JP2022122168A - インク組成物、並びにこれを用いたインクジェット記録方法、インクジェットプリンタ、及び着色体 - Google Patents

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Masato Kido
拓 飯野
Takumi Iino
光司 広田
Koji Hirota
健二 関根
Kenji Sekine
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Abstract

【課題】記録画像の高い発色性を有し、色相及び耐オゾン性に優れるインク組成物、それを用いたインクジェット記録方法、インクジェットプリンタ、及び着色体を提供する。【解決手段】下記式(1)で表されるアゾ化合物またはその塩と、特定のキサンテン化合物またはその塩とを色素として含有するインク組成物を提供する。TIFF2022122168000038.tif45158【選択図】なし

Description

本発明は、インク組成物、並びにこれを用いたインクジェット記録方法、インクジェットプリンタ、及び着色体に関する。
各種カラー記録方法の中で、インクジェットプリンタによる記録方法は代表的な方法の1つである。インクジェット記録方法は、インクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材とが直接接触しないため、音の発生がなく静かである。また、小型化、高速化、カラー化が容易であるという特徴を有するため、近年急速に普及しつつあり、今後も大きな伸長が期待されている。
従来、インクジェット記録用のインクとしては、水溶性の色素(染料)を水性媒体に溶解した水性インクが使用されている。水性インクには、インク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性の有機溶剤が添加されている。これらのインクには、十分な濃度の記録画像を与えること、ノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性が良いこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等の性能が要求される。
インクジェットのノズルの目詰まりは、ノズル付近でインク中の水分が他の溶剤や添加剤よりも先に蒸発し、水分が少なく溶剤や添加剤が多いという組成状態になったときに、色素が固化し析出することに由来するものが多い。よって、インク中の水分が少ない状態になった場合においても固体が析出しにくいということが非常に重要な要求性能の1つである。この理由から、溶剤や添加剤に対する高い溶解性も色素に求められる性質の1つである。また、ノズル詰まりを解消する方法として、印字濃度の高い色素を用いる手法が知られている。印字濃度が高い色素を用いることで、従来の印字濃度を保ちつつ、インク中の色素含有量を減らすことができる。これは色素を析出しにくくするだけでなく、コスト面でも有利であり、高い印字濃度を持つ色素の開発が望まれている。
さらに、インクの性能としては、長期の保存安定性に優れ、記録画像の濃度が高いことに加え、その記録画像が耐水性、耐湿性、耐光性、及び耐ガス性等の堅牢性に優れることが求められる。ここで、耐ガス性は、空気中に存在する酸化作用を持つガス(酸化性ガスとも呼ばれる)が、被記録材上又は被記録材中で、記録画像の色素(染料)と反応し、記録画像を変退色させるという現象に対する耐性である。酸化性ガスの中でも特にオゾンガスは、インクジェット記録画像の変退色現象を促進させる主要な原因物質とされている。
写真画質のインクジェット記録画像を得るために、インク受容層が表面に設けられた被記録材が用いられている。このような目的で設けられるインク受容層は、インクの乾燥を早め、また高画質での色素の滲みを少なくするために、多孔性白色無機物を含むことが多い。しかし、特にこのような被記録材において、オゾンガスによる変退色が顕著に見られる。最近のデジタルカメラ及びカラープリンタの普及と共に、家庭でもデジタルカメラ等で得られた画像を写真画質で印刷する機会が増えており、上記の酸化性ガスによる記録画像の変退色が問題視されている。
このように、変退色現象はインクジェット記録画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上はこの分野における重要な技術的課題である(例えば、特許文献1~4)。マゼンタ色素については、他の3原色であるイエロー及びシアンと比較すると、市場が要求するような良好な発色性と良好な酸化性ガスへの耐性、特に耐オゾンガス性を兼ね備えるインクジェット記録用のマゼンタ色素やマゼンタインクは、未だ実現されてない。
特許第4402917号公報 国際公開第2010/125903号 国際公開第2014/192932号 特開2017-110098号公報
本発明は、記録画像の高い発色性(印字濃度)を有し、色相及び耐オゾン性に優れるインク組成物、それを用いたインクジェット記録方法、インクジェットプリンタ、及び着色体を提供することを目的とする。記録画像の高い発色性(印字濃度)を有し、彩度及び耐オゾン性に優れる記録画像の高い発色性(印字濃度)を有し、彩度及び耐オゾン性に優れる記録画像の高い発色性(印字濃度)を有し、彩度及び耐オゾン性に優れる記録画像の高い発色性(印字濃度)を有し、彩度及び耐オゾン性に優れる記録画像の高い発色性(印字濃度)を有し、彩度及び耐オゾン性に優れる
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩と、式(2)で表されるキサンテン化合物又はその塩との配合により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の[1]~[19]に関する。
[1] 下記式(1)で表されるアゾ化合物またはその塩と、下記式(2)で表されるキサンテン化合物またはその塩とを色素として含有するインク組成物。
Figure 2022122168000001
(式中、RはC1-C6の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表し、
はシアノ基または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、
は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、またはシアノ基を表し、
は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホ基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、シアノ基、または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、
はNまたはC(R)を表し、
は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、またはシアノ基を表し、
は水素原子、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表し、
は水素原子またはC1-C4の置換もしくは無置換のカルボニル基を表し、
は水素原子またはC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表し、
とRは結合して5員環または6員環を形成してもよく、
、R10、およびR11はそれぞれ独立に水素原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のC1-C4アルコキシ基、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表し、
12、R14、R16、およびR18はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表し、
13およびR17はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、スルホ基、カルボキシ基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、
15およびR19はそれぞれ独立に水素原子、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表す。)
Figure 2022122168000002
(式(2)中、R21、R25、R26およびR30は、それぞれ独立にアルキル基を表し、
23およびR28は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表し、
22、R24、R27およびR29は、それぞれ独立に水素原子または下記式(3)で表されるアシルアミノ基または下記式(4)で表されるスルホンアミド基を表し、
22、R24、R27およびR29の少なくとも1つは下記式(3)で表されるアシルアミノ基または下記式(4)で表されるスルホンアミド基を表す。
Zは、SOH基、SOM基またはスルファモイル基を表し、Mはアンモニウムイオンまたはアルカリ金属イオンを表し、Zは芳香環の少なくとも1つの水素原子の位置に置換している。
22、R23、R24、R27、R28およびR29の少なくとも1つがイオン性基で置換されている場合には、nは0~3の整数を表し、イオン性基で置換されていない場合には、nは1~3の整数を表す。)
Figure 2022122168000003
(式(3)中、R31は、置換もしくは無置換のアルキル基、シクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、アリールアルキル基、アルケニル基、またはヘテロ環基を表す。*は式(2)の芳香環との結合部位を表す。)
Figure 2022122168000004
(式(4)中、R32は置換もしくは無置換のアルキル基、シクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、アリールアルキル基、アルケニル基、またはヘテロ環基を表す。*は式(2)の芳香環との結合部位を表す。)
[2] 前記式(1)において、R2がシアノ基であり、R7が水素原子であり、R、R10、およびR11のうち少なくともひとつが水素原子である[1]に記載のインク組成物。
[3] 前記式(1)において、R16およびR18のうち少なくとも1つが水素原子である[1]~[2]のいずれかに記載のインク組成物。
[4] 前記式(1)において、RがC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基であり、RがC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基である[1]~[3]のいずれかに記載のインク組成物。
[5] 前記式(1)において、R13およびR17のうち少なくとも1つがスルホ基である[1]~[4]のいずれかに記載のインク組成物。
[6] 前記式(1)が、下記式(5)で表される[1]に記載のインク組成物。
Figure 2022122168000005
(式(5)中、R101はC1-C4アルキル基を表し、
102はシアノ基を表し、
103は水素原子、クロロ基、ニトロ基またはシアノ基を表し、
104は水素原子、ニトロ基またはスルホ基を表し、
XはNまたはC(R105)を表し、R105は水素原子、クロロ基またはブロモ基を表し、
106はC1-C4アルキル基を表し、
107およびR109は水素原子、C1-C4アルキル基、またはスルホ基を表し、
108は水素原子、スルホ基、またはC1-C4アルキル基を表し、
110はスルホ基を表し、
111は水素原子またはスルホ基を表す。)
[7] R22、R24、R27およびR29は、それぞれ独立に水素原子または前記式(3)で表されるアシルアミノ基を表し、
22、R24、R27およびR29の少なくとも1つは前記式(3)で表されるアシルアミノ基を表し、
前記式(3)において、R31がアルキル基またはアリール基である[1]~[6]のいずれかに記載のインク組成物。
[8] 前記式(3)において、R31が直鎖のアルキル基またはイオン性基が置換したアリール基である[1]~[7]のいずれかに記載のインク組成物。
[9] 前記式(2)において、前記式(3)で表されるアシルアミノ基の数が、2以上4以下である[1]~[8]のいずれかに記載のインク組成物。
[10] 前記式(2)において、ZがSOM基である[1]~[9]のいずれかに記載のインク組成物。
[11] 前記式(2)において、R21、R25、R26、およびR30は、各々独立にメチル基、エチル基、またはプロピル基である[1]~[10]のいずれかに記載のインク組成物。
[12] 前記式(2)において、R23およびR28は、各々独立にメチル基、エチル基、またはプロピル基である[1]~[11]のいずれかに記載のインク組成物。
[13] 前記式(2)において、R21とR26、R22とR27、R23とR28、R24とR29、およびR25とR30が、それぞれ同一の置換基である[1]~[12]のいずれかに記載のインク組成物。
[14] 水溶性有機溶剤をさらに含有する[1]~[13]のいずれかに記載のインク組成物。
[15] [1]~[14]のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、前記インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて記録メディアに記録を行うインクジェット記録方法。
[16] 前記記録メディアがシート状記録メディアである[15]に記載のインクジェット記録方法。
[17] 前記シート状記録メディアが多孔性白色無機物を含む[16]に記載のインクジェット記録方法。
[18] [1]~[14]のいずれかに記載のインク組成物を含む容器を充填したインクジェットプリンタ。
[19] [1]~[14]のいずれかに記載のインク組成物によって着色された着色体。
本発明は、記録画像の高い発色性を有し、色相及び耐オゾン性に優れるインク組成物、それを用いたインクジェット記録方法、インクジェットプリンタ、及び着色体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。本明細書において、特に断りのない限り「%」及び「部」は、実施例等を含めて質量基準で記載する。
<インク組成物>
本発明のインク組成物は、式(1)で表されるアゾ化合物またはその塩と、式(2)で表されるキサンテン化合物またはその塩とを色素として含有する。インク組成物は水を媒体として調製された水性のインク組成物であることが好ましい。インク組成物は、任意選択的に、水溶性有機溶剤、及びインク調製剤等のその他の成分をさらに含有する。
インク組成物における色素化合物の含有量は、通常0.1~20質量%、好ましくは2~16質量%、より好ましくは2.5~5.5質量%である。インク組成物は、その総質量に対して、水溶性有機溶剤を例えば0~30質量%、好ましくは5~30質量%、インク調製剤を例えば0~15質量%、好ましくは0~7質量%含んでいてもよい。上記以外の残部は水である。
インク組成物のpHは、保存安定性を向上させる点で、pH5~11が好ましく、pH7~10がより好ましい。また、インク組成物の表面張力としては、25~70mN/mが好ましく、25~60mN/mがより好ましい。表面張力は、20℃において白金プレート法(協和界面科学製、自動表面張力計CBVP-Z)を使用して測定することができる。さらに、インク組成物の粘度としては、吐出安定性の観点から、30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下がより好ましい。インク組成物の粘度はレオメーター(Antonpaar社製MCR301)を用いて40℃、ずり速度100s-1にて測定することができる。
[式(1)で表されるアゾ化合物]
式(1)で表されるアゾ化合物またはその塩は、水溶性のマゼンタ色素である。
Figure 2022122168000006
式(1)中、RはC1-C6の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。
置換もしくは無置換のアルキル基におけるアルキル基としては、C1~C6のアルキル基が好ましく、C1~C4のアルキル基がより好ましい。C1~C4アルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびtert-ブチル基が挙げられる。これらの中ではメチル基、tert-ブチル基がより好ましい。
置換もしくは無置換のアリール基におけるアリール基としては、C6~C12のアリール基が好ましい。アリール基の例には、フェニル、p-トリル、p-メトキシフェニル、o-クロロフェニル、p-クロロフェニルおよび2,4,6-トリメチルフェニルが含まれる。
が置換されているアルキル基または置換されているアリール基である場合、置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、C1~12のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル)、C7~18のアラルキル基、C2~12のアルケニル基、C2~12のアルキニル基、C3~12のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル)、C3~12のシクロアルケニル基、アリール基(例えば、フェニル、4-tert-ブチルフェニル、2,4-ジ-tert-アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2-フリル、2-チエニル、2-ピリミジニル、2-ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2-メトキシエトキシ、2-メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2-メチルフェノキシ、4-tert-ブチルフェノキシ、3-ニトロフェノキシ、3-tert-ブチルオキシカルバモイルフェノキシ)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2-クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N-ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N-ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2-フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2-ブトキシ-5-tert-オクチルフェニルチオ、2-カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p-トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N-エチルカルバモイル、N,N-ジブチルカルバモイル、3-メトキシカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N-エチルスルファモイル、N,N-ジプロピルスルファモイル、N,N-ジエチルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1-フェニルテトラゾール-5-オキシ、2-テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4-メトキシフェニルアゾ、4-ピバロイルアミノフェニルアゾ、2-ヒドロキシ-4-プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N-メチルカルバモイルオキシ、N-フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N-スクシンイミド、N-フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2-ベンゾチアゾリルチオ、2,4-ジ-フェノキシ-1,3,5-トリアゾール-6-チオ、2-ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3-フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3-フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、4級アンモニウム基)が挙げられる。これらの置換基の中では、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、およびイオン性親水性基がより好ましい。
はシアノ基または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、シアノ基が好ましい。カルバモイル基が置換されている場合は、Rについてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。
3は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、またはシアノ基を表す。アルキル基の場合はRについてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよく、置換基の中では水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基がより好ましく、塩素原子、臭素原子、ニトロ基が特に好ましい。
におけるアルキル基としてはC1~C6のアルキル基が好ましく、C1~C4のアルキル基がより好ましい。C1~C4アルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびtert-ブチル基が挙げられる。
は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホ基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、シアノ基、または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表す。スルファモイル基およびカルバモイル基が置換されている場合はRについてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。これらの中では水素原子、ニトロ基、およびスルホ基が好ましく、水素原子およびスルホ基がより好ましい。
はNまたはC(R)を表し、C(R)が好ましい。
は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、またはシアノ基を表す。Rがアルキル基の場合はRについてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。これらの中では水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、およびシアノ基がより好ましく、塩素原子、臭素原子、およびニトロ基が特に好ましい。
およびXの好ましい組み合わせとしては、XがC(R)であり、RおよびRがそれぞれ独立に塩素原子、臭素原子、およびニトロ基から選ばれるものが挙げられる。これらの中ではRおよびRのいずれか一方が塩素原子もしくは臭素原子であり、もう一方がニトロ基である組み合わせが特に好ましい。
は水素原子、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表す。スルファモイル基の場合は、Rについてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。これらの中では水素原子およびスルホ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
は水素原子またはC1-C4の置換もしくは無置換のカルボニル基を表し、水素原子が好ましい。カルボニル基が置換されている場合、Rについてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。
は水素原子またはC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。これらの中ではC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、および置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基がさらに好ましい。RとRは結合して5から6員環を形成しても良い。
におけるC1~C4のアルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基が挙げられる。これらの中ではメチル基、エチル基、n-プロピル基、およびn-ブチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
における置換もしくは無置換のアリール基としては、C6~C12のアリール基が好ましい。前記アリール基の例には、フェニル、p-トリル、p-メトキシフェニル、o-クロロフェニル、p-クロロフェニルおよび2,4,6-トリメチルフェニルが含まれる。Rは、置換されたアルキル基またはアリール基である場合は、Rについてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。これらの置換基の中では、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、およびイオン性親水性基がより好ましい。
、R10、およびR11はそれぞれ独立に水素原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のC1-C4アルコキシ基、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表す。アルキル基、アルコキシ基、スルファモイル基の場合はRについてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。これらの中では水素原子、およびアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。R、R10、およびR11の好ましい組み合わせとしては、これらのいずれか1つが水素原子であるものが挙げられ、より好ましい組み合わせとして2つ以上が水素原子であるもの、さらに好ましい組み合わせとしてすべて水素原子であるものが挙げられる。
12、R14、R16、およびR18はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表す。アルキル基、およびスルファモイル基の場合はRについてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。これらの中では水素原子、およびC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基が好ましい。R12、R14、R16、およびR18の好ましい組み合わせとしては、これらが水素原子、またはC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基であるものが挙げられ、2つ以上が水素原子であるものがさらに好ましい。特に好ましい組み合わせとしてはR12およびR14がC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基であり、R16およびR18が水素原子であるものが挙げられる。
12、R14、R16、およびR18におけるC1~C4のアルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびtert-ブチル基が挙げられる。これらの中ではメチル基、エチル基、およびイソプロピル基がより好ましい。
13およびR17はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、スルホ基、カルボキシ基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表す。アルキル基、スルファモイル基、およびカルバモイル基が置換されている場合はRについてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。これらの中では水素原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、スルホ基、およびカルボキシ基が好ましく、スルホ基がより好ましい。
13およびR17におけるC1~C4のアルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびtert-ブチル基が挙げられる。これらの中ではメチル基がより好ましい。
13およびR17のうち少なくとも一方がスルホ基であることが好ましく、両方がスルホ基であることがより好ましい。
15およびR19はそれぞれ独立に水素原子、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表す。スルファモイル基の場合はRについてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。これらの中では水素原子、スルホ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
式(1)における各種の置換基、およびそれらの組合せ、さらにはそれらの置換位置等について記載した好ましいもの同士を組合せた化合物はより好ましく、より好ましいもの同士を組合せたものは更に好ましい。さらに好ましいもの同士や、好ましいものと、より好ましいものとの組合せ等についても同様である。
式(1)で表されるアゾ化合物は、特に好ましくは下記式(2)で表されるアゾ化合物である。
Figure 2022122168000007
式(2)において、R101はC1-C4アルキル基を表し、R102はシアノ基を表し、R103は水素原子、クロロ基、ニトロ基またはシアノ基を表し、R104は水素原子、ニトロ基またはスルホ基を表し、Xは=N―またはC(R105)-を表し、R105は水素原子、クロロ基またはブロモ基を表し、R106はC1-C4アルキル基を表し、R107、およびR109は水素原子、C1-C4アルキル基またはスルホ基を表し、R108は水素原子、スルホ基、またはC1-C4アルキル基を表し、R110はスルホ基を表す。R111は水素原子またはスルホ基を表す。
式(1)で表されるアゾ化合物は、以下の反応式に示すように式(A)のアミノピラゾールをジアゾ化して、式(B)のトリフェニルアミン化合物とジアゾカップリングして式(C)の化合物を得たのちに、式(D)の化合物と反応させることで合成することができる。
Figure 2022122168000008

式(A)、式(B)、式(C)、および式(D)中、R~R19およびXは、式(1)におけるものと同じ意味を表す。
上記ジアゾカップリングに用いるトリフェニルアミンは、3-ニトロアニリン類とハロゲン化ベンゼン類とのウルマン縮合ののち、ニトロ基を還元してアミノ基とし、カルボニル化することで合成することができる。またニトロ基を還元する前にスルホン化によりスルホ基を導入することなどが可能である。このようなトリフェニルアミン類の合成例を以下に示す。
Figure 2022122168000009

およびYは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表す。YはC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。
一般的に知られた方法により置換基を入れ替えることにより、この合成例に基づいて各種置換基を有するトリフェニルアミンを合成することができる。
インク組成物における式(1)で表されるアゾ化合物の含有量は、好ましくは、1~10質量%であり、より好ましくは2~8質量%である。
[式(2)で表されるキサンテン化合物]
以下に、式(2)で表されるキサンテン化合物またはその塩について説明する。
Figure 2022122168000010
式(2)において、R21、R25、R26およびR30は、それぞれ独立にアルキル基を表す。アルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、またはプロピル基である。
22、R24、R27およびR29は、それぞれ独立に水素原子または下記式(3)で表されるアシルアミノ基または下記式(4)で表されるスルホンアミド基を表す。好ましくは、R22およびR24のいずれか一方が式(3)で表されるアシルアミノ基、他方が水素原子であり、かつ、R27およびR29のいずれか一方が式(3)で表されるアシルアミノ基、他方が水素原子である。
Figure 2022122168000011
式(3)において、R31は、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、トリフルオロ基、スルホ基、およびカルボキシ基等から選択される置換基で置換された、もしくは無置換のアルキル鎖の炭素数が1~8のアルキル基;炭素数が3~7のシクロアルキル基;アルキル基、アルコキシ基、スルホ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、およびハロゲン等から選択される置換基で置換された、もしくは無置換のアリール基;アリールアルキル基;アルケニル基;またはヘテロ環基を表す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロエチル基、3-スルホプロピル基、および4-スルホブチル基等が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロへプチル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、p-トリル基、p-メトキシフェニル基、o-クロロフェニル基、p-スルホフェニル基、4-カルボキシフェニル基、3,5-ジカルボキシフェニル基、およびm-(3-スルホプロピルアミノ)フェニル基等が挙げられる。アリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、および2-フェネチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-メチルエステル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、および3-ブテニル基等が挙げられる。ヘテロ環基としては、例えば、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ベンゾピラゾリル基、トリアゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアジアゾリル基、ピロリル基、ベンゾピロリル基、インドリル基、イソオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、およびトリアジニル基等が挙げられる。R31は、好ましくはアルキル基、またはスルホ基およびカルボキシ基から選択される置換基で置換された、もしくは無置換のアリール基であり、より好ましくは炭素数が5~7の直鎖のアルキル基または炭素数が3~5の分岐鎖のアルキル基である。*は式(2)の芳香環との結合部位を表す。
式(4)において、R32はアルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、トリフルオロ基、スルホ基、およびカルボキシ基等から選択される置換基で置換もしくは無置換のアルキル鎖の炭素数が1~8のアルキル基;炭素数が3~7のシクロアルキル基;アルキル基、アルコキシ基、スルホ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、およびハロゲン等から選択される置換基で置換された、もしくは無置換のアリール基;アリールアルキル基;アルケニル基;またはヘテロ環基を表す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロエチル基、3-スルホプロピル基、および4-スルホブチル基等が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロへプチル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、p-トリル基、p-メトキシフェニル基、o-クロロフェニル基、p-スルホフェニル基、4-カルボキシフェニル基、3,5-ジカルボキシフェニル基、およびm-(3-スルホプロピルアミノ)フェニル基等が挙げられる。アリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、および2-フェネチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-メチルエステル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、および3-ブテニル基等が挙げられる。ヘテロ環基としては、例えば、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ベンゾピラゾリル基、トリアゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアジアゾリル基、ピロリル基、ベンゾピロリル基、インドリル基、イソオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、およびトリアジニル基等が挙げられる。R32は、好ましくはアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基であり、より好ましくは炭素数が5~7の直鎖のアルキル基または炭素数が3~5の分岐鎖のアルキル基である。アリール基が置換されている場合、置換基は、p-スルホフェニル基、4-カルボキシフェニル基、および3,5-ジカルボキシフェニル基から選択されることが好ましい。*は式(2)の芳香環との結合部位を表す。
好ましくは、R22、R24、R27およびR29の少なくとも1つは式(3)で表されるアシルアミノ基または式(4)で表されるスルホンアミド基を表す。より好ましくは、R22、R24、R27およびR29は、それぞれ独立に水素原子または式(3)で表されるアシルアミノ基を表し、R22、R24、R27およびR29の少なくとも1つは式(3)で表されるアシルアミノ基を表す。式(2)で表される化合物において、式(3)で表されるアシルアミノ基の数は、好ましくは2以上4以下である。
23およびR28は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、または炭素数6~12のアリール基を表す。R23およびR28は、各々独立にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、またはナフチル基であることが好ましい。
21とR26、R22とR27、R23とR28、R24とR29、およびR25とR30は、それぞれ同一の置換基であることが好ましい。
Zは、SOH基、SOM基、またはスルファモイル基であり、好ましくはSOM基である。Mは、アンモニウムイオンまたはアルカリ金属イオンを表す。Zは芳香環の少なくとも1つの水素原子の位置に置換している。
22、R23、R24、R27、R28およびR29の少なくとも1つがイオン性基で置換されている場合には、nは0~3の整数を表し、イオン性基で置換されていない場合には、nは1~3の整数を表す。ここで、イオン性基は、分子中に解離基を持ち、溶液中で陽イオン、または陰イオンになる置換基である。
式(2)で表されるキサンテン化合物は、例えば特開2011-148973号公報および国際公開第2017/146234号に記載される合成方法によって合成することができる。
インク組成物における式(2)で表される化合物の含有量は、好ましくは、1~10質量%であり、より好ましくは2~8質量%である。式(1)の化合物と式(2)の化合物の配合の比率は2:1~1:1が好ましい。含有量の比率がこの範囲であることにより、発色性、色相、および堅牢性全てにおいて良好な結果を示すという効果がある。イオン組成物中の色素の合計含有量は通常、0.1~20質量%、好ましくは2~16質量%、より好ましくは2.5%~5.5質量%である。
インク組成物をインクジェット記録用のインクとして使用する場合、式(1)で表されるアゾ化合物および式(2)で表されるキサンテン化合物に混在する金属陽イオンの塩化物、硫酸塩等の無機不純物の含有量が少ないことが好ましい。無機不純物の含有量の目安は、おおよそ色素の総質量に対して1質量%以下程度である。下限は分析機器の検出限界以下、すなわち0%で良い。無機不純物の少ない式(1)で表されるアゾ化合物および式(2)で表されるキサンテン化合物を製造するには、例えば逆浸透膜を用いる方法、式(1)で表されるアゾ化合物および式(2)で表されるキサンテン化合物の乾燥品あるいはウェットケーキをメタノール等のアルコール、好ましくは(C1~C4)アルコールおよび水の混合溶媒中で撹拌して懸濁精製し、析出物を濾過分離して乾燥する方法、等の公知の方法で脱塩処理すればよい。
[その他の成分]
インク組成物は、色素に加えて、水溶性有機溶剤やインク調製剤を、本発明の効果を害しない範囲内においてさらに含んでいてもよい。
(水溶性有機溶剤)
水溶性有機溶剤は、色素溶解剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、粘度調整剤、浸透促進剤、表面張力調整剤、消泡剤等としての機能を有する場合があり、インク組成物中に含まれることが好ましい。水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等の(C1~C4)アルコール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、2-ピロリドン、ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルピロリジン-2-オン等のラクタム、1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-オン、1,3-ジメチルヘキサヒドロピリミド-2-オン等の環式尿素類、アセトン、メチルエチルケトン、2-メチル-2-ヒドロキシペンタン-4-オン等のケトンまたはケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等のC2-C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコールまたはチオグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサン-1,2,6-トリオール等のポリオール(好ましくはトリオール)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1~C4)アルキルエーテル、γ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、上記の水溶性有機溶剤にはトリメチロールプロパン等のように、常温で固体の物質も含まれているが、これらは固体であっても水溶性を示し、水に溶解させた場合には水溶性有機溶剤と同じ目的で使用することができるため、便宜上、本明細書においては水溶性有機溶剤として記載する。
(インク調製剤)
インク調製剤としては、例えば、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、色素溶解剤、酸化防止剤、および界面活性剤等の公知の添加剤が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N-ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8-オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウムが挙げられ、イソチアゾリン系化合物の具体例としては、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンマグネシウムクロライド、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンカルシウムクロライド、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他、防腐および防黴効果を有する剤の具体例として、無水酢酸ソーダ、ソルビン酸ソーダまたは安息香酸ナトリウム等があげられる。
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン-1-オキシド、p-ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンおよびその塩等が挙げられる。これらはインク組成物中に0.02~1.00質量%含有させることが好ましい。
pH調整剤としては、調製されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHをおおよそ5~11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その具体例としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム(アンモニア水)、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩、ケイ酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。
キレート試薬の具体例としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等があげられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグルコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトールまたはジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等があげられる。
水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ-ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物が挙げられる。
水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミンまたはポリイミン等があげられる。
色素溶解剤としては、例えば、ε-カプロラクタム、エチレンカーボネート、尿素等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、各種の有機系および金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、複素環類等が挙げられる。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の公知の界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N-アシルアミノ酸およびその塩、N-アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、2-ビニルピリジン誘導体、ポリ4-ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール等のアセチレングリコール(アルコール)系、日信化学社製、商品名サーフィノール104、105、82、465、オルフィンSTG等、ポリグリコールエーテル系(例えばSIGMA-ALDRICH社製のTergitol 15-S-7等)、等が挙げられる。
これらのインク調製剤は、1種単独で、または2種以上混合して含有されてもよい。
インク組成物は、式(1)で表されるアゾ化合物、式(2)で表されるキサンテン化合物、および任意選択的にその他の成分を任意の順序で混合、撹拌することによって得られる。得られたインク組成物は、目的により、狭雑物を除く為にメンブランフィルター等で精密濾過を行ってもよい。インクジェット記録に用いる場合には、該濾過を行うのが好ましい。精密濾過を行うフィルターの孔径は通常1μm~0.1μm、好ましくは、0.8μm~0.1μmである。
インク組成物は、各種分野において使用することができるが、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録インク等に好適であり、インクジェット記録用のインクとして用いることが特に好ましく、後述するインクジェット記録方法において好適に使用される。
<インクジェット記録方法>
インクジェット記録方法は、上記インク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより記録を行う方法である。インクジェット記録方法は、記録の際に使用するインクヘッド、インクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。この記録方法は、公知の方法、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えてインクに照射し、その放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット、いわゆるバブルジェット(登録商標)方式、等を使用することができる。
インクジェット記録方法に用いる記録メディアとしては、特に制限はないが、例えば紙、フィルム、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられ、中でもシート状の記録メディアが好ましい。記録メディアとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層は、例えば、上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工すること、多孔質シリカ、アルミナゾル、特殊セラミックス等の、インク中の色素を吸収し得る多孔性白色無機物を、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に、上記基材表面に塗工すること、等の方法により設けられる。このようなインク受容層を設けた記録メディアは、通常インクジェット専用紙(フィルム)、光沢紙(フィルム)等と呼ばれる。その具体例としては、キヤノン株式会社製、商品名 プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパーまたはマットフォトペーパー、セイコーエプソン株式会社製、商品名 写真用紙(光沢)、PMマット紙、クリスピア、日本ヒューレット・パッカード株式会社製、商品名 アドバンスフォトペーパー、プレミアムプラスフォト用紙、プレミアム光沢フィルムまたはフォト用紙、等が挙げられ、市販品として入手が可能である。なお、普通紙も当然に使用できる。
記録メディア、とりわけシート状の記録メディアのうち、多孔性白色無機物を表面に塗工したシートに記録した画像は、光による変退色が大きくなることが知られている。しかし本発明のインク組成物は耐光性に優れ、記録メディアにインクジェット記録した際にも大きな効果を発揮する。
インクジェット記録方法で被記録材に記録するには、例えば、上記のインク組成物を含む容器をインクジェットプリンタの所定の位置に装填し、上記の方法で被記録材に記録すればよい。上記インクジェット記録方法は、上記マゼンタインク組成物と、公知のブラック、シアン、イエロー、および必要に応じて、グリーン、ブルー(またはバイオレット)、レッド(またはオレンジ)等の各色のインク組成物とを併用することもできる。各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、その各容器を本発明のマゼンタインク組成物を含有する容器と同様に、インクジェットプリンタの所定の位置に装填してインクジェット記録に使用される。
<インクジェットプリンタ>
インクジェットプリンタは、上記のインク組成物を含む容器を備える。インクジェットプリンタは、複数のノズルからインク滴を吐出して記録メディア上に画像形成するインクジェット方式による一般的な印刷装置であれば特に限定されない。
<着色体>
着色体は、上記インク組成物が付着した着色体である。着色体は、特に制限されないが、上記のインクジェット記録方法に用いる記録メディア等が好ましく挙げられる。
以下に本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。また、実施例中で得た化合物の各構造式において、スルホ基等の酸性官能基は遊離酸の形で記載した。
[(A)色素化合物の合成]
(1)合成例1:式(X)で表されるマゼンタ染料の合成
特開2018-090736号公報の実施例の例示化合物6に記載の方法に従い、下記式(X)で表されるキサンテンマゼンタ染料を合成した。
Figure 2022122168000012
(2)合成例2:式(I)で表されるマゼンタ染料の合成
(a) ヨードベンゼン159.6部、3-ニトロアニリン30.0部、銅粉0.3部、炭酸カリウム60.1部を1,2-ジクロロベンゼン400.0部中で60時間加熱還流した。濾過により不溶解成分を除去し、濾液から減圧蒸留にて溶媒を除去することで式(i)の化合物を57.5部得た。
Figure 2022122168000013
(b)式(i)の化合物20.0部をアセトニトリル200.0部中に溶解させた。得られた溶解液に内温30度未満でクロロスルホン酸32.1部を滴下した。1時間攪拌したのち、得られた反応液を氷150部と水150部中に投入し、減圧留去によりアセトニトリルを除去し、25%水酸化ナトリウムにより中和ののち、濾過により不溶解分を除去することで式(ii)の水溶液を得た。
Figure 2022122168000014
(c)(b)で得られた式(ii)の水溶液に水を加えて液量を400mlに調整し、パラジウム炭素(東京化成工業株式会社製、パラジウム10%、約55%水湿潤品)0.5部を加え、オートクレーブ中60度、圧力0.8~0.9MPaで圧力減少がなくなるまで水素添加反応を行った。得られた反応液から濾過によりパラジウム炭素を除去し、式(iii)の水溶液を得た。
Figure 2022122168000015
(d)(c)得られた式(iii)の水溶液を攪拌させ、無水酢酸8.1部を加えた。15%炭酸ナトリウム水溶液を滴下しpHを4に調整したのち、30分攪拌することで式(iv)の水溶液を得た。
Figure 2022122168000016
(e)特許文献1の例1中a)~c)に記載の方法で合成した3-アミノ-5-tert-ブチル-2H-ピラゾール-4-カルボニトリル10.9部を酢酸54.2gと35%塩酸21.7部中に溶解させた。得られた溶解液に内温5~10度で40%亜硝酸ナトリウム水溶液12.8部を滴下し、10分攪拌することでジアゾニウム塩を調整した。(d)で得られた式(iv)の水溶液に酢酸28.8部、酢酸ナトリウム33.5部を投入し、内温10度未満で調整したジアゾニウム塩を滴下した。1時間攪拌したのち、25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調整し、メタノール2L中に加えた。析出した固体を濾過して80度で乾燥させることで式(v)の化合物30.5部を得た。
Figure 2022122168000017
(f)2,3-ジクロロニトロベンゼン38.4部を32%発煙硫酸141.0部中に内温10度以下を保持しながら加え、室温にて10時間攪拌した。得られた反応液を氷300部と水300部中に加え、析出した結晶を濾過したのち80度で乾燥させることで、式(vi)の化合物49.3部を得た。
Figure 2022122168000018
(g)(e)で得られた式(v)の化合物5.0部、(f)で得られた式(vi)の化合物3.3部と炭酸カリウム5.3部をN-メチル-2-ピロリドン100部140度で2時間攪拌した。濾過にて不溶解分を除去し、濾液をアセトン300ml中に加えた。析出した固体を濾過して80度で乾燥させることで、式(I)の化合物を4.5部得た。
Figure 2022122168000019
(3)合成例3:式(II)で表されるマゼンタ染料の合成
(a)2-ブロモ-6-ニトロフェノール10.0部をジクロロメタン200mlとトリエチルアミン16ml中に溶解させ、内温10度以下で無水トリフラート11mlを滴下した。30分攪拌ののち、水200mlを加えて有機層を抽出し、減圧蒸留にて溶媒を除去することで式(vii)の化合物18.9部を得た。
Figure 2022122168000020
(b)式(vi)の化合物の代わりに(a)で得られた式(vii)の化合物4.3部を使用する以外は合成例2の(g)と同様にして、式(II)の化合物を4.3部得た。
Figure 2022122168000021
(4)合成例4:式(III)で表されるマゼンタ染料の合成
(a)2,6-ジメチルヨードベンゼン90.8部、3-ニトロアニリン30.0部、銅粉0.3部、炭酸カリウム30.1部を1,2-ジクロロベンゼン200部中で24時間加熱還流した。得られた反応液にヨードベンゼン80.0部、1,2-ジクロロベンゼン200部、銅粉0.3部、炭酸カリウム30.1部を加えさらに24時間加熱還流した。得られた反応液から濾過により不溶解成分を除去し、減圧蒸留にて溶媒を除去することで式(viii)の化合物を56.5部得た。
Figure 2022122168000022
(b)(a)で得られた式(viii)の化合物21.9部をアセトニトリル200.0部中に溶解させた。得られた溶解液に内温30度未満でクロロスルホン酸32.1部を滴下したのち、2時間加熱還流した。得られた反応液を室温に冷却したのち氷150部と水150部中に投入し、減圧留去によりアセトニトリルを除去した。25%水酸化ナトリウムにより中和ののち、濾過により不溶解分を除去することで式(ix)の水溶液を得た。
Figure 2022122168000023
(c)合成例2の手順(c)における式(ii)の水溶液の代わりに(b)で得られた式(ix)の水溶液を使用する以外は、合成例2の(c)~(e)と同様にして、式(x)の化合物を29.8部得た。
Figure 2022122168000024
(d)式(v)の代わりに(c)で得られた式(x)の化合物5.2部を使用する以外は合成例2の手順(g)と同様にして、式(III)の化合物を4.4部得た。
Figure 2022122168000025
(5)合成例5:式(IV)で表されるマゼンタ染料の合成
(a)2,6-ジメチルヨードベンゼンの代わりに2,6-ジエチルヨードベンゼン101.8部を使用すること以外は合成例4の手順(a)と同様にして、式(xi)の化合物57.2部を得た。
Figure 2022122168000026
(b)合成例4の手順(b)における式(viii)の代わりに(a)で得られた式(xi)の化合物23.9部を使用する以外は、合成例4の手順(b)(c)と同様にして、式(xii)化合物を27.3部得た。
Figure 2022122168000027
(c)式(v)の代わりに(b)で得られた式(xii)の化合物5.3部を使用する以外は合成例2の手順(g)と同様にして、式(IV)の化合物を4.5部得た。
Figure 2022122168000028
[(B)水性インク組成物の調製]
表1~3に記載した各成分を混合し、1時間撹拌して溶液とした後、0.45μmのメンブランフィルター(アドバンテック社製、DISMIC-13HP045AN)で濾過することにより、実施例1~8及び比較例1~5の水性インク組成物を調製した。なお、表1~3中の各成分の数値は「部」を意味する。
Figure 2022122168000029
Figure 2022122168000030
Figure 2022122168000031

表1~3中の略号等は、以下の意味を有する。
1-1:式(x)で表される化合物
2-1:式(I)で表される化合物
2-2:式(II)で表される化合物
2-3:式(III)で表される化合物
2-4:式(IV)で表される化合物
BDG:ブチルジグリコール
Gly:グリセリン
IPA:イソプロパノール
SF104:サーフィノール104PG-50(日信化学工業社製サーフィノール104の50%プロピレングリコール溶液)
[(C)インクジェット記録]
実施例1~8及び比較例1~5のインク組成物を、インクジェットプリンタ(キヤノン社製、商品名:PIXUS ip7230)を用いて、光沢紙(キャノン社製、商品名:キャノン写真用紙・光沢紙プロ[プラチナグレード]PT-201)にそれぞれインクジェット記録を行った。記録の際は、100%、85%、70%、55%、40%、25%濃度の6段階の階調が得られるように画像パターンを作り、イエローのグラデーションの記録物を得た。これを試験片として以下の評価試験を実施した。
[(D)記録画像の測色]
記録画像の測色は、X-rite社製の測色機(商品名Spectro EyeRTM)を用いて測色を行った。測色は濃度基準にANSI T、視野角2度、光源D50の条件で行った。
[(E)発色性]
各試験片の100%濃度の階調部分について、反射濃度(Dm値)を測色した。反射濃度(Dm値)はより高い数値のものが、より優れる。発色性を以下の基準により評価し、表4に示した。
AA:Dm値が2.35以上
B :Dm値が2.30以上2.35未満
C :Dm値が2.20以上2.30未満
D :Dm値が2.20未満
[(F)色相]
各試験片の100%濃度の階調部分と、Japan Color 2011で定める、コート紙におけるマゼンタベタ部のL値の基準値との差(△E)を測色と計算により算出した。Japan Color 2011で定める基準値はL=46.3、a=76.1、b=-2.1である。各試験片で測色したL、a、bをそれぞれ、L=l、a=m、b=nとすると△Eは以下の式で求められる。

△E=((46.3-l)2+(76.1-m)2+(-2.9-n)2)0.5

△Eを以下の3段階の基準で評価した結果を表4に示した。△Eはより低い数値のものが、基準値に近いためより優れる。
AA:△Eが10未満
B :△Eが10以上15未満
C :△Eが15以上10未満
D :△Eが20以上
[(G)耐オゾンガス性試験]
各試験片を、オゾンウェザーメーターOMS-H(スガ試験機社製)を用いてオゾン濃度10ppm、湿度60%RH、温度24℃の環境下に24時間放置した。試験後の各試験片の70%濃度の階調部分について、反射濃度(Dm値)を測色した。得られた反射濃度から色素残存率を算出し、Dm色素残存率を以下の3段階の基準で評価した。その結果を表4に示す。色素残存率(%)はより高い数値のものが、より優れる。
AA:試験後の残存率が80%以上
B :試験後の残存率が75%以上80%未満
C :試験後の残存率が70%以上75%未満
D :試験後の残存率が70%未満
Figure 2022122168000032
表4に示されるように、実施例1~8のインク組成物を印刷して得られた試験片は、全ての試験項目に置いて優れた結果を示した。一方、比較例1~5のインク組成物を印刷して得られた試験片は各試験項目のいずれかにおいて劣っていた。実施例1~8のインク組成物は、優れた発色性及び色相及び耐オゾン性を兼ね備えた記録物を与えることが分かった。

Claims (19)

  1. 下記式(1)で表されるアゾ化合物またはその塩と、下記式(2)で表されるキサンテン化合物またはその塩とを色素として含有するインク組成物。
    Figure 2022122168000033

    (式中、RはC1-C6の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表し、
    はシアノ基または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、
    は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、またはシアノ基を表し、
    は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホ基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、シアノ基、または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、
    はNまたはC(R)を表し、
    は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、またはシアノ基を表し、
    は水素原子、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表し、
    は水素原子またはC1-C4の置換もしくは無置換のカルボニル基を表し、
    は水素原子またはC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表し、
    とRは結合して5員環または6員環を形成してもよく、
    、R10、およびR11はそれぞれ独立に水素原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のC1-C4アルコキシ基、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表し、
    12、R14、R16、およびR18はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表し、
    13およびR17はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、スルホ基、カルボキシ基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、
    15およびR19はそれぞれ独立に水素原子、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表す。)
    Figure 2022122168000034

    (式(2)中、R21、R25、R26およびR30は、それぞれ独立にアルキル基を表し、
    23およびR28は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表し、
    22、R24、R27およびR29は、それぞれ独立に水素原子または下記式(3)で表されるアシルアミノ基または下記式(4)で表されるスルホンアミド基を表し、
    22、R24、R27およびR29の少なくとも1つは下記式(3)で表されるアシルアミノ基または下記式(4)で表されるスルホンアミド基を表す。
    Zは、SOH基、SOM基またはスルファモイル基を表し、Mはアンモニウムイオンまたはアルカリ金属イオンを表し、Zは芳香環の少なくとも1つの水素原子の位置に置換している。
    22、R23、R24、R27、R28およびR29の少なくとも1つがイオン性基で置換されている場合には、nは0~3の整数を表し、イオン性基で置換されていない場合には、nは1~3の整数を表す。)
    Figure 2022122168000035
    (式(3)中、R31は、置換もしくは無置換のアルキル基、シクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、アリールアルキル基、アルケニル基、またはヘテロ環基を表す。*は式(2)の芳香環との結合部位を表す。)
    Figure 2022122168000036
    (式(4)中、R32は置換もしくは無置換のアルキル基、シクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、アリールアルキル基、アルケニル基、またはヘテロ環基を表す。*は式(2)の芳香環との結合部位を表す。)
  2. 前記式(1)において、R2がシアノ基であり、R7が水素原子であり、R、R10、およびR11のうち少なくともひとつが水素原子である請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記式(1)において、R16およびR18のうち少なくとも1つが水素原子である請求項1~2のいずれか一項に記載のインク組成物。
  4. 前記式(1)において、RがC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基であり、RがC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基である請求項1~3のいずれか一項に記載のインク組成物。
  5. 前記式(1)において、R13およびR17のうち少なくとも1つがスルホ基である請求項1~4のいずれか一項に記載のインク組成物。
  6. 前記式(1)が、下記式(5)で表される請求項1に記載のインク組成物。
    Figure 2022122168000037

    (式(5)中、R101はC1-C4アルキル基を表し、
    102はシアノ基を表し、
    103は水素原子、クロロ基、ニトロ基またはシアノ基を表し、
    104は水素原子、ニトロ基またはスルホ基を表し、
    XはNまたはC(R105)を表し、R105は水素原子、クロロ基またはブロモ基を表し、
    106はC1-C4アルキル基を表し、
    107およびR109は水素原子、C1-C4アルキル基、またはスルホ基を表し、
    108は水素原子、スルホ基、またはC1-C4アルキル基を表し、
    110はスルホ基を表し、
    111は水素原子またはスルホ基を表す。)
  7. 22、R24、R27およびR29は、それぞれ独立に水素原子または前記式(3)で表されるアシルアミノ基を表し、
    22、R24、R27およびR29の少なくとも1つは前記式(3)で表されるアシルアミノ基を表し、
    前記式(3)において、R31がアルキル基またはアリール基である請求項1~6のいずれか一項に記載のインク組成物。
  8. 前記式(3)において、R31が直鎖のアルキル基またはイオン性基が置換したアリール基である請求項1~7のいずれか一項に記載のインク組成物。
  9. 前記式(2)において、前記式(3)で表されるアシルアミノ基の数が、2以上4以下である請求項1~8のいずれか一項に記載のインク組成物。
  10. 前記式(2)において、ZがSOM基である請求項1~9のいずれか一項に記載のインク組成物。
  11. 前記式(2)において、R21、R25、R26、およびR30は、各々独立にメチル基、エチル基、またはプロピル基である請求項1~10のいずれか一項に記載のインク組成物。
  12. 前記式(2)において、R23およびR28は、各々独立にメチル基、エチル基、またはプロピル基である請求項1~11のいずれか一項に記載のインク組成物。
  13. 前記式(2)において、R21とR26、R22とR27、R23とR28、R24とR29、およびR25とR30が、それぞれ同一の置換基である請求項1~12のいずれか一項に記載のインク組成物。
  14. 水溶性有機溶剤をさらに含有する請求項1~13のいずれか一項に記載のインク組成物。
  15. 請求項1~14のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、前記インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて記録メディアに記録を行うインクジェット記録方法。
  16. 前記記録メディアがシート状記録メディアである請求項15に記載のインクジェット記録方法。
  17. 前記シート状記録メディアが多孔性白色無機物を含む請求項16に記載のインクジェット記録方法。
  18. 請求項1~14のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器を充填したインクジェットプリンタ。
  19. 請求項1~14のいずれか一項に記載のインク組成物によって着色された着色体。

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