JP2986644B2 - ポリイミド樹脂組成物 - Google Patents

ポリイミド樹脂組成物

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JP2986644B2
JP2986644B2 JP5074946A JP7494693A JP2986644B2 JP 2986644 B2 JP2986644 B2 JP 2986644B2 JP 5074946 A JP5074946 A JP 5074946A JP 7494693 A JP7494693 A JP 7494693A JP 2986644 B2 JP2986644 B2 JP 2986644B2
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信史 古賀
英明 及川
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融成形加工性の改善
された熱可塑性樹脂組成物に関する。溶融成形加工が容
易な芳香族ポリアミドイミド樹脂組成物、芳香族ポリス
ルホン樹脂組成物および芳香族ポリエーテルケトン樹脂
組成物に関し、 更に詳しくは、耐熱性に優れ、機械的
強度に優れた芳香族ポリアミドイミド、機械的強度に優
れた芳香族ポリスルホンまたは耐熱性、機械的強度に優
れた芳香族ポリエーテルケトンと液晶性芳香族ポリイミ
ドを混合してなる溶融成形加工性の改善された熱可塑性
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、耐熱性の優れた熱可塑性樹脂
が種々開発されている。その中で、ポリイミドは、その
高耐熱性に加え、力学的強度、寸法安定性が優れ、難燃
性、電気絶縁性などをあわせ持つために、電気・電子機
器、宇宙航空用機器、輸送機器等の分野で使用されてお
り、今後も耐熱性が要求される分野に広く用いられるこ
とが期待されている。従来、優れた特性を示すポリイミ
ドが種々開発されている。
【0003】例えば、式(A)
【化14】 で表されるポリイミドが既にProgerらによって見出され
ている(USP 4,065,345)。このポリイミドは、機械的性
質、熱的性質、電気的性質、耐溶剤性、耐熱性に優れ、
しかも溶融流動性を示すポリイミドとして知られてい
た。しかし、このポリイミドも通常の押出成形、射出成
形可能なポリイミド以外のエンジニアリングプラスチッ
クに比べると溶融粘度が高く、押出成形、射出成形等は
困難であった。
【0004】また、本発明者らも先に、機械的性質、熱
的性質、電気的性質、耐溶剤性に優れ、かつ耐熱性を有
するポリイミドとして一般式(B)
【化15】 (式中、Xは直結、炭素数1〜10の二価炭化水素基、
六フッ素化されたイソプロピリデン基、カルボニル基、
チオ基、またはスルホニル基から成る群より選ばれた基
を表し、またRは炭素数2〜27の脂肪族基、環式脂肪
族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基
が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環
式芳香族基からなる群より選ばれた4価の基を表す)で
表される繰り返し構造単位を有するポリイミドを見出し
た(特開昭61-143478 、62-677717、62-86021、62-2353
81 、63-128025)。
【0005】上記のポリイミドは、ポリイミドに特有の
多くの良好な物性を有する新規な耐熱性樹脂である。例
えば、この式で表されるポリイミドに含まれる式(C)
【化16】 で表される繰り返し構造単位を有するポリイミドはガラ
ス転移温度 (以下、Tgと略す) が260 ℃、結晶化温度
(以下、Tcと略す) が310 〜340 ℃、結晶融解温度(以
下、Tmと略す) が367 〜385 ℃であり、溶融成形可能な
耐薬品性に優れた結晶性のポリイミドである。しかし、
Tmが367 〜385 ℃と高いため、成形時の温度は400 ℃近
くの高温にする必要があった。
【0006】このようにポリイミドは、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエー
テルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド
等に代表される通常のエンジニアリングプラスチックに
比較すると耐熱性やその他の特性においてはるかに優れ
ているものの、成形加工性はそれらの樹脂に未だ及ばな
い。
【0007】その他の公知のポリイミドも耐熱性に優れ
ていても、明瞭なガラス転移温度を有しないために成形
材料として用いる場合に焼結成形などの手法を用いて加
工しなければならないとか、また、加工性は優れている
がガラス転移温度が低くしかもハロゲン化炭化水素系の
溶媒に可溶で、耐熱性、耐溶剤性の面からは満足がゆか
ないとか性能に一長一短があった。さらに、従来から芳
香族ポリスルホン、芳香族エーテルイミド、芳香族ポリ
アミドイミドおよび芳香族ポリエーテルケトン等は、そ
の高耐熱性に加え、力学的強度、寸法安定性が優れ、難
燃性、電気絶縁性等を併せて持つために、電気・電子機
器、宇宙航空機用機器、輸送機器等の分野で使用されて
おり、今後も耐熱性が要求される分野に広く用いられる
ことが期待されている。
【0008】芳香族ポリスルホンは、成形加工性の良好
なエンジニアリングプラスチックであるものの、スーパ
ーエンジニアリングブラスチックと呼ばれる芳香族エー
テルイミド、芳香族ポリアミドイミドおよび芳香族ポリ
エーテルケトンにおいては、その成形加工性が問題とさ
れ、耐熱性を維持しつつ成形加工性が良好なものが望ま
れていた。また、一方、液晶性高分子は、その性質上か
らサーモトロピック液晶とライオトロピック液晶に分類
することができる。従来から知られている液晶性高分子
は、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアゾメチ
ン(以上、サーモトロピック液晶)、ポリアミド、ポリ
ベンゾチアゾール(以上、ライオトロピック液晶)等が
あるが、従来、液晶性を示すポリイミドは全く知られて
いない。従って、液晶性ポリイミドと、ポリイミドをは
じめその他の熱可塑性樹脂とから得られる樹脂組成物は
全く知られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱可
塑性樹脂が本来有する優れた特性を損なうことなく成形
加工性が改善された樹脂組成物を提供することである。
具体的には、第1の目的は、芳香族ポリスルホンが本来
有する優れた耐熱性を損なうことなく、その成形加工性
を、流動性の良好な液晶性芳香族ポリイミドを従来の芳
香族ポリスルホンに添加することにより改善した芳香族
ポリスルホン系熱可塑性樹脂組成物を提供することであ
る。
【0010】第2の目的は、芳香族ポリアミドイミドが
本来有する優れた耐熱性、機械的特性を損なうことな
く、その成形加工性を、流動性の良好な液晶性芳香族ポ
リイミドを従来の芳香族ポリアミドイミドに添加するこ
とにより改善した芳香族ポリアミドイミド系熱可塑性樹
脂組成物を提供することである。また、 第3の目的
は、芳香族ポリエーテルケトンが本来有する優れた耐熱
性、機械的特性を損なうことなく、その成形加工性を、
流動性の良好な液晶性芳香族ポリイミドを従来の芳香族
ポリエーテルケトンに添加することにより改善した芳香
族ポリエーテルケトン系熱可塑性樹脂組成物を提供する
ことである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
目的を達成するため鋭意研究を行った結果、液晶性芳香
族ポリイミドを、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリ
スルホンまたは芳香族ポリエーテルケトンと混合してな
る熱可塑性脂組成物が、それぞれの樹脂が本来有する性
能を損なうことなく、成形加工性が改善されたものであ
ることを見出し、本発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明者らは、式(9)
【化17】 で表される繰り返し構造単位を有する芳香族ポリイミド
を開発した。( 特開平03- 160024) 。その後、この芳香
族ポリイミドは、約270〜300℃の温度域において
液晶性を示すことを見出した。すなわち、この芳香族ポ
リイミドの液晶性は偏光顕微鏡観察により確認すること
ができた。上記芳香族ポリイミドを偏光顕微鏡(OLYMPU
S 社、BHS-751P型) を備えたホットステージ上で加熱(1
0℃/min) を行うと、約 270〜300℃の温度域にお
いて偏光が観察される。
【0013】また、上記芳香族ポリイミドをDSC(Di
fferential Scanning Calorimetry)測定(島津社、DT-4
0 シリーズ、DSC-41M)を行った場合 (10℃/min) 、約2
75℃と約295℃に2つの吸熱ピークが観察され、こ
の2つの吸熱ピーク間の温度域において液晶性を示すこ
とが確認できる。また、この芳香族ポリイミドは、2つ
の吸熱ピーク間で液晶性を示すだけでなく、溶融状態に
おいては溶融粘度が非常に低く、成形加工性に優れた芳
香族ポリイミドである。
【0014】本発明者等は、この液晶性を示す芳香族ポ
リイミドを、加工性の改善が要望されている熱可塑性樹
脂と混合して用いたところ、それらの樹脂の成形加工性
が改善されることを見出し、本願発明を完成した。すな
わち、本願発明は液晶性芳香族ポリイミドを、熱可塑性
樹脂に含有させてなる溶融成形加工可能な熱可塑性樹脂
組成物である。
【0015】本願発明には、つぎの発明が含まれる。1.
芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリスルホン及び芳香
族ポリエーテルケトンからなる群から選ばれる少なくと
も1種の熱可塑性樹脂99.9〜50重量部と少なくと
も一種の液晶性芳香族ポリイミド0.1〜50重量部を
含有しなる成形加工性良好な熱可塑性樹脂組成物であっ
て、
【0016】(a)液晶性芳香族ポリイミドが、式
(1)
【化18】 (式中、R〜Rは、水素、弗素、トリフルオロメチ
ル、メチル、エチルまたアノ基であり、互いに同一でも
異なっていてもよい、またRは炭素数6〜27であり、
単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、および芳香族基
が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環
式芳香族基からなる群より選ばれた4価の基を表す)で
表される少なくとも一種の繰り返し構造単位を有する液
晶性芳香族ポリイミドであり、
【0017】(b)芳香族ポリアミドイミドが、式
(D)
【化19】 (式中、Yは炭素数6 〜27の二価の有機基を表す) で
表される繰り返し構造単位の少なくとも一種を基本骨
格、とくに.式(4)
【化20】 で表される繰り返し構造単位、および/または式 (5)
【化21】 で表される繰り返し構造単位の少なくとも一種を基本骨
格として有する芳香族ポリアミドイミドであり、
【0018】(c)芳香族ポリエーテルスルホンが式
(6)
【化22】 (式中、Xは直結、
【化23】 を表す) で表される少なくとも一種の繰り返し構造単位
を基本骨格として有する芳香族ポリスルホンであり、
【0019】(d)芳香族ポリエーテルケトンが式
(7)
【化24】 で表される繰り返し構造単位、および/または式(8)
【化25】 で表される繰り返し構造単位を基本骨格として有する芳
香族ポリエーテルケトンである熱可塑性樹脂組成物。
【0020】2. また、これらの熱可塑性組成物に使用
する液晶性芳香族ポリイミドが、そのポリマー分子末端
を式(2)
【化26】 (式中、Zは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員によ
り相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群よ
り選ばれた2価の基を表す)で表される芳香族ジカルボ
ン酸無水物および/または、一般式(3) V−NH 2 (3) (式中、Vは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員によ
り相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群よ
り選ばれた1価の基を表す)で表される芳香族モノアミ
ン、好ましくは無水フタル酸および/またはアニリンで
封止されて得られる液晶性芳香族ポリイミドである熱可
塑性樹脂組成物。
【0021】3.上記1の熱可塑性樹脂組成物において、
液晶性芳香族ポリイミドが式(9)
【化27】 で表される繰り返し構造単位を基本骨格として有する液
晶性芳香族ポリイミドである熱可塑性樹脂組成物。
【0022】4.上記1の熱可塑性樹脂組成物において、
液晶性芳香族ポリイミドが式 (9)
【化28】 で表される繰返し構造単位である基本骨格1〜99モル
% と式 (1)
【化29】 (式中、R〜Rは、水素、弗素、トリフルオロメチ
ル、メチル、エチルまたはシアノ基であり、互いに同一
でも異なっていてもよい、またRは炭素数6〜27であ
り、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、および芳香
族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合
多環式芳香族基からなる群より選ばれた4価の基を表
す)で表される繰返し構造単位(ただし、式 (9) と同
一の繰返し構造単位を除く)である基本骨格1〜99モ
ル% とを含んでなる液晶性芳香族ポリイミド共重合体で
ある熱可塑性樹脂組成物。
【0023】本発明によれば、それぞれの樹脂が本来有
する優れた特性に加え、著しく成形加工性が良好であ
り、熱安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物が提供され
る。
【0024】本発明で使用される液晶性芳香族ポリイミ
ドは、サーモトロピック液晶とライオトロピック液晶等
の液晶性を示す芳香族ポリイミドである。例えば、式
(1) 、
【化30】 (式中、R〜Rは、水素、弗素、トリフルオロメチ
ル、メチル、エチルまたはシアノ基であり、互いに同一
でも異なっていてもよい、またRは炭素数2〜27であ
り、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が
直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式
芳香族基からなる群より選ばれた4価の基を表す)で表
される液晶性を示す全芳香族ポリイミド、
【0025】好ましくは、式(9)
【化31】 で表される液晶性芳香族ポリイミド、
【0026】または、式(9)
【化32】 で表される繰返し構造単位を有する基本骨格を1〜99
モル%と式 (1)
【化33】 (式中、R〜Rは、水素、弗素、トリフルオロメチ
ル、メチル、エチルまたはシアノ基であり、互いに同一
でも異なっていてもよい、またRは炭素数6〜27であ
り、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が
直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式
芳香族基からなる群より選ばれた4価の基を表す)で表
される繰返し構造単位(但し、式 (9) と同一の構造単
位を除く)を有する基本骨格1 〜99モル%とを含ん
でなる液晶性芳香族ポリイミド共重合体等が挙げられ
る。
【0027】または、これらの液晶性芳香族ポリイミド
や液晶性芳香族ポリイミド共重合体のポリマー分子の末
端が式(2)
【化34】 (式中、Zは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員によ
り相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群よ
り選ばれた2価の基を表す)で表される芳香族ジカルボ
ン酸無水物および/または式(3) V−NH2 (3) (式中、Vは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員によ
り相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群よ
り選ばれた1価の基を表す)で表される芳香族モノアミ
ンで封止されて得られる液晶性芳香族ポリイミドまたは
液晶性芳香族ポリイミド共重合体が挙げられる。
【0028】このような液晶性芳香族ポリイミドは、下
記式(10)で表される少なくとも一種の芳香族ジアミ
ンと下記式(12)で表される少なくとも一種の芳香族
テトラカルボン酸二無水物とを反応させ、得られるポリ
アミド酸を熱的または化学的にイミド化して得られる。
【0029】この方法で使用する芳香族ジアミンは、式
(10)
【化35】 (式中、R〜R、R は式 (1) の場合と同じであ
る) で表される芳香族ジアン、具体的には、1,3−ま
たは1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−
α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−または
1,4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)−α,α
−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−または1,4
−ビス〔4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−
α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−または
1,4−ビス〔4−(4−アミノ−6−フルオロフェノ
キシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3
−または1,4−ビス〔4−(4−アミノ−6−トリフ
ルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジ
ル〕ベンゼン、1,3−または1,4−ビス〔4−(4
−アミノフェノキシ)−3−メチル−α,α−ジメチル
ベンジル〕ベンゼン、1,3−または1,4−ビス〔4
−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−3−メチル
−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−また
は1,4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)−3−
ジメチル−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,
3−または1,4−ビス〔4−(3−アミノ−6−メチ
ルフェノキシ)−3−ジメチル−α,α−ジメチルベン
ジル〕ベンゼン、1,3−または1,4−ビス〔4−
(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−
3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼ
ン、1,3−または1,4−ビス〔4−(4−アミノ−
6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕
ベンゼン等が挙げられる。これらは単独または2種以上
を混合して使用する。
【0030】中でも式(11)
【化36】 の1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,
α−ジメチルベンジル〕ベンゼンが好ましい。2種以上
を混合して使用する場合は、式 (11) のジアミンとそ
の他のジアミンを使用することによって前記の液晶性芳
香族ポリイミド共重合体を得ることができる。これらの
芳香族ジアミンは、それぞれ対応するニトロ化合物を塩
基の存在下、非プロトン性極性溶媒中で、通常の還元反
応を行うことにより製造することができる。
【0031】また、使用する芳香族テトラカルボン酸二
無水物は式(12)
【化37】 (式中、Rは炭素数6〜27であり、単環式芳香族基、
縮合多環式芳香族基、および芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からな
る群より選ばれた4価の基を表す)で表されるものであ
り、具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,
4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカル
ボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス
(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水
物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無
水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル
二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エー
テル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)
スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)スルホン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフ
ェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシ
フェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジ
カルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス
(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、
1,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン
二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)エタン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテト
ラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテ
トラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレン
テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼン
テトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレ
ンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アント
ラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フ
ェナントレンテトラカルボン酸二無水物、
【0032】2,2−ビス〔4−(4−(1,2−ジカ
ルボキシ)フェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、
2,2−ビス〔4−(3−(1,2−ジカルボキシ)フ
ェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、ビス〔4−
(4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ)フェニ
ル〕ケトン二無水物、ビス〔4−(3−(1,2−ジカ
ルボキシ)フェノキシ)フェニル〕ケトン二無水物、ビ
ス〔4−(4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ)
フェニル〕スルホン二無水物、ビス〔4−(3−(1,
2−ジカルボキシ)フェノキシ)フェニル〕スルホン二
無水物、4,4−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)
フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4−ビス〔3−
(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無
水物、2,2−ビス〔4−(4−(1,2−ジカルボキ
シ)フェノキシ)フェニル〕スルフィド二無水物、2,
2−ビス〔4−(3−(1,2−ジカルボキシ)フェノ
キシ)フェニル〕スルフィド二無水物、2,2−ビス
〔4−(4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ)フ
ェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプ
ロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3−(1,2−
ジカルボキシ)フェノキシ)フェニル〕−1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3
−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ベ
ンゼン二無水物、1,3−ビス〔3−(1,2−ジカル
ボキシ)フェノキシ〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス
〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ベンゼン
二無水物、1,4−ビス〔3−(1,2−ジカルボキ
シ)フェノキシ〕ベンゼン二無水物、1,3−ビス〔4
−((1,2−ジカルボキシ)−α,α−ジメチル)ベ
ンジル〕ベンゼン二無水物、1,3−ビス〔3−
((1,2−ジカルボキシ)−α,α−ジメチル)ベン
ジル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔4−((1,
2−ジカルボキシ)−α,α−ジメチル)ベンジル〕ベ
ンゼン二無水物、または1,4−ビス〔3−((1,2
−ジカルボキシ)−α,α−ジメチル)ベンジル〕ベン
ゼン二無水物等であり、これら芳香族テトラカルボン酸
二無水物は単独または2種以上を混合して用いられる。
中でもピロメリット酸二無水物が好ましい。
【0033】本発明で使用する液晶性芳香族ポリイミド
は、式(10) で表される芳香族ジアミンをジアミン成
分として使用することを特徴として得られるが、得られ
る液晶性芳香族ポリイミドの液晶性の性質、及び物理的
性能を損なわない範囲内で、他のジアミンをさらに一種
以上混合して重合させても何等差し支えない。併用でき
るジアミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミ
ン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミ
ン、m−アミノベンジルアミン、o−アミノベンジルア
ミン、3−クロロ−1,2−フェニレンジアミン、4−
クロロ−1,2−フェニレンジアミン、2,3−ジアミ
ントルエン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジア
ミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、3,4−ジ
アミノトルエン、3,5−ジアミノトルエン、2−メト
キシ−1,4−フェニレンジアミン、4−メトキシ−
1,2−フェニレンジアミン、4−メトキシ−1,3−
フェニレンジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチル
ベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,
3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミ
ノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニル
エーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、
3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−
ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジ
フェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスル
ホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,
4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ
ジフェニルメタン、3,3’−ジアミノベンゾフェノ
ン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジ
アミノベンゾフェノン、2,2−ビス(4−アミノフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)
プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−ア
ミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフ
ェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプ
ロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−
(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)
−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,
3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−
ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス
(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3
−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−ア
ミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ
ベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベン
ゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α、α
−ジメチルベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−
アミノ−α、α−ジメチルベンゾイル)ベンゼン、1,
3−ビス(4−アミノ−α、α−ジメチルベンゾイル)
ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α、α−ジメチ
ルベンゾイル)ベンゼン、ビス〔4−(3−アミノフェ
ノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル〕メタン、1,1−ビス〔4−(3
−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1−ビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、
1,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕エタン、1,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔4−(3−アミ
ノフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1−ビス〔4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,
2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プ
ロパン、1,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル〕プロパン、
【0034】1,3−ビス〔4−(3−アミノフェノキ
シ)フェニル〕プロパン、1,3−ビス〔4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕プロパン、1,1−ビス〔4−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル〕ブタン、1,1−ビス〔4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、1,2−ビス〔4
−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、1,2
−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタ
ン、1,3−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕ブタン、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)フェニル〕ブタン、1,4−ビス〔4−(3−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、1,4−ビス〔4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2
−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタ
ン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕ブタン、2,3−ビス〔4−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル〕ブタン、2,3−ビス〔4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔4
−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−
ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−
ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−
(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィ
ド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ス
ルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕スルホンなどが挙げられる、また、これらは単
独または2種以上を混合して用いてもよい。
【0035】また、本発明で使用する液晶性芳香族ポリ
イミドは、上記のように芳香族ジアミン成分と芳香族テ
トラカルボン酸二無水物をモノマー成分として得られる
式(1)の繰り返し構造単位を有するもの、式 (9)
繰り返し構造単位を有するもの、および式 (1) と式
(9) の繰り返し構造単位ともに有する共重合体であ
り、それらの、そのポリマー分子末端が未置換あるいは
アミンまたはジカルボン酸無水物と反応性を有しない基
で置換された芳香族環を有するポリイミドも含まれる。
【0036】このポリマー分子末端に未置換あるいはア
ミンまたはジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で
置換された芳香族環を有する液晶性芳香族ポリイミド
は、式(10)
【化38】 (式中、R〜RおよびRは前記の通りである)で表
される芳香族ジアミン、例えば、1,3−ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジ
ル〕ベンゼンと、式(12)
【化39】 (式中、Rは前記の通りである)で表される芳香族テト
ラカルボン酸二無水物、
【0037】例えば、ピロメリット酸二無水物とを式
(2)
【化40】 (式中、Rは前記の通りである)で表される芳香族ジカ
ルボン酸無水物および/または、一般式(3) V−NH2 (3) (式中、Vは前記の通りである)で表される芳香族モノ
アミンの存在下に反応させ得られる。使用される式
(2)で表される芳香族ジカルボン酸無水物としては、
無水フタル酸、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無
水物、3,4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、
2,3−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水
物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無
水物、2,3−ビフェニルジカルボン酸無水物、3,4
−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、2,
3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、
3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水
物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−
ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジ
カルボン酸無水物、1,2−アントラセンジカルボン酸
無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、
1,9−アントラセンジカルボン酸無水物等が挙げられ
る。これらのジカルボン酸無水物はアミンまたはジカル
ボン酸無水物と反応性を有しない基で置換されていても
差し支えないし、単独、もしくは二種以上混合して用い
ても何ら差し支えない。これらのジカルボン酸無水物の
中で無水フタル酸は、得られるポリイミド及び、液晶性
ポリイミドの性能面および実用面から最も好ましい。ジ
カルボン酸無水物の使用量は、前記式(11)のジアミ
ン1モル当り、 0.001〜1.0 モル比である。
0.001モル未満では、高温成形時に粘度の上昇が見
られ成形加工性の低下の原因となる。また、1.0モル
を超えると機械的特性が低下する。好ましい使用量は
0.01〜0.5 モルの割合である。
【0038】また、一般式(3)で表される芳香族モノ
アミンとしては、例えば、アニリン、o−トルイジン、
m−トルイジン、p−トルイジン、2,3−キシリジ
ン、2,6−キシリジン、3,4−キシリジン、3,5
−キシリジン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリ
ン、p−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブ
ロモアニリン、p−ブロモアニリン、o−ニトロアニリ
ン、p−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、o−ア
ミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフ
ェノール、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニ
シジン、o−フェネジン、m−フェネジン、p−フェネ
ジン、o−アミノベンズアルデヒド、m−アミノベンズ
アルデヒド、p−アミノベンズアルデヒド、o−アミノ
ベンゾニトリル、m−アミノベンゾニトリル、p−アミ
ノベンゾニトリル、2−アミノビフェニル、3−アミノ
ビフェニル、4−アミノビフェニル、2−アミノフェニ
ルフェニルエーテル、3−アミノフェニルフェニルエー
テル、4−アミノフェニルフェニルエーテル、2−アミ
ノベンゾフェノン、3−アミノベンゾフェノン、4−ア
ミノベンゾフェノン、2−アミノフェニルフェニルスル
フィド、3−アミノフェニルフェニルスルフィド、4−
アミノフェニルフェニルスルフィド、2−アミノフェニ
ルフェニルスルホン、3−アミノフェニルフェニルスル
ホン、4−アミノフェニルフェニルスルホン、α−ナフ
チルアミン、β−ナフチルアミン、1−アミノ−2−ナ
フトール、2−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−
1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、5−ア
ミノ−2−ナフトール、7−アミノ−2−ナフトール、
8−アミノ−1−ナフトール、8−アミノ−2−ナフト
ール、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセ
ン、9−アミノアントラセン等が挙げられる。これらの
芳香族モノアミンは、アミンまたはジカルボン酸無水物
と反応性を有しない基で置換されていても差し支えない
し、単独もしくは二種以上混合して用いても何等差し支
えない。
【0039】芳香族モノアミンの量は前記式(12)で
表される芳香族テトラカルボン酸二無水物1モル当り、
0.001〜1.0 モル比である。0.001モル未
満では、高温成形時に粘度の上昇が見られ成形加工性低
下の原因となる。また、 1.0モルを超えると機械的
特性が低下する。好ましい使用量0.01〜0.5モル
の割合である。
【0040】本発明で使用する液晶性芳香族ポリイミド
の製造方法は、公知のいずれの方法によっても製造され
る。例えば、次の方法が例示される。 1)有機溶剤中で芳香族ポリアミド酸を合成し、溶剤を
減圧等による除去を行うか、得られた芳香族ポリアミド
酸溶液から貧溶媒を用いる等の方法により芳香族ポリア
ミド酸を単離した後、これを加熱してイミド化を行い液
晶性芳香族ポリイミドを得る方法、 2)1)と同様にして芳香族ポリアミド酸溶液を得、更
に無水酢酸に代表される脱水剤を加え、また必要に応じ
て触媒を加えて化学的にイミド化を行った後、公知の方
法により芳香族ポリイミドを単離し、必要に応じて洗
浄、乾燥を行う方法、 3)1)と同様にして芳香族ポリアミド酸溶液を得た
後、減圧もしくは加熱により溶剤を除去すると同時に熱
的にイミド化を行う方法、 4)有機溶剤中に原料を装入後、加熱を行い芳香族ポリ
アミド酸の合成とイミド化反応を同時に行い、必要に応
じて触媒や共沸剤、脱水剤等を共存させる方法、などが
あげられる。
【0041】これらの方法による液晶性芳香族ポリイミ
ドの製造に際して、有機溶媒中で反応を行うのが特に好
ましく、用いられる有機溶剤としては、例えば、N,N
−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチル
メトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル
カプロラクタム、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2
−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メト
キシエトキシ)エタン、ビス〔2−(2−メトキシエト
キシ)エチル)エーテル、テトラヒドロフラン、1,3
−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ピリジン、ピコリ
ン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラ
メチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、フェノー
ル、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾー
ル、m−クレゾール酸、p−クロロフェノール、キシレ
ノール類、アニソール等が挙げられる。また、これらの
有機溶剤は単独でも、または2種以上混合して用いても
差し支えない。
【0042】また、ポリマー分子末端を封止するためジ
カルボン酸無水物または芳香族モノアミンの存在下に液
晶性芳香族ポリイミドを製造するに際し、有機溶剤中に
芳香族ジアミン類、芳香族テトラカルボン酸二無水物お
よびジカルボン酸無水物または芳香族モノアミンを添
加、反応させる方法としては、 (イ)芳香族テトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジア
ミン類を反応させた後にジカルボン酸無水物または芳香
族モノアミンを添加して反応を続ける方法、 (ロ)芳香族ジアミン類に芳香族ジカルボン酸無水物を
加えて反応させた後、芳香族テトラカルボン酸二無水物
を添加して反応をつづける、または芳香族テトラカルボ
ン酸二無水物に芳香族モノアミンを反応させた後、芳香
族ジアミン類を添加して反応を続ける方法、 (ハ)芳香族テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミ
ン類およびジカルボン酸無水物または芳香族モノアミン
を同時に添加して反応させる方法、など、いずれの添加
・反応方法をとっても差し支えない。
【0043】これらの方法において、重合・イミド化反
応温度は 300℃以下である。重合・イミド化反応圧
力は特に限定されず、常圧で十分実施できる。重合・イ
ミド化反応時間は、芳香族ジアミンの種類、芳香族テト
ラカルボン酸二無水物の種類、溶剤の種類および反応時
間により異なり、通常4〜24時間で十分である。以上
の方法により芳香族テトラカルボン酸二無水物や芳香族
ジアミン類を、無水フタル酸やアニリンのようなジカル
ボン酸無水物または芳香族モノアミンの共存下に反応さ
せて、またポリマー分子の末端が
【化41】 のような無置換の、あるいはアミンまたはジカルボン酸
無水物と反応性を有しない基で置換された芳香族環で封
止された液晶性芳香族ポリイミドを製造できる。次に、
本発明で使用する熱可塑性樹脂について述べる。本発明
で用いられる芳香族ポリアミドイミドは、式 (D)
【化42】 (式中、Y は炭素数6〜27の二価の有機基を表す)
で表される繰り返し構造単位の少なくとも一種を基本骨
格として有する芳香族ポリアミドイミドであり、とくに
好ましくは、式 (4)
【化43】 で表される繰り返し構造単位および式 (5)
【化44】 で表される繰り返し構造単位の少なくとも一種を基本骨
格として有する芳香族ポリアミドイミドである。これら
の芳香族ポリアミドイミドは、例えば、米国アコモ社か
らトローン (TORLON)の商標で市販されている。これら
芳香族ポリアミドイミドは各種の重合度のものを自由に
選択でき、目的のプレンド物に適切な溶融粘度特性を有
するものを任意に選択することができる。
【0045】次に、本発明において用いられる芳香族ポ
リエーテルスルホンは、式(6)
【化45】 (式中、Xは直結、
【化46】 を表す) で表される少なくとも一種の繰り返し構造単位
を基本骨格として有する芳香族ポリスルホンである。
【0046】具体的には
【化47】
【化48】
【化49】 等であり、その他の芳香族ポリスルホンとしては具体的
に、
【化50】
【化51】
【化52】
【化53】
【化54】
【化55】
【化56】
【化57】
【化58】
【化59】 等の繰り返し構造単位を有する芳香族ポリスルホンであ
る。
【0047】特に典型的な、芳香族ポリスルホンとし式
(13)
【化60】 で表され、英国アイ・シー・アイ社から「VICTREX PES
」の商標で市販されているポリエーテルスルホン、お
よび/または式 (14)
【化61】 で表され、米国ユニオン・カーバイト社から「DUEL POL
YSLFONE 」の商標で市販されているポリスルホン、およ
び/または式(15)
【化62】 で表され、米国ユニオン・カーバイト社から「RADEL PO
LYSLFONE」の商標で市販されているポリアリルスルホン
が挙げられる。これら芳香族ポリスルホンは各種重合度
のものを自由に選択でき、目的の組成物に適切な溶融粘
度特性を与えるものを任意に選択することができる。
【0048】さらに、本発明に使用される芳香族ポリエ
ーテルケトンは、式 (7)
【化63】 で表される繰り返し構造単位及び式(8)
【化64】 で表される繰り返し構造単位の少なくとも一種を基本骨
格として有する芳香族ポリエーテルケトンである。
【0049】本発明の溶融成形加工が可能な熱可塑性樹
脂組成物は、前記の式 (1) で表される繰り返し構造単
位を有する液晶性芳香族ポリイミド、式 (9) で表され
る繰り返し構造単位を有する液晶性芳香族ポリイミド、
式 (1) で表される繰り返し構造単位を有する基本骨格
1〜99モル%と式 (9) で表される繰り返し構造単位
を有する基本骨格99〜1モル%とを含有してなる液晶
性ポリイミド共重合体、およびこれらのポリマー分子の
末端が未置換あるいはアミンまたはジカルボン酸無水物
と反応性を有しない基で置換された芳香族環を有する液
晶性芳香族ポリイミドからなる群から選ばれた少なくと
も一種の液晶性芳香族ポリイミド、と芳香族ポリアミド
イミド、芳香族ポリスルホンおよび芳香族ポリエーテル
ケトンからなる群から選ばれた少なくとも一種の熱可塑
性樹脂とを含有してなるものである。
【0050】この熱可塑性樹脂組成物は、液晶性芳香族
ポリイミド 0.1〜50重量%と熱可塑性樹脂99.
9〜50重量%の範囲に調節される。本発明の熱可塑性
樹脂組成物は、 300℃以上の高温域において著しく
低い溶融粘度を示す。本発明の液晶性芳香族ポリイミド
の良好な溶融流動化の効果は少量でも認められ、その組
成割合の下限は 0.1重量%であるが、好ましくは
0.5重量%である。また、液晶性芳香族ポリイミドの
耐薬品性、難燃性、機械的強度は、耐熱性樹脂の中でも
非常に優れた部類に属するが、機械的性質の異方性が強
いなどの欠点がある。そのため、該組成物中の液晶性芳
香族ポリイミドの量を多くすると、ポリイミド本来の特
性が維持できなくなり好ましくない。液晶性芳香族ポリ
イミドの組成割合には上限があり、通常50重量%以
下、好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは10
重量%以下である。
【0051】本発明による熱可塑性樹脂組成物を調製す
るにあたっては、熱可塑性樹脂と液晶性芳香族ポリイミ
ドを含有させて、通常公知の方法により製造できるが、
例えば、次に示す方法は好ましいものである。熱可塑性
樹脂、液晶性芳香族ポリイミドを乳鉢、ヘンシェルミキ
サー、ドラムブレンダー、タンブラーブレンダー、ボー
ルミル、リボンブレンダー等を利用して予備混練する。
熱可塑性樹脂をあらかじめ有機溶媒に溶解または懸濁さ
せ、この溶液または懸濁液に液晶性芳香族ポリイミドを
添加し、均一に分散または溶解させた後、溶媒を除去す
る。
【0052】このようにして得られた液晶性芳香族ポリ
イミドと熱可塑性樹脂との混合物は、そのまま各種成形
方法、すなわち射出成形、圧縮成形、トランスファー成
形、押出成形などに用いられるが、溶融ブレンドしてか
ら用いるのはさらに好ましい方法である。
【0046】ことに、前記組成物を混合調製するにあた
り、粉末同志、ペレット同志、あるいは粉末とペレット
を混合するのも簡易で有効な方法である。溶融ブレンド
には、通常のゴムまたはプラスチック類を溶融ブレンド
するのに用いられる装置、例えば、熱ロール、バンバリ
ーミキサー、ブラベンダー、押出機などを利用すること
ができる。溶融温度は、配合系が溶融可能な温度以上
で、かつ配合系が熱分解し始める温度以下に設定される
が、その温度は通常 250〜420 ℃、好ましくは
300〜400 ℃である。
【0053】本発明の溶融成形加工の可能な樹脂組成物
の成形方法としては、均一な溶融ブレンド体を形成し、
かつ生産性の高い成形方法である射出成形または押出成
形が好適であるが、その他の圧縮成形、トランスファー
成形、焼結成形などを利用しても差し支えない。本発明
の目的を損なわない範囲で他の熱可塑性樹脂、例えば、
ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポ
リアリレート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテ
ルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスル
フィド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、変成
ポリフェニレンオキシド、他のポリイミドおよび熱硬化
性樹脂を目的に応じて適当量配合することも可能であ
る。また、本発明のポリイミド樹脂組成物に対して固体
潤滑剤、例えば、二硫化モリブデン、グラファイト、窒
化ホウ素、一酸化鉛、鉛粉などを一種以上添加すること
ができる。
【0054】また、補強材、例えば、ガラス繊維、炭素
繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、
ガラスビーズ等を一種以上添加することができる。さら
に、本発明の樹脂組成物に対して本発明の目的を損なわ
ない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、難
燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、着色剤などの通常の添加
剤を一種以上添加することができる。
【0055】
【実施例】以下、本発明を合成例、実施例および比較例
により詳細に説明する。なお、例中で各種物性の測定は
次の方法によった。 対数粘度:ポリイミド粉末0.50gをp−クロロフェ
ノールとフェノールの混合溶媒(90:10重量比)1
00ml に加熱溶解した後35℃に冷却して測定した
値である。
【0053】 ガラス転移温度(Tg);DSC(島津DT−40シリ
ーズ、DSC−41M)により測定。 5%重量減少温度:空気中でDTA−Tg(島津DT−
40シリーズ、DSC−40M)により測定。
【0055】合成例−1 攪拌機、還流冷却器、水分離器および窒素導入管を備え
た容器に、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン5.29k
g(10.0モル)、ピロメリット酸二無水物 2.0
94kg(9.6モル)、γ−ピコリン138g(1.
5モル)およびm−クレゾール23.0kgを装入し、
窒素雰囲気下において攪拌しながら145 ℃まで加熱
昇温した。この間、約 340gの水の留出が確認され
た。更に、140〜150 ℃で4時間反応を行った。
その後、室温まで冷却し81.2kgのメチルエチルケ
トンに排出した後、濾別した。このポリイミド粉をメチ
ルエチルケトンでさらに洗浄し、窒素雰囲気下におい
て、50℃で24時間予備乾燥した後、 200℃で6
時間乾燥して6.85kg(収率97.3%)のポリイ
ミド粉を得た。このポリイミド粉の対数粘度は0.49
dl/g、DSC測定により274℃と294℃に2本
の吸熱ピークが観測された。また、空気中での5%重量
減少温度は、525℃であった。
【0057】合成例−2 反応を行う際に、無水フタル酸118.49g(0.8
0モル)を加えた以外は合成例−1と同様な方法で反応
を行いポリイミド粉6.93kg(収率 97.0%)
を得た。このポリイミド粉の対数粘度は0.49dl/
g、DSC測定により274℃と295℃に2本の吸熱
ピークが観察された。また、空気中での5%重量減少温
度は536℃であった。
【0058】合成例−3 反応を行う際に、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水
物158.54g(0.80モル)を加えた以外は合成
例−1と同様な方法で反応を行いポリイミド粉7.02
kg(収率 97.0%)を得た。このポリイミド粉の
対数粘度は0.50dl/g、DSC測定により275
℃と297℃に2本の吸熱ピークが観察された。また、
空気中での5%重量減少温度は538℃であった。
【0059】合成例−4 攪拌機、還流冷却器、水分離器および窒素導入管を備え
た容器に、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ〕−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン5.07k
g(9.6モル)、ピロメリット酸二無水物2.18k
g(10.0モル)、γ−ピコリン140g(1.5モ
ル)、アニリン93.0g(1.0モル)およびm−ク
レゾール23.0kgを装入し、窒素雰囲気下において
攪拌しながら145℃まで加熱昇温した。この間、約3
60gの水の留出が確認された。更に、140〜150
℃で4時間反応を行った。その後、室温まで冷却し8
1.2kgのメチルエチルケトンに排出した後、濾別し
た。このポリイミド粉をメチルエチルケトンでさらに洗
浄し、窒素雰囲気下において、50℃で24時間予備乾燥し
た後、200℃で6時間乾燥して、ポリイミド粉6.7
6kg(収率97.0%)を得た。このポリイミド粉の
対数粘度は0.47dl/g、DSC測定により274
℃と295℃に2本の吸熱ピークが観察された。また空
気中での5%重量減少温度は532℃であった。
【0060】合成例−5 合成例−4において、アニリン74.4g(0.8モ
ル)のかわりに、p−トルイジン85.72g(0.8
モル)を用い、合成例−4と同様に行ってポリイミド粉
6.77kg(収率97.0%)を得た。このポリイミ
ド粉の対数粘度は0.48dl/g、DSC測定により
274℃と297℃に2本の吸熱ピークが観察された。
また空気中での5%重量減少温度は535℃であった。
【0061】合成例−6 温度計、還流冷却器、攪拌器を備えた容器に、N,N-ジメ
チルホルムアミド(DMF)200g、3,4-ジフルオロ
ニトロベンゼン65g(0.409mol)、1,3-ビス
(4-ヒドロキシクミル)ベンゼン69.1g(0.19
9mol)、炭酸カリウム33.1g(0.239mo
l)をそれぞれ装入し、攪拌下に80℃まで昇温した
後、80℃で6時間熟成した。
【0062】反応終了後、濾過して無機温を取り除い
た。濾液に水50mlを加え、室温まで冷却して目的物
を晶析させた。析出した結晶を濾別し、さらにイソプロ
ピルアルコールでスラッジングして1,3-ビス〔4-(4-ニ
トロ -6-フルオロフェニルオキシ)−α,α−ジメチル
ベンジル〕ベンゼンを得た。融点 150.7〜15
1.8℃、 収量 129.4g、収率 97%つい
で、温度計、還流冷却器、攪拌器を取り付けた還元装置
に、上記で得られた1,3-ビス〔4-(4-ニトロ -6-フルオ
ロフェニルオキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベン
ゼン115g(0.184mol)、イソプロピルアル
コール250gおよび5%−Pd/C4.8g(50%
含水品)を装入し、水素雰囲気下、70〜80℃で4時
間反応した。反応終了後、触媒を濾過し、濾液を減圧濃
縮して、淡黄色結晶の1,3-ビス〔4-(4-アミノ -6-フル
オロフェニルオキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベ
ンゼンを得た。 融点 130.4〜132.9℃、収量 84.2g、収率 81% 元素分析(C3634222 ) C H N F 計算値(%) 76.52 6.07 5.96 6.73 実測値(%) 76.55 6.11 5.91 6.77
【0063】さらに、攪拌機、還流冷却機、水分離機お
よび窒素導入管を備えた容器に、1,3-ビス〔4-(4-アミ
ノ -6-フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジ
ル〕ベンゼン56.47 g(0.1 モル)、ピロメリ
ット酸二無水物21.38g(0.098 モル)、無
水フタル酸0.592 g(0.004 モル)、γ−ピ
コリン1.40g、m−クレゾール311.4 gを装
入し、窒素雰囲気下において攪拌しながら150℃まで
加熱昇温した。その後、150℃で4時間反応を行っ
た。この間約3.6mlの水の留出が確認された。 反
応終了後、室温まで冷却し、約2.0Lのメチルエチル
ケトンに排出した後、ポリイミド粉を濾別した。このポ
リイミド粉をメチルエチルケトンで洗浄した後、空気中
50℃で24時間、減圧下180 ℃で4時間乾燥して
72.56 g(収率97.0%)のポリイミド粉を得
た。かくして得られたポリイミド粉の対数粘度は0.5
0dl/g、ガラス転移温度は186 ℃、融点は35
0 ℃であった。更に、本ポリイミド粉を市販されてい
るポリエーテルスルホン(ICI社製、商品名:VIC
TREX PES 4100P)と混合し(重量比:ポ
リエーテルスルホン/本ポリイミド=7/3)、370
℃における溶融粘度を測定した(滞留時間5分)。その
結果を以下に示す。 (溶融粘度:ポイズ) ポリエーテルスルホン : 5700 ポリエーテルスルホン/本ポリイミド : 3350 すなわち、本ポリイミドをポリエーテルスルホンに混合
することにより、溶融粘度が大幅に低減し、また得られ
たストランドは押し出し方向に配向して繊維状のフィブ
リルが観察されるなど液晶性高分子特有の性質が観察さ
れた。
【0065】合成例−7 温度計、還流冷却器、攪拌器を備えた容器に、N,N-ジメ
チルホルムアミド(DMF)200g、トルエン10
g、2-クロロ -5-ニトロトルエン80g(0.466m
ol)、1,3-ビス(4-ヒドロキシクミル)ベンゼン7
8.8g(0.277mol)、炭酸カリウム37.7
g(0.273mol)をそれぞれ装入し、攪拌下に1
50℃まで昇温した後、150℃で7時間熟成した。反
応終了後、90℃に冷却し、濾過することによって無機
温を取り除いた。濾液に水56mlを加え、室温まで冷
却して目的物を晶析させた。析出した結晶を濾別し、さ
らにイソプロピルアルコールでスラッジングして1,3-ビ
ス〔4-(4-ニトロ -6-メチルフェノキシ)−α,α−ジ
メチルベンジル〕ベンゼンを得た。融点 116.3〜
117.6℃、収量 133.9g、収率 96%温度
計、還流冷却器、攪拌器を取り付けた還元装置に、上記
の1,3-ビス〔4-(4-ニトロ -6-メチルフェノキシ)−
α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン120g(0.1
95mol)、イソプロピルアルコール400gおよび
5%−Pd/C5g(50%含水品)を装入し、水素雰
囲気下、70〜80℃で4時間反応した。反応終了後、
触媒を濾過し、濾液を減圧濃縮して、淡黄色結晶の1,3-
ビス〔4-(4-アミン -6-メチルフェノキシ)−α,α−
ジメチルベンジル〕ベンゼンを得た。 融点 118.1〜118.2℃、 収量 89.0g、収率 82% 元素分析(C38H40N2 O2 ) C H N 計算値(%) 81.98 7.24 5.03 実測値(%) 82.18 7.22 5.15
【0066】得られた1,3-ビス〔4-(4-アミノ -6-メチ
ルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン
55.68 g(0.1 モル)を用い合成例6と同様に
行ってポリイミド粉71.29 g(収率96.3%)
を得た。かくして得られたポリイミド粉の対数粘度は
0.51dl/g、ガラス転移温度は185 ℃であっ
た。更に、本ポリイミド粉を市販されているポリエーテ
ルスルホン(ICI社製、商品名:VICTREX P
ES 4100P)と混合し(重量比:ポリエーテルス
ルホン/本ポリイミド=7/3)、370℃における溶
融粘度を測定した(滞留時間5分)。その結果を以下に
示す。 (溶融粘度:ポイズ) ポリエーテルスルホン ; 5700 ポリエーテルスルホン/本ポリイミド; 3230 すなわち、本ポリイミドをポリエーテルスルホンに混合
することにより、溶融粘度が大幅に低減し、また得られ
たストランドは押し出し方向に配向して繊維状のフィブ
リルが観察されるなど液晶性高分子特有の性質が観察さ
れた。
【0067】合成例−8 温度計、還流冷却器、攪拌器を備えた容器に、N,N-ジメ
チルホルムアミド(DMF)700ml、トルエン30
ml、2-クロロ-5- ニトロベンゾトリフルオライド87
g(0.386 mol)、1,3-ビス(4-ヒドロキシク
ミル)ベンゼン63.6g(0.184 mol)、炭
酸カリウム53.3g(0.386 mol)をそれぞ
れ装入し、攪拌下に110℃まで昇温した後、110℃
で4時間熟成した。
【0068】反応終了後、80℃に冷却し、濾過するこ
とによって無機温を取り除いた。濾液に水30mlを加
え、室温まで冷却して目的物を晶析させた。析出した結
晶を濾別し、さらにイソプロピルアルコールでスラッジ
ングすることにより目的物である1,3-ビス〔4-(4-ニト
ロ -6-トリフルオロメチルフェニルオキシ)−α,α−
ジメチルベンジル〕ベンゼンを得た。 融点 127.4〜128.4℃、収量 120g、収率 90% 温度計、還流冷却器、攪拌器を取り付けた還元装置に、
1,3-ビス〔4-(4-ニトロ -6-トリフルオロメチルフェニ
ルオキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン90
g(0.124 mol)、メチルセロソルブ500mlおよ
び5%−Pd/C5g(50%含水品)を装入し、水素
雰囲気下、70〜80℃で4時間反応した。反応終了
後、触媒を濾過し、濾液を減圧濃縮して、淡黄色結晶の
1,3-ビス〔4-(4-アミノ -6-トリフルオロメチルフェノ
キシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼンを得た。
【0089】 融点 118.5〜119.2℃、収量 73.4g、収率 89% 元素分析(C38342026 ) C H N F 計算値(%) 68.67 5.16 4.21 17.15 実測値(%) 68.78 5.22 4.15 17.01
【0067】さらに、攪拌機、還流冷却機、水分離機お
よび窒素導入管を備えた容器に、1,3-ビス〔4-(4-アミ
ノ -6-トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメ
チルベンジル〕ベンゼン66.47 g(0.1 モ
ル)、ピロメリット酸二無水物21.38 g(0.0
98 モル)、無水フタル酸0.592 g(0.004
モル)、γ−ピコリン1.40g、m−クレゾール3
51.4 gを装入し、窒素雰囲気下において攪拌しな
がら150℃まで加熱昇温した。その後、150 ℃で
4時間反応した。この間、約3.6 mlの水の留出が確
認された。
【0068】反応終了後、室温まで冷却し、約2.0 Lの
メチルエチルケトンに排出した後、ポリイミド粉を濾別
した。このポリイミド粉をメチルエチルケトンで洗浄し
た後、空気中50℃で24時間、減圧下180℃で4時
間乾燥して83.22g(収率98.1%)のポリイミ
ド粉を得た。かくして得られたポリイミド粉の対数粘度
は0.45dl/g、ガラス転移温度は186 ℃、融
点は196 ℃であった。なおポリイミド粉の元素分析
値は以下の通りであった。 元素分析値 C H N F 計算値(%) 68.08 3.82 3.31 13.46 実測値(%) 67.86 3.75 3.40 13.02 ここで得られたポリイミド粉を圧力300psi、温度
350℃の条件で加圧・加熱することにより厚さ約50
μmのポリイミドフィルムとした。このポリイミドフィ
ルムを用いて誘電率を測定したところ、60Hzで3.
02、3KHzで2.99、1MHzで2.96であっ
た。
【0069】更に、本ポリイミド粉を市販されているポ
リエーテルスルホン(ICI社製、商品名:VICTR
EX PES 4100P)と混合し(重量比:ポリエ
ーテルスルホン/本ポリイミド=7/3)、350℃お
よび370℃における溶融粘度を測定した(滞留時間5
分)。その結果を以下に示す。 (溶融粘度測定値:単位ポイズ) 350℃ 370℃ ポリエーテルスルホン 12000 5700 ポリエーテルスルホン/本ポリイミド 5250 3350 すなわち、本ポリイミドをポリエーテルスルホンに混合
することにより、溶融粘度が大幅に低減し、また得られ
たストランドは押し出し方向に配向して繊維状のフィブ
リルが観察されるなど液晶性高分子特有の性質が観察さ
れた。
【0071】実施例−1 〜4 芳香族ポリスルホン樹脂粉末(アイ・シーアイ社製、V
ICTREX PES4100P)と合成例1で得られ
た液晶製芳香族ポリイミドを表1に示すように各種の組
成でドライブレンドした後、高化成フローテスター(島
津製作所、CFT−500、オリフィス直径0.1c
m、長さ1cm、圧力100kg/cm2) で溶融粘度
を測定した。測定した結果を表1に示す。
【0072】比較例−1 〜4 本発明の範囲外の組成物を用いて実施例−1 〜4 と同
様の操作で溶融粘度を測定した結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】実施例−5〜8 芳香族ポリスルホン樹脂粉末(アイ・シー・アイ社製、
VICTREX PES 4100P)と合成例2で得
られた液晶性芳香族ポリイミドを、表2に示すように各
種の組成でドライブレンドした後、高化成フローテスタ
ー(島津製作所、CFT−500、オリフィス直径0.
1cm、長さ1cm、圧力100kg/cm2 ) で溶融
粘度を測定した。測定した結果を表2に示す。
【0075】比較例−1、3、5、6 本発明の範囲外の組成物を用いて実施例−5〜8と同様
の操作で溶融粘度を測定した結果を表2に示す。
【0076】
【表2】
【0077】実施例−9〜12 芳香族ポリスルホン樹脂粉末(アイ・シー・アイ社製、
VICTREX PES 4100P)と合成例4で得
られた液晶性芳香族ポリイミドを表3に示すように各種
の組成でドライブレンドした後、高化成フローテスター
(島津製作所、CFT−500、オリフィス直径0.1
cm、長さ1cm、圧力100kg/cm2 ) で溶融粘
度を測定した。測定した結果を表3に示す。
【0078】比較例−1、3、7、8 本発明の範囲外の組成物を用いて実施例−9〜12と同
様の操作で溶融粘度を測定した結果を表3に示す。
【0079】
【表3】
【0080】実施例−13〜16 芳香族ポリスルホン樹脂粉末(ユニオンカーバイド社商
標、UDEL POLYSULFONE P−170
0)と合成例2で得られた液晶性芳香族ポリイミドを表
4に示すように各種の組成でドライブレンドした後、高
化成フローテスター(島津製作所、CFT−500、オ
リフィス直径0.1cm、長さ1cm、圧力100kg
/cm2 ) で溶融粘度を測定した。測定した結果を表4
に示す。
【0081】比較例−9〜12 本発明の範囲外の組成物を用いて実施例−13〜16と
同様の操作で溶融粘度を測定した結果を表4に示す。
【0082】
【表4】
【0083】実施例−17〜20 芳香族ポリスルホン樹脂粉末(ユニオンカーバイド社商
標、UDEL POLYSULFONE P−170
0)と合成例3で得られた液晶性芳香族ポリイミドを表
5に示すように各種の組成でドライブレンドした後、高
化成フローテスター(島津製作所、CFT−500、オ
リフィス直径0.1cm、長さ1cm、圧力100kg
/cm2 ) で溶融粘度を測定した。測定した結果を表5
に示す。
【0084】比較例−9、11、13 、14 本発明の範囲外の組成物を用いて実施例−17〜20と
同様の操作で溶融粘度を測定した結果を表5に示す。
【0085】
【表5】
【0086】実施例−21〜24 芳香族ポリスルホン樹脂粉末(ユニオンカーバイド社商
標、UDEL POLYSULFONE P−170
0)と合成例4で得られた液晶性芳香族ポリイミドを表
6に示すように各種の組成でドライブレンドした後、高
化成フローテスター(島津製作所、CFT−500、オ
リフィス直径0.1cm、長さ1cm、圧力100kg
/cm2 ) で溶融粘度を測定した。測定した結果を表6
に示す。
【0087】比較例−9、11、15、16 本発明の範囲外の組成物を用いて実施例−21〜24と
同様の操作で溶融粘度を測定した結果を表6に示す。
【0088】
【表6】
【0089】実施例−25〜28 芳香族ポリスルホン樹脂粉末(ユニオンカーバイド社商
標、RADEL POLYSULFONE A−40
0)と合成例2で得られた液晶性芳香族ポリイミドを表
36に示すように各種の組成でドライブレンドした後、高
化成フローテスター(島津製作所、CFT−500、オ
リフィス直径0.1cm、長さ1cm、圧力100kg
/cm2 ) で溶融粘度を測定した。測定した結果を表7
に示す。
【0090】比較例−17 〜20 本発明の範囲外の組成物を用いて実施例−25 〜28
と同様の操作で溶融粘度を測定した結果を表7に示す。
【0091】
【表7】
【0092】実施例−29〜30 芳香族ポリスルホン樹脂粉末(ユニオンカーバイド社商
標、RADEL POLYSULFONE A−40
0)と合成例4で得られた液晶性芳香族ポリイミドを表
8に示すように各種の組成でドライブレンドした後、高
化成フローテスター(島津製作所、CFT−500、オ
リフィス直径0.1cm、長さ1cm、圧力100kg
/cm2 ) で溶融粘度を測定した。測定した結果を表8
に示す。
【0093】比較例−17、19、21、22 本発明の範囲外の組成物を用いて実施例−29〜32と
同様の操作で溶融粘度を測定した結果を表8に示す。
【0094】
【表8】
【0095】実施例−33〜38 芳香族ポリスルホン樹脂粉末(ユニオンカーバイド社商
標、UDEL POLYSULFONE A−400)
と合成例5で得られた液晶性芳香族ポリイミドを表9に
示すように各種の組成でドライブレンドした後、高化成
フローテスター(島津製作所、CFT−500、オリフ
ィス直径0.1cm、長さ1cm、圧力100kg/c
2 ) で溶融粘度を測定した。測定した結果を表9に示
す。
【0096】比較例−17、19、23、24 本発明の範囲外の組成物を用いて実施例−33〜38と
同様の操作で溶融粘度を測定した結果を表9に示す。
【0097】
【表9】
【0098】実施例− 39〜44 芳香族ポリスルボンサン樹脂粉末「VICTREX P
ES 4100P」(アイ・シー・アイ社商標)、「U
DEL POLYSULFONE P−1700」(ユニ
オンカーバイト社商標)および「RADEL POYS
ULFONE A−400」(ユニオンカーバイト社商
標)と合成例−2、4で得られた結晶性ポリイミド粉、
表10、11および12に示すように各種の組成でドラ
イブレンドした後、押出機(口径40mm、圧縮比=
3.0/1.0のスクリュー付)で溶融混練しながら押
出し、均一な配合ペレットを得た。次に、上記で得たペ
レットを通常の射出成形機にかけて成形し成形物の最低
射出圧力を測定した。その結果を表10、11および1
2に実施例−39〜44として示す。
【0098】比較例−25〜30 本発明の範囲外の組成物を用いて実施例−39〜44と
同様な操作を行い最低射出圧力を測定した結果も併せて
表10、11および12に示す。
【0099】
【表10】
【0099】
【表11】
【0100】
【表12】
【0101】実施例−45〜64 芳香族ポリアミドイミド(米国アモコ社製商標名TOR
LON 4203L)と合成例1,2,3,4,5で得
られた液晶性芳香族ポリイミドを表13〜17に示すよ
うに各種の組成でドライブレンドした後、高化式フロー
テスター(島津製作所、CFT−500、オリフィス直
径0.1cm、長さ1cm、圧力100kg/cm2
で溶融粘度を測定した。測定した結果を表−13〜17
中に示す。また、フローテスターにより得られたストラ
ンドのガラス転移温度(Tg)をDSCにより測定した
結果も同じ表13〜17に示す。本実施例の割合で芳香
族ポリアミドイミドと液晶性芳香族ポリイミドを混合し
たものは、芳香族ポリアミドイミドのみよりも溶融粘度
が低く、なおかつ芳香族ポリアミドイミドと変わらない
Tgを有していた。
【0102】比較例−31 〜50 本発明の範囲外の組成物を用いて実施例−45〜64と
同様の操作で溶融粘度を測定した結果を表13〜17に
示す。
【0103】
【表13】
【0104】
【表14】
【0105】
【表15】
【0106】
【表16】
【0107】
【表17】
【0108】実施例−65〜68 芳香族ポリアミドイミド(米国アモコ社製商標名TOR
LON 4203L)を合成例−2で得られたポリイミド
粉を表18に示すように各種の組成でドライブレンドし
た後、押出機(口径40mm、圧縮比=3.0/1.0
のスクリュー付)で溶融混練しながら押出し、均一な配
合ペレットを得た。次に、上記で得たペレットを通常の
射出成形機にかけて成形し成形物の最低射出圧力を測定
した。その結果を表18に実施例−65〜68として示
す。本実施例の割合で芳香族ポリアミドイミドと液晶性
芳香族ポリイミドを混合したものは芳香族ポリアミドイ
ミドのみよりも最低射出圧力が低く、成形加工性が良好
であることがわかる。
【0109】比較例−51〜54 本発明の範囲外の組成物を用いて実施例−65 〜68
と同様の操作を行い最低射出圧力を測定した結果を表1
8に示す。液晶性芳香族ポリイミドを全く含まないもの
は最低射出圧力が高く、芳香族ポリアミドイミド50重
量部に対して液晶性芳香族ポリイミドが50重量部を越
えると溶融粘度が低くなりすぎて最低射出圧力を測定出
来なかった。すなわち、溶融粘度が低すぎて射出成形が
困難となる。
【0110】
【表18】
【0111】実施例−69 実施例−65の芳香族ポリアミドイミドと液晶性芳香族
ポリイミドを混合比90/10でドライブレンドして得
られたペレットを通常の射出成形機にかけて、成形温度
360〜400℃、金型温度160℃で射出成形し、成
形物の機械物性を測定した。結果を表−19に実施例6
9として示す。表中引張強度、引張弾性率、引張伸度は
ASTM D−638に拠る。本実施例の割合で芳香族
ポリアミドイミドと液晶性芳香族ポリイミドを混合した
ものは、比較例−55の芳香族ポリアミドイミドのみの
ものと比べて機械物性は同等であり、本願の範囲内で液
晶性芳香族ポリイミドを混合しても機械物性の低下は見
られない。
【0112】比較例−55比較例−51で得られたペレ
ットを実施例−69と同様の操作で成形物とし、成形物
の機械的性質を測定した。結果を表19に併せて比較例
−55として示す。
【0113】
【表19】
【0114】実施例−70〜89芳香族ポリエーテルケ
トン(アイ・シー・アイ社製商標名VICTREX P
EEK 450P)と合成例1、2、3、4、5で得ら
れた液晶性芳香族ポリイミドを表20〜24に示すよう
に各種の組成でドライブレンドした後、高化式フローテ
スター(島津製作所、CFT−500、オリフィス直径
0.1cm、長さ1cm、圧力100kg/cm)で
溶融粘度を測定した。測定した結果を表20〜24中に
示す。また、フローテスターにより得られたストランド
のガラス転移温度(Tg)をDSCにより測定した結果
も同表20〜24に示す。本実施例の割合で芳香族ポリ
エーテルケトンと液晶性芳香族ポリイミドを混合したも
のは、芳香族ポリエーテルケトンのみよりも溶融粘度が
低く、なおかつ芳香族ポリエーテルケトンと変わらない
Tgを有していた。
【0115】比較例−56〜75本発明の範囲外の組成
物を用いて実施例70 〜89 と同様の操作で溶融粘度
を測定した結果を表20〜24に示す。
【0116】実施例−90 〜101芳香族ポリエーテ
ルケトン(アイ・シー・アイ社製商標名VICTREX
PEEK 220G)と合成例−1、2、4で得られた液
晶性芳香族ポリイミドを表25〜27に示すように各種
の組成でドライブレンドした後、高化式フローテスター
(島津製作所、CFT−500、オリフィス直径0.1
cm、長さ1cm、圧力100kg/cm)で溶融粘
度を測定した。測定した結果を表25〜27中に示す。
また、フローテスターにより得られたストランドのガラ
ス転移温度(Tg)をDSCにより測定した結果も同表
25〜27に示す。本実施例の割合で芳香族ポリエーテ
ルケトンと液晶性芳香族ポリイミドを混合したものは、
芳香族ポリエーテルケトンのみよりも溶融粘度が低く、
なおかつ芳香族ポリエーテルケトンと変わらないTgを
有していた。
【0117】比較例−76〜87本発明の範囲外の組成
物を用いて実施例90〜101と同様の操作で溶融粘度
を測定した結果を表25〜27に示す。
【0118】
【表20】
【0119】
【表21】
【0120】
【表22】
【0121】
【表23】
【0122】
【表24】
【0123】
【表25】
【0124】
【表26】
【0125】
【表27】
【0126】実施例−102〜109 芳香族ポリエーテルケトン(アイ・シー・アイ社製商標
名VICTREX PEEK 450Pおよびアイ・シー
・アイ社製商標名VICTREX PEEK220G)
と合成例−2、4で得られたポリイミド粉を表28〜2
9に示すように各種の組成でドライブレンドした後、押
出機(口径40mm、圧縮比=3.0/1.0のスクリ
ュー付)で溶融混練しながら押し出し、均一な配合ペレ
ットを得た。次に、上記で得たペレットを通常の射出成
形機にかけて成形し成形物の最低射出圧力を測定した。
その結果を表28、29に実施例−102〜109とし
て示す。本実施例の割合で芳香族ポリエーテルケトンと
液晶性芳香族ポリイミドを混合したものは、芳香族ポリ
エーテルケトンのみよりも最低射出圧力が低く、成形加
工性が良好であることがわかる。
【0127】比較例−88 〜95 本発明の範囲外の組成物を用いて実施例102〜109
と同様の操作を行ない最低射出圧力を測定した結果を表
28、29に示す。液晶性芳香族ポリイミドを全く含ま
ないものは最低射出圧力が高く、芳香族ポリエーテルケ
トン50重量部に対して液晶性芳香族ポリイミドが50
重量部を超えると溶融年度が低く鳴りすぎて最低射出圧
力を測定出来なかった。すなわち、溶融粘度が低すぎて
射出成形が困難となる。
【0128】
【表28】
【0129】
【表29】
【0130】実施例−110、111 実施例−102と106の、芳香族ポリエーテルケトン
と液晶性芳香族ポリイミドを混合比90/10でドライ
ブレンドして得られたペレットを通常の射出成形機にか
けて、成形温度360〜400℃、金型温度160℃で
射出成形し、成形物の機械物性を測定した。結果を表−
30に実施例−110 、111 として示す。表中引張
強度、引張弾性率、引張伸度はASTM D−638に
拠る。本実施例の割合で芳香族ポリエーテルケトンと液
晶性芳香族ポリイミドを混合したものは、比較例−9
6、97の芳香族ポリエーテルケトンのみのものと比べ
て機械物性は同等であり、本願の範囲内で液晶性芳香族
ポリイミドを混合しても機械物性の低下は見られない。
【0131】比較例−96 、97 比較例−88と92で得られたペレットを実施例−11
0、111と同様の操作で成形物とし、成形物の機械的
性質を測定した。結果を表−30に併せて比較例96
、97として示す。
【0132】
【表30】
【0133】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性樹脂が本来有
する優れた特性に加え、著しく成形加工性が良好で熱安
定性に優れた熱可塑性樹脂組成物が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平4−160807 (32)優先日 平4(1992)6月19日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−275916 (32)優先日 平4(1992)10月14日 (33)優先権主張国 日本(JP) 前置審査 (72)発明者 浅沼 正 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 山口 彰宏 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−199234(JP,A) 特開 昭63−304057(JP,A) 特開 昭63−289067(JP,A) 特開 平1−165662(JP,A) 特開 平2−269765(JP,A) 特開 平1−188555(JP,A) 特開 平3−160024(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の芳香族ポリアミドイミド(4)、芳
    香族ポリエーテルスルホン(5)および芳香族ポリエー
    テルケトン(6)からなる群から選ばれる少なくとも一
    種の熱可塑性樹脂99.9〜50重量部と次の(1)、
    (2)および(3)からなる群から選ばれる少なくとも
    一種の液晶性芳香族ポリイミド0.1〜50重量部を含
    有しなる成形加工性良好な熱可塑性樹脂組成物。 (1) 式(1) 【化1】 (式中、R1 〜R5 は、水素、弗素、トリフルオロメチ
    ル、メチル、エチルまたはシアノ基であり、互いに同一
    でも異なっていてもよい、またRは炭素数2〜27であ
    り、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が
    直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式
    芳香族基からなる群より選ばれた4価の基を表す)で表
    される繰り返し構造単位を基本骨格として有する液晶性
    芳香族ポリイミド、 (2) 上記式 (1) で表される繰り返し構造単位を基
    本骨格として有し、そのポリマー分子の末端が式(2) 【化2】 (式中、Zは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
    縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員によ
    り相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群よ
    り選ばれた2価の基を表す)で表される芳香族ジカルボ
    ン酸無水物で封止されて得られる液晶性芳香族ポリイミ
    ド、 (3) 上記式 (1) で表される繰り返し構造単位を基
    本骨格として有し、そのポリマー分子の末端が式(3) V−NH (3) (式中、Vは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
    縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員によ
    り相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群よ
    り選ばれた1価の基を表す)で表される芳香族モノアミ
    ンで封止されて得られる液晶性芳香族ポリイミド、(4) 式 (4) 【化3】 または式 (5) 【化4】 で表される繰り返し構造単位を基本骨格として有する芳
    香族ポリアミドイミド、 (5)式(6) 【化5】 (式中、Xは直結、 【化6】 を表す) で表される少なくとも一種の繰り返し構造単位
    を基本骨格として有する芳香族ポリエーテルスルホンお
    よび (6)式(7) 【化7】 で表される繰り返し構造単位および/または式(8) 【化8】 で表される繰り返し構造単位を基本骨格として有する芳
    香族ポリエーテケトン。
  2. 【請求項2】 液晶性芳香族ポリイミドが、次の
    (7)、(8)および(9)からる群から選ばれる少な
    くとも一種の液晶性芳香族ポリイミドである請求項1記
    載の熱可塑性樹脂組成物。 (7)(9) 【化9】 で表される繰り返し構造単位を基本骨格として有する液
    晶性芳香族ポリイミド、(8) 上記式 (9) で表される
    繰り返し構造単位を基本骨格として有し、そのポリマー
    分子の末端が式(2) 【化10】 式中、Zは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
    縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員によ
    り相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群よ
    り選ばれた2価の基を表す)で表される芳香族ジカルボ
    ン酸無水物で封止されて得られる液晶性芳香族ポリイミ
    (9)上記式 (9) で表される繰り返し構造単位を基本
    骨格として有し、そのポリマー分子の末端が式(3) V−NH2 (3)(式中、Vは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
    縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員によ
    り相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群よ
    り選ばれた1価の基を表す)で表される芳香族モノアミ
    ンで封止されて得られる液晶性芳香族ポリイミド。
  3. 【請求項3】 液晶性芳香族ポリイミドが、次の(1
    0)、(11)および(12)からる群から選ばれる少
    なくとも一種の液晶性芳香族ポリイミドである請求項1
    記載の熱可塑性樹脂組成物。 (10) 式(9) 【化11】 で表される繰り返し構造単位を有する基本骨格1〜99
    モル% と式(1) 【化12】 (式中、R 1 〜R 5 は、水素、弗素、トリフルオロメチ
    ル、メチル、エチルまたはシアノ基であり、互いに同一
    でも異なっていてもよい、またRは炭素数2〜27であ
    り、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が
    直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式
    芳香族基からなる群より選ばれた4価の基を表す)で表
    される繰り返し構造単位 (ただし、式 (9) と同一の繰
    り返し構造単位を除く)を有する基本骨格99〜1モル
    % とを含んでなる液晶性芳香族ポリイミド共重合体、 (11) 上記の液晶性芳香族ポリイミド共重合体のポ
    リマー分子の末端が式(2) 【化13】 式中、Zは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
    縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員によ
    り相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群よ
    り選ばれた2価の基を表す)で表される芳香族ジカルボ
    ン酸無水物で封止されて得られる液晶性芳香族ポリイミ
    ド共重合体、 (12) 上記の液晶性芳香族ポリイミド共重合体のポ
    リマー分子の末端が式(3) V−NH2 (3)(式中、Vは炭素数6〜15であり、単環式芳香族基、
    縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員によ
    り相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群よ
    り選ばれた1価の基を表す)で表される芳香族モノアミ
    ンで封止されて得 られる液晶性芳香族ポリイミド共重合
    体である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
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