JP2019167490A - インク組成物、インクジェット記録方法及び着色体 - Google Patents
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Abstract
【課題】保存安定性が高く、記録画像の高い発色性(印字濃度)を有し、彩度及び耐オゾン性に優れる黄色インク組成物、それを用いたインクジェット記録方法及び着色体の提供。【解決手段】色素(A)として、下記式(1)で表される化合物若しくはその塩を少なくとも1種、及び、色素(B)として、光吸収波長領域350nm〜700nmの範囲に極大吸収波長(λmax)を有する化合物を少なくとも1種を含むインク組成物。(式(1)中、Qはハロゲン原子を表し、R101及びR102はそれぞれ独立に、イオン性親水性で置換されたアルキル基を表す。Aは、ヒドロキシアミノ基を表す。)【選択図】なし
Description
本発明は、特定の2種類の色素を含むインク組成物、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法、及び該インク組成物によって着色された着色体に関する。より詳細には、特定の式で表される色素(A)と、光吸収波長領域350nm〜700nmの範囲に極大吸収波長(λmax)を有する色素(B)とを含むインク組成物、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法及び該インク組成物によって着色された着色体に関する。
各種カラー記録方法の中で、その代表的方法の1つであるインクジェットプリンタによる記録方法は、インクの吐出方式が各種開発されている。これらは、いずれもインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材とが直接接触しないため、音の発生が少ななく静かである。また、小型化、高速化、カラー化が容易であるという特徴を有するため、近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。従来、万年筆やフェルトペン等のインク、及びインクジェット記録用のインクとしては、水溶性の色素(染料)を水性媒体に溶解したインクが使用されている。これらの水性インクには、ペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性の有機溶剤が添加されている。これらのインクには、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性が良いこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等の性能が要求される。
インクジェットのノズル詰まりは、ノズル付近でインク中の水分が他の溶剤や添加剤よりも先に蒸発し、水分が少なく溶剤や添加剤が多いという組成状態になったときに、色素が固化し析出することに由来するものが多い。よって、インク中の水分が少ない状態になった場合においても固体が析出しにくいということが非常に重要な要求性能の1つである。この理由から、溶剤や添加剤に対する高い溶解性も色素に求められる性質の1つである。また、ノズル詰まりを解消する方法として、印字濃度の高い色素を用いる手法が知られている。印字濃度が高い色素を用いることで、従来の印字濃度を保ちつつ、インク中の色素含有量を減らすことができる。これは色素を析出しにくくするだけでなく、コスト面でも有利であり、高い印字濃度を持つ色素の開発が望まれている。
一方、コンピューターのカラーディスプレイ上の画像又は文字情報をインクジェットプリンタによりカラーで記録するには、一般にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクによる減法混色が用いられ、これにより記録画像がカラーで表現される。CRT(ブラウン管)ディスプレイ等におけるレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)による加法混色画像を、減法混色画像でできるだけ忠実に再現するために、インクに使用される各色素、中でもY、M、Cのそれぞれが、標準色に近い色相を有し、且つ鮮明であることが望まれる。ここで言う鮮明さとは、一般的に高い彩度を持つことを意味する。彩度が低いY、M、Cの3原色を用いた場合、単色又は混色で表現できる色領域が狭くなり、表現したい色領域の範囲としては不十分となる場合がある。このため、高彩度な色素と、それを含有するインクの開発が望まれている。また、インクの性能としては、長期の保存に対して安定であり、記録画像の濃度が高く、しかもその画像が耐水性、耐湿性、耐光性、耐ガス性等の堅牢性に優れることが求められる。ここで耐ガス性とは、空気中に存在する酸化作用を持つガス(酸化性ガスとも呼ばれる)が、被記録材上又は被記録材中で、記録画像の色素(染料)と反応し、記録画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。酸化性ガスの中でも特にオゾンガスは、インクジェット記録画像の変退色現象を促進させる主要な原因物質とされている。この変退色現象はインクジェット記録画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上はこの分野における重要な技術的課題である。
近年のインクジェット技術の発達により、インクジェット記録(印刷)のスピードの向上がめざましい。このため、電子トナーを用いたレーザープリンタと同様に、オフィス環境での主用途である普通紙へのドキュメントの印刷に、インクジェットプリンタを用いる市場の動きがある。インクジェットプリンタは記録紙の種類を選ばず、またプリンタ自体の価格が安いという利点があり、特にスモールオフィス・ホームオフィス(SOHO)等の小〜中規模オフィス環境で普及が進んでいる。このように普通紙への印刷用途でインクジェットプリンタを使用する場合、印刷物に求められる品質の中では、色相、発色(印字)濃度、及び耐湿性がより重視される傾向がある。これらの性能を満たす目的で、顔料インクを用いる方法が提案されている。しかし、顔料インクは色素が水性インク中には溶解しないため溶液状態とはならず、分散状態のインクであるため、これをインクジェット記録に用いると、インク自体の安定性の問題や記録ヘッドのノズル詰まりの問題等が生じる。また、顔料インクを使用した場合、耐擦性にも問題を生じることが多い。染料インクの場合、このような問題は比較的起こりにくいとされるが、特に耐湿性において顔料インクと比較して著しく劣り、それに対する改良が強く望まれている。また、染料インクは顔料インクと異なり、インクジェット記録により普通紙の表面に付着させた色素が、より速く紙の裏面方向へ浸透し、その結果、発色濃度が低下するという問題が起こりやすい。
写真画質のインクジェット記録画像を得る方法の1つとして、被記録材の表面にインク受容層を設ける方法がある。このような目的で設けられるインク受容層は、インクの乾燥を早め、また高画質での色素の滲みを少なくするために、多孔性白色無機物を含むことが多い。しかしながら、特にこのような被記録材において、上記オゾンガスによる変退色が顕著に見られる。最近のデジタルカメラ及びカラープリンタの普及と共に、家庭でもデジタルカメラ等で得られた画像を写真画質として印刷する機会が増しているため、上記の酸化性ガスによる記録画像の変退色が問題視される。他の3原色であるマゼンタやシアンと比較すると、イエロー色素については耐光性と共に、良好な酸化性ガスへの耐性を有する色素が提案されてきている。しかしながら、市場が要求するような高い鮮明性と各種堅牢性とを十分に満足するインクジェット記録用の黄色色素やイエローインクは、未だ得られていない。
水溶性及び鮮明性に優れる公知のインクジェット用の黄色色素としては、C.I.(カラーインデックス)ダイレクト・イエロー132が挙げられる。特許文献1〜3には、C.I.(カラーインデックス)ダイレクト・イエロー132をインクジェットに使用した例が開示されている。また、特許文献4には、特許文献5の実施例1に開示された方法によって製造することができる黄色色素をインクジェットに使用した例が開示されている。
本発明は、保存安定性が高く、記録画像の高い発色性(印字濃度)を有し、彩度及び耐オゾン性に優れる黄色インク組成物、それを用いたインクジェット記録方法及び着色体の提供を目的とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく、鋭意検討の結果、特定の式で表される水溶性アゾ化合物の組合せを含むインク組成物が、上記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記1)〜13)に関する。
1)
色素(A)として、下記式(1)で表される化合物若しくはその塩を少なくとも1種、及び、色素(B)として、光吸収波長領域350nm〜700nmの範囲に極大吸収波長(λmax)を有する化合物を少なくとも1種含むインク組成物。
1)
色素(A)として、下記式(1)で表される化合物若しくはその塩を少なくとも1種、及び、色素(B)として、光吸収波長領域350nm〜700nmの範囲に極大吸収波長(λmax)を有する化合物を少なくとも1種含むインク組成物。
(式(1)中、Qはハロゲン原子を表し、R101及びR102はそれぞれ独立に、イオン性親水性で置換されたアルキル基を表す。Aは、下記式(101)で表される。)
(式(101)中、Rは分岐鎖状のアルキレン基を表す。*はトリアジン環との結合位置を表す。)
2)
式(1)で表される化合物が、下記式(1−1)で表される1)に記載のインク組成物。
2)
式(1)で表される化合物が、下記式(1−1)で表される1)に記載のインク組成物。
(式(1−1)中、Q及びAは、式(1)におけるのと同じであり、xは2〜4の整数を表す。)
3)
式(1)で表される化合物において、Qが塩素原子である1)に記載のインク組成物。
4)
式(1−1)で表される化合物において、xが3である2)に記載のインク組成物。
5)
式(1)で表される化合物が、下記式(1−2)で表される1)に記載のインク組成物。
3)
式(1)で表される化合物において、Qが塩素原子である1)に記載のインク組成物。
4)
式(1−1)で表される化合物において、xが3である2)に記載のインク組成物。
5)
式(1)で表される化合物が、下記式(1−2)で表される1)に記載のインク組成物。
6)
色素(B)が、分子内にアゾ結合(−N=N−)を少なくとも一つ有する化合物である1)〜5)のいずれか一項に記載のインク組成物。
7)
色素(B)が下記式(2)で表される化合物である1)〜6)のいずれか一項に記載のインク組成物。
色素(B)が、分子内にアゾ結合(−N=N−)を少なくとも一つ有する化合物である1)〜5)のいずれか一項に記載のインク組成物。
7)
色素(B)が下記式(2)で表される化合物である1)〜6)のいずれか一項に記載のインク組成物。
(式(2)中、α及びβは、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい5員又は6員ヘテロ環基表す。)
8)
インク組成物中において、色素(A)の含有率が色素(B)の含有率よりも多い1)〜7)のいずれか一項に記載のインク組成物。
9)
1)〜8)のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクの液滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより、記録を行うインクジェット記録方法。
10)
被記録材が情報伝達用シートである9)に記載のインクジェット記録方法。
11)
情報伝達用シートが、多孔性白色無機物を含むインク受容層を有するシートである10)に記載のインクジェット記録方法。
12)
1)〜8)のいずれか一項に記載のインク組成物により着色された着色体。
13)
1)〜8)のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ。
8)
インク組成物中において、色素(A)の含有率が色素(B)の含有率よりも多い1)〜7)のいずれか一項に記載のインク組成物。
9)
1)〜8)のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクの液滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより、記録を行うインクジェット記録方法。
10)
被記録材が情報伝達用シートである9)に記載のインクジェット記録方法。
11)
情報伝達用シートが、多孔性白色無機物を含むインク受容層を有するシートである10)に記載のインクジェット記録方法。
12)
1)〜8)のいずれか一項に記載のインク組成物により着色された着色体。
13)
1)〜8)のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ。
本発明により、保存安定性に優れ、また彩度が高い黄色を呈し、印字された画像の濃度が高く、記録画像の耐光性に優れた記録画像を与える黄色インク組成物が得られた。当該インク組成物は、各種記録用のインク用途、特にインクジェット記録用のインク用途に極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書においては、煩雑さを避けるため、「化合物」「その互変異性体」「その塩」の全てを含めて、「化合物」と簡略化して記載する。また、本発明において特に断りが無い限り、スルホ基及びカルボキシ基等の酸性官能基は遊離酸の形で表す。
本明細書においては、煩雑さを避けるため、「化合物」「その互変異性体」「その塩」の全てを含めて、「化合物」と簡略化して記載する。また、本発明において特に断りが無い限り、スルホ基及びカルボキシ基等の酸性官能基は遊離酸の形で表す。
本発明のインク組成物は、特定の式で表される色素(A)と、色素(B)として、光吸収波長領域350nm〜700nmの範囲に極大吸収波長(λmax)を有する色素とを含むインク組成物である。
[色素(A)について]
上記インク組成物に含む色素(A)について記載する。
上記インク組成物に含む色素(A)について記載する。
上記インク組成物が含む色素(A)は、上記式(1)で表される化合物である。色素(A)は少なくとも1種類の式(1)で表される化合物からなり、式(1)で表される単一の化合物を含む色素若しくは複数の化合物を含む色素の混合物であってもよい。
上記式(1)中、Qはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。これらの中ではフッ素原子又は塩素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
上記式(1)中、R101及びR102はそれぞれ独立に、イオン性親水性で置換されたアルキル基を表す。イオン性親水性で置換されたアルキル基におけるアルキル基部分の炭素数は2〜4の整数で表されるが、3であることが特に好ましい。また、上記イオン性親水性基の置換数は特に制限されないが、通常1〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。上記イオン性親水性基としては、例えば、スルホ基、カルボキシ基、ホスホ基、ヒドロキシ基及び4級アンモニウム基から選択される基が挙げられる。これらの中ではスルホ基、カルボキシ基、及びホスホ基から選択される基であることが好ましく、スルホ基、及びカルボキシ基から選択される基がより好ましく、スルホ基がさらに好ましい。上記R101及びR102におけるイオン性親水性基で置換されたアルキル基の具体例としては、例えば、スルホメチル基、スルホエチル基、2,3−ジスルホプロピル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、5−スルホペンチル基、6−スルホヘキシル基、7−スルホヘプチル基、8−スルホオクチル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、4−カルボキシブチル基、5−カルボキシペンチル基、6−カルボキシヘキシル基、7−カルボキシヘプチル基、8−カルボキシオクチル基、ホスホメチル基、ホスホエチル基、3−ホスホプロピル基、4−ホスホブチル基、5−ホスホペンチル基、6−ホスホヘキシル基、7−ホスホヘプチル基、8−ホスホオクチル基、トリメチルアンモニウムメチル基、トリメチルアンモニウムエチル基、3−トリメチルアンモニウムプロピル基、4−トリメチルアンモニウムブチル基、5−トリメチルアンモニウムペンチル基、6−トリメチルアンモニウムヘキシル基、7−トリメチルアンモニウムヘプチル基、8−トリメチルアンモニウムオクチル基、2−メチル−3−スルホプロピル基、2,2−ジメチル−3−スルホプロピル基、4−スルホシクロヘキシル基、2,5−ジスルホシクロヘキシルメチル基等が挙げられ、3−スルホプロピル基であることが好ましい。
上記式(1)中、Aは上記式(101)で表される。式(101)中、Rは分岐鎖状のアルキレン基を表し、Rの炭素数の範囲は、通常2〜20、好ましくは3〜12、より好ましくは3〜8、さらに好ましくは3〜6である。その具体例としては、例えば、イソプロピレン基、s−プロピレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、t−ブチレン基、1−メチル−n−ブチレン基、2−メチル−n−ブチレン基、3−メチル−n−ブチレン基、1,1−ジメチル−n−プロピレン基、1,2−ジメチル−n−プロピレン基、2,2−ジメチル−n−プロピレン基、1−エチル−n−プロピレン基、n−ヘキシレン基、1−メチル−n−ペンチレン基、2−メチル−n−ペンチレン基、3−メチル−n−ペンチレン基、4−メチル−n−ペンチレン基、1,1−ジメチル−n−ブチレン基、1,2−ジメチル−n−ブチレン基、1,3−ジメチル−n−ブチレン基、2,2−ジメチル−n−ブチレン基、2,3−ジメチル−n−ブチレン基、3,3−ジメチル−n−ブチレン基、1−エチル−n−ブチレン基、2−エチル−n−ブチレン基、1,1,2−トリメチル−n−プロピレン基、1,2,2−トリメチル−n−プロピレン基、1−エチル−1−メチル−n−プロピレン基、1−エチル−2−メチル−n−プロピレン基、等が挙げられ、イソプロピレン基、s−プロピレン基、イソブチレン基、3−メチル−n−ブチレン基、t−ブチレン基であることが好ましく、3−メチル−n−ブチレン基であることが特に好ましい。上記式(101)中の*は、トリアジン環との結合位置を表す。
上記式(1)で表される化合物のうち、好ましい化合物が上記式(1−1)で表される化合物である。
上記式(1−1)中、Q及びAは、上記式(1)におけるのと同じである。xは2〜4の整数を表し、3が好ましい。
上記した全ての成分、及び事項について、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましく、より好ましいもの同士の組み合わせはさらに好ましい。好ましいものと、より好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
上記式(1)で表される化合物は、例えば次のようにして製造することができる。下記式(3−1)〜(7)において適宜使用されるQ、R101、R102は、それぞれ上記式(1)におけるのと同じである。
特開2004−75719号公報に記載の方法に準じて、2−アミノ−4−ハロゲノフェノールを原料として得られる下記式(3−1)で表される化合物を、重亜硫酸ナトリウム及びホルマリンを用いて下記式(4)で表されるメチル−ω−スルホン酸誘導体に変換する。次いで、常法により、下記式(5)で表される化合物をジアゾ化し、先に得られた式(4)のメチル−ω−スルホン酸誘導体と、反応温度0〜15℃、pH4〜6でカップリング反応を行い、引き続き、反応温度80〜95℃、pH10.5〜11.5で加水分解反応を行うことにより、下記式(6−1)で表される化合物が得られる。
また、式(3−1)の代わりに、式(3−2)で表される化合物を用いる以外は前記と同様にして、式(6−2)で表される化合物を得ることができる。
また、式(3−1)の代わりに、式(3−2)で表される化合物を用いる以外は前記と同様にして、式(6−2)で表される化合物を得ることができる。
上記式(6−1)の化合物(1当量)、上記式(6−2)の化合物(1当量)及びハロゲン化シアヌル(例えば塩化シアヌル、1当量)とを、反応温度15〜45℃、pH5〜8で縮合することにより、下記式(7)の化合物が得られる。この反応は、例えば、上記式(6−1)又は上記式(6−2)の化合物のいずれか一方の1当量とハロゲン化シアヌル(1当量)とを反応させた後、得られた反応物に、他方の1当量をさらに反応させることもできる。
上記式(7)で表される化合物と、「H−A」で表される化合物とを、反応温度55〜95℃、pH6〜9で反応させることにより、脱HCl反応が起こり、上記式(1)で表される化合物を得ることができる。
上記式(1)で表される化合物の具体例を下記表1〜5に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されない。下記表1〜5において、スルホ基は遊離酸の形で表す。表1〜5中の略号等は、以下の意味を表す。
SMe:スルホメチル。
2−SEt:2−スルホエチル。
3−SnPr:3−スルホ−n−プロピル(3−スルホ−ノルマルプロピル)。
4−SnBu:4−スルホ−n−ブチル(4−スルホ−ノルマルブチル)
SMe:スルホメチル。
2−SEt:2−スルホエチル。
3−SnPr:3−スルホ−n−プロピル(3−スルホ−ノルマルプロピル)。
4−SnBu:4−スルホ−n−ブチル(4−スルホ−ノルマルブチル)
[色素(B)について]
上記インク組成物が含む色素(B)について記載する。
上記インク組成物が含む色素(B)について記載する。
上記インク組成物が含む色素(B)は、光吸収波長領域350nm〜700nmの範囲に極大吸収波長(λmax)を有する化合物であれば特に限定されるものではなく、色相の調整により任意に選択することができる。
上記光吸収波長領域350nm〜700nmの範囲に極大吸収波長(λmax)を有する化合物とは、化合物を含む水溶液のpHが5.5〜8.0の範囲にあり、且つ水中でのλmax(極大吸収波長)における吸光度が0.5〜1.5の範囲になるように吸光度を測定する際の該色素水溶液の濃度を調整した場合、光吸収波長領域350nm〜700nmの範囲にλmaxを有する化合物であることを意味する。上記インク組成物としては、光吸収波長領域350nm〜500nmの範囲にλmaxを有する化合物である場合が更に好ましい。
上記色素(B)としては、分子内にアゾ結合(−N=N−)を少なくとも一つ有する化合物である場合が好ましく、上記式(2)で表される化合物である場合がさらに好ましい。
上記式(2)で表される化合物は、α及びβがアゾ基によって連結した構造を持ち、これらの互変異性体も本発明に含まれる。α及びβは、それぞれ独立して置換基を有してもよい5員又は6員ヘテロ環基、置換基を有してもよいアリール基表す。
上記式(2)における5員又は6員ヘテロ環基としては、例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、ピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、ピラゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、及びピラジン環等が挙げられる。上記各環は、置換基を有していてもよく、該置換基同士が結合して、縮合環を形成してもよく、更に該縮合環上に置換基を有してもよい。上記各環及び縮合環上の置換基としては、例えば、アゾ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基及びその塩、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基及びその塩、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスホノ基及びその塩、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、並びに4級アンモニウム塩等が挙げられる。
上記アゾ基とは、例えば、アゾフェニル基、アゾナフチル基等、が挙げられ、これらは更に置換基を有していても良い。ハロゲン原子としては上記と同じで良い。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖アルキル基、iso−プロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の分岐鎖状アルキル基、シクロペンタン基、シクロヘキサン基等のシクロアルキル基等が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、ペンタ−1,3−ジエニル基等が挙げられる。アルキニル基としては、例えば、エチニル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。ヘテロ環基としては上記と同じで良い。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。シリルオキシ基としては例えば、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、ジエチル(iso−プロピル)シリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基等が挙げられる。ヘテロ環オキシ基としては例えば、上記ヘテロ環に酸素原子が結合した基が挙げられる。アシルオキシ基としては、例えばアセチルオキシ基等が挙げられる。アルコキシカルボニルオキシ基としては例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシカルボニルオキシ基としては例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、ナフトキシカルボニルオキシ基が挙げられる。アミノ基としては、例えば、非置換のアミノ基、置換アミノ基が挙げられる。置換アミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基等が挙げられる。アシルアミノ基としては、例えば、アセチルアミノ基等が挙げられる。アルコキシカルボニルアミノ基としては、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、ナフトキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。アルキル及びアリールスルホニルアミノ基としては、例えば、ベンジルスルホニルアミノ基等が挙げられる。アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ブチルチオ基等が挙げられる。アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、ナフトチオ基等が挙げられる。ヘテロ環チオ基とは、例えば、上記ヘテロ環に硫黄原子が結合した基が挙げられる。アルキル及びアリールスルフィニル基としては、例えば、ベンジルスルフィニル基等が挙げられる。アルキル及びアリールスルホニル基としては、例えば、ベンジルスルホニル基等が挙げられる。アシル基としては、例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基等が挙げられる。アリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基等が挙げられる。アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。アリール及びヘテロ環アゾ基とは、例えば、上記アリール基とヘテロ環とアゾ基が結合した基が挙げられる。
上記式(2)におけるアリール基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環などが挙げられ、さらに置換基を有していてもよく、該置換基同士が結合して、縮合環を形成してもよく、更に該縮合環上に置換基を有してもよい。上記各環及び縮合環上の置換基としては、例えば、アゾ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基、スルファモイル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、ホスホ基、ホスフィノ基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ニトロ基、シリル基、アシル基、C1〜C6アルキル基(ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基、及びスルファモイル基から選択される1又は2以上の置換基で置換されていても良い)、C1〜C6アルコキシ基(ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基、及びスルファモイル基から選択される1又は2以上の置換基で置換されていても良い)、C1〜C6スルホアルキル基(ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基、及びスルファモイル基ら選択させる1又は2以上の置換基で置換されていても良い)、C1〜C6アルキルチオ基(ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基、及びスルファモイル基から選択される1又は2以上の置換基で置換されていても良い)、C1〜C6アルキルアミノ基(ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基、及びスルファモイル基から選択させる1又は2以上の置換基で置換されていても良い)、又はアシルアミノ基、アリールオキシ基、ヘテロ環基、ヘテロ環オキシ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。アゾ基、ハロゲン原子、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アリールオキシ基、ヘテロ環基、ヘテロ環オキシ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、としてはそれぞれ上記と同じで良い。
色素(B)の具体例としては、例えば、特許第5667791号記載の化26〜化36に記載の化合物、特許第4073453号記載の化16〜化24で表される化合物、下記表6〜24に記載の化合物、C.I.DirectYellow12、24、26、27、28、33、34、39、44、58、86、87、98、100、120、130、132、142、173、等の直接染料、AcidYellow3、11、17、19、23、25、29、38、42、49、59、61、71、72、等の酸性染料、C.I.ReactiveYellow2、3、13、15、17、18、23、24、37、42、57、58、64、75、76、77、79、81、84、85、87、88、91、92、93、95、102、111、115、116、130、131、132、133、135、137、139、140、142、143、144、145、146、147、148、151、162、163、等の反応性染料等を挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではない。
以下に、上記式(2)で表される化合物の具体的な例を示す。
下記表6〜24において、スルホ基は遊離酸の形で表す。各表中の略号は、それぞれ以下の意味を表す。
SMe:スルホメチル。
2−SEt:2−スルホエチル。
3−SnPr:3−スルホ−n−プロピル(3−スルホ−ノルマルプロピル)。
4−SnBu:4−スルホ−n−ブチル(4−スルホ−ノルマルブチル)
下記表6〜24において、スルホ基は遊離酸の形で表す。各表中の略号は、それぞれ以下の意味を表す。
SMe:スルホメチル。
2−SEt:2−スルホエチル。
3−SnPr:3−スルホ−n−プロピル(3−スルホ−ノルマルプロピル)。
4−SnBu:4−スルホ−n−ブチル(4−スルホ−ノルマルブチル)
上記式(2)で表される化合物の好ましい具体例として、下記式(2−1)で表される化合物が挙げられる。
上記式(2−1)で表される化合物の具体例を表6〜9に挙げる。
[表6〜9記載の化合物の合成例]
上記「H−A」で表される化合物の代わりに、下記式(A−1)で表される化合物を用いる以外は上記式(1)で表される化合物の合成法と同様にして、上記式(2−1)で表される化合物を得ることができる。
上記「H−A」で表される化合物の代わりに、下記式(A−1)で表される化合物を用いる以外は上記式(1)で表される化合物の合成法と同様にして、上記式(2−1)で表される化合物を得ることができる。
上記式(2)で表される化合物の好ましい具体例として、下記式(2−2)で表される化合物が挙げられる。
上記式(2−2)で表される化合物の具体例を表10〜13に挙げる。
[表10〜13記載の化合物の合成例]
特開2004−75719号公報に記載の方法に準じて、2−アミノ−4−ハロゲノフェノールを原料として得られる下記式(3−1)で表される化合物を、重亜硫酸ナトリウム及びホルマリンを用いて下記式(4)で表されるメチル−ω−スルホン酸誘導体に変換する。次いで、常法により、下記式(C)で表される化合物をジアゾ化し、先に得られた式(4)のメチル−ω−スルホン酸誘導体と、反応温度0〜15℃、pH4〜6でカップリング反応を行い、引き続き、反応温度80〜95℃、pH10.5〜11.5で加水分解反応を行うことにより、下記式(D−1)で表される化合物が得られる。
また、式(3−1)の代わりに、式(3−2)で表される化合物を用いる以外は前記と同様にして、式(D−2)で表される化合物を得ることができる。
特開2004−75719号公報に記載の方法に準じて、2−アミノ−4−ハロゲノフェノールを原料として得られる下記式(3−1)で表される化合物を、重亜硫酸ナトリウム及びホルマリンを用いて下記式(4)で表されるメチル−ω−スルホン酸誘導体に変換する。次いで、常法により、下記式(C)で表される化合物をジアゾ化し、先に得られた式(4)のメチル−ω−スルホン酸誘導体と、反応温度0〜15℃、pH4〜6でカップリング反応を行い、引き続き、反応温度80〜95℃、pH10.5〜11.5で加水分解反応を行うことにより、下記式(D−1)で表される化合物が得られる。
また、式(3−1)の代わりに、式(3−2)で表される化合物を用いる以外は前記と同様にして、式(D−2)で表される化合物を得ることができる。
上記式(D−1)の化合物(1当量)、上記式(D−2)の化合物(1当量)及びハロゲン化シアヌル(例えば塩化シアヌル、1当量)とを、反応温度15〜45℃、pH5〜8で縮合することにより、下記式(E)の化合物が得られる。この反応は、例えば、上記式(D−1)又は式(D−2)の化合物の一方の1当量とハロゲン化シアヌル(1当量)とを反応させた後、得られた反応物に、他方の1当量をさらに反応させることもできる。
上記式(E)で表される化合物と、上記式(A−1)で表される化合物とを、反応温度55〜95℃、pH6〜9で反応させることにより、脱HCl反応が起こり、上記式(2−2)で表される化合物を得ることができる。
上記式(2)で表される化合物の好ましい具体例として、下記式(2−3)で表される化合物が挙げられる。
上記式(2−3)で表される化合物の具体例を表14〜18に挙げる。
[表14〜18記載の化合物の合成例]
上記式(E)で表される化合物と、下記式(G)で表される化合物とを、反応温度55〜95℃、pH6〜9で反応させることにより、脱HCl反応が起こり、上記(2−3)で表される化合物を得ることができる。
上記式(E)で表される化合物と、下記式(G)で表される化合物とを、反応温度55〜95℃、pH6〜9で反応させることにより、脱HCl反応が起こり、上記(2−3)で表される化合物を得ることができる。
上記式(2)で表される化合物の好ましい具体例として、下記式(2−4)で表される化合物が挙げられる。
上記式(2−4)における、R101及びR102はそれぞれ上記式(1)と同じである。Bは下記式(102)〜(104)のいずれかを表す。
(式(102)中、TはC2−C8アルキル基を表し、各*はトリアジン環との結合位置を表す。)
上記式(2−4)で表される化合物の具体例を、下記表19〜22に挙げる。各表中、C2〜C5は、炭素数を表し、C2はエチル基、C3はプロピル基、C4はブチル基、C5はペンチル基を表す。また、C3〜C5については、直鎖、分岐鎖状、環状のいずれの構造も含む。
[表19〜22記載の化合物の合成例]
上記「H−A」で表される化合物の代わりに、「H−B」で表される化合物を用いる以外は上記式(1)で表される化合物の合成法と同様にして、上記式(2−4)で表される化合物を得ることができる。
上記「H−A」で表される化合物の代わりに、「H−B」で表される化合物を用いる以外は上記式(1)で表される化合物の合成法と同様にして、上記式(2−4)で表される化合物を得ることができる。
また、上記式(2−1)〜(2−4)以外として、下記化合物(B−1)〜(B−54)として記載した構造も上記式(2)で表される化合物として好ましい。
上記化合物(B−1)〜(B−54)で表される化合物は、下記式(J)で表される芳香族アミン化合物を、ジアゾ化し、亜硫酸ナトリウムもしくは塩化スズを用いて還元することにより下記式(L)で表されるヒドラジン誘導体が得られる。若しくは下記式(K)で表される芳香族ハロゲン化物とヒドラジンを反応させることにより、下記式(L)で表されるヒドラジン誘導体が得られる。
次いで、上記式(L)の化合物とピバロイル酢酸エチルと縮合することにより、下記式(M)で表されるピラゾロン化合物が得られる。
次いで、下記式(N)で表される化合物をジアゾ化し、上記式(M)で表される化合物とカップリングすることにより、目的の化合物を得ることができる。
上記(J)〜(K)式中、Arは、下記式(O)を、式(N)におけるベンゼン環Cは、下記式(P)が任意の位置に結合したベンゼン環を表す。
上記(J)〜(K)式中、Arは、下記式(O)を、式(N)におけるベンゼン環Cは、下記式(P)が任意の位置に結合したベンゼン環を表す。
上記式(P)中、R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基、スルファモイル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、ホスホ基、ニトロ基、アシル基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、及びスルホ基から選択される1又は2以上の置換基で置換されても良い)、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、及びスルホ基から選択される1又は2以上の置換基で置換されても良い)、(C1〜C4)スルホアルキル基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、及びスルホ基から選択させる1又は2以上の置換基で置換されても良い)、(C1〜C4)アルキルチオ基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、及びスルホ基から選択される1又は2以上の置換基で置換されても良い)、(C1〜C4)アルキルアミノ基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、及びスルホ基から選択させる1又は2以上の置換基で置換されても良い)、又はアシルアミノ基を表す。ハロゲン原子、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基とは、それぞれ上記と同じで良い。
本発明の上記インク組成物に用いる色素(A)、(B)は、遊離酸、あるいはその塩として存在しても良い。色素(A)、(B)の塩としては、無機又は有機陽イオンとの塩が挙げられる。無機陽イオンの塩の具体例としては、アルカリ金属塩、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等の塩、及びアンモニウム塩(NH4+)が挙げられる。また、有機陽イオンとしては、たとえば下記式(8)で表される4級アンモニウムの塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記式(8)中、Z1〜Z4はそれぞれ独立に水素原子、C1−C4アルキル基、ヒドロキシC1−C4アルキル基、又はヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキル基を表し、Z1〜Z4の少なくとも1つは水素原子以外の基である。
ここで、Z1〜Z4における上記C1−C4アルキル基の例としてはメチル基、エチル基等が挙げられる。同様に、上記ヒドロキシC1−C4アルキル基の例としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。同様に、上記ヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキル基の例としては、ヒドロキシエトキシメチル基、2−ヒドロキシエトキシエチル基、3−(ヒドロキシエトキシ)プロピル基、3−(ヒドロキシエトキシ)ブチル基、2−(ヒドロキシエトキシ)ブチル基等が挙げられる。
上記塩のうち好ましいものは、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンの塩等の有機4級アンモニウム塩、アンモニウム塩、等が挙げられる。これらのうち、より好ましくは、リチウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩である。
上記インク組成物に用いる色素(A)、(B)を所望の塩とするには、各化合物の合成反応の最終工程が終了した後、所望の無機塩又は有機陽イオンの塩を反応液に添加することにより塩析する方法、又は、塩酸等鉱酸の添加により遊離酸の形で単離し、これを水、酸性の水又は水性有機媒体等を必要に応じ用いて洗浄することにより無機塩を除去後、水性の媒体中で所望の無機又は有機塩基により中和する方法、等により、対応する塩の固体、又は溶液を得ることができる。ここで酸性の水とは、例えば硫酸、塩酸等の鉱酸や酢酸等の有機酸を水に溶解し、酸性にしたものをいう。また水性有機媒体とは、水と混和可能な有機物質、又は水と混和可能ないわゆる有機溶剤等(具体例としては後述する水溶性有機溶剤等)と水との混和物が挙げられる。無機塩の例としては塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等アルカリ金属塩、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム等のアンモニウム塩が挙げられ、有機の陽イオンの塩の例としては、前記した式(8)の4級アンモニウムのハロゲン塩等が挙げられる。無機塩基の例としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム(アンモニア水)、又は、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、等が挙げられ、有機塩基の例としては、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン、上記式(8)で表される4級アンモニウムの水酸化物やハロゲン化物、等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
上記インク組成物で用いられる色素(A)、(B)の化合物のそれぞれの合成反応において、最終工程終了後のそれぞれの反応液は、本発明のインク組成物の製造に直接使用することができる。しかし、まず各色素を含む反応液を個別に乾燥、例えばスプレー乾燥させる方法、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム等の無機塩類を添加することによって塩析する方法、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸を添加することによって酸析する方法、あるいは前記した塩析と酸析を組み合わせた酸塩析する方法、等によって各化合物を単離し、これを混合してインク組成物を調製することもできる。
上記インク組成物中、色素(A)及び色素(B)の混合比率は、インク組成物中に含有する色素の総質量中、色素(A)の含有率が5〜95質量%、色素(B)の含有率が5〜95質量%である。また、色素(A)の含有率が色素(B)の含有率よりも多い場合が好ましく、色素(A)の含有率が上記インク組成物中、40〜80質量%、色素(B)の含有率が10〜30質量%である場合が好ましく、色素(A)の含有率が0.5〜10質量%、色素(B)の含有率が0.1〜5質量%である場合がさらに好ましい。
色素(A)及び(B)の好ましい組み合わせとしては、色素(A)として化合物No.1−8で表される化合物、色素(B)として化合物No.2−1−7、No.2−2−8、No.2−3−8、No.2−4−8、化合物(B−10)で表される化合物、の組み合わせが挙げられる。これらの色素組み合わせを含む上記インク組成物は特に好ましい。
上記インク組成物は、水を媒体として調製され、本発明の効果を害しない範囲内において必要に応じ、水溶性有機溶剤やインク調製剤を適宜含有しても良い。
上記水溶性有機溶剤は、染料の溶解、組成物の乾燥の防止(湿潤状態の保持)、組成物の粘度の調整、色素の被記録材への浸透の促進、組成物の表面張力の調整、組成物の消泡、等の効果を目的として使用され、上記インク組成物には含有する方が好ましい。
上記インク調製剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染料溶解剤、褪色防止剤、表面張力調整剤、消泡剤等の公知の添加剤が挙げられる。
上記インク組成物の総質量に対して、水溶性有機溶剤の含有量は0〜60質量%、好ましくは10〜50質量%であり、インク調製剤は0〜20質量%、好ましくは0〜15質量%用いるのが良い。上記インク組成物において、上記式(1)の化合物、水溶性有機溶剤、及びインク調製剤以外の残部は水である。
上記水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C4アルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン、アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール又はチオグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(好ましくはトリオール)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1−C4モノアルキルエーテル、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、等が挙げられる。
上記水溶性有機溶剤には、例えばトリメチロールプロパン等のように、常温で固体の物質も含まれている。しかし、該物質等は固体であっても水溶性を示し、さらに該物質等を含有する水溶液は水溶性有機溶剤と同様の性質を示し、同じ効果を期待して使用することができる。このため本明細書においては、便宜上、このような固体の物質であっても上記と同じ目的で使用できる限り、水溶性有機溶剤の範疇に含むこととする。
上記水溶性有機溶剤として好ましいものは、イソプロパノール、グリセリン、モノ、ジ、又はトリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ピロリドン、ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、N−メチル−2−ピロリドン、トリメチロールプロパン及びブチルカルビトールであり、より好ましくはイソプロパノール、グリセリン、ジエチレングリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びブチルカルビトールである。これらの水溶性有機溶剤は、単独又は混合して用いられる。
上記防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。ピリジンオキシド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられる。イソチアゾリン系化合物としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤としては、酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等が、さらにはアーチケミカル社製の商品名プロクセルRTMGXL(S)及びプロクセルRTMXL−2(S)、等が、それぞれ挙げられる。なお、本明細書中において、上付きの「RTM」は登録商標を表す。
上記pH調整剤は、インクの保存安定性を向上させる目的で、インクのpHを6.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、タウリン等のアミノスルホン酸、等が挙げられる。
上記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
上記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物が挙げられる。また、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤等も使用できる。
上記粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の他に、水溶性高分子化合物が挙げられ、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
上記染料溶解剤としては、例えば、尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等が挙げられる。その中でも尿素を使用するのが好ましい。
上記褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、及びヘテロ環類等が挙げられ、金属錯体としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等が挙げられる。
上記表面張力調整剤としては、界面活性剤が挙げられ、例えば、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、及びノニオン界面活性剤等が挙げられる。
上記アニオン界面活性剤としては、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
上記カチオン界面活性剤としては、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、その他イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
上記ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系、日信化学工業株式会社製の商品名サーフィノールRTM104、同82、同465、オルフィンRTMSTG、SIGMA−ALDRICH社製の商品名TergitolRTM15−S−7、等が挙げられる。
上記消泡剤としては、高酸化油系、グリセリン脂肪酸エステル系、フッ素系、シリコーン系化合物等が挙げられる。
上記した各インク調製剤は、単独又は混合して用いられる。上記インク組成物の表面張力は通常25〜70mN/m、好ましくは25〜60mN/mであり、粘度は30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下に調整することがより好ましい。
上記インク組成物の製造において、添加剤等の各薬剤を溶解させる順序には特に制限はない。インク組成物の調製に用いる水は、イオン交換水又は蒸留水等の不純物が少ない物が好ましい。また、必要に応じインク組成物の調製後に、メンブランフィルター等を用いて精密濾過を行って、インク組成物中の夾雑物を除いても良い。特に、本発明のインク組成物をインクジェット記録用のインクとして使用する場合には、精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過に使用するフィルターの孔径は通常1μm〜0.1μm、好ましくは、0.8μm〜0.1μmである。
本発明のインク組成物は、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピング、又は記録(印刷)、特にインクジェット記録における使用に適する。また本発明のインク組成物は、インクジェットプリンタの記録ヘッドのノズル付近における乾燥に対しても固体の析出は起こりにくく、この理由により該記録ヘッドの閉塞もまた起こしにくい。
上記インクジェット記録方法について説明する。本発明のインクジェット記録方法は、前記本発明のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて、被記録材に付着させることにより記録を行うものである。記録の際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。該記録方法は、公知の各方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射し、その放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット、すなわちバブルジェット(登録商標)方式、等を採用することができる。なお、前記インクジェット記録方法には、フォトインクと称する、インク中の色素濃度(色素含有量)の低いインクを、小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相でインク中の色素濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式、及び無色透明のインクを用いる方式、等も含まれる。
上記インクジェット記録方法に用いる被記録材としては下記する被記録材が好ましい。着色されうる被記録材としては特に制限はないが、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられ、中でも情報伝達用シートが好ましい。情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層は、例えば前記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工する方法、又は多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックス等のインク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に前記基材表面に塗工する方法、等により設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、又は光沢フィルム等と呼ばれる。
上記情報伝達用シートのうち、特に多孔性白色無機物を表面に塗工したシートは表面光沢度が高くまた耐水性も優れている為、写真画質の記録に特に適している。しかし、これらに記録した画像は、オゾンガスによって変退色が大きくなることが知られている。しかし本発明のインク組成物は耐オゾンガス性が優れているため、このような被記録材へインクジェット記録した際にも大きな効果を発揮する。上記多孔性白色無機物を表面に塗工したシートとして代表的な市販品の一例を挙げると、キヤノン(株)製、商品名:写真用紙・光沢プロ「プラチナグレード」、写真用紙・光沢ゴールド、セイコーエプソン(株)製、商品名:写真用紙クリスピア(高光沢)、写真用紙(光沢)、フォトマット紙、日本ヒューレット・パッカード(株)製、商品名:アドバンスフォト用紙(光沢)、富士フィルム(株)製、商品名:画彩写真仕上げPro、等があるが、本発明のインク組成物の用途としては、これらの専用紙等に限られるものではない。
上記専用紙以外の被記録材としては普通紙が挙げられる。普通紙とは、上記インク受容層が設けられていないものであり、市販品の例としては、キヤノン(株)製、商品名:GF−500、キヤノン普通紙・ホワイト、セイコーエプソン(株)製、商品名:両面上質普通紙、等のインクジェット専用の普通紙が挙げられる。またインクジェット専用ではないものの例としては、PPC(プレインペーパーコピー)用紙等も使用できる。
上記インクジェット記録方法で情報伝達用シート等の被記録材に記録するには、例えば前記のインク組成物を含有する容器をインクジェットプリンタの所定の位置にセットし、前記の通常の記録方法で被記録材に記録すればよい。上記インクジェット記録方法は、上記インク組成物と、例えば公知のマゼンタ、シアン、イエロー、及び必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイオレット)及びレッド(又はオレンジ)等の各色のインク組成物とを併用することもできる。各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、その各容器を、上記インク組成物を含む容器と同様にインクジェットプリンタの所定の位置に装填してインクジェット記録に使用される。
上記インク組成物に色素(A)及び(B)として含まれる各化合物は、水性媒体に対する溶解性が高く、且つ水溶解性にも優れるので、インク組成物を製造する過程でのメンブランフィルターによるろ過性が良好である。本発明のインク組成物又は該インク組成物から調製されるインクは、保存時の安定性や吐出安定性にも優れている。すなわち、本発明のインク組成物は長期間保存後の固体析出、物性変化、色相の変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。また、本発明のインク組成物は、インクジェット記録用、筆記用具用等として好適に用いられ、特にインクジェット専用紙に記録した際には、濃色及び淡色印刷時のいずれにおいても鮮明な黄色を呈し、異なるメディアに記録した場合であっても、色相の変化が少ない。また、記録画像の印字(印刷)濃度が非常に高く、高濃度溶液を印字した場合でもその画像にブロンジングを起こさず、さらに耐湿性、耐水性等の各種堅牢性、特に耐光性と耐オゾンガス性が共に優れている。また、マゼンタ、シアン及びブラック色素を含有する他のインク組成物と併用することで各種堅牢性に優れ、保存性の優れたフルカラーのインクジェット記録が可能であり、普通紙にも使用できる。このように本発明のインク組成物は、インクジェット記録用の黄色インクとして極めて有用である。
以下に本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特別の記載のない限り、本文中「部」及び「%」とあるのは質量基準であり、また反応温度は内温である。合成した化合物のうち、λmax(最大吸収波長)を測定したものについては、pH7〜8の水溶液中での測定値を示した。また、実施例中で得た化合物の各構造式において、カルボキシ基、スルホ基等の酸性官能基は、遊離酸の形で記載した。
[合成例1]
(工程1)
5−アミノ−2−クロロベンゼンスルホン酸20.8部を水酸化ナトリウムでpH6に調整しながら水200部に溶解し、次いで亜硝酸ナトリウム7.2部を加えた。この溶液を0〜10℃で、5%塩酸200部中に30分間かけて滴下した後、10℃以下で1時間撹拌してジアゾ化反応を行い、ジアゾ反応液を調製した。一方、2−(スルホプロポキシ)−5−クロロアニリン26.6部を、水酸化ナトリウムでpH7に調整しながら水130部に溶解し、10.4部の重亜硫酸ナトリウム及び8.6部の35%ホルマリンを用いて、常法によりメチル−ω−スルホン酸誘導体とした。得られたメチル−ω−スルホン酸誘導体を、先に調製したジアゾ反応液中に加え、0〜15℃、pH2〜4で24時間撹拌した。反応液を水酸化ナトリウムでpH11とした後、同pHを維持しながら80〜95℃で5時間撹拌し、さらに100部の塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出固体を濾過分離することにより、下記式(9)で表されるアゾ化合物100部をウェットケーキとして得た。
(工程1)
5−アミノ−2−クロロベンゼンスルホン酸20.8部を水酸化ナトリウムでpH6に調整しながら水200部に溶解し、次いで亜硝酸ナトリウム7.2部を加えた。この溶液を0〜10℃で、5%塩酸200部中に30分間かけて滴下した後、10℃以下で1時間撹拌してジアゾ化反応を行い、ジアゾ反応液を調製した。一方、2−(スルホプロポキシ)−5−クロロアニリン26.6部を、水酸化ナトリウムでpH7に調整しながら水130部に溶解し、10.4部の重亜硫酸ナトリウム及び8.6部の35%ホルマリンを用いて、常法によりメチル−ω−スルホン酸誘導体とした。得られたメチル−ω−スルホン酸誘導体を、先に調製したジアゾ反応液中に加え、0〜15℃、pH2〜4で24時間撹拌した。反応液を水酸化ナトリウムでpH11とした後、同pHを維持しながら80〜95℃で5時間撹拌し、さらに100部の塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出固体を濾過分離することにより、下記式(9)で表されるアゾ化合物100部をウェットケーキとして得た。
(工程2)
250部の氷水中にライオン社製、商品名:レオコールRTMTD90(界面活性剤)0.10部を加えて激しく撹拌し、その中に塩化シアヌル3.6部を添加し0〜5℃で30分間撹拌し、懸濁液を得た。続いて、上記式(9)で表される化合物のウェットケーキ100部を水200部に溶解し、この溶液に前記の懸濁液を30分間かけて滴下した。滴下終了後pH6〜8、25〜45℃で6時間撹拌した。得られた液に、4−アミノ−2−メチル−1−ブタノール6.2部を加え、pH7〜9、75〜90℃で4時間撹拌した。得られた反応液を20〜25℃まで冷却後、2−プロパノール2000部を加え、20〜25℃で2時間撹拌した。析出固体を濾過分離することによりウェットケーキ50.0部を得た。このウェットケーキを80℃の熱風乾燥機で乾燥することにより、下記式(1−2)で表される本発明の化合物のナトリウム塩(λmax:416.6nm)11.5部を得た。
250部の氷水中にライオン社製、商品名:レオコールRTMTD90(界面活性剤)0.10部を加えて激しく撹拌し、その中に塩化シアヌル3.6部を添加し0〜5℃で30分間撹拌し、懸濁液を得た。続いて、上記式(9)で表される化合物のウェットケーキ100部を水200部に溶解し、この溶液に前記の懸濁液を30分間かけて滴下した。滴下終了後pH6〜8、25〜45℃で6時間撹拌した。得られた液に、4−アミノ−2−メチル−1−ブタノール6.2部を加え、pH7〜9、75〜90℃で4時間撹拌した。得られた反応液を20〜25℃まで冷却後、2−プロパノール2000部を加え、20〜25℃で2時間撹拌した。析出固体を濾過分離することによりウェットケーキ50.0部を得た。このウェットケーキを80℃の熱風乾燥機で乾燥することにより、下記式(1−2)で表される本発明の化合物のナトリウム塩(λmax:416.6nm)11.5部を得た。
[合成例2]
合成例1(工程2)において、4−アミノ−2−メチル−1−ブタノール6.2部を使用する代わりに2−(メチルアミノ)エタノール4.5部を使用する以外は合成例1と同様にして、下記式(10)で表される本発明の化合物のナトリウム塩(λmax:418.5nm)11.2部を得た。
合成例1(工程2)において、4−アミノ−2−メチル−1−ブタノール6.2部を使用する代わりに2−(メチルアミノ)エタノール4.5部を使用する以外は合成例1と同様にして、下記式(10)で表される本発明の化合物のナトリウム塩(λmax:418.5nm)11.2部を得た。
[合成例3]
(工程1)
3−アミノベンゼンスルホン酸17.3部を水酸化ナトリウムでpH7に調整しながら水200部に溶解し、次いで亜硝酸ナトリウム7.2部を加えて溶液とした。この溶液を0〜10℃で、5%塩酸200部中に30分間かけて滴下した後、10℃以下で1時間反応させてジアゾ反応液を得た。一方、2−(3−スルホプロポキシ)−5−クロロアニリン26.6部を、水酸化ナトリウムでpH7に調整しながら水130部に溶解し、10.4部の重亜硫酸ナトリウム及び8.6部の35%ホルマリンを用いて、常法によりメチル−ω−スルホン酸誘導体とした。得られたメチル−ω−スルホン酸誘導体を、先に得たジアゾ反応液中に加え、0〜15℃、pH4〜6で24時間反応させた。得られた反応液を水酸化ナトリウムでpH11とした。このpHを維持しながら反応液を80〜95℃に加熱してさらに5時間反応させた。得られた液に塩化ナトリウム100部を加え、析出した固体をろ過分離することにより、下記式(11)で表される化合物100部をウェットケーキとして得た。
(工程1)
3−アミノベンゼンスルホン酸17.3部を水酸化ナトリウムでpH7に調整しながら水200部に溶解し、次いで亜硝酸ナトリウム7.2部を加えて溶液とした。この溶液を0〜10℃で、5%塩酸200部中に30分間かけて滴下した後、10℃以下で1時間反応させてジアゾ反応液を得た。一方、2−(3−スルホプロポキシ)−5−クロロアニリン26.6部を、水酸化ナトリウムでpH7に調整しながら水130部に溶解し、10.4部の重亜硫酸ナトリウム及び8.6部の35%ホルマリンを用いて、常法によりメチル−ω−スルホン酸誘導体とした。得られたメチル−ω−スルホン酸誘導体を、先に得たジアゾ反応液中に加え、0〜15℃、pH4〜6で24時間反応させた。得られた反応液を水酸化ナトリウムでpH11とした。このpHを維持しながら反応液を80〜95℃に加熱してさらに5時間反応させた。得られた液に塩化ナトリウム100部を加え、析出した固体をろ過分離することにより、下記式(11)で表される化合物100部をウェットケーキとして得た。
(工程2)
氷水250部中にレオコールTD90(ライオン株式会社製の界面活性剤)0.1部を加えて激しく撹拌しながら塩化シアヌル3.6部をさらに加え、0〜5℃で30分間撹拌することにより懸濁液を得た。一方、合成例3の工程1で得た式(11)で表される化合物のウェットケーキ100部を水200部に溶解し、溶液を得た。この溶液を先に得た懸濁液に30分間で滴下した後、pH6〜8、25〜45℃で6時間反応させて液を得た。得られた液に、2−(エチルアミノ)エタノール5.3部を加え、pH7〜9、75〜90℃で2時間反応させた。得られた反応液を20〜25℃に冷却した後、この反応液に2−プロパノール2000部を加え、20〜25℃で2時間撹拌することにより液を得た。得られた液から析出した固体をろ過分離することによりウェットケーキ103.3部を得た。このウェットケーキを80℃の熱風乾燥機で乾燥することにより下記式(12)で表される本発明の化合物のナトリウム塩(λmax:413.5nm)10.6部を得た。
氷水250部中にレオコールTD90(ライオン株式会社製の界面活性剤)0.1部を加えて激しく撹拌しながら塩化シアヌル3.6部をさらに加え、0〜5℃で30分間撹拌することにより懸濁液を得た。一方、合成例3の工程1で得た式(11)で表される化合物のウェットケーキ100部を水200部に溶解し、溶液を得た。この溶液を先に得た懸濁液に30分間で滴下した後、pH6〜8、25〜45℃で6時間反応させて液を得た。得られた液に、2−(エチルアミノ)エタノール5.3部を加え、pH7〜9、75〜90℃で2時間反応させた。得られた反応液を20〜25℃に冷却した後、この反応液に2−プロパノール2000部を加え、20〜25℃で2時間撹拌することにより液を得た。得られた液から析出した固体をろ過分離することによりウェットケーキ103.3部を得た。このウェットケーキを80℃の熱風乾燥機で乾燥することにより下記式(12)で表される本発明の化合物のナトリウム塩(λmax:413.5nm)10.6部を得た。
[合成例4]
合成例1(工程2)において、4−アミノ−2−メチル−1−ブタノール6.2部を使用する代わりに2−アミノ−1,3‐プロパンジオール15.0部を使用する以外は合成例1と同様にして、下記式(13)で表される本発明の化合物のナトリウム塩(λmax:418.5nm)11.2部を得た。
合成例1(工程2)において、4−アミノ−2−メチル−1−ブタノール6.2部を使用する代わりに2−アミノ−1,3‐プロパンジオール15.0部を使用する以外は合成例1と同様にして、下記式(13)で表される本発明の化合物のナトリウム塩(λmax:418.5nm)11.2部を得た。
[合成例5]
合成例3(工程2)において、2−(エチルアミノ)エタノール5.3部を使用する代わりに4−(アミノメチル)ベンゼンスルホン酸22部を使用する以外は合成例3と同様にして、下記式(14)で表される本発明の化合物のナトリウム塩(λmax:405nm)13.5部を得た。
合成例3(工程2)において、2−(エチルアミノ)エタノール5.3部を使用する代わりに4−(アミノメチル)ベンゼンスルホン酸22部を使用する以外は合成例3と同様にして、下記式(14)で表される本発明の化合物のナトリウム塩(λmax:405nm)13.5部を得た。
[合成例6]
特許文献、特開2016−204436の実施例22に記載の方法に従い合成した化合物の構造式を下記式(15)に示す。(λmax:392.5nm)
特許文献、特開2016−204436の実施例22に記載の方法に従い合成した化合物の構造式を下記式(15)に示す。(λmax:392.5nm)
[(B)実施例・比較例のインク調製]
下記表23に示した各組成を混合して溶液とすることにより、本発明のインク組成物(実施例1〜5)及び比較例1のインク組成物を得た。得られた各インク組成物を0.45μmのメンブランフィルターで濾過して夾雑物を除き、試験用のインクを調製した。なお、この試験用インクのpHは8.0〜9.5の範囲であった。また、下記表23中、「界面活性剤」は、日信化学株式会社製の商品名サーフィノールRTM104PG50を使用した。
下記表23に示した各組成を混合して溶液とすることにより、本発明のインク組成物(実施例1〜5)及び比較例1のインク組成物を得た。得られた各インク組成物を0.45μmのメンブランフィルターで濾過して夾雑物を除き、試験用のインクを調製した。なお、この試験用インクのpHは8.0〜9.5の範囲であった。また、下記表23中、「界面活性剤」は、日信化学株式会社製の商品名サーフィノールRTM104PG50を使用した。
[(C)インクジェット記録]
上記実施例1〜5、及び比較例1で調製した各インクを、インクジェットプリンタ(キヤノン株式会社製、商品名:PIXUSRTM ip7230)を用いて、下記のそれぞれの光沢紙にインクジェット記録を行った。記録の際は、100%、85%、70%、55%、40%、25%濃度の6段階の階調が得られるように画像パターンを作り、ハーフトーンの記録物を得た。得られた記録物を試験片として用い、下記する試験を行った。
上記実施例1〜5、及び比較例1で調製した各インクを、インクジェットプリンタ(キヤノン株式会社製、商品名:PIXUSRTM ip7230)を用いて、下記のそれぞれの光沢紙にインクジェット記録を行った。記録の際は、100%、85%、70%、55%、40%、25%濃度の6段階の階調が得られるように画像パターンを作り、ハーフトーンの記録物を得た。得られた記録物を試験片として用い、下記する試験を行った。
光沢紙1:キヤノン株式会社製、商品名:キヤノン写真用紙・プラチナグレード(PT−201)
光沢紙2:セイコーエプソン株式会社製、写真用紙クリスピア
光沢紙3:セイコーエプソン株式会社製、写真用紙<光沢>
光沢紙4:ブラザー工業株式会社製、商品名:写真光沢紙BP71G
光沢紙5:富士フィルム株式会社製、商品名:画彩 写真仕上げPro
光沢紙2:セイコーエプソン株式会社製、写真用紙クリスピア
光沢紙3:セイコーエプソン株式会社製、写真用紙<光沢>
光沢紙4:ブラザー工業株式会社製、商品名:写真光沢紙BP71G
光沢紙5:富士フィルム株式会社製、商品名:画彩 写真仕上げPro
[(D)記録画像の測色]
各種の試験及びその評価は、X−rite社製の測色機、商品名SpectroEyeを用いて試験片を測色することにより行った。測色は、濃度基準にDIN NB、視野角2度、光源D65の条件で行った。記録画像の試験方法及び試験結果の評価方法を以下に記載する。
各種の試験及びその評価は、X−rite社製の測色機、商品名SpectroEyeを用いて試験片を測色することにより行った。測色は、濃度基準にDIN NB、視野角2度、光源D65の条件で行った。記録画像の試験方法及び試験結果の評価方法を以下に記載する。
[(E)キセノン耐光性試験]
各試験片をホルダ−を用い、キセノンウェザオメータXL75[スガ試験機株式会社製]中に設置し、温度24℃、湿度60%RH、100klux照度で168時間照射した。各試験片の70%濃度の階調部分について、試験前後のL*値、a*値、b*値を測定した。得られた測定値からΔEを算出し、下記3段階の基準で評価した。ΔEは、より小さい数値のものが、より優れる。評価結果を下記表23に示す。
ΔE=(ΔL*2+Δa*2+Δb*2)0.5
ΔEが7.5未満・・・・・・・・・A
ΔEが7.5以上10未満・・・・・B
ΔEが10以上・・・・・・・・・・C
各試験片をホルダ−を用い、キセノンウェザオメータXL75[スガ試験機株式会社製]中に設置し、温度24℃、湿度60%RH、100klux照度で168時間照射した。各試験片の70%濃度の階調部分について、試験前後のL*値、a*値、b*値を測定した。得られた測定値からΔEを算出し、下記3段階の基準で評価した。ΔEは、より小さい数値のものが、より優れる。評価結果を下記表23に示す。
ΔE=(ΔL*2+Δa*2+Δb*2)0.5
ΔEが7.5未満・・・・・・・・・A
ΔEが7.5以上10未満・・・・・B
ΔEが10以上・・・・・・・・・・C
表23の結果より明らかなように、実施例1〜5のインク組成物は、光沢紙1において、実施例3と比較例1が同等の結果を示した以外は、全ての光沢紙において比較例1より優れた耐光性を示した。
以上の結果から、いずれも特定の色素(A)及び(B)の2種類の色素を含む本発明のインク組成物は、従来の黄色インク組成物と比較して、インクジェット記録画像に要求される淡色での堅牢性(特に耐光性)に優れる記録画像を与えることが確認された。
本発明のインク組成物はインクジェット記録用、筆記用具用等の各種記録用、特にインクジェット記録用のイエローインク液として好適である。
Claims (13)
- 式(1)で表される化合物において、Qが塩素原子である請求項1に記載のインク組成物。
- 式(1−1)で表される化合物において、xが3である請求項2に記載のインク組成物。
- 色素(B)が、分子内にアゾ結合(−N=N−)を少なくとも一つ有する化合物である請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク組成物。
- インク組成物中において、色素(A)の含有率が色素(B)の含有率よりも多い請求項1〜7のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクの液滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより、記録を行うインクジェット記録方法。
- 被記録材が情報伝達用シートである請求項9に記載のインクジェット記録方法。
- 情報伝達用シートが、多孔性白色無機物を含むインク受容層を有するシートである請求項10に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のインク組成物により着色された着色体。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ。
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---|---|---|---|---|
WO2011122427A1 (ja) * | 2010-03-30 | 2011-10-06 | 日本化薬株式会社 | 水溶性アゾ化合物又はその塩、インク組成物及び着色体 |
JP2017110098A (ja) * | 2015-12-16 | 2017-06-22 | 日本化薬株式会社 | インク組成物、インクジェット記録方法及び着色体 |
JP2018044082A (ja) * | 2016-09-15 | 2018-03-22 | 日本化薬株式会社 | 化合物又はその塩、及びインク |
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- 2018-03-26 JP JP2018057979A patent/JP2019167490A/ja active Pending
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