Rは、アルキル基、アリール基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の対カチオンを表す。〕
<4> 前記第2のインクが、前記アゾ系染料として、C.I.アシッドレッド131又はC.I.アシッドレッド138を含有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクセットである。
<5> 前記第2のインクが、前記アゾ系染料として、下記一般式(B)、下記一般式(C)、又は下記一般式(D)で表される染料を含有する<1>又は<2>に記載のインクセットである。
〔一般式(B)中、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシル基、又はスルホ基を表す。R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、アシル基、カルボキシル基、スルホ基、又はカルバモイル基を表す。ただし、R及びRが同時に水素原子となることはない。〕
〔一般式(C)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、又はシアノ基を表す。
は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOR基、−COR基、−CONR基、−SONR1011基、又はイオン性親水性基を表す。
は、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。R及びRは、互いに結合し、R及びRが結合している窒素原子とともにヘテロ環を形成していてもよい。
15は、水素原子又は置換基を表す。
Xは、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、−COR12基、−CONR1314基を表す。
前記Rは、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、前記R〜前記R14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。一般式(C)で表される染料は、一分子中に置換基として含まれるイオン性親水性基の総数が1〜5である。〕
〔一般式(D)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アラルキルオキシ基、アラルキルチオ基、シアノ基、−COOR基、−COR基、−CONR基、−SOR10基、−SO11基、−SONR1213基、−NHCOR14基、又はイオン性親水性基を表す。
は、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。R及びRは、互いに結合し、R及びRが結合している窒素原子とともにヘテロ環を形成していてもよい。
15は、水素原子又は置換基を表す。
、X、X、及びXは、チアジアゾール環又はオキサジアゾール環を形成する原子群を表す。
nは1〜3の整数を表す。
nが2又は3であるときは、R、R、R、又はRから水素原子を1つ除いた残基が、単結合により、又は、n価の連結基を介して結合する。nが2又は3であるときは、複数ずつ存在する、R、R、R、R、R15、X、X、X、及びXは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(D)で表される染料は、一分子中に置換基として含まれるイオン性親水性基の総数が1〜5である。〕
<6> 前記第2のインクが、前記アントラキノン系染料として、下記一般式(IV)で表される染料を含有する<1>又は<2>に記載のインクセットである。
〔一般式(IV)中、R41及びR42は、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。Y41〜Y43は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又はイオン性親水性基を表す。ただし、一般式(IV)の構造に、イオン性親水性基が少なくとも1つ含まれる。〕
<7> 前記第2のインクが、前記アントラキノン系染料として、C.I.アシッドブルー80、C.I.アシッドブルー112、C.I.アシッドブルー138、又はC.I.リアクティブブルー49を含有する<1>、<2>、又は<6>に記載のインクセットである。
<8> 前記第1のインクとしてのシアンインクと、前記第2のインクとしての前記アントラキノン系染料を含有するブルーインクと、前記第2のインクとしての前記アゾ系染料を含有するマゼンタインクと、を備えた<1>〜<7>のいずれか1つに記載のインクセットである。
<9> 前記第1のインクとしてのシアンインクと、前記第2のインクとしての前記アゾ系染料を含有するマゼンタインクAと、前記第2のインクとしてのC.I.アシッドレッド289を含有するマゼンタインクBと、を備えた<1>〜<8>のいずれか1つに記載のインクセットである。
<10> 前記フタロシアニン系染料が、下記一般式(X)で表される染料である<1>〜<9>のいずれか1つに記載のインクセットである。
〔一般式(X)中、X21、X22、X23、及びX24は、各々独立して、酸素原子又は硫黄原子を表す。R21、R22、R23、及びR24は、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物を表す。P、P、P、及びPは、各々独立に、芳香環を表し、該芳香環は、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、スルホニル基、アルキルオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、イオン性親水性基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、カルボニルアルキル基、及びカルボニルアミノ基から選択される置換基を有していてもよい。n21、n22、n23、及びn24は、各々独立に0〜4を表し、n21、n22、n23、及びn24の総和は少なくとも1である。ただし、一般式(X)の構造に、イオン性親水性基が少なくとも2つ含まれる。〕
<10> <1>〜<9>のいずれか1つに記載のインクセットが用いられ、ポリアミド系繊維を含む布帛に、前記第1のインク及び前記第2のインクを、該第1のインク及び該第2のインクが重なり部分を有するようにインクジェット法により付与する捺染方法である。
<11> <10>に記載の捺染方法によって捺染された布帛である。
本発明によれば、インクジェット捺染によって2色以上の画像を形成したときに、混色による滲みを抑制でき、経時による退色バランスを良好に維持できるインクセット及び捺染方法を提供することができる。
また、本発明によれば、混色による滲みが抑制され、経時による退色バランスが良好な画像を備えた布帛を提供することができる。
<インクセット>
本発明のインクセットは、ポリアミド系繊維を含む布帛のインクジェット捺染に用いられるインクセットであり、−XR基〔Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。Rは、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。〕によって置換されたフタロシアニン母核又はその類縁体を有するフタロシアニン系染料、及び水を含有し、シアンの色相を示す第1のインクと、H酸アゾ母核、RR酸アゾ母核、K酸アゾ母核、若しくはヘテリルアゾ母核を有するアゾ系染料、C.I.アシッドレッド289、又は、アントラキノン母核を有するアントラキノン系染料、及び水を含有し、前記第1のインクとは色相が異なる第2のインクと、を備える。
本発明のインクセットにおいて、前記第1のインク及び前記第2のインクは、それぞれ、1種のみであっても2種以上であってもよい。
本発明のインクセットの好適な形態として、例えば、1色の第1のインクと1色の第2のインクとを含む2色のインクの組み合わせである形態や、1色の第1のインクと、2色以上の第2のインクと、を含む3色以上のインクの組み合わせである形態が挙げられる。
また、本発明のインクセットは前記第1のインクと前記第2のインクとを含む組み合わせである限り特に限定はなく、必要に応じ、前記第1のインクと前記第2のインク以外のその他のインクを含む組み合わせであってもよい。
本発明者等の検討により、インクジェット捺染では、2色以上の染料インクを用いて形成された画像の混色による滲み(以下、「混色滲み」ともいう)が、1色の染料インクを用いて形成された単色画像の滲み(以下、「単色滲み」ともいう)と比較して、より顕著となる傾向があることが判明した。例えば、単独で用いた場合に画像の滲み(単色滲み)が少ない染料インクであっても、この染料インクと他の色相の染料インクとを用いて2色以上の画像を形成すると、混色による滲み(混色滲み)が顕著となる場合がある。
混色滲みは、特に、インクジェット捺染におけるスチーム工程後において顕著である。
上記混色滲みに関し、本発明のインクセットによれば、上記ように特定された第1のインクと、上記のように特定された第2のインクと、の特定の組み合わせにより、混色滲みが抑制される。
混色滲みが抑制される理由は明らかではないが、第1のインクに含まれる染料と第2のインクに含まれる染料とが、ポリアミド系繊維(特にナイロン)中で何らかの相互作用を示すためと考えられる。
また、インクジェット捺染において、互いに色相が異なる2種以上の染料インクを用いて2色以上の画像を形成すると、形成された画像において、経時による退色バランスが悪い場合があることも判明した。経時による退色バランスが悪くなる理由は、各色の退色速度の差が大きいためと考えられる。
この点に関し、本発明のインクセットによれば、上記のように特定された第1のインクと、上記のように特定された第2のインクと、の特定の組み合わせにより、経時による退色バランスが良好に維持された画像を形成できる。この理由は、第1のインクの退色速度と第2のインクの退色速度とに大きな差がないため、と考えられる。
同様の理由により、本発明のインクセットによれば、形成された画像の光安定性(光照射時の退色バランス)も向上する。
更に、本発明のインクセットによれば、耐久性(特に耐光性)に優れた画像を形成できる。
耐久性(特に耐光性)に優れた画像を形成できる理由は、第1のインクに含まれる染料及び第2のインクに含まれる染料がともに高い耐光性(光堅牢性)を有するためと考えられる。
更に、本発明のインクセットによれば、特に、マゼンタ〜シアンの色相範囲での色再現性に優れた画像を形成できる。
この理由は、第1のインクに含まれる染料及び第2のインクに含まれる染料が、ともにマゼンタ〜シアンの色相範囲で優れた色相を示すため、と考えられる。
更に、第1のインク及び第2のインクは、インクジェットヘッド(ノズル)からの吐出安定性に優れる。
この理由は、第1のインクに含まれる染料及び第2のインクに含まれる染料がともに水に対する高い溶解性を示すため、と考えられる。
以下、第1のインク及び第2のインクについて、更に説明する。
〔第1のインク〕
第1のインクは、−XR基〔Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。Rは、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。〕によって置換されたフタロシアニン母核又はその類縁体を有するフタロシアニン系染料、及び水を含有するフタロシアニン系染料(以下、「特定フタロシアニン系染料」ともいう)、及び、水を含有する。
前記第1のインクは、シアンの色相を示すインクである。
また、第1のインクを用いて染色された布帛のシアンの色相としては、色相角として200〜260°であることが好ましい。また、シアン〜ブルーの色相も含めると200〜300°であることが好ましく、210〜300°が更に好ましい。この範囲の色相を示すと、シアン領域の発色濃度(OD)が低下しにくくなる。
(特定フタロシアニン系染料)
特定フタロシアニン系染料は、上記のとおり、フタロシアニン母核又はその類縁体が、少なくとも1つの−XR基によって置換された構造を有する染料である。
本発明において「フタロシアニン母核」は、フタロシアニンからなる母核を指し、「その類縁体」(フタロシアニン母核の類縁体)は、フタロシアニン類縁体からなる母核を指す。
以下、フタロシアニン及びフタロシアニン類縁体を、「フタロシアニン類」と総称することがある。
前記フタロシアニン類縁体とは、フタロシアニンに含まれる4つのベンゼン環のうちの少なくとも1つが、ベンゼン環以外の芳香環に置き換わった構造の化合物を指す。
ベンゼン環以外の芳香環としては、ヘテロ原子を有していてもよい縮環可能な芳香環(但しベンゼン環を除く)を表す。具体的には、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピリミジン環、ピラゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾチアゾール環、インドール環等が挙げられる。中でも、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環が好ましい。
前記フタロシアニン類縁体は、フタロシアニンに含まれる4つのベンゼン環のうちの1つが、ベンゼン環以外の芳香環に置き換わった構成の化合物(即ち、ベンゼン環を3つ有する化合物)であることが好ましい。この形態であると、染料の吸収が600nm付近になるため、シアン領域の発色濃度(OD)が低下しにくい。
一方、特定フタロシアニン系染料がフタロシアニン母核を含む場合にも、特定フタロシアニン系染料の吸収が600nm付近になり、シアン領域の発色濃度(OD)が低下しにくくなるため好ましい。
以上により、特定フタロシアニン系染料は、フタロシアニン母核、又は、フタロシアニンに含まれる4つのベンゼン環のうちの1つがベンゼン環以外の芳香環に置き換わった構造のフタロシアニン母核類縁体を有することが好ましく、フタロシアニン母核を有することがより好ましい。
前記特定フタロシアニン系染料は、1分子内に少なくとも1つの−XR基を含むことにより、−XR基を含まない場合と比較して、前述の混色滲みを低減できる。
この理由は明らかではないが、特定フタロシアニン系染料と、第2のインクに含まれる染料と、が何らかの相互作用をして滲まなくなるためと考えられる。
更に、前記特定フタロシアニン系染料は、1分子内に少なくとも1つの−XR基を含むことにより、−XR基を含まない場合と比較して、耐光性にも優れる。
これらの理由は明らかではないが、電子供与基である前記−XR基が、フタロシアニン骨格又はその類縁体の電子状態を変化させたことによる効果と推測される。
特定フタロシアニン系染料(1分子)における−XR基の数は、1つ以上3つ以下であることが好ましい。
−XR基の数が1つ以上3つ以下であると、混色滲みがより抑制される。
また、−XR基の数が3つ以下であると、シアンとしての色相がより良好である。
一方、特定フタロシアニン系染料(1分子)における−XR基の数は、耐光性の観点からは、2つ以上であることが好ましい。
−XR基において、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
Xは、シアン領域の発色濃度(OD)をより向上させる観点から、酸素原子が好ましい。
−XR基において、Rは、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
前記Rで表されるアルキル基としては、炭素原子数が1〜12のアルキル基が挙げられ、直鎖状であっても、分岐状であっても、環状であってもよい。
例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、ドデシル基等が挙げられる。アルキル基は、更に置換基を有していてもよい。
中でも、直鎖状、又は、分岐状のアルキル基が好ましく、炭素原子数は、1〜8が好ましい。
前記Rで表されるアリール基としては、炭素原子数が6〜12のアリール基が挙げられる。
例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基は、更に置換基を有していてもよい。
中でも、フェニル基、又は、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
前記Rで表されるヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル等が挙げられる。
また、特定フタロシアニン系染料は、少なくとも2つのイオン性親水性基を有することが好ましい。これにより、水に対する溶解性がより向上する。
前記特定フタロシアニン系染料における前記イオン性親水性基として、具体的には、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等が挙げられる。
前記イオン性親水性基としての、カルボキシル基、スルホ基、及びリン酸基は、必要に応じて対カチオンを有していてもよい。対カチオンとしては、例えば、Li、Na、K等の金属イオン、窒素の4級塩構造を有する基、リンの4級塩構造を有する基が用いられる。
前記特定フタロシアニン系染料に含まれる2つ以上のイオン性親水性基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記イオン性親水性基としては、スルホ基が最も好ましい。
また、前記特定フタロシアニン系染料がイオン性親水性基を2つ以上有する場合、分子構造内のどこかにイオン性親水性基が2つ以上存在していればよい。
例えば、前記イオン性親水性基は、フタロシアニン母核又はその類縁体(例えば芳香環の部分)に直接結合していてもよいし、フタロシアニン母核又はその類縁体(例えば芳香環)を置換する置換基に結合していてもよい。さらには、前記Rに直接結合していてもよいし、前記Rを置換する置換基に結合していてもよい。
前記特定フタロシアニン系染料では、イオン性親水性基の少なくとも1つが前記Rに結合している形態が好適である
また、特定フタロシアニン系染料(例えば、特定フタロシアニン系染料における、前記R及び母核中の芳香環)は、必要に応じ、置換基を有していてもよい。前記置換基としては、以下の置換基が挙げられる。
即ち、前記置換基としては、
ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子);
炭素数1〜12の直鎖状、又は、分岐状鎖アルキル基、炭素数7〜18のアラルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12の直鎖状、又は、分岐鎖状アルキニル基、側鎖を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、側鎖を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルケニル基(上記基の具体的例として、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、2−メタンスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル);
アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル);
ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、2−ピリミジニル、2−チアゾリル、2−ベンゾチアゾリル);
アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ);
アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル);
アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド);
アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ);
アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ;
ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド);
スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ);
アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ);
アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ);
アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ);
スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド、オクタデカン);
カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル);
スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル);
スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル);
アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル);
ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ);
アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ);
アシルオキシ基(例えば、アセトキシ);
カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ);
シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ);
アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ);
イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミ);ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ);
スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル);ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル);
アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル);
アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル);
イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、4級アンモニウム基);
シアノ基;ヒドロキシル基;ニトロ基;アミノ基;等が挙げられる。
前記特定フタロシアニン系染料としては、下記一般式(X)で表される染料が好ましい。
一般式(X)中、X21〜X24は、各々独立して、酸素原子、又は、硫黄原子を表す。R21〜R24は、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物を表す。P〜Pは、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。n21〜n24は、各々独立に0〜4を表し、n21〜n24の総和は少なくとも1である。ただし、一般式(X)の構造に、イオン性親水性基が少なくとも2つ含まれる。
一般式(X)中、X21〜X24は、酸素原子、又は、硫黄原子を表すが、シアン領域の発色濃度(OD)を低下させない点において、酸素原子であることが好ましい。
一般式(X)中、R21〜R24で表されるアルキル基としては、炭素原子数が1〜12のアルキル基が挙げられ、直鎖状であっても、分岐状であっても、環状であってもよい。
例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、ドデシル基等が挙げられる。アルキル基は、更に置換基を有していてもよい。
中でも、直鎖状、又は、分岐状のアルキル基が好ましく、炭素原子数は、1〜8が好ましい。
一般式(X)中、前記R21〜R24で表されるアリール基としては、炭素原子数が6〜12のアリール基が挙げられる。
例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基は、更に置換基を有していてもよい。
中でも、フェニル基、又は、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
一般式(X)中、R21〜R24で表されるヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル等が挙げられる。
一般式(X)において、P〜Pで表される芳香環は、ヘテロ原子を有していてもよい縮環可能な芳香環を表す。具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピリミジン環、ピラゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾチアゾール環、インドール環等が挙げられる。中でも、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、又はピラジン環であることが好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。
〜Pで表される4つの芳香環のうち、少なくとも3つはベンゼン環であることが好ましい。4つのうち少なくとも3つがベンゼン環であると、染料の吸収が600nm付近になるため、シアン領域の発色濃度(OD)が低下しにくい。
〜Pは、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、スルホニル基、アルキルオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、イオン性親水性基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、カルボニルアルキル基、及びカルボニルアミノ基から選択される置換基を有していてもよい。
これらの置換基は、前述の、特定フタロシアニン系染料(例えば、特定フタロシアニン系染料における、前記R及び母核中の芳香環)が有していてもよい置換基として例示した基と同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(X)におけるMは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物を表す。
Mで表される金属元素としては、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。
なかでも特に、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
Mで表される金属酸化物としては、VO、GeO等が好ましく挙げられる。
また、Mで表される金属水酸化物としては、Si(OH)、Cr(OH)、Sn(OH)等が好ましく挙げられる。
さらに、Mで表される金属ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl、VCl、VCl、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。
一般式(X)中のMとしては、上記の中でも、金属元素であることが好ましく、Cu、Ni、Zn、又はAlであることがより好ましく、特にCuであることが最も好ましい。
一般式(X)におけるイオン性親水性基は、前述の特定フタロシアニン系染料におけるイオン性親水性基として例示したものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
一般式(X)中、n21〜n24の総和は少なくとも1である。1つ以上導入されないと、本発明の効果である混色滲み抑制及び退色バランス向上の効果を維持することができず、また、耐光性も低下する。さらに、n21〜n24の総和は4未満であることが好ましく、2〜3であることがより好ましい。n21〜n24の総和が2〜3であると、シアンとしての色相が良好である。
前記一般式(X)で表される染料としては、下記一般式(I)で表される染料が好ましい。
一般式(I)中、R〜Rは各々独立して、スルホ基、アルキル基、アリール基、又は−XR10を表す。上記Xは、酸素原子、又は硫黄原子を表す。上記R10は、アルキル基、又はアリール基を表す。Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物を表す。n〜nは、各々独立に0〜4を表し、n〜nの総和は少なくとも1である。ただし、一般式(I)の構造に、イオン性親水性基が少なくとも2つ含まれ、R〜Rの少なくとも1つは上記−XR10基であり、かつ、上記R10が少なくとも1つのイオン性親水性基を有する。
なお、R〜R、R10、及びフタロシアニン骨格は、更に置換基を有していてもよい。
一般式(I)で表される染料には、イオン性親水性基が少なくとも2つ含まれる。
イオン性親水性基としては、具体的には、例えば、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等が挙げられる。
一般式(I)で表される染料が、分子内に、イオン性親水性基として、カルボキシル基、スルホ基、又はリン酸基を有している場合は、これらの基は、必要に応じて、対カチオンを有していてもよい。対カチオンとしては、例えば、Li、Na、K等の金属イオン、窒素の4級塩構造を有する基、リンの4級塩構造を有する基が用いられる。
なお、一般式(I)で表される染料は、分子構造内のどこかにイオン性親水性基を2つ以上有していればよく、フタロシアニン骨格が置換基として有し、フタロシアニン骨格に直接結合していてもよいし、後述するR〜R、又はR10が置換基として有していてもよい。分子構造内に2つ以上有するイオン性親水性基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
イオン性親水性基としては、スルホ基が最も好ましい。
以下、一般式(I)で表される染料は、イオン性親水性基がスルホ基である態様を代表に説明するが、該説明は、イオン性親水性基が、カルボキシル基、リン酸基等のスルホ基以外の基である場合にも当てはまる。
なお、スルホ基、及び、塩を形成したスルホ基(スルホン酸塩基)を総称して「SOZ」とも表す。SOZにおいて、Zは、水素原子、又は、1価の対カチオンを表す。Zで表される1価の対カチオンとしては、例えば、Li、Na、K、NH 等が挙げられる。
一般式(I)中、R〜Rで表されるスルホ基は、既述のように、塩を形成していてもよい。R〜Rが−SOZで表されるとき、−SOZは、フタロシアニン骨格(Pc)に直接結合し、一般式(I)で表される染料は、Pc−SOZで表される構造を有する。
なお、後述するように、一般式(I)で表される染料は、−SOZがフタロシアニン骨格に直接結合していないことが好ましい。
一般式(I)中のR〜Rで表されるアルキル基及びアリール基は、それぞれ、一般式(X)中のR21〜R24で表されるアルキル基及びアリール基と同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I)中の−XR10におけるXは、酸素原子(O)、又は、硫黄原子(S)を表すが、シアン領域の発色濃度(OD)を低下させない点において、酸素原子であることが好ましい。
一般式(I)中の−XR10において、R10で表されるアルキル基としては、炭素原子数が1〜12のアルキル基が挙げられ、直鎖状であっても、分岐状であっても、環状であってもよい。
例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、ドデシル基等が挙げられる。アルキル基は、更に置換基を有していてもよい。
中でも、直鎖状、又は、分岐状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。また、炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましい。
一般式(I)中の−XR10において、R10で表されるアリール基としては、炭素原子数が6〜12のアリール基が挙げられる。
例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基は、更に置換基を有していてもよい。
中でも、フェニル基、又は、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
なお、一般式(I)で表される染料は、一般式(I)におけるR〜Rの少なくとも1つが−XR10であり、かつ、R10が少なくとも1つのスルホ基を有する構造を有する。該スルホ基は、塩を形成していてもよい。
以下「−XR10であり、かつ、R10が少なくとも1つのスルホ基を有する基」を、「特定スルホ基」とも称する。
特定スルホ基は、下記構造式(s−1)で表すことができる。
−X−R11(SOZ)m (s−1)
〔構造式(s−1)において、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表し、Zは、水素原子又は1価の対カチオンを表し、mは、SOZの数を表す。
11は、炭素原子数が1〜12であるm+1価の脂肪族炭化水素基、又は、炭素原子数が6〜12であるm+1価の芳香族炭化水素基である。〕
構造式(s−1)中のR11は、一般式(I)中のR10から水素原子をm個取り除いたm+1価の基に相当し、R11の炭素原子数の好ましい態様は、一般式(I)中のR10に順ずる。すなわち、R11が脂肪族炭化水素基である場合、好ましい炭素原子数は、1〜8であり、より好ましい炭素原子数は、1〜4である。
構造式(s−1)中のmは、R11に結合し得るSOZの数であり、1以上の整数を選択し得る。
一般式(I)におけるR〜Rは、1つのみが特定スルホ基であってもよいし、全てが特定スルホ基であってもよい。また、一般式(I)で表される染料が分子内にR〜Rをそれぞれ複数有する場合は、複数のR等は、1つのみが特定スルホ基であってもよいし、全てが特定スルホ基であってもよい。
一般式(I)で表される染料が有するSOZ(特定スルホ基を含む)の数は、染料の水への溶解性の観点から、全部で2以上であるが、特定スルホ基〔X−R11(SOZ)m〕の数は、1つ以上あればよい。染料が特定スルホ基を有しないと、ナイロンの捺染を行なった場合に、耐光性を得ることができない。
特定スルホ基の数は、4未満であることが好ましい。特定スルホ基の数が4未満であることで、染料の吸収波長が長波長側にシフトし難く、緑色を呈し難くなるため、シアン領域の発色濃度(OD)が低下しにくい。特定スルホ基の数は、2〜3であることがより好ましい。
一般式(I)中、n〜nは、各々独立に0〜4を表し、n〜nの総和は少なくとも1である。n〜nの総和は、1〜4が好ましく、2〜4がより好ましく、2〜3が更に好ましい。
なお、R〜R、R10、及びフタロシアニン骨格が更に有していてもよい置換基としては、前述の、特定フタロシアニン系染料(例えば、特定フタロシアニン系染料における、前記R及び母核中の芳香環)が有していてもよい置換基が挙げられる。
一般式(I)中のMについては、一般式(X)中のMと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I)におけるR〜R、R10、n〜n、及びMの好ましい組み合わせは、R〜R、R10、n〜n、及びMそれぞれの好ましい態様の組み合わせである。
一般式(I)におけるR〜Rとしては、上記の中でも、アルキル基、アリール基、又は上記−XR10であることが好ましい。すなわち、スルホ基ないし塩を形成したスルホ基(すなわち、−SOZ)が直接フタロシアニン骨格に結合していないことが好ましい。−SOZが直接フタロシアニン骨格に結合しないことで、ナイロン捺染の際に、耐光性がより向上する。
例えば、下記構造式(A−1)及び(A−2)は、いずれもフタロシアニン骨格(上記構造式Pcで表される骨格において、MがCu)に、「フェノキシ2つ」と塩を形成したスルホ基「スルホン酸Na」を4つ有している。
上記化合物(A−1)は、フタロシアニン母核に結合するフェノキシ基のベンゼン環にSONaが結合しており、特定フタロシアニン系染料(一般式(X)で表される染料、更には一般式(I)で表される染料)である。
上記化合物(A−2)は、フェノキシ基のベンゼン環に結合したSONaが2つあるため、化合物(A−1)と同様に特定フタロシアニン系染料であるが、化合物(A−2)は、更にフタロシアニン母核に直接結合したSONaも2つある。
化合物(A−1)と化合物(A−2)との対比においては、ナイロンに捺染したときのナイロン上の画像の耐光性は、化合物(A−2)を含有するインクを用いた捺染よりも、化合物(A−1)を含有するインクを用いた捺染の方が良好であった。そのため、化合物(A−1)と化合物(A−2)との対比においては、化合物(A−1)の構造の方が好ましい。
したがって、一般式(I)におけるR〜Rは、−XR10であることがより好ましい。
このとき、−XR10は、R10が少なくとも1つのスルホ基を有する−XR10、すなわち前述の構造式(s−1)〔−X−R11(SOZ)m〕で表される特定スルホ基であることが好ましい。
具体的には、特定フタロシアニン系染料は、一般式(II)で表される染料であることが好ましい。
一般式(II)中、Xは、酸素原子、又は、硫黄原子を表し、Zは、水素原子、又は、1価の対カチオンを表し、mは、SOZの数を表す。
11は、炭素原子数が1〜12であるm+1価の脂肪族炭化水素基、又は、炭素原子数が6〜12であるm+1価の芳香族炭化水素基である。
Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物を表す。nは1〜16の整数を表し、mとnとの積(m×n)が2以上である。
一般式(II)における、X、Z、m、R11は、既述の構造式(s−1)におけるX、Z、m、R11と同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(II)における、Mは、一般式(I)におけるMと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(II)における、nは、フタロシアニン骨格が有する4つのベンゼン環に置換し得る特定スルホ基の数であり、最大で16である。ただし、分子構造内に少なくとも2つのスルホ基を有する場合には、mとnとの積(m×n)は2以上となる。
以下、特定フタロシアニン系染料(中でも、一般式(X)又は一般式(I)で表される染料)の具体例(1)〜具体例(34)を示すが、下記具体例に限定されるものではない。
なお、具体例(1)〜具体例(9)、具体例(15)、及び具体例(18)〜具体例(34)は、各具体例に示される−O−Ph−SONa等の特定スルホ基〔具体例(19)、及び具体例(20)においては、更に−SONa〕が、フタロシアニン骨格中の4つのベンゼン環が有する水素原子が結合している炭素原子に、該水素原子に置き換わって結合することを示す。
特定スルホ基ないし−SONaは、4つのベンゼン環のうちのいずれか1つに集中して結合していてもよいし、別々のベンゼン環に結合していてもよい。ただし、例えば、具体例(15)のように、フタロシアニン骨格のベンゼン環に「−H」が示されている場合には、該「−H」で表される水素原子が結合している炭素原子には、特定スルホ基は結合しない。
また、具体例(10)〜具体例(14)、具体例(16)、及び、具体例(17)は、特定スルホ基が、フタロシアニン骨格のベンゼン環に直接結合してもよいし、フタロシアニン骨格のベンゼン環に結合するフェノキシ基、又はメトキシ基の炭素原子が有する水素原子と置き換わって、該フェノキシ基、又はメトキシ基の炭素原子と結合していてもよいことを示す。
既述の特定フタロシアニン系染料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第1のインク中の特定フタロシアニン系染料の含有量は、十分な発色濃度を得ると共に、第1のインクの保存安定性を考慮すると、第1のインクの全質量に対して、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.2〜15質量%であることがより好ましい。
第1のインクは、着色剤として、既述の特定フタロシアニン系染料のみを含有するものであってもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、特定フタロシアニン系染料以外の着色剤を含有していてもよい。
特定フタロシアニン系染料以外の染料としては、特に制限されず、公知の染料を用いることができるが、中でも、捺染された布帛の滲み抑制や、耐水性の観点から、下記一般式(III)で表される染料が好ましい。
第1のインクが、特定フタロシアニン系染料以外の染料を含有するときは、第1のインクは、特定フタロシアニン系染料と下記一般式(III)で表される染料とを含有することが好ましい。
一般式(III)中、nは0.5〜6であり、mは0〜3である。
一般式(III)で表される染料としては、汎用染料であるC.I.ダイレクトブルー86(DB86)〔一般式(III)において、n=2、m=0〕、C.I.ダイレクトブルー87(DB87)〔一般式(III)において、n=3、m=0〕、C.I.ダイレクトブルー199(DB199)〔一般式(III)において、n=0.5〜2.0、m=0.5〜2.5〕等が挙げられる。
第1のインクが、特定フタロシアニン系染料と、一般式(III)で表される染料とを含有する場合には、これらの混合比〔特定フタロシアニン系染料:一般式(III)で表される染料〕(質量基準)は、2:8〜8:2であることが好ましい。混合比がこの範囲であると、耐光性を維持しかつ混色滲みを抑制したまま色調整を行うことが可能となる。
次に、特定フタロシアニン系染料の合成例を、上記具体例(10)、上記具体例(28)の1つである具体例(28a)、及び上記具体例(29)の1つである具体例(29a)の合成方法を例に、説明する。
具体例(10)は、フェノキシフタロニトリルを用いてフタロシアニン環化した後にスルホ化してスルホン酸を導入しているのに対し、具体例(28a)及び具体例(29a)では、スルホン酸が置換したフェノキシフタロニトリルを環化して合成している。いずれの方法を用いても特定フタロシアニン系染料を合成することができる。ただし、スルホン酸の位置を限定したい場合には、後者の合成方法の方が適切である。
〔具体例(10)の合成例〕
ジエチレングリコール70mLに、室温にて酢酸0.6mL、オルト酢酸トリエチル19gを添加した後、フェノキシフタロニトリル(13g)と、o−フタロニトリル(2.6g)とを引き続き混合し、内温100℃に加熱した。得られた反応混合物に、CuCl(2.7g)と、安息香酸アンモニウム(22g)とを添加した後、内温100℃で6時間攪拌した。
次に、得られた混合物を内温90℃まで冷却し、混合物に濃塩酸7mLを滴下した。その後、メタノールを更に100mL滴下し、晶析した。得られた結晶を乾燥し、粗結晶(10A)6gを得た。
粗結晶3.5gと硫酸22.5mLと混合し60℃に加熱攪拌しているところに、発煙硫酸2.5mLを滴下し、60℃で3時間攪拌した。得られた反応液に水100mLを投入し、室温まで冷却した。析出した粗結晶をろか、水洗後、1N−NaOH水溶液をpH9.5になるまで添加し、溶解させた。50℃で60分攪拌後、ごみ取りろ過し、ろ液にイソプロパノールを500mL滴下して晶析し、化合物〔具体例(10)〕7gを得た。
得られた化合物〔具体例(10)〕1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、681nmであった。
〔具体例(28a)の合成例〕
ジエチレングリコール100mLに、室温にて酢酸0.5mL、オルト酢酸トリエチル20gを添加した後、下記化合物A(16g)と、o−フタロニトリル(6.4g)とを引き続き混合し、内温100℃に加熱した。得られた反応混合物に、CuCl(2.5g)と、安息香酸アンモニウム(22g)とを添加した後、内温100℃で15時間攪拌した。
次に、得られた混合物を内温90℃まで冷却し、混合物に濃塩酸7mLを滴下した。その後、イソプロパノールを更に350mL滴下し、晶析した。得られた結晶を乾燥し、粗結晶10gを得た。
粗結晶10gをイオン交換水100mLに溶解後、2N−NaOH水溶液をpH9.5になるまで添加した。50℃で60分攪拌後、ごみ取りろ過した。その後、ろ液にイソプロパノールを500mL滴下し晶析し、化合物〔具体例(28a)〕3gを得た。
得られた化合物〔具体例(28a)〕1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、622nmであった。
〔具体例(29a)の合成例〕
具体例(28a)の合成例において、「化合物A(16g)と、o−フタロニトリル(6.4g)」の代わりに、「化合物A(32g)」を用いた以外は同様にして、化合物〔具体例(29a)〕を得た。
得られた化合物〔具体例(29a)〕1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、686nmであった。
第1のインクが、特定フタロシアニン系染料以外の着色剤を含有する場合、全着色剤中の特定フタロシアニン系染料の含有量は、全着色剤質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。さらには、第1のインクが含有する着色剤は、100質量%特定フタロシアニン系染料であることが特に好ましい。
第1のインク中の染料(特定フタロシアニン系染料、及び特定フタロシアニン系染料以外の着色剤)の含有量は、十分な発色濃度を得るとともに、第1のインクの保存安定性を考慮すると、第1のインクの全質量に対して、1質量%〜20質量%であることが好ましく、4質量%〜15質量%であることがより好ましく、5質量%〜15質量%であることが更に好ましい。
(水)
前記第1のインクは、水を含有する。
水は、特に制限されず、イオン交換水でも、水道水でもよい。
水の含有量は、第1のインクが既述の特定フタロシアニン系染料のみを含む場合は、第1のインクの全質量から特定フタロシアニン系染料の含有量を差し引いた残部であり、第1のインクが、他に、後述する成分を含む場合は、特定フタロシアニン系染料と当該他の成分との全含有量を差し引いた残部である。
(各種添加剤)
前記第1のインクは、必要に応じて、有機溶媒やその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有していてもよい。
その他の添加剤としては、例えば、界面活性剤(表面張力調整剤)、防腐剤、防黴剤、酸塩基や緩衝液等のpH調整剤、蛍光増白剤、消泡剤、潤滑剤、増粘剤、紫外線吸収剤、退色防止剤、帯電防止剤、マット剤、酸化防止剤、比抵抗調整剤、防錆剤、無機顔料、還元防止剤、キレート剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、乳化安定剤、浸透促進剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、等の従来公知の添加剤が挙げられる。
(有機溶媒)
前記第1のインクが含有し得る有機溶媒は、水性有機溶媒であることが好ましく、例えば、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等)、一価アルコール類(例えばメタノール、エタノール、ブタノール、ジアセトンアルコール等)、多価アルコールのアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、2,2′−チオジエタノール、アミド類(例えばN,N−ジメチルホルムアミド等)、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、複素環類(2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等)、アセトニトリル等が挙げられる。
また、上記の有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
前記第1のインク中の有機溶媒の含有量は、前記第1のインクの全質量に対して、1質量%〜60質量%であることが好ましく、2質量%〜50質量%であることがより好ましい。
(界面活性剤)
前記第1のインクは、保存安定性、吐出安定性、吐出精度等を高める観点から、各種界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれの界面活性剤も用いることができる
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型も好適な例として挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アセチレングリコール等が挙げられる。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好適な例として挙げられる。
その他、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)において界面活性剤として挙げられているものも用いることができる。
これらの各界面活性剤を使用する場合、界面活性剤を1種単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
前記第1のインク中の界面活性剤の含有量は、前記第1のインクの全質量に対して、0.001質量%〜5.0質量%の範囲であることが好ましく、かかる範囲で前記第1のインクの表面張力を任意に調整することが好ましい。
(防腐剤、防黴剤)
前記第1のインクは、長期保存安定性を保つため、防腐剤、及び防黴剤の少なくとも一方を含有していてもよい。防腐剤及び防黴剤としては、芳香族ハロゲン化合物(例えば、Preventol CMK;ランクセス社製)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、Proxelシリーズ;アーチケミカルズ社製)、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、等が挙げられる。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。紫外線吸収剤としては、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号明細書等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチ・ディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
(退色防止剤)
退色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。退色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の退色防止剤を使用することができる。有機の退色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類等があり、金属錯体としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等がある。より具体的にはリサーチ・ディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127〜137頁、及びUS5,356,443に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
(乾燥防止剤)
乾燥防止剤は、インクジェット記録方式に用いるノズルのインク噴射口において、上記インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で、好適に使用される。
乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又は、エチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又は、エチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又は、ブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また、上記の乾燥防止剤は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。第1のインクが乾燥防止剤を含有する場合、該乾燥防止剤の含有量は、第1のインクの全質量に対して、10質量%〜50質量%であることが好ましい。
(表面張力調整剤、消泡剤)
表面張力調整剤としては、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等の各種界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤の好ましい例は、前述したとおりである。
消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系化合物が好ましい。
(pH調整剤)
pH調整剤としては、有機塩基、無機アルカリ等の中和剤を用いることができる。該pH調整剤は、インクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクのpHが6〜10になるように添加することが好ましく、7〜10になるように添加することがより好ましい。
第1のインクの表面張力は、20mN/m〜70mN/mに調整されることが好ましく、25mN/m〜60mN/mに調整されることがより好ましい。
また、第1のインクの粘度は、40mPa・s以下に調整されることが好ましく、30mPa・s以下に調整されることがより好ましく、20mPa・s以下に調整されることが特に好ましい。
表面張力及び粘度は、種々の添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防黴剤、防錆剤、分散剤、界面活性剤等を添加することによって、調整することができる。
(キレート剤)
キレート剤は、インク中における沈殿物等の析出物の発生を防止する目的、また、保存安定性や目詰まり回復性を改良する目的で好適に使用される。
インクの着色剤として染料を用いると、インク中に含まれる金属(Ca、Mg、Si、Fe等)が析出物の発生や目詰まり回復性の低下の原因となり得るため、該金属イオンを一定量以下に管理する必要があること、また、銅錯体染料を用いた場合には、上記金属イオンの量を管理しても、遊離の銅イオンの量も管理しなければ、析出物の発生や目詰まり回復性の低下が認められることが知られている(特開2000-355665号、特開2005−126725号公報等参照)。
前記第1のインクにおける特定Pc染料は、特に銅錯体染料であることが好ましく、前記第1のインクが銅錯体染料である特定Pc染料を含む場合には、インク中の遊離の銅イオンは、10ppm以下であることが好ましく、0ppm〜5ppmであることがより好ましい。
キレート剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ニトリロトリ酢酸、ヒドロオキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ウラミルジ酢酸、及びそれらの金属塩(例えば、ナトリウム塩)が挙げられる。
なお、金属イオンや遊離の銅イオン濃度を制御する方法としては、キレート剤を使用する方法以外に、染料の精製度を上げる方法も挙げられる。
〔第2のインク〕
前記第2のインクは、前記第1のインクとは色相が異なるインクであり、H酸アゾ母核、RR酸アゾ母核、K酸アゾ母核、若しくはヘテリルアゾ母核を有するアゾ系染料、C.I.アシッドレッド289、又はアントラキノン母核を有するアントラキノン系染料、及び水を含有する。
ここで、C.I.アシッドレッド289はキサンテン系染料の1種である。
本発明のインクセットは、第2のインクを1種のみ備えていてもよいし、2種以上を備えていてもよい。
例えば、本発明のインクセットの具体的形態としては、第2のインクとして、前記アゾ系染料を含有するインク、前記キサンテン系染料(C.I.アシッドレッド289)を含有するインク、及び前記アントラキノン系染料を含有するインクから選択される少なくとも1つを備える形態が挙げられる。
前記アゾ系染料を含有するインク、及び、前記キサンテン系染料(C.I.アシッドレッド289)を含有するインクは、いずれもマゼンタの色相を有するインクとして好適である。
この場合、前記アゾ系染料及びC.I.アシッドレッド289は、マゼンタ染料として用いられる。
これにより、第1のインクとしてのシアンインクと、第2のインクとしてのマゼンタインクとの混色による滲みが抑制される。
第2のインクにおいて、前記アゾ系染料以外のマゼンタ染料やC.I.アシッドレッド289以外のマゼンタ染料(例えば、C.I.アシッドレッド289以外のキサンテン系染料(例えばC.I.アシッドレッド52))を用いた場合には、混色による滲みが顕著となる。
前記アントラキノン系染料を含有するインクは、ブルーの色相を有するインクとして好適である。
この場合、前記アントラキノン系染料は、ブルー染料として用いられる。
これにより、第1のインクとしてのシアンインクと、第2のインクとしてのブルーインクとの混色による滲みが抑制される。
第2のインクにおいて、前記アントラキノン以外のブルー染料(例えば、C.I.アシッドブルー9)を用いた場合には、混色による滲みが顕著となる。
第2のインクの構成は、特定フタロシアニン系染料に代えて、前記アゾ系染料、C.I.アシッドレッド289、又は前記アントラキノン系染料を用いること以外は、第1のインクと同様の構成であり、好ましい範囲も第1のインクと同様である。
以下、第2のインクに含有されるアゾ染料及びアントラキノン系染料について説明する。
(アゾ系染料)
前記アゾ系染料は、H酸アゾ母核、RR酸アゾ母核、K酸アゾ母核、又はヘテリルアゾ母核を有する染料である。
前記アゾ系染料は、マゼンタの色相を示す染料として好適である。
−H酸アゾ母核、RR酸アゾ母核、又はK酸アゾ母核を有するアゾ染料−
前記H酸アゾ母核、前記RR酸アゾ母核、及び前記K酸アゾ母核において、H酸、RR酸、及びK酸とは、それぞれ、ナフタレンにヒドロキシル基とアミノ基と2つのスルホ基が置換した構造を持つ有機化合物のことである。
H酸は、別名、8−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸(4−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン−2,7−ジスルホン酸ともいう)ともいう。
RR酸は、別名、7−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸(4−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン−2,7−ジスルホン酸ともいう)ともいう。
K酸は、別名、1−アミノ−8−ヒドロキシ−ナフタレン−4,6−ジスルホン酸(4−アミノ−5−ヒドロキシ−1,7−ナフタレンジスルホン酸や4−アミノ−5−ヒドロキシナフタレン−1,7−ジスルホン酸ともいう)ともいう。
H酸、RR酸、K酸は、いずれも芳香族アミンおよびフェノールを有するため、ジアゾニウム化合物とアゾカップリング反応する。このアゾカップリング反応によりアゾ染料が合成される。
前記H酸アゾ母核は、H酸とジアゾニウム化合物とのアゾカップリング反応により合成されたアゾ染料の母核を指し、前記RR酸アゾ母核は、RR酸とジアゾニウム化合物とのアゾカップリング反応により合成されたアゾ染料の母核を指し、前記K酸アゾ母核は、K酸とジアゾニウム化合物とのアゾカップリング反応により合成されたアゾ染料の母核を指す。
このうち、H酸アゾ母核が好ましい。
前記アゾ系染料としては、前記H酸アゾ母核または前記K酸アゾ母核を有する染料として、一般式(A)で表される染料が好ましい。
一般式(A)中、Rは、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Rは、アルキル基、アリール基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の対カチオンを表す。
前記Z及び前記Zにおける1価の対カチオンとしては、アルカリ金属類やアンモニウム塩が挙げられ、具体的には、Li、Na、K、NH 等が挙げられる。
また、前記R及び前記Rは、置換されていてもよい。
一般式(A)中、R及びRで表されるアルキル基としては、炭素原子数が1〜12のアルキル基が挙げられ、直鎖状であっても、分岐状であっても、環状であってもよい。
例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、ドデシル基等が挙げられる。
中でも、直鎖状、又は、分岐状のアルキル基が好ましく、炭素原子数は、1〜8が好ましい。
一般式(A)中、前記R及びRで表されるアリール基としては、炭素原子数が6〜12のアリール基が挙げられる。
例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
中でも、フェニル基、又は、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
一般式(A)中、Rで表されるヘテロ環基としては、5員又は6員環のヘテロ環基が好ましい。例えば、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−フリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、2−ピリミジニル基、等が挙げられる。
一般式(A)中、Rで表されるアシル基としては、炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましく、例えば、アセチル基、3フェニルプロパノイル、ベンゾイル基等が挙げられる。
一般式(A)中、Rで表されるアルキルスルホニル基としては、炭素原子数が1〜12(好ましくは1〜8)のアルキルスルホニル基が挙げられる。
一般式(A)中、Rで表されるアリールスルホニル基としては、炭素原子数が6〜12のアリールスルホニル基が挙げられる。
H酸アゾ母核、RR酸アゾ母核、又はK酸アゾ母核を有するアゾ染料としては、市販の酸性染料、直接染料や反応染料を用いることもできる。市販の酸性染料としては、C.I.アシッドレッド131、またはC.I.アシッドレッド138(構造を以下に示す)であること好ましい。
−ヘテリルアゾ母核を有するアゾ染料−
前記ヘテリルアゾ母核は、ヘテロ環を有するジアゾニウム化合物とカプラー成分とをアゾカップリング反応することにより得られるアゾ染料の母核を意味する。
前記カプラー成分としては、一般的なカプラーを使用でき、例えば、フェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピリジン類などが挙げられる。好ましくは、アニリン類、ピリジン類から選択される。
前記ヘテリルアゾ母核を有するアゾ染料として、好ましくは、下記一般式(B)、下記一般式(C)または下記一般式(D)で表される染料である。
より好ましくは、下記一般式(B)または下記一般式(C)で表される染料である。
下記一般式(C)で表される染料としては、下記一般式(C−2)で表される染料であることが好ましく、下記一般式(C−3)で表される染料であることがより好ましい。
〜一般式(B)で表される染料〜
一般式(B)中、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシル基、又はスルホ基を表す。
一般式(B)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、アシル基、カルボキシル基、スルホ基、又はカルバモイル基を表す。
ただし、一般式(B)において、R及びRが同時に水素原子となることはない。
前記一般式(B)で表される染料の重量平均分子量には特に制限はないが、800〜2000であることが好ましく、800〜1400であることがより好ましい。
重量平均分子量が800以上であると、ポリアミド系繊維の空隙から該染料が抜け出す現象が効果的に抑制され、ポリアミド系繊維を含む布帛に対して固定化する性質がより向上し、画像の発色濃度及び堅牢性(特に耐光性)がより向上する。
重量平均分子量が2000以下であると、ポリアミド系繊維の空隙に該染料がより入り込みやすくなり、ポリアミド系繊維を含む布帛に対して固定化する性質がより向上し、画像の発色濃度及び堅牢性(特に耐光性)がより向上する。
一般式(B)におけるR〜Rで表されるアルキル基は、各々独立に、直鎖状または分岐状の、炭素原子数が1〜12のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましい。例えば、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル等が挙げられる。
また、R〜Rで表されるアルキル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
一般式(B)におけるR〜Rで表されるシクロアルキル基は、各々独立に、炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましい。例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル等が挙げられる。
また、R〜Rで表されるシクロアルキル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
一般式(B)におけるR〜Rで表されるアラルキル基は、各々独立に、炭素原子数が7〜12のアラルキル基が好ましい。例えば、ベンジル基、2−フェネチル等が挙げられる。
また、R〜Rで表されるアラルキル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
一般式(B)におけるR〜Rで表されるアルケニル基は、各々独立に、炭素原子数が5〜12のアルケニル基が好ましい。例えば、ビニル基、アリル基等が挙げられる。
また、R〜Rで表されるアルケニル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
一般式(B)におけるR〜Rで表されるアリール基は、各々独立に、炭素原子数が6〜12のアリール基が好ましい。例えばフェニル、p−トリル、ナフチル等が挙げられる。
また、R〜Rで表されるアリール基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
一般式(B)におけるR〜Rで表されるヘテロ環基は、各々独立に、5員又は6員環のヘテロ環基が好ましい。例えば、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−フリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、2−ピリミジニル基、等が挙げられる。
また、R〜Rで表されるヘテロ環基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
一般式(B)におけるR〜Rで表されるカルボキシル基は、各々独立に、カルボン酸塩基(−COONa、−COOK等)であってもよい。
一般式(B)におけるR〜Rで表されるスルホ基は、各々独立に、スルホン酸塩基(−SONa、−SOK等)であってもよい。
一般式(B)におけるR〜Rで表されるスルホニル基としては、各々独立に、例えば、メタンスルホニル基に代表されるアルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基に代表されるアリールスルホニル基等が挙げられる。
また、R〜Rで表されるスルホニル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
一般式(B)におけるR〜Rで表されるアシル基としては、各々独立に、炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましい。例えば、アセチル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
また、R〜Rで表されるアシル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
一般式(B)におけるR〜Rで表されるカルバモイル基は、各々独立に、更に置換基を有していてもよい。
既述のように、一般式(B)におけるR〜Rで表される水素原子、カルボキシル基、及びスルホ基以外の基は、いずれも、それぞれ独立に、さらに置換基を有していてもよい。
かかる置換基としては、ハロゲン原子、直鎖状または分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、直鎖状または分岐状のアルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、イオン性親水性基(カルボキシ基、スルホ基、リン酸基等)、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアゾ基、ヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
なお、イオン性親水性基(カルボキシ基、スルホ基、リン酸基等)は、塩、すなわち、カルボン酸塩基(−COONa、−COOK等)、スルホン酸塩基(−SONa、−SOK等)等であってもよい。中でも、スルホン酸塩基(−SONa、−SOK等)が
一般式(B)において、R〜Rで表されるアルキル基が有し得る置換基は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、イオン性親水性基が好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルコキシ基が挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられ、イオン性親水性基としては、カルボキシ基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、カルボン酸塩基(−COONa、−COOK等)、スルホン酸塩基(−SONa、−SOK等)等が挙げられる。置換基を有するアルキル基としては、例えば、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル等が挙げられる。
一般式(B)において、R〜Rで表されるシクロアルキル基、アラルキル基、及びアルケニル基が有し得る置換基は、それぞれ独立に、カルボキシ基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、カルボン酸塩基(−COONa、−COOK等)、スルホン酸塩基(−SONa、−SOK等)等のイオン性親水性基が好ましい。
一般式(B)において、R〜Rで表されるアリール基が有し得る置換基は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、水酸基、エステル基、及びイオン性親水性基が好ましい。
置換基を有するアリール基としては、例えば、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル、m−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル等が挙げられる。
一般式(B)において、R〜Rで表されるヘテロ環基が有し得る置換基は、それぞれ独立に、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、水酸基、エステル基、及びイオン性親水性基が好ましい。
一般式(B)において、以上に示されるR〜Rの好ましい態様は次のとおりである。
は、電子吸引性基で置換されたアリール基又はヘテロ環基が好ましい。ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について若干説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができ、例えば、J.A.Dean編、「Lange's Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。
一般式(B)において、Rの上記電子吸引性基は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上、好ましくは0.30以上の電子吸引性基である。σp値の上限としては、好ましくは1.0以下である。σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、セレノシアネート基及びσp値が0.20以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基が挙げられ、好ましくはシアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子である。上記ヘテロ環基は、電子吸引性基で置換されていてもいなくてもよい。
また、一般式(B)において、R〜Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、スルホニル基、アシル基、ヘテロ環基が好ましく、さらにはスルホニル基、アシル基、アリール基、ヘテロ環基が最も好ましい。
一般式(B)で表される染料は、分子内に、イオン性親水性基を2つ以上有することが好ましい。イオン性親水性基としては、カルボキシ基(−COOH)、スルホ基(−SOH)等が挙げられる。カルボキシ基およびスルホ基は、塩を形成していてもよい。すなわち、カルボン酸塩基(−COONa、−COOK等)であっても、スルホン酸塩基(−SONa、−SOK等)であってもよい。特定化合物が2つ以上のイオン性親水性基を有するとき、イオン性親水性基は、同種でも異種でもよい。
一般式(B)で表される染料が有するイオン性親水性基は、3つ以上であることがより好ましく、3つ〜4つが更に好ましい。
特に、一般式(B)で表される染料は、分子内に、3つ以上のスルホ基(スルホン酸塩基を含む)を有することが好ましく、全てがスルホ基であっても、スルホン酸塩基であってもよいし、またスルホ基とスルホン酸塩基とが混在していてもよい。
一般式(B)における各基の好ましい組み合わせは、R〜Rがアリール基又はヘテロ環基である組み合わせであり、より好ましい組み合わせは、Rがヘテロ環基であってR〜Rがアリール基又はヘテロ環基である組み合わせである。
一般式(B)で表される染料の具体例としては、例えば、特開2006−143989号公報(例えば、段落0045〜0049)に記載の色素が挙げられる。
〜一般式(C)で表される染料〜
一般式(C)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、又はシアノ基を表す。
一般式(C)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOR基、−COR基、−CONR基、−SONR1011基、又はイオン性親水性基を表す。
一般式(C)中、Rは、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
一般式(C)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。R及びRは、互いに結合し、R及びRが結合している窒素原子とともにヘテロ環を形成していてもよい。
一般式(C)中、R15は、水素原子又は置換基を表す。
一般式(C)中、Xは、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、−COR12基、−CONR1314基を表す。
一般式(C)中、前記Rは、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、前記R〜前記R14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
一般式(C)で表される染料は、一分子中に置換基として含まれるイオン性親水性基の総数が1〜5である。
一般式(C)において、前記R〜前記R14及び前記Xが更に置換され得る基である場合(例えば、前記R〜前記R14及び前記Xが、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、−COOR基、−COR基、−CONR基、−SONR1011基、−COR12基、−CONR1314基である場合)、これらの基は、更に置換基によって置換されていてもよい。
一般式(C)で表される染料が有していてもよい置換基としては、前述の一般式(B)で表される染料が更に有していてもよい置換基と同様の基を例示できる。
一般式(C)で表される染料の重量平均分子量の好ましい範囲についても、前述の一般式(B)で表される染料の重量平均分子量の好ましい範囲と同様である。
一般式(C)で表される染料は、既述のとおり、一分子中に置換基として含まれるイオン性親水性基の総数が1〜5である。
一般式(C)で表される染料における前記イオン性親水性基は、既述の特定フタロシアニン系色素におけるイオン性親水性基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(C)で表される染料にイオン性親水性基が2以上含まれる場合、2以上のイオン性親水性基は、同一であっても互いに異なっていてもよい。
一般式(C)において、イオン性親水性基が含まれている箇所には特に限定はなく、前記R〜前記R及び前記Xの少なくとも1つに含まれていればよい。即ち、前記R〜前記R及び前記Xに、合計で1〜5個のイオン性親水性基が含まれていればよい。
一般式(C)で表される染料において、一分子中に置換基として含まれるイオン性親水性基の総数は1〜3が好ましい。
また、一般式(C)において、イオン性親水性基が含まれる箇所は、前記X、前記R、及び前記Rの少なくとも1つであることが好ましい。
一般式(C)において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子がより好ましく、塩素原子が特に好ましい。
一般式(C)において、アルキル基は、直鎖アルキル基であっても分岐鎖アルキル基であってもよい。
前記アルキル基の総炭素数は、1〜12が好ましく、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましい。
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などが挙げられる。
一般式(C)において、シクロアルキル基は、単環構造を有するシクロアルキル基であってもよいし、縮環構造を有するシクロアルキル基であってもよい。
前記シクロアルキル基の総炭素数は、3〜12が好ましく、3〜8がより好ましく、6〜8が特に好ましい。
前記シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基などが挙げられる。
一般式(C)において、アルケニル基は、直鎖アルケニル基であっても分岐鎖アルケニル基であってもよい。
前記アルケニル基の総炭素数は、2〜12が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜6が特に好ましい。
一般式(C)において、アルキニル基は、直鎖アルキニル基であっても分岐鎖アルキニル基であってもよい。
前記アルキニル基の総炭素数は、2〜12が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜6が特に好ましい。
一般式(C)において、アラルキル基は、アリール基によって置換された直鎖アルキル基であってもよいし、アリール基によって置換された分岐鎖アルキル基であってもよい。
前記アラルキル基の総炭素数は、7〜14が好ましい。
前記アラルキル基としては、ベンジル基、2−フェネチル基などが挙げられる。
一般式(C)において、アリール基は、単環構造を有するアリール基であってもよいし、縮環構造を有するアリール基であってもよい。
前記アリール基の炭素数は、6〜12が好ましい。
前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられ、フェニル基が特に好ましい。
一般式(C)において、ヘテロアリール基は、単環構造を有するヘテロアリール基であってもよいし、縮環構造を有するヘテロアリール基であってもよい。
前記ヘテロアリール基は、5〜8員環構造を有するヘテロアリール基が好ましい。
前記ヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、チエニル基、フリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノリニル基、ベンゾイミダゾリル基、等が挙げられる。
一般式(C)において、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、及びアルコキシカルボニル基の構造中に含まれるアルキル基の好ましい範囲については前述のアルキル基の好ましい範囲と同様である。
一般式(C)において、アリールオキシ基、アリールアミノ基、アリールチオ基、アリールオキシカルボニル基、及びアリールオキシカルボニルアミノ基の構造中に含まれるアリール基の好ましい範囲については前述のアリール基の好ましい範囲と同様である。
一般式(C)において、アシル基及びアシルオキシ基に含まれるアルキル基又はアリール基の好ましい範囲については、前述のアルキル基又はアリール基の好ましい範囲と同様である。
一般式(C)において、ヘテロ環チオ基に含まれるヘテロ環基としては、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルケニル基、ヘテロシクロアルキニル基が挙げられるが、ヘテロアリール基が好ましい。ヘテロアリール基の好ましい範囲については前述のとおりである。
前記Rは、既述のとおり、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、又はシアノ基を表す。ここで、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、及びアルコキシ基の好ましい形態については、それぞれ前述のとおりである。
前記Rとしては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はシアノ基が好ましく、水素原子又はアルキル基がより好ましく、アルキル基が更に好ましく、炭素数1〜6(より好ましくは1〜4)のアルキル基が特に好ましい。
前記Rは、既述のとおり、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOR基、−COR基、−CONR基、−SONR1011基、又はイオン性親水性基を表す。ここで、ハロゲン原子及びイオン性親水性基の好ましい形態については、それぞれ前述のとおりである。
前記Rは、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、前記R〜前記R11は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。ここで、アルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基の好ましい範囲については、それぞれ前述のとおりである。
前記Rとしては、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOR基、−CONR基、又はイオン性親水性基が好ましく、ハロゲン原子又はシアノ基がより好ましい。
前記Rは、既述のとおり、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。ここで、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、及びヘテロアリール基の好ましい形態については、それぞれ前述のとおりである。
前記Rとしては、アルキル基、アリール基、又は、イオン性親水性基で置換されたアリール基が好ましく、アルキル基又はアリール基がより好ましく、炭素数1〜6(より好ましくは1〜4)のアルキル基又はフェニル基が特に好ましい。
前記R及び前記Rは、既述のとおり、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。前記R及び前記Rは、既述のとおり、互いに結合し、R及びRが結合している窒素原子とともにヘテロ環を形成していてもよい。ここで、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、及びヘテロアリール基の好ましい形態については、それぞれ前述のとおりである。また、R及びRが互いに結合し、R及びRが結合している窒素原子とともにヘテロ環を形成する場合、形成されるヘテロ環(ヘテロ環基)の好ましい形態は、前述のヘテロ環チオ基に含まれるヘテロ環基の好ましい形態と同様である。
前記R及び前記Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、イオン性親水性基で置換されたアルキル基、イオン性親水性基で置換されたアラルキル基、イオン性親水性基で置換されたアリール基、又はイオン性親水性基で置換されたヘテロアリール基である(但し、前記R及び前記Rが同時に水素原子となることはない)ことが好ましい。
前記R及び前記Rとしてより好ましくは、それぞれ独立に、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6(より好ましくは炭素数1〜4)の無置換のアルキル基)、又は、イオン性親水性基(好ましくは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホ基、及びスルホ基の塩からなる群から選択されるイオン性親水性基)で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜6(より好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基)である。
前記R及び前記Rの特に好ましい形態は、一方が無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜6(より好ましくは炭素数1〜4)の無置換のアルキル基)であって、他方がイオン性親水性基(好ましくは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホ基、及びスルホ基の塩からなる群から選択されるイオン性親水性基)で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜6(より好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基)である形態である。
前記R15は、既述のとおり、水素原子又は置換基を表す。
前記R15が置換基を表す場合における置換基としても、前述の一般式(B)で表される染料が更に有していてもよい置換基と同様の基を例示できるが、中でも、ハロゲン原子(好ましくは塩素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)、又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基)が好ましい。
前記R15としては、水素原子、ハロゲン原子(好ましくは塩素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)、又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基)がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
前記Xは、既述のとおり、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、−COR12基、−CONR1314基を表す。ここで、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基の好ましい範囲については、それぞれ前述のとおりである。
前記R12〜前記R14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。ここで、アルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基の好ましい範囲については、それぞれ前述のとおりである。
前記Xとしては、シクロアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基が好ましく、置換基を有するシクロアルキル基、置換基を有するアリール基、又は置換基を有するヘテロアリール基がより好ましい。
前記一般式(C)で表される染料は、下記一般式(C−2)で表される染料が好ましい。これにより、マゼンタ色のより良好な色相を得ることができる。更には、画像の滲みをより抑制でき、耐汗性をより向上させることができる。
一般式(C−2)において、R〜R及びR15は、一般式(C)におけるR〜R及びR15と同義であり、好ましい範囲も同様である。
また、一般式(C−2)で表される染料の好ましい形態についても、一般式(C)で表される染料の好ましい形態と同様である。
一般式(C−2)中、Aは、シクロアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
Zは、前記Aを構成する原子のうち一般式(C)中のピラゾール環に結合する原子の両隣の原子の少なくとも一方に結合する一価の置換基を表す。
前記Zは、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環チオ基、アシル基、及びイオン性親水性基からなる群から選択される一価の置換基を表すか、又は、
前記群から選択される一価の置換基と、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、スルホニル基、アゾ基、イミド基、スルフィニル基、及びホスホリル基からなる群から選択される連結基と、が結合して得られた一価の置換基を表す。これらの一価の置換基は、更に、イオン性親水性基によって置換されていてもよい。
一般式(C−2)中にZが2つ存在する場合、2つのZは同一であっても互いに異なっていてもよい。
一般式(C−2)において、A及びZにおける各基の好ましい範囲については前述のとおりである。
一般式(C−2)において、前記Zは、画像の滲みをより抑制し、耐汗性をより向上させ、マゼンタ色のより良好な色相を得る観点からは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、イオン性親水性基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、又は、イオン性親水性基で置換されたアリールカルボニルアミノ基であることが好ましく、ハロゲン原子、シアノ基、アリールカルボニルアミノ基、又は、イオン性親水性基(好ましくは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホ基、及びスルホ基の塩からなる群から選択されるイオン性親水性基)で置換されたアリールカルボニルアミノ基であることがより好ましい。
一般式(C−2)において、Aは、前記Z以外の置換基を有していてもよい。
かかる置換基としては、前述の一般式(B)で表される染料が更に有していてもよい置換基と同様の基を例示できる。
前記一般式(C)で表される染料は、下記一般式(C−3)で表される染料であることが更に好ましい。これにより、マゼンタ色のより良好な色相を得ることができる。更には、画像の滲みをより抑制でき、耐汗性をより向上させることができる。
一般式(C−3)において、R〜R及びR15は、一般式(C)におけるR〜R及びR15と同義であり、好ましい範囲も同様である。
また、一般式(C−3)で表される染料の好ましい形態についても、一般式(C)で表される染料の好ましい形態と同様である。
一般式(C−3)中、Z、Z、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、イオン性親水性基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、又は、イオン性親水性基で置換されたアリールカルボニルアミノ基を表す。但し、Z及びZが同時に水素原子となることはない。
一般式(C−3)において、Z、Z、Z、Z、及びZにおける各基の好ましい範囲については前述のとおりである。
一般式(C−3)において、Z、Z、Z、Z、及びZとしては、画像の滲みをより抑制し、耐汗性をより向上させ、マゼンタ色のより良好な色相を得る観点からは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アリールカルボニルアミノ基、又は、イオン性親水性基(好ましくは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホ基、及びスルホ基の塩からなる群から選択されるイオン性親水性基)で置換されたアリールカルボニルアミノ基であること(但し、Z及びZが同時に水素原子となることはない)が特に好ましい。
一般式(C−3)におけるZ〜Zの好ましい組み合わせは、
及びZが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、イオン性親水性基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、又は、イオン性親水性基で置換されたアリールカルボニルアミノ基(より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アリールカルボニルアミノ基、又は、イオン性親水性基で置換されたアリールカルボニルアミノ基)であり(但し、Z及びZが同時に水素原子となることはない)、
が、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、イオン性親水性基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、又は、イオン性親水性基で置換されたアリールカルボニルアミノ基(より好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、アリールカルボニルアミノ基、又は、イオン性親水性基で置換されたアリールカルボニルアミノ基)であり、
及びZが水素原子である組み合わせである。
次に、画像の滲みをより抑制し、耐汗性をより向上させ、マゼンタ色のより良好な色相を得る観点からみた、一般式(C)、一般式(C−2)、又は一般式(C−3)における各基の好ましい組み合わせについて説明する。
一般式(C)、一般式(C−2)、又は一般式(C−3)において、各基の好ましい組み合わせは、
前記Rが、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はシアノ基であり、
前記Rが、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOR基、−CONR基、又はイオン性親水性基であり、
前記Rが、アルキル基、アリール基、又は、イオン性親水性基で置換されたアリール基であり、
前記R及び前記Rが、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、イオン性親水性基で置換されたアルキル基、イオン性親水性基で置換されたアラルキル基、イオン性親水性基で置換されたアリール基、又はイオン性親水性基で置換されたヘテロアリール基であり(但し、前記R及び前記Rが同時に水素原子となることはない)、
前記R15が、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアルコキシ基である組み合わせである。
この組み合わせにおいて、一般式(C−3)におけるZ〜Zの好ましい組み合わせについては前述のとおりである。
一般式(C)、一般式(C−2)、又は一般式(C−3)において、各基のより好ましい組み合わせは、
前記Rが、アルキル基であり、
前記Rが、ハロゲン原子又はシアノ基であり、
前記Rが、アルキル基又はアリール基であり、
前記R及び前記Rが、それぞれ独立に、アルキル基、又は、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホ基、及びスルホ基の塩からなる群から選択されるイオン性親水性基で置換されたアルキル基であり、
前記R15が、水素原子である組み合わせである。
この組み合わせにおいて、一般式(C−3)におけるZ〜Zの好ましい組み合わせについては前述のとおりである。
以上で説明した一般式(C)で表される染料は、例えば、ジアゾカップリング反応を利用した公知の合成方法によって合成することができる。合成方法の詳細は、例えば、特開2001−335714号公報に記載の方法を参照することができる。
〜一般式(D)で表される染料〜
一般式(D)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アラルキルオキシ基、アラルキルチオ基、シアノ基、−COOR基、−COR基、−CONR基、−SOR10基、−SO11基、−SONR1213基、−NHCOR14基、又はイオン性親水性基を表す。
一般式(D)中、Rは、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
一般式(D)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。R及びRは、互いに結合し、R及びRが結合している窒素原子とともにヘテロ環を形成していてもよい。
一般式(D)中、R15は、水素原子又は置換基を表す。
一般式(D)中、X、X、X、及びXは、チアジアゾール環又はオキサジアゾール環を形成する原子群を表す。
一般式(D)中、nは1〜3の整数を表す。
一般式(D)において、nが2又は3であるときは、R、R、R、又はRから水素原子を1つ除いた残基が、単結合により、又は、n価の連結基を介して結合する。nが2又は3であるときは、複数ずつ存在する、R、R、R、R、R15、X、X、X、及びXは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(D)で表される染料は、一分子中に置換基として含まれるイオン性親水性基の総数が1〜5である。
一般式(D)において、R、R〜R、及びR15は、それぞれ、一般式(C)におけるR、R〜R、及びR15と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(D)において、前記R及び前記R〜前記R14が更に置換され得る基である場合(例えば、前記R及び前記R〜前記R14が、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アラルキルオキシ基、アラルキルチオ基、−COOR基、−COR基、−CONR基、−SOR10基、−SO11基、−SONR1213基、−NHCOR14基である場合)、これらの基は、更に置換基によって置換されていてもよい。
一般式(D)で表される染料が更に有していてもよい置換基としては、前述の一般式(B)で表される染料が更に有していてもよい置換基と同様の基を例示できる。
一般式(D)で表される染料の重量平均分子量の好ましい範囲についても、前述の一般式(B)で表される染料の重量平均分子量の好ましい範囲と同様である。
また、前記一般式(D)において、前記X、前記X、前記X、及び前記Xは、既述のとおり、チアジアゾール環又はオキサジアゾール環を形成する原子群を表す。即ち、前記X、前記X、前記X、及び前記Xのうち、2つは窒素原子を表し、1つは酸素原子又は硫黄原子を表し、1つは炭素原子を表す。
中でも、画像の滲みをより抑制し、画像の耐汗性をより向上させる観点からは、前記X、前記X、前記X、及び前記Xは、チアジアゾール環を形成する原子群を表すこと(即ち、X、X、X、及びXのうち、2つは窒素原子を表し、1つは硫黄原子を表し、1つは炭素原子を表すこと)が好ましい。
また、前記一般式(D)において、nは1が好ましい。
前記一般式(D)で表される染料は、既述のとおり、一分子中に置換基として含まれるイオン性親水性基の総数が1〜5である。
一般式(D)で表される染料におけるイオン性親水性基の種類及び数は、一般式(C)で表される染料におけるイオン性親水性基の種類及び数と同義であり、好ましい形態も同様である。
一般式(D)において、各基の好ましい組み合わせは、
前記Rが、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、フェノキシ基、フェニルチオ基、ベンジルオキシ基、ベンジルチオ基であって、
前記Rが、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であって、
前記R及び前記Rの一方が炭素数1〜4の無置換のアルキル基であって、
前記R及び前記Rの他方がイオン性親水性基(特に好ましくはスルホ基又はスルホ基の塩)によって置換された炭素数1〜4のアルキル基であって、
前記R15、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアルコキシ基であって、
前記nが1である組み合わせである。
一般式(D)において、各基の好ましい特に好ましい組み合わせは、
前記Rが、炭素数3〜8のアルキル基又は炭素数3〜8のアルキルチオ基であって、
前記Rが、炭素数1〜4のアルキル基であって、
前記R及び前記Rの一方が炭素数1〜4の無置換のアルキル基であって、
前記R及び前記Rの他方がイオン性親水性基(特に好ましくはスルホ基又はスルホ基の塩)によって置換された炭素数1〜4のアルキル基であって、
前記R15、水素原子であって、
前記nが1である組み合わせである。
以上で説明した一般式(D)で表される染料のうち、nが1である染料は、例えば、ジアゾカップリング反応を利用した公知の合成方法によって合成することができる。合成方法の詳細は、例えば、特開2001−335714号公報に記載の方法を参照することができる。
また、以上で説明した一般式(D)で表される染料のうち、nが2又は3である染料も基本的にはnが1である染料と同様に合成できる。この際、色素化合物を多量体化する公知の方法により合成できる。このような合成方法としては、例えば、特開2004−83903号公報を参照することができる。
(アントラキノン系染料)
前記アントラキノン系染料は、アントラキノン母核を有する染料である。
前記アントラキノン系染料は、ブルーの色相を示す染料として好適である。
ここで、アントラキノン母核とは、下記構造の母核のことである。
前記アントラキノン系染料としては、下記一般式(IV)で表される染料が好ましい。
一般式(IV)中、R41及びR42は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。
一般式(IV)中、Y41〜Y43は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又はイオン性親水性基を表す。
ただし、一般式(IV)の構造に、イオン性親水性基が少なくとも1つ含まれる。
一般式(IV)中、R41及びR42並びにY41〜Y43で表されるアルキル基としては、炭素原子数が1〜12のアルキル基が挙げられ、直鎖状であっても、分岐状であっても、環状であってもよい。
例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、ドデシル基等が挙げられる。
中でも、直鎖状、又は、分岐状のアルキル基が好ましく、炭素原子数は、1〜8が好ましい。
一般式(IV)中、R41及びR42並びにY41〜Y43で表されるアリール基としては、炭素原子数が6〜12のアリール基が挙げられる。例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。中でも、フェニル基、又は、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
一般式(IV)中、R41及びR42並びにY41〜Y43で表されるヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル等が挙げられる。
一般式(IV)中、Y41〜Y43で表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子が好ましい。
一般式(IV)中、Y41〜Y43で表されるイオン性親水性基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、スルホ基が最も好ましい。
前記イオン性親水性基としての、カルボキシル基、スルホ基、及びリン酸基は、必要に応じて対カチオンを有していてもよい。対カチオンとしては、例えば、Li、Na、K等の金属イオン、窒素の4級塩構造を有する基、リンの4級塩構造を有する基が用いられる。
一般式(IV)で表される染料は、更に、置換基を有していてもよい。
一般式(IV)で表される染料が有していてもよい置換基としては、前述の一般式(X)で表される染料が更に有していてもよい置換基と同様の基を例示できる。
また、R41及びR42が置換され得る基である場合、R41及びR42は、置換基によって置換されていてもよい。
前記アントラキノン母核を有する水溶性染料は、市販の酸性染料、市販の直接染料、または市販の反応染料を用いることもできる。
市販の酸性染料としては、C.I.アシッドブルー23、C.I.アシッドブルー49、C.I.アシッドブルー62、C.I.アシッドブルー78、C.I.アシッドブルー80(構造を以下に示す)、C.I.アシッドブルー112、C.I.アシッドブルー127、C.I.アシッドブルー138、C.I.アシッドブルー145などが挙げられる。
市販の反応染料としては、C.I.リアクティブブルー49(構造を以下に示す)、C.I.リアクティブブルー50、C.I.リアクティブブルー94などが挙げられる。
特に、色相調整や堅牢性の観点から、C.I.アシッドブルー80、C.I.アシッドブルー112、C.I.アシッドブルー138、またはC.I.リアクティブブルー49が好ましい。
〔インクセットの具体的な形態〕
本発明のインクセットの具体的な形態としては、2色以上の染料インクを備えたインクセットの形態として、
前記第1のインクとしてのシアンインクと、前記第2のインクとしての前記アゾ系染料を含有するマゼンタインクと、(必要に応じその他の染料インクと、)を備えた形態、
前記第1のインクとしてのシアンインクと、前記第2のインクとしてのC.I.アシッドレッド289を含有するマゼンタインクと、(必要に応じその他の染料インクと、)を備えた形態、
前記第1のインクとしてのシアンインクと、前記第2のインクとしての前記アントラキノン系染料を含有するブルーインクと、(必要に応じその他の染料インクと、)を備えた形態、等が挙げられる。
更には、3色以上のインクセットの形態として、
前記第1のインクとしてのシアンインクと、前記第2のインクとしての前記アントラキノン系染料を含有するブルーインクと、前記第2のインクとしての前記アゾ系染料を含有するマゼンタインクと、(必要に応じその他の染料インクと、)を備えた形態や、
前記第1のインクとしてのシアンインクと、前記第2のインクとしての前記アゾ系染料を含有するマゼンタインクAと、前記第2のインクとしてのC.I.アシッドレッド289を含有するマゼンタインクB(好ましくは、前記マゼンタインクAとは色相が異なるマゼンタインク)と、(必要に応じその他の染料インクと、)を備えた形態とすることもできる。
本発明のインクセットは、4色以上のインクセットであってもよい。
<布帛>
本発明のインクセットは、布帛の捺染に用いられる。
布帛の種類は、特に制限されず、レーヨン、綿、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等、種々の繊維を含んで構成された布帛を用いることができる。中でも、本発明の効果をより十分に発揮できる観点から、ポリアミド繊維を含む布帛であることが好ましく、ナイロン、絹、羊毛がより好ましい。特に、本発明のインクセットは、ナイロンの捺染に、特に好適である。
前述のとおり、本発明のインクセットによれば、インクジェット捺染により、前記布帛に、混色滲みが抑制された画像を形成することができる
なお、ナイロンとしては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12等種々のナイロンが挙げられ、いずれのナイロンを用いてもよい。
上記ポリアミド繊維は、織物、編物、不織布等いずれの形態であってもよい。
ポリアミド繊維を含む布帛は、ポリアミド繊維100%のものが好適であるが、ポリアミド繊維以外の素材を含んでいてもよい。布帛がポリアミド繊維以外の繊維を含む場合、ポリアミド繊維の混紡率は、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。ポリアミド繊維以外の素材としては、例えば、レーヨン、綿、アセテ−ト、ポリウレタン、アクリル繊維等との混紡織布又は混紡不織布等であっても、本発明における捺染用布帛として使用することができる。
布帛を構成するポリアミド繊維及びポリアミド繊維から構成される糸の物理特性には好適な範囲があり、例えば、ナイロンの場合、ナイロン繊維の平均太さが、好ましくは1d〜10d(デニール)、更に好ましくは2d〜6dに制御され、該ナイロン繊維から構成されるナイロン糸の平均太さが、好ましくは20d〜100d、より好ましくは25d〜80d、更に好ましくは30d〜70dに制御され、公知の方法により布帛としたものが用いられる。また、絹の場合は、繊維自体の特性として、絹繊維の平均太さが、好ましくは2.5d〜3.5d、更に好ましくは2.7d〜3.3dに制御され、該絹繊維から構成される絹糸の平均太さが、好ましくは14d〜147d、更に好ましくは14d〜105dに制御され、公知の方法により布帛としたものが好ましく用いられる。
<捺染方法>
本発明の捺染方法は、前述の本発明のインクセットが用いられ、ポリアミド系繊維を含む布帛に、前記第1のインク及び前記第2のインクを、該第1のインク及び該第2のインクが重なり部分を有するようにインクジェット法により付与する工程(以下、「インク付与工程」ともいう)を有する。ここでインクジェット法とは、インクジェット記録ヘッドからインクを吐出させて、インクを布帛に付与し、画像を印字する方法である。
本発明の捺染方法では、前述の本発明のインクセットが用いられ、ポリアミド系繊維を含む布帛に、第1のインク及び第2のインクが重なり部分を有するように付与されるので、混色滲みが抑制された2色以上の画像を形成することができる。
更に、形成された画像は、耐久性(特に耐光性)及び経時下におけるカラーバランスに優れ、マゼンタ〜シアンの色相範囲での色再現性にも優れる。
以上の効果は、ポリアミド系繊維がナイロンである場合に特に顕著に奏される。
また、インク付与工程の前には、着色剤の布帛への固定化がより高まるように、布帛に対して前処理を施してもよい。
<前処理工程>
本発明の捺染方法は、前処理剤を布帛に付与する前処理工程を有して構成されていてもよい。
前処理工程は、既述のインク付与工程における各染料の布帛への固定化が高まるようにするために、捺染の前に予め布帛に、ヒドロトロピー剤、水性(水溶性)金属塩、pH調整剤、pH緩衝剤、高分子成分等を含有する前処理剤を付与する工程である。
前処理工程においては、絞り率5%〜150%、好ましくは10%〜130%の範囲で前処理剤をパッティングすることが好ましい。前処理剤は、更に、撥水剤、界面活性剤等を付与してもよい。
(前処理剤)
−ヒドロトロピー剤−
前記ヒドロトロピー剤は、一般に、インクが付与された布帛が蒸気下で加熱される際に、画像の発色濃度を高める役割を果たす。例えば、通常、尿素、アルキル尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、チオ尿素、グアニジン酸塩、ハロゲン価テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。
−水性金属塩−
水性(水溶性)金属塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物のように、典型的なイオン結晶を形成するものであって、pH4〜10である化合物が挙げられる。
かかる化合物の代表的な例としては、例えば、アルカリ金属では、NaCl、NaSO、KCl、CHCOONa等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、CaCl、MgCl等が挙げられる。中でも、Na、K、Caの塩類が好ましい。
−pH調整剤−
pH調整剤は、一般に、染料の布帛への固定化反応を高める役割を果たす。
なお、pH調整剤とは、布帛に付与されるインクの液性(pH)を調整する化合物ないし組成物をいい、インクの液性を変化させる成分をいう。
pH調整剤としては、アルカリ(塩基)、酸、又はアルカリ及び酸の組み合わせが挙げられる。
前処理剤の全質量に対するpH調整剤の含有量は1質量%未満であるが、0質量%であることが好ましい。
−pH緩衝剤−
pH緩衝剤は、pH調整剤と同様に、一般に、着色剤の布帛への固定化反応を高める役割を果たす。
ここで、pH緩衝剤とは、インクの液性変化を抑制する成分をいう。
pH緩衝剤としては、例えば、硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム等に代表される酸アンモニウム塩が挙げられる。
−高分子成分−
高分子成分は、一般に、染料を布帛に粘着させる糊剤としての役割を果たす。
高分子成分としては、天然高分子であってもよいし、合成高分子であってもよい。また、水性(水溶性)高分子であっても、非水性高分子であってもよいが、水性高分子であることが好ましい。
水性高分子としては、例えば、トウモロコシ、小麦等のデンプン物質、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系物質、アルギン酸ナトリウム、アラビヤゴム、ローカストビーンガム、トラントガム、グアーガム、タマリンド種子等の多糖類、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質物質、タンニン系物質、リグニン系物質等の公知の天然水性高分子が挙げられる。
また、合成水性高分子としては、例えば、公知のポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレンオキサイド系化合物、アクリル酸系水性高分子、無水マレイン酸系水性高分子等が挙げられる。これらの中でも多糖類系高分子やセルロース系高分子が好ましい。
−撥水剤−
撥水剤としては、例えば、パラフィン系、フッ素系化合物、ピリジニウム塩類、N−メチロールアルキルアミド、アルキルエチレン尿素、オキザリン誘導体、シリコーン系化合物、トリアジン系化合物、ジルコニウム系化合物、或いはこれらの混合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの撥水剤の中でも、パラフィン系及びフッ素系撥水剤は、滲み防止、濃度の点において特に好ましい。
撥水剤の布帛に対する付与量は、特に制限されないが、布帛の全質量に対して0.05質量%〜40質量%の範囲で付与することが好ましい。これは、0.05質量%未満ではインクの過度の浸透を防止する効果が少なく、40質量%を超えて含有させても性能的に大きな変化がないからである。
布帛の全質量に対する撥水剤の使用量は、0.5質量%〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
−界面活性剤−
界面活性剤としては、陰イオン性、非イオン性や両性界面活性剤等が使用できる。
特に、HLB12.5以上の非イオン系界面活性剤を用いることが好ましく、14以上の非イオン系界面活性剤を用いることがより好ましい。
両性界面活性剤としては、ベタイン型等を使用することができる。
界面活性剤の布帛に対する付与量は、特に制限されないが、布帛の全質量に対して0.01質量%〜30質量%付与することが好ましい。
−他の成分−
前処理剤は、更に、使用する染料の特性等に応じて還元防止剤、酸化防止剤、均染剤、濃染剤、キャリヤー、還元剤、酸化剤といった添加剤を含有していてもよい。
前処理剤は、既述のヒドロトロピー剤、撥水剤、界面活性剤等の各種成分を混合した混合物として布帛に付与してもよいし、各種成分を混合せずに、例えば、ヒドロトロピー剤のみを含有する第1の前処理剤、撥水剤のみを含有する第2の前処理剤等をそれぞれ用意し、それぞれの前処理剤を布帛に順次付与するものであってもよい。
前処理剤が、既述の各種成分の混合物である場合、混合物である前処理剤の全質量に対する各種成分の含有量は、前処理剤を布帛に付与したときに、布帛の全質量に対する各種成分の付与量が、既述の範囲となるように、目的に応じて適宜調整すればよい。
前処理において、上記各前処理剤を布帛に含有させる方法は、特に制限されないが、通常行われる浸漬法、パッド法、コーティング法、スプレー法、インクジェット法等を挙げることができる。
本発明の捺染方法においては、布帛にインクを付与して印字した後、印字された布帛を巻き取り、布帛を加熱して発色させ、布帛を洗浄し、乾燥することが望ましい。
インクジェット法による捺染において、上記手順を踏むことで、インクを布帛に印字し、そのまま放置しておく場合に比べ、染料の染着が充分に行なわれ、発色濃度が高く、また耐水性に優れる。特に、長尺の布帛をローラー等で搬送しながら長時間印字し続ける場合などは、印字された布帛が延々と搬送されて出てくるため、床等に印字した布帛が重なっていってしまうことがある。このため、場所をとるばかりでなく不安全でありまた予期せず汚れてしまう場合がある。そのため、印字後、印字された布帛を巻き取る操作を行うことが好ましい。この巻き取り操作時に、布帛と布帛の間に紙や布、ビニール等の印字に関わらない媒体を挟んでもかまわない。ただし、印字された布帛を途中で切断する場合や、印字された布帛が短い場合は必ずしも巻き取る必要はない。
本発明における各インクを、インクジェット記録ヘッドより付与した布帛は、好ましくは後処理工程に付され、染料の繊維への定着を促進させ、その後、定着しなかった着色剤、その他の成分、及び前処理剤を十分除去することが好ましい。
<後処理工程>
前述のインク付与工程を経た布帛は、好ましくは後処理に付される。
この後処理により、染料の繊維への固定化が促進され、その後、定着しなかった着色剤、その他の成分、及び前処理剤が十分に除去される。
後処理工程はいくつかの工程に分かれる。
後処理は、例えば、予備乾燥工程、スチーム工程、洗浄工程、及び乾燥工程を、この順に行なうことによって構成することができる。
−予備乾燥工程−
まず、インク付与工程の後、各インクが付与された布帛を、常温〜150℃に0.5分〜30分放置し、インクを予備乾燥することが好ましい。この予備乾燥により印捺濃度を向上させ、かつ滲みを有効に防止できる。なお、この予備乾燥とはインクが布帛中に浸透することも含む。
本発明の捺染方法によれば、予備乾燥を連続工程で加熱乾燥することも可能である。布帛をロール状にしてインクジェット印捺機に供給して印捺(印字して捺染)し、その後、印字した布帛を巻き取る以前に、乾燥機を用いて乾燥する。乾燥機は印捺機に直結したものでも、分離したものであってもよい。乾燥機における印字した布帛の乾燥は常温〜150℃で0.5分〜30分行われることが好ましい。また、好ましい乾燥方法としては、空気対流方式、加熱ロール直付け方式、照射方式等が挙げられる。
−スチーム工程−
スチーム工程は、各インクが付与された布帛を、飽和蒸気中に曝す工程である。
これにより、染料の布帛への固定化が促進される。
一般に、スチーム工程では、布帛の種類によってその条件、特に、その時間を変化させることが好ましい。
例えば、布帛が羊毛である場合、スチーム工程の時間は1分〜120分が好ましく、より好ましくは3分〜90分程度である。また、布帛が絹である場合、時間は1分〜40分が好ましく、より好ましくは3分〜30分程度である。
特に、本発明の捺染方法のように布帛がナイロンである場合、1分〜90分程度が好ましく、より好ましくは3分〜60分程度である。
−洗浄工程−
このようにして、布帛にインクジェット記録されたインクのうち、大部分は布帛に固着するが、この中の一部の着色剤は繊維に染着しないものがある。この未固着の着色剤は洗い流しておくことが好ましい。未固着の着色剤の除去は、従来公知の洗浄方法が採用できる。例えば常温から100℃の範囲の水もしくは温水を使用したり、アニオン、ノニオン系のソーピング剤を使用したりすることが好ましい。未固着の色材が完全に除去されていないと、種々の耐水性、例えば、洗濯堅牢性、耐汗堅牢性等において良好な結果が得られない場合がある。
−乾燥工程(洗浄後の乾燥)−
印字した布帛を洗浄した後は乾燥させることが好ましい。
乾燥の方法としては特に限定はなく、例えば、風乾であってもよいし、乾燥機、ヒートロール、アイロン等を用いた乾燥であってもよい。
また、乾燥前に、前記洗浄後の布帛を絞ったり脱水することも好ましい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<シアンインクの調製>
下記表1に示す各成分を混合し、得られた混合液を孔径0.5μmのメンブランフィルターで濾過することにより、第1のインクとしてのシアンインク1〜4、及び、比較用シアンインクとしての比較シアンインクaを調製した。
上記表1において、「オルフィンE1010」は日信化学社製のアセチレングリコール系界面活性剤であり、「Proxel XL2」はアーチケミカルズ社製の防腐剤(防黴剤)である(以下の表においても同様である)。
また、化合物Pc−1、化合物Pc−2、化合物Pc−3、及びDirect Blue 87(以下、「DB87」ともいう)は、いずれもフタロシアニン系染料であり、構造は以下のとおりである。
なお、化合物Pc−1、化合物Pc−2、及び化合物Pc−3は、既述の具体例(28a)の合成例、及び、具体例(29a)の合成例と同様の方法で合成した。
<マゼンタインクの調製>
下記表2に示す各成分を混合し、得られた混合液を孔径0.5μmのメンブランフィルターで濾過することにより、第2のインクとしてのマゼンタインク1〜8、及び、比較用マゼンタインクとしての比較マゼンタインクaを調製した。
上記表2において、化合物HA−1、化合物HA−2、化合物HA−3、Acid Red 289(以下、「AR289」ともいう)、及びAcid Red 52(以下、「AR52」ともいう)の構造は以下のとおりである。
なお、Acid Red 131(以下、「AR131」ともいう)及びAcid Red 138(以下、「AR138」ともいう)は、いずれもH酸アゾ母核を有するアゾ系染料であり、AR289はキサンテン系染料であり、AR52は、AR289とは構造が異なるキサンテン系染料である。
化合物HA−1、化合物HA−2、及び化合物HA−3は、ヘテリルアゾ母核を有するアゾ系染料である。

<ブルーインクの調製>
下記表3に示す各成分を混合し、得られた混合液を孔径0.5μmのメンブランフィルターで濾過することにより、第2のインクとしてのブルーインク1〜3、及び、比較用ブルーインクとしての比較ブルーインクaを調製した。
上記表3において、Acid Blue 80(以下、「AB80」ともいう)及びReactive Blue 49(以下、「RB49」ともいう)の構造は前述のとおりである。
上記表3において、AB112、AB80、及びRB49は、いずれもアントラキノン系染料であり、AB9は、アントラキノン系染料以外の染料(トリアリールメタン系染料;詳しくは、N−エチル−N−[4−[[4−[エチル[[3−スルホフェニル]メチル]アミノ]フェニル](2−スルホナトフェニル)メチレン]−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]−3−スルホベンゼンメタンアミニウムジアンモニウム)である。
〔実施例1〜16、比較例1〜5〕
<インクセットの準備>
上記シアンインク1〜4及び上記比較シアンインクaと、上記マゼンタインク1〜8及び上記比較マゼンタインクaと、を下記表4に示すように組み合わせたインクセットを準備した。
<前処理剤の調製>
下記組成の成分を混合し、前処理剤を得た。
−前処理剤の調製−
・グアーガム〔日晶株式会社製、MEYPRO GUM NP〕 … 2%
・尿素〔和光純薬社製〕 … 5%
・硫酸アンモン〔和光純薬社製〕 … 4%
・水 … 89%
<捺染サンプルの作製>
上記で得られた前処理剤を用い、絞り率を90%として、絹製布帛をパッティングして、処理済み布帛を得た。
インクジェットプリンター(ディマティックス社製DMP−2381)に、各インクセットにおけるシアンインク及びマゼンタインクをセットした。
次に、このプリンターを用い、上記処理済み布帛に、シアンインクを用いて正方形のシアンベタ画像を印画した。
シアンベタ画像が印画された布帛を乾燥した後、マゼンタインクを用い、シアンベタ画像と少しずらした箇所(シアンベタ画像と重なる箇所、及び、シアンベタ画像と重ならない箇所の両方)に正方形のマゼンタベタ画像を印画し、シアンベタ画像、マゼンタベタ画像、及び、シアンとマゼンタとの混色ベタ画像の3種類のベタ画像を形成した。
次に、3種類のベタ画像が形成された布帛を乾燥した後、スチーム工程として、飽和蒸気中、100℃で30分間スチームをかけ、着色剤を布帛の繊維に固着させた。
その後、布帛を冷水で10分、60℃の温水で5分洗った後、乾燥させた。
別途、布帛を、絹製布帛から、羊毛製布帛、ナイロン6タフタ製布帛、およびナイロン66タフタ製布帛に変更して、同様の実験を行った。
<評価>
1.混色による滲み評価
上記捺染サンプルの作製において、マゼンタベタ画像を形成する操作を、シアンベタ画像上にマゼンタインクにて、「田」、「里」、「理」、及び「博」の文字を、フォント10、ゴシック体で印字する操作に変更したこと以外は上記捺染サンプルの作製と同様にして、混色による滲み評価用のサンプルを作製した。
得られたサンプルにおけるマゼンタインクの文字を目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。
評価結果を下記表4に示す。
下記評価基準では、A及びBであれば実用上の許容範囲内である。このうち、Aであれば、混色による滲み抑制効果が特に高い。
−評価基準−
A : 混色による滲みが視認できず、「田」、「里」、「理」、及び「博」のつぶれも視認できず、各文字を明確に読める。
B : 「博」が部分的につぶれているものの、混色による滲みはほぼ視認できず、各文字を明確に読める。
C : 混色による滲みが若干視認され、「理」及び「博」がつぶれていて読みにくい。
D : 混色による滲みが視認され、「里」、「理」、及び「博」がつぶれていて読みにくい。
2.画像の光安定性の評価
経時による退色バランスの評価として、画像の光安定性を評価した。
キセノンフェードメーターを用い、上記で作製された捺染サンプルにキセノン光を6時間照射した。
このキセノン光の照射前後において、捺染サンプルの各画像を目視で観察し、下記評価基準に従って、画像の光安定性を評価した。
評価結果を下記表4に示す。
下記評価基準では、A及びBであれば実用上の許容範囲内である。このうち、Aであれば、画像の光安定性が特に高い。
なお、画像の光安定性が高い程、経時による退色バランスに優れていることを意味する。
−評価基準−
A : キセノン光の照射による画像の退色が視認されない。
B : キセノン光の照射による画像の退色が若干視認されるものの、画像の退色のレベルが実用上の許容範囲内である。
C : キセノン光の照射により、いずれか一方の色の画像、又は、2色の画像が退色し、画像の退色のレベルが実用上の許容範囲を超えている。
別途、布帛を、絹製布帛から、羊毛製布帛、ナイロン6タフタ製布帛、およびナイロン66タフタ製布帛に変更して、上記と同様の評価(混色による滲み評価及び画像の光安定性の評価)を行った。評価結果を下記表4に示す。
表4に示すように、特定のフタロシアニン系染料を含むシアンインク(第1のインク)と、特定のアゾ系染料又は特定のキサンテン系染料を含むマゼンタインク(第2のインク)と、の組み合わせである実施例1〜16のインクセットを用いて形成された画像では、比較例1〜5のインクセットを用いて形成された画像と比較して、混色による滲みが抑制されており、光安定性(即ち、経時による退色バランス)に優れていた。
次に、上記混色による滲み評価において、シアンインクを用いず比較マゼンタインクaのみを用いてマゼンタ単色の文字を印字したこと以外は上記混色による滲み評価と同様にして、マゼンタ単色の文字の滲みを評価した。するとマゼンタ単色の文字の滲みは、上記評価基準における「A」相当の結果であった。これにより、2色以上のインクを重ねて付与して画像を形成したときの滲み(混色による滲み)は、1色のインクのみを付与して単色の画像を形成したときの滲みとは異なる問題であることがわかった。
〔実施例17〜22、比較例6〜8〕
上記シアンインク1〜4及び上記比較シアンインクaと、上記ブルーインク1〜3及び上記比較ブルーインクaと、を下記表5に示すように組み合わせたインクセットを準備した。
これらのインクセットを用い、マゼンタインクをブルーインクに変更したこと以外は実施例1と同様の評価を行なった。
評価結果を下記表5に示す。
表5に示すように、特定のフタロシアニン系染料を含むシアンインク(第1のインク)と、アントラキノン系染料を含むブルーインク(第2のインク)と、の組み合わせである実施例17〜22のインクセットを用いて形成された画像では、比較例6〜8のインクセットを用いて形成された画像と比較して、混色による滲みが抑制されており、光安定性(即ち、経時による退色バランス)に優れていた。
次に、上記混色による滲み評価において、シアンインクを用いず比較ブルーインクaのみを用いてブルー単色の文字を印字したこと以外は上記混色による滲み評価と同様にして、ブルー単色の文字の滲みを評価した。するとブルー単色の文字の滲みは、上記評価基準における「A」相当の結果であった。これにより、2色以上のインクを重ねて付与して画像を形成したときの滲み(混色による滲み)は、1色のインクのみを付与して単色の画像を形成したときの滲みとは異なる問題であることがわかった。
〔実施例23〜30、比較例9〕
シアンインクと、マゼンタインクAと、マゼンタインクB(マゼンタインクAとは色相が異なるマゼンタインク)と、ブルーインクと、を下記表6に示すように組み合わせ、3色又は4色のインクからなるインクセットを準備した。用いたインクの詳細は前述のとおりである。
これらのインクセットを用い、実施例1と同様の評価を行なった。
実施例23〜29及び比較例9における混色による滲み評価のサンプルは、まずシアンベタ画像を形成し、シアンベタ画像上に重なるようにしてマゼンタインクAによるマゼンタベタ画像Aを形成し、形成されたマゼンタベタ画像A上に、マゼンタインクB又はブルーインクによって文字を印字することにより作製した。
実施例30における混色による滲み評価のサンプルは、まずシアンベタ画像を形成し、シアンベタ画像上に重なるようにしてマゼンタインクAによるマゼンタベタ画像Aを形成し、形成されたマゼンタベタ画像A上に重なるようにしてマゼンタインクBによるマゼンタベタ画像Bを形成し、形成されたマゼンタ画像B上に、ブルーインクによって文字を印字することにより作製した。
評価結果を下記表6に示す。
表6に示すように、実施例23〜30のインクセットを用いて形成された画像では、比較例9のインクセットを用いて形成された画像と比較して、混色による滲みが抑制されており、光安定性(即ち、経時による退色バランス)に優れていた。

Claims (12)

  1. ポリアミド系繊維を含む布帛のインクジェット捺染に用いられ、
    −XR基〔Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。Rは、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。〕によって置換されたフタロシアニン母核又はその類縁体を有するフタロシアニン系染料、及び水を含有し、シアンの色相を示す第1のインクと、
    H酸アゾ母核、RR酸アゾ母核、K酸アゾ母核、若しくはヘテリルアゾ母核を有するアゾ系染料、C.I.アシッドレッド289、又は、アントラキノン母核を有するアントラキノン系染料、及び水を含有し、前記第1のインクとは色相が異なる第2のインクと、
    を備えたインクセット。
  2. 前記フタロシアニン母核又はその類縁体は、1つ以上3つ以下の前記−XR基によって置換されている請求項1に記載のインクセット。
  3. 前記第2のインクが、前記アゾ系染料として下記一般式(A)で表される染料を含有する請求項1又は請求項2に記載のインクセット。

    〔一般式(A)中、Rは、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Rは、アルキル基、アリール基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の対カチオンを表す。〕
  4. 前記第2のインクが、前記アゾ系染料として、C.I.アシッドレッド131又はC.I.アシッドレッド138を含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクセット。
  5. 前記第2のインクが、前記アゾ系染料として、下記一般式(B)、下記一般式(C)、又は下記一般式(D)で表される染料を含有する請求項1又は請求項2に記載のインクセット。


    〔一般式(B)中、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシル基、又はスルホ基を表す。R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、アシル基、カルボキシル基、スルホ基、又はカルバモイル基を表す。ただし、R及びRが同時に水素原子となることはない。〕

    〔一般式(C)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、又はシアノ基を表す。
    は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOR基、−COR基、−CONR基、−SONR1011基、又はイオン性親水性基を表す。
    は、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
    及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。R及びRは、互いに結合し、R及びRが結合している窒素原子とともにヘテロ環を形成していてもよい。
    15は、水素原子又は置換基を表す。
    Xは、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、−COR12基、−CONR1314基を表す。
    前記Rは、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、前記R〜前記R14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。一般式(C)で表される染料は、一分子中に置換基として含まれるイオン性親水性基の総数が1〜5である。〕

    〔一般式(D)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アラルキルオキシ基、アラルキルチオ基、シアノ基、−COOR基、−COR基、−CONR基、−SOR10基、−SO11基、−SONR1213基、−NHCOR14基、又はイオン性親水性基を表す。
    は、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
    及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。R及びRは、互いに結合し、R及びRが結合している窒素原子とともにヘテロ環を形成していてもよい。
    15は、水素原子又は置換基を表す。
    、X、X、及びXは、チアジアゾール環又はオキサジアゾール環を形成する原子群を表す。
    nは1〜3の整数を表す。
    nが2又は3であるときは、R、R、R、又はRから水素原子を1つ除いた残基が、単結合により、又は、n価の連結基を介して結合する。nが2又は3であるときは、複数ずつ存在する、R、R、R、R、R15、X、X、X、及びXは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
    前記一般式(D)で表される染料は、一分子中に置換基として含まれるイオン性親水性基の総数が1〜5である。〕
  6. 前記第2のインクが、前記アントラキノン系染料として、下記一般式(IV)で表される染料を含有する請求項1又は請求項2に記載のインクセット。


    〔一般式(IV)中、R41及びR42は、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。Y41〜Y43は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又はイオン性親水性基を表す。ただし、一般式(IV)の構造に、イオン性親水性基が少なくとも1つ含まれる。〕
  7. 前記第2のインクが、前記アントラキノン系染料として、C.I.アシッドブルー80、C.I.アシッドブルー112、C.I.アシッドブルー138、又はC.I.リアクティブブルー49を含有する請求項1、請求項2、又は請求項6に記載のインクセット。
  8. 前記第1のインクとしてのシアンインクと、
    前記第2のインクとしての前記アントラキノン系染料を含有するブルーインクと、
    前記第2のインクとしての前記アゾ系染料を含有するマゼンタインクと、
    を備えた請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインクセット。
  9. 前記第1のインクとしてのシアンインクと、
    前記第2のインクとしての前記アゾ系染料を含有するマゼンタインクAと、
    前記第2のインクとしてのC.I.アシッドレッド289を含有するマゼンタインクBと、
    を備えた請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインクセット。
  10. 前記フタロシアニン系染料が、下記一般式(X)で表される染料である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のインクセット。

    〔一般式(X)中、X21、X22、X23、及びX24は、各々独立して、酸素原子又は硫黄原子を表す。R21、R22、R23、及びR24は、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物を表す。P、P、P、及びPは、各々独立に、芳香環を表し、該芳香環は、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、スルホニル基、アルキルオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、イオン性親水性基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、カルボニルアルキル基、及びカルボニルアミノ基から選択される置換基を有していてもよい。n21、n22、n23、及びn24は、各々独立に0〜4を表し、n21、n22、n23、及びn24の総和は少なくとも1である。ただし、一般式(X)の構造に、イオン性親水性基が少なくとも2つ含まれる。〕
  11. 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のインクセットが用いられ、
    ポリアミド系繊維を含む布帛に、前記第1のインク及び前記第2のインクを、該第1のインク及び該第2のインクが重なり部分を有するようにインクジェット法により付与する捺染方法。
  12. 請求項11に記載の捺染方法によって捺染された布帛。
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