JPH083446A - 疲労特性に優れたポリイミド樹脂組成物および射出成形体 - Google Patents

疲労特性に優れたポリイミド樹脂組成物および射出成形体

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JPH083446A
JPH083446A JP6242714A JP24271494A JPH083446A JP H083446 A JPH083446 A JP H083446A JP 6242714 A JP6242714 A JP 6242714A JP 24271494 A JP24271494 A JP 24271494A JP H083446 A JPH083446 A JP H083446A
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aminophenoxy
polyimide
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phenyl
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JP6242714A
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Yuichi Okawa
祐一 大川
Yoshihiro Sakata
佳広 坂田
Wataru Yamashita
渉 山下
Katsuaki Iiyama
勝明 飯山
Masaji Tamai
正司 玉井
Teruhiro Yamaguchi
彰宏 山口
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリマー分子中、一般式(1)で表わされ
る繰り返し構造単位が0.5モル比を越え1.0モル比
以下で、一般式(2)で表わされる繰り返し構造単位が
0乃至0.5モル比未満であり、かつ対数粘度が0.4
5dl/g以上であるポリイミド100重量部と、5〜65
重量部の炭素繊維、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維
および/またはチタン酸カリウム繊維を含む疲労特性に
優れたポリイミド樹脂組成物および、それから得られる
射出成形体。 【化1】 式(2) 【化2】 (式(1)および(2)中、Xは、 【化3】 を表す) 【効果】 本発明により著しく耐疲労性に優れたポリイ
ミド樹脂組成物および射出成形体が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、疲労特性良好なポリイ
ミド樹脂組成物およびその射出成形体に関する。詳しく
は、溶融成形性良好でしかも優れた耐疲労性を有するポ
リイミド樹脂組成物およびそのポリイミド樹脂組成物か
ら得られる射出成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ポリイミドは、その高耐熱性
に加え、力学的強度、寸法安定性が優れ、難燃性、電気
絶縁性などをあわせ持つために、電気・電子機器、宇宙
航空用機器、輸送機器等の分野に広く用いられている。
従来、優れた特性を示すポリイミドが種々開発されてい
るが、耐熱性に優れていても、明瞭なガラス転移温度を
有しないために成形材料として用いる場合に焼結成形な
どの手法を用いて加工しなければならないとか、また加
工性は優れているがガラス転移温度が低く、しかもハロ
ゲン化炭化水素系の溶媒に可溶で耐熱性、耐溶剤性の面
からは満足がゆかないとか性能に一長一短があった。
【0003】これらの問題点を解決する目的で、先に本
発明者らは機械的性質、熱的性質、電気的性質、耐薬品
性に優れた溶融成形可能なポリイミドや各種コポリイミ
ドを開発した(特開昭61−143478号公報、特開
平3−47837号公報など)。しかしながら、疲労特
性等の動的機械特性に関する検討はあまり行われておら
ず、特に近年開発された射出成形可能な高耐熱性ポリイ
ミドの分野においては、ほとんど知見が無いというのが
現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、射出
成形等の溶融成形が可能で、しかも高疲労特性を有する
ポリイミド樹脂組成物およびその射出成形体を提供する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を行った結果、特定の構造
と、ある分子量以上を有するポリイミドを用いたポリイ
ミド樹脂組成物が優れた溶融流動成形性を示し、しかも
この樹脂組成物から疲労特性に優れた射出成形体が得ら
れることを見出し、本発明に到達した。
【0006】即ち、本発明は、(1)ポリマー分子中、
一般式(1)で表わされる繰り返し構造単位が0.5モ
ル比を越え1.0モル比以下で、一般式(2)で表わさ
れる繰り返し構造単位が0乃至0.5モル比未満であ
り、かつ対数粘度が0.45dl/g以上であるポリイミド
100重量部と、5〜65重量部の炭素繊維、ガラス繊
維、芳香族ポリアミド繊維および/またはチタン酸カリ
ウム繊維を含む疲労特性に優れたポリイミド樹脂組成
物、一般式(1)
【化6】 一般式(2)
【化7】 (式(1)および(2)中、Xは
【化8】 を表わす)
【0007】(2)前記のポリイミドを製造する際に、
一般式(3)
【化9】 (式中、Zは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である
2価の基を表す)で表される芳香族ジカルボン酸無水物
および/または一般式(4)
【化10】 (式中、Vは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である
1価の基を表す)で表される芳香族モノアミンを共存さ
せて得られるポリマーの分子末端を封止したものを含む
対数粘度が0.45dl/g以上のポリイミド100重量部
と、5〜65重量部の炭素繊維、ガラス繊維、芳香族ポ
リアミド繊維および/またはチタン酸カリウム繊維を含
む疲労特性に優れたポリイミド樹脂組成物、および
(3)これらのポリイミド樹脂組成物から得られる射出
成形体である。
【0008】本発明で使用されるポリイミドは、ポリマ
ー分子中、一般式(1)
【化11】 (式中、Xは、
【化12】 を表す)で表される繰り返し構造単位が0.5モル比を
越え1.0モル比以下であり、一般式(2)
【化13】 (式中、Xは、
【化14】 を表わす)で表わされる繰り返し構造単位が0乃至0.
5モル比未満であるポリイミド共重合体、およびポリイ
ミド単独重合体である。
【0009】すなわち、ポリイミド単独重合体は、一般
式(2)で表わされる繰り返し構造単位を含まない、一
般式(1)で表わされる繰り返し構造単位からなるポリ
イミドである。具体的には、式(1−1)
【化15】 または式(1−2)
【化16】 で表わされる繰り返し構造単位を有するポリイミド単独
重合体である。
【0010】また、本願で使用されるポリイミド共重合
体は、一般式(2)で表わされる繰り返し構造単位が0
を越え0.5モル比未満であり、一般式(1)で表わさ
れる繰り返し構造単位が0.5モル比を越え1.0モル
比未満であるポリイミド共重合体である。より詳しく
は、式(1−1)
【化17】 で表される繰り返し構造単位、ポリマー分子1モル中に
0.5モルを越え1.0モル未満と、式(2−1)
【化18】 で表される繰り返し構造単位および/または式(2−
2)
【化19】 で表される繰り返し構造単位をポリマー分子1モル中に
0モルを越え0.5未満とからなるポリイミド共重合
体、
【0011】および式(1−2)
【化20】 で表される繰り返し構造単位、ポリマー分子1モル中に
0.5モルを越え1.0モル未満と、式(2−1)
【化21】 で表される繰り返し構造単位および/または式(2−
2)
【化22】 で表される繰り返し構造単位をポリマー分子1モル中に
0モルを越え0.5未満とからなるポリイミド共重合体
が挙げられる。これらのポリイミド共重合体において、
繰り返し構造単位が式(2−1)と式(2−2)を含む
場合、それらの含有割合はとくに限定されず、任意の割
合でよい。また、その他のポリイミド共重合体として、
式(1−1)で表される繰り返し構造単位と式(1−
2)で表される繰り返し構造単位を任意の割合で混合し
て含有するポリイミド共重合体も含まれる。
【0012】以上のポリイミド単独重合体およびポリイ
ミド共重合体は、本願発明の効果を阻害しない範囲で他
の繰り返し構造単位のポリイミドを含むものであっても
よい。
【0013】また、上記のポリイミド単独重合体または
ポリイミド共重合体は、そのポリマー末端が一般式
(3)
【化23】 (式中、Zは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である
2価の基を表す)で表される芳香族ジカルボン酸無水物
および/または一般式(4)
【化24】 (式中、Vは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である
1価の基を表す)で表される芳香族モノアミンで封止さ
れているものが好ましい。
【0014】本発明で使用するポリイミドは、ポリイミ
ド粉末0.5gをp−クロロフェノール/フェノール
(9:1)の混合溶媒100mlに加熱溶解した後、35
℃に冷却して測定した対数粘度が0.45dl/g以上、好
ましくは0.50dl/g以上である。対数粘度が0.45
dl/g未満では、ポリイミド樹脂と補強材で構成されるポ
リイミド樹脂組成物から得られる射出成形体は良好な疲
労特性を有していない。
【0015】本発明で使用される上記の対数粘度0.4
5dl/g以上のポリイミドは、次のような方法で製造でき
る。ジアミンとしては、式(5)
【化25】 で表されるジアミン、すなわち1,3−ビス(3−アミ
ノフェノキシ)ベンゼンと、式(6)
【化26】 で表されるジアミン、すなわち4、4’−ビス(3−ア
ミノフェノキシ)ビフェニルを用い、
【0016】テトラカルボン酸二無水物としては、式
(7)
【化27】 で表されるテトラカルボン酸二無水物、すなわちピロメ
リット酸二無水物または式(8)
【化28】 で表されるテトラカルボン酸二無水物、すなわち3,3',
4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が用いられ
る。
【0017】前記のポリイミド単独重合体およびポリイ
ミド共重合体を製造するためこれらのジアミンおよびテ
トラカルボン酸二無水物は次のように使用される。式
(1−1)で表わされる繰り返し構造単位からなるポリ
イミド単独重合体または式(1−2)で表わされる繰り
返し構造単位からなるポリイミド単独重合体、あるいは
式(1−1)で表わされる繰り返し構造単位および式
(1−2)で表わされる繰り返し構造単位からなるポリ
イミド共重合体を製造する場合、式(5)のジアミン
を、式(7)または式(8)のテトラカルボン酸二無水
物をそれぞれ単独、または式(7)または式(8)のテ
トラカルボン酸二無水物を混合したものと反応させる。
また一般式(1)で表わされる繰り返し構造単位および
一般式(2)で表わされる繰り返し構造単位を有するポ
リイミド共重合体を製造する場合は、式(5)のジアミ
ンと式(6)のジアミンの混合物を、式(7)または式
(8)のテトラカルボン酸二無水物をそれぞれ単独、ま
たは式(7)および式(8)のテトラカルボン酸二無水
物を混合したものと反応させる。
【0018】式(5)のジアミンと式(6)のジアミン
を混合して使用する場合は、全ジアミンの使用量を1.
0モルとした場合、式(5)で表されるジアミン、即ち
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンは0.
5モルを越え1.0モル未満、式(6)で表されるジア
ミン、即ち4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビ
フェニルは0.5モル未満で使用する。4,4’−ビス
(3−アミノフェノキシ)ビフェニルの使用量が0.5
モル以上では、そのポリイミド樹脂と補強材で構成され
るポリイミド樹脂組成物から得られる射出成形体の疲労
特性が低下し、成形加工性も悪くなる。また、式(7)
および式(8)のテトラカルボン酸二無水物を混合して
使用する場合は、その混合割合はとくに限定されず任意
の割合でよい。
【0019】また、このポリイミドの性質および物理的
性質を損なわない範囲内で他のジアミンやテトラカルボ
ン酸二無水物を一種以上混合して重合させても何等差し
支えない。混合して用いることのできるジアミンとして
は、例えば、m−フェニレンジアミン、o−フェニレン
ジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジ
ルアミン、o−アミノベンジルアミン、p−アミノベン
ジルアミン、3−クロロ−1,2 −フェニレンジアミン、
4−クロロ−1,2 −フェニレンジアミン、2,3 −ジアミ
ノトルエン、2,4 −ジアミノトルエン、2,5 −ジアミノ
トルエン、2,6 −ジアミノトルエン、3,4−ジアミノト
ルエン、3,5−ジアミノトルエン、2−メトキシ−1,4−
フェニレンジアミン、4−メトキシ−1,2−フェニレン
ジアミン、4−メトキシ−1,3 −フェニレンジアミン、
ベンジジン、3,3'−ジクロロベンジジン、3,3'−ジメチ
ルベンジジン、3,3'−ジメトキシベンジジン、
【0020】3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'
−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェ
ニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、
3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノ
ジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスル
ホキシド、3,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,
4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3'−ジアミノ
ジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホ
ン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミ
ノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,
4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニ
ルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジ
アミノジフェニルメタン、
【0021】1,3 −ビス(4−アミノフェノキシ)ベン
ゼン、1,4 −ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,4 −ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1 ,3−
ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1 ,4−ビス
(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1 ,3−ビス(4−
アミノベンゾイル)ベンゼン、1 ,4−ビス(4−アミノ
ベンゾイル)ベンゼン、
【0022】3,3'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフ
ェニル、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニ
ル、3,3'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、
4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)−3−メチルビフ
ェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3'−
ジメチルビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキ
シ)−3,5 −ジメチルビフェニル、4,4'−ビス(3−ア
ミノフェノキシ)−3,3',5,5' −テトラメチルビフェニ
ル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3'−ジク
ロロビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)
−3,5 −ジクロロビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノ
フェノキシ)−3,3',5,5' −テトラクロロビフェニル、
4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3'−ジブロモ
ビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,
5 −ジブロモビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェ
ノキシ)−3,3',5,5' −テトラブロモビフェニル、
【0023】ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕メタン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕メタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)
フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕メタン、1,1 −ビス〔4−(3−アミノ
フェノキシ)フェニル〕エタン、1,1 −ビス〔4−(4
−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2 −ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,
2 −ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エ
タン、1,1 −ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕プロパン、1,1 −ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)フェニル〕プロパン、1,2 −ビス〔4−(3−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,2 −ビス〔4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,3
−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロ
パン、1,3 −ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕プロパン、2,2 −ビス〔4−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル〕プロパン、2,2 −ビス〔4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2−〔4−(4
−アミノフェノキシ)フェニル〕−2−〔4−(4−ア
ミノフェノキシ)−3−メチルフェニル〕プロパン、2,
2 −ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチル
フェニル〕プロパン、2−〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕−2−〔4−(4−アミノフェノキシ)
−3,5 −ジメチルフェニル〕プロパン、2,2 −ビス〔4
−(4−アミノフェノキシ)−3,5 −ジメチルフェニ
ル〕プロパン、2,2 −ビス〔4−(3−アミノフェノキ
シ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3 −ヘキサフルオロプロパ
ン、2,2 −ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕−1,1,1,3,3,3 −ヘキサフルオロプロパン、2,2 −
ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,
1,3,3,3 −ヘキサフルオロプロパン、2,2 −ビス〔3−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3 −
ヘキサフルオロプロパン、1,1 −ビス〔4−(3−アミ
ノフェノキシ)フェニル〕ブタン、1,1 −ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、1,2 −ビ
ス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、
1,2 −ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕
ブタン、1,3 −ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕ブタン、1,3 −ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)フェニル〕ブタン、1,4 −ビス〔4−(3−アミ
ノフェノキシ)フェニル〕ブタン、1,4 −ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2 −ビ
ス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、
2,2 −ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕
ブタン、2,3 −ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕ブタン、2,3 −ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)フェニル〕ブタン、
【0024】ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕ケトン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)
フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−
アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)−3−メトキシフェニ
ル〕スルフィド、〔4−(3−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕〔4−(3−アミノフェノキシ)−3,5 −ジメト
キシフェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフ
ェノキシ)−3,5 −ジメトキシフェニル〕スルフィド、
ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホ
キシド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕スルホキシド、ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔3−(3−アミノ
フェノキシ)フェニル〕スルホンビス〔3−(4−アミ
ノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−
アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、
ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテ
ル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エ
ーテル、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕エーテル、
【0025】1,3 −ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3 −ビス〔4−(3−ア
ミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,4 −ビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼ
ン、1,4 −ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾ
イル〕ベンゼン、1,3 −ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3 −
ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチ
ルベンジル〕ベンゼン、1,4 −ビス〔4−(4−アミノ
フェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、
1,4 −ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−
ジメチルベンジル〕ベンゼン等が挙げられ、これらは単
独または2種以上混合して用いられる。
【0026】また、混合して用いられるテトラカルボン
酸二無水物としては、エチレンテトラカルボン酸二無水
物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン
テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、
3,3',4,4' −ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水
物、2,2',3,3' −ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、3,3',4,4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物、2,2',3,3' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物、2,2 −ビス(3,4 −ジカルボキシフェニル)プロパ
ン二無水物、2,2 −ビス(2,3 −ジカルボキシフェニ
ル)プロパン二無水物、ビス(2,3 −ジカルボキシフェ
ニル)エーテル二無水物、ビス(3,4 −ジカルボキシフ
ェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3 −ジカルボキシ
フェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4 −ジカルボキ
シフェニル)スルホン二無水物、ビス(2,3 −ジカルボ
キシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4 −ジカルボ
キシフェニル)メタン二無水物、1,1 −ビス(2,3 −ジ
カルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1 −ビス(3,
4 −ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2 −ビ
ス(2,3 −ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,
2 −ビス(3,4 −ジカルボキシフェニル)エタン二無水
物、1,3 −ビス(2,3 −ジカルボキシフェノキシ)ベン
ゼン、1,3 −ビス(3,4 −ジカルボキシフェノキシ)ベ
ンゼン、1,4 −ビス(2,3 −ジカルボキシフェノキシ)
ベンゼン、1,4 −ビス(3,4 −ジカルボキシフェノキ
シ)ベンゼン、2,3,6,7 −ナフタレンテトラカルボン酸
二無水物、1,4,5,8 −ナフタレンテトラカルボン酸二無
水物、1,2,5,6 −ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、1,2,3,4 −ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,
4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7
−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8 −
フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等であり、こ
れらテトラカルボン酸二無水物は単独または2種以上混
合して用いられる。
【0027】本発明で使用するポリイミドは、これらの
ジアミンとテトラカルボン酸二無水物をモノマー成分と
して得られる前記の繰り返し構造単位を有するポリイミ
ド単独重合体またはポリイミド共重合体であり、これら
のポリイミドは、そのポリマー分子末端が未置換あるい
はアミンまたはジカルボン酸無水物と反応性を有しない
芳香族モノアミンおよび/または芳香族ジカルボン酸無
水物で置換されたポリイミドも含まれる。このポリマー
分子末端が芳香族モノアミンおよび/または芳香族ジカ
ルボン酸無水物で置換されたポリイミドは、式(5)で
表されるジアミン、すなわち、1,3−ビス(3−アミ
ノフェノキシ)ベンゼンと、あるいはこのジアミンと式
(6)で表されるジアミン、すなわち4,4’−ビス
(3−アミノフェノキシ)ビフェニルとを混合したもの
を用い、式(7)で表されるテトラカルボン酸無水物、
すなわちピロメリット酸二無水物および/または式
(8)で表されるテトラカルボン酸二無水物、すなわち
3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とを、
一般式(3)
【化29】 (式中、Zは炭素数6〜15の単環式芳香族基、縮合多
環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋員によ
り相互に連結された非縮合多環式芳香族基である2価の
基を表す)で表される芳香族ジカルボン酸無水物および
/または一般式(4)
【化30】 (式中、Vは炭素数6〜15の単環式芳香族基、縮合多
環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋員によ
り相互に連結された非縮合多環式芳香族基である1価の
基を表す)で表される芳香族モノアミンの存在下に反応
させ得られる。
【0028】一般式(3)で表される芳香族ジカルボン
酸無水物としては、無水フタル酸、2,3 −ベンゾフェノ
ンジカルボン酸無水物、3,4 −ベンゾフェノンジカルボ
ン酸無水物、2,3 −ジカルボキシフェニルフェニルエー
テル無水物、3,4 −ジカルボキシフェニルフェニルエー
テル無水物、2,3 −ビフェニルジカルボン酸無水物、3,
4 −ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3 −ジカルボキ
シフェニルフェニルスルホン無水物、3,4 −ジカルボキ
シフェニルフェニルスルホン無水物、2,3 −ジカルボキ
シフェニルフェニルスルフィド無水物、3,4 −ジカルボ
キシフェニルフェニルスルフィド無水物、1,2 −ナフタ
レンジカルボン酸無水物、2,3 −ナフタレンジカルボン
酸無水物、1,8 −ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2
−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3 −アントラセ
ンジカルボン酸無水物、1,9 −アントラセンジカルボン
酸無水物等が挙げられる。これらのジカルボン酸無水物
はアミンまたはジカルボン酸無水物と反応性を有しない
基で置換されていても差し支えないし、単独、もしくは
二種以上混合して用いても何ら差し支えない。これらの
芳香族ジカルボン酸無水物の中で無水フタル酸が、得ら
れるポリイミドの性能面および実用面から最も好まし
い。
【0029】芳香族ジカルボン酸無水物を用いる場合、
その使用量は、式(5)で表される1,3−ビス(3−
アミノフェノキシ)ベンゼン、あるいはこれと式(6)
で表される4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビ
フェニルとの混合物1モル当り、 0.001〜1.0 モルであ
る。 0.001モル未満では、高温成形時に粘度の上昇が見
られ成形加工性の低下の原因となる。また、1.0 モルを
超えると機械的特性が低下する。好ましくは、0.01〜0.
5 モルである。
【0030】また、一般式(4)で表される芳香族モノ
アミンとしては、例えば、アニリン、o−トルイジン、
m−トルイジン、p−トルイジン、2,3 −キシリジン、
2,6 −キシリジン、3,4 −キシリジン、3,5 −キシリジ
ン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−ク
ロロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブロモアニリ
ン、p−ブロモアニリン、o−ニトロアニリン、m−ニ
トロアニリン、p−ニトロアニリン、o−アミノフェノ
ール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、
o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o
−フェネジン、m−フェネジン、p−フェネジン、o−
アミノベンズアルデヒド、m−アミノベンズアルデヒ
ド、p−アミノベンズアルデヒド、o−アミノベンゾニ
トリル、m−アミノベンゾニトリル、p−アミノベンゾ
ニトリル、2−アミノビフェニル、3−アミノビフェニ
ル、4−アミノビフェニル、2−アミノフェニルフェニ
ルエーテル、3−アミノフェニルフェニルエーテル、4
−アミノフェニルフェニルエーテル、2−アミノベゾフ
ェノン、3−アミノベゾフェノン、4−アミノベゾフェ
ノン、2−アミノフェニルフェニルスルフィド、3−ア
ミノフェニルフェニルスルフィド、4−アミノフェニル
フェニルスルフィド、2−アミノフェニルフェニルスル
ホン、3−アミノフェニルフェニルスルホン、4−アミ
ノフェニルフェニルスルホン、α−ナフチルアミン、β
−ナフチルアミン、1−アミノ−2−ナフトール、2−
アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトー
ル、5−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナ
フトール、7−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−
1−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、1−ア
ミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミ
ノアントラセン等が挙げられる。これらの芳香族モノア
ミンは、アミンまたはジカルボン酸無水物と反応性を有
しない基で置換されていても差し支えないし、単独もし
くは二種以上混合して用いても何等差し支えない。
【0031】芳香族モノアミンを用いる場合、その使用
量は式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物、す
なわち、ピロメリット酸二無水物および/または式
(8)で表されるテトラカルボン酸二無水物、すなわち
3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物1モル
当り、 0.001〜1.0 モルである。 0.001モル未満では、
高温成形時に粘度の上昇が見られ成形加工性低下の原因
となる。また、 1.0モルを超えると機械的特性が低下す
る。好ましくは、0.01〜0.5 モルである。
【0032】本発明で使用するポリイミドは、公知のい
ずれの方法によっても製造できる。例えば、 1)有機溶剤中でポリアミド酸を合成し、溶剤を減圧等
による除去を行うか、得られたポリアミド酸溶液から貧
溶媒を用いる等の方法によりポリアミド酸を単離した
後、これを加熱してイミド化を行いポリイミドを得る方
法、 2)1)と同様にしてポリアミド酸溶液を得、更に無水
酢酸に代表される脱水剤を加え、また必要に応じて触媒
を加えて化学的にイミド化を行った後、公知の方法によ
りポリイミドを単離し、必要に応じて洗浄、乾燥を行う
方法、 3)1)と同様にしてポリアミド酸溶液を得た後、減圧
もしくは加熱により溶剤を除去すると同時に熱的にイミ
ド化を行う方法、 4)有機溶剤中に原料を装入後、加熱を行いポリアミド
酸の合成とイミド化反応を同時に行い、必要に応じて触
媒や共沸剤、脱水剤等を共存させる方法、などがあげら
れる。
【0033】ポリイミドの製造に際しては、有機溶媒中
で反応を行うのが特に好ましく、用いられる有機溶剤と
しては、例えば、N,N −ジメチルホルムアミド、N,N −
ジメチルアセトアミド、N,N −ジエチルアセトアミド、
N,N −ジメチルメトキシアセトアミド、N−メチル−2
−ピロリドン、1,3 −ジメチル−2−イミダゾリジノ
ン、N−メチルカプロラクタム、1,2 −ジメトキシエタ
ン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2 −ビス
(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス〔2−(2−メ
トキシエトキシ)エチル〕エーテル、テトラヒドロフラ
ン、1,3 −ジオキサン、1,4 −ジオキサン、ピリジン、
ピコリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、
テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、フェ
ノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾ
ール、m−クレゾール酸、p−クロロフェノール、アニ
ソール等が挙げられる。また、これらの有機溶剤は単独
でも、または2種以上混合して用いても差し支えない。
【0034】また、ポリイミドの製造において、有機溶
媒中にジアミン類、テトラカルボン酸二無水物および芳
香族ジカルボン酸無水物または芳香族モノアミンを添
加、反応させる方法としては、(イ)テトラカルボン酸
二無水物と、ジアミン類を反応させた後に芳香族ジカル
ボン酸無水物または芳香族モノアミンを添加して反応を
続ける方法、(ロ)ジアミン類に芳香族ジカルボン酸無
水物を加えて反応させた後、テトラカルボン酸二無水物
を添加して反応を続ける、あるいは、テトラカルボン酸
二無水物に芳香族モノアミンを加えて反応させた後、ジ
アミン類を添加して反応を続ける方法、(ハ)テトラカ
ルボン酸二無水物、ジアミン類および芳香族ジカルボン
酸無水物または芳香族モノアミンを同時に添加して反応
をさせる方法、など、いずれの添加方法をとっても差し
支えない。
【0035】重合・イミド化反応温度は通常300 ℃以下
である。重合・イミド化反応圧は特に限定されず、常圧
で十分実施できる。また、重合・イミド化反応時間は、
ジアミンの種類、テトラカルボン酸二無水物の種類、溶
剤の種類および反応温度により異なり、通常4〜24時間
で十分である。以上の方法により本発明で使用するポリ
イミドが得られる。
【0036】本発明のポリイミド樹脂組成物は、前記の
ポリイミド、すなわち、ポリイミド単独重合体またはポ
リイミド共重合体であり、かつその対数粘度が0.45
dl/g以上、好ましくは0.50dl/g以上であるポリイミ
ド樹脂100重量部に対して、炭素繊維、ガラス繊維、
芳香族ポリアミド繊維および/またはチタン酸カリウム
繊維等の補強材を5〜65重量部、好ましくは10〜5
0重量部を添加して調製される組成物である。補強材の
使用量が5重量部未満では、充分な補強効果が得られな
い。また、65重量部を越えると、ポリイミド樹脂組成
物自体の射出成形性が低下してしまい、良好な射出成形
体が得られない。
【0037】ポリイミド樹脂に補強材を添加する方法と
しては、通常公知の方法が適用できる。例えば、ポリイ
ミド粉末および補強材を乳鉢、ヘンシェルミキサー、ド
ラムブレンダー、タンブラーブレンダー、ボールミル、
リボンブレンダー等を用いて予備混練した後、溶融混合
機、熱ロール等を用いてペレットや粉状混合物を得る方
法が最も一般的である。
【0038】本発明のポリイミド樹脂組成物は、射出成
形法、押出成形法、圧縮成形法、回転成形法等の各種の
公知成形法による成形に実用的に供することができる。
とくに、本発明に使用するポリイミドは優れた溶融流動
性を有するので、本発明のポリイミド樹脂組成物は作業
効率の面から射出成形法が最も好ましく成形法として適
用できる。
【0039】本発明のポリイミド樹脂組成物には、本発
明の目的を損なわない範囲で、他の成分を配合してもよ
い。すなわち、熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、
ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポ
リエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリア
ミドイミド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリイミ
ド、ポリエーテルイミドおよび熱硬化性樹脂を目的に応
じて適当量配合することも可能である。
【0040】また、固体潤滑剤、例えば、二硫化モリブ
デン、グラファイト、窒化ホウ素、一酸化鉛、鉛粉など
を一種以上添加することもできる。さらに、酸化防止
剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、帯電
防止剤、着色剤などの通常の添加剤を一種以上添加する
ことができる。
【0041】本発明の射出成形体は、本発明のポリイミ
ド樹脂組成物から射出成形機の金型の形状を変えること
により種々の形状の成形体として得られる。すなわち、
本発明の成形体は、特に優れた動的疲労特性が要求され
る自動車部品まわりのバルブリフターやインペラー等へ
の適用が期待される。
【0042】
【実施例】以下、本発明を合成例、実施例および比較例
により詳細に説明する。なお、例中で各種物性の測定は
次の方法によった。 対数粘度:ポリイミド粉末0.50gをp−クロロフェノー
ルとフェノールの混合溶媒(90:10重量比)100 mlに加
熱溶解した後35℃に冷却して測定定した値である。 ガラス転移温度(Tg):DSC(島津DT−40シリ
ーズ、DSC−41M)により16℃/minの昇温速
度で測定 5%重量減少温度:空気中でDTA−Tg(島津DT−
40シリーズ、DSC−40M)により10℃/min
の昇温速度で測定
【0043】合成例−1 かきまぜき、還流冷却器、水分離器および窒素導入管を
備えた容器に、1,3 −ビス(3−アミノフェノキシ)ベ
ンゼン 2.338 kg (8.00モル)、4,4'−ビス(3−アミ
ノフェノキシ)ビフェニル 736.8g(2.00モル)、ピロ
メリット酸二無水物 2.159 kg (9.90 モル)、γ−ピコ
リン 138 g(1.5 モル)およびm−クレゾール 20.9 kg
を装入し、窒素雰囲気下において攪拌しながら145 ℃ま
で加熱昇温した。この間、約 340gの水の留出が確認さ
れた。更に、140 〜150 ℃で4時間反応を行った。その
後、室温まで冷却し、72.9 kg のメチルエチルケトンに
排出した後、濾別した。このポリイミド粉をメチルエチ
ルケトンでさらに洗浄し、窒素雰囲気下において、50℃
で24時間予備乾燥した後、200 ℃で6時間乾燥して 4.7
9 kg(収率98.2%)のポリイミド粉を得た。このポリイ
ミド粉の対数粘度は0.74dl/g、Tgは220 ℃、空気中で
の5%重量減少温度は 549℃であった。
【0044】合成例−2 合成例−1 において、ピロメリット酸二無水物 2.159 k
g (9.90 モル)の代わりに3,3',4,4'-ビフェニルテトラ
カルボン酸二無水物 2.883 kg (9.80 モル) を用いた以
外は合成例−1と同様な方法で反応を行いポリイミド粉
5.49 kg(収率98.0%)を得た。このポリイミド粉の対
数粘度は 0.76 dl/g、Tgは 206℃、空気中での5%重
量減少温度は 545℃であった。
【0045】合成例−3 合成例−1において、1,3 −ビス(3−アミノフェノキ
シ)ベンゼン 2.338 kg (8.00 モル)および4,4'−ビス
(3−アミノフェノキシ)ビフェニル 736.8 g(2.00
モル)の代わりに1,3 −ビス(3−アミノフェノキシ)
ベンゼン 2.923kg (10.0 モル)を用いた以外は合成例
−1と同様な方法で反応を行いポリイミド粉4.64 kg
(収率98.2%)を得た。このポリイミド粉の対数粘度は
0.74 dl/g、Tgは 213℃、空気中での5%重量減少温
度は 536℃であった。
【0046】合成例−4 合成例−3において、ピロメリット酸二無水物 2.159 k
g(9.90モル)の代わりに3,3',4,4'-ビフェニルテトラ
カルボン酸二無水物 2.883 kg (9.80モル) を用いた以
外は合成例−3と同様な方法で反応を行いポリイミド粉
5.36 kg(収率98.5 %)を得た。このポリイミド粉の
対数粘度は0.80dl/g、Tgは199 ℃、空気中での5%重
量減少温度は 545℃であった。
【0047】合成例−5 合成例−1において反応を行う際に、無水フタル酸 29.
5g(0.20 モル) を加えた以外は合成例−1と同様な方
法で反応を行いポリイミド粉4.83kg(収率98.6%)を得
た。このポリイミド粉の対数粘度は 0.73 dl/g、Tgは
218℃、空気中での5%重量減少温度は 558℃であっ
た。
【0048】合成例−6 合成例−2において反応を行う際に、無水フタル酸 59.
0 g (0.4モル) を加えた以外は合成例−2と同様な方法
で反応を行いポリイミド粉 5.59 kg(収率98.8%)を得
た。このポリイミド粉の対数粘度は 0.74 dl/g、Tgは
205℃、空気中での5%重量減少温度は 559℃であっ
た。
【0049】合成例−7 合成例−3において反応を行う際に、無水フタル酸 29.
5g(0.2 モル) を加えた以外は合成例−3と同様な方法
で反応を行いポリイミド粉 4.69 kg(収率98.7%)を得
た。このポリイミド粉の対数粘度は 0.72 dl/g、Tgは
212℃、空気中での5%重量減少温度は 556℃であっ
た。
【0050】合成例−8 合成例−4において反応を行う際に、無水フタル酸 59.
0 g (0.4モル) を加えた以外は合成例−4と同様な方法
で反応を行いポリイミド粉 5.41kg (収率 98.2 %)を
得た。このポリイミド粉の対数粘度は 0.78 dl/g、Tg
は 198℃、空気中での5%重量減少温度は 555℃であっ
た。
【0051】合成例−9〜40 各種ジアミンおよび酸無水物を用いてポリイミドを合成
した結果を表−1〜5に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】実施例−1〜3 合成例1で得られたポリイミド粉100 重量部に対して、
東邦レ−ヨン社製炭素繊維(HTA−C6)40重量部を
添加し、ドラムブレンダ−混合機(川田製作所社製)で
混合した後、口径30mmの単軸押出機により400 ℃で溶融
混練した後、ストランドを空冷、切断してペレットを得
た。得られたペレットを用いてア−ブル−グ射出成形機
で射出圧力500kg/cm2 、シリンダ−温度410 ℃、金型温
度180 ℃の条件下射出成形を行い引張試験を行った。こ
の試験片を用いてJIS K7118 に従い部分片振り法で繰り
返し疲労回数を測定した。荷重と繰り返し疲労回数を表
6に纏めて示す。
【0058】実施例−4〜84 合成例2〜10、13〜16、19〜25、28〜3
1、34〜36で得られたポリイミド粉を用いて実施例
1と同様にして引張試験片を作成し繰り返し疲労回数を
測定した。この結果を表6〜9に示す。
【0059】実施例−85〜102 合成例5〜8で得られたポリイミド粉を用いて実施例−
1で用いた東邦レ−ヨン社製炭素繊維(HTA−C6)
の代わりに、日本板硝子社製ガラス繊維(マイクログラ
スRES)またはDuPont社製アラミド繊維(ケブ
ラ−チョップドストランドK−49)を用いた以外は実
施例−1と同様にして引張試験片を作成し繰り返し疲労
回数を測定した。この結果を表−10に示す。
【0060】比較例−1〜6 合成例11、12で得られたポリイミド粉を用いて実施
例1と同様にして引張試験片を作成し繰り返し疲労回数
を測定した。この結果を表11に示す。以上の結果から
判るように、APBの割合が50mol%未満である合
成例11、12のポリイミドは疲労特性、即ち一定の加
振応力応力における繰り返し疲労回数がAPBの割合が
50mol%以上のものに比べて一桁以上下回ることが
判る。
【0061】比較例−7〜24 合成例17、18、26、27、32、33で得られた
ポリイミド粉を用いて実施例1と同様にして引張試験片
を作成し繰り返し疲労回数を測定した。この結果を表1
2に示す。以上の結果から判るように、対数粘度が0.45
dl/g以上である樹脂組成物は優れた疲労特性を有してい
るのに対して、対数粘度が0.45dl/g未満である合成例1
7、18、26、27、32、33のポリイミドは疲労
特性、即ち一定の加振応力応力における繰り返し疲労回
数が対数粘度0.45dl/g以上のものに比べて一桁以上下回
ることが判る。
【0062】実施例103〜120 合成例5、7で得られたポリイミド粉100 重量部に対し
て、繊維の添加量を変化させた試験片を実施例1の方法
で作成し荷重と繰り返し疲労回数の関係を測定した。結
果を表13、14に示す。
【0063】比較例25〜36 本発明の範囲外の組成物を用いて実施例−103〜12
0と同様の方法で荷重と繰り返し疲労回数の関係を測定
した。結果を表13、14に示す。炭素繊維を本発明の
範囲内で使用した場合、優れた疲労特性を有しているの
に対して、炭素繊維の使用量が本発明よりも下回った場
合良好な疲労特性が発揮されず、また炭素繊維の使用量
が本発明の範囲よりも上回った場合射出成形不可能であ
り、成形物が得られなかった。
【0064】実施例121〜132 合成例37〜40で得られたポリイミド粉100 重量部に
対して、炭素繊維の添加量を変化させた試験片を実施例
1の方法で作成し荷重と繰り返し疲労回数の関係を測定
した。結果を表15に示す。
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】
【0068】
【表9】
【0069】
【表10】
【0070】
【表11】
【0071】
【表12】
【0072】
【表13】
【0073】
【表14】
【0074】
【表15】
【0075】
【発明の効果】本発明の方法によれば、著しく耐疲労性
に優れたポリイミド樹脂組成物および射出成形体が提供
される。
【手続補正書】
【提出日】平成7年1月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 疲労特性に優れたポリイミド樹脂組成
物および射出成形体
【特許請求の範囲】
【化1】 一般式(2)
【化2】 (式(1)および(2)中、Xは、
【化3】 を表す)
【化4】 (式中、Zは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である
2価の基を表す)で表される芳香族ジカルボン酸無水物
および/または一般式(4)
【化5】 (式中、Vは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である
1価の基を表す)で表される芳香族モノアミンを共存さ
せて得られるポリマーの分子末端を封止したものを含む
対数粘度が0.45dl/g以上のポリイミド100重量部
と、5〜65重量部の炭素繊維、ガラス繊維、芳香族ポ
リアミド繊維および/またはチタン酸カリウム繊維を含
む疲労特性に優れたポリイミド樹脂組成物。
【化6】
【化7】 (式中、Zは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である
2価の基を表す)で表される芳香族ジカルボン酸無水物
および/または一般式(4)
【化8】 (式中、Vは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である
1価の基を表す)で表される芳香族モノアミンを共存さ
せて得られるポリマーの分子末端を封止したものを含む
対数粘度が0.45dl/g以上のポリイミド100重量部
と、5〜65重量部の炭素繊維、ガラス繊維、芳香族ポ
リアミド繊維および/またはチタン酸カリウム繊維を含
む疲労特性に優れたポリイミド樹脂組成物。
【化9】
【化10】 (式中、Zは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である
2価の基を表す)で表される芳香族ジカルボン酸無水物
および/または一般式(4)
【化11】 (式中、Vは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である
1価の基を表す)で表される芳香族モノアミンを共存さ
せて得られるポリマーの分子末端を封止したものを含む
対数粘度が0.45dl/g以上のポリイミド100重量部
と、5〜65重量部の炭素繊維、ガラス繊維、芳香族ポ
リアミド繊維および/またはチタン酸カリウム繊維を含
む疲労特性に優れたポリイミド樹脂組成物。
【化12】 一般式(2)
【化13】 (式(1)および(2)中、Xは、
【化14】 を表わす)
【化15】 (式中、Zは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である
2価の基を表す)で表される芳香族ジカルボン酸無水物
および/または一般式(4)
【化16】 (式中、Vは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である
1価の基を表す)で表される芳香族モノアミンを共存さ
せて得られるポリマーの分子末端を封止したものを含む
対数粘度が0.45dl/g以上のポリイミド100重量部
と、5〜65重量部の炭素繊維、ガラス繊維、芳香族ポ
リアミド繊維および/またはチタン酸カリウム繊維を含
む疲労特性に優れたポリイミド樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、疲労特性良好なポリイ
ミド樹脂組成物およびその射出成形体に関する。詳しく
は、溶融成形性良好でしかも優れた耐疲労性を有するポ
リイミド樹脂組成物およびそのポリイミド樹脂組成物か
ら得られる射出成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ポリイミドは、その高耐熱性
に加え、力学的強度、寸法安定性が優れ、難燃性、電気
絶縁性などをあわせ持つために、電気・電子機器、宇宙
航空用機器、輸送機器等の分野に広く用いられている。
従来、優れた特性を示すポリイミドが種々開発されてい
るが、耐熱性に優れていても、明瞭なガラス転移温度を
有しないために成形材料として用いる場合に焼結成形な
どの手法を用いて加工しなければならないとか、また加
工性は優れているがガラス転移温度が低く、しかもハロ
ゲン化炭化水素系の溶媒に可溶で耐熱性、耐溶剤性の面
からは満足がゆかないとか性能に一長一短があった。
【0003】これらの問題点を解決する目的で、先に本
発明者らは機械的性質、熱的性質、電気的性質、耐薬品
性に優れた溶融成形可能なポリイミドや各種コポリイミ
ドを開発した(特開昭61−143478号公報、特開
平3−47837号公報など)。しかしながら、疲労特
性等の動的機械特性に関する検討はあまり行われておら
ず、特に近年開発された射出成形可能な高耐熱性ポリイ
ミドの分野においては、ほとんど知見が無いというのが
現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、射出
成形等の溶融成形が可能で、しかも高疲労特性を有する
ポリイミド樹脂組成物およびその射出成形体を提供する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を行った結果、特定の構造
と、ある分子量以上を有するポリイミドを用いたポリイ
ミド樹脂組成物が優れた溶融流動成形性を示し、しかも
この樹脂組成物から疲労特性に優れた射出成形体が得ら
れることを見出し、本発明に到達した。
【0006】即ち、本発明は、(1)ポリマー分子中、
一般式(1)で表わされる繰り返し構造単位が0.5モ
ル比を越え1.0モル比以下で、一般式(2)で表わさ
れる繰り返し構造単位が0乃至0.5モル比未満であ
り、かつ対数粘度が0.45dl/g以上であるポリイミド
100重量部と、5〜65重量部の炭素繊維、ガラス繊
維、芳香族ポリアミド繊維および/またはチタン酸カリ
ウム繊維を含む疲労特性に優れたポリイミド樹脂組成
物、一般式(1)
【化17】 一般式(2)
【化18】 (式(1)および(2)中、Xは
【化19】 を表わす)
【0007】(2)前記のポリイミドを製造する際に、
一般式(3)
【化20】 (式中、Zは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である
2価の基を表す)で表される芳香族ジカルボン酸無水物
および/または一般式(4)
【化21】 (式中、Vは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である
1価の基を表す)で表される芳香族モノアミンを共存さ
せて得られるポリマーの分子末端を封止したものを含む
対数粘度が0.45dl/g以上のポリイミド100重量部
と、5〜65重量部の炭素繊維、ガラス繊維、芳香族ポ
リアミド繊維および/またはチタン酸カリウム繊維を含
む疲労特性に優れたポリイミド樹脂組成物、および
(3)これらのポリイミド樹脂組成物から得られる射出
成形体である。
【0008】本発明で使用されるポリイミドは、ポリマ
ー分子中、一般式(1)
【化22】 (式中、Xは、
【化23】 を表す)で表される繰り返し構造単位が0.5モル比を
越え1.0モル比以下であり、一般式(2)
【化24】 (式中、Xは、
【化25】 を表わす)で表わされる繰り返し構造単位が0乃至0.
5モル比未満であるポリイミド共重合体、およびポリイ
ミド単独重合体である。
【0009】すなわち、ポリイミド単独重合体は、一般
式(2)で表わされる繰り返し構造単位を含まない、一
般式(1)で表わされる繰り返し構造単位からなるポリ
イミドである。具体的には、式(1−1)
【化26】 または式(1−2)
【化27】 で表わされる繰り返し構造単位を有するポリイミド単独
重合体である。
【0010】また、本願で使用されるポリイミド共重合
体は、一般式(2)で表わされる繰り返し構造単位が0
を越え0.5モル比未満であり、一般式(1)で表わさ
れる繰り返し構造単位が0.5モル比を越え1.0モル
比未満であるポリイミド共重合体である。より詳しく
は、式(1−1)
【化28】 で表される繰り返し構造単位、ポリマー分子1モル中に
0.5モルを越え1.0モル未満と、式(2−1)
【化29】 で表される繰り返し構造単位および/または式(2−
2)
【化30】 で表される繰り返し構造単位をポリマー分子1モル中に
0モルを越え0.5未満とからなるポリイミド共重合
体、
【0011】および式(1−2)
【化31】 で表される繰り返し構造単位、ポリマー分子1モル中に
0.5モルを越え1.0モル未満と、式(2−1)
【化32】 で表される繰り返し構造単位および/または式(2−
2)
【化33】 で表される繰り返し構造単位をポリマー分子1モル中に
0モルを越え0.5未満とからなるポリイミド共重合体
が挙げられる。これらのポリイミド共重合体において、
繰り返し構造単位が式(2−1)と式(2−2)を含む
場合、それらの含有割合はとくに限定されず、任意の割
合でよい。また、その他のポリイミド共重合体として、
式(1−1)で表される繰り返し構造単位と式(1−
2)で表される繰り返し構造単位を任意の割合で混合し
て含有するポリイミド共重合体も含まれる。
【0012】以上のポリイミド単独重合体およびポリイ
ミド共重合体は、本願発明の効果を阻害しない範囲で他
の繰り返し構造単位のポリイミドを含むものであっても
よい。
【0013】また、上記のポリイミド単独重合体または
ポリイミド共重合体は、そのポリマー末端が一般式
(3)
【化34】 (式中、Zは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である
2価の基を表す)で表される芳香族ジカルボン酸無水物
および/または一般式(4)
【化35】 (式中、Vは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である
1価の基を表す)で表される芳香族モノアミンで封止さ
れているものが好ましい。
【0014】本発明で使用するポリイミドは、ポリイミ
ド粉末0.5gをp−クロロフェノール/フェノール
(9:1)の混合溶媒100mlに加熱溶解した後、35
℃に冷却して測定した対数粘度が0.45dl/g以上、好
ましくは0.50dl/g以上である。対数粘度が0.45
dl/g未満では、ポリイミド樹脂と補強材で構成されるポ
リイミド樹脂組成物から得られる射出成形体は良好な疲
労特性を有していない。
【0015】本発明で使用される上記の対数粘度0.4
5dl/g以上のポリイミドは、次のような方法で製造でき
る。ジアミンとしては、式(5)
【化36】 で表されるジアミン、すなわち1,3−ビス(3−アミ
ノフェノキシ)ベンゼンと、式(6)
【化37】 で表されるジアミン、すなわち4、4’−ビス(3−ア
ミノフェノキシ)ビフェニルを用い、
【0016】テトラカルボン酸二無水物としては、式
(7)
【化38】 で表されるテトラカルボン酸二無水物、すなわちピロメ
リット酸二無水物または式(8)
【化39】 で表されるテトラカルボン酸二無水物、すなわち3,3',
4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が用いられ
る。
【0017】前記のポリイミド単独重合体およびポリイ
ミド共重合体を製造するためこれらのジアミンおよびテ
トラカルボン酸二無水物は次のように使用される。式
(1−1)で表わされる繰り返し構造単位からなるポリ
イミド単独重合体または式(1−2)で表わされる繰り
返し構造単位からなるポリイミド単独重合体、あるいは
式(1−1)で表わされる繰り返し構造単位および式
(1−2)で表わされる繰り返し構造単位からなるポリ
イミド共重合体を製造する場合、式(5)のジアミン
を、式(7)または式(8)のテトラカルボン酸二無水
物をそれぞれ単独、または式(7)または式(8)のテ
トラカルボン酸二無水物を混合したものと反応させる。
また一般式(1)で表わされる繰り返し構造単位および
一般式(2)で表わされる繰り返し構造単位を有するポ
リイミド共重合体を製造する場合は、式(5)のジアミ
ンと式(6)のジアミンの混合物を、式(7)または式
(8)のテトラカルボン酸二無水物をそれぞれ単独、ま
たは式(7)および式(8)のテトラカルボン酸二無水
物を混合したものと反応させる。
【0018】式(5)のジアミンと式(6)のジアミン
を混合して使用する場合は、全ジアミンの使用量を1.
0モルとした場合、式(5)で表されるジアミン、即ち
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンは0.
5モルを越え1.0モル未満、式(6)で表されるジア
ミン、即ち4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビ
フェニルは0.5モル未満で使用する。4,4’−ビス
(3−アミノフェノキシ)ビフェニルの使用量が0.5
モル以上では、そのポリイミド樹脂と補強材で構成され
るポリイミド樹脂組成物から得られる射出成形体の疲労
特性が低下し、成形加工性も悪くなる。また、式(7)
および式(8)のテトラカルボン酸二無水物を混合して
使用する場合は、その混合割合はとくに限定されず任意
の割合でよい。
【0019】また、このポリイミドの性質および物理的
性質を損なわない範囲内で他のジアミンやテトラカルボ
ン酸二無水物を一種以上混合して重合させても何等差し
支えない。混合して用いることのできるジアミンとして
は、例えば、m−フェニレンジアミン、o−フェニレン
ジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジ
ルアミン、o−アミノベンジルアミン、p−アミノベン
ジルアミン、3−クロロ−1,2 −フェニレンジアミン、
4−クロロ−1,2 −フェニレンジアミン、2,3 −ジアミ
ノトルエン、2,4 −ジアミノトルエン、2,5 −ジアミノ
トルエン、2,6 −ジアミノトルエン、3,4−ジアミノト
ルエン、3,5−ジアミノトルエン、2−メトキシ−1,4−
フェニレンジアミン、4−メトキシ−1,2−フェニレン
ジアミン、4−メトキシ−1,3 −フェニレンジアミン、
ベンジジン、3,3'−ジクロロベンジジン、3,3'−ジメチ
ルベンジジン、3,3'−ジメトキシベンジジン、
【0020】3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'
−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェ
ニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、
3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノ
ジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスル
ホキシド、3,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,
4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3'−ジアミノ
ジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホ
ン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミ
ノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,
4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニ
ルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジ
アミノジフェニルメタン、
【0021】1,3 −ビス(4−アミノフェノキシ)ベン
ゼン、1,4 −ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,4 −ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1 ,3−
ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1 ,4−ビス
(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1 ,3−ビス(4−
アミノベンゾイル)ベンゼン、1 ,4−ビス(4−アミノ
ベンゾイル)ベンゼン、
【0022】3,3'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフ
ェニル、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニ
ル、3,3'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、
4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)−3−メチルビフ
ェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3'−
ジメチルビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキ
シ)−3,5 −ジメチルビフェニル、4,4'−ビス(3−ア
ミノフェノキシ)−3,3',5,5' −テトラメチルビフェニ
ル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3'−ジク
ロロビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)
−3,5 −ジクロロビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノ
フェノキシ)−3,3',5,5' −テトラクロロビフェニル、
4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3'−ジブロモ
ビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,
5 −ジブロモビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェ
ノキシ)−3,3',5,5' −テトラブロモビフェニル、
【0023】ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕メタン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕メタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)
フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕メタン、1,1 −ビス〔4−(3−アミノ
フェノキシ)フェニル〕エタン、1,1 −ビス〔4−(4
−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2 −ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,
2 −ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エ
タン、1,1 −ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕プロパン、1,1 −ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)フェニル〕プロパン、1,2 −ビス〔4−(3−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,2 −ビス〔4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,3
−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロ
パン、1,3 −ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕プロパン、2,2 −ビス〔4−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル〕プロパン、2,2 −ビス〔4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2−〔4−(4
−アミノフェノキシ)フェニル〕−2−〔4−(4−ア
ミノフェノキシ)−3−メチルフェニル〕プロパン、2,
2 −ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチル
フェニル〕プロパン、2−〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕−2−〔4−(4−アミノフェノキシ)
−3,5 −ジメチルフェニル〕プロパン、2,2 −ビス〔4
−(4−アミノフェノキシ)−3,5 −ジメチルフェニ
ル〕プロパン、2,2 −ビス〔4−(3−アミノフェノキ
シ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3 −ヘキサフルオロプロパ
ン、2,2 −ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕−1,1,1,3,3,3 −ヘキサフルオロプロパン、2,2 −
ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,
1,3,3,3 −ヘキサフルオロプロパン、2,2 −ビス〔3−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3 −
ヘキサフルオロプロパン、1,1 −ビス〔4−(3−アミ
ノフェノキシ)フェニル〕ブタン、1,1 −ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、1,2 −ビ
ス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、
1,2 −ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕
ブタン、1,3 −ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕ブタン、1,3 −ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)フェニル〕ブタン、1,4 −ビス〔4−(3−アミ
ノフェノキシ)フェニル〕ブタン、1,4 −ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2 −ビ
ス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、
2,2 −ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕
ブタン、2,3 −ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕ブタン、2,3 −ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)フェニル〕ブタン、
【0024】ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕ケトン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)
フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−
アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)−3−メトキシフェニ
ル〕スルフィド、〔4−(3−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕〔4−(3−アミノフェノキシ)−3,5 −ジメト
キシフェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフ
ェノキシ)−3,5 −ジメトキシフェニル〕スルフィド、
ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホ
キシド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕スルホキシド、ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔3−(3−アミノ
フェノキシ)フェニル〕スルホン ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホ
ン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ス
ルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕エーテル、ビス〔3−(3−アミノフェノキ
シ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル〕エーテル、
【0025】1,3 −ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3 −ビス〔4−(3−ア
ミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,4 −ビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼ
ン、1,4 −ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾ
イル〕ベンゼン、1,3 −ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3 −
ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチ
ルベンジル〕ベンゼン、1,4 −ビス〔4−(4−アミノ
フェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、
1,4 −ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−
ジメチルベンジル〕ベンゼン等が挙げられ、これらは単
独または2種以上混合して用いられる。
【0026】また、混合して用いられるテトラカルボン
酸二無水物としては、エチレンテトラカルボン酸二無水
物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン
テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、
3,3',4,4' −ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水
物、2,2',3,3' −ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、3,3',4,4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物、2,2',3,3' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物、2,2 −ビス(3,4 −ジカルボキシフェニル)プロパ
ン二無水物、2,2 −ビス(2,3 −ジカルボキシフェニ
ル)プロパン二無水物、ビス(2,3 −ジカルボキシフェ
ニル)エーテル二無水物、ビス(3,4 −ジカルボキシフ
ェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3 −ジカルボキシ
フェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4 −ジカルボキ
シフェニル)スルホン二無水物、ビス(2,3 −ジカルボ
キシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4 −ジカルボ
キシフェニル)メタン二無水物、1,1 −ビス(2,3 −ジ
カルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1 −ビス(3,
4 −ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2 −ビ
ス(2,3 −ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,
2 −ビス(3,4 −ジカルボキシフェニル)エタン二無水
物、1,3 −ビス(2,3 −ジカルボキシフェノキシ)ベン
ゼン、1,3 −ビス(3,4 −ジカルボキシフェノキシ)ベ
ンゼン、1,4 −ビス(2,3 −ジカルボキシフェノキシ)
ベンゼン、1,4 −ビス(3,4 −ジカルボキシフェノキ
シ)ベンゼン、2,3,6,7 −ナフタレンテトラカルボン酸
二無水物、1,4,5,8 −ナフタレンテトラカルボン酸二無
水物、1,2,5,6 −ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、1,2,3,4 −ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,
4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7
−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8 −
フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等であり、こ
れらテトラカルボン酸二無水物は単独または2種以上混
合して用いられる。
【0027】本発明で使用するポリイミドは、これらの
ジアミンとテトラカルボン酸二無水物をモノマー成分と
して得られる前記の繰り返し構造単位を有するポリイミ
ド単独重合体またはポリイミド共重合体であり、これら
のポリイミドは、そのポリマー分子末端が未置換あるい
はアミンまたはジカルボン酸無水物と反応性を有しない
芳香族モノアミンおよび/または芳香族ジカルボン酸無
水物で置換されたポリイミドも含まれる。このポリマー
分子末端が芳香族モノアミンおよび/または芳香族ジカ
ルボン酸無水物で置換されたポリイミドは、式(5)で
表されるジアミン、すなわち、1,3−ビス(3−アミ
ノフェノキシ)ベンゼンと、あるいはこのジアミンと式
(6)で表されるジアミン、すなわち4,4’−ビス
(3−アミノフェノキシ)ビフェニルとを混合したもの
を用い、式(7)で表されるテトラカルボン酸無水物、
すなわちピロメリット酸二無水物および/または式
(8)で表されるテトラカルボン酸二無水物、すなわち
3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とを、
一般式(3)
【化40】 (式中、Zは炭素数6〜15の単環式芳香族基、縮合多
環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋員によ
り相互に連結された非縮合多環式芳香族基である2価の
基を表す)で表される芳香族ジカルボン酸無水物および
/または一般式(4)
【化41】 (式中、Vは炭素数6〜15の単環式芳香族基、縮合多
環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋員によ
り相互に連結された非縮合多環式芳香族基である1価の
基を表す)で表される芳香族モノアミンの存在下に反応
させ得られる。
【0028】一般式(3)で表される芳香族ジカルボン
酸無水物としては、無水フタル酸、2,3 −ベンゾフェノ
ンジカルボン酸無水物、3,4 −ベンゾフェノンジカルボ
ン酸無水物、2,3 −ジカルボキシフェニルフェニルエー
テル無水物、3,4 −ジカルボキシフェニルフェニルエー
テル無水物、2,3 −ビフェニルジカルボン酸無水物、3,
4 −ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3 −ジカルボキ
シフェニルフェニルスルホン無水物、3,4 −ジカルボキ
シフェニルフェニルスルホン無水物、2,3 −ジカルボキ
シフェニルフェニルスルフィド無水物、3,4 −ジカルボ
キシフェニルフェニルスルフィド無水物、1,2 −ナフタ
レンジカルボン酸無水物、2,3 −ナフタレンジカルボン
酸無水物、1,8 −ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2
−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3 −アントラセ
ンジカルボン酸無水物、1,9 −アントラセンジカルボン
酸無水物等が挙げられる。これらのジカルボン酸無水物
はアミンまたはジカルボン酸無水物と反応性を有しない
基で置換されていても差し支えないし、単独、もしくは
二種以上混合して用いても何ら差し支えない。これらの
芳香族ジカルボン酸無水物の中で無水フタル酸が、得ら
れるポリイミドの性能面および実用面から最も好まし
い。
【0029】芳香族ジカルボン酸無水物を用いる場合、
その使用量は、式(5)で表される1,3−ビス(3−
アミノフェノキシ)ベンゼン、あるいはこれと式(6)
で表される4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビ
フェニルとの混合物1モル当り、 0.001〜1.0 モルであ
る。 0.001モル未満では、高温成形時に粘度の上昇が見
られ成形加工性の低下の原因となる。また、1.0 モルを
超えると機械的特性が低下する。好ましくは、0.01〜0.
5 モルである。
【0030】また、一般式(4)で表される芳香族モノ
アミンとしては、例えば、アニリン、o−トルイジン、
m−トルイジン、p−トルイジン、2,3 −キシリジン、
2,6 −キシリジン、3,4 −キシリジン、3,5 −キシリジ
ン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−ク
ロロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブロモアニリ
ン、p−ブロモアニリン、o−ニトロアニリン、m−ニ
トロアニリン、p−ニトロアニリン、o−アミノフェノ
ール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、
o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o
−フェネジン、m−フェネジン、p−フェネジン、o−
アミノベンズアルデヒド、m−アミノベンズアルデヒ
ド、p−アミノベンズアルデヒド、o−アミノベンゾニ
トリル、m−アミノベンゾニトリル、p−アミノベンゾ
ニトリル、2−アミノビフェニル、3−アミノビフェニ
ル、4−アミノビフェニル、2−アミノフェニルフェニ
ルエーテル、3−アミノフェニルフェニルエーテル、4
−アミノフェニルフェニルエーテル、2−アミノベゾフ
ェノン、3−アミノベゾフェノン、4−アミノベゾフェ
ノン、2−アミノフェニルフェニルスルフィド、3−ア
ミノフェニルフェニルスルフィド、4−アミノフェニル
フェニルスルフィド、2−アミノフェニルフェニルスル
ホン、3−アミノフェニルフェニルスルホン、4−アミ
ノフェニルフェニルスルホン、α−ナフチルアミン、β
−ナフチルアミン、1−アミノ−2−ナフトール、2−
アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトー
ル、5−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナ
フトール、7−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−
1−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、1−ア
ミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミ
ノアントラセン等が挙げられる。これらの芳香族モノア
ミンは、アミンまたはジカルボン酸無水物と反応性を有
しない基で置換されていても差し支えないし、単独もし
くは二種以上混合して用いても何等差し支えない。
【0031】芳香族モノアミンを用いる場合、その使用
量は式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物、す
なわち、ピロメリット酸二無水物および/または式
(8)で表されるテトラカルボン酸二無水物、すなわち
3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物1モル
当り、 0.001〜1.0 モルである。 0.001モル未満では、
高温成形時に粘度の上昇が見られ成形加工性低下の原因
となる。また、 1.0モルを超えると機械的特性が低下す
る。好ましくは、0.01〜0.5 モルである。
【0032】本発明で使用するポリイミドは、公知のい
ずれの方法によっても製造できる。例えば、 1)有機溶剤中でポリアミド酸を合成し、溶剤を減圧等
による除去を行うか、得られたポリアミド酸溶液から貧
溶媒を用いる等の方法によりポリアミド酸を単離した
後、これを加熱してイミド化を行いポリイミドを得る方
法、 2)1)と同様にしてポリアミド酸溶液を得、更に無水
酢酸に代表される脱水剤を加え、また必要に応じて触媒
を加えて化学的にイミド化を行った後、公知の方法によ
りポリイミドを単離し、必要に応じて洗浄、乾燥を行う
方法、 3)1)と同様にしてポリアミド酸溶液を得た後、減圧
もしくは加熱により溶剤を除去すると同時に熱的にイミ
ド化を行う方法、 4)有機溶剤中に原料を装入後、加熱を行いポリアミド
酸の合成とイミド化反応を同時に行い、必要に応じて触
媒や共沸剤、脱水剤等を共存させる方法、 などがあげられる。
【0033】ポリイミドの製造に際しては、有機溶媒中
で反応を行うのが特に好ましく、用いられる有機溶剤と
しては、例えば、N,N −ジメチルホルムアミド、N,N −
ジメチルアセトアミド、N,N −ジエチルアセトアミド、
N,N −ジメチルメトキシアセトアミド、N−メチル−2
−ピロリドン、1,3 −ジメチル−2−イミダゾリジノ
ン、N−メチルカプロラクタム、1,2 −ジメトキシエタ
ン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2 −ビス
(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス〔2−(2−メ
トキシエトキシ)エチル〕エーテル、テトラヒドロフラ
ン、1,3 −ジオキサン、1,4 −ジオキサン、ピリジン、
ピコリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、
テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、フェ
ノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾ
ール、m−クレゾール酸、p−クロロフェノール、アニ
ソール等が挙げられる。また、これらの有機溶剤は単独
でも、または2種以上混合して用いても差し支えない。
【0034】また、ポリイミドの製造において、有機溶
媒中にジアミン類、テトラカルボン酸二無水物および芳
香族ジカルボン酸無水物または芳香族モノアミンを添
加、反応させる方法としては、(イ)テトラカルボン酸
二無水物と、ジアミン類を反応させた後に芳香族ジカル
ボン酸無水物または芳香族モノアミンを添加して反応を
続ける方法、(ロ)ジアミン類に芳香族ジカルボン酸無
水物を加えて反応させた後、テトラカルボン酸二無水物
を添加して反応を続ける、あるいは、テトラカルボン酸
二無水物に芳香族モノアミンを加えて反応させた後、ジ
アミン類を添加して反応を続ける方法、(ハ)テトラカ
ルボン酸二無水物、ジアミン類および芳香族ジカルボン
酸無水物または芳香族モノアミンを同時に添加して反応
をさせる方法、など、いずれの添加方法をとっても差し
支えない。
【0035】重合・イミド化反応温度は通常300 ℃以下
である。重合・イミド化反応圧は特に限定されず、常圧
で十分実施できる。また、重合・イミド化反応時間は、
ジアミンの種類、テトラカルボン酸二無水物の種類、溶
剤の種類および反応温度により異なり、通常4〜24時間
で十分である。以上の方法により本発明で使用するポリ
イミドが得られる。
【0036】本発明のポリイミド樹脂組成物は、前記の
ポリイミド、すなわち、ポリイミド単独重合体またはポ
リイミド共重合体であり、かつその対数粘度が0.45
dl/g以上、好ましくは0.50dl/g以上であるポリイミ
ド樹脂100重量部に対して、炭素繊維、ガラス繊維、
芳香族ポリアミド繊維および/またはチタン酸カリウム
繊維等の補強材を5〜65重量部、好ましくは10〜5
0重量部を添加して調製される組成物である。補強材の
使用量が5重量部未満では、充分な補強効果が得られな
い。また、65重量部を越えると、ポリイミド樹脂組成
物自体の射出成形性が低下してしまい、良好な射出成形
体が得られない。
【0037】ポリイミド樹脂に補強材を添加する方法と
しては、通常公知の方法が適用できる。例えば、ポリイ
ミド粉末および補強材を乳鉢、ヘンシェルミキサー、ド
ラムブレンダー、タンブラーブレンダー、ボールミル、
リボンブレンダー等を用いて予備混練した後、溶融混合
機、熱ロール等を用いてペレットや粉状混合物を得る方
法が最も一般的である。
【0038】本発明のポリイミド樹脂組成物は、射出成
形法、押出成形法、圧縮成形法、回転成形法等の各種の
公知成形法による成形に実用的に供することができる。
とくに、本発明に使用するポリイミドは優れた溶融流動
性を有するので、本発明のポリイミド樹脂組成物は作業
効率の面から射出成形法が最も好ましく成形法として適
用できる。
【0039】本発明のポリイミド樹脂組成物には、本発
明の目的を損なわない範囲で、他の成分を配合してもよ
い。すなわち、熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、
ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポ
リエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリア
ミドイミド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリイミ
ド、ポリエーテルイミドおよび熱硬化性樹脂を目的に応
じて適当量配合することも可能である。
【0040】また、固体潤滑剤、例えば、二硫化モリブ
デン、グラファイト、窒化ホウ素、一酸化鉛、鉛粉など
を一種以上添加することもできる。さらに、酸化防止
剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、帯電
防止剤、着色剤などの通常の添加剤を一種以上添加する
ことができる。
【0041】本発明の射出成形体は、本発明のポリイミ
ド樹脂組成物から射出成形機の金型の形状を変えること
により種々の形状の成形体として得られる。すなわち、
本発明の成形体は、特に優れた動的疲労特性が要求され
る自動車部品まわりのバルブリフターやインペラー等へ
の適用が期待される。
【0042】
【実施例】以下、本発明を合成例、実施例および比較例
により詳細に説明する。なお、例中で各種物性の測定は
次の方法によった。 対数粘度:ポリイミド粉末0.50gをp−クロロフェノー
ルとフェノールの混合溶媒(90:10重量比)100 mlに加
熱溶解した後35℃に冷却して測定定した値である。 ガラス転移温度(Tg):DSC(島津DT−40シリ
ーズ、DSC−41M)により16℃/minの昇温速
度で測定 5%重量減少温度:空気中でDTA−Tg(島津DT−
40シリーズ、DSC−40M)により10℃/min
の昇温速度で測定
【0043】合成例−1 かきまぜき、還流冷却器、水分離器および窒素導入管を
備えた容器に、1,3 −ビス(3−アミノフェノキシ)ベ
ンゼン 2.338 kg (8.00モル)、4,4'−ビス(3−アミ
ノフェノキシ)ビフェニル 736.8g(2.00モル)、ピロ
メリット酸二無水物 2.159 kg (9.90 モル)、γ−ピコ
リン 138 g(1.5 モル)およびm−クレゾール 20.9 kg
を装入し、窒素雰囲気下において攪拌しながら145 ℃ま
で加熱昇温した。この間、約 340gの水の留出が確認さ
れた。更に、140 〜150 ℃で4時間反応を行った。その
後、室温まで冷却し、72.9 kg のメチルエチルケトンに
排出した後、濾別した。このポリイミド粉をメチルエチ
ルケトンでさらに洗浄し、窒素雰囲気下において、50℃
で24時間予備乾燥した後、200 ℃で6時間乾燥して 4.7
9 kg(収率98.2%)のポリイミド粉を得た。このポリイ
ミド粉の対数粘度は0.74dl/g、Tgは220 ℃、空気中で
の5%重量減少温度は 549℃であった。
【0044】合成例−2 合成例−1 において、ピロメリット酸二無水物 2.159 k
g (9.90 モル)の代わりに3,3',4,4'-ビフェニルテトラ
カルボン酸二無水物 2.883 kg (9.80 モル) を用いた以
外は合成例−1と同様な方法で反応を行いポリイミド粉
5.49 kg(収率98.0%)を得た。このポリイミド粉の対
数粘度は 0.76 dl/g、Tgは 206℃、空気中での5%重
量減少温度は 545℃であった。
【0045】合成例−3 合成例−1において、1,3 −ビス(3−アミノフェノキ
シ)ベンゼン 2.338 kg (8.00 モル)および4,4'−ビス
(3−アミノフェノキシ)ビフェニル 736.8 g(2.00
モル)の代わりに1,3 −ビス(3−アミノフェノキシ)
ベンゼン 2.923kg (10.0 モル)を用いた以外は合成例
−1と同様な方法で反応を行いポリイミド粉4.64 kg
(収率98.2%)を得た。このポリイミド粉の対数粘度は
0.74 dl/g、Tgは 213℃、空気中での5%重量減少温
度は 536℃であった。
【0046】合成例−4 合成例−3において、ピロメリット酸二無水物 2.159 k
g(9.90モル)の代わりに3,3',4,4'-ビフェニルテトラ
カルボン酸二無水物 2.883 kg (9.80モル) を用いた以
外は合成例−3と同様な方法で反応を行いポリイミド粉
5.36 kg(収率98.5 %)を得た。このポリイミド粉の
対数粘度は0.80dl/g、Tgは199 ℃、空気中での5%重
量減少温度は 545℃であった。
【0047】合成例−5 合成例−1において反応を行う際に、無水フタル酸 29.
5g(0.20 モル) を加えた以外は合成例−1と同様な方
法で反応を行いポリイミド粉4.83kg(収率98.6%)を得
た。このポリイミド粉の対数粘度は 0.73 dl/g、Tgは
218℃、空気中での5%重量減少温度は 558℃であっ
た。
【0048】合成例−6 合成例−2において反応を行う際に、無水フタル酸 59.
0 g (0.4モル) を加えた以外は合成例−2と同様な方法
で反応を行いポリイミド粉 5.59 kg(収率98.8%)を得
た。このポリイミド粉の対数粘度は 0.74 dl/g、Tgは
205℃、空気中での5%重量減少温度は 559℃であっ
た。
【0049】合成例−7 合成例−3において反応を行う際に、無水フタル酸 29.
5g(0.2 モル) を加えた以外は合成例−3と同様な方法
で反応を行いポリイミド粉 4.69 kg(収率98.7%)を得
た。このポリイミド粉の対数粘度は 0.72 dl/g、Tgは
212℃、空気中での5%重量減少温度は 556℃であっ
た。
【0050】合成例−8 合成例−4において反応を行う際に、無水フタル酸 59.
0 g (0.4モル) を加えた以外は合成例−4と同様な方法
で反応を行いポリイミド粉 5.41kg (収率 98.2 %)を
得た。このポリイミド粉の対数粘度は 0.78 dl/g、Tg
は 198℃、空気中での5%重量減少温度は 555℃であっ
た。
【0051】合成例−9〜40 各種ジアミンおよび酸無水物を用いてポリイミドを合成
した結果を表−1〜5に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】実施例−1〜3 合成例1で得られたポリイミド粉100 重量部に対して、
東邦レ−ヨン社製炭素繊維(HTA−C6)40重量部を
添加し、ドラムブレンダ−混合機(川田製作所社製)で
混合した後、口径30mmの単軸押出機により400 ℃で溶融
混練した後、ストランドを空冷、切断してペレットを得
た。得られたペレットを用いてア−ブル−グ射出成形機
で射出圧力500kg/cm2 、シリンダ−温度410 ℃、金型温
度180 ℃の条件下射出成形を行い引張試験を行った。こ
の試験片を用いてJIS K7118 に従い部分片振り法で繰り
返し疲労回数を測定した。荷重と繰り返し疲労回数を表
6に纏めて示す。
【0058】実施例−4〜84 合成例2〜10、13〜16、19〜25、28〜3
1、34〜36で得られたポリイミド粉を用いて実施例
1と同様にして引張試験片を作成し繰り返し疲労回数を
測定した。この結果を表6〜9に示す。
【0059】実施例−85〜102 合成例5〜8で得られたポリイミド粉を用いて実施例−
1で用いた東邦レ−ヨン社製炭素繊維(HTA−C6)
の代わりに、日本板硝子社製ガラス繊維(マイクログラ
スRES)またはDuPont社製アラミド繊維(ケブ
ラ−チョップドストランドK−49)を用いた以外は実
施例−1と同様にして引張試験片を作成し繰り返し疲労
回数を測定した。この結果を表−10に示す。
【0060】比較例−1〜6 合成例11、12で得られたポリイミド粉を用いて実施
例1と同様にして引張試験片を作成し繰り返し疲労回数
を測定した。この結果を表11に示す。以上の結果から
判るように、APBの割合が50mol%未満である合
成例11、12のポリイミドは疲労特性、即ち一定の加
振応力応力における繰り返し疲労回数がAPBの割合が
50mol%以上のものに比べて一桁以上下回ることが
判る。
【0061】比較例−7〜24 合成例17、18、26、27、32、33で得られた
ポリイミド粉を用いて実施例1と同様にして引張試験片
を作成し繰り返し疲労回数を測定した。この結果を表1
2に示す。以上の結果から判るように、対数粘度が0.45
dl/g以上である樹脂組成物は優れた疲労特性を有してい
るのに対して、対数粘度が0.45dl/g未満である合成例1
7、18、26、27、32、33のポリイミドは疲労
特性、即ち一定の加振応力応力における繰り返し疲労回
数が対数粘度0.45dl/g以上のものに比べて一桁以上下回
ることが判る。
【0062】実施例103〜120 合成例5、7で得られたポリイミド粉100 重量部に対し
て、繊維の添加量を変化させた試験片を実施例1の方法
で作成し荷重と繰り返し疲労回数の関係を測定した。結
果を表13、14に示す。
【0063】比較例25〜36 本発明の範囲外の組成物を用いて実施例−103〜12
0と同様の方法で荷重と繰り返し疲労回数の関係を測定
した。結果を表13、14に示す。炭素繊維を本発明の
範囲内で使用した場合、優れた疲労特性を有しているの
に対して、炭素繊維の使用量が本発明よりも下回った場
合良好な疲労特性が発揮されず、また炭素繊維の使用量
が本発明の範囲よりも上回った場合射出成形不可能であ
り、成形物が得られなかった。
【0064】実施例121〜132 合成例37〜40で得られたポリイミド粉100 重量部に
対して、炭素繊維の添加量を変化させた試験片を実施例
1の方法で作成し荷重と繰り返し疲労回数の関係を測定
した。結果を表15に示す。
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】
【0068】
【表9】
【0069】
【表10】
【0070】
【表11】
【0071】
【表12】
【0072】
【表13】
【0073】
【表14】
【0074】
【表15】
【0075】
【発明の効果】本発明の方法によれば、著しく耐疲労性
に優れたポリイミド樹脂組成物および射出成形体が提供
される。
フロントページの続き (72)発明者 飯山 勝明 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 玉井 正司 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 山口 彰宏 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリマー分子中、一般式(1)で表わさ
    れる繰り返し構造単位が0.5モル比を越え1.0モル
    比以下で、一般式(2)で表わされる繰り返し構造単位
    が0乃至0.5モル比未満であり、かつ対数粘度が0.
    45dl/g以上であるポリイミド100重量部と、5〜6
    5重量部の炭素繊維、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊
    維および/またはチタン酸カリウム繊維を含む疲労特性
    に優れたポリイミド樹脂組成物。 一般式(1) 【化1】 一般式(2) 【化2】 (式(1)および(2)中、Xは、 【化3】 を表す)
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリイミドを製造する際
    に一般式(3) 【化4】 (式中、Zは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
    縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋
    員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である
    2価の基を表す)で表される芳香族ジカルボン酸無水物
    および/または一般式(4) 【化5】 (式中、Vは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
    縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接または架橋
    員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である
    1価の基を表す)で表される芳香族モノアミンを共存さ
    せて得られるポリマーの分子末端を封止したものを含む
    対数粘度が0.45dl/g以上のポリイミド100重量部
    と、5〜65重量部の炭素繊維、ガラス繊維、芳香族ポ
    リアミド繊維および/またはチタン酸カリウム繊維を含
    む疲労特性に優れたポリイミド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のポリイミド樹脂
    組成物から得られる射出成形体。
JP6242714A 1993-12-27 1994-10-06 疲労特性に優れたポリイミド樹脂組成物および射出成形体 Pending JPH083446A (ja)

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