JP2022122286A - アゾ化合物またはその塩、およびこれを含有するインク組成物、ならびにこれを用いたインクジェット記録方法、インクジェットプリンタ、および着色体 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐光性に優れる記録画像が得られる水溶性のアゾ化合物またはその塩、およびそれを含有する各種の記録用、特にインクジェット記録用のマゼンタインク組成物の提供を目的とする。また、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法およびインクジェットプリンタ、並びに着色体を提供することを目的とする。【解決手段】下記式(1)で表されるアゾ化合物またはその塩を提供する。【化1】TIFF2022122286000057.tif46146【選択図】なし
Description
本発明は、特定のアゾ化合物またはその塩、これらを含むインク組成物、およびそれらにより着色された着色体に関する。
各種カラー記録方法の中で、その代表的方法の1つであるインクジェットプリンタによる記録方法は、インクの吐出方式が各種開発されている。これらは、いずれもインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材とが直接接触しないため、音の発生が少なく静かである。また、小型化、高速化、カラー化が容易であるという特徴を有するため、近年急速に普及しつつあり、今後も大きな伸長が期待されている。従来、万年筆やフェルトペン等のインク、およびインクジェット記録用のインクとしては、水溶性の色素(染料)を水性媒体に溶解したインクが使用されている。これらの水性インクには、ペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性の有機溶剤が添加されている。これらのインクには、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性が良いこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等の性能が要求される。
インクジェットのノズル詰まりは、ノズル付近でインク中の水分が他の溶剤や添加剤よりも先に蒸発し、水分が少なく溶剤や添加剤が多いという組成状態になったときに、色素が固化し析出することに由来するものが多い。よって、インク中の水分が少ない状態になった場合においても固体が析出しにくいということが非常に重要な要求性能の1つである。この理由から、溶剤や添加剤に対する高い溶解性も色素に求められる性質の1つである。また、ノズル詰まりを解消する方法として、印字濃度の高い色素を用いる手法が知られている。印字濃度が高い色素を用いることで、従来の印字濃度を保ちつつ、インク中の色素含有量を減らすことができる。これは色素を析出しにくくするだけでなく、コスト面でも有利であり、高い印字濃度を持つ色素の開発が望まれている。
インクの性能としては、長期の保存に対して安定であり、記録画像の濃度が高く、しかもその画像が耐水性、耐湿性、耐光性、耐ガス性等の堅牢性に優れることが求められる。ここで耐光性とは、記録画像に含有される色素が太陽光、および蛍光灯等の各種の光に暴露されることにより分解し、記録画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。
写真画質のインクジェット記録画像を得る方法の1つとして、被記録材の表面にインク受容層を設ける方法がある。このような目的で設けられるインク受容層は、インクの乾燥を早め、また高画質での色素の滲みを少なくするために、多孔性白色無機物を含むことが多い。しかしながら、特にこのような被記録材において、光による変退色現象が顕著に観察される。この理由から記録画像の耐光性の向上は、インクジェット記録の分野における重要な技術課題の1つとされている。最近のデジタルカメラおよびカラープリンタの普及と共に、家庭でもデジタルカメラ等で得られた画像を写真画質として印刷する機会が増しているため、上記の光による記録画像の変退色が問題視される。
鮮明性および堅牢性を有する公知のインクジェット用のマゼンタ色素の例としてピラゾールアニリンアゾ色素がある(例えば、特許文献1~3参照)。
しかし、鮮明性に加え各種堅牢性、特に耐光性を十分に満足するマゼンタ色素は未だ得られていなかった。本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、耐光性に優れる記録画像が得られる水溶性のアゾ化合物またはその塩、およびそれを含有する各種の記録用、特にインクジェット記録用のマゼンタインク組成物の提供を目的とする。また、本発明は、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法およびインクジェットプリンタ、並びに着色体を提供することを目的とする。
本発明者等は前記課題を解決すべく、鋭意検討の結果、特定のアゾ化合物またはその塩、およびそれを含有するインクが前記の課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、以下の1)~16)に関する。
1) 下記式(1)で表されるアゾ化合物またはその塩。
(式中、R1はC1-C6の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表し、
R2はシアノ基または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、
R3は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、またはシアノ基を表し、
R4は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホ基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、シアノ基、または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、
X1はNまたはC(R5)を表し、
R5は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、またはシアノ基を表し、
R6は水素原子、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表し、
R7は水素原子またはC1-C4の置換もしくは無置換のカルボニル基を表し、
R8は水素原子またはC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表し、
R7とR8は結合して5員環または6員環を形成してもよく、
R9、R10、およびR11はそれぞれ独立に水素原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のC1-C4アルコキシ基、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表し、
R12、R14、R16、およびR18はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表し、
R13およびR17はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、スルホ基、カルボキシ基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、
R15R19はそれぞれ独立に水素原子、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表す。)
2) 式(1)において、R9、R10、およびR11のうち少なくとも1つが水素原子である1)に記載のアゾ化合物またはその塩。
3) 式(1)において、R7が水素原子である1)または2)に記載のアゾ化合物またはその塩。
4) 式(1)において、R2がシアノ基である1)~3)のいずれかに記載のアゾ化合物またはその塩。
5) 式(1)において、R16およびR18のうち少なくとも1つが水素原子である1)~4)のいずれかに記載のアゾ化合物またはその塩。
6) 式(1)において、R8がC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基である1)~5)のいずれかに記載のアゾ化合物またはその塩。
7) 式(1)において、R1がC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基である1)~6)のいずれかに記載のアゾ化合物またはその塩。
8) 式(1)において、R13およびR17のうち少なくとも1つがスルホ基である1)~6)のいずれかに記載のアゾ化合物またはその塩。
9) 式(1)で表されるアゾ化合物が、下記式(2)で表されるアゾ化合物である1)に記載のアゾ化合物またはその塩。
(式中、R101はC1-C4アルキル基を表し、R102はシアノ基を表し、R103は水素原子、クロロ基、ニトロ基、またはシアノ基を表し、R104は水素原子、ニトロ基、またはスルホ基を表し、Xは=N―またはC(R105)-を表し、R105は水素原子、クロロ基、またはブロモ基を表し、R106はC1-C4アルキル基を表し、R107およびR109はそれぞれ独立して水素原子、C1-C4アルキル基またはスルホ基を表し、R108は水素原子、スルホ基、C1-C4アルキル基、または置換もしくは非置換のスルファモイル基を表し、R110はスルホ基または置換もしくは非置換のスルファモイル基を表す。R111は水素原子またはスルホ基を表す。)
10) 1)~9)のいずれかに記載のアゾ化合物またはその塩を、色素として含有するインク組成物。
11) 水溶性有機溶剤をさらに含有する10)に記載のインク組成物。
12) 10)または11)に記載のインク組成物をインクとして用い、前記インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて記録メディアに記録を行うインクジェット記録方法。
13) 前記記録メディアがシート状記録メディアである13)に記載のインクジェット記録方法。
14) 前記シート状記録メディアが多孔性白色無機物を含む13)に記載のインクジェット記録方法。
15) 10)または11)に記載のインク組成物を含む容器を備えるインクジェットプリンタ。
16) a)1)~9)のいずれかに記載のアゾ化合物もしくはその塩、または
b)10)または11)に記載のインク組成物
が付着した着色体。
1) 下記式(1)で表されるアゾ化合物またはその塩。
R2はシアノ基または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、
R3は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、またはシアノ基を表し、
R4は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホ基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、シアノ基、または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、
X1はNまたはC(R5)を表し、
R5は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、またはシアノ基を表し、
R6は水素原子、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表し、
R7は水素原子またはC1-C4の置換もしくは無置換のカルボニル基を表し、
R8は水素原子またはC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表し、
R7とR8は結合して5員環または6員環を形成してもよく、
R9、R10、およびR11はそれぞれ独立に水素原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のC1-C4アルコキシ基、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表し、
R12、R14、R16、およびR18はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表し、
R13およびR17はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、スルホ基、カルボキシ基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、
R15R19はそれぞれ独立に水素原子、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表す。)
2) 式(1)において、R9、R10、およびR11のうち少なくとも1つが水素原子である1)に記載のアゾ化合物またはその塩。
3) 式(1)において、R7が水素原子である1)または2)に記載のアゾ化合物またはその塩。
4) 式(1)において、R2がシアノ基である1)~3)のいずれかに記載のアゾ化合物またはその塩。
5) 式(1)において、R16およびR18のうち少なくとも1つが水素原子である1)~4)のいずれかに記載のアゾ化合物またはその塩。
6) 式(1)において、R8がC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基である1)~5)のいずれかに記載のアゾ化合物またはその塩。
7) 式(1)において、R1がC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基である1)~6)のいずれかに記載のアゾ化合物またはその塩。
8) 式(1)において、R13およびR17のうち少なくとも1つがスルホ基である1)~6)のいずれかに記載のアゾ化合物またはその塩。
9) 式(1)で表されるアゾ化合物が、下記式(2)で表されるアゾ化合物である1)に記載のアゾ化合物またはその塩。
10) 1)~9)のいずれかに記載のアゾ化合物またはその塩を、色素として含有するインク組成物。
11) 水溶性有機溶剤をさらに含有する10)に記載のインク組成物。
12) 10)または11)に記載のインク組成物をインクとして用い、前記インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて記録メディアに記録を行うインクジェット記録方法。
13) 前記記録メディアがシート状記録メディアである13)に記載のインクジェット記録方法。
14) 前記シート状記録メディアが多孔性白色無機物を含む13)に記載のインクジェット記録方法。
15) 10)または11)に記載のインク組成物を含む容器を備えるインクジェットプリンタ。
16) a)1)~9)のいずれかに記載のアゾ化合物もしくはその塩、または
b)10)または11)に記載のインク組成物
が付着した着色体。
本発明により、耐光性に優れる記録画像が得られる水溶性のアゾ化合物またはその塩、およびそれを含有する各種の記録用、特にインクジェット記録用のマゼンタインク組成物を提供することができる。また、本発明は、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法およびインクジェットプリンタ、並びに着色体を提供することができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。本明細書においては特に断りがない限り、イオン性親水性基のうち酸性官能基は、実施例等を含めて遊離酸の形で表す。また、本明細書においては特に断りがない限り、イオン性親水性基を有する「化合物」は、「化合物またはその塩」の両方を含む意味として用いる。
また、本明細書においては特に断りがない限り、「%」および「部」は、実施例等も含めて質量基準である。
また、本明細書においては特に断りがない限り、「%」および「部」は、実施例等も含めて質量基準である。
式(1)中、R1はC1-C6の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。
置換もしくは無置換のアルキル基におけるアルキル基としては、C1-C6のアルキル基が好ましく、C1-C4のアルキル基がより好ましい。C1-C4アルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびtert-ブチル基が挙げられる。これらの中ではメチル基、tert-ブチル基がより好ましい。
置換もしくは無置換のアルキル基におけるアルキル基としては、C1-C6のアルキル基が好ましく、C1-C4のアルキル基がより好ましい。C1-C4アルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびtert-ブチル基が挙げられる。これらの中ではメチル基、tert-ブチル基がより好ましい。
置換もしくは無置換のアリール基におけるアリール基としては、C6-C12のアリール基が好ましい。アリール基の例には、フェニル、p-トリル、p-メトキシフェニル、o-クロロフェニル、p-クロロフェニルおよび2,4,6-トリメチルフェニルが含まれる。
R1が置換されているアルキル基または置換されているアリール基である場合、置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、C1~12のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル)、C7~18のアラルキル基、C2~12のアルケニル基、C2~12のアルキニル基、C3~12のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル)、C3~12のシクロアルケニル基、アリール基(例えば、フェニル、4-tert-ブチルフェニル、2,4-ジ-tert-アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2-フリル、2-チエニル、2-ピリミジニル、2-ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2-メトキシエトキシ、2-メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2-メチルフェノキシ、4-tert-ブチルフェノキシ、3-ニトロフェノキシ、3-tert- ブチルオキシカルバモイルフェノキシ)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2-クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N-ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N-ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2-フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2-ブトキシ-5-tert- オクチルフェニルチオ、2-カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p-トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N-エチルカルバモイル、N,N-ジブチルカルバモイル、3-メトキシカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N-エチルスルファモイル、N,N-ジプロピルスルファモイル、N ,N-ジエチルスルファモイル、N-2-スルホエチルスルファモイル、N-メチル-N-2-スルホエチルスルファモイル、N-カルボキシメチルスルファモイル、N,N-ビス(カルボキシメチル)スルファモイル、N-2-ヒドロキシエチルスルファモイル、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチルスルファモイル))、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1-フェニルテトラゾール-5- オキシ、2-テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4-メトキシフェニルアゾ、4-ピバロイルアミノフェニルアゾ、2-ヒドロキシ-4-プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N-メチルカルバモイルオキシ、N-フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N-スクシンイミド、N-フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2-ベンゾチアゾリルチオ、2,4-ジ-フェノキシ-1,3,5-トリアゾール-6-チオ、2-ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3-フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3-フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、4級アンモニウム基)が挙げられる。これらの置換基の中では、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、およびイオン性親水性基がより好ましい。
R2はシアノ基または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、シアノ基が好ましい。カルバモイル基が置換されている場合は、R1についてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。
R3は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、またはシアノ基を表す。アルキル基の場合はR1についてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよく、置換基の中では水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、およびシアノ基がより好ましく、塩素原子、臭素原子、およびニトロ基が特に好ましい。
R3におけるアルキル基としてはC1-C6のアルキル基が好ましく、C1-C4のアルキル基がより好ましい。C1-C4アルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびtert-ブチル基が挙げられる。
R4は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホ基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、シアノ基、または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表す。スルファモイル基、およびカルバモイル基が置換されている場合はR1についてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。これらの中では水素原子、ニトロ基、およびスルホ基が好ましく、水素原子およびスルホ基がより好ましい。
X1はNまたはC(R5)を表し、C(R5)が好ましい。
R5は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、またはシアノ基を表す。R5がアルキル基の場合はR1についてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。これらの中では水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、およびシアノ基がより好ましく、塩素原子、臭素原子、およびニトロ基が特に好ましい。
R5は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、またはシアノ基を表す。R5がアルキル基の場合はR1についてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。これらの中では水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、およびシアノ基がより好ましく、塩素原子、臭素原子、およびニトロ基が特に好ましい。
R3およびX1の好ましい組み合わせとしては、X1がC(R5)であり、R3およびR5がそれぞれ独立に塩素原子、臭素原子、およびニトロ基から選ばれるものが挙げられる。これらの中ではR3およびR5のいずれか一方が塩素原子または臭素原子であり、もう一方がニトロ基である組み合わせが特に好ましい。
R6は水素原子、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表す。スルファモイル基の場合は、R1についてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。これらの中では水素原子およびスルホ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
R7は水素原子またはC1-C4の置換もしくは無置換のカルボニル基を表し、水素原子が好ましい。カルボニル基が置換されている場合、R1についてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。
R8は水素原子またはC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。これらの中ではC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、および置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基がさらに好ましい。R7とR8は結合して5から6員環を形成してもよい。
R8におけるC1-C4のアルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびtert-ブチル基が挙げられる。これらの中ではメチル基、エチル基、n-プロピル基、およびn-ブチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
R8における置換もしくは無置換のアリール基としては、C6-C12のアリール基が好ましい。前記アリール基の例には、フェニル、p-トリル、p-メトキシフェニル、o-クロロフェニル、p-クロロフェニルおよび2,4,6-トリメチルフェニルが含まれる。
R8は、置換されたアルキル基またはアリール基である場合は、R1についてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。これらの置換基の中では、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、およびイオン性親水性基がより好ましい。
R8は、置換されたアルキル基またはアリール基である場合は、R1についてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。これらの置換基の中では、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、およびイオン性親水性基がより好ましい。
R9、R10、およびR11はそれぞれ独立に水素原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のC1-C4アルコキシ基、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表す。アルキル基、アルコキシ基、スルファモイル基の場合はR1についてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。これらの中では水素原子、およびアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。R9、R10、およびR11の好ましい組み合わせとしては、これらのいずれか1つが水素原子であるものが挙げられ、より好ましい組み合わせとして2つ以上が水素原子であるもの、さらに好ましい組み合わせとしてすべて水素原子であるものが挙げられる。
R12、R14、R16、およびR18はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表す。アルキル基、およびスルファモイル基の場合はR1についてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。これらの中では水素原子、およびC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基が好ましい。R12、R14、R16、およびR18の好ましい組み合わせとしては、これらが水素原子、またはC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基であるものが挙げられ、2つ以上が水素原子であるものがさらに好ましい。特に好ましい組み合わせとしてはR12およびR14がC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基であり、R16およびR18が水素原子であるものが挙げられる。
R12、R14、R16、およびR18におけるC1-C4のアルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびtert-ブチル基が挙げられる。これらの中ではメチル基、エチル基、およびイソプロピル基がより好ましい。
R13およびR17はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、スルホ基、カルボキシ基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表す。アルキル基、スルファモイル基、およびカルバモイル基が置換されている場合はR1についてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。これらの中では水素原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、スルホ基、カルボキシ基、および置換もしくは無置換のスルファモイル基が好ましく、スルホ基および置換もしくは無置換のスルファモイル基がより好ましい。
R13およびR17におけるC1-C4のアルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびtert-ブチル基が挙げられる。これらの中ではメチル基がより好ましい。
R13およびR17のうち少なくとも一方がスルホ基であることが好ましく、両方がスルホ基である組み合わせおよび一方がスルホ基、もう一方が置換もしくは無置換のスルファモイル基である組み合わせがより好ましい。
R13およびR17のうち少なくとも一方がスルホ基であることが好ましく、両方がスルホ基である組み合わせおよび一方がスルホ基、もう一方が置換もしくは無置換のスルファモイル基である組み合わせがより好ましい。
R15およびR19はそれぞれ独立に水素原子、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表す。スルファモイル基の場合はR1についてアルキル基の置換基として例示したような基で置換されていてもよい。これらの中では水素原子およびスルホ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
式(1)における各種の置換基、およびそれらの組合せ、さらにはそれらの置換位置等について記載した好ましいもの同士を組合せた化合物はより好ましく、より好ましいもの同士を組合せたものは更に好ましい。さらに好ましいもの同士や、好ましいものと、より好ましいものとの組合せ等についても同様である。
式(1)で表されるアゾ化合物は、特に好ましくは下記式(2)で表されるアゾ化合物である。
式(2)において、R101はC1-C4アルキル基を表し、R102はシアノ基を表し、R103は水素原子、クロロ基、ニトロ基またはシアノ基を表し、R104は水素原子、ニトロ基またはスルホ基を表し、XはNまたはC(R105)を表し、R105は水素原子、クロロ基またはブロモ基を表し、R106はC1-C4アルキル基を表し、R107およびR109はそれぞれ独立して水素原子、C1-C4アルキル基またはスルホ基を表し、R108は水素原子、スルホ基、C1-C4アルキル基、または置換もしくは非置換のスルファモイル基を表し、R110はスルホ基または置換もしくは非置換のスルファモイル基を表す。R111は水素原子またはスルホ基を表す。
式(1)で表されるアゾ化合物の塩は、無機または有機陽イオンとの塩である。そのうち、無機の陽イオンとの塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、およびアンモニウム塩が挙げられ、好ましい無機塩は、リチウム、ナトリウム、カリウムの塩、およびアンモニウム塩である。また、有機の陽イオンとの塩としては、例えば、下記式(3)で表される4級アンモニウムイオンとの塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、式(1)で表されるアゾ化合物の遊離酸、その互変異性体、およびそれらの各種の塩が混合した状態であってもよい。例えば、ナトリウム塩とアンモニウム塩との混合物、遊離酸とナトリウム塩との混合物、リチウム塩、ナトリウム塩、およびアンモニウム塩の混合物等、いずれの組合せを用いてもよい。塩の種類によって溶解性等の物性値が異なる場合も有り、必要に応じて適宜塩の種類を選択すること、または複数の塩等を含む場合にはその比率を変化させることにより、目的に適う物性を有する混合物を得ることもできる。
式(3)において、Z1、Z2、Z3およびZ4は、それぞれ独立して、水素原子、非置換アルキル基、ヒドロキシアルキル基、およびヒドロキシアルコキシアルキル基よりなる群から選択される基を表し、少なくとも1つは水素原子以外の基である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびtert-ブチル基等が挙げられる。ヒドロキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、4-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、および2-ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ(C1~C4)アルキル基が挙げられる。ヒドロキシアルコキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシエトキシメチル基、2-ヒドロキシエトキシエチル基、3-ヒドロキシエトキシプロピル基、2-ヒドロキシエトキシプロピル基、4-ヒドロキシエトキシブチル基、3-ヒドロキシエトキシブチル基、および2-ヒドロキシエトキシブチル基等のヒドロキシ(C1~C4)アルコキシ(C1~C4)アルキル基が挙げられる。これらのうち、ヒドロキシエトキシ(C1~C4)アルキル基が好ましい。
式(1)で表されるアゾ化合物は、以下の反応式に示すように式(A)のアミノピラゾールをジアゾ化して、式(B)のトリフェニルアミン化合物とジアゾカップリングして式(C)の化合物を得たのちに、式(D)の化合物と反応させることで合成することができる。
式(A)、式(B)、式(C)、および式(D)中、R1~R19およびX1は、式(1)におけるものと同じ意味を表す。
上記ジアゾカップリングに用いるトリフェニルアミンは、3-ニトロアニリン類とハロゲン化ベンゼン類とのウルマン縮合ののち、ニトロ基を還元してアミノ基とし、カルボニル化することで合成することができる。またニトロ基を還元する前にスルホン化によりスルホ基を導入することなどが可能である。このようなトリフェニルアミン類の合成例を以下に示す。
Y1およびY2は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表す。Y3はC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。
一般的に知られた方法により置換基を入れ替えることにより、この合成例に基づいて各種置換基を有するトリフェニルアミンを合成することができる。
一般的に知られた方法により置換基を入れ替えることにより、この合成例に基づいて各種置換基を有するトリフェニルアミンを合成することができる。
式(1)で表されるアゾ化合物は、該化合物を含む水性組成物とすることにより、セルロースからなる材料を染色することが可能となる。また、カルボンアミド結合を有する材料の染色も可能であり、皮革、織物、紙の染色等に幅広く用いることができる。一方、上記式(1)で表されるアゾ化合物の代表的な使用法としては、液体の媒体に溶解してなるインク組成物が挙げられ、記録用、特にインクジェット記録用のインク組成物として用いることが好ましい。式(1)で表されるアゾ化合物は、水性溶媒に溶解し易いためインク組成物調整の作業性に優れ、さらに、耐光性に優れる記録画像を得ることができる。
<インク組成物>
インク組成物について以下に説明する。インク組成物は、上記式(1)で表されるアゾ化合物を色素として含有する。インク組成物における式(1)で表されるアゾ化合物の含有量は、通常0.1~20質量%、好ましくは1~10質量%、より好ましくは2~8質量%である。インク組成物は水を媒体として調製された水性のインク組成物であることが好ましく、必要に応じて、水溶性有機溶剤やインク調製剤を、本発明の効果を害しない範囲内においてさらに含んでいても良い。上記水溶性有機溶剤は、色素溶解剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、粘度調整剤、浸透促進剤、表面張力調整剤、消泡剤等としての機能を有する場合があり、上記インク組成物中に含まれることが好ましい。上記インク調製剤としては、例えば、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、色素溶解剤、酸化防止剤、および界面活性剤等の公知の添加剤が挙げられる。上記インク組成物は、その総質量に対して、水溶性有機溶剤を例えば0~30質量%、好ましくは5~30質量%、インク調製剤を例えば0~15質量%、好ましくは0~7質量%含んでいても良い。上記以外の残部は水である。
インク組成物について以下に説明する。インク組成物は、上記式(1)で表されるアゾ化合物を色素として含有する。インク組成物における式(1)で表されるアゾ化合物の含有量は、通常0.1~20質量%、好ましくは1~10質量%、より好ましくは2~8質量%である。インク組成物は水を媒体として調製された水性のインク組成物であることが好ましく、必要に応じて、水溶性有機溶剤やインク調製剤を、本発明の効果を害しない範囲内においてさらに含んでいても良い。上記水溶性有機溶剤は、色素溶解剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、粘度調整剤、浸透促進剤、表面張力調整剤、消泡剤等としての機能を有する場合があり、上記インク組成物中に含まれることが好ましい。上記インク調製剤としては、例えば、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、色素溶解剤、酸化防止剤、および界面活性剤等の公知の添加剤が挙げられる。上記インク組成物は、その総質量に対して、水溶性有機溶剤を例えば0~30質量%、好ましくは5~30質量%、インク調製剤を例えば0~15質量%、好ましくは0~7質量%含んでいても良い。上記以外の残部は水である。
インク組成物のpHは、保存安定性を向上させる点で、pH5~11が好ましく、pH7~10がより好ましい。また、インク組成物の表面張力としては、25~70mN/mが好ましく、25~60mN/mがより好ましい。表面張力は、20℃において白金プレート法(協和界面科学製、自動表面張力計CBVP-Z)を使用して測定することができる。さらに、インク組成物の粘度としては、吐出安定性の観点から、30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下がより好ましい。インク組成物の粘度はレオメーター(Antonpaar社製MCR301)を用いて40℃、ずり速度100s-1にて測定することができる。
インク組成物をインクジェット記録用のインクとして使用する場合、式(1)で表されるアゾ化合物中の金属陽イオンの塩化物、硫酸塩等の無機不純物の含有量が少ないものを用いるのが好ましい。該無機不純物の含有量の目安は、おおよそ色素の総質量に対して1質量%以下程度である。下限は分析機器の検出限界以下、すなわち0%で良い。無機不純物の少ない式(1)で表されるアゾ化合物を製造するには、例えば逆浸透膜を用いる方法、上記式(1)で表されるアゾ化合物の乾燥品あるいはウェットケーキをメタノール等のアルコール、好ましくは(C1~C4)アルコールおよび水の混合溶媒中で撹拌して懸濁精製し、析出物を濾過分離して乾燥する方法、等の公知の方法で脱塩処理すればよい。
インク組成物の調製に使用できる水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等の(C1~C4)アルコール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、2-ピロリドン、ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルピロリジン-2-オン等のラクタム、1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-オン、1,3-ジメチルヘキサヒドロピリミド-2-オン等の環式尿素類、アセトン、メチルエチルケトン、2-メチル-2-ヒドロキシペンタン-4-オン等のケトンまたはケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等のC2-C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコールまたはチオグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサン-1,2,6-トリオール等のポリオール(好ましくはトリオール)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1~C4)アルキルエーテル、γ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、上記の水溶性有機溶剤にはトリメチロールプロパン等のように、常温で固体の物質も含まれているが、これらは固体であっても水溶性を示し、水に溶解させた場合には水溶性有機溶剤と同じ目的で使用することができるため、便宜上、本明細書においては水溶性有機溶剤として記載する。
以下、インク調製剤として使用できる、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、色素溶解剤、酸化防止剤、および界面活性剤について記載する。
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン-1-オキシド、p-ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンおよびその塩等が挙げられる。これらはインク組成物中に0.02~1.00質量%使用するのが好ましい。
防腐剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N-ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8-オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウムが挙げられ、イソチアゾリン系化合物の具体例としては、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンマグネシウムクロライド、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンカルシウムクロライド、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他、防腐および防黴効果を有する剤の具体例として、無水酢酸ソーダ、ソルビン酸ソーダまたは安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
pH調整剤としては、調製されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHをおおよそ5~11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その具体例としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム(アンモニア水)、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩、ケイ酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。
キレート試薬の具体例としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグルコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトールまたはジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ-ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物が挙げられる。
水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミンまたはポリイミン等が挙げられる。
色素溶解剤としては、例えば、ε-カプロラクタム、エチレンカーボネート、尿素等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、各種の有機系および金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、複素環類等が挙げられる。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の公知の界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N-アシルアミノ酸およびその塩、N-アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、2-ビニルピリジン誘導体、ポリ4-ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール等のアセチレングリコール(アルコール)系、日信化学社製、商品名サーフィノール104、105、82、465、オルフィンSTG等、ポリグリコールエーテル系(例えばSIGMA-ALDRICH社製のTergitol 15-S-7等)、等が挙げられる。
これらのインク調製剤は、1種単独で、または2種以上混合して含有されてもよい。
これらのインク調製剤は、1種単独で、または2種以上混合して含有されてもよい。
インク組成物は、式(1)で表されるアゾ化合物および上記各成分を任意の順序で混合、撹拌することによって得られる。得られたインク組成物は、目的により、狭雑物を除く為にメンブランフィルター等で精密濾過を行ってもよく、インクジェット記録に用いる場合には、該濾過を行うのが好ましい。精密濾過を行うフィルターの孔径は通常1μm~0.1μm、好ましくは、0.8μm~0.1μmである。
式(1)で表される化合物としては、該化合物を含む反応液、例えば、式(1)で表される化合物の合成反応における、最終工程終了後の反応液等を、インク組成物の製造に直接使用することができる。しかし、該反応液を乾燥、例えば、スプレー乾燥させる方法、該反応液に塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム等の無機塩類を添加することによって塩析する方法、該反応液に塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸を添加することによって酸析する方法、或いは上記の塩析と酸析とを組み合わせた酸塩析する方法、等の方法によって該化合物を単離し、得られた化合物を用いてインク組成物を調製することもできる。上記アゾ化合物をインク組成物に用いる場合は、単離してから用いることが好ましい。
インク組成物は、各種分野において使用することができるが、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録インク等に好適であり、インクジェット記録用のインクとして用いることが特に好ましく、後述するインクジェット記録方法において好適に使用される。
<インクジェット記録方法>
インクジェット記録方法は、上記インク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより記録を行う方法である。上記インクジェット記録方法は、記録の際に使用するインクヘッド、インクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。この記録方法は、公知の方法、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えてインクに照射し、その放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット、いわゆるバブルジェット(登録商標)方式、等を使用することができる。
インクジェット記録方法は、上記インク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより記録を行う方法である。上記インクジェット記録方法は、記録の際に使用するインクヘッド、インクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。この記録方法は、公知の方法、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えてインクに照射し、その放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット、いわゆるバブルジェット(登録商標)方式、等を使用することができる。
上記インクジェット記録方法に用いる記録メディアとしては、特に制限はないが、例えば紙、フィルム、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられ、中でもシート状の記録メディアが好ましい。記録メディアとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層は、例えば、上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工すること、多孔質シリカ、アルミナゾル、特殊セラミックス等の、インク中の色素を吸収し得る多孔性白色無機物を、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に、上記基材表面に塗工すること、等の方法により設けられる。このようなインク受容層を設けた記録メディアは、通常インクジェット専用紙(フィルム)、光沢紙(フィルム)等と呼ばれる。その具体例としては、キヤノン株式会社製、商品名 プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパーまたはマットフォトペーパー、セイコーエプソン株式会社製、商品名 写真用紙(光沢)、PMマット紙、クリスピア、日本ヒューレット・パッカード株式会社製、商品名 アドバンスフォトペーパー、プレミアムプラスフォト用紙、プレミアム光沢フィルムまたはフォト用紙、等が挙げられ、市販品として入手が可能である。なお、普通紙も当然に使用できる。
記録メディア、とりわけシート状の記録メディアのうち、多孔性白色無機物を表面に塗工したシートに記録した画像は、光による変退色が大きくなることが知られている。しかし本発明のインク組成物は耐光性に優れ、記録メディアにインクジェット記録した際にも大きな効果を発揮する。
インクジェット記録方法で被記録材に記録するには、例えば、上記のインク組成物を含む容器をインクジェットプリンタの所定の位置に装填し、上記の方法で被記録材に記録すればよい。上記インクジェット記録方法は、上記マゼンタインク組成物と、公知のブラック、シアン、イエロー、および必要に応じて、グリーン、ブルー(またはバイオレット)、レッド(またはオレンジ)等の各色のインク組成物とを併用することもできる。各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、その各容器を本発明のマゼンタインク組成物を含有する容器と同様に、インクジェットプリンタの所定の位置に装填してインクジェット記録に使用される。
<インクジェットプリンタ>
インクジェットプリンタは、上記のインク組成物を含む容器を備える。インクジェットプリンタは、複数のノズルからインク滴を吐出して記録メディア上に画像形成するインクジェット方式による一般的な印刷装置であれば特に限定されない。
インクジェットプリンタは、上記のインク組成物を含む容器を備える。インクジェットプリンタは、複数のノズルからインク滴を吐出して記録メディア上に画像形成するインクジェット方式による一般的な印刷装置であれば特に限定されない。
<着色体>
着色体は、
a)式(1)で表されるアゾ化合物、または
b)上記インク組成物
のいずれかが付着した着色体である。着色体は、特に制限されないが、上記のインクジェット記録方法に用いる記録メディア等が好ましく挙げられる。
着色体は、
a)式(1)で表されるアゾ化合物、または
b)上記インク組成物
のいずれかが付着した着色体である。着色体は、特に制限されないが、上記のインクジェット記録方法に用いる記録メディア等が好ましく挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。ただし、本発明は下記実施例のみに制限されない。ただし、本発明は下記実施例のみに制限されない。
[(A)アゾ化合物の合成]
(合成例1)
(a) ヨードベンゼン159.6部、3-ニトロアニリン30.0部、銅粉0.3部、炭酸カリウム60.1部を1,2-ジクロロベンゼン400.0部中で60時間加熱還流した。濾過により不溶解成分を除去し、濾液から減圧蒸留にて溶媒を除去することで式(i)の化合物を57.5部得た。
(合成例1)
(a) ヨードベンゼン159.6部、3-ニトロアニリン30.0部、銅粉0.3部、炭酸カリウム60.1部を1,2-ジクロロベンゼン400.0部中で60時間加熱還流した。濾過により不溶解成分を除去し、濾液から減圧蒸留にて溶媒を除去することで式(i)の化合物を57.5部得た。
(b)式(i)の化合物20.0部をアセトニトリル200.0部中に溶解させた。得られた溶解液に内温30度未満でクロロスルホン酸32.1部を滴下した。1時間攪拌したのち、得られた反応液を氷150部と水150部中に投入し、減圧留去によりアセトニトリルを除去し、25%水酸化ナトリウムにより中和ののち、濾過により不溶解分を除去することで式(ii)の水溶液を得た。
(c)(b)で得られた式(ii)の水溶液に水を加えて液量を400mlに調整し、パラジウム炭素(東京化成工業株式会社製、パラジウム10%、約55%水湿潤品)0.5部を加え、オートクレーブ中60度、圧力0.8~0.9MPaで圧力減少がなくなるまで水素添加反応を行った。得られた反応液から濾過によりパラジウム炭素を除去し、式(iii)の水溶液を得た。
(e)特許文献1の例1中a)~c)に記載の方法で合成した3-アミノ-5-tert-ブチル-2H-ピラゾール-4-カルボニトリル10.9部を酢酸54.2gと35%塩酸21.7部中に溶解させた。得られた溶解液に内温5~10度で40%亜硝酸ナトリウム水溶液12.8部を滴下し、10分攪拌することでジアゾニウム塩を調整した。(d)で得られた式(iv)の水溶液に酢酸28.8部、酢酸ナトリウム33.5部を投入し、内温10度未満で調整したジアゾニウム塩を滴下した。1時間攪拌したのち、25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調整し、メタノール2L中に加えた。析出した固体を濾過して80度で乾燥させることで式(v)の化合物30.5部を得た。
(f)2,3-ジクロロニトロベンゼン38.4部を32%発煙硫酸141.0部中に内温10度以下を保持しながら加え、室温にて10時間攪拌した。得られた反応液を氷300部と水300部中に加え、析出した結晶を濾過したのち80度で乾燥させることで、式(vi)の化合物49.3部を得た。
(g)(e)で得られた式(v)の化合物5.0部、(f)で得られた式(vi)の化合物3.3部と炭酸カリウム5.3部をN-メチル-2-ピロリドン100部140度で2時間攪拌した。濾過にて不溶解分を除去し、濾液をアセトン300ml中に加えた。析出した固体を濾過して80度で乾燥させることで、式(I)の化合物を4.5部得た。
(合成例2)
(a)2-ブロモ-6-ニトロフェノール10.0部をジクロロメタン200mlとトリエチルアミン16ml中に溶解させ、内温10度以下で無水トリフラート11mlを滴下した。30分攪拌ののち、水200mlを加えて有機層を抽出し、減圧蒸留にて溶媒を除去することで式(vii)の化合物18.9部を得た。
(a)2-ブロモ-6-ニトロフェノール10.0部をジクロロメタン200mlとトリエチルアミン16ml中に溶解させ、内温10度以下で無水トリフラート11mlを滴下した。30分攪拌ののち、水200mlを加えて有機層を抽出し、減圧蒸留にて溶媒を除去することで式(vii)の化合物18.9部を得た。
(合成例3)
(a)4-スルホフェニルヒドラジン0.5水和物19.2部を水80部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整し、4-スルホフェニルヒドラジン水溶液を得た。オルト酢酸トリエチル16.2部、マロノニトリル6.4部をエタノール10.0部に加え3時間加熱還流し、60度まで冷却ののち4-スルホフェニルヒドラジン水溶液に加えた。得られた混合液を4時間加熱還流し、冷却ののちアセトン1000mlに加えた。析出した固体を濾過し80度で乾燥させることで、式(viii)の化合物18.9部を得た。
(a)4-スルホフェニルヒドラジン0.5水和物19.2部を水80部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整し、4-スルホフェニルヒドラジン水溶液を得た。オルト酢酸トリエチル16.2部、マロノニトリル6.4部をエタノール10.0部に加え3時間加熱還流し、60度まで冷却ののち4-スルホフェニルヒドラジン水溶液に加えた。得られた混合液を4時間加熱還流し、冷却ののちアセトン1000mlに加えた。析出した固体を濾過し80度で乾燥させることで、式(viii)の化合物18.9部を得た。
(b)3-アミノ-5-tert-ブチル-2H-ピラゾール-4-カルボニトリルの代わりに(a)で得られた式(viii)の化合物5.0部を使用し、その他の試薬の使用量を0.25倍にすること以外は合成例1の手順(e)と同様の操作を行い、式(III)の化合物を8.3部得た。
(合成例4)
(a)2,6-ジメチルヨードベンゼン90.8部、3-ニトロアニリン30.0部、銅粉0.3部、炭酸カリウム30.1部を1,2-ジクロロベンゼン200部中で24時間加熱還流した。得られた反応液にヨードベンゼン80.0部、1,2-ジクロロベンゼン200部、銅粉0.3部、炭酸カリウム30.1部を加えさらに24時間加熱還流した。得られた反応液から濾過により不溶解成分を除去し、減圧蒸留にて溶媒を除去することで式(ix)の化合物を56.5部得た。
(a)2,6-ジメチルヨードベンゼン90.8部、3-ニトロアニリン30.0部、銅粉0.3部、炭酸カリウム30.1部を1,2-ジクロロベンゼン200部中で24時間加熱還流した。得られた反応液にヨードベンゼン80.0部、1,2-ジクロロベンゼン200部、銅粉0.3部、炭酸カリウム30.1部を加えさらに24時間加熱還流した。得られた反応液から濾過により不溶解成分を除去し、減圧蒸留にて溶媒を除去することで式(ix)の化合物を56.5部得た。
(b)(a)で得られた式(ix)の化合物21.9部をアセトニトリル200.0部中に溶解させた。得られた溶解液に内温30度未満でクロロスルホン酸32.1部を滴下したのち、2時間加熱還流した。得られた反応液を室温に冷却したのち氷150部と水150部中に投入し、減圧留去によりアセトニトリルを除去した。25%水酸化ナトリウムにより中和ののち、濾過により不溶解分を除去することで式(x)の水溶液を得た。
(合成例7)
(a)タウリン22.0部を水400ml中に投入し、攪拌しながら25%水酸化ナトリウム水溶液を追加してpHを13に調整することでタウリン水溶液を得た。式(xii)の化合物20.0gをジクロロメタン400.0部中に溶解させ、得られた溶液に内温15度未満でクロロスルホン酸40.4部を滴下したのち、内温15度未満で30分攪拌することでクロロスルホン化反応液を得た。クロロスルホン化反応液を、攪拌させた前記タウリン水溶液に内温15度以下を保持しながら投入し、25%水酸化ナトリウム水溶液を追加することでpHを10に調整した。室温でジクロロメタンを蒸発させながら12時間室温で攪拌することで式(xvi)の水溶液を得た。
(a)タウリン22.0部を水400ml中に投入し、攪拌しながら25%水酸化ナトリウム水溶液を追加してpHを13に調整することでタウリン水溶液を得た。式(xii)の化合物20.0gをジクロロメタン400.0部中に溶解させ、得られた溶液に内温15度未満でクロロスルホン酸40.4部を滴下したのち、内温15度未満で30分攪拌することでクロロスルホン化反応液を得た。クロロスルホン化反応液を、攪拌させた前記タウリン水溶液に内温15度以下を保持しながら投入し、25%水酸化ナトリウム水溶液を追加することでpHを10に調整した。室温でジクロロメタンを蒸発させながら12時間室温で攪拌することで式(xvi)の水溶液を得た。
(合成例8)
式(v)の代わりに合成例7(b)で得られた式(xvii)の化合物6.3部を、式(vi)の代わりに2,3-ジクロロニトロベンゼン2.3部使用する以外は合成例1の手順(g)と同様にして、式(VIII)の化合物を4.7部得た。
式(v)の代わりに合成例7(b)で得られた式(xvii)の化合物6.3部を、式(vi)の代わりに2,3-ジクロロニトロベンゼン2.3部使用する以外は合成例1の手順(g)と同様にして、式(VIII)の化合物を4.7部得た。
[(B)水性インク組成物の調製とその作業性評価]
表1に記載の色素0.35部と水3.15部を混合し、1時間超音波洗浄機(株式会社エスエヌディ製、型名USM)にて振動をかけ色素が溶解したかどうかを確認した。その後、表1の通り残りの各成分を混合し1時間撹拌して溶液とした後、0.45μmのメンブランフィルター(アドバンテック社製、DISMIC-13HP045AN)で濾過することにより、実施例1~9及び比較例1の水性インク組成物を調製した。なお、表1中の各成分の数値は「部」を意味する。水性インク組成物調製の作業性の優劣は以下のように判断し、表2に示した。
A:水のみで色素が溶解した
B:水のみでは色素が完全に溶解せず、インク組成物調整後に色素が溶解した
C:インク組成物調整後に溶解していない色素が存在する
表1に記載の色素0.35部と水3.15部を混合し、1時間超音波洗浄機(株式会社エスエヌディ製、型名USM)にて振動をかけ色素が溶解したかどうかを確認した。その後、表1の通り残りの各成分を混合し1時間撹拌して溶液とした後、0.45μmのメンブランフィルター(アドバンテック社製、DISMIC-13HP045AN)で濾過することにより、実施例1~9及び比較例1の水性インク組成物を調製した。なお、表1中の各成分の数値は「部」を意味する。水性インク組成物調製の作業性の優劣は以下のように判断し、表2に示した。
A:水のみで色素が溶解した
B:水のみでは色素が完全に溶解せず、インク組成物調整後に色素が溶解した
C:インク組成物調整後に溶解していない色素が存在する
表1中の略号等は、以下の意味を有する。
1-1:上記式(I)で表される化合物
1-2:上記式(II)で表される化合物
1-3:上記式(III)で表される化合物
1-4:上記式(IV)で表される化合物
1-5:上記式(V)で表される化合物
1-6:上記式(VI)で表される化合物
1-7:上記式(VII)で表される化合物
1-8:上記式(VIII)で表される化合物
1-9:上記式(IX)で表される化合物
2:特許文献3に記載の式(122)の化合物
BDG:ブチルジグリコール
Gly:グリセリン
IPA:イソプロパノール
SF104:サーフィノール104PG-50(日信化学工業社製サーフィノール104の50%プロピレングリコール溶液)
1-1:上記式(I)で表される化合物
1-2:上記式(II)で表される化合物
1-3:上記式(III)で表される化合物
1-4:上記式(IV)で表される化合物
1-5:上記式(V)で表される化合物
1-6:上記式(VI)で表される化合物
1-7:上記式(VII)で表される化合物
1-8:上記式(VIII)で表される化合物
1-9:上記式(IX)で表される化合物
2:特許文献3に記載の式(122)の化合物
Gly:グリセリン
IPA:イソプロパノール
SF104:サーフィノール104PG-50(日信化学工業社製サーフィノール104の50%プロピレングリコール溶液)
[(C)インクジェット記録]
実施例1~9及び比較例1のインク組成物を、インクジェットプリンタ(キヤノン社製、商品名:PIXUS ip7230)を用いて、光沢紙(キヤノン社製、商品名:キヤノン写真用紙・プラチナグレード(PT-201)にインクジェット記録を行った。記録の際は、100%、85%、70%、55%、40%、25%濃度の6段階の階調が得られるように画像パターンを作り、マゼンタのグラデーションの記録物を得た。これを試験片として以下の評価試験を実施した。
実施例1~9及び比較例1のインク組成物を、インクジェットプリンタ(キヤノン社製、商品名:PIXUS ip7230)を用いて、光沢紙(キヤノン社製、商品名:キヤノン写真用紙・プラチナグレード(PT-201)にインクジェット記録を行った。記録の際は、100%、85%、70%、55%、40%、25%濃度の6段階の階調が得られるように画像パターンを作り、マゼンタのグラデーションの記録物を得た。これを試験片として以下の評価試験を実施した。
[(D)測色機と測色条件]
各試験片の記録画像の測色は、X-rite社製の測色機(商品名Spectro EyeRTM)を用いて行った。測色は濃度基準にANSI A、視野角2度、光源D65の条件で行った。
各試験片の記録画像の測色は、X-rite社製の測色機(商品名Spectro EyeRTM)を用いて行った。測色は濃度基準にANSI A、視野角2度、光源D65の条件で行った。
[(E)発色性]
各試験片の100%濃度の階調部分について、反射濃度(Dm値)を測色した。結果を以下の基準で評価し、表2に示した。反射濃度(Dm値)はより高い数値のものが、より優れる。
A:反射濃度(Dm値)が2.0以上
B:反射濃度(Dm値)が1.7以上2.0未満
C:反射濃度(Dm値)が1.7未満
各試験片の100%濃度の階調部分について、反射濃度(Dm値)を測色した。結果を以下の基準で評価し、表2に示した。反射濃度(Dm値)はより高い数値のものが、より優れる。
A:反射濃度(Dm値)が2.0以上
B:反射濃度(Dm値)が1.7以上2.0未満
C:反射濃度(Dm値)が1.7未満
[(F)耐光性試験]
各試験片をホルダ-を用い、キセノンウェザーメータXL75(スガ試験機株式会社製)中に設置し、温度24℃、湿度60%RH、100klux照度で168時間照射した。試験後の各試験片の100%濃度の階調部分について、反射濃度(Dm値)を測色した。得られた反射濃度から色素残存率を算出し、Dm色素残存率を以下の基準で評価し、表2に示した。色素残存率(%)はより高い数値のものが、より優れる。
A:試験後の残存率が90%以上
B:試験後の残存率が80%以上90%未満
C:試験後の残存率が70%以上80%未満
D:試験後の残存率が60%以上70%未満
E:試験後の残存率が50%以上60%未満
F:試験後の残存率が50%未満
各試験片をホルダ-を用い、キセノンウェザーメータXL75(スガ試験機株式会社製)中に設置し、温度24℃、湿度60%RH、100klux照度で168時間照射した。試験後の各試験片の100%濃度の階調部分について、反射濃度(Dm値)を測色した。得られた反射濃度から色素残存率を算出し、Dm色素残存率を以下の基準で評価し、表2に示した。色素残存率(%)はより高い数値のものが、より優れる。
A:試験後の残存率が90%以上
B:試験後の残存率が80%以上90%未満
C:試験後の残存率が70%以上80%未満
D:試験後の残存率が60%以上70%未満
E:試験後の残存率が50%以上60%未満
F:試験後の残存率が50%未満
表2の結果から明らかなように、式(I)から式(IX)のアゾ化合物は水性媒体への溶解性が高いため、実施例1~9のインク組成物を優れた作業性で調製できたのに対し、比較例1に用いたアゾ化合物は水性媒体に対する溶解性が低く、インク組成物の調製が困難であった。さらに、実施例1~9のインク組成物を用いて得られた試験片は、比較例1を用いて得られた試験片と比べて反射濃度が高く、良好な発色性を備えていた。また、実施例1~9のインク組成物を印刷して得られた試験片は、いずれも光照射後の色素残存率が高く、耐光性に優れていたのに対して、比較例1のインク組成物を印刷して得られた試験片は色素残存率が低く、耐光性が劣っていた。このように、実施例1~9は比較例1に対して全ての試験項目に置いて優れた結果を示していた。
Claims (16)
- 下記式(1)で表されるアゾ化合物またはその塩。
R2はシアノ基または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、
R3は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、またはシアノ基を表し、
R4は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホ基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、シアノ基、または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、
X1はNまたはC(R5)を表し、
R5は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、またはシアノ基を表し、
R6は水素原子、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表し、
R7は水素原子またはC1-C4の置換もしくは無置換のカルボニル基を表し、
R8は水素原子またはC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表し、
R7とR8は結合して5員環または6員環を形成してもよく、
R9、R10、およびR11はそれぞれ独立に水素原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のC1-C4アルコキシ基、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表し、
R12、R14、R16、およびR18はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表し、
R13およびR17はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基、スルホ基、カルボキシ基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、
R15R19はそれぞれ独立に水素原子、スルホ基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を表す。) - 式(1)において、R9、R10、およびR11のうち少なくとも1つが水素原子である請求項1に記載のアゾ化合物またはその塩。
- 式(1)において、R7が水素原子である請求項1または2に記載のアゾ化合物またはその塩。
- 式(1)において、R2がシアノ基である請求項1~3のいずれか一項に記載のアゾ化合物またはその塩。
- 式(1)において、R16およびR18のうち少なくとも1つが水素原子である請求項1~4のいずれか一項に記載のアゾ化合物またはその塩。
- 式(1)において、R8がC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基である請求項1~5のいずれか一項に記載のアゾ化合物またはその塩。
- 式(1)において、R1がC1-C4の置換もしくは無置換のアルキル基である請求項1~6のいずれか一項に記載のアゾ化合物またはその塩。
- 式(1)において、R13およびR17のうち少なくとも1つがスルホ基である請求項1~6のいずれか一項に記載のアゾ化合物またはその塩。
- 式(1)で表されるアゾ化合物が、下記式(2)で表されるアゾ化合物である請求項1に記載のアゾ化合物またはその塩。
- 請求項1~9のいずれか一項に記載のアゾ化合物またはその塩を、色素として含有するインク組成物。
- 水溶性有機溶剤をさらに含有する請求項10に記載のインク組成物。
- 請求項10または11に記載のインク組成物をインクとして用い、前記インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて記録メディアに記録を行うインクジェット記録方法。
- 前記記録メディアがシート状記録メディアである請求項13に記載のインクジェット記録方法。
- 前記シート状記録メディアが多孔性白色無機物を含む請求項13に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項10または11に記載のインク組成物を含む容器を備えるインクジェットプリンタ。
- a)請求項1~9のいずれか一項に記載のアゾ化合物もしくはその塩、または
b)請求項10または11に記載のインク組成物
が付着した着色体。
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