JPH08324066A - クリーニングシート、記録装置の保守方法及び被記録材重畳体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 塗工紙を用いた被記録材を多量に記録しても
給紙不良を起こすことのない記録装置保守に使用するク
リーニングシート、これを用いた保守方法及び被記録材
重畳体を提供する。 【構成】 被記録材を給送する給送手段と他の被記録材
と接触して該被記録材から分離する分離手段とを有し、
被記録材を順次通紙して記録を行なう記録装置の前記給
送手段の保守用クリーニングシートにおいて、前記クリ
ーニングシートが支持体の少なくとも、上記給送手段が
接触する部分に相当する箇所に粘着力を有する層を設け
てなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、枚葉の塗工紙からなる
被記録材を用いて記録を行なう際の記録装置の保守に用
いるクリーニングシート、及びこれを用いた保守方法、
及びこれを用いた被記録材重畳体に関する。

【０００２】

【従来の技術】積載された枚葉の記録紙（被記録材積載
体）の、その記録面に接触し、記録部へ被記録材を給送
する手段と、上記給送に際し重送を防止する分離手段か
らなる、給紙方式をとる記録装置は、よく知られてい
る。図１は、このような記録装置の一例を示すもので、
本発明記録方法にも効果的に用いられるものである。

【０００３】図中、１は、給紙トレーで、この上に積載
された枚葉の被記録材２は、半円柱状の給紙ローラー３
（給送手段）が、本図において反時計周りに回転するこ
とにより、その記録面に、給紙ローラー３が接触して、
プラテン９上に搬送される。分離パッド４（分離手段）
は、上記の給送時に被記録材２の裏面に接触し２枚以上
の紙が重なって搬送された場合に、パッドと裏面との摩
擦力を利用して、これらを分離し、１枚の被記録材を搬
送ローラー５に送る。搬送ローラー５を介して記録部へ
送られた被記録材２は記録ヘッド６により記録され、排
紙ローラー７を介して、排紙トレー８上に積載される。

【０００４】図２は、分離手段として分離爪を設けた記
録装置である。図中、１は、給紙トレーで、この上に積
載された枚葉の被記録材２は、半円柱状の給紙ローラー
３（給送手段）が、反時計周りに回転することによっ
て、その記録面に、給紙ローラー３が接触する。ここ
で、分離爪１０により、被記録材が１枚だけ分離され、
プラテン９上に搬送される。この分離爪を用いる方式
は、よく知られており、分離爪１０は、被記録材積載体
の１角にかかるようになっており、紙の剛性を利用して
紙を１枚だけ分離する。

【０００５】一方、多色インクを用いて記録が行なわれ
る、特にフルカラーのインクジェット記録方式において
は、インクの発色性や、吸収性に優れ、鮮明な画像を提
供できることから、基材上に顔料を含む塗工層を設けた
塗工紙が被記録材として用いられてきた。従来、前述の
記録装置に、このような被記録材を用いた場合、多量に
通紙すると、給紙不良を発生する問題があった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、塗工
紙を用いた被記録材を多量に記録に使用しても、給紙不
良を発生しないように記録装置の保守に使用するクリー
ニングシート及びこれを用いた保守方法、及びこれを用
いた重畳体を提供することにある。

【０００７】

【課題を達成すための手段】前記の目的は下記の手段に
よって達成される。すなわち、本発明は、被記録材積載
体の一の被記録材の記録面に接触することにより前記一
の被記録材の給送する給送手段と、前記一の被記録材の
給送時に他の被記録材から一の被記録材を分離する分離
手段とを有し、被記録材を順次通紙して記録を行なう記
録装置の給送手段の保守用クリーニングシートにおい
て、前記クリーニングシートが支持体の少なくとも、上
記給送手段が接触する部分に相当する箇所に粘着力を有
する層を設けてなることを特徴とするクリーニングシー
トを提案するものであり、上記粘着力を有する層が、１
５０[g/ ２５mm] 以上８００[g/ ２５mm] 以下の粘着力
を有することを含む。また、本発明は上記クリーニング
シートを記録装置に通紙することを特徴とする記録装置
の保守方法を提案するものであり、さらに、上記記録装
置に用いる被記録材重畳体において、被記録材重畳体が
上記クリーニングシートを被記録材に重畳してなること
を特徴とする被記録材重畳体を提案するものである。

【０００８】以下、本発明を詳細に説明する。

【０００９】本発明者らは、塗工紙を用いた被記録材の
給紙不良が、塗工層より離脱した顔料が記録装置の上記
の給送、分離手段に付着し、給送、分離手段と被記録材
との摩擦力が低下すること、あるいは付着した顔料によ
り給送、分離手段が削られたり、また結着剤樹脂が給
送、分離手段に付着することなどにより給送、分離手段
と被記録材との摩擦力が増大することのいずれか、また
は、両者の組み合わせに起因して発生し、給紙不良に多
大な影響を与えることを知見した。即ち、図２におい
て、給紙トレー１に積載された複数の被記録材（被記録
材重畳体）２が給紙ローラー３によって順次プラテン９
上に搬送される。正常に一枚ごとに給紙が行なわれるた
めには、ローラー３と一の被記録材２の表面との摩擦力
をμ１、一の被記録材２の裏面と他の被記録材２の表面
との摩擦力をμ２とすれば、 μ１＞μ２ であることが必要である。すなわち、μ１≦μ２であれ
ば、給紙ローラー３による、被記録材２の給送が行なわ
れない。このように、摩擦力が変化すると、給紙不良が
発生するが、本発明者らは、記録時に特定の性状のクリ
ーニングシートを特定の周期で、通紙することが分離手
段の汚れの除去に特に効果的であり、特定の周期で、単
にクリーニングシートを通紙するだけで、前記給紙不良
の発生が防止できることを知見し、本発明を完成するに
至った。

【００１０】本発明に使用するクリーニングシートは、
被記録材の記録面に接触して被記録材を給送する給送手
段と他の被記録材２から該被記録材を分離する分離手段
とを有する記録装置の前記給送手段の保守用クリーニン
グシートであって、その１例を図３に示すように、支持
体２０上に、給送手段と接触する部分に相当する箇所の
支持体２０の表面上に粘着力を有する層２１を設ける。
粘着力を有する層２１は、給送手段と接触する部分だけ
でなく、図４のように、支持体２０のほぼ幅方向全体に
及ぶように設けてもよい。２２は、給送手段と接触する
部分である。粘着力を有する層２１は、少なくとも上記
給送手段が接触する部分に設ければよい。クリーニング
シートの形状は、特に限定されないが、被記録材２と同
じ形状が好ましい。

【００１１】支持体２０は、シート状のものであれば使
用できるが、例えば、厚さ５０μm〜２００μmの紙、
布、プラスチック、フィルム等が好ましい。粘着力を有
する層２１の材料は、従来公知のものが使用可能であ
る。より具体的には、天然ゴム、ブチルゴム等の合成ゴ
ム、アクリル酸エステル共重合体シリコーン樹脂、ビニ
ルエーテル共重合体、及びこれらの併用系粘着剤、ある
いは、エチレンー酢ビ共重合体、スチレンーブタジエン
共重合体、スチレンーイソプレン共重合体等の高分子粘
着剤等を挙げることができるが、これらに限定されるわ
けではない。粘着剤の成分としてロジン系、石油系、又
はテルペン系等の粘着性付与樹脂や、粘着調整剤、接着
改良剤の他、老化防止剤、安定剤、着色剤等の各種添加
剤を必要に応じて添加することも可能である。上記粘着
剤を用いて前記支持体２０上に塗布、含浸等の方法によ
り粘着力を有する層を形成することができる。

【００１２】粘着剤の塗布量としては、０．５〜５０g/
m2の範囲が好適である。粘着力は、例えば、用いる粘着
剤の分子量、粘着剤の塗布量等で調節する。

【００１３】粘着力を有する層は、粘着力が、１５０〜
８００[g/25mm]の範囲であることが好ましい。より好ま
しくは、２５０〜６５０[g/25mm]の範囲である。１５０
[g/25mm]より小さいと、粘着力が弱く、クリーニングシ
ートとして使用しても効果的でない。８００[g/25mm]よ
り大きいと、給送手段に貼り付き、正常に通紙できな
い。

【００１４】粘着力は、ステンレス板（SUS304 ＃２８
０研磨面）にポリエステルフィルム（２５μm ）を介
し、２kgローラーで１往復圧着し、２０分放置後、３０
０mm／分で、１８０度剥離接着力を測定する。

【００１５】粘着力を有する層として、両面テープを使
用してもよい。特に、上記給送手段が接触する部分のみ
に粘着力を有する層を設ける場合に適している。通常の
両面テープは、粘着力が８００[g/25mm]より大きいた
め、クリーニングシートには使用できないので、粘着力
が上記の範囲に入るようなテープを用いることが必須で
ある。

【００１６】図５は、本発明の被記録材重畳体の１例で
あり、クリーニングシート４０と複数の被記録材４１と
の積重構造をなすものである。被記録材の積重枚数は特
に制限はなく、取り扱い等を考慮して決定されるもので
あり、被記録材２０〜５００枚に対してクリーニングシ
ート１枚の割合で積重したものが好ましいことが実験結
果として確認された。

【００１７】クリーニングシートは、必ずしも図５で示
すように被記録材の最上部に積重する必要はなく、前記
の割合で適宜被記録材間に介在させてもよい。クリーニ
ングシート、及び被記録材の重畳方向は、被記録材の記
録面（後述）、及びクリーニングシートの粘着力を有す
る層（前述）の方向を揃えて、つまり、記録面が上側に
なるように積重する場合には粘着力を有する層も上側に
なるように積重する。

【００１８】次に、本発明に用いられる被記録材につい
て説明する。

【００１９】被記録材は、複写機用の普通紙で良いし、
表面に塗工層を設けたコート紙でも良いが、本発明のク
リーニングシートは、コート紙を使用した場合に特に効
果的である。

【００２０】図６は、塗工層を設けた被記録材の一例を
示すものである。基材５０は、通常、紙、又はプラスチ
ックフィルムである。基材５０の記録面には、塗工層５
１が設けられており、インキ中の染料の吸着性に優れ
た、多孔性の無機顔料及び結着剤としての樹脂を主体と
して構成されるもので、この被記録材は公知のものであ
る。また、さらに基材５０の裏面側には、必要に応じ
て、カール等を防止するためのバックコート層を設けて
もよい。このような塗工紙の記録面の平滑度は、記録面
における光の散乱を少なくするため、通常、ベック平滑
度が５０秒以上に、調整される。

【００２１】

【実施例】以下に、実施例を用いて、本発明を更に詳し
く説明する。

【００２２】（実施例１）被記録材として、坪量１００
g/m2、ステキヒトサイズ度２５秒の基紙上に微粉シリカ
２. ５部（サイリシア７４０ 富士シリシア製平均粒
径５μm ）、及びポリビニルアルコール １部（PVA ー
１１７ クラレ製）を主体として成る塗工層を２０g/m2
の塗工量で常法により設け、スーパーカレンダー処理し
たものを用いた。被記録材表面のベック平滑度は、１９
７秒であった。上記被記録材（厚さ１１２μm 、寸法２
１０mm×２９７mm）と、図１の記録装置を用いて記録を
行なった。

【００２３】また、クリーニングシートの支持体として
ポリエチレンテレフタレートフィルム（厚さ１００μm
、寸法２１０×２９７mm）を用い、これに、住友３Ｍ
（株）製 スコッチ印フィルム基材両面粘着テープ＃４
５９１ＨＭ（粘着力：片面１２００[g/25mm]／反対面３
８０[g/25mm]）の粘着力の高いほうを図３のように貼り
付け、剥離紙をはがしてクリーニングシートとした。こ
のクリーニングシートを被記録材２００枚ごとに１枚通
紙したところ、３万枚の記録を行なっても通紙不良は発
生しなかった。

【００２４】一方、クリーニングシートを用いない記録
を行なったところ、給送不良を多発し、４０００枚まで
記録したところ、給紙が不能となった。

【００２５】（実施例２）実施例１の両面テープをニチ
バン（株）製 両面粘着テープ８２２（粘着力９８０[g
/25mm]／３６０[g/25mm]）に変え、実施例１と同様に被
記録材と、クリーニングシートを通紙したところ、３万
枚の記録を行なっても通紙不良は発生しなかった。

【００２６】（比較例１）実施例１の両面テープを住友
３Ｍ（株）製 スコッチ印フィルム基材両面粘着テープ
＃４５９１ＨＨ（粘着力両面共１２００[g/25mm]）に変
えた以外は、実施例１と同様にクリーニングシートを作
成した。実施例１と同様に被記録材を２００枚記録した
後、クリーニングシートを通紙したところ、給送手段と
クリーニングシートが貼り付き、通紙出来なかった。

【００２７】（比較例２）両面テープをスコッチ印フィ
ルム基材両面粘着テープ＃４５９１ＨＬ（粘着力：１１
００[g/25mm]／８０[g/25mm]）に変えた以外は、実施例
１と同様にクリーニングシートを作成した。実施例１と
同様に被記録材と、クリーニングシートを通紙したとこ
ろ、１万２千枚で給紙不良となった。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように本発明のクリーニン
グシートを、記録時に被記録材に対して、所定の割り合
いでクリーニングシートを通紙することにより、被記録
材の給紙不良を確実に防止する。この保守方法は単にク
リーニングシートを通紙するだけであるから極めて簡単
なものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施に使用する記録装置の一例を示す
側面概念図である。

【図２】図１に示す記録装置の上面図である。

【図３】本発明のクリーニングシートの一実施例を示す
上面図である。

【図４】本発明のクリーニングシートの他の実施例を示
す上面図である。

【図５】本発明の被記録材重畳体の一実施例を示す側面
図である。

【図６】本発明で使用する被記録材の一例を示す断面図
である。

【符号の説明】

１ 給紙トレー ２ 被記録材 ３ 給紙ローラー ４ 分離パッド ５ 搬送ローラー ６ インク記録ヘッド ７ 搬送ローラー ８ 排紙トレー ９ プラテン １０ 分離爪 ２０ 支持体 ２１ 粘着力を有する層 ２２ 給送手段と接触する部分 ４０ クリーニングシート ４１ 被記録材 ５０ 基材 ５１ 塗工層

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被記録材積載体の一の被記録材の記録面
   に接触することにより前記一の被記録材を給送する給送
   手段と、他の被記録材から前記一の被記録材を分離する
   分離手段とを有し、該被記録材を順次通紙して記録を行
   なう記録装置の前記給送手段の保守用クリーニングシー
   トにおいて、前記クリーニングシートが支持体の少なく
   とも、上記給送手段が接触する部分に相当する箇所に粘
   着力を有する層を設けてなることを特徴とするクリーニ
   ングシート。
2. 【請求項２】 該粘着力を有する層が、１５０[g/ ２５
   mm] 以上８００[g/２５mm] 以下の粘着力を有する請求
   項１に記載のクリーニングシート。
3. 【請求項３】 請求項１に記載のクリーニングシートを
   記録装置に通紙することを特徴とする記録装置の保守方
   法。
4. 【請求項４】 被記録材を順次通紙して記録を行なう記
   録装置に用いる被記録材重畳体において、被記録材重畳
   体が請求項１に記載のクリーニングシートを被記録材に
   重畳してなることを特徴とする被記録材重畳体。