JP2013206786A - 絶縁被覆体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芳香族ポリスルホン(A)100質量部に対して、液晶高分子(B)を15質量部以上含む、芳香族ポリスルホン組成物を用いて得られた絶縁被覆層で、被覆対象物が被覆されてなることを特徴とする絶縁被覆体。
【選択図】なし
Description
高出力(高電圧、高電流)の用途においては、絶縁被覆体の絶縁被覆層に、ある程度の厚さが必要となるが、この場合絶縁被覆層は、これを形成するための絶縁組成物を用いて、キャスティング及び焼付けからなるプロセスで形成しようとすると、何回にも渡ってこれらプロセスを繰返し行う必要があり、工業的に行うことが困難となってしまう。そこで、熱可塑性樹脂を含む絶縁組成物を用いて、溶融押し出しやプレス加工によって絶縁被覆層を形成するのが好適である。
本発明は、芳香族ポリスルホン(A)100質量部に対して、液晶高分子(B)を15質量部以上含む、芳香族ポリスルホン組成物を用いて得られた絶縁被覆層で、被覆対象物が被覆されてなることを特徴とする絶縁被覆体を提供する。
本発明の絶縁被覆体においては、前記芳香族ポリスルホン組成物が、前記芳香族ポリスルホン(A)100質量部に対して、前記液晶高分子(B)を55質量部以下含むことが好ましい。
(1)−Ph1−SO2−Ph2−O−
(式中、Ph1及びPh2はそれぞれ独立にフェニレン基であり、前記フェニレン基の1個以上の水素原子は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。)
本発明の絶縁被覆体においては、前記液晶ポリエステルが、これを構成する全繰返し単位の合計量に対して、下記式(i)−1で表される繰返し単位を30モル%以上含むことが好ましい。
前記絶縁被覆層は、芳香族ポリスルホン組成物として、芳香族ポリスルホン(A)に対して、液晶高分子(B)を特定の比率以上含むものを用いたものから形成することで、単層でも優れた耐薬品性を示す。ここで、「耐薬品性」とは、絶縁被覆層が、残留応力が生じている場合も含めて応力が加えられた状態で、極性有機溶媒等の薬品と接触しても、クラックの発生が抑制される(耐ストレスクラック性が高い)ことを意味する。また、前記絶縁被覆層は、芳香族ポリスルホン(A)を用いているので、熱可塑性に加え、十分な耐熱性、難燃性、耐環境性(耐湿性)及び絶縁性を有している。したがって、本発明に係る絶縁被覆体は、高出力(高電圧、高電流)の各種電気機器に組み込まれる導体部品やコイル等への適用に好適である。
芳香族ポリスルホン(A)は、後述する絶縁被覆層が耐熱性、難燃性及び耐薬品性に特に優れ、さらに機械強度が高く、ガスの発生量が抑制される点から、下記一般式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ということがある。)を有することが好ましく、さらに、下記一般式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ということがある。)や、下記一般式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ということがある。)等の他の繰返し単位を1種以上有していてもよい。
(式中、Ph1及びPh2はそれぞれ独立にフェニレン基であり、前記フェニレン基の1個以上の水素原子は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。)
(式中、Ph3及びPh4はそれぞれ独立にフェニレン基であり、前記フェニレン基の1個以上の水素原子は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。Rはアルキリデン基、酸素原子又は硫黄原子である。)
(式中、Ph5はフェニレン基であり、前記フェニレン基の1個以上の水素原子は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。nは1〜3の整数であり、nが2以上である場合、複数存在するPh5は、互いに同一でも異なっていてもよい。)
前記フェニレン基の水素原子を置換していてもよいアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基及びn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、1〜10であることが好ましい。
前記フェニレン基の水素原子を置換していてもよいアリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、6〜20であることが好ましい。
前記フェニレン基の水素原子を置換していてもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
前記フェニレン基の水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、前記フェニレン基毎に、それぞれ独立に好ましくは2個以下、より好ましくは1個であり、2個である場合、これら置換基は互いに同一であっても異なっていてもよい。
例えば、繰返し単位(1)を有する芳香族ポリスルホン(A)は、前記ジハロゲノスルホン化合物として、下記一般式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」ということがある。)を用い、前記ジヒドロキシ化合物として下記一般式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」ということがある。)を用いることにより、製造することができる。
また、繰返し単位(1)と繰返し単位(2)とを有する芳香族ポリスルホン(A)は、前記ジハロゲノスルホン化合物として化合物(4)を用い、前記ジヒドロキシ化合物として下記一般式(6)で表される化合物(以下、「化合物(6)」ということがある。)を用いることにより、製造することができる。
また、繰返し単位(1)と繰返し単位(3)とを有する芳香族ポリスルホン(A)は、前記ジハロゲノスルホン化合物として化合物(4)を用い、前記ジヒドロキシ化合物として下記一般式(7)で表される化合物(以下、「化合物(7)」ということがある。)を用いることにより、製造することができる。
(式中、X1及びX2は、それぞれ独立にハロゲン原子である。Ph1及びPh2は、前記と同義である。)
(式中、Ph1及びPh2は、前記と同義である。)
(式中、Ph3、Ph4及びRは、前記と同義である。)
(式中、Ph5及びnは、前記と同義である。)
炭酸アルカリとしては、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムが好ましく、重炭酸アルカリとしては、重炭酸ナトリウムや重炭酸カリウムが好ましい。
本発明において、塩基性化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明において、重合溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ジハロゲノスルホン化合物としては、ハロゲン原子が、それに対しパラ位に結合したスルホニル基を有するものが好ましい。
ただし、本発明においては、芳香族ポリスルホン(A2)を用いなくても、芳香族ポリスルホン組成物の分散性に問題が生じることはない。
例えば、芳香族ポリスルホン(A1)の市販品の例としては、住友化学社製のポリエーテルスルホン「スミカエクセル3600P」、「スミカエクセル4100P」、「スミカエクセル4800P」、「スミカエクセル5200P」が挙げられる。
また、芳香族ポリスルホン(A2)の市販品の例としては、住友化学社製のポリエーテルスルホン「スミカエクセル5003P」が挙げられる。
前記液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示す液晶ポリエステルであり、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。なお、液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミドであってもよいし、液晶ポリエステルエーテルであってもよいし、液晶ポリエステルカーボネートであってもよいし、液晶ポリエステルイミドであってもよい。液晶ポリエステルは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
(I)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合(重縮合)させてなるもの、
(II)複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの、
(III)芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合させてなるもの、
(IV)ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと、芳香族ヒドロキシカルボン酸と、を重合させてなるもの
が挙げられる。ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンは、それぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重合可能な誘導体が用いられてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシル基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
(ii)−CO−Ar2−CO−
(iii)−X−Ar3−Y−
(式中、Ar1は、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基であり;Ar2及びAr3は、それぞれ独立にフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記一般式(iv)で表される基であり;X及びYは、それぞれ独立に酸素原子又はイミノ基であり;前記Ar1、Ar2及びAr3中の1個以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(iv)−Ar4−Z−Ar5−
(式中、Ar4及びAr5は、それぞれ独立にフェニレン基又はナフチレン基であり;Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基である。)
前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基及びn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、1〜10であることが好ましい。
前記アリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、6〜20であることが好ましい。
前記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar1、Ar2又はAr3で表される前記基毎に、それぞれ独立に2個以下であることが好ましく、1個であることがより好ましい。
繰返し単位(ii)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10〜35モル%、さらに好ましくは15〜30モル%、特に好ましくは17.5〜27.5モル%である。
繰返し単位(iii)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10〜35モル%、さらに好ましくは15〜30モル%、特に好ましくは17.5〜27.5モル%である。
繰返し単位(i)の含有量が多いほど、液晶ポリエステルの溶融流動性、耐熱性、強度・剛性が向上し易いが、あまり多いと、溶融温度や溶融粘度が高くなり易く、成形に必要な温度が高くなり易い。
また、芳香族ポリスルホン組成物は、液晶高分子(B)を芳香族ポリスルホン(A)100質量部に対して、70質量部以下含むことが好ましく、55質量部以下含むことがより好ましく、50質量部以下含むことがさらに好ましい。液晶高分子(B)をこのように含むことにより、芳香族ポリスルホン組成物を用いて得られた絶縁被覆層は、剛性が高くなり過ぎず、加工性が向上する。
繊維状有機充填材の例としては、ポリエステル繊維、アラミド繊維が挙げられる。
板状無機充填材の例としては、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、ガラスフレーク、硫酸バリウム、炭酸カルシウムが挙げられる。マイカは、白雲母、金雲母、フッ素金雲母及び四ケイ素雲母のいずれであってもよい。
粒状充填材の例としては、ガラスビーズ、ガラス粉、中空ガラス、カオリン、クレー、バーミキュライト;ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、長石粉、酸性白土、ろう石クレー、セリサイト、シリマナイト、ベントナイト、スレート粉、シラン等のケイ酸塩;炭酸カルシウム、胡粉、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩;バライト粉、ブランフィックス、沈降性硫酸カルシウム、焼石膏、硫酸バリウム等の硫酸塩;水和アルミナ等の水酸化物;アルミナ、酸化アンチモン、マグネシア、酸化チタン、亜鉛華、シリカ、珪砂、石英、ホワイトカーボン、珪藻土等の酸化物;二硫化モリブデン等の硫化物;窒化ホウ素等の窒化物;炭化ケイ素等の炭化物;金属粉粒体;フッ素樹脂等の有機高分子;臭素化ジフェニルエーテル等の有機低分子量結晶等の材質からなるものが挙げられ、球形フィラーや、アスペクト比が小さい粉粒体も含まれる。
溶融混練は、一軸又は二軸の押出機、各種ニーダー等の通常使用される混練装置により行うことができる。なかでも、押出機を用いるのが好ましく、このような押出機としては、シリンダーと、シリンダー内に配置された1本以上のスクリュウと、シリンダーの1箇所以上に設けられた供給口とを備えたものが好ましく、さらにシリンダーの1箇所以上にベント部を備えたものがより好ましく、二軸の高混練押出機が特に好ましい。このような押出機を用いて配合成分を溶融混練し、押出されるストランドを連続的に切断することで、ペレット状の芳香族ポリスルホン組成物が得られる。
また、芳香族ポリスルホン(A)として、芳香族ポリスルホン(A1)及び(A2)を併用する場合には、例えば、あらかじめ芳香族ポリスルホン(A1)に芳香族ポリスルホン(A2)及び液晶高分子(B)を添加して混合した後に、得られた混合物を混練装置に投入して、溶融混練する方法、混練装置に芳香族ポリスルホン(A1)を投入してこれを溶融させたところに、芳香族ポリスルホン(A2)及び液晶高分子(B)を投入して混練する方法、混練装置に芳香族ポリスルホン(A2)を投入してこれを溶融させたところに、芳香族ポリスルホン(A1)及び液晶高分子(B)を投入して混練する方法、混練装置に液晶高分子(B)を投入してこれを溶融させたところに、芳香族ポリスルホン(A1)及び(A2)を投入して混練する方法、混練装置に芳香族ポリスルホン(A1)及び(A2)をはじめに投入し、その後に液晶高分子(B)を投入して混練する方法が挙げられる。
被覆対象物を絶縁被覆層で被覆する方法としては、例えば、芳香族ポリスルホン組成物を用いてあらかじめ成形済みの絶縁被覆層で被覆対象物を被覆する方法(以下、「被覆方法1」という。)、芳香族ポリスルホン組成物で被覆対象物を被覆した後、芳香族ポリスルホン組成物から絶縁被覆層を形成する方法(以下、「被覆方法2」という。)が挙げられる。
芳香族ポリスルホン(A)1gをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させて、その容量を1dLとすることで、濃度が1%(w/v)の溶液(以下、「PES溶液」という。)を調製し、このPES溶液を用いて、オストワルド粘度計により、25℃の環境で還元粘度を測定した。還元粘度は、次式により求めた。
還元粘度=PES溶液の滴下時間/DMFの滴下時間−1.00
所定量の芳香族ポリスルホン(A)をジメチルホルムアミドに溶解させ、過剰量のパラトルエンスルホン酸を加えた後、電位差滴定装置を用いて、0.05モル/Lのカリウムメトキシド/トルエン・メタノール溶液で滴定し、残存パラトルエンスルホン酸を中和した後、ヒドロキシル基を中和し、このヒドロキシル基の中和に要したカリウムメトキシドの量(モル数)から、ヒドロキシル基のモル数を求め、これを芳香族ポリスルホン(A)の前記所定量(g)で除することにより求めた。
フローテスター(島津製作所社製、CFT−500型)を用いて、液晶ポリエステル約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度を測定した。
[製造例1]
撹拌機、窒素ガス導入管、温度計、及び先端に受器を付したコンデンサーを備えた、容量が2000mLの重合槽に、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン620.3g(2.16モル)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン525.0g(2.10モル)、及び重合溶媒としてジフェニルスルホン784.0gを入れ、系内に窒素ガスを流通させながら180℃まで昇温した後、無水炭酸カリウム301.8gを加え、290℃まで徐々に昇温し、290℃で2時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、固化した反応マスを、細かく粉砕した後、温水により洗浄して塩化カリウムを除去した。さらに、アセトンとメタノールの混合溶媒での洗浄を数回行い、重合溶媒であるジフェニルスルホンを除去し、次いで水で洗浄した後、150℃で加熱乾燥を行い、粉末状の芳香族ポリスルホン(A1)として、芳香族ポリスルホン(A1)−1を得た。芳香族ポリスルホン(A1)の中心粒径は500μmであり、還元粘度は0.48dl/gであった。また、末端フェノール性ヒドロキシル基類の含有量は、検出限界値未満であった。
[製造例2]
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸994.5g(7.2モル)、テレフタル酸299.0g(1.8モル)、イソフタル酸99.7g(0.6モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル446.9g(2.4モル)、無水酢酸1347.6g(13.2モル)、及び1−メチルイミダゾール0.194gを仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら30分かけて室温から145℃まで昇温し、145℃で1時間還流させた。
次いで、留出する副生成物の酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、2時間50分かけて145℃から320℃まで昇温し、320℃で1時間保持した後、反応器から内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を粉砕機で粉砕して、粉末状のプレポリマーを得た。このプレポリマーの流動開始温度は、261℃であった。
次いで、このプレポリマーを、窒素ガス雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から285℃まで5時間かけて昇温し、285℃で3時間保持することにより、固相重合させた後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステル(B)−1を得た。この液晶ポリエステル(B)−1の流動開始温度は、327℃であった。
[実施例1〜3、比較例1〜3]
(芳香族ポリスルホン組成物の製造)
表1に示す各成分を秤量し、表1に示す割合で配合した後、タンブラーミキサーを用いて25℃で30分ブレンドした後、二軸押出機(池貝鉄工株式会社製「PCM−30」)を用いて、このブレンド物をシリンダー温度340℃で造粒し、芳香族ポリスルホン組成物のペレットを得た。
なお、表1中、「−」はその成分が未配合であることを意味する。また、表1中の「芳香族ポリスルホン(A2)−1」とは、芳香族ポリスルホン(A2)であり、住友化学社製ポリエーテルスルホン「スミカエクセル5003PS」(末端フェノール性ヒドロキシル基類を8.6×10−5モル/g有し、還元粘度が0.51dl/gであるもの)を用いた。
得られた芳香族ポリスルホン組成物のペレットを120℃で3時間乾燥後、射出成形機(日精樹脂工業社製「UH−1000型」)を用い、シリンダー温度360℃、金型温度150℃でペレットを射出成形して、125mm×13mm×1.6mmの成形体(絶縁被覆層)を作製した。そして、125mm×13mmの大きさに切り出した厚さ1mmのアルミ板を250℃に加熱し、その表面に、作製した前記成形体の表面を、向きを揃えて重ねて圧着させることで、絶縁被覆体を製造した。
(耐薬品性)
得られた絶縁被覆体を、アルミ板が下側となるようにスパン間100mmの治具に装着し、絶縁被覆体の下側から上側に向けて、中央部を20mm変位させ、R=72.5mmの変形を絶縁被覆体に与えて、メチルエチルケトン(MEK)を絶縁被覆層の全面に塗布し、絶縁被覆層の変化を目視観察して、耐薬品性を評価した。結果を表1に示す。なお、表1中の略号は、それぞれ以下のことを意味する。
R1S:MEK塗布後、1秒で絶縁被覆層が割れた。
R3S:MEK塗布後、3秒で絶縁被覆層が割れた。
CL20:MEK塗布後、20分で絶縁被覆層に僅かにクレージングが発生した。
これに対して、比較例1〜3の絶縁被覆体では、絶縁被覆層に直ちに割れが発生し、絶縁被覆層は耐薬品性に劣っていた。
Claims (6)
- 芳香族ポリスルホン(A)100質量部に対して、液晶高分子(B)を15質量部以上含む、芳香族ポリスルホン組成物を用いて得られた絶縁被覆層で、被覆対象物が被覆されてなることを特徴とする絶縁被覆体。
- 前記芳香族ポリスルホン組成物が、前記芳香族ポリスルホン(A)100質量部に対して、前記液晶高分子(B)を25質量部以上含むことを特徴とする請求項1に記載の絶縁被覆体。
- 前記芳香族ポリスルホン組成物が、前記芳香族ポリスルホン(A)100質量部に対して、前記液晶高分子(B)を55質量部以下含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の絶縁被覆体。
- 前記芳香族ポリスルホン(A)が、下記一般式(1)で表される繰返し単位を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の絶縁被覆体。
(1)−Ph1−SO2−Ph2−O−
(式中、Ph1及びPh2はそれぞれ独立にフェニレン基であり、前記フェニレン基の1個以上の水素原子は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。) - 前記液晶高分子(B)が液晶ポリエステルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の絶縁被覆体。
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