JPH079756A

JPH079756A - 記録用シート

Info

Publication number: JPH079756A
Application number: JP5173677A
Authority: JP
Inventors: Masafumi Hayashi; 雅史林; Daigo Morizumi; 大悟森住; Kenichiro Sudo; 健一郎須藤
Original assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd
Current assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date: 1993-06-22
Filing date: 1993-06-22
Publication date: 1995-01-13

Abstract

(57)【要約】【目的】インク乾燥性に優れ、インクの吸着力の適度
でありドット再現性に優れ印字画像が鮮明な記録用シー
トを提供する。【構成】基材シートの少なくとも一方の面に設けた１
層構造あるいは多層構造を有するインク受容層のうち、
少なくとも１層をポリアクリル酸で形成された層で構成
し、このポリアクリル酸層により、インク受容層上に付
着したインクを適度な吸着力で吸着し、十分な乾燥速度
とドット再現性を兼ね備えたものとする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は記録用シートに係り、特
にインクジェットプリンターによる良好な記録が可能な
記録用シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、コンピューターやワードプロセッ
サーの出力プリントとして、ワイアードット記録方式、
感熱発色記録方式、感熱溶融転写記録方式、感熱昇華転
写記録方式、電子写真記録方式、インクジェット記録方
式等の種々の方式が開発されている。この中で、インク
ジェット記録方式は、記録用シートとして普通紙を使用
できること、プリントコストが安いこと、装置がコンパ
クトで騒音がなく、高速記録が可能である等の特徴があ
る。このため、コンピューター等によって作成した文
字、図形等の画像情報を迅速かつ正確にアウトプットす
るプリンターとしての利用が注目されている。また、カ
ラー化が容易で、絵柄が鮮明であることから、コンピュ
ーターで作成した画像情報をインクジェットプリンター
により透明な記録シートに記録し、これをＯＨＰ（オー
バーヘッドプロジェクタ）等の原稿として、会議、各種
学会発表等において利用する要求も高まっている。

【０００３】通常、インクジェットプリンターは、記録
用インクを微細な圧電素子（ピエゾ素子）の圧力、ある
いはサーマルヘッドに加熱によって発生するエアーの圧
力（バブルジェット）によってノズルから噴出し、記録
用シートに付着させることにより記録を行う。このた
め、インクジェット記録に使用される記録用インクとし
ては、ノズルにおけるインクの乾燥による粘度上昇に起
因するインクの噴出不良を防止するために、乾燥し難い
インクが用いられている。通常、このインク成分は、染
料、樹脂、添加剤等を水およびアルコールに溶解したも
のが一般的である。

【０００４】したがって、インクジェットプリンターで
記録を行う記録用シートは、付着したインクの水分を吸
収し、インクを乾燥固化させることが要求される。この
ため、樹脂フィルム上にインク受容層を形成してインク
吸収性を高めた記録用シートが使用されている。

【０００５】特に、ＯＨＰシートとして使用される記録
用シートのインク受容層には次のような特性が要求され
る。

【０００６】インクの受容性、吸収乾燥性、定着性が
よいこと。

【０００７】透明性が高いこと。

【０００８】積層状態で保存しても、ブロッキングを
生じないこと。

【０００９】インクドットの過剰の広がりおよび滲み
が少ないこと。

【００１０】インクの発色が鮮明で、変色しないこ
と。

【００１１】粘着があったり、指紋跡等の付着がない
こと。

【００１２】このような観点から、従来の記録用シート
として、基材シートの上に形成する受容層を、水溶性高
分子にインクの水分を吸収し乾燥を容易にするためのシ
リカ等の充填剤を含有したインク受容層としたものが提
案されている（特開昭５６−９９６９２号、特開平２−
２７６６７０号）。

【００１３】また、インクの発色濃度が高いインク受容
層として、ポリスチレンビーズまたはその共重合体ビー
ズ、あるいは、ポリスチレンまたはその共重合体の中空
ビーズをフィラーとして含有したインク受容層を備えた
インクジェット記録用シートが提案されている（特開平
４−２３５０８６号）。

【００１４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シリカ
等の充填剤を含有したインク受容層を備える記録用シー
トは、インク乾燥性に優れるものの、充填剤の含有率が
高いと、インク吸着力が強すぎるため、適度のドットの
広がりが得られず、線の細い画線となってしまい、要求
される画像が得られない。更に、ＯＨＰシートの場合、
透明性が損なわれるという欠点を生じる。逆に、充填剤
の含有率が低いと、十分な乾燥性が得られず、ブロッキ
ングや画像の乱れが生じるという問題があった。更に、
充填剤等の添加により、記録用シートの表面に微細な亀
裂が生じ、画像の鮮明さに欠けたり、インク受容層の柔
軟性が損なわれるという問題もあった。

【００１５】一方、ポリマービーズをフィラーとしてイ
ンク受容層に含有させた記録用シートでは、ビーズ自体
にインク吸収性がないため、十分な乾燥速度が得られな
いという不都合があった。

【００１６】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、インク乾燥性に優れ、インクの吸着力が
適度であり、ドット再現性に優れ印字画像が鮮明な記録
用シートを提供することを目的とする。

【００１７】

【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明は基材シートと、該基材シートの少な
くとも一方の面に設けられたインク受容層とを備え、該
インク受容層は１層構造あるいは多層構造を有するとと
もに、前記インク受容層を構成する層の少なくとも１層
はポリアクリル酸で形成されたものであるような構成と
した。

【００１８】

【作用】基材シートの少なくとも一方の面に設けられた
１層構造あるいは多層構造を有するインク受容層のう
ち、少なくとも１層はポリアクリル酸で形成された層で
構成され、このポリアクリル酸層により、インク受容層
上に付着したインクが適度の吸着力で吸着されるのでド
ット再現性に優れ、また同時に上記吸着力は十分な乾燥
速度を可能とする。

【００１９】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。

【００２０】図１は本発明の記録用シートの概略断面図
である。図１において、熱転写受像シート１は基材シー
ト２と、基材シート２の一方の面に形成されたインク受
容層３とを備えている。

【００２１】基材シート２は、記録用シート１がＯＨＰ
用シートとして使用される場合には、透明性、耐熱性、
寸法安定性、剛性を備えた熱可塑性プラスチックにより
形成されたものが好ましい。具体的には、ポリエステル
樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化
ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、
ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレン樹脂、ジアセ
テート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリイミド樹脂等の
厚さ５〜２５０μｍ程度、好ましくは５０〜１８０μｍ
程度のフィルム状あるいは板状のものが挙げられる。

【００２２】これらの基材シート２は、その表面に形成
するインク受容層３との密着力が不十分な場合には、そ
の表面にプライマー処理やコロナ放電処理を施すことが
好ましい。更に、インク受容層３を形成しない基材シー
ト裏面にカール防止層を設けてもよい。

【００２３】また、記録用シート１の用途がＯＨＰ用に
限定されない場合は、基材シートとしてポリスチレン系
等の合成紙、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコ
ート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂含浸紙、エマルジョ
ン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添
紙、板紙等の着色または白色の各種紙を使用することも
できる。

【００２４】インク受容層３は、吸水性ポリマーである
ポリアクリル酸から形成される。インク受容層３を構成
するポリアクリル酸は、分子量が１０，０００乃至１，
０００，０００の範囲であることが好ましい。ポリアク
リル酸の分子量が１０，０００未満であると、成膜性が
低くなり高温高湿下でのインク受容層３のブロッキング
が発生し易くなる。また、ポリアクリル酸の分子量が
１，０００，０００を超えると、インク受容層用の塗工
液中のポリアクリル酸の含有量を低くしても、塗工液の
粘度が高くなって加工性が低下し、平滑なインク受容層
が形成できなくなる。

【００２５】上記のポリアクリル酸からなるインク受容
層３は、通常、グラビアコート、ロールコート、ナイフ
コート、カーテンコート等のコーティング方式により、
１層あるいは多層に形成することができる。

【００２６】このようなインク受容層３の厚さは１〜５
０μｍ程度が好ましい。また、インク受容層３には無機
フィラーとして、例えばシリカ、炭酸カルシウム、硫酸
バリウム、二酸化チタン、マイカ、タルク、アルミナ、
酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等を０．１〜１０
重量％の割合で含有させることができる。

【００２７】上述の例では、インク受容層３は、ポリア
クリル酸からなる層の１層構造でああるが、本発明の記
録用シートはこれに限定されるものではない。例えば、
図２に示されるように、記録用シート１１を、基材シー
ト１２と、この基材シート１２上に多層構造（図示例で
は２層構造）のインク受容層１３を備えたものとしても
よい。この場合、インク受容層１３を構成する各層１３
ａ，１３ｂは、それぞれポリアクリル酸の分子量が異な
るものであってもよく、また、一方がポリアクリル酸か
らなる層であり、他方がポリアクリル酸を含有しない層
としてもよい。この場合、ポリアクリル酸を含有しない
層としては、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、
ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、セルロ
ース（ＨＥＣ、ＣＭＣ、ＨＰＣ、酢酸セルロース）、ゼ
ラチン、デンプン、ポリアミド、ポリエチレンイミン、
ポリアミン、ポリエチレンオキサイド、キチン、キトサ
ン等からなる層を設けることができる。さらに、シリカ
等を含有してもよい。このような層は、基材シートに対
してポリアクリル酸からなる層よりも上の位置（図示例
では１３ｂの位置）に設けることが好ましい。

【００２８】さらに、インク受容層３に帯電防止剤を添
加してもよい。使用する帯電防止剤は、公知の帯電防止
剤、例えば第４級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等
のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のア
ニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯
電防止剤等が挙げられる。

【００２９】次に、実験例を示して本発明を更に詳細に
説明する。（実験例）基材シートとして、コート紙（神崎製紙
（株）製ニュートップ−Ｎ、坪量６８ｇ／ｍ² 、厚さ
７０μｍ）を準備した。

【００３０】次に、この基材シートの表面に下記の組成
のインク受容層用塗工液Ａをロールコーターにより塗布
し、８０℃、５分間乾燥してインク受容層（厚さ＝１５
μｍ（乾燥時））を形成して、記録用シート（試料１）
を得た。

【００３１】（インク受容層用塗工液Ａの組成）・ポリアクリル酸（日本純薬（株）製 AC-10SH 、分子量=200,000） … ３０重量部・水 … ７０重量部また、基材シートとして、上質紙（王子製紙（株）製
フェニックス、坪量６４ｇ／ｍ² 、厚さ６０μｍ）を準
備した。

【００３２】次に、この基材シートの表面に下記の組成
のインク受容層用塗工液Ｂをロールコーターにより塗布
し、８０℃、５分間乾燥してインク受容層（厚さ＝２０
μｍ（乾燥時））を形成して、記録用シート（試料２）
を得た。

【００３３】（インク受容層用塗工液Ｂの組成）・ポリアクリル酸（日本純薬（株）製 AC-10H、分子量=40,000 ） … ３０重量部・水 … ７０重量部・シリカ（平均粒径＝２．５μｍ） … １重量部さらに、基材シートとして、ＯＨＰ用シート（東レ
（株）製ルミラーＴ−６０、厚さ７５μｍ）を準備
し、この基材シートの表面に、上記のインク受容層用塗
工液Ａをロールコーターにより塗布、乾燥して、インク
受容層の第１層目（厚さ＝１５μｍ（乾燥時））を形成
した。そして、この第１層上に、下記の組成のインク受
容層用塗工液Ｃをロールコーターにより塗布し、８０
℃、２分間乾燥してインク受容層の第２層目（厚さ＝２
μｍ（乾燥時））を形成して、記録用シート（試料３）
を得た。

【００３４】（インク受容層用塗工液Ｃの組成）・ポリアクリル酸（日本触媒（株）製 AQ-3930 、分子量=700,000） … ２０重量部・水 … ８０重量部・シリカ（平均粒径＝１２μｍ） …０．２重量部比較として、インク受容層用塗工液Ａの代わりに、下記
の組成のインク受容層用塗工液Ｄを使用した他は、試料
１と同様にして記録用シート（比較試料１）を作成し
た。

【００３５】（インク受容層用塗工液Ｄの組成）・ポリアクリル酸（日本純薬（株）製 AC-10L、分子量=2,000） … ３０重量部・水 … ７０重量部さらに、インク受容層用塗工液Ａの代わりに、下記の組
成のインク受容層用塗工液Ｅを使用した他は、試料１と
同様にして記録用シート（比較試料２）を作成した。

【００３６】（インク受容層用塗工液Ｅの組成）・ポリビニルアルコール（クラレ（株）製２０５、けん化度８８％、平均重合度５００） … ２０重量部・水 … ８０重量部また、インク受容層用塗工液Ａの代わりに、下記の組成
のインク受容層用塗工液Ｆを使用した他は、試料１と同
様にして記録用シート（比較試料３）を作成した。

【００３７】（インク受容層用塗工液Ｆの組成）・ポリビニルピロリドン（ＢＡＳＦ（株）製 K-90、分子量=70,000 ） … ３０重量部・水 … ７０重量部・シリカ（平均粒径＝２μｍ） …１．５重量部上記のようにして作成した記録用シート（試料１〜３、
比較試料１〜３）について、ドット径の広がり、乾燥
性、画像品質を下記の条件で評価して下記の表１に示し
た。（ドット径の広がり）デスクライターＣ（ヒューレッド
パッカー社製）により印字を行い、１分後に１ドット
の径を測定し、比較試料３の径を１．０とした比較値で
示した。（乾燥性）デスクライターＣ（ヒューレッドパッカー
社製）により黒ベタを印字し、印字直後、１分後、２分
後、３分後、５分後、１０分後にそれぞれ印字上に紙を
載置して２０ｇ／cm² の荷重下での紙へのインク転移の
程度で示した。

【００３８】（評価基準：◎…転移なし、○…若干転移
あり、×…転移あり）（画像品質）デスクライターＣ（ヒューレッドパッカ
ー社製）により画像を印字し、目視で評価した。

【００３９】（評価基準：◎…鮮明で良好、○…良好、
△…画線の細り太りがややあり、×…画線の細り太りあ
り）

【００４０】

【表１】表１に示されるように、試料１〜３ではドット再現性が
よく画像品質に優れ、かつ十分な乾燥速度を示した。し
かし、比較試料１は、乾燥性が不十分であった。さら
に、比較試料２，３は、適度のドットの広がりが得られ
ず線の細い画線となってしまい、ドット再現性に劣り画
像品質が悪く、また乾燥性も不十分であった。

【００４１】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明によればイ
ンク受容層の少なくとも１層がポリアクリル酸で形成さ
れた層で構成され、これにより、インク受容層上に付着
したインクは適度の吸着力で吸着されるのでドット再現
性に優れ、また同時に十分な乾燥速度が得られ、鮮明な
印字画像が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の記録用シートの概略断面図である。

【図２】本発明の記録用シートの他の例の概略断面図で
ある。

【符号の説明】

１，１１…記録用シート２，１２…基材シート３，１３…インク受容層

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】基材シートと、該基材シートの少なくと
も一方の面に設けられたインク受容層とを備え、該イン
ク受容層は１層構造あるいは多層構造を有するととも
に、前記インク受容層を構成する層の少なくとも１層は
ポリアクリル酸で形成されたものであることを特徴とす
る記録用シート。
【請求項２】前記ポリアクリル酸は分子量が１０，０
００乃至１，０００，０００の範囲であることを特徴と
する請求項１記載の記録用シート。