JP2014070181A - 捺染用着色組成物、捺染方法、及び布帛 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリアミド繊維を含む布帛の捺染に用いたときに、該布帛に対する染着性が高く、かつ、耐光性に優れた染色部が得られる捺染用着色組成物、それを用いた捺染方法、及び、染色部の耐光性に優れた布帛を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体と、水と、を含有する捺染用着色組成物。>(ここで、Zは、水素原子、Li+、Na+、K+等を表す。)
【選択図】なし
【解決手段】下記一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体と、水と、を含有する捺染用着色組成物。>(ここで、Zは、水素原子、Li+、Na+、K+等を表す。)
【選択図】なし
Description
本発明は、捺染用着色組成物、捺染方法、及び布帛に関する。
インクジェット方式による画像の印刷方法は、インクの微小液滴をインクジェット記録ヘッドより飛翔させ、対象となる記録媒体に付着させて印刷する方法である。インクジェット方式は、その機構が比較的簡便で、高精細で高品位な画像を安価に形成できる利点がある。
一方、近年の布帛印刷は、スクリーン印刷等により行なわれている。スクリーン印刷等では、印刷に先立って印刷用の版銅やスクリーン版を作製する必要がある。版の作製は、時間と人手が掛かるため、非常に高価となり、一定量以上の生産を行なわないとコスト的に引き合わない。そこで、小規模生産や見本作り等を目的とする無製版の印刷システムが所望されている。
これに対し、染料を布に直接供給できる、上記のようなインクジェット方式を用いたインクジェット捺染が提案されている。インクジェット捺染は、従来の捺染とは異なり、版を作製する必要がなく、手早く階調性に優れた画像を形成できる利点を有している。また、インクジェット捺染によれば、納期を短縮することができ、少量多品種の生産にも対応することができる。さらに、形成画像として必要な量のインクのみを使用するため、従来の方法に比して、廃液が少ない等の環境的利点も有する優れた画像形成方法であるといえる。
捺染では、布帛中の繊維の種類によって用いる染料の種類が限定される。例えば、絹、羊毛、ナイロンといったポリアミド繊維を主体とする布帛に画像を形成する場合には、フタロシアニン染料等の酸性染料が用いられる。
布帛のインクジェット捺染に用いられるフタロシアニン染料としては、例えば、フタロシアニン顔料をスルホン化し、置換基を修飾して合成される市販のフタロシアニン染料のC.I.ダイレクトブルー87(DB87)や、C.I.ダイレクトブルー199(DB199)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、特定のフタロニトリル誘導体を環化することにより合成される特定構造を有するフタロシアニン染料や、特定の4−スルホフタロニトリル誘導体を環化することにより合成されるテトラスルホフタロシアニン化合物から誘導して得られる、特定構造を有するフタロシアニン染料を含む水系インクについても、布帛のインクジェット捺染に適用できることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
布帛のインクジェット捺染に用いられるフタロシアニン染料としては、例えば、フタロシアニン顔料をスルホン化し、置換基を修飾して合成される市販のフタロシアニン染料のC.I.ダイレクトブルー87(DB87)や、C.I.ダイレクトブルー199(DB199)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、特定のフタロニトリル誘導体を環化することにより合成される特定構造を有するフタロシアニン染料や、特定の4−スルホフタロニトリル誘導体を環化することにより合成されるテトラスルホフタロシアニン化合物から誘導して得られる、特定構造を有するフタロシアニン染料を含む水系インクについても、布帛のインクジェット捺染に適用できることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
一方、インクジェット方式により紙に画像を形成する場合に用いられるインクとしては、例えば、特定の置換基を有するフタル酸又はその誘導体を環化することにより合成される特定構造を有するフタロシアニン染料を含有する水系インク(例えば、特許文献3、4参照)や、フタロシアニン顔料をスルホン化し、特定の置換基を修飾して合成される特定構造を有するフタロシアニン染料を含有する水系インク(例えば、特許文献5参照)が知られている。
さらに、例えば、4−スルホフタル酸を出発物質として合成されるスルホ基含有フタロシアニン染料と、溶剤とを含有するインクも知られている(例えば、特許文献6参照)。
さらに、例えば、4−スルホフタル酸を出発物質として合成されるスルホ基含有フタロシアニン染料と、溶剤とを含有するインクも知られている(例えば、特許文献6参照)。
しかしながら、特許文献1に記載されたフタロシアニン顔料のスルホン化により合成される市販のフタロシアニン染料を、ポリアミド繊維を主体とする布帛の捺染に使用すると、画像の耐光性が低下するという問題がある。そして、この耐光性の低下は、特にナイロンの捺染において顕著である。
また、特許文献2〜5に記載された水系インクで使用されている特定構造を有するフタロシアニン染料は、いずれもポリアミド繊維を主体とする布帛の捺染に使用しても、画像の耐光性は低下しないものの、一般に低い染色濃度(OD値)を示し、染着性が低いという問題がある。
また、特許文献2〜5に記載された水系インクで使用されている特定構造を有するフタロシアニン染料は、いずれもポリアミド繊維を主体とする布帛の捺染に使用しても、画像の耐光性は低下しないものの、一般に低い染色濃度(OD値)を示し、染着性が低いという問題がある。
また、特許文献2に示されるようなインクは、光やオゾンに耐性を有するものであるが、捺染用途で水系インクとした場合の耐光性までは予定されていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ポリアミド繊維を含む布帛の捺染に用いたときに、該布帛に対する染着性が高く、かつ、耐光性に優れた染色部が得られる捺染用着色組成物、それを用いた捺染方法、及び染色部の耐光性に優れた布帛を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的手段は、以下の通りである。
<1> 少なくとも−SO3Z1(ここで、Z1は、水素原子、Li+、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表す。)を有するフタル酸又はその誘導体、及び上記−SO3Z1と−COOZ2(ここで、Z2は、水素原子、Li+、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表す。)とを有するフタル酸又はその誘導体から選択される化合物を、環化することにより合成される下記一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体と、水と、を含有する捺染用着色組成物である。
一般式(I)中、Z3は、水素原子、Li+、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表す。複数あるZ3は、互いに同じであっても異なっていてもよい。Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物を表す。a1、a2、a3、及びa4は、各々独立に、0〜4の整数を表し、a1、a2、a3、及びa4の総和は、3〜16である。b1、b2、b3、及びb4は、各々独立に、0〜3の整数を表し、b1、b2、b3、及びb4の総和は、0〜4である。但し、−COOZ3及び−SO3Z3以外の置換基を有さない。
<2> さらに、下記一般式(X)で表される染料を含有する<1>に記載の捺染用着色組成物である。
一般式(X)中、X21、X22、X23、及びX24は、各々独立して、酸素原子又は硫黄原子を表す。R21、R22、R23、及びR24は、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物を表す。P1、P2、P3、及びP4は、各々独立に、芳香環を表し、該芳香環は、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、スルホニル基、アルキルオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、イオン性親水性基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、カルボニルアルキル基、及びカルボニルアミノ基から選択される置換基を有していてもよい。n21、n22、n23、及びn24は、各々独立に、0〜4の整数を表し、n21、n22、n23、及びn24の総和は、少なくとも1である。但し、一般式(X)の構造に、イオン性親水性基が少なくとも2つ含まれる。
<3> 上記一般式(X)におけるn21、n22、n23、及びn24の総和が、2〜3である<2>に記載の捺染用着色組成物である。
<4> 上記一般式(X)におけるP1、P2、P3、及びP4が、ベンゼン環を表す<2>又は<3>に記載の捺染用着色組成物である。
<5> インクジェット用インクである<1>〜<4>のいずれか1つに記載の捺染用着色組成物である。
<6> <5>に記載の捺染用着色組成物をインクジェット法により、ポリアミド繊維を含む布帛に付与する捺染方法である。
<7> <6>に記載の捺染方法によって捺染された布帛である。
なお、本明細書においては、置換基の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、特に断りのない限り、無置換のものとともに更に置換基を有するものを包含する意味で使用される。例えば、「アルキル基」と記載する場合、アルキル基は、無置換のアルキル基、及び置換基を更に有するアルキル基を包含する意味で用いられる。その他の置換基も同様である。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明によれば、ポリアミド繊維を含む布帛の捺染に用いたときに、該布帛に対する染着性が高く、かつ、耐光性に優れた染色部が得られる捺染用着色組成物、それを用いた捺染方法、及び染色部の耐光性に優れた布帛を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<捺染用着色組成物>
本発明の捺染用着色組成物(以下、単に「着色組成物」と称することもある。)は、少なくとも−SO3Z1(ここで、Z1は、水素原子、Li+、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表す。)を有するフタル酸又はその誘導体、及び上記−SO3Z1と−COOZ2(ここで、Z2は、水素原子、Li+、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表す。)とを有するフタル酸又はその誘導体から選択される化合物を、環化することにより合成される後述の一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体と、水と、を含有して構成される。
本発明の捺染用着色組成物によれば、ポリアミド繊維を含む布帛の捺染に用いたときに、該布帛に対する染着性が高く、かつ、耐光性に優れた染色部が得られる。
本発明の捺染用着色組成物(以下、単に「着色組成物」と称することもある。)は、少なくとも−SO3Z1(ここで、Z1は、水素原子、Li+、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表す。)を有するフタル酸又はその誘導体、及び上記−SO3Z1と−COOZ2(ここで、Z2は、水素原子、Li+、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表す。)とを有するフタル酸又はその誘導体から選択される化合物を、環化することにより合成される後述の一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体と、水と、を含有して構成される。
本発明の捺染用着色組成物によれば、ポリアミド繊維を含む布帛の捺染に用いたときに、該布帛に対する染着性が高く、かつ、耐光性に優れた染色部が得られる。
フタロシアニン染料で絹やナイロン等のポリアミドを染める捺染は、古くから行なわれており、C.I.ダイレクトブルー86(DB86)、C.I.ダイレクトブルー87(DB87)、C.I.ダイレクトブルー199(DB199)等に代表される市販のフタロシアニン染料が用いられてきた。近年、開発が進んできたインクジェット捺染においても、これらの市販のフタロシアニン染料が用いられている。
フタロシアニン染料の一般的な合成方法について、C.I.ダイレクトブルー87(Direct Blue 87、DB87)、及びC.I.ダイレクトブルー199(Direct Blue 199、DB199)を例に挙げて、説明する。
フタロシアニン染料の合成方法としては、上記合成スキームに示すように、フタロシアニン顔料をスルホン化し、フタロシアニン骨格にスルホ基やその塩を修飾することにより合成する方法が一般的である。
このような方法では、スルホ基やその塩等の置換基の導入位置を制御することが難しく、フタロシアニン骨格上の置換基の位置にばらつきが生じる。
このような方法では、スルホ基やその塩等の置換基の導入位置を制御することが難しく、フタロシアニン骨格上の置換基の位置にばらつきが生じる。
これに対して、フタル酸又はその誘導体を環化する方法では、フタロシアニン骨格上の置換基の位置がフタル酸又はその誘導体の時点で決まるため、置換基の位置や量を容易に制御することができる。置換基の位置や量を制御することができれば、フタロシアニンの会合状態を制御することもできる。
本発明により、ポリアミド繊維を主体とする布帛に対する染着性と染色部の耐光性とが向上する理由は定かではないが、以上のことから、フタロシアニン顔料をスルホン化する合成方法と、ベンゼン環の水素原子がスルホ基等のイオン性親水性基に置換されているフタル酸又はその誘導体を環化する合成方法と、では会合状態が異なるフタロシアニン染料が得られ、後者の方法により合成されるフタロシアニン染料の会合状態が、ポリアミド繊維を含む布帛の捺染に用いたときの染着性の向上や光退色の抑制に何らかの影響を与えるためではないかと推察される。
本発明の捺染用着色組成物に含有されるフタロシアニン誘導体は、上記のとおり、物の構造又は特性により直接的に特定することが困難であり、少なくとも−SO3Z1(ここで、Z1は、水素原子、Li+、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表す。)を有するフタル酸又はその誘導体、及び上記−SO3Z1と−COOZ2(ここで、Z2は、水素原子、Li+、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表す。)とを有するフタル酸又はその誘導体から選択される化合物を、環化するという合成方法により特定されるものであり、従来のフタロシアニン顔料をスルホン化する方法では合成することが困難である。
以下、本発明におけるフタロシアニン誘導体である染料を、「特定Pc染料」とも称し、また、フタロシアニン顔料のスルホン化により合成されるフタロシアニン染料等、本発明におけるフタロシアニン誘導体である染料とは異なる方法により合成されるフタロシアニン染料を、「汎用Pc染料」とも称する。
〔特定Pc染料〕
本発明におけるフタロシアニン誘導体は、下記一般式(I)で表される化合物であり、少なくとも−SO3Z1を有するフタル酸又はその誘導体、及び上記−SO3Z1と−COOZ2とを有するフタル酸又はその誘導体から選択される化合物を、環化することにより合成される。
ここで、−SO3Z1におけるZ1、及び−COOZ2におけるZ2は、各々独立に、水素原子、Li+、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表し、好ましくは、水素原子、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表す。
フタル酸誘導体としては、例えば、フタル酸塩、フタル酸のエステル、無水フタル酸、フタルイミド、フタル酸アミド、及びその塩又はエステル、フタロニトリル等が挙げられる。
本発明におけるフタロシアニン誘導体は、下記一般式(I)で表される化合物であり、少なくとも−SO3Z1を有するフタル酸又はその誘導体、及び上記−SO3Z1と−COOZ2とを有するフタル酸又はその誘導体から選択される化合物を、環化することにより合成される。
ここで、−SO3Z1におけるZ1、及び−COOZ2におけるZ2は、各々独立に、水素原子、Li+、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表し、好ましくは、水素原子、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表す。
フタル酸誘導体としては、例えば、フタル酸塩、フタル酸のエステル、無水フタル酸、フタルイミド、フタル酸アミド、及びその塩又はエステル、フタロニトリル等が挙げられる。
一般式(I)において、Z3は、水素原子、Li+、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表し、好ましくは、Li+、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表す。一般式(I)において、複数あるZ3は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
一般式(I)において、Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物を表し、好ましくは、金属元素を表す。
Mで表される金属元素としては、例えば、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。中でも、Cu、Ni、Zn、又はAlであることがより好ましく、Cuであることが最も好ましい。
Mで表される金属酸化物としては、VO、GeO等が好ましく挙げられる。
また、Mで表される金属水酸化物としては、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2等が好ましく挙げられる。
さらに、Mで表される金属ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。
Mで表される金属元素としては、例えば、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。中でも、Cu、Ni、Zn、又はAlであることがより好ましく、Cuであることが最も好ましい。
Mで表される金属酸化物としては、VO、GeO等が好ましく挙げられる。
また、Mで表される金属水酸化物としては、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2等が好ましく挙げられる。
さらに、Mで表される金属ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。
一般式(I)において、a1、a2、a3、及びa4は、各々独立に、0〜4の整数を表し、好ましくは、1〜4を表す。a1、a2、a3、及びa4の総和は、3〜16であり、好ましくは、4〜8である。
一般式(I)において、b1、b2、b3、及びb4は、各々独立に、0〜3の整数を表し、好ましくは、0〜2を表す。b1、b2、b3、及びb4の総和は、0〜4であり、好ましくは、0〜2である。
一般式(I)において、b1、b2、b3、及びb4は、各々独立に、0〜3の整数を表し、好ましくは、0〜2を表す。b1、b2、b3、及びb4の総和は、0〜4であり、好ましくは、0〜2である。
一般式(I)で表される特定Pc染料には、−SO3Z3及び−COOZ3から選択される少なくとも1種のイオン性親水性基が少なくとも3つ含まれる。
特定Pc染料が有するイオン性親水性基の数が3未満であると、染料が水に溶解せず、着色組成物を捺染用着色組成物とすることができない。少なくとも3つ含まれるイオン性親水性基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、一般式(I)で表される特定Pc染料では、該特定Pc染料を構成するフタロシアニン環(特にベンゼン環)が−COOZ3及び−SO3Z3以外の置換基を有さない。
特定Pc染料が有するイオン性親水性基の数が3未満であると、染料が水に溶解せず、着色組成物を捺染用着色組成物とすることができない。少なくとも3つ含まれるイオン性親水性基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、一般式(I)で表される特定Pc染料では、該特定Pc染料を構成するフタロシアニン環(特にベンゼン環)が−COOZ3及び−SO3Z3以外の置換基を有さない。
次に、本発明の捺染用着色組成物において、染料として含有されるフタロシアニン誘導体の合成方法を説明する。
本発明の捺染用着色組成物における一般式(I)で表される化合物の合成スキームを以下に示す。
上記合成スキームにおいて、一般式(I−1)〜(I−4)で表される化合物は、各々独立に、−SO3Z1を有するフタル酸若しくはその誘導体、又は−SO3Z1と−COOZ2とを有するフタル酸若しくはその誘導体である。
一般式(I−1)〜(I−4)において、Q1、Q2、Q3、及びQ4は、各々独立に、フタル酸又はフタル酸誘導体を表し、フタル酸であることがコスト面の観点から好ましい。なお、フタル酸誘導体としては、例えば、フタル酸塩、フタル酸のエステル、無水フタル酸、フタルイミド、フタル酸アミド、及びその塩又はエステル、フタロニトリル等が挙げられる。
一般式(I−1)〜(I−4)において、Q1、Q2、Q3、及びQ4は、各々独立に、フタル酸又はフタル酸誘導体を表し、フタル酸であることがコスト面の観点から好ましい。なお、フタル酸誘導体としては、例えば、フタル酸塩、フタル酸のエステル、無水フタル酸、フタルイミド、フタル酸アミド、及びその塩又はエステル、フタロニトリル等が挙げられる。
一般式(I−1)〜(I−4)において、A1、A2、A3、及びA4は、各々独立に、−SO3Z1を表す。−SO3Z1におけるZ1は、水素原子、Li+、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表し、好ましくは、水素原子、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表す。−SO3Z1におけるZ1が水素原子、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンであるスルホ基を有する原料を用いることで、一般式(I)で得られる染料にもスルホ基等が導入され、水溶性を確保することができる。
一般式(I−1)〜(I−4)において、B1、B2、B3、及びB4は、各々独立に、−COOZ2を表す。−COOZ2におけるZ2は、−SO3Z1におけるZ1と同義であり、好ましい態様も同じである。
一般式(I−1)〜(I−4)におけるa1、a2、a3、及びa4は、一般式(I)におけるa1、a2、a3、及びa4に対応し、各々独立に、0〜4の整数を表し、好ましくは、1〜4を表す。a1、a2、a3、及びa4の総和は、3〜16であり、好ましくは、4〜8である。
一般式(I−1)〜(I−4)におけるb1、b2、b3、及びb4は、一般式(I)におけるb1、b2、b3、及びb4に対応し、各々独立に、0〜3の整数を表し、好ましくは、0〜2を表す。b1、b2、b3、及びb4の総和は、0〜4であり、好ましくは、0〜2である。
一般式(I−1)〜(I−4)で表される化合物の少なくとも1つは、モノスルホフタル酸であることが好ましく、4−スルホフタル酸であることがより好ましい。
一般式(I−1)〜(I−4)において、B1、B2、B3、及びB4は、各々独立に、−COOZ2を表す。−COOZ2におけるZ2は、−SO3Z1におけるZ1と同義であり、好ましい態様も同じである。
一般式(I−1)〜(I−4)におけるa1、a2、a3、及びa4は、一般式(I)におけるa1、a2、a3、及びa4に対応し、各々独立に、0〜4の整数を表し、好ましくは、1〜4を表す。a1、a2、a3、及びa4の総和は、3〜16であり、好ましくは、4〜8である。
一般式(I−1)〜(I−4)におけるb1、b2、b3、及びb4は、一般式(I)におけるb1、b2、b3、及びb4に対応し、各々独立に、0〜3の整数を表し、好ましくは、0〜2を表す。b1、b2、b3、及びb4の総和は、0〜4であり、好ましくは、0〜2である。
一般式(I−1)〜(I−4)で表される化合物の少なくとも1つは、モノスルホフタル酸であることが好ましく、4−スルホフタル酸であることがより好ましい。
一般式(II)において、Mは、上記一般式(I)のMと同一であり、Yは、ハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素等の1価又は2価の配位子を表し、dは、1〜4の整数を表す。
一般式(II)で表される化合物としては、例えば、Al、Si、Ti、V、Mn,Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Pt、Pb等のハロゲン化物、カルボン酸誘導体、硫酸塩、硝酸塩、カルボニル化合物、酸化物、錯体等が挙げられる。具体例としては、塩化銅、臭化銅、沃化銅、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化コバルト、臭化コバルト、酢酸コバルト、塩化鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、沃化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化バナジウム、オキシ三塩化バナジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化アルミニウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、アセチルアセトンマンガン、塩化マンガン、塩化鉛、酢酸鉛、塩化インジウム、塩化チタン、塩化スズ等が挙げられる。
一般式(II)で表される化合物としては、例えば、Al、Si、Ti、V、Mn,Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Pt、Pb等のハロゲン化物、カルボン酸誘導体、硫酸塩、硝酸塩、カルボニル化合物、酸化物、錯体等が挙げられる。具体例としては、塩化銅、臭化銅、沃化銅、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化コバルト、臭化コバルト、酢酸コバルト、塩化鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、沃化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化バナジウム、オキシ三塩化バナジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化アルミニウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、アセチルアセトンマンガン、塩化マンガン、塩化鉛、酢酸鉛、塩化インジウム、塩化チタン、塩化スズ等が挙げられる。
本発明の捺染用着色組成物における一般式(I)で表される化合物は、一般式(II)で表される化合物と、一般式(I−1)〜(I−4)で表されるフタル酸又はその誘導体とを、モル比が1:3〜1:6となるように混合し、反応させることにより合成されることが好ましい。
本発明の捺染用着色組成物における特定Pc染料としては、表1に示す化合物1〜化合物8が例示できるが、これらに限定されるものではない。
なお、表1において「(A)特定フタル酸又はその誘導体」の欄は、上述の少なくとも−SO3Z1を有するフタル酸又はその誘導体、及び上記−SO3Z1と−COOZ2とを有するフタル酸又はその誘導体から選択される化合物を示す。
なお、表1において「(A)特定フタル酸又はその誘導体」の欄は、上述の少なくとも−SO3Z1を有するフタル酸又はその誘導体、及び上記−SO3Z1と−COOZ2とを有するフタル酸又はその誘導体から選択される化合物を示す。
上述の少なくとも−SO3Z1を有するフタル酸又はその誘導体、及び上記−SO3Z1と−COOZ2とを有するフタル酸又はその誘導体から選択される化合物(表1においては、(A)特定フタル酸又はその誘導体)の具体例(A1〜A8)を以下に示す。だたし、これらに限定されるものではない。
A1〜A8において、Zは、水素原子、Li+、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表す。
A5は、A6、A7、及びA8から選択される少なくとも2つを含む混合物である。
A5は、A6、A7、及びA8から選択される少なくとも2つを含む混合物である。
(B)反応中に共存させてもよいフタル酸又はその誘導体の具体例(B1〜B5)を以下に示す。だたし、これらに限定されるものではない。
一般式(II)で表される化合物と、一般式(I−1)〜(I−4)で表されるフタル酸又はその誘導体との反応は、通常、溶媒の存在下にて行なわれる。溶媒としては、沸点80℃以上、好ましくは130℃以上の有機溶媒が用いられる。例えば、n−アミルアルコール、n−キサノール、シクロヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、スルフォラン、ニトロベンゼン、キノリン、尿素等が挙げられる。溶媒の使用量は、一般式(I−1)〜(I−4)で表されるフタル酸又はその誘導体の総量の1質量倍〜100質量倍であることが好ましく、5質量倍〜20質量倍であることがより好ましい。
反応においては、触媒として、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、又はモリブデン酸アンモニウムを添加してもよい。触媒の添加量は、一般式(I−1)〜(I−4)で表されるフタル酸又はその誘導体1モルに対して、0.1倍モル〜10倍モルであることが好ましく、0.5倍モル〜2倍モルであることがより好ましい。
反応は、80℃〜300℃の温度範囲にて行なうことが好ましく、100℃〜250℃の温度範囲にて行なうことがより好ましく、130℃〜230℃の温度範囲にて行なうことが特に好ましい。上記温度範囲であれば、反応速度が極端に遅くなく、また、反応により得られた特定Pc染料の分解が起こる可能性が低くなる。
反応時間は、2時間〜20時間であることが好ましく、5時間〜15時間であることがより好ましく、5時間〜10時間であることが特に好ましい。上記反応時間であれば、未反応原料が残ることを抑制することができ、また、反応により得られた特定Pc染料の分解が起こる可能性が低くなる。
反応時間は、2時間〜20時間であることが好ましく、5時間〜15時間であることがより好ましく、5時間〜10時間であることが特に好ましい。上記反応時間であれば、未反応原料が残ることを抑制することができ、また、反応により得られた特定Pc染料の分解が起こる可能性が低くなる。
これらの反応によって得られる特定Pc染料は、通常の有機合成反応の後処理方法に従って処理した後、精製して、或いは、精製せずに、本発明の捺染用着色組成物に用いることができる。すなわち、例えば、反応系から遊離した特定Pc染料を精製せずに、或いは、再結晶やカラムクロマトグラフィー(例えば、ゲルパーメーションクロマトグラフィ(SEPHADEXTM LH−20、Pharmacia製)等により精製する操作を単独で、或いは、組み合わせて行なった後、本発明の捺染用着色組成物に用いてもよい。また、反応終了後、反応溶媒を留去して、或いは、留去せずに、水又は氷に投入し、中和して、或いは、中和せずに、遊離したものを精製せずに、或いは、再結晶やカラムクロマトグラフィー等により精製する操作を単独で、或いは、組み合わせて行なった後、本発明の捺染用着色組成物に用いてもよい。さらに、反応終了後、反応溶媒を留去して、或いは、留去せずに、水又は氷に投入し、中和して、或いは、中和せずに、有機溶媒/水溶液にて抽出したものを、精製せずに、或いは、再結晶やカラムクロマトグラフィー等により精製する操作を単独で、或いは、組み合わせて行なった後、本発明の捺染用着色組成物に用いてもよい。
本発明の捺染用着色組成物では、上記方法により合成される特定Pc染料を、1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
本発明の捺染用着色組成物中の特定Pc染料の含有量は、十分な発色濃度と、捺染用着色組成物の保存安定性とを考慮すると、捺染用着色組成物の全質量に対して、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜15質量%であることがより好ましく、1質量%〜10質量%であることが更に好ましい。
〔水〕
本発明の捺染用着色組成物は、上記特定Pc染料のほか、水を含有する。
水は、特に制限されず、イオン交換水でも、水道水でもよい。
水の含有量は、捺染用着色組成物が既述の特定Pc染料のみを含む場合は、捺染用着色組成物の全質量から特定Pc染料の含有量を差し引いた残部であり、捺染用着色組成物が、他に後述する成分を含む場合は、特定Pc染料と当該他の成分との全含有量を差し引いた残部である。
本発明の捺染用着色組成物は、上記特定Pc染料のほか、水を含有する。
水は、特に制限されず、イオン交換水でも、水道水でもよい。
水の含有量は、捺染用着色組成物が既述の特定Pc染料のみを含む場合は、捺染用着色組成物の全質量から特定Pc染料の含有量を差し引いた残部であり、捺染用着色組成物が、他に後述する成分を含む場合は、特定Pc染料と当該他の成分との全含有量を差し引いた残部である。
〔その他の染料〕
本発明の捺染用着色組成物は、染料として、既述の特定Pc染料のみを含有するものであってもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、特定Pc染料以外の染料を含有していてもよい。
本発明の捺染用着色組成物に含有していてもよい特定Pc染料以外の染料としては、特に制限されず、公知の染料を用いることができるが、調色しやすいという観点から、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料等のシアン〜ブルー領域の色相を示す染料であることが好ましい。具体的には、例えば、フタロシアニン染料であるC.I.ダイレクトブルー86(DB86)、C.I.ダイレクトブルー87(DB87)、C.I.ダイレクトブルー199(DB199)、アントラキノン染料であるC.I.アシッドブルー80(AB80)、C.I.アシッドブルー112(AB112)、C.I.アシッドブルー138(AB138)、トリアリールメタン染料であるC.I.アシッドブルー9(AB9)等が挙げられる。
本発明の捺染用着色組成物は、染料として、既述の特定Pc染料のみを含有するものであってもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、特定Pc染料以外の染料を含有していてもよい。
本発明の捺染用着色組成物に含有していてもよい特定Pc染料以外の染料としては、特に制限されず、公知の染料を用いることができるが、調色しやすいという観点から、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料等のシアン〜ブルー領域の色相を示す染料であることが好ましい。具体的には、例えば、フタロシアニン染料であるC.I.ダイレクトブルー86(DB86)、C.I.ダイレクトブルー87(DB87)、C.I.ダイレクトブルー199(DB199)、アントラキノン染料であるC.I.アシッドブルー80(AB80)、C.I.アシッドブルー112(AB112)、C.I.アシッドブルー138(AB138)、トリアリールメタン染料であるC.I.アシッドブルー9(AB9)等が挙げられる。
(一般式(III)で表される染料)
本発明の捺染用着色組成物では、捺染された布帛の滲み抑制や耐水性の観点から、特定Pc染料以外の染料として、下記一般式(III)で表される化合物である染料を含有することが好ましい。
本発明の捺染用着色組成物では、捺染された布帛の滲み抑制や耐水性の観点から、特定Pc染料以外の染料として、下記一般式(III)で表される化合物である染料を含有することが好ましい。
一般式(III)中、n6は0.5〜6であり、m6は0〜3である。
一般式(III)で表される染料としては、上記でも例示した、C.I.ダイレクトブルー86(DB86)〔一般式(III)において、n6=2、m6=0〕、C.I.ダイレクトブルー87(DB87)〔一般式(III)において、n6=3、m6=0〕、C.I.ダイレクトブルー199(DB199)〔一般式(III)において、n6=0.5〜2.0、m6=0.5〜2.5〕等が挙げられる。
一般式(III)で表される染料としては、上記でも例示した、C.I.ダイレクトブルー86(DB86)〔一般式(III)において、n6=2、m6=0〕、C.I.ダイレクトブルー87(DB87)〔一般式(III)において、n6=3、m6=0〕、C.I.ダイレクトブルー199(DB199)〔一般式(III)において、n6=0.5〜2.0、m6=0.5〜2.5〕等が挙げられる。
本発明の捺染用着色組成物が、特定Pc染料と、一般式(III)で表される染料とを含有する場合には、これらの混合比〔特定Pc染料:一般式(III)で表される染料〕(質量基準)は、2:8〜8:2であることが好ましい。混合比がこの範囲であると、発色濃度と耐光性とのバランスを良好なものとすることが可能となる。
(一般式(X)で表される染料)
本発明の捺染用着色組成物では、ポリアミド繊維による光退色を抑制する観点から、特定Pc染料以外の染料として、下記一般式(X)で表される化合物である染料を含有することが好ましい。
本発明の捺染用着色組成物では、ポリアミド繊維による光退色を抑制する観点から、特定Pc染料以外の染料として、下記一般式(X)で表される化合物である染料を含有することが好ましい。
一般式(X)中、X21、X22、X23、及びX24は各々独立して、酸素原子又は硫黄原子を表す。R21、R22、R23、及びR24は、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物を表す。P1、P2、P3、及びP4は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。n21、n22、n23、及びn24は、各々独立に0〜4を表し、n21、n22、n23、及びn24の総和は少なくとも1である。但し、一般式(X)の構造に、イオン性親水性基が少なくとも2つ含まれる。
一般式(X)中、X21、X22、X23、及びX24は、各々独立して、酸素原子又は硫黄原子を表し、シアン領域の発色濃度(OD)を低下させない点において、酸素原子を表すことが好ましい。
一般式(X)中、R21、R22、R23、及びR24は、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
一般式(X)において、R21、R22、R23、及びR24で表されるアルキル基としては、炭素原子数が1〜12のアルキル基が挙げられ、直鎖状であっても、分岐状であっても、環状であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、ドデシル基等が挙げられる。アルキル基は、更に置換基を有していてもよい。中でも、直鎖状、又は、分岐状のアルキル基が好ましく、炭素原子数は、1〜8が好ましい。
一般式(X)において、R21、R22、R23、及びR24で表されるアリール基としては、炭素原子数が6〜12のアリール基が挙げられる。例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基は、更に置換基を有していてもよい。中でも、フェニル基、又は、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
一般式(X)において、R21、R22、R23、及びR24で表されるヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル等が挙げられる。
一般式(X)において、R21、R22、R23、及びR24で表されるアルキル基としては、炭素原子数が1〜12のアルキル基が挙げられ、直鎖状であっても、分岐状であっても、環状であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、ドデシル基等が挙げられる。アルキル基は、更に置換基を有していてもよい。中でも、直鎖状、又は、分岐状のアルキル基が好ましく、炭素原子数は、1〜8が好ましい。
一般式(X)において、R21、R22、R23、及びR24で表されるアリール基としては、炭素原子数が6〜12のアリール基が挙げられる。例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基は、更に置換基を有していてもよい。中でも、フェニル基、又は、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
一般式(X)において、R21、R22、R23、及びR24で表されるヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル等が挙げられる。
一般式(X)中、Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物を表す。
一般式(X)において、Mで表される金属元素としては、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。
また、Mで表される金属酸化物としては、VO、GeO等が好ましく挙げられる。
さらに、Mで表される金属水酸化物としては、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2等が好ましく挙げられる。
そして、Mで表される金属ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。
一般式(X)において、Mで表される金属元素としては、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。
また、Mで表される金属酸化物としては、VO、GeO等が好ましく挙げられる。
さらに、Mで表される金属水酸化物としては、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2等が好ましく挙げられる。
そして、Mで表される金属ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。
上記の中でも、一般式(X)におけるMは、金属元素であることが好ましく、Cu、Ni、Zn、又はAlであることがより好ましく、特にCuであることが最も好ましい。
一般式(X)において、P1〜P4で表される芳香環は、ヘテロ原子を有していてもよい縮環可能な芳香環を表す。具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピリミジン環、ピラゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾチアゾール環、インドール環等が挙げられる。中でも、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、又はピラジン環であることが好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。
また、P1〜P4で表される4つの芳香環のうち、少なくとも3つはベンゼン環であることが好ましい。4つのうち3つがベンゼン環であると、染料の吸収が600nm付近になるため、シアン領域の発色濃度(OD)が低下しにくい。
また、P1〜P4で表される4つの芳香環のうち、少なくとも3つはベンゼン環であることが好ましい。4つのうち3つがベンゼン環であると、染料の吸収が600nm付近になるため、シアン領域の発色濃度(OD)が低下しにくい。
一般式(X)において、P1〜P4で表される芳香環が有していてもよい置換基としては、下記の置換基を挙げることができる。
ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子);
炭素数1〜12の直鎖状、又は、分岐状鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、2−メタンスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル)、炭素数7〜18のアラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル)、炭素数2〜12のアルケニル基(例えば、フェニルビニル)、炭素数2〜12の直鎖状、又は、分岐鎖状アルキニル基(例えば、アセチニル)、側鎖を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル)、側鎖を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルケニル基(例えば、シクロヘキセニル);
炭素数6〜12の単環又は多環のアリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル、ナフチル);
単環又は多環のヘテロ環基(例えば、5員環の単環としては、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、6員環の単環としては、2−ピリジル、3−ピリジル、2−ピリミジニル、多環としては、2−ベンゾチアゾリル);
炭素数1〜12の直鎖状、又は、分岐状鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、2−メタンスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル)、炭素数7〜18のアラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル)、炭素数2〜12のアルケニル基(例えば、フェニルビニル)、炭素数2〜12の直鎖状、又は、分岐鎖状アルキニル基(例えば、アセチニル)、側鎖を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル)、側鎖を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルケニル基(例えば、シクロヘキセニル);
炭素数6〜12の単環又は多環のアリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル、ナフチル);
単環又は多環のヘテロ環基(例えば、5員環の単環としては、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、6員環の単環としては、2−ピリジル、3−ピリジル、2−ピリミジニル、多環としては、2−ベンゾチアゾリル);
炭素数6〜12のアルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ);
炭素数6〜12のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル);
炭素数6〜12のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル);
アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド);
炭素数6〜12のアルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ);
アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ;
ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド);
スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ);
炭素数6〜12のアルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ);
アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ;
ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド);
スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ);
炭素数6〜12のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ);
炭素数6〜12のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ);
炭素数6〜12のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ);
炭素数6〜12のアルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ);
スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド、オクタデカン);
カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル);
スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド、オクタデカン);
カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル);
スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル);
スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル);
スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル);
炭素数6〜12のアルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル);
ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ);
アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ);
アシルオキシ基(例えば、アセトキシ);
カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ);
シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ);
炭素数6〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ);
ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ);
アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ);
アシルオキシ基(例えば、アセトキシ);
カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ);
シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ);
炭素数6〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ);
イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミ);ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ);
スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル);ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル);
炭素数6〜12のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル);
アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル);
イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、4級アンモニウム基);
その他シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、カルボニルアルキル基、カルボニルアミノ基等が挙げられる。
スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル);ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル);
炭素数6〜12のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル);
アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル);
イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、4級アンモニウム基);
その他シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、カルボニルアルキル基、カルボニルアミノ基等が挙げられる。
一般式(X)中、n21、n22、n23、及びn24は、各々独立に0〜4を表し、n21、n22、n23、及びn24の総和は少なくとも1である。1つ以上導入されないと、本発明の効果である耐光性を維持することができない。さらに、n21、n22、n23、及びn24の総和は4未満であることが好ましく、2〜3であることがより好ましい。n21、n22、n23、及びn24の総和が2〜3であると、シアンとしての色相が良好となる。
一般式(X)の構造には、イオン性親水性基が少なくとも2つ含まれる。イオン性親水性基の数が2未満であると、水に溶解しない。
イオン性親水性基としては、具体的には、例えば、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、好ましくは、スルホ基である。これらの基は、必要に応じて、対カチオンを有していてもよい。対カチオンとしては、例えば、Li、Na、K等の金属イオン、窒素の4級塩構造を有する基、リンの4級塩構造を有する基が用いられる。
少なくとも2つ含まれるイオン性親水性基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
イオン性親水性基としては、具体的には、例えば、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、好ましくは、スルホ基である。これらの基は、必要に応じて、対カチオンを有していてもよい。対カチオンとしては、例えば、Li、Na、K等の金属イオン、窒素の4級塩構造を有する基、リンの4級塩構造を有する基が用いられる。
少なくとも2つ含まれるイオン性親水性基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本発明の捺染用着色組成物が、特定Pc染料と、一般式(X)で表される染料とを含有する場合には、これらの混合比〔特定Pc染料:一般式(X)で表される染料〕(質量基準)は、2:8〜8:2であることが好ましい。混合比がこの範囲であると、耐光性を維持したままで色調整を行なうことが可能となる。
〔各種添加剤〕
本発明の捺染用着色組成物は、既述の特定Pc染料及び水のほか、必要に応じて、有機溶媒やその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有していてもよい。その他の添加剤としては、例えば、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、酸塩基や緩衝液等のpH調整剤、蛍光増白剤、消泡剤、潤滑剤、増粘剤、紫外線吸収剤、退色防止剤、帯電防止剤、マット剤、酸化防止剤、比抵抗調整剤、防錆剤、無機顔料、還元防止剤等の従来公知の添加剤が挙げられる。
本発明の捺染用着色組成物は、既述の特定Pc染料及び水のほか、必要に応じて、有機溶媒やその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有していてもよい。その他の添加剤としては、例えば、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、酸塩基や緩衝液等のpH調整剤、蛍光増白剤、消泡剤、潤滑剤、増粘剤、紫外線吸収剤、退色防止剤、帯電防止剤、マット剤、酸化防止剤、比抵抗調整剤、防錆剤、無機顔料、還元防止剤等の従来公知の添加剤が挙げられる。
(有機溶媒)
本発明の捺染用着色組成物が含有し得る有機溶媒は、水性有機溶媒であることが好ましく、例えば、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等)、一価アルコール類(例えばメタノール、エタノール、ブタノール等)、多価アルコールのアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、2,2′−チオジエタノール、アミド類(例えばN,N−ジメチルホルムアミド等)、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、複素環類(2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等)、アセトニトリル等が挙げられる。
また、上記の乾燥防止剤は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
本発明の捺染用着色組成物中の有機溶媒の含有量は、捺染用着色組成物の全質量に対して、1質量%〜60質量%であることが好ましく、2質量%〜50質量%であることがより好ましい。
本発明の捺染用着色組成物が含有し得る有機溶媒は、水性有機溶媒であることが好ましく、例えば、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等)、一価アルコール類(例えばメタノール、エタノール、ブタノール等)、多価アルコールのアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、2,2′−チオジエタノール、アミド類(例えばN,N−ジメチルホルムアミド等)、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、複素環類(2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等)、アセトニトリル等が挙げられる。
また、上記の乾燥防止剤は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
本発明の捺染用着色組成物中の有機溶媒の含有量は、捺染用着色組成物の全質量に対して、1質量%〜60質量%であることが好ましく、2質量%〜50質量%であることがより好ましい。
(界面活性剤)
本発明の捺染用着色組成物は、保存安定性、吐出安定性、吐出精度等を高める観点から、各種界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれの界面活性剤も用いることができる
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
本発明の捺染用着色組成物は、保存安定性、吐出安定性、吐出精度等を高める観点から、各種界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれの界面活性剤も用いることができる
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型も好適な例として挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アセチレングリコール等が挙げられる。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好適な例として挙げられる。
その他、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)において界面活性剤として挙げられているものも用いることができる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アセチレングリコール等が挙げられる。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好適な例として挙げられる。
その他、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)において界面活性剤として挙げられているものも用いることができる。
これらの各界面活性剤を使用する場合、界面活性剤を1種単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明の捺染用着色組成物中の界面活性剤の含有量は、捺染用着色組成物の全質量に対して、0.001質量%〜5.0質量%の範囲であることが好ましく、かかる範囲で捺染用着色組成物の表面張力を任意に調整することが好ましい。
本発明の捺染用着色組成物中の界面活性剤の含有量は、捺染用着色組成物の全質量に対して、0.001質量%〜5.0質量%の範囲であることが好ましく、かかる範囲で捺染用着色組成物の表面張力を任意に調整することが好ましい。
(防腐剤、防黴剤)
本発明の捺染用着色組成物は、長期保存安定性を保つため、防腐剤、及び防黴剤の少なくとも一方を含有していてもよい。防腐剤及び防黴剤としては、芳香族ハロゲン化合物(例えば、Preventol CMK;ランクセス社製)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、PROXEL GXL;アーチケミカルズ社製)等が挙げられる。
本発明の捺染用着色組成物は、長期保存安定性を保つため、防腐剤、及び防黴剤の少なくとも一方を含有していてもよい。防腐剤及び防黴剤としては、芳香族ハロゲン化合物(例えば、Preventol CMK;ランクセス社製)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、PROXEL GXL;アーチケミカルズ社製)等が挙げられる。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。紫外線吸収剤としては、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号明細書等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチ・ディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。紫外線吸収剤としては、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号明細書等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチ・ディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
(退色防止剤)
退色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。退色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の退色防止剤を使用することができる。有機の退色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類等があり、金属錯体としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等がある。より具体的にはリサーチ・ディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127〜137頁、及びUS5,356,443に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
退色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。退色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の退色防止剤を使用することができる。有機の退色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類等があり、金属錯体としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等がある。より具体的にはリサーチ・ディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127〜137頁、及びUS5,356,443に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
<インクジェット用インク>
本発明の捺染用着色組成物は、発色濃度が高く、かつ耐水性にも優れるため、布帛上への着色剤供給量に制約があるインクジェット用インクとして好適である。
インク中の特定Pc染料及び水の含有量は、本発明の捺染用着色組成物中の含有量として示した既述の範囲であることが好ましい。
本発明の捺染用着色組成物は、発色濃度が高く、かつ耐水性にも優れるため、布帛上への着色剤供給量に制約があるインクジェット用インクとして好適である。
インク中の特定Pc染料及び水の含有量は、本発明の捺染用着色組成物中の含有量として示した既述の範囲であることが好ましい。
本発明の捺染用着色組成物をインクジェット用インクとして用いる場合、該インクジェット用インクは、上記特定Pc染料を、親油性媒体や水性媒体中に、溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、上記特定Pc染料を、水性媒体中に、溶解及び/又は分散させる。
本発明の捺染用着色組成物をインクジェット用インクとして用いる場合、該インクジェット用インクは、必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有していてもよい。
その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、退色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。
その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、退色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。
(乾燥防止剤)
乾燥防止剤は、インクジェット記録方式に用いるノズルのインク噴射口において、上記インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で、好適に使用される。
乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又は、エチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又は、エチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又は、ブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また、上記の乾燥防止剤は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。上記インクジェット用インクが、乾燥防止剤を含有する場合、該乾燥防止剤の含有量は、上記インクジェット用インクの全質量、すなわち、捺染用着色組成物の全質量に対して、10質量%〜50質量%であることが好ましい。
乾燥防止剤は、インクジェット記録方式に用いるノズルのインク噴射口において、上記インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で、好適に使用される。
乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又は、エチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又は、エチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又は、ブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また、上記の乾燥防止剤は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。上記インクジェット用インクが、乾燥防止剤を含有する場合、該乾燥防止剤の含有量は、上記インクジェット用インクの全質量、すなわち、捺染用着色組成物の全質量に対して、10質量%〜50質量%であることが好ましい。
(防黴剤)
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、及びその塩が挙げられる。上記インクジェット用インクが、防黴剤を含有する場合、該防黴剤の含有量は、上記インクジェット用インクの全質量、すなわち、捺染用着色組成物の全質量に対して、0.02質量%〜1.00質量%であることが好ましい。
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、及びその塩が挙げられる。上記インクジェット用インクが、防黴剤を含有する場合、該防黴剤の含有量は、上記インクジェット用インクの全質量、すなわち、捺染用着色組成物の全質量に対して、0.02質量%〜1.00質量%であることが好ましい。
(表面張力調整剤、消泡剤)
表面張力調整剤としては、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等の各種界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤の好ましい例は、既述の界面活性剤の欄にて例示したものと同じである。
消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系化合物が好ましい。
表面張力調整剤としては、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等の各種界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤の好ましい例は、既述の界面活性剤の欄にて例示したものと同じである。
消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系化合物が好ましい。
本発明の捺染用着色組成物をインクジェット用インクとして用いる場合には、捺染用着色組成物の表面張力を、20mN/m〜70mN/mに調整することが好ましく、25mN/m〜60mN/mに調整することがより好ましい。
また、捺染用着色組成物の粘度を、40mPa・s以下に調整することが好ましく、30mPa・s以下に調整することがより好ましく、20mPa・s以下に調整することが特に好ましい。
表面張力及び粘度は、種々の添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防黴剤、防錆剤、分散剤、界面活性剤等を添加することによって、調整することができる。
また、捺染用着色組成物の粘度を、40mPa・s以下に調整することが好ましく、30mPa・s以下に調整することがより好ましく、20mPa・s以下に調整することが特に好ましい。
表面張力及び粘度は、種々の添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防黴剤、防錆剤、分散剤、界面活性剤等を添加することによって、調整することができる。
(pH調整剤)
pH調整剤としては、有機塩基、無機アルカリ等の中和剤を用いることができる。該pH調整剤は、インクジェット用インクの保存安定性を向上させるために、該インクジェット用インクのpHが6〜10になるように添加することが好ましく、7〜10になるように添加することがより好ましい。
pH調整剤としては、有機塩基、無機アルカリ等の中和剤を用いることができる。該pH調整剤は、インクジェット用インクの保存安定性を向上させるために、該インクジェット用インクのpHが6〜10になるように添加することが好ましく、7〜10になるように添加することがより好ましい。
(キレート剤)
キレート剤は、インク中における沈殿物等の析出物の発生を防止する目的、また、保存安定性や目詰まり回復性を改良する目的で好適に使用される。
インクの着色剤として染料を用いると、インク中に含まれる金属(Ca、Mg、Si、Fe等)が析出物の発生や目詰まり回復性の低下の原因となり得るため、該金属イオンを一定量以下に管理する必要があること、また、銅錯体染料を用いた場合には、上記金属イオンの量を管理しても、遊離の銅イオンの量も管理しなければ、析出物の発生や目詰まり回復性の低下が認められることが知られている(特開2000-355665号、特開2005−126725号公報等参照)。
本発明における特定Pc染料は、特に銅錯体染料であることが好ましく、本発明の捺染用着色組成物が銅錯体染料である特定Pc染料を含む場合には、インク中の遊離の銅イオンは、10ppm以下であることが好ましく、0ppm〜5ppmであることがより好ましい。
キレート剤は、インク中における沈殿物等の析出物の発生を防止する目的、また、保存安定性や目詰まり回復性を改良する目的で好適に使用される。
インクの着色剤として染料を用いると、インク中に含まれる金属(Ca、Mg、Si、Fe等)が析出物の発生や目詰まり回復性の低下の原因となり得るため、該金属イオンを一定量以下に管理する必要があること、また、銅錯体染料を用いた場合には、上記金属イオンの量を管理しても、遊離の銅イオンの量も管理しなければ、析出物の発生や目詰まり回復性の低下が認められることが知られている(特開2000-355665号、特開2005−126725号公報等参照)。
本発明における特定Pc染料は、特に銅錯体染料であることが好ましく、本発明の捺染用着色組成物が銅錯体染料である特定Pc染料を含む場合には、インク中の遊離の銅イオンは、10ppm以下であることが好ましく、0ppm〜5ppmであることがより好ましい。
キレート剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ニトリロトリ酢酸、ヒドロオキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ウラミルジ酢酸、及びそれらの金属塩(例えば、ナトリウム塩)が挙げられる。
なお、金属イオンや遊離の銅イオン濃度を制御する方法としては、キレート剤を使用する方法以外に、染料の精製度を上げる方法も挙げられる。
なお、金属イオンや遊離の銅イオン濃度を制御する方法としては、キレート剤を使用する方法以外に、染料の精製度を上げる方法も挙げられる。
本発明の捺染用着色組成物は、単色の画像形成のためのインクジェット用インクとして用いることができるだけでなく、イエロー色調インク、マゼンタ色調インク、必要に応じて、本発明の捺染用着色組成物とは異なる色調のシアン色調インク等の他の色調のインクと組み合わせて用いることにより、フルカラーの画像形成を行なうこともできる。また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを組み合わせて、フルカラーの画像形成を行なうこともできる。
〔布帛〕
本発明の捺染用着色組成物は、布帛の捺染に好適である。
布帛の種類は、特に制限されず、レーヨン、綿、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等、種々の繊維を含んで構成された布帛を用いることができる。中でも、本発明の効果をより十分に発揮できる観点から、ポリアミド繊維を含む布帛であることが好ましく、ナイロン、絹、羊毛がより好ましい。特に、本発明の捺染用着色組成物は、ナイロンの捺染に、特に好適である。本発明の捺染用着色組成物によれば、着色剤として、従来の方法により合成される汎用Pc染料のみを含有する捺染用着色組成物と比較して、染着性が高く、また、染色部の耐光性が高い捺染ナイロンを得ることができる。
本発明の捺染用着色組成物は、布帛の捺染に好適である。
布帛の種類は、特に制限されず、レーヨン、綿、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等、種々の繊維を含んで構成された布帛を用いることができる。中でも、本発明の効果をより十分に発揮できる観点から、ポリアミド繊維を含む布帛であることが好ましく、ナイロン、絹、羊毛がより好ましい。特に、本発明の捺染用着色組成物は、ナイロンの捺染に、特に好適である。本発明の捺染用着色組成物によれば、着色剤として、従来の方法により合成される汎用Pc染料のみを含有する捺染用着色組成物と比較して、染着性が高く、また、染色部の耐光性が高い捺染ナイロンを得ることができる。
なお、ナイロンとしては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12等種々のナイロンが挙げられ、いずれのナイロンを用いてもよい。
上記ポリアミド繊維は、織物、編物、不織布等いずれの形態であってもよい。
上記ポリアミド繊維は、織物、編物、不織布等いずれの形態であってもよい。
ポリアミド繊維を含む布帛は、ポリアミド繊維100%のものが好適であるが、ポリアミド繊維以外の素材を含んでいてもよい。布帛がポリアミド繊維以外の繊維を含む場合、ポリアミド繊維の混紡率は、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。ポリアミド繊維以外の素材としては、例えば、レーヨン、綿、アセテ−ト、ポリウレタン、アクリル繊維等との混紡織布又は混紡不織布等であっても、本発明における捺染用布帛として使用することができる。
布帛を構成するポリアミド繊維及びポリアミド繊維から構成される糸の物理特性には好適な範囲があり、例えば、ナイロンの場合、ナイロン繊維の平均太さが、好ましくは1d〜10d(デニール)、更に好ましくは2d〜6dに制御され、該ナイロン繊維から構成されるナイロン糸の平均太さが、好ましくは20d〜100d、より好ましくは25d〜80d、更に好ましくは30d〜70dに制御され、公知の方法により布帛としたものが用いられる。また、絹の場合は、繊維自体の特性として、絹繊維の平均太さが、好ましくは2.5d〜3.5d、更に好ましくは2.7d〜3.3dに制御され、該絹繊維から構成される絹糸の平均太さが、好ましくは14d〜147d、更に好ましくは14d〜105dに制御され、公知の方法により布帛としたものが好ましく用いられる。
〔捺染方法〕
上記特定Pc染料と、水とを含有する本発明の捺染用着色組成物を用いた布帛の捺染は、例えば、本発明の捺染用着色組成物を、布帛に付与することにより行うことができる。布帛は、既述の種々の布帛を用いることができ、中でもポリアミド繊維を含む布帛が好ましく、ポリアミド繊維としてはナイロンが好ましい。
本発明の捺染用着色組成物の布帛への付与は、塗布法によっても、インクジェット法によってもよいが、ここでは、インクジェット法によりインクを付与する捺染方法(インクジェット捺染方法)を例に説明する。
なお、インクジェット法とは、インクジェット記録ヘッドからインクを吐出させて、インクを布帛に付与し、画像を印字する方法である。
また、インクを布帛に付与するにあたっては、染料の布帛への固定化がより高まるように前処理を施してもよい。
上記特定Pc染料と、水とを含有する本発明の捺染用着色組成物を用いた布帛の捺染は、例えば、本発明の捺染用着色組成物を、布帛に付与することにより行うことができる。布帛は、既述の種々の布帛を用いることができ、中でもポリアミド繊維を含む布帛が好ましく、ポリアミド繊維としてはナイロンが好ましい。
本発明の捺染用着色組成物の布帛への付与は、塗布法によっても、インクジェット法によってもよいが、ここでは、インクジェット法によりインクを付与する捺染方法(インクジェット捺染方法)を例に説明する。
なお、インクジェット法とは、インクジェット記録ヘッドからインクを吐出させて、インクを布帛に付与し、画像を印字する方法である。
また、インクを布帛に付与するにあたっては、染料の布帛への固定化がより高まるように前処理を施してもよい。
<前処理工程>
本発明の捺染方法は、前処理剤を布帛に付与する前処理工程を有して構成されていてもよい。
前処理工程は、既述の捺染工程における染料の布帛への固定化が高まるように、捺染の前に、予め布帛に対して、ヒドロトロピー剤、水性(水溶性)金属塩、pH調整剤、pH緩衝剤、高分子成分等を含有する前処理剤を付与する工程である。
前処理工程においては、絞り率5%〜150%、好ましくは10%〜130%の範囲で前処理剤をパッティングすることが好ましい。前処理剤は、更に、撥水剤、界面活性剤等を付与してもよい。
本発明の捺染方法は、前処理剤を布帛に付与する前処理工程を有して構成されていてもよい。
前処理工程は、既述の捺染工程における染料の布帛への固定化が高まるように、捺染の前に、予め布帛に対して、ヒドロトロピー剤、水性(水溶性)金属塩、pH調整剤、pH緩衝剤、高分子成分等を含有する前処理剤を付与する工程である。
前処理工程においては、絞り率5%〜150%、好ましくは10%〜130%の範囲で前処理剤をパッティングすることが好ましい。前処理剤は、更に、撥水剤、界面活性剤等を付与してもよい。
(前処理剤)
−ヒドロトロピー剤−
本発明において、ヒドロトロピー剤は、一般に、着色組成物が付与された布帛が蒸気下で加熱される際に、画像の発色濃度を高める役割を果たす。ヒドロトロピー剤としては、例えば、通常、尿素、アルキル尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、チオ尿素、グアニジン酸塩、ハロゲン価テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。
−ヒドロトロピー剤−
本発明において、ヒドロトロピー剤は、一般に、着色組成物が付与された布帛が蒸気下で加熱される際に、画像の発色濃度を高める役割を果たす。ヒドロトロピー剤としては、例えば、通常、尿素、アルキル尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、チオ尿素、グアニジン酸塩、ハロゲン価テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。
−水性金属塩−
水性(水溶性)金属塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物のように、典型的なイオン結晶を形成するものであって、pH4〜10である化合物が挙げられる。
かかる化合物の代表的な例としては、例えば、アルカリ金属では、NaCl、Na2SO4、KCl、CH3COONa等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、CaCl2、MgCl2等が挙げられる。中でも、Na、K、Caの塩類が好ましい。
水性(水溶性)金属塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物のように、典型的なイオン結晶を形成するものであって、pH4〜10である化合物が挙げられる。
かかる化合物の代表的な例としては、例えば、アルカリ金属では、NaCl、Na2SO4、KCl、CH3COONa等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、CaCl2、MgCl2等が挙げられる。中でも、Na、K、Caの塩類が好ましい。
−pH調整剤−
前処理工程において、pH調整剤は、一般に、着色剤の布帛への固定化反応を高める役割を果たす。
ここで、pH調整剤とは、布帛に付与される捺染用着色組成物の液性(pH)を調整する化合物ないし組成物をいい、捺染用着色組成物の液性を変化させる成分をいう。
pH調整剤としては、アルカリ(塩基)、酸、又は、アルカリと酸との組み合わせが挙げられる。
前処理剤の全質量に対するpH調整剤の含有量は1質量%未満であるが、0質量%であることが好ましい。
前処理工程において、pH調整剤は、一般に、着色剤の布帛への固定化反応を高める役割を果たす。
ここで、pH調整剤とは、布帛に付与される捺染用着色組成物の液性(pH)を調整する化合物ないし組成物をいい、捺染用着色組成物の液性を変化させる成分をいう。
pH調整剤としては、アルカリ(塩基)、酸、又は、アルカリと酸との組み合わせが挙げられる。
前処理剤の全質量に対するpH調整剤の含有量は1質量%未満であるが、0質量%であることが好ましい。
−pH緩衝剤−
pH緩衝剤は、pH調整剤と同様に、一般に、着色剤の布帛への固定化反応を高める役割を果たす。
ここで、pH緩衝剤とは、捺染用着色組成物の液性変化を抑制する成分をいう。
pH緩衝剤としては、例えば、硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム等に代表される酸アンモニウム塩が挙げられる。
pH緩衝剤は、pH調整剤と同様に、一般に、着色剤の布帛への固定化反応を高める役割を果たす。
ここで、pH緩衝剤とは、捺染用着色組成物の液性変化を抑制する成分をいう。
pH緩衝剤としては、例えば、硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム等に代表される酸アンモニウム塩が挙げられる。
−高分子成分−
高分子成分は、一般に、着色剤を布帛に粘着させる糊剤としての役割を果たす。
高分子成分としては、天然高分子であってもよいし、合成高分子であってもよい。また、水性(水溶性)高分子であっても、非水性高分子であってもよいが、本発明の捺染方法に用いる着色組成物が、捺染用着色組成物であることから、水性高分子であることが好ましい。
水性高分子としては、例えば、トウモロコシ、小麦等のデンプン物質、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系物質、アルギン酸ナトリウム、アラビヤゴム、ローカストビーンガム、トラントガム、グアーガム、タマリンド種子等の多糖類、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質物質、タンニン系物質、リグニン系物質等の公知の天然水性高分子が挙げられる。
また、合成水性高分子としては、例えば、公知のポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレンオキサイド系化合物、アクリル酸系水性高分子、無水マレイン酸系水性高分子等が挙げられる。これらの中でも多糖類系高分子やセルロース系高分子が好ましい。
高分子成分は、一般に、着色剤を布帛に粘着させる糊剤としての役割を果たす。
高分子成分としては、天然高分子であってもよいし、合成高分子であってもよい。また、水性(水溶性)高分子であっても、非水性高分子であってもよいが、本発明の捺染方法に用いる着色組成物が、捺染用着色組成物であることから、水性高分子であることが好ましい。
水性高分子としては、例えば、トウモロコシ、小麦等のデンプン物質、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系物質、アルギン酸ナトリウム、アラビヤゴム、ローカストビーンガム、トラントガム、グアーガム、タマリンド種子等の多糖類、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質物質、タンニン系物質、リグニン系物質等の公知の天然水性高分子が挙げられる。
また、合成水性高分子としては、例えば、公知のポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレンオキサイド系化合物、アクリル酸系水性高分子、無水マレイン酸系水性高分子等が挙げられる。これらの中でも多糖類系高分子やセルロース系高分子が好ましい。
−撥水剤−
撥水剤としては、例えば、パラフィン系、フッ素系化合物、ピリジニウム塩類、N−メチロールアルキルアミド、アルキルエチレン尿素、オキザリン誘導体、シリコーン系化合物、トリアジン系化合物、ジルコニウム系化合物、或いはこれらの混合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの撥水剤の中でも、パラフィン系及びフッ素系撥水剤は、滲み防止、濃度の点において特に好ましい。
撥水剤の布帛に対する付与量は、特に制限されないが、布帛の全質量に対して0.05質量%〜40質量%の範囲で付与することが好ましい。これは、0.05質量%未満ではインクの過度の浸透を防止する効果が少なく、40質量%を超えて含有させても性能的に大きな変化がないからである。
布帛の全質量に対する撥水剤の使用量は、0.5質量%〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
撥水剤としては、例えば、パラフィン系、フッ素系化合物、ピリジニウム塩類、N−メチロールアルキルアミド、アルキルエチレン尿素、オキザリン誘導体、シリコーン系化合物、トリアジン系化合物、ジルコニウム系化合物、或いはこれらの混合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの撥水剤の中でも、パラフィン系及びフッ素系撥水剤は、滲み防止、濃度の点において特に好ましい。
撥水剤の布帛に対する付与量は、特に制限されないが、布帛の全質量に対して0.05質量%〜40質量%の範囲で付与することが好ましい。これは、0.05質量%未満ではインクの過度の浸透を防止する効果が少なく、40質量%を超えて含有させても性能的に大きな変化がないからである。
布帛の全質量に対する撥水剤の使用量は、0.5質量%〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
−界面活性剤−
前処理剤として使用できる界面活性剤としては、陰イオン性、非イオン性、両性界面活性剤等が挙げられる。特に、HLB12.5以上の非イオン系界面活性剤が好ましく、14以上の非イオン系界面活性剤がより好ましい。
前処理剤として使用できる界面活性剤としては、陰イオン性、非イオン性、両性界面活性剤等が挙げられる。特に、HLB12.5以上の非イオン系界面活性剤が好ましく、14以上の非イオン系界面活性剤がより好ましい。
両性界面活性剤としては、ベタイン型等を使用することができる。
界面活性剤の布帛に対する付与量は、特に制限されないが、布帛の全質量に対して0.01質量%〜30質量%付与することが好ましい。
界面活性剤の布帛に対する付与量は、特に制限されないが、布帛の全質量に対して0.01質量%〜30質量%付与することが好ましい。
−他の成分−
前処理剤は、更に、使用する染料の特性等に応じて還元防止剤、酸化防止剤、均染剤、濃染剤、キャリヤー、還元剤、酸化剤といった添加剤を含有していてもよい。
前処理剤は、更に、使用する染料の特性等に応じて還元防止剤、酸化防止剤、均染剤、濃染剤、キャリヤー、還元剤、酸化剤といった添加剤を含有していてもよい。
前処理剤は、既述のヒドロトロピー剤、撥水剤、界面活性剤等の各種成分を混合した混合物として布帛に付与してもよいし、各種成分を混合せずに、例えば、ヒドロトロピー剤のみを含有する第1の前処理剤、撥水剤のみを含有する第2の前処理剤等をそれぞれ用意し、それぞれの前処理剤を布帛に順次付与するものであってもよい。
前処理剤が、既述の各種成分の混合物である場合、混合物である前処理剤の全質量に対する各種成分の含有量は、前処理剤を布帛に付与したときに、布帛の全質量に対する各種成分の付与量が、既述の範囲となるように、目的に応じて適宜調整すればよい。
前処理剤が、既述の各種成分の混合物である場合、混合物である前処理剤の全質量に対する各種成分の含有量は、前処理剤を布帛に付与したときに、布帛の全質量に対する各種成分の付与量が、既述の範囲となるように、目的に応じて適宜調整すればよい。
前処理において、上記各前処理剤を布帛に含有させる方法は、特に制限されないが、通常行われる浸漬法、パッド法、コーティング法、スプレー法、インクジェット法等を挙げることができる。
本発明の捺染方法においては、布帛にインクを付与して印字した後、印字された布帛を巻き取り、布帛を加熱して発色させ、布帛を洗浄し、乾燥することが望ましい。
インクジェット法による捺染において、上記手順を踏むことで、インクを布帛に印字し、そのまま放置しておく場合に比べ、染料の染着が充分に行なわれ、発色濃度が高く、また耐水性に優れる。特に、長尺の布帛をローラー等で搬送しながら長時間印字し続ける場合などは、印字された布帛が延々と搬送されて出てくるため、床等に印字した布帛が重なっていってしまうことがある。このため、場所をとるばかりでなく不安全でありまた予期せず汚れてしまう場合がある。そのため、印字後、印字された布帛を巻き取る操作を行うことが好ましい。この巻き取り操作時に、布帛と布帛の間に紙や布、ビニール等の印字に関わらない媒体を挟んでもかまわない。但し、印字された布帛を途中で切断する場合や、印字された布帛が短い場合は必ずしも巻き取る必要はない。
インクジェット法による捺染において、上記手順を踏むことで、インクを布帛に印字し、そのまま放置しておく場合に比べ、染料の染着が充分に行なわれ、発色濃度が高く、また耐水性に優れる。特に、長尺の布帛をローラー等で搬送しながら長時間印字し続ける場合などは、印字された布帛が延々と搬送されて出てくるため、床等に印字した布帛が重なっていってしまうことがある。このため、場所をとるばかりでなく不安全でありまた予期せず汚れてしまう場合がある。そのため、印字後、印字された布帛を巻き取る操作を行うことが好ましい。この巻き取り操作時に、布帛と布帛の間に紙や布、ビニール等の印字に関わらない媒体を挟んでもかまわない。但し、印字された布帛を途中で切断する場合や、印字された布帛が短い場合は必ずしも巻き取る必要はない。
本発明に係るインクを、インクジェット記録ヘッドより付与した布帛は、好ましくは後処理工程に付され、染料の繊維への定着を促進させ、その後、定着しなかった染料、その他の成分、及び前処理剤を十分除去することが好ましい。
<後処理工程>
捺染工程を経た布帛は、好ましくは後処理に付され、染料の繊維への固定化を促進させ、その後、定着しなかった染料、その他の成分、及び前処理剤を十分除去する後処理工程を経ることが好ましい。
後処理工程はいくつかの工程に分かれる。
後処理は、例えば、予備乾燥工程、スチーム工程、洗浄工程、及び乾燥工程を、この順に行なうことによって構成することができる。
捺染工程を経た布帛は、好ましくは後処理に付され、染料の繊維への固定化を促進させ、その後、定着しなかった染料、その他の成分、及び前処理剤を十分除去する後処理工程を経ることが好ましい。
後処理工程はいくつかの工程に分かれる。
後処理は、例えば、予備乾燥工程、スチーム工程、洗浄工程、及び乾燥工程を、この順に行なうことによって構成することができる。
−予備乾燥工程−
まず、捺染工程の後、染料を含有する着色組成物(インクジェット記録用インク)が付与された布帛を、常温〜150℃に0.5分〜30分放置し、インクを予備乾燥することが好ましい。この予備乾燥により印捺濃度を向上させ、かつ滲みを有効に防止できる。なお、この予備乾燥とはインクが布帛中に浸透することも含む。
まず、捺染工程の後、染料を含有する着色組成物(インクジェット記録用インク)が付与された布帛を、常温〜150℃に0.5分〜30分放置し、インクを予備乾燥することが好ましい。この予備乾燥により印捺濃度を向上させ、かつ滲みを有効に防止できる。なお、この予備乾燥とはインクが布帛中に浸透することも含む。
本発明の捺染方法によれば、予備乾燥を連続工程で加熱乾燥することも可能である。布帛をロール状にしてインクジェット印捺機に供給して印捺(印字して捺染)し、その後、印字した布帛を巻き取る以前に、乾燥機を用いて乾燥する。乾燥機は印捺機に直結したものでも、分離したものであってもよい。乾燥機における印字した布帛の乾燥は常温〜150℃で0.5分〜30分行われることが好ましい。また、好ましい乾燥方法としては、空気対流方式、加熱ロール直付け方式、照射方式等が挙げられる。
−スチーム工程−
スチーム工程は、インクが付与された布帛を、飽和蒸気中に曝すことで、染料の布帛への固定化を促進する工程である。
本発明の捺染方法によれば、後処理のうちスチーム工程は、布帛の種類によってその条件、特に、その時間を変化させることが好ましい。
例えば、布帛が羊毛である場合、スチーム工程の時間は1分〜120分が好ましく、より好ましくは3分〜90分程度である。また、布帛が絹である場合、時間は1分〜40分が好ましく、より好ましくは3分〜30分程度である。さらに、布帛がナイロンである場合、1分〜90分程度が好ましく、より好ましくは3分〜60分程度である。
スチーム工程は、インクが付与された布帛を、飽和蒸気中に曝すことで、染料の布帛への固定化を促進する工程である。
本発明の捺染方法によれば、後処理のうちスチーム工程は、布帛の種類によってその条件、特に、その時間を変化させることが好ましい。
例えば、布帛が羊毛である場合、スチーム工程の時間は1分〜120分が好ましく、より好ましくは3分〜90分程度である。また、布帛が絹である場合、時間は1分〜40分が好ましく、より好ましくは3分〜30分程度である。さらに、布帛がナイロンである場合、1分〜90分程度が好ましく、より好ましくは3分〜60分程度である。
−洗浄工程−
このようにして、布帛にインクジェット記録されたインクのうち、大部分は布帛に固着するが、この中の一部の染料は繊維に染着しないものがある。この未固着の染料は洗い流しておくことが好ましい。未固着の染料の除去は、従来公知の洗浄方法が採用できる。例えば常温から100℃の範囲の水もしくは温水を使用したり、アニオン、ノニオン系のソーピング剤を使用したりすることが好ましい。未固着の染料が完全に除去されていないと、種々の耐水性、例えば、洗濯堅牢性、耐汗堅牢性等において良好な結果が得られない場合がある。
このようにして、布帛にインクジェット記録されたインクのうち、大部分は布帛に固着するが、この中の一部の染料は繊維に染着しないものがある。この未固着の染料は洗い流しておくことが好ましい。未固着の染料の除去は、従来公知の洗浄方法が採用できる。例えば常温から100℃の範囲の水もしくは温水を使用したり、アニオン、ノニオン系のソーピング剤を使用したりすることが好ましい。未固着の染料が完全に除去されていないと、種々の耐水性、例えば、洗濯堅牢性、耐汗堅牢性等において良好な結果が得られない場合がある。
−乾燥工程(洗浄後の乾燥)−
印字した布帛を洗浄した後は乾燥が必要である。洗浄した布帛を絞ったり脱水した後、干したり、或いは乾燥機、ヒートロール、アイロン等を使用して乾燥させる。
印字した布帛を洗浄した後は乾燥が必要である。洗浄した布帛を絞ったり脱水した後、干したり、或いは乾燥機、ヒートロール、アイロン等を使用して乾燥させる。
以上、説明した捺染方法のうち、本発明の捺染方法は、上記特定Pc染料と、水とを含有する捺染用着色組成物を、インクジェット法により、ポリアミド繊維を含む布帛に付与する方法である。
特定Pc染料を含む本発明の捺染用着色組成物を、ポリアミド繊維を含む布帛に付与することで、耐光性に優れる染色部を形成することができる。
また、本発明の捺染方法により捺染された布帛(本発明の布帛)は、特定Pc染料を含有する捺染用着色組成物を用いて捺染されているため、捺染により得られる染色部は、耐光性に優れる。特に、ポリアミド繊維を含む布帛に捺染した場合に、着色剤として、従来の方法により合成された汎用Pc染料のみを含有するものと比較して、高い耐光性を有する染色部を布帛に形成することができる。
特定Pc染料を含む本発明の捺染用着色組成物を、ポリアミド繊維を含む布帛に付与することで、耐光性に優れる染色部を形成することができる。
また、本発明の捺染方法により捺染された布帛(本発明の布帛)は、特定Pc染料を含有する捺染用着色組成物を用いて捺染されているため、捺染により得られる染色部は、耐光性に優れる。特に、ポリアミド繊維を含む布帛に捺染した場合に、着色剤として、従来の方法により合成された汎用Pc染料のみを含有するものと比較して、高い耐光性を有する染色部を布帛に形成することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<特定Pc染料の合成>
下記の方法により、特定Pc染料(化合物1a、化合物1b、化合物1c、化合物2、化合物3、化合物4、化合物6、化合物7)を合成した。なお、「化合物1a」、「化合物1b」、及び「化合物1c」は、それぞれ既述の「化合物1」の1種であることを示す。また、「化合物2」、「化合物3」、「化合物4」、「化合物6」、及び「化合物7」は、それぞれ既述の「化合物2」、「化合物3」、「化合物4」、「化合物6」、及び「化合物7」である。
下記の方法により、特定Pc染料(化合物1a、化合物1b、化合物1c、化合物2、化合物3、化合物4、化合物6、化合物7)を合成した。なお、「化合物1a」、「化合物1b」、及び「化合物1c」は、それぞれ既述の「化合物1」の1種であることを示す。また、「化合物2」、「化合物3」、「化合物4」、「化合物6」、及び「化合物7」は、それぞれ既述の「化合物2」、「化合物3」、「化合物4」、「化合物6」、及び「化合物7」である。
(化合物1aの合成)
1Lの三つ口フラスコに、4−スルホフタル酸(東京化成工業社製、3−スルホフタル酸を含む)50%水溶液 327g、及び水 500mLを投入し、攪拌しているところに、室温にて炭酸水素ナトリウム 56gを投入し、その後そのまま1時間攪拌した。得られた反応液をろ過した後、水を留去し、得られた粗体をアセトンで洗浄し、乾燥することにより、スルホフタル酸ナトリウム塩 176gを得た。得られたスルホフタル酸ナトリウムを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて確認したところ、4−スルホフタル酸塩:3−スルホフタル酸塩:ジスルホフタル酸塩=86:6:8(面積比)であった。
得られたスルホフタル酸ナトリウム塩 80.5g、塩化アンモニウム 8.8g、尿素 108g、モリブテン酸アンモニウム 1.4g、及び塩化銅(II) 13.5gをよく混合し、ニトロベンゼン 150mLを投入して、180℃で6時間加熱した。得られた粗体をメタノールで洗浄した後、塩化ナトリウムで飽和した2Lの1M塩酸水溶液に加え、50℃で煮沸した。冷却後、沈殿した固体を取り出し、塩化ナトリウムで飽和した0.1M水酸化ナトリウム水溶液を加え、析出してきた固体をアセトンで洗浄し、ろ過することにより、化合物1aを30g得た。
得られた化合物1a 1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、λmax1=630nm、λmax2=661nmであった。
1Lの三つ口フラスコに、4−スルホフタル酸(東京化成工業社製、3−スルホフタル酸を含む)50%水溶液 327g、及び水 500mLを投入し、攪拌しているところに、室温にて炭酸水素ナトリウム 56gを投入し、その後そのまま1時間攪拌した。得られた反応液をろ過した後、水を留去し、得られた粗体をアセトンで洗浄し、乾燥することにより、スルホフタル酸ナトリウム塩 176gを得た。得られたスルホフタル酸ナトリウムを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて確認したところ、4−スルホフタル酸塩:3−スルホフタル酸塩:ジスルホフタル酸塩=86:6:8(面積比)であった。
得られたスルホフタル酸ナトリウム塩 80.5g、塩化アンモニウム 8.8g、尿素 108g、モリブテン酸アンモニウム 1.4g、及び塩化銅(II) 13.5gをよく混合し、ニトロベンゼン 150mLを投入して、180℃で6時間加熱した。得られた粗体をメタノールで洗浄した後、塩化ナトリウムで飽和した2Lの1M塩酸水溶液に加え、50℃で煮沸した。冷却後、沈殿した固体を取り出し、塩化ナトリウムで飽和した0.1M水酸化ナトリウム水溶液を加え、析出してきた固体をアセトンで洗浄し、ろ過することにより、化合物1aを30g得た。
得られた化合物1a 1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、λmax1=630nm、λmax2=661nmであった。
(化合物1bの合成)
水酸化ナトリウム水溶液を水酸化カリウム水溶液に変更した以外は、化合物1aの合成と同様の方法により、化合物1bを合成した。
得られた化合物1b 1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、λmax1=630nm、λmax2=661nmであった。
水酸化ナトリウム水溶液を水酸化カリウム水溶液に変更した以外は、化合物1aの合成と同様の方法により、化合物1bを合成した。
得られた化合物1b 1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、λmax1=630nm、λmax2=661nmであった。
(化合物1cの合成)
水酸化ナトリウム水溶液をトリエタノールアミンに変更した以外は、化合物1aの合成と同様の方法により、化合物1cを合成した。
得られた化合物1c 1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、λmax1=630nm、λmax2=661nmであった。
水酸化ナトリウム水溶液をトリエタノールアミンに変更した以外は、化合物1aの合成と同様の方法により、化合物1cを合成した。
得られた化合物1c 1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、λmax1=630nm、λmax2=661nmであった。
(化合物2の合成)
スルホフタル酸ナトリウム塩 80.5gの一部をフタル酸に変更した以外は、化合物1aの合成と同様の方法により、化合物2を合成した。
得られた化合物2 1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、λmax1=628nm、λmax2=660nmであった。
スルホフタル酸ナトリウム塩 80.5gの一部をフタル酸に変更した以外は、化合物1aの合成と同様の方法により、化合物2を合成した。
得られた化合物2 1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、λmax1=628nm、λmax2=660nmであった。
(化合物3の合成)
スルホフタル酸ナトリウム塩 80.5gの一部をトリメリット酸に変更した以外は、化合物1aの合成と同様の方法により、化合物3を合成した。
得られた化合物3 1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、λmax1=630nm、λmax2=662nmであった。
スルホフタル酸ナトリウム塩 80.5gの一部をトリメリット酸に変更した以外は、化合物1aの合成と同様の方法により、化合物3を合成した。
得られた化合物3 1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、λmax1=630nm、λmax2=662nmであった。
(化合物4の合成)
スルホフタル酸ナトリウム塩 80.5gの一部をヘミメリット酸に変更した以外は、化合物1aの合成と同様の方法により、化合物4を合成した。
得られた化合物4 1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、λmax1=630nm、λmax2=662nmであった。
スルホフタル酸ナトリウム塩 80.5gの一部をヘミメリット酸に変更した以外は、化合物1aの合成と同様の方法により、化合物4を合成した。
得られた化合物4 1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、λmax1=630nm、λmax2=662nmであった。
(化合物6の合成)
3−スルホフタロニトリルカリウム塩 5.0g、4−スルホフタロニトリルカリウム塩 5.0g、ジエチレングリコール 37mL、酢酸 0.3g、及びオルト酢酸エチル 20gを、窒素雰囲気下、100℃で30分攪拌した。更に、安息香酸アンモニウム 11g、及び塩化銅(II) 1.3gを投入し、100℃で6時間加熱した。得られた混合物を90℃まで冷却し、濃塩酸9mLを滴下した。その後、イソプロパノールを投入した。冷却後、沈殿した固体を取り出し、0.1M水酸化ナトリウム水溶液で中和後、アセトンを投入して晶析し、ろ過することにより、化合物6を10g得た。
得られた化合物6 1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、λmax1=610nm、λmax2=648nmであった。
3−スルホフタロニトリルカリウム塩 5.0g、4−スルホフタロニトリルカリウム塩 5.0g、ジエチレングリコール 37mL、酢酸 0.3g、及びオルト酢酸エチル 20gを、窒素雰囲気下、100℃で30分攪拌した。更に、安息香酸アンモニウム 11g、及び塩化銅(II) 1.3gを投入し、100℃で6時間加熱した。得られた混合物を90℃まで冷却し、濃塩酸9mLを滴下した。その後、イソプロパノールを投入した。冷却後、沈殿した固体を取り出し、0.1M水酸化ナトリウム水溶液で中和後、アセトンを投入して晶析し、ろ過することにより、化合物6を10g得た。
得られた化合物6 1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、λmax1=610nm、λmax2=648nmであった。
(化合物7の合成)
塩化銅(II)を塩化亜鉛に変更した以外は、化合物1aの合成と同様の方法により、化合物7を合成した。
得られた化合物7 1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、λmax1=632nm、λmax2=665nmであった。
塩化銅(II)を塩化亜鉛に変更した以外は、化合物1aの合成と同様の方法により、化合物7を合成した。
得られた化合物7 1mgを超純水に溶解した際の吸収波長(λmax)は、λmax1=632nm、λmax2=665nmであった。
[実施例1〜8、実施例11〜12、及び、比較例1〜5]
<インク組成物の調製>
下記の組成に従い各成分を混合し、得られた混合液を孔径0.5μmのメンブランフィルターでろ過することにより、実施例1〜8のインク1〜8、実施例11〜12のインク11〜12、比較例1〜5のインク101〜105を調製した。
<インク組成物の調製>
下記の組成に従い各成分を混合し、得られた混合液を孔径0.5μmのメンブランフィルターでろ過することにより、実施例1〜8のインク1〜8、実施例11〜12のインク11〜12、比較例1〜5のインク101〜105を調製した。
・表2に示す染料(特定Pc染料、特定Pc染料と汎用染料との混合物、特定Pc染料と非特定染料との混合物、汎用染料、又は非特定染料) … 5%
・グリセリン〔和光純薬工業社製〕(水性有機溶媒) … 10%
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル〔和光純薬工業社製〕(水性有機溶媒)
… 10%
・オルフィンE1010〔日信化学社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)
… 1%
・Proxel XL2 … 0.2%
・EDTA−2Na … 0.005%
・水 … 残量
・グリセリン〔和光純薬工業社製〕(水性有機溶媒) … 10%
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル〔和光純薬工業社製〕(水性有機溶媒)
… 10%
・オルフィンE1010〔日信化学社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)
… 1%
・Proxel XL2 … 0.2%
・EDTA−2Na … 0.005%
・水 … 残量
[実施例9]
トリエチレングリコールモノブチルエーテルをN−メチルピロリドンに変更した以外は、実施例1のインク1と同様の方法により、実施例9のインク9を調製した。
トリエチレングリコールモノブチルエーテルをN−メチルピロリドンに変更した以外は、実施例1のインク1と同様の方法により、実施例9のインク9を調製した。
[実施例10]
トリエチレングリコールモノブチルエーテルをジエチレングリコールジメチルエーテルに変更した以外は、実施例1のインク1と同様の方法により、実施例10のインク10を調製した。
トリエチレングリコールモノブチルエーテルをジエチレングリコールジメチルエーテルに変更した以外は、実施例1のインク1と同様の方法により、実施例10のインク10を調製した。
なお、表2に示す実施例11のインク11、及び、比較例2のインク102にて用いた汎用Pc染料のC.I.ダイレクトブルー199(DB199)、並びに、比較例1のインク101にて用いた汎用Pc染料のC.I.ダイレクトブルー87(DB87)は、従来の方法、すなわち、無置換の銅フタロシアニン顔料のスルホン化により合成されたものであり、その構造式は、下記のとおりである。
また、表2に示す実施例12のインク12にて用いた化合物Pの構造式を下記に示す。化合物Pは、以下に示すように、イオン性親水性基を有するフタル酸誘導体を環化することにより合成されたものである。但し、本発明における一般式(I)で表されるものではない。以下、置換基を有するフタル酸又はその誘導体を環化することにより合成されるが、一般式(I)で表されるものではないフタロシアニン染料を、「非特定Pc染料」とも称する。
<化合物Pの合成>
ジエチレングリコール100mLに、室温にて酢酸0.5mL、オルト酢酸トリエチル20gを添加した後、3−(4−スルホフェノキシ)フタロニトリル(24g)と、o−フタロニトリル(3.2g)とを引き続き混合し、内温100℃に加熱した。得られた反応混合物に、CuCl2(2.5g)と、安息香酸アンモニウム(22g)とを添加した後、内温100℃で15時間攪拌した。
ジエチレングリコール100mLに、室温にて酢酸0.5mL、オルト酢酸トリエチル20gを添加した後、3−(4−スルホフェノキシ)フタロニトリル(24g)と、o−フタロニトリル(3.2g)とを引き続き混合し、内温100℃に加熱した。得られた反応混合物に、CuCl2(2.5g)と、安息香酸アンモニウム(22g)とを添加した後、内温100℃で15時間攪拌した。
次に、得られた混合物を内温90℃まで冷却し、混合物に濃塩酸7mLを滴下した。その後、イソプロパノールを更に350mL滴下し、晶析した。得られた結晶を乾燥し、粗結晶10gを得た。
粗結晶10gをイオン交換水100mLに溶解後、2N−NaOH水溶液をpH9.5になるまで添加した。50℃で60分攪拌後、ごみ取りろ過を行なった。その後、ろ液にイソプロパノールを500mL滴下し晶析し、化合物P 3gを得た。
さらに、表2に示す比較例3のインク103にて用いた化合物20、比較例4のインク104にて用いた化合物21、及び比較例5のインク105にて用いた化合物22の構造式を下記に示す。化合物20〜22は、以下に示すように、置換基を有するフタル酸又はその誘導体を環化することにより合成された非特定Pc染料である。
<捺染サンプルの作製>
−前処理剤の調製−
・グアーガム〔日晶株式会社製、MEYPRO GUM NP〕 … 2%
・尿素〔和光純薬工業社製〕 … 5%
・硫酸アンモン〔和光純薬工業社製〕 … 4%
・水 … 89%
−前処理剤の調製−
・グアーガム〔日晶株式会社製、MEYPRO GUM NP〕 … 2%
・尿素〔和光純薬工業社製〕 … 5%
・硫酸アンモン〔和光純薬工業社製〕 … 4%
・水 … 89%
上記組成の成分を混合して、前処理剤を調製した。
得られた前処理剤を用い、絞り率を90%として、絹製布帛をパッティングして、処理済み布帛を得た。インクジェットプリンター(ディマティックス社製、DMP−2381)に、得られた各インク(インク1〜12、及び、101〜105)をセットした上、得られた処理済み布帛にベタ画像をプリントした。
プリントした布帛を乾燥した後、スチーム工程にて飽和蒸気中、100℃で30分間スチームをかけ、染料を布帛の繊維に固着させた。その後、布帛を冷水で10分間、60℃の温水で5分間洗った後、乾燥した。
得られた前処理剤を用い、絞り率を90%として、絹製布帛をパッティングして、処理済み布帛を得た。インクジェットプリンター(ディマティックス社製、DMP−2381)に、得られた各インク(インク1〜12、及び、101〜105)をセットした上、得られた処理済み布帛にベタ画像をプリントした。
プリントした布帛を乾燥した後、スチーム工程にて飽和蒸気中、100℃で30分間スチームをかけ、染料を布帛の繊維に固着させた。その後、布帛を冷水で10分間、60℃の温水で5分間洗った後、乾燥した。
別途、布帛を、絹製布帛から、羊毛製布帛、ナイロン6タフタ製布帛、およびナイロン66タフタ製布帛に変更して、同様の実験を行った。
<評価>
1.発色濃度(OD値)の評価
各布帛に形成された各ベタ画像について、分光濃度計(X−rite社製、「X−rite938」)を使用し、OD−Cyanを測色した。
1.発色濃度(OD値)の評価
各布帛に形成された各ベタ画像について、分光濃度計(X−rite社製、「X−rite938」)を使用し、OD−Cyanを測色した。
2.耐光性の評価
ベタ画像が形成された各布帛に対して、キセノンフェードメーターを使用し、キセノン光を6時間照射した。そして、キセノン照射前後の画像濃度を、分光濃度計(X−rite社製、「X−rite938」)を用いて測定し、その色度変化ΔEabを耐光性の程度を示す指標として評価した。なお、許容範囲は、色度変化ΔEab≦12である。
ベタ画像が形成された各布帛に対して、キセノンフェードメーターを使用し、キセノン光を6時間照射した。そして、キセノン照射前後の画像濃度を、分光濃度計(X−rite社製、「X−rite938」)を用いて測定し、その色度変化ΔEabを耐光性の程度を示す指標として評価した。なお、許容範囲は、色度変化ΔEab≦12である。
以上により得られた結果を、それぞれ、表2に示す。
表2において、「Pc染料」は、「フタロシアニン染料」を表し、実施例及び比較例で用いた染料の構成を示す欄である。「Pc染料」欄の「種」は、各染料の種類を表し、「(特定)」は、染料が「特定Pc染料」であること、「(汎用)」は、染料が「汎用Pc染料」であること、「(非特定)」は、染料が「非特定Pc染料」であることを示す。表2において、染料の「混合比」は、質量基準である。
表2において、「Pc染料」は、「フタロシアニン染料」を表し、実施例及び比較例で用いた染料の構成を示す欄である。「Pc染料」欄の「種」は、各染料の種類を表し、「(特定)」は、染料が「特定Pc染料」であること、「(汎用)」は、染料が「汎用Pc染料」であること、「(非特定)」は、染料が「非特定Pc染料」であることを示す。表2において、染料の「混合比」は、質量基準である。
表2の結果より、本発明の特定Pc染料を用いた捺染では、布帛が絹製、羊毛製、ナイロン製のいずれであっても、汎用Pc染料を用いた場合と比較して、耐光性に優れた画像が得られることがわかった。特に、ナイロン製布帛において、顕著な差が認められた。また、本発明の特定Pc染料を用いた捺染では、OD値が高い数値を示し、染着性に優れることがわかった。
非特定染料である化合物20〜22を用いた捺染では、絹製、羊毛製、ナイロン製のいずれの布帛においても、良好な耐光性を示したが、OD値が低い数値を示し、染着性が非常に低いことがわかった。
また、本発明の特定Pc染料は、汎用Pc染料を混合した場合であっても、耐光性を有する画像が得られることがわかった。
さらに、本発明の特定Pc染料と、非特定Pc染料である化合物Pとを混合した場合には、特に、ナイロン製布帛の捺染において、非常に優れた耐光性を有する画像が得られることがわかった。
非特定染料である化合物20〜22を用いた捺染では、絹製、羊毛製、ナイロン製のいずれの布帛においても、良好な耐光性を示したが、OD値が低い数値を示し、染着性が非常に低いことがわかった。
また、本発明の特定Pc染料は、汎用Pc染料を混合した場合であっても、耐光性を有する画像が得られることがわかった。
さらに、本発明の特定Pc染料と、非特定Pc染料である化合物Pとを混合した場合には、特に、ナイロン製布帛の捺染において、非常に優れた耐光性を有する画像が得られることがわかった。
Claims (7)
- 少なくとも−SO3Z1(ここで、Z1は、水素原子、Li+、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表す。)を有するフタル酸又はその誘導体、及び前記−SO3Z1と−COOZ2(ここで、Z2は、水素原子、Li+、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表す。)とを有するフタル酸又はその誘導体から選択される化合物を、環化することにより合成される下記一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体と、水と、を含有する捺染用着色組成物。
〔一般式(I)中、Z3は、水素原子、Li+、Na+、K+、又はアンモニウムカチオンを表す。複数あるZ3は、互いに同じであっても異なっていてもよい。Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物を表す。a1、a2、a3、及びa4は、各々独立に、0〜4の整数を表し、a1、a2、a3、及びa4の総和は、3〜16である。b1、b2、b3、及びb4は、各々独立に、0〜3の整数を表し、b1、b2、b3、及びb4の総和は、0〜4である。但し、−COOZ3及び−SO3Z3以外の置換基を有さない。〕 - さらに、下記一般式(X)で表される染料を含有する請求項1に記載の捺染用着色組成物。
〔一般式(X)中、X21、X22、X23、及びX24は、各々独立して、酸素原子又は硫黄原子を表す。R21、R22、R23、及びR24は、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物を表す。P1、P2、P3、及びP4は、各々独立に、芳香環を表し、該芳香環は、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、スルホニル基、アルキルオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、イオン性親水性基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、カルボニルアルキル基、及びカルボニルアミノ基から選択される置換基を有していてもよい。n21、n22、n23、及びn24は、各々独立に、0〜4の整数を表し、n21、n22、n23、及びn24の総和は、少なくとも1である。但し、一般式(X)の構造に、イオン性親水性基が少なくとも2つ含まれる。〕 - 前記一般式(X)におけるn21、n22、n23、及びn24の総和が、2〜3である請求項2に記載の捺染用着色組成物。
- 前記一般式(X)におけるP1、P2、P3、及びP4が、ベンゼン環を表す請求項2又は請求項3に記載の捺染用着色組成物。
- インクジェット用インクである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の捺染用着色組成物。
- 請求項5に記載の捺染用着色組成物をインクジェット法により、ポリアミド繊維を含む布帛に付与する捺染方法。
- 請求項6に記載の捺染方法によって捺染された布帛。
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WO2016125869A1 (ja) * | 2015-02-06 | 2016-08-11 | コニカミノルタ株式会社 | インクジェットインク、インクジェット捺染方法、インクジェット捺染方法によって捺染された布帛およびインクジェット捺染システム |
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-
2012
- 2012-09-28 JP JP2012218313A patent/JP2014070181A/ja not_active Abandoned
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