JP2023087956A - アゾ化合物、およびこれを含有するインク組成物、ならびにこれを用いたインクジェット記録方法、インクジェットプリンタ、および着色体 - Google Patents

アゾ化合物、およびこれを含有するインク組成物、ならびにこれを用いたインクジェット記録方法、インクジェットプリンタ、および着色体 Download PDF

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Masato Kido
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Abstract

【課題】記録画像の高い発色性を有し、鮮明性に優れるインク組成物、それを用いたインクジェット記録方法、インクジェットプリンタ、及び着色体を提供することを目的とする。【解決手段】式(1)で表されるアゾ化合物を、色素として含有するインク組成物を提供する。TIFF2023087956000019.tif28138(nは1乃至3の整数を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、新規なアゾ化合物、及びこれを含むインク組成物、及びそれらにより着色された着色体に関する。
各種カラー記録方法の中で、その代表的方法の1つである、インクジェットプリンタによる記録方法は、インクの吐出方式が各種開発されている。これらは、いずれもインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材(紙、フィルム、布帛等)に付着させ、記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材とが直接接触しないため、音の発生が少なく静かである。また、小型化、高速化、カラー化が容易であるという特徴を有するため、近年急速に普及しつつあり、今後も大きな伸長が期待されている。
従来、万年筆やフェルトペン等のインク、およびインクジェット記録用のインクとしては、水溶性の色素(染料)を、水性媒体に溶解したインクが使用されている。これらの水性インクには、ペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性の有機溶剤が添加されている。
これらのインクには、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性が良いこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等の性能が要求される。
ところで、コンピューターのカラーディスプレイ上の画像又は文字情報を、インクジェットプリンタによりカラーで記録するには、一般にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクによる減法混色が用いられ、これにより記録画像が、カラーで表現される。
CRT(ブラウン管)ディスプレイ等における、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)による加法混色画像を、減法混色画像でできるだけ忠実に再現するために、インクに使用される各色素、中でも、Y、M、Cのそれぞれが、標準色に近い色相を有し、且つ鮮明であることが望まれる。
ここで言う鮮明さとは、一般的に高い彩度を持つことを意味する。彩度が低い、Y、M、Cの3原色を用いた場合、単色又は混色で表現できる色領域が狭くなり、表現したい色領域の範囲としては、不十分となる場合がある。このため、高彩度な色素と、それを含有するインクの開発が望まれている。
例えば特許文献1において、7色(Y、M、C、R、G、B、K)インクを用いる、インクジェット印刷法が提案されている。特許文献2においては、レッドとして、C.I.1ダイレクトレッド80を使用した、6色(Y、M、C、R、G、B)インクを用いる、インクジェット印刷法が提案されている。しかし、いずれも色相、鮮明性、発色性などの点から、市場の要求を完全に満足するには至っていない。
また、従来インクジェット用インクとして用いられている、Y、M、Cを予め混合して得られた、R、G、B等の各インクを用いた場合であっても、鮮明性に優れた印刷物が得られない、という問題がある。
近年のインクジェット技術の発達により、インクジェット記録(印刷)の、スピードの向上がめざましい。このため、電子トナーを用いたレーザープリンタと同様に、オフィス環境での主用途である、普通紙へのドキュメントの印刷に、インクジェットプリンタを用いる市場の動きがある。
インクジェットプリンタは記録紙の種類を選ばず、またプリンタ自体の価格が安い、という利点があり、特にスモールオフィス・ホームオフィス(SOHO)等の、小~中規模オフィス環境で普及が進んでいる。
このように、普通紙への印刷用途でインクジェットプリンタを使用する場合、印刷物に求められる品質の中では、色相、鮮明性、及び発色性(印字濃度)がより重視される傾向がある。
これらの性能を満たす目的で、顔料インクを用いる方法が提案されている。しかし、顔料インクは、色素が水性インク中には溶解しないため溶液状態とはならず、分散状態のインクであるため、これをインクジェット記録に用いると、インク自体の安定性の問題や、記録ヘッドのノズル詰まりの問題等が生じる。また、顔料インクを使用した場合、耐擦性にも問題を生じることが多い。
染料インクの場合、このような問題は比較的起こりにくいとされるが、染料インクは顔料インクと異なり、インクジェット記録により普通紙の表面に付着させた色素が、より速く紙の裏面方向へ浸透し、その結果、鮮明性が低く、発色性が低下する、という問題が起こりやすい。
上記のように普通紙への印刷が増加する中、色相、鮮明性、発色性などの点から市場の要求を完全に満足するには至っていない。
特開2002-241661号公報 特開2003-221527号公報
本発明は、記録画像の高い発色性(印字濃度)を有し、鮮明性に優れるオレンジ~レッド~スカーレットの色相を有する、水溶性のアゾ化合物、及びそれを含有する各種の記録用、特にインクジェット記録用の、マゼンタインク色相を有する組成物の提供を目的とする。
また、本発明は、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法、およびインクジェットプリンタ、並びに着色体を提供することを目的とする。
本発明者等は前記課題を解決すべく、鋭意検討の結果、特定のアゾ化合物、およびそれを含有するインクが、前記の課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の[1]~[8]に関する。
[1] 下記式(1)で表されるアゾ化合物。
Figure 2023087956000001
(式(1)中、nは1乃至3の整数を表す。)
[2] [1]に記載の式(1)で表されるアゾ化合物を含有するインク組成物。
[3] 水溶性有機溶剤をさらに含有する[2]に記載のインク組成物。
[4] [2]または[3]に記載のインク組成物と、該インク組成物とは異なる他のインク組成物と、を備えるインク組成物セット。
[5] [2]または[3]に記載のインク組成物、または、[4]に記載のインク組成物セット、を備えるインクジェットプリンタ。
[6] 下記a)、b)からなる群から選択される少なくともいずれか一方が付着した着色体。
a)[1]に記載の式(1)で表されるアゾ化合物
b)[2]または[3]に記載のインク組成物
[7] [2]または[3]に記載のインク組成物、または、[4]に記載のインク組成物セット、の少なくともいずれかを用いた記録方法。
[8] [2]または[3]に記載のインク組成物、または、[4]に記載のインク組成物セットを構成する各インク組成物、の少なくともいずれかを用い、前記各インク組成物のインク滴を記録信号に応じて吐出させて記録メディアに記録を行うインクジェット記録方法。
本発明は、記録画像の高い発色性(印字濃度)を有し、鮮明性に優れるマゼンタの色相を有するインク組成物、それを用いたインクジェット記録方法、インクジェットプリンタ、及び着色体を提供することができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。本明細書においては特に断りがない限り、「%」および「部」は、実施例等も含めて質量基準である。
<アゾ化合物>
本明細書における上記アゾ化合物は、後述する塩や互変異性体であってもよい。
前記式(1)で表されるアゾ化合物は塩であっても良い。塩としては、例えば、スルホ基や水酸基等の酸性基が塩を形成したものであっても良い。具体的には、無機または有機陽イオンとの塩が挙げられる。そのうち、無機の陽イオンとの塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、およびアンモニウム塩が挙げられ、好ましい無機塩は、リチウム、ナトリウム、カリウムの塩、およびアンモニウム塩である。
また、有機の陽イオンとの塩としては、例えば、下記式(2)で表される4級アンモニウムイオンとの塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記式(1)で表されるアゾ化合物の遊離酸、その互変異性体、およびそれらの各種の塩が混合した状態であってもよい。
例えば、ナトリウム塩とアンモニウム塩との混合物、遊離酸とナトリウム塩との混合物、リチウム塩、ナトリウム塩、およびアンモニウム塩の混合物等、いずれの組合せを用いてもよい。
塩の種類によって溶解性等の物性値が異なる場合も有り、必要に応じて適宜塩の種類を選択すること、または複数の塩等を含む場合にはその比率を変化させることにより、目的に適う物性を有する混合物を得ることもできる。
Figure 2023087956000002
前記式(2)において、Z、Z、ZおよびZは、それぞれ独立して、水素原子、非置換アルキル基、ヒドロキシアルキル基、およびヒドロキシアルコキシアルキル基よりなる群から選択される基を表し、少なくとも1つは水素原子以外の基である。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびtert-ブチル基等が挙げられる。ヒドロキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、4-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、および2-ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ(C1~C4)アルキル基が挙げられる。
ヒドロキシアルコキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシエトキシメチル基、2-ヒドロキシエトキシエチル基、3-ヒドロキシエトキシプロピル基、2-ヒドロキシエトキシプロピル基、4-ヒドロキシエトキシブチル基、3-ヒドロキシエトキシブチル基、および2-ヒドロキシエトキシブチル基等のヒドロキシ(C1~C4)アルコキシ(C1~C4)アルキル基が挙げられる。
これらのうち、ヒドロキシエトキシ(C1~C4)アルキル基が好ましい。
前記式(1)で表されるアゾ化合物は互変異性体であっても良い。互変異性体としては、例えば、下記式(3)、及び(4)で表される構造等が挙げられる。なお、下記式(3)、及び(4)中、nは前記式(1)におけるものと同じで良い。
上記インク組成物においては、前記式(1)で表されるアゾ化合物と、その互変異性体と、からなる群から選択されるいずれか1つを少なくとも含み、あるいは、いずれか複数が混在していても良い。
Figure 2023087956000003
Figure 2023087956000004
前記式(1)で示される本発明のアゾ化合物は、例えば次のような方法で合成することができる。また、各工程における化合物の構造式は、遊離酸の形で表すものとする。なお、下記式(6)、(9)及び(10)において、nは前記式(1)におけるnと同じ意味を表す。
下記式(5)で表される、C.I.アシッドイエロー9を常法によりジアゾ化し、得られたジアゾ化合物と下記式(6)で表される化合物とを常法によりジアゾカップリング反応させ、前記式(1)で表されるアゾ化合物を得ることができる。
Figure 2023087956000005
Figure 2023087956000006
上記ジアゾカップリングに用いる前記式(6)で表される化合物は、以下のように合成することが可能である。
2-アミノ-5-ヒドロキシナフタレン-1,7-ジスルホン酸と、p-トルエンスルホニルクロライドを反応させて、下記式(7)で表される化合物を得る。
Figure 2023087956000007
得られた前記式(7)で表される化合物と、シアヌル酸クロライドを反応させて、下記式(8)で表される化合物を含有する反応液を得る。
Figure 2023087956000008
得られた前記式(8)で表される化合物と、下記式(9)で表される化合物を反応させて、下記式(10)で表される化合物を得た後に、p-トルエンスルホン酸エステルを加水分解することにより、前記式(6)で表される化合物を得る。
Figure 2023087956000009
Figure 2023087956000010
前記式(1)で表されるアゾ化合物は、該化合物を含むインク組成物とすることにより、セルロースからなる材料を染色することが可能となる。また、カルボン酸アミド結合を有する材料の染色も可能であり、皮革、織物、紙の染色等に幅広く用いることができる。
一方、前記式(1)で表される、アゾ化合物の代表的な使用法としては、液体の媒体に溶解してなるインク組成物が挙げられ、記録用、特にインクジェット記録用のインク組成物として用いることが好ましい。
<インク組成物>
前記式(1)で表されるアゾ化合物を含むインク組成物も、本願発明に含まれる。
インク組成物における前記式(1)で表されるアゾ化合物の含有量は、通常0.1~20質量%、好ましくは1~10質量%、より好ましくは2~8質量%である。
インク組成物は、水を媒体として調製された水性のインク組成物であることが好ましく、必要に応じて、水溶性有機溶剤やインク調製剤を、本発明の効果を害しない範囲内において、さらに含んでいても良い。
上記水溶性有機溶剤は、色素溶解剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、粘度調整剤、浸透促進剤、表面張力調整剤、消泡剤等としての機能を有する場合があり、上記インク組成物中に含まれることが好ましい。
上記インク調製剤としては、例えば、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、酸化防止剤、および界面活性剤等の公知の添加剤が挙げられる。
上記インク組成物は、その総質量に対して、例えば、水溶性有機溶剤の含有量は、0~50質量%であることが好ましく、5~50質量%であることがより好ましい。インク調製剤の含有量は0~15質量%であることが好ましく、0~7質量%であることがより好ましい。上記以外の残部は水である。
インク組成物のpHは、保存安定性を向上させる点で、pH5.0~11.0が好ましく、pH7.0~10.0がより好ましい。
また、インク組成物の表面張力としては、25~70mN/mが好ましく、25~60mN/mがより好ましい。表面張力は、20℃において白金プレート法(協和界面科学製、自動表面張力計CBVP-Z)を使用して測定することができる。
さらに、インク組成物の粘度としては、吐出安定性の観点から、30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下がより好ましい。インク組成物の粘度はレオメーター(Antonpaar社製MCR301)を用いて40℃、ずり速度100s-1にて測定することができる。
インク組成物をインクジェット記録用のインクとして使用する場合、前記式(1)で表されるアゾ化合物中の金属陽イオンの塩化物、硫酸塩等の無機不純物の含有量が少ないものを用いるのが好ましい。該無機不純物の含有量の目安は、おおよそ色素の総質量に対して、1質量%以下程度である。下限は分析機器の検出限界以下、すなわち0%で良い。
無機不純物の少ない前記式(1)で表されるアゾ化合物を製造するには、例えば逆浸透膜を用いる方法、前記式(1)で表されるアゾ化合物の乾燥品、あるいはウェットケーキをメタノール等のアルコール、好ましくは(C1~C4)アルコールおよび水の混合溶媒中で撹拌して懸濁精製し、析出物を濾過分離して乾燥する方法、等の公知の方法で脱塩処理すればよい。
上記インク組成物がさらに含有して良い水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等の(C1~C4)アルコール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、2-ピロリドン、ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルピロリジン-2-オン等のラクタム、1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-オン、1,3-ジメチルヘキサヒドロピリミド-2-オン等の環式尿素類、アセトン、メチルエチルケトン、2-メチル-2-ヒドロキシペンタン-4-オン等のケトンまたはケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等のC2-C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコールまたはチオグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサン-1,2,6-トリオール等のポリオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1~C4)アルキルエーテル、γ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、等が挙げられる。
これらの中では、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、2-ピロリドン、ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-オン、アセトン、メチルエチルケトン、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)が好ましく、プロパノール、イソプロパノール、2-ピロリドン、ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)が特に好ましく、イソプロパノール、N-メチル-2-ピロリドン、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)からなる群から選択されるいずれかを含むことが極めて好ましい。
これらの有機溶剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、上記の水溶性有機溶剤にはトリメチロールプロパン等のように、常温で固体の物質も含まれているが、これらは固体であっても水溶性を示し、水に溶解させた場合には水溶性有機溶剤と同じ目的で使用することができるため、便宜上、本明細書においては水溶性有機溶剤として記載する。
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン-1-オキシド、p-ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンおよびその塩等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N-ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8-オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウムが挙げられ、イソチアゾリン系化合物の具体例としては、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンマグネシウムクロライド、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンカルシウムクロライド、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他、防腐および防黴効果を有する剤の具体例として、無水酢酸ソーダ、ソルビン酸ソーダ、または安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
pH調整剤としては、調製されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHをおおよそ5.0~11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その具体例としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム(アンモニア水)、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩、ケイ酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。
キレート試薬の具体例としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸類、ニトリロ三酢酸類、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸類、ジエチレントリアミン五酢酸類、ウラシル二酢酸類が挙げられる。これらは塩でもよく、またはこれらの水和物でもよい。
エチレンジアミン四酢酸類の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物、エチレンジアミン四酢酸一水素三ナトリウム三水和物、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム二水和物、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム四水和物、エチレンジアミン四酢酸二水素二カリウム二水和物、エチレンジアミン四酢酸二水素二アンモニウム一水和物等が挙げられる。
ニトリロ三酢酸類の具体例としては、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸一水素二ナトリウム、ニトリロ三酢酸三ナトリウム一水和物等が挙げられる。
ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸類の具体例としては、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N’,N’-三酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N’,N’-三酢酸三ナトリウム二水和物等が挙げられる。
ジエチレントリアミン五酢酸類の具体例としては、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム水和物等が挙げられる。
一般的に入手できる製品の具体的な例としては、長瀬産業社製、商品名クレワットTAA、N、N1、N2、#300A、T、S1、S2、100C、T-48、J-100、OH#300、OH-35、DA、DP-80、DP-100E、PC-C3等が挙げられる。
これらの中ではエチレンジアミン四酢酸類が好ましく、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物が特に好ましい。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグルコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、またはジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ-ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物が挙げられる。
水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、またはポリイミン等が挙げられる。
色素溶解剤としては、例えば、ε-カプロラクタム、エチレンカーボネート、尿素等が挙げられ、尿素を用いることが好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、各種の有機系および金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、複素環類等が挙げられる。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の公知の界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N-アシルアミノ酸およびその塩、N-アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、2-ビニルピリジン誘導体、ポリ4-ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール等のアセチレングリコール(アルコール)系、日信化学社製、商品名サーフィノール104、105、82、465、オルフィンSTG等、ポリグリコールエーテル系(例えばSIGMA-ALDRICH社製のTergitol 15-S-7等)、等が挙げられる。
上記サーフィノールのうち、104、105等の非EO変性型アセチレンアルコール界面活性剤を用いることが好ましく、104を用いることがより好ましい。
これらのインク調製剤は、1種単独で、または2種以上混合して含有されてもよい。
インク組成物は、式(1)で表されるアゾ化合物および上記各成分を任意の順序で混合、撹拌することによって得られる。得られたインク組成物は、目的により、狭雑物を除く為にメンブランフィルター等で精密濾過を行ってもよく、インクジェット記録に用いる場合には、該濾過を行うのが好ましい。
精密濾過を行うフィルターの孔径は通常1μm~0.1μm、好ましくは、0.8μm~0.1μmである。
式(1)で表される化合物としては、該化合物を含む反応液、例えば、式(1)で表される化合物の合成反応における、最終工程終了後の反応液等を、インク組成物の製造に直接使用することができる。
しかし、該反応液を乾燥、例えば、スプレー乾燥させる方法、該反応液に塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム等の無機塩類を添加することによって塩析する方法、該反応液に塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸を添加することによって酸析する方法、或いは上記の塩析と酸析とを組み合わせた酸塩析する方法、等の方法によって該化合物を単離し、得られた化合物を用いてインク組成物を調製することもできる。
上記アゾ化合物をインク組成物に用いる場合は、単離してから用いることが好ましい。
インク組成物は、各種分野において使用することができるが、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録インク等に好適であり、インクジェット記録用のインクとして用いることが特に好ましく、後述するインクジェット記録方法において好適に使用される。
上記インク組成物と、該インク組成物とは異なる他のインク組成物を備えるインク組成物セットも、本願発明に含まれる。ここで言う他のインク組成物とは、該インク組成物とは色相が異なるインク組成物のことを指す。
<インクジェットプリンタ>
インクジェットプリンタは、上記のインク組成物と、該インク組成物とは異なる他のインク組成物を備えるインク組成物セットを含む容器を備える。インクジェットプリンタは、複数のノズルからインク滴を吐出して記録メディア上に画像形成するインクジェット方式による一般的な印刷装置であれば特に限定されない。
<着色体>
着色体は、
a)式(1)で表されるアゾ化合物
b)式(1)で表されるアゾ化合物を含む、上記インク組成物
のいずれかが付着した着色体である。着色体は、特に制限されないが、上記のインクジェット記録方法に用いる記録メディア等が好ましく挙げられる。
<インクジェット記録方法>
インクジェット記録方法は、上記インク組成物と、該インク組成物とは異なる他のインク組成物を備えるインク組成物セットと、を用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて、被記録材に付着させることにより、記録を行う方法である。
上記インクジェット記録方法は、記録の際に使用するインクヘッド、インクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
この記録方法は、公知の方法、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えてインクに照射し、その放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット、いわゆるバブルジェット(登録商標)方式、等を使用することができる。
上記インクジェット記録方法に用いる記録メディアとしては、特に制限はないが、例えば紙、フィルム、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられ、中でもシート状の記録メディアが好ましい。
記録メディアとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層は、例えば、上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工すること、多孔質シリカ、アルミナゾル、特殊セラミックス等の、インク中の色素を吸収し得る多孔性白色無機物を、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に、上記基材表面に塗工すること、等の方法により設けられる。このようなインク受容層を設けた記録メディアは、通常インクジェット専用紙(フィルム)、光沢紙(フィルム)等と呼ばれる。
その具体例としては、キヤノン株式会社製、商品名 プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパーまたはマットフォトペーパー、セイコーエプソン株式会社製、商品名 写真用紙(光沢)、PMマット紙、クリスピア、日本ヒューレット・パッカード株式会社製、商品名 アドバンスフォトペーパー、プレミアムプラスフォト用紙、プレミアム光沢フィルムまたはフォト用紙、等が挙げられ、市販品として入手が可能である。なお、普通紙も当然に使用できる。
記録メディア、とりわけシート状の記録メディアのうち、多孔性白色無機物を表面に塗工したシートに記録した画像は、光による変退色が大きくなることが知られている。
しかし本発明のインク組成物は耐光性に優れ、記録メディアにインクジェット記録した際にも大きな効果を発揮する。
インクジェット記録方法で被記録材に記録するには、例えば、上記のインク組成物を含む容器を、インクジェットプリンタの所定の位置に装填し、上記の方法で被記録材に記録すればよい。
上記インクジェット記録方法は、上記マゼンタインク組成物と、公知のブラック、シアン、イエロー、および必要に応じて、グリーン、ブルー(またはバイオレット)、レッド(またはオレンジ)等の各色のインク組成物とを併用することもできる。
各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、その各容器を本発明のマゼンタインク組成物を含有する容器と同様に、インクジェットプリンタの所定の位置に装填してインクジェット記録に使用される。
上記のアゾ化合物、あるいは、上記インク組成物を用いて着色物を得ることにより、後述する色相の効果に加えて、着色物のブロンジングを抑制することができる。このため、着色物のぎらつきが抑えられ、鮮明性が優れた画像が得られる。また、画像の耐擦性や耐湿性を向上させ、加えて、インクを長期間保管しても固形分の析出を起こしにくく、安定した印刷を行うことができる。その他にも、耐光性、発色性、耐オゾン性、色相再現性などに優れる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[(A)化合物の合成]
(実施例1)
(a)2-アミノ-5-ヒドロキシナフタレン-1,7-ジスルホン酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)30.2部と、p-トルエンスルホニルクロライド19.1部とを、pH8.0~8.5、70℃で1時間反応させた後、酸性にて塩析、ろ過分離して、前記式(7)で表されるウェットケーキ42.3部を得た。
(b)水110部に、(a)で得られた前記式(7)で表される化合物21.4部、次いで水酸化ナトリウムを加えて、pH4.0~4.5の水溶液を得た。得られた水溶液に界面活性剤(ライオン株式会社製、商品名レオコールRTMTD50)0.25部を加えて撹拌し、続いてシアヌル酸クロライド3.9部を加え、その後、pH3.5~4.0、20~25℃で6時間反応させた後に、pH3.5~4.0、60~65℃で6時間反応させた。
次に、そこに2-アミノエタンスルホン酸9.2部を加え、pH7.0~8.5、90~95℃で6時間反応させた後に、pH9.0~11.0、90~95℃で5時間反応させた。
反応後、20~25℃まで冷却し、35%塩酸を加えてpH7.0~7.5にした後に塩析し、析出した固体をろ過分離することにより、下記式(11)で表される化合物を含むウェットケーキ27.2部を得た。
Figure 2023087956000011
(c)水180部に、(b)で得られた前記式(11)で表される化合物を含むウェットケーキ12.5部、次いで水酸化ナトリウムを加えてpH7.5~8.0とすることにより、水溶液を得た。
一方、撹拌下、水100部に前記式(5)で表されるC.I.アシッドイエロー9(シグマ・アルドリッチ社製)4.7部、次いで水酸化ナトリウムを加えて、pH6.0~7.0とすることにより、水溶液を得た。
得られた水溶液に、35%塩酸4.9部、次いで反応温度10~20℃で、40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.6部を約5分間で滴下し、10分間反応することにより、ジアゾ反応液を得た。
得られたジアゾ反応液を、先に得られた前記式(11)で表される化合物を含む水溶液に、反応温度20~30℃、20分間で滴下した。この間、反応系内に炭酸ナトリウムを加えてpH値を7.0~8.0に保持した。
滴下終了後、同温度で1時間撹拌し、塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出した固体をろ過分離し得た固形分を、水200部に溶解し、メタノール400部を加えた後、析出した固体をろ過分離することによりウェットケーキを得た。
得られたウェットケーキを再度、水50部に溶解し、2-プロパノール200部を加えた後、析出した固体を濾過分離し、乾燥することにより、本発明の下記式(1-1)で表される化合物6.1部を、ナトリウム塩として得た。
λmax:512.5nm。(島津株式会社製、紫外可視分光光度計UV-2700にて測定、水で5万倍希釈)
Figure 2023087956000012
(実施例2)
(a)実施例1(b)において、2-アミノエタンスルホン酸9.2部を、3-アミノプロパン-1-スルホン酸12.3部とする以外は実施例1(b)と同様にして、下記式(12)で表される化合物を含むウェットケーキ22.1部を得た。
Figure 2023087956000013
(b)実施例1(c)において、前記式(11)で表される化合物を含むウェットケーキ12.5部を、前記式(12)で表される化合物を含むウェットケーキ15.4部とする以外は実施例1(c)と同様にして、下記式(1-2)で表される化合物7.1部をナトリウム塩として得た。
λmax:514.5nm(島津株式会社製、紫外可視分光光度計UV-2700にて測定、水で5万倍希釈)
Figure 2023087956000014
[(B)水性インク組成物の調製]
表1に記載した各成分を混合し、1時間撹拌して溶液とした後、0.45μmのメンブランフィルター(アドバンテック社製、DISMIC-13HP045AN)でろ過することにより、実施例1、実施例2及び比較例1の水性インク組成物を調製した。なお、表1中の各成分の数値は「部」を表す。
Figure 2023087956000015
表1中の略号等は、以下の意味を有する。
1-1:上記式(1-1)で表される化合物
1-2:上記式(1-2)で表される化合物
D.R.80:C.I.Direct Red 80(東京化成工業社製)
クレワットN2:エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(長瀬産業社製)
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
BDG:ブチルジグリコール
Gly:グリセリン
IPA:イソプロパノール
SF104:サーフィノール104PG-50(日信化学工業社製サーフィノール104の50%プロピレングリコール溶液)
[(C)インクジェット記録]
実施例1、実施例2及び比較例1のインク組成物を、インクジェットプリンタ(キヤノン社製、商品名:PIXUS ip7230)を用いて、2種類の普通紙(キヤノン社製、商品名:CS-064FD及びゼロックス社製、商品名:Xerox Vitality)と、3種類の光沢紙(キヤノン社製、商品名:写真用・光沢プロ PT-201及びエプソン社製、商品名:写真用紙 クリスピア及び富士フィルム社製、商品名:画彩)に、インクジェット記録をそれぞれ行った。
記録の際は、100%、85%、70%、55%、40%、25%濃度の6段階の階調が得られるように画像パターンを作り、マゼンタのグラデーションの記録物を得た。これを試験片として、以下の評価試験を実施した。
[(D)記録画像の測色]
記録画像の測色は、X-rite社製の測色機(商品名Spectro EyeRTM)を用いて測色を行った。測色は濃度基準にDIN-NB、視野角2度、光源D65の条件で行った。
[(E)色相]
各試験片の100%濃度の階調部分の、C*値、L*値の測色を行い、得られたC*値及びL*値を以下の4段階の基準で評価した。普通紙の評価結果を表2、及び光沢紙の評価結果を表3に示す。C*値及びL*値はより高い数値のものが、色の再現領域が広がるためより優れる。

普通紙評価基準
C*値
A :C*値が65以上
B :C*値が60以上65未満
C :C*値が55以上60未満
D :C*値が55未満
L*値
A :C*値が47以上
B :C*値が46以上47未満
C :C*値が45以上46未満
D :C*値が45未満

光沢紙評価基準
C*値
A :C*値が103以上
B :C*値が100以上103未満
C :C*値が97以上100未満
D :C*値が97未満
L*値
A :C*値が47以上
B :C*値が46以上47未満
C :C*値が45以上46未満
D :C*値が45未満
Figure 2023087956000016
Figure 2023087956000017
表2、及び表3に示したように、普通紙(CS-064FD及びXerox Vitality)、および光沢紙(PT-201、クリスピア、及び画彩)のすべての紙において、実施例1及び実施例2の方が、比較例1と比べてC*値、L*値ともに高い結果となった。
この結果から実施例1及び実施例2の方が、比較例1と比べて彩度が高く、色再現領域も優れていると言える。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表されるアゾ化合物
    Figure 2023087956000018
    (式(1)中、nは1乃至3の整数を表す。)
  2. 請求項1に記載の式(1)で表されるアゾ化合物を含有するインク組成物。
  3. 水溶性有機溶剤をさらに含有する、請求項2に記載のインク組成物。
  4. 請求項2または3に記載のインク組成物と、該インク組成物とは異なる他のインク組成物と、を備えるインク組成物セット。
  5. 請求項2または3に記載のインク組成物、または、請求項4に記載のインク組成物セット、を備えるインクジェットプリンタ。
  6. 下記a)、b)からなる群から選択される少なくともいずれか一方が付着した着色体。
    a)請求項1に記載の式(1)で表されるアゾ化合物
    b)請求項2または3に記載のインク組成物
  7. 請求項2または3に記載のインク組成物、または、請求項4に記載のインク組成物セット、の少なくともいずれかを用いた記録方法。
  8. 請求項2または3に記載のインク組成物、または、請求項4に記載のインク組成物セットを構成する各インク組成物、の少なくともいずれかを用い、前記各インク組成物のインク滴を記録信号に応じて吐出させて記録メディアに記録を行うインクジェット記録方法。
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