JPH0832238B2 - ヒトインターロイキン2活性をもつポリペプチドの製造法 - Google Patents

ヒトインターロイキン2活性をもつポリペプチドの製造法

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JPH0832238B2
JPH0832238B2 JP1109058A JP10905889A JPH0832238B2 JP H0832238 B2 JPH0832238 B2 JP H0832238B2 JP 1109058 A JP1109058 A JP 1109058A JP 10905889 A JP10905889 A JP 10905889A JP H0832238 B2 JPH0832238 B2 JP H0832238B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ヒトインターロイキン2活性をもつポリペ
プチドの製造法に関する。
インターロイキン2(以下、「IL−2」と略記す
る。)は、以前はT細胞増殖因子と呼ばれており、レク
チンあるいは抗原で活性化されたT細胞より産生される
可溶性たんぱく(一般には「リンホカイン」として知ら
れている)である(Morganら,Science,193,1007〜1008
(1976),Gillisら,J.Immunol.,120,2027〜2033(197
8)).IL−2はリンパ球の反応性を調節でき、抗原特異
的なエフエクターT−リンパ球のin vitroにおける長期
培養を可能ならしめることができる(Gillisら,Nature,
268,154〜156(1977))。またIL−2は、胸腺細胞の分
裂の促進(Chenら,Cell Immunol.,22,221〜224(197
7),Shawら,J.Immunol.,120,1967〜1973(1978)),ヌ
ードマウスの脾細胞の培養系での細胞障害性Tリンパ球
活性(Wagnerら,Nature,284,278〜280,(1980))や抗
−SRBCプラーク形成細胞反応の誘導(Gillisら,J.Exp.M
ed.149,1960〜1968(1979))等の関連する他の生物活
性をもつことが明らかにされている。従って、このリン
パ球調節因子は液体免疫や細胞性免疫反応を増強したり
免疫不全状態を正常な液体や細胞性免疫の状態に回復さ
せるのに有用である。これらの明らかにされたIL−2の
免疫学的活性は、IL−2が悪性腫瘍,細菌またはウイル
ス感染,免疫不全,自己免疫疾患等(Papermasterら,Ad
v.Immunopharm.,507,(1980))に対する医科免疫療法
に有用であることを示している。インターフェロンと同
様に、IL−2はナチュラルキラー細胞活性を増強するこ
とが示されてきたが、これは悪性腫瘍治療への有用性を
強く示唆している。更に、IL−2は単クローン性の活性
化T細胞の保持を可能とし、この事は、T細胞分化の分
子機構,T細胞機能の分化機構,T細胞の抗原リセプターの
機構を研究する上で重要な役割を担っていることを示し
ている。また、IL−2は単クローン性T細胞を長期培養
することにより、他の種々の分野で有用な様々なT細胞
由来のリンホカインを製造するためにも使用できる。更
に、IL−2の産生とリンパ球のIL−2に対する応答性
は、免疫学的機能の重要なパラメーターであり、免疫異
常の臨床診断に有用である。
IL−2は従来の技術では、マイトジェンでマウス,ラ
ットあるいはヒトのリンパ球を刺激することにより製造
されてきた(Gillisら,Nature,268,154〜156,(197
7)),Farrarら,J.Immunol.,121,1353〜1360,(1978),
Gillisら,J.Immunol.,120,2027〜2033,(1978))。ヒ
トの末梢血リンパ球をマイトジェンで刺激することによ
り(Gillisら,J.Immunol.,124,1954〜1962,(198
0))、GillisらはTリンホーマ細胞株からのマウスIL
−2の製造(Gillisら,J.Immunol.,125,2570〜2578(19
80))とヒト白血病細胞株からのヒトIL−2の製造(Gi
llisら,J.Exp.Med.,152,1709〜1719,(1980))を報告
している。
Gillisらによる上記の技法は、細胞培養法を用いてマ
イトジェンで活性化されたT白血病細胞株からヒトIL−
2を製造する方法に関するものである。しかしながら、
この方法では低濃度のヒトIL−2しか産生されないのが
難点で、大量の培養液から微量のIL−2を得るために、
複雑な精製工程を必要とする。更に、ヒトT白血病細胞
株は少量のヒトIL−2に酷似した他の生理活性物質も産
生するので、IL−2をこれらの他の免疫活性を有する分
子と分離、あるいは時として共存する細胞毒物質(toxi
c lectin)と分離するにはかなりの困難が伴う。
IL−2を製造する他の方法として、インターフェロン
のような他の生理活性ヒト由来たんぱくを製造するため
に用いられた組換えDNA(デオキシリボ核酸の略)法(G
rayら,Nature 295,503〜508,(1981),Nagataら,Nature
284,316〜320(1980),Taniguchiら,Gene 10,11〜15,
(1980))が好ましいと思われる。しかしながら、本発
明の以前には組替えDNA法によってIL−2を製造する試
みは成功していなかった。例えば、組換えDNA体によっ
てIL−2を産生する生命体を作成しようとする試みは、
恐らくIL−2ポリペプチドをコードする遺伝子が未だク
ローン化されていなかったために成功していないという
事が、“日経バイオテクノロジー,第19号,1982年7月
5日”に報告されていた。
従って、IL−2をコードするクローン化遺伝子とその
遺伝子を持った組換えDNA体が渇望されてきた。また、
組換えDNA体を有する生細胞株と、その細胞株を使ってI
L−2を製造する方法が渇望されてきた。
本発明の要旨は以下の記述から更に容易に明白とな
る。本発明の目的はIL−2活性を有するポリペプチドの
製造法を創出したことにある。
すなわち、本発明は原核細胞に適合しうるプラスミド
ベクターのDNA鎖の上流より、それぞれ原核細胞内で機
能するプロモーター,リボゾーム結合部位,翻訳開始コ
ドンおよび式 で示されるアミノ酸配列を含むヒトインターロイキン2
活性を有するポリペプチドまたは該ポリペプチドのアミ
ノ酸配列に対し1もしくは数個のアミノ酸残基の欠失、
付加あるいは置換がされたアミノ酸配列を有するヒトイ
ンターロイキン2活性を有するポリペプチドをコードす
る遺伝子を順次配列してなる組換えDNA体により形質転
換された原核生物の細胞を培地中で培養することを特徴
とする糖鎖を伴わず、ヒト由来の他の蛋白質を含有しな
いヒトインターロイキン2活性をもつポリペプチドの製
造法を提供するものである。
本発明にいうヒトインターロイキン2活性を有するポ
リペプチドとしては、以下のアミノ酸配列を有するポリ
ペプチドが挙げられる。
上記配列は、特許請求の範囲に記載されるアミノ酸配
列のN末端のAlaが欠失したものである。
上記配列は特許請求の範囲に記載されるアミノ酸配列
のN末端にMetが付加されたものである。
上記配列は特許請求の範囲に記載されるアミノ酸配列
のN末端のAlaがMetに置換されたものである。
本発明により製造されるポリペプチドとしては、上記
アミノ酸配列の中で1個ないしそれ以上のアミノ酸を欠
くポリペプチド;上記アミノ酸配列の中の1個ないしそ
れ以上のアミノ酸が1個ないしそれ以上のアミノ酸で置
換されたポリペプチド;上記アミノ酸配列に対して1個
ないしそれ以上のアミノ酸が追加されたポリペプチドで
あって、インターロイキン2活性を有するものであって
もよい。
本発明における原核生物の細胞としてはエシェリヒア
属に属するものが好ましく、さらにエシェリヒア・コリ
に属するものが好ましい。
本発明によって、インターロイキン2活性を有するポ
リヘプチド(以下、IL−2と呼ぶことがある。)は、該
ポリペプチドを産生すべくコードされた遺伝子の挿入
と、細胞の中で複製され得るベクターDNAの挿入で組換
え法により修飾され、該遺伝子のコードシーケンスが、
プロモーターシーケンスの下流に位置するDNAによってI
L−2を産生すべく形質転換させた原核生物細胞株、特
にエシェリヒア・コリを培地に浮遊培養(好気的)する
ことによって製造される。
IL−2ポリペプチドをコードしたクローン化遺伝子
は、IL−2活性を有するポリペプチドを産生する能力を
もつことによって特徴づけられる哺乳動物細胞に由来す
るIL−2に相当するメッセンジャーRNA(mRNA;“RNA"は
リボ核酸の略,以下“IL−2 mRNA"という)を相補的DNA
(cDNA)に逆転写することによって得ても良い。得られ
た一重鎖cDNA(ss−cDNA)は2重鎖cDNA(ds−cDNA)に
変換させることができる。
cDNAを調製するための鋳型として用いるmRNAは、IL−
2ポリペプチドを産生する哺乳動物細胞から単離するこ
とができる。単離されたRNAはポリアデニル化され(GiL
Lisら,Immunological Rev.,63,167〜209(1982))、ポ
リアデニル化されたRNAは、例えばショ糖密度勾配遠心
法によって11〜12S画分に分画することができる。13Sの
mRNAにIL−2 mRNA活性が現われることがあるが、この場
合は11〜12S mRNAの凝集物であることが考えられる。
本発明に用いるmRNAの供給源となるIL−2を産生する
ことができる哺乳動物細胞は、哺乳動物より摘出できる
末梢血単核球,扁桃腺細胞,脾臓細胞のようなT−リン
パ球で良い。細胞にIL−2産生能を与えたり、またはIL
−2活性を増強するために、ナイロンカラム処理,抗血
清と捕体処理,密度勾配分画,ノイラミニダーゼとガラ
クトースオキシダーゼの組合せ処理,トリプシン処理の
ような様々な酵素処理,X線照射など従来知られた方法で
前処理しても良い。上記哺乳動物細胞をT細胞増殖因子
存在下で培養後得られるクローン化Tリンパ球もmRNAの
供給源として用いることができ、これはより好ましいT
−リンパ球である。白血病やリンパ腫細胞株に由来する
Tリンパ球それ自体または上記の方法で前処理または変
異したそれらの誘導体などの形質転換されたリンパ球細
胞株またはクローニングされた形質転換細胞株もmRNAの
供給源として好ましい。明らかに、クローン化した細胞
株は通常クローン化前の親株に比較して多量のIL−2 mR
NAを含んでいる。上記したリンパ球由来細胞とCEM,Molt
4F,BW5147のごとき腫瘍細胞株を融合することによって
得られたT細胞ハイブリドーマもまた本発明に使用する
のに好ましい哺乳動物細胞である。この場合のリンパ球
由来細胞は、(1)IL−2の自発産生細胞および(2)
IL−2産生を補助する他の細胞の存在下または非存在下
に培養液中にマイトジェンが導入され存在している時の
みIL−2を産生する細胞を含む。
IL−2自発産生細胞においてIL−2 mRNAを誘導するた
めに、IL−2自発産生細胞は、細胞培養の分野でよく知
られた方法で培養される。マイトジェン存在下のみでIL
−2を産生する細胞においてmRNAを産生する場合は、培
養した細胞は培地で良く洗った後、血清を含むかまたは
含まないローズウエルパークメモリアルインスティテュ
ート1640(以下、“RPMI 1640"と略す。),ダルベッコ
ウ変法イーグル培地(以下“DMEM"と略す。)またはク
リック培地のごとき培地に再び浮遊する。これらの細胞
培養培地には、ペニシリン,ストレプトマイシンまたは
他の抗生物質,L−グルタミン,ヘペス緩衝液,または炭
酸水素ナトリウムのような種々の添加物を細胞培養の分
野で一般に使われる濃度で加えても良い。好ましい細胞
濃度は0.5〜4×106細胞/mlである。mRNAの活性化とIL
−2の産生を誘導するために適当な刺激剤が加えられ
る。この適当な刺激剤の中には、マイトジェン,ノイラ
ミニダーゼ,ガラクトースオキシダーゼ,塩化亜鉛の如
き亜鉛化合物またはプロテインA,ストレプトリシン−O
の如き細菌由来のリンパ球活性化因子が含まれる。刺激
された細胞は回収され、洗浄される。マイトジェン刺激
の際、マクロファージまたはデンドリティック細胞を共
存させるとやはりmRNAを活性化し、あるいは活性化mRNA
の収量を増大させ得る。同様にRaji,Daudi,K562,BALL−
1の如きBリンパ球またはBリンパ球細胞株に由来する
細胞株を共存させてもmRNAは活性化され、または活性化
mRNAの収量を増大させ得る。
哺乳動物細胞を増殖させるために、細胞は通常の条件
下でin vitroで細胞培養により、または組織適合動物の
体内で維持される。mRNAの供給源を調製するためにin v
itro培養による継代を行なう場合には、従来T細胞の生
育を促進することが知られている培地であればどのよう
な培地にもこれら細胞は生育する。これらの培地には哺
乳動物の血清,血清成分または血清アルブミンを添加し
ても良い。mRNAの活性化のための培養時間は、mRNAを生
成するための活性化に必要な時間に対応する。この時間
は、通常IL−2の培地中への産生が開始されるまでに必
要な時間と対応している。好ましい時間は、マイトジェ
ン等の刺激剤を添加してから3〜12時間である。培養時
間が長すぎる場合、生成したIL−2 mRNAが分解されるこ
とがある。IL−2産生細胞の活性化に際し、PMAまたはT
PAの如きホルボールエステル類を10〜50ng/ml添加して
活性化レベルを上昇させることもできる。
IL−2 mRNA活性化のための上記工程はpH7.0〜7.4,温
度範囲32〜38℃の飽和水蒸気の環境下で行なわれる。
IL−2を産生する哺乳動物細胞を取得し培養する方法
を以下に述べる。
(イ)IL−2自発産生株の取得 ヒトTリンパ球由来白血病細胞であるジュルカット細
胞(フレッド・ハッチンソン・癌研究所/シアトル/ア
メリカ,ソーク研究所/サンジエゴ/アメリカ,西ドイ
ツ国立癌センター/ハイデルベルヒ/西ドイツ等で自由
に手に入る。)を1×106個/mlの細胞密度でクリック培
地中に懸濁させ、150レントゲン/分の照射速度で合計
8,000レントゲンのX線照射を行なう。この後、本細胞
を0.1細胞/200μ培地の細胞密度で96穴の平底マイク
ロタイタープレート(「ファルコン3072」)に添加し、
5%牛胎児血清を含むクリック培地中で3週間37℃にて
5%CO2インキュベーター中にて培養する(限界希釈法
によるクローニング)。細胞の生育が認められた培養ウ
エル中の細胞は、細胞が底面全体をおおう密度に到達す
る前に24穴のヌンク社製培養プレートに移し、クリック
培地中にて5日間細胞を増殖させる。さらに、本細胞を
1〜2×106個/mlの細胞密度にて血清も血清由来アルブ
ミンも含まない無血清合成培地に懸濁して2日間培養
し、本培養上清を遠心分離操作で分離し、次いで0.22μ
のミリポアフィルターにてデブリス除去と無菌化を行な
った。このようにして得た培養上清のIL−2活性を測定
することによってIL−2を自発産生するX線処理変異株
が選択され、かつクローニングされた。
(ロ)ヒト末梢血単核細胞よりIL−2産生株の取得 ヒトの末梢血を採血し、フイコール・ハイパークの密
度勾配遠心法により末梢血リンパ球(以下、PBLと略
す。)を採取する。本PBLを1×106個/mlの細胞密度で
5%FCSを含むクリック培地に懸濁し、各2ml宛24穴のヌ
ンクの培養プレートに接種する。ここにフイトヘマグル
チニン−M(ギブコ社製)を5μg/mlの終末濃度になる
ように100μ添加し、上述の条件下に48時間培養し、
次いで細胞を培養液で洗浄し、再び1×105個/mlの細胞
密度でクリック培地1mlに接種する。さらに、コンカナ
バリンA(以下、ConAと略す。)2.5μg/mlで48時間刺
激したヒト脾細胞から調製したコンディショニングした
培地1mlを加え、該コンディショニングした培地50%を
含む培地を3日毎に取り換えて、PBLからのヒトTリン
パ球を長期継代培養する。このように長期継代培養して
得たTリンパ球を、前述と同様の限界希釈法でコンディ
ショニングした培地に由来するヒト脾細胞の存在下、ク
ローニングを行ない、かつ同様に細胞増殖を行なう。こ
うして得られたクローン化Tリンパ球を1×106個/mlの
細胞密度に10μg/mlのフイトヘマグルチニン(以下、PH
Aと略す。)の存在下、24穴のヌンク培養プレート中のR
PMI 1640培地1mlに接種し、24時間,37℃で7.5%CO2イン
キュベーター中にて培養した。本培養上清を遠心分離操
作で分離し、次いで0.22μのミリポアフィルターで無菌
化を行なった後、IL−2産生ヒト正常Tリンパ球クロー
ンを同定するために、IL−2活性検定を行なった。
(ハ)マイトジェン刺激でIL−2を生産するヒトリンパ
球由来悪性化細胞の取得 前述のジュルカット細胞や前記した限界希釈法により
クローン化されたJ−111株は、前記の無血清培地や血
清1〜2%を含むBPMI 1640培地中にてConA 10μg/mlや
PHA 2.5μg/mlの存在下に24時間培養すると、10〜4,000
単位/mlのIL−2を産生することができる。また、これ
らヒト悪性化細胞は塩化亜鉛,プロテインA,ピシバニー
ル存在下に培養しても、IL−2を産生する。
(ニ)他の細胞もしくはその細胞の産生する因子の存在
下にマイトジェンで刺激することによりIL−2を産生す
る細胞の取得 ヒトリンパ球悪性化細胞Molt 4Fや前述の限界希釈法
でクローン化されたジュルカット細胞の1つのクロー
ン,ジュルカット99株は、上述のごときレクチンやマイ
トジェンを広い濃度範囲で加えて24〜72時間培養しても
IL−2を産生しない。ところが、この間モノカインの1
種であるインターロイキン1を5〜10u/mlまたは50%の
K562やラージ(Raji)細胞を共存させて37℃,24時間培
養すると、IL−2を確認しうる量(10〜100u/ml)産生
する。
このようにして活性化された細胞よりIL−2 mRNAを抽
出するには、細胞の種類を問わず常法によって行なえば
よい。たとえば、NP−40,SDS,Triton−X100,デオキシコ
ール酸などの界面活性剤を添加して細胞を部分的または
完全に分解するか、ホモゲナイザーや凍結融解などの物
理的方法を用いて、細胞を部分的あるいは完全に破壊,
可溶化する。その際に、RNaseによるRNAの分解を防ぐた
めに、抽出液中にRNaseインヒビター、たとえばヘパリ
ン,ポリビニル硫酸,ベントナイト,マカロイド,ジエ
チルピロカーボネート,バナジウム複合体などを添加し
ておくのが好ましい。また、場合に応じては、抗IL−2
抗体を用いてIL−2合成途上のポリゾームを沈降せし
め、これよりmRNAを界面活性剤などで抽出する方法も行
ない得る。
また、poliAを含むmRNAの精製についてはオリゴdT−
セルロース,セファロース2Bを担体とするポリU−セフ
ァロースなどのアフィニティ・カラムあるいはバッチ法
による精製法,SDG遠心法による分画,アガロースゲル電
気泳動法等によって行なうことができる。
上記の如くして得られたmRNAがIL−2 mRNA活性を有す
るものであることを確認するためには、mRNAを蛋白に翻
訳させ、その生理活性を調べるか、抗IL−2ペプチド単
クローン性抗体を用い該翻訳蛋白を同定する等の方法を
行なえばよい。たとえばmRNAは通常、アフリカツメガエ
ル(Xenopus laevis)の卵にマイクロインジェクション
することにより(Gurdonら,Nature,233,177〜182(197
2))あるいは網状赤血球または小麦胚無細胞翻訳シス
テムを使用することにより対応する蛋白に翻訳される。
IL−2活性は、先にGillisら(Gillisら,J.Immunol.,
120,2027〜2033(1978))によって基本的には述べられ
ているミクロ検定法によって確認できる。この検定法で
は、Gillisらによって確立された方法に従って作成した
細胞障害性Tリンパ球細胞株(以下、CTLLと略す。)の
IL−2に依存細胞のDNA合成上昇(IL−2 dependent cel
lular proliferation)を指標としている。即ち、4×1
03個のCTLL細胞を2%のFCSを含むRPMI−1640培地100μ
に懸濁し、100μの連続希釈した翻訳産物と共に96
穴の平底マイクロプレートに接種する。37℃,5%CO2
で20時間培養した後、細胞を0.5μCi/ウエルの3H−TdR
で4時間ラベルし、自動細胞ハーベスターを用いて帯状
ガラス繊維上に細胞を回収し、細胞が取り込んだ放射能
を液体シンチレーション法で測定する。この検定によ
り、IL−2存在下に培養されたCTLL細胞が投与量に依存
して3H−TdRを取込むことが判明し、このことから検体
中に含まれるIL−2量を明確に計算することができる。
IL−2はTリンパ球の増殖を促す活性を有するので、
IL−2活性をTリンパ球の増殖を指標として測定するこ
とができる。即ち、5個のCTLL細胞を2%のFCSを含むD
MEM 100μに懸濁し、100μの連続希釈した翻訳産物
と共に96穴の平底マイクロプレートに接種する。72〜96
時間,37℃,5%CO2下で培養した後、活性化し増殖した細
胞の数を顕微鏡下で計測する。対照群として100U/ml,10
U/mlのIL−2を用い、この対照群の増殖した生細胞数と
比較して検体のIL−2活性を求める。
このようにして最も高活性の画分から得られたIL−2
mRNAはds−cDNAを合成するための鋳型として用い、ds−
cDNAはベクターDNAと結合させる。cDNAの合成は従来の
方法によって行なう。
まず、mRNAを鋳型とし、オリゴdTをプライマーとして
dATP,dGTP,dCTP,dTTPの存在下で逆転写酵素によりmRNA
と相補的なss−cDNAを合成し、アルカリ処理で鋳型mRNA
を分解除去した後、今度は単鎖cDNAを鋳型にして逆転写
酵素あるいはDNAポリメラーゼを用いてds−cDNAを合成
する。
このようにして得られたds−cDNAと原核生物で複製で
きるレプリコンを含むベクターDNAから組み換えDNA体が
作られる。しかる後、この組み換えDNA体は宿主細胞に
組み込まれる。
このds−cDNA及び原核生物で増殖し得るベクターDNA
は、これらを結合させる前にエキソヌクレアーゼ処理,
化学合成DNA断片の追加,ds−cDNAやベクターDNAの末端
に連結可能な端末をつけるためにG,C−鎖を伸ばすなど
各種処理によって修飾される。これらの連結可能なDNA
は、例えばATP共存下にT4ファージのDNAライゲースによ
ってつぎ合せることが出来る。
このようにして調製された組換えDNA体によってクロ
ーン化されたcDNAを増巾させるため又はIL−2ポリペプ
チドを製造するために生細胞を形質転換する。
IL−2生産のための宿主細胞として、本発明ではバチ
ルス・ズブチリスなどの原核生物細胞またはエシェリヒ
ア・コリを用いる。宿主細胞中でのDNA増巾のためには
エシェリヒア・コリを宿主とすることが出来るが、その
他の宿主細胞とすることも出来る。
適当なエシェリヒア・コリ用ベクターとしてはEK型プ
ラスミドベクター(ストリンゼント型)としてpSC101,p
RK353,pRK646,pRK248,pDF41など.,EKタイププラスミド
ベクター(リラックスドタイプ):ColE1,pVH51,pAC105,
RSF2124,pCR1,pMB9,pBR313,pBR322,pBR324,pBR325,pBR3
27,pBR328,pKY2289,pKY2700,pKN80,pKC7,pKB158,pMK200
4,pACYC1,pACYC184,dul等.,λgtタイプファージベクタ
ー:λgt.λc,λgt.λB,λWES,λC,λWES.λB,λZJvi
r.,λB′,λALO,λB,λWES.Ts622,λDam等が含まれて
いる。一般に、pBR322はエシェリヒア・コリ用ベクター
としてしばしば利用されてきたが、この場合最も良いク
ローニング部位はPst1ならびにEcoR1部位である。
組換えDNA体を用いた宿主細胞の形質転換には、通常
よく用いられる次の方法がある。エシェリヒア・コリの
如き原核生物が宿主の場合、このDNAを取り込むことの
出来るコンピテント細胞は対数増殖期における細胞を回
収後、良く知られているCaCl2法によって形質転換出来
る。形質転換反応液中にMgCl2又はRbClを共存させれば
形質転換効率は向上する。また、宿主細胞のプロトプラ
スト調製後形質転換させることも可能である。
IL−2遺伝子を保有する細胞は、次の2つの方法の何
れかを用いて形質転換後分離可能である。
(1) プラス−マイナス法:抗原刺激した哺乳動物細
胞抽出液より蔗糖密度勾配遠心分離にて11−12S画分と
して部分精製したIL−2 mRNAを調製し、この部分精製mR
NAを鋳型として32P−放射性ss−cDNAを合成する。アル
カリ処理にて鋳型mRNAを除去後、単離されたcDNAは、抗
原刺激しない哺乳動物細胞から抽出され、部分精製した
11−12S mRNAでハイブリダイズする。引続いてハイブリ
ダイズしなかったcDNAとハイブリダイズしたcDNAはハイ
ドロキシアパタイトカラムクロマトグラフィーで分画す
る。ハイブリダイズしなかったcDNAとハイブリダイズし
たcDNAをそれぞれプローブA、及びプローブBと呼ぶ。
何れの組換え体も同一の方法によりそれぞれニトロセル
ロース濾紙上で生育させる。そして、細胞のDNAをアル
カリ処理にて濾紙上に固定する。プローブA及びBをそ
れぞれ、二つの異った濾紙上でDNAとハイブリダイズさ
せる。その後、オートラジオグラフィーを行ってプロー
ブAと陽性に反応する組換え体(プラス)、プローブB
と僅か又は全然反応しない組換え体(マイナス)を選別
する(谷口ら;Proc.Jap.Acad.,V155B 464〜469(197
9). (2) 第2の方法は、例えば1000〜10,000の組換体ク
ローンを2〜30ないし2〜300クローン宛のクローング
ループに大別し、それぞれのクローングループをそれぞ
れ常法によって培養しプラスミドDNAsを調製する。次い
で、これらプラスミドDNAsを例えば熱変性してss−cDNA
をニトロセルロース濾紙上に固定し、活性化IL−2−mR
NAを含有する哺乳動物細胞から調製されたmRNAと相補的
にハイブリダイゼーションを行う。あるいはまた、IL−
2 mRNAを含有するmRNA(混合物)を熱変性したプラスミ
ドDNA(混合物)とハイブリダイズさせるとDNA−mRNAハ
イブリッドがニトロセルロース濾紙上に固定される。こ
の濾紙を1mMのHEPES、あるいは10mMの食塩水のごとき低
塩類緩衝液で洗浄し、濾紙上に吸着されたmRNAを0.5mM
EDTA;0.1%SDS溶液含有液で例えば95℃,1分間処理して
抽出する。精製mRNAはこれをoligodT−セルロースカラ
ムクロマトグラフィーにて溶出回収する。次いで、mRNA
をアフリカツメガエル卵母細胞にマイクロインジェクシ
ョンして蛋白質に翻訳してIL−2活性を確認する。ある
いはmRNAに依存性の網状赤血球又は小麦胚のin vitro無
細胞合成系を用いてこのmRNAを蛋白に翻訳させ、抗IL−
2抗体を用いてIL−2−活性を分析することが出来る。
これらの方法によってIL−2活性が検出されたグループ
をさらに少数の組換え体クローンを含有する群に類別し
最終的にはIL−2 DNAを有する単一クローンが得られる
まで繰返し実施する。
IL−2産生能のある組換え体よりIL−2ポリペプチド
をコードするcDNAを得るには、先ずトランスフォーマッ
ト中の組換えDNA体を分離し、これを制限酵素エンドヌ
クレアーゼで切断する。切断によって得られるDNA分画
より組込まれたcDNA画分を分離する。
pIL−2−50Aを組換えたDNAよりIL−2ポリペプチド
をコードするPst1 DNAインサートの全ヌクレオチド配列
は、Maxam and Gilbert法(Meth.Enzym.65,499〜560,
(1980));ならびに二デオキシヌクレオチド鎖末端法
(Smith,A.J.M.Meth.Enzym.65,560〜580,(1980))に
て決定された。
cDNAインサートの制限酵素エンドヌクレアーゼによる
切断図を第1図及び第2図(a)に示す。第2図(a)
に示すごとく、このcDNAはそれぞれBstN1,Xba I,BstN I
なる制限酵素エンドヌクレアーゼで切断される構造を有
する。
本cDNAインサートのDNA配列は一つの大きなオープン
リーディングフレームを保有する。真核生物の読み取り
開始配列となることの多い第一のATG配列(Kozak,M.Cel
l.15,1109〜1123(1978))は、5′−端から48−50ヌ
クレオチド位に存在し、読み終り配列TGAが存在するヌ
クレオチド位507−509迄152の配列がこのATGにつながっ
ている。mRNAの3′−poly(A)末端に相当するAのつ
ながりがcDNA末端に見出され、通常真核生物mRNAのほと
んどに見出される6個からなるヌクレオチドAATAAA(77
1−776位)が先に位置する。(Proudfoot,N.J.& Brown
lee C.G.,Nature 263,211−214,(1976)) cDNAによってコードされるアミノ酸配列は第2図
(b)(アミノ酸配列I)のごとく演えきでき、しかも
アミノ酸配列Iのポリペプチドは153個のアミノ酸から
なり、その分子量は17631.7ダルトンと計算される。今
日迄知られている分泌蛋白の殆んどに見られると報告さ
れているように(Blobel G.et al,Sym.Soc.Exp.Med.,3
3,9〜36(1979))、上記演えきIL−2ポリペプチドの
N末端領域はやはり疎水性である。本領域は成熟IL−2
の分泌時に切断されるシグナルペプチドの役割を果たし
ているであろう。切断は20−21位のSerとAla間で起るか
21−22位間のAla−Pro間で切断され、アミノ酸配列IIお
よびIIIを有するポリペプチドを生成する。何故ならば
同様な切断位置は今迄知られたその他の分泌蛋白にもし
ばしば見出されているからである(Blobel,G.et al,Sym
p.Soc.Exp.Med.,33,9〜36(1979))。従って、成熟IL
−2ポリペプチドは133ないし132個のアミノ酸から成
り、分子量は15420.5または15349.4ダルトンと算出され
る。本分子量値はジュルカット細胞から得られたヒトIL
−2蛋白の分子量(15000ダルトン)として報告された
ものを対比される(Gillis et al.,Immunological Re
v.,63,67〜209(1982))。また実施例3に示すごとく
塩基配列111〜113位にあるCCT配列から始まるDNA画分、
即ち、22位に位置するProから始まるポリペプチドに対
するコード(第2(b)図中のアミノ酸配列III)はIL
−2活性を有するポリペプチドを表現していることが確
認された。塩基配列107〜110位にあるGCAから始まるDNA
画分、即ち第2(b)図のアミノ酸配列IIに示すごと
く、21位に位置するAlaから始まるポリペプチドをコー
ドするDNA画分は、実施例6に示すごとくIL−2活性を
有するポリペプチドを表現していることが確認された。
有核生物の遺伝子はヒトインターフェロン遺伝子でも
知られている様に多形現象を示すことが知られている
(谷口ら,Gene 10,11〜15(1980),大野,谷口.,Proc.
Natl.Acad.Sci.USA,77,5305〜5309(1981);Gray et a
l,Nature 295,501〜508(1981))。この多形現象によ
って、蛋白生産物のアミノ酸のあるものが置換される場
合もあれば、塩基配列の変化はあっても全く変らない場
合もある。ヒトIL−2・cDNAの場合、pIL−2−50A cDN
Aの503位のA残基がG残基で置き換えられた他のcDNAク
ローン(pIL−2−503)も検出できる。pIL−2−50A c
DNAとは塩基配列が異なるその他のcDNAクローンの存在
も期待できる。
上記説明からも明らかなごとく、本発明に係る遺伝子
は、第2(a)図に示された塩基配列を有するDNA,48−
50位のATG配列から始まり、504〜506位にある少くともA
CT配列に至る連続塩基配列を有するDNAs,108−110位のG
CA配列から始まり、GCA配列から少くともACT配列に至る
連続塩基配列を有するDNA,また111−113位のCCT配列か
ら少くともACT配列に至る連続塩基配列を有するDNAを包
含する。本発明に係る遺伝子はまた、504〜506位のACT
配列に終り、1位のAに始まるDNA,48−50位のATGで始
まるDNA,108−110位のGCA配列で始まるDNA又は111−113
位のCCT配列で始まるDNAを包含する。更に本発明に係る
遺伝子は、507〜509位のTGA配列に終り、1位のAに始
まるDNA,48〜50位のATG配列で始まるDNA,108〜110位のG
CA配列で始まるDNAまたは111−113位のCCT配列で始まる
DNAを包含する。更に本発明に係る遺伝子は、801位のC
で終り、1位のAで始まるDNA,48−50位のATGで始まるD
NA,108−110位のGCAで始まるDNAまたは111−113位のCCT
配列で始まるDNAを包含する。本発明に係る遺伝子はま
たpoly(A)で終り、48−50位のATG配列から始まるDN
A,108−110位のGCA配列で始まるDNAまたは111−113位の
CCT配列で始まるDNAを含む。また、本発明は、アミノ酸
配列I,II,IIIに相当する塩基配列を有する遺伝子を含
む。アミノ酸配列Iの中で1個ないしそれ以上のアミノ
酸を欠くポリペプチド、あるいはアミノ酸配列Iの中の
1個ないしそれ以上のアミノ酸が1個ないしそれ以上の
アミノ酸で置換されたポリペプチドはIL−2活性を有す
ることもあり、従ってこの様なポリペプチドをコードす
る遺伝子は本発明に係る遺伝子として使える。同様にア
ミノ酸配列I,IIまたはIIIに対して1個ないしそれ以上
のアミノ酸を表現し得る1個ないしそれ以上の塩基を余
分に結合した遺伝子であっても追加されたアミノ酸が、
ポリペプチドのIL−2活性発現に邪魔しない限り本発明
の中に包含される。IL−2としてのポリペプチド機能を
阻害する追加アミノ酸配列を有する修飾領域であっても
新たに追加された領域が容易に除去出来るものならば本
発明に係る遺伝子として利用出来る。同じことはアミノ
酸配列I,IIおよびIIIに対応する遺伝子のアミノ酸配列
I,IIおよびIIIのC−末端にアミノ酸追加をコードするD
NAが3′−末端に追加結合せしめたDNAの場合にも言え
る。上記のようなアミノ酸の欠失,付加あるいは置換
は、出願前周知技術である部位特異的変異技術(Geneti
c Engineering,vol.3,pp1−32,Plenum Press,New York
(1981),Nucleic Acid Research,vol.10,pp6487−6500
(1982)等)により実施することができ、1もしくは数
個のアミノ酸の欠失,付加あるいは置換とは、部位特異
的変異技術により欠失,付加あるいは置換できる程度の
数のアミノ酸を意味する。従って、この様なポリペプチ
ドをコードする遺伝子の利用は、本発明に包含される。
生細胞中でIL−2産生をする組換えDNA体は、次の各
種方法で作られる。例えば、IL−2・cDNAをコードする
配列を発現ベクターのプロモーター配列下流に挿入す
る。あるいはプロモーター配列を持つcDNA片を発現ベク
ターのcDNA挿入の前あるいは後にIL−2をコードする配
列の上流に挿入することが出来る。
IL−2−cDNAを発現し、IL−2−ポリペプチドを産生
する原核生物の造成法を詳述すれば以下の通りである。
(1) エシェリヒア・コリによるIL−2−cDNAの発現 エシェリヒア・コリ中でIL−2−cDNAを発現させるに
は、先ずcDNAを各種細菌プロモーターと結合せしめた
後、プロモーター下流にcDNAを含有するハイブリドプラ
スミドを作る。このプラスミドを、例えばエシェリヒア
・コリHB101に感染させ、ヒトIL−2活性を有する蛋白
を生合成する細菌がクローンされる。本来細菌のプロモ
ーターならば如何なるものでもcDNAに適当に接続されて
いればIL−2−cDNAを発現する。この様なcDNAの発現例
は以下のとおりである。
IL−2をコードするクローン化cDNAは第2図に示され
る様な153個のアミノ酸からなるポリペプチドをコード
する。本ポリペプチドの20個のアミノ酸に相当するN−
末端領域は極めて疎水性であり、殆んどの分泌蛋白の特
徴でもある。この様な疎水性配列はシグナル配列と称し
分泌過程で切断される。故に、成熟IL−2ポリペプチド
は、153個のアミノ酸より少ない筈である。このことか
ら、成熟IL−2ポリペプチドをコードするcDNA部分を発
現させることが望ましく、IL−2シグナル配列相当部分
を発現させるのは望ましくはない。
(i) プラスミドベクターpTrS−3の構築 pTrS−3は、エシェリヒア・コリTrpプロモーターを
含み、pTrS−3のリーダーペプチドのためのリボソーム
結合部位(SD配列)は既に報告されている(G.Miozzari
and Yanofsky J.Bacteriol.133,1457〜1466(197
8))。SD配列の下流13塩基対にあるATGコードンの存在
も報告されている(Nishi et al,生化学54,No.8.676(1
982))。このプラスミドベクターはまた、ATG開始配列
(第3図)の下流に一つのSph I部位を含んでいる。
IL−2・cDNAを発現させるため、先ずプラスミドをSp
h Iで消化しエシェリヒア・コリDNAポリメラーゼI(ク
レノウ(Klenow)フラグメント)または、バクテリオフ
ァージT4 DNAポリメラーゼIで処理し3′−位突き出し
末端を除去する(第4図(a))。プラスミドpIL−2
−50AをPst IおよびHgiA Iで2回消化し、より大きいcD
NA画分を単離する。次いでDNAをエシェリヒア・コリDNA
ポリメラーゼI(クレノウフラグメント)又はバクテリ
オファージT4 DNAポリメラーゼで処理して3′−突き出
し末端を切りはなす。この処理をしたcDNAは132個のア
ミノ酸のIL−2ポリペプチドをコードする第4(a)
図)。このcDNAを上述のごとく前処理したpTrS−3プラ
スミドDNAに結合せしめ、ATG開始コードンをIL−2 cDNA
のCCT(Pro)配列につなぎ合せる。こうしてプラスミド
pT IL−2−22が得られる。Trpプロモーター配列とpT I
L−2−22のIL−2 cDNA配列の結合は第4(a)図に示
す。
プラスミドpT IL−2−22はエシェリヒア・コリによ
りプロリンから始まる132個のアミノ酸からなるIL−2
ポリペプチド合成を指令する。
(ii)成熟IL−2はプロリンの代りにN−末端アミノ酸
としてアラニン(21位)を含むこともあり、133個のア
ミノ酸から成るIL−2ポリペプチド合成を指示するプラ
スミドを以下の如く作ることができる。
プラスミドpTrS−3はSD配列とATG配列との間に1つ
のCla I切断部位がある(第3図)。本プラスミドはCla
IとSal Iで切断される。プラスミドpIL−2−50AをPst
Iで部分分解し、エシェリヒア・コリDNAポリメラーゼ
Iで処理し、最も長いDNAを単離する。次いでDNAを制限
酵素Xho I切断部位を含む合成DNAリンカーと結合させ、
IL−2をコードする配列の3′−側下流にDNAリンカー
を導入したプラスミドpIL−2−50A(Xho)を含むクロ
ーンを単離する。プラスミドpIL−2−50A(Xho)を先
ずHgiA Iで切断し、エシェリヒア・コリ クレノウフラ
グメントまたはT4 DNAポリメラーゼで処理し、Xho Iで
消化すればcDNA画分が単離できる。このcDNAフラグメン
トをCla IおよびSal Iで前処理したpTrS−3 DNAに結合
させ第4(b)図の如く合成DNAにつなげる。かくしてA
laからスタートする133個のアミノ酸から成るIL−2ポ
リペプチドをエシェリヒア・コリ中で合成させるプラス
ミドpTIL−2−21が得られる。(第4(b)図)。同様
なことはXho Iリンカーを使用しなくとも作られる。
(iii)異ったN−末端アミノ酸を有する異った大きさ
のIL−2ポリペプチドはpTrS−3発現プラスミドベクタ
ーを用いても作られる。以下に示すごとく、pIL−2−5
0AにクローンされたIL−2 cDNAはヌクレオチド結合部位
81−85に唯一つだけDde I部分を有する。プラスミドpIL
−2−50A(Xho)を、Dbe Iで切断し、cDNAのより大き
い区分を含有するDNA画分を単離する。本画分はpBR322
より3000塩基対を有するDNAを含んでいる(第4(c)
図)。DNA画分をエクソヌクレアーゼBal 31で処理し、
次いでXho Iで切断する。ここで得られたDNAをSph Iで
切断したpTrS−3と結合せしめ、Klenowフラグメントま
たはT4 DNAポリメラーゼで処理し次いでSal Iで消化す
る(第4(c)図)。つなぎ合せたDNAをエシェリヒア
・コリHB 101に感染させ、ヒトIL−2を発現するクロー
ンを検索する。これらのクローンは色色な大きさのヒト
IL−2を発現する筈である。何故ならばヒトIL−2のN
−末端領域に相当するDNAは種々切断除去されるからで
ある。かくしてIL−2 cDNAを含有するpTIL−2−14と15
が得られる。
(iv)IL−2 cDNAはまたpKT 218(Talmageより提供を受
けた;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77,P.3369〜3373(198
0))を用いても発現可能である。プラスミドpKT 218は
Pst Iで切断し、pIL−2−50AをHgiA IとPst Iで切断
(第5図)して得たIL−2 cDNA挿入部分とつなぎ合わせ
る。出来上ったプラスミドpKIL−2−21は第5図に示し
たように、蛋白合成開始の始発位に配列を有している。
したがって、このプラスミドpKIL−2−21はIL−2の13
3個のアミノ酸とβ−ラクタマーゼのアミノ酸からなる
両者が融合したポリペプチドからなり、これをエシェリ
ヒア・コリ中で合成することが出来る筈である(最初の
メチオニンはエシェリヒア・コリでは切断除去され
る)。
(v)p−BR・322にtufBに対するプロモーター配列を
挿入したプラスミドpTuBlp−5の発現は既に行なわれて
いる(谷口ら,生化学53 966(1981))。このプラスミ
ドは一つのCla I切断部位を含み、第6図に示すごとく
本切断部位はSD配列の2塩基対だけ下流に位置する。pT
rS−3もまたSD配列とATG始発配列の間にある一つのCla
I切断部位を含み、同時にこのCla I部位はpTrS−3とI
L−2 cDNAを用いて発現用プラスミドを作る過程で壊さ
れないので細菌TrpプロモーターをtufBプロモーターで
置き換えることは極めて簡単である。従ってヒトIL−2
cDNAはtufBプロモーターの制御下で発現される。例えば
pTIL−2−22をCla IとPvu IIで切断し、IL−2 cDNAを
含むDNA画分を分離する。次いでこの画分をpTuBIP−5
でつなぎ合わせ、Cla IとPvu IIで予め切断後、第6図
に図示される様にプラスミドpTuIL−2−22が造成され
る。IL−2活性はプラスミドpTuIL−2−22を含むエシ
ェリヒア・コリHB101の抽出液に検出できる。
(vi)例えばpTIL−2−21を使っても、また基本的には
pTrS−3を用いて達成したすべての発現用プラスミドを
用いることによっても同様に造成できる。また例えばpT
uIL−2−22をCla Iで切断し、Bal31またはSIまたはDNA
ポリメラーゼI(エシェリヒア・コリ)にてDNAの塩基
対2−3個を除去または補充し再度プラスミドをつなげ
ることによってSDおよびATG配列の距離を至適の長さに
することも可能である。
組換えDNA体を挿入したエシェリヒア・コリまたはバ
チルス・ズブチリスの如き形質転換された原核生物細胞
を培養して組換えDNA体を増巾し又はIL−2ポリペプチ
ドを生産する。この培養は通常の方法で行なわれる。
細胞内または細胞外に生産されたIL−2は硫安沈澱,
塩類除去のための透析(常圧または減圧下),ゲル濾
過,クロマトグラフィー,等電点平板上濃縮,ゲル電気
泳動,高速液体クロマトグラフィー(以下HPLCと略
記),(イオン交換,ゲル濾過並びに逆相クロマトグラ
フィー),及び色素結合担体,IL−2に対するモノクロ
ーナル抗体を結合した活性化セファロース4B又はレクチ
ン結合セファロース4B等によるアフィニティクロマトグ
ラフィー等,公知の方法によって回収することができ
る。IL−2の単離精製法はWatsonら(J.Exp.Med.,150,8
49−861(1979),Gillis et al,J.Immunol.,124,1954−
1962(1980),Mochizuki et al,J.Immunol.Methods 39,
185−201(1980),Welte,K et al,J.Kxp.Med.,156,454
−464(1982))によって報告されている。
かくして得られたポリペプチドはマイトジェン刺激に
よって哺乳動物細胞から作られるIL−2について知られ
ているものと同一の生化学的並びに生物学的挙動を示し
IL−2活性を有する。分子量は約15000ダルトンでありI
L−2活性は、Igsorb(Enzyme Center)の様な免疫吸着
剤の有無にかかわらず完全に中和され、またはモノクロ
ーナル抗体IL−2抗体で沈澱した。免疫電気泳動におい
て、IL−2ポリペプチドは、対応する抗IL−2抗体に対
して唯1個の沈降線を示す。IL−2活性は2−メルカプ
トエタノールで還元後も安定であり、DNAse及びRNAse処
理しても、又56℃,30分熱処理しても安定である。活性
はpH2〜9で安定である。この様にして生産されたIL−
2はモノクローナルな機能を有するT細胞(細胞障害性
Tリンパ球)の増殖を促進し、胸腺細胞の分裂を強め、
更に抗原非存在下、メモリー状態から抗癌特異的細胞障
害Tリンパ球への分化を惹き起こす。また、YAC−1細
胞や 細胞に対するナチュラルキラー細胞の活性化の増強に役
立つ。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
実施例1 (1) ヒトT細胞系白血病細胞株であるジュルカット
細胞(日本、西独および米国では自由に入手可能であ
る)を10%FCSを含むRPMI 1640培地にけん濁し、X線照
射装置Exs 150/300−4(東芝・日本)により50秒間、
室温で10,000レントゲンに達するまで照射した。その後
照射された細胞は上述の培地中、初期細胞密度1×105
個/mlで5%炭酸ガス、37℃のインキュベーター中で5
日間培養した。
この変異細胞(0.2個/穴)を96穴の平底のマイクロ
プレートの10穴にまき、5%炭酸ガス、37℃のインキュ
ベーター中で21日間培養した。生育してくる穴から得ら
れるクローンはクローン量を増加させるため新たな培地
へ移し、その増加したクローンはConA 50μg/ml存在下
で初期細胞密度1×106個/mlで24時間培養した。そして
IL−2活性は前述の方法に従って測定した。
この結果、ジュルカット−111(ATCC CRL 8129)(以
後“J−111"と称する)と命名されたヒトT細胞株が親
株のジュルカットからクローン化、選択され、この細胞
のIL−2産生能は親株の40倍に増加していた。
このクローン化したJ−111細胞株は通常条件下で増
殖し、その増殖速度は通常のジュルカット細胞とほとん
ど同じであった。
(2) J−111細胞(1×105個/ml)を無血清合成培
地RIT C 55−9(Sato,T.et al.,Exp.Cell Res.,138,12
7−134,(1982))1000mlに接種し、ローラー培養ボト
ル(ファルコン3027)内で37℃、4日間培養し、増殖し
た細胞を遠心分離により取得した。この細胞を再び4×
106個/mlとなるよう上述のConA 25μg/ml含有培地に接
種した。ローラー培養ボトル(ファルコン)4バッチの
各々に細胞を接種した培養液100mlを入れ、6時間回転
培養した。
(3) このようにConA 25μg/mlで6時間刺激したジ
ュルカット細胞(1.2×106)は生理食塩−リン酸緩衝液
(以後PBSと略す)8,000mlに懸濁した。この細胞は遠心
操作により2回洗浄し、ヌクレアーゼ阻害剤であるリボ
ヌクレオシド−バナデイル複合体(10mM)を含有するRS
B溶液(10mlトリス−塩酸緩衝液、pH7.5、10mM NaCl、
1.5mM MgCl2)800mlに再懸濁した。その後、界面活性剤
NP−40を最終濃度0.05%となるように加え、ゆっくり混
合し、細胞核を3,000rpm、5分、4℃下で遠心し分離し
た。SDS(0.5%)及びEDTA(5mM)を上清液へ加え、細
胞質RNAを上清液と同量のフェノールを加え抽出した。
フェノールによる抽出を3回繰返した後、RNAは2倍量
のエタノールにより沈澱され、本沈澱物を遠心により集
め、pH7.5の10mMトリス−塩酸に溶解した。得られたRNA
量は196mgであった。
mRNAの分画はオリゴ(dT)−セルロース(P.L.Bioche
micals,Type 7)のアフィニティークロマトグラフィー
を使用し行った。吸着液は20mMトリス−塩酸、0.5M NaC
l、1mM EDTA及び0.5%SDSを含むpH7.5の溶液であり、溶
出はカラムを緩衝液(20mMトリス−塩酸、pH7.5、0.5M
NaCl、1mM EDTA)で洗浄後、水と10mMトリス−塩酸(pH
7.5)で交互に行った。溶出により得られたmRNAは3.6mg
であった。次にこの得られたmRNA 2.4mgを蔗糖密度勾配
遠心法(50mMトリス−塩酸、1mM EDTA、0.2M NaClを含
むpH7.5の溶液中で蔗糖密度勾配5−25%、26,000rpmで
4℃下24時間)により分画した。mRNAの11から12Sが分
画No.12、13、14へ分画され、各々59μg、46μg、60
μgであった。
(4) No.13の分画に得られたmRNAをアフリカツメガ
エル(Xenopus Iaevis)の卵母細胞へ注入した(50ng m
RNA/卵母細胞)。この卵母細胞の培養液をIL−2活性測
定した。表1に示す如く、3H−チミジン(3H−TdR)の
取込みの上昇及び活性化Tリンパ球数の増加が確認さ
れ、明らかにこの分画中のmRNAはヒトIL−2 mRNAを含ん
でいる事が立証された。
(5) その後IL−2 mRNAを含む11〜12S mRNAのNo.13
分画からin vitroでcDNAを合成した。
組換え体DNAはプラスミドベクターpBR322と構成し
た。組換え体DNAをエシェリヒア・コリに形質転換し、I
L−2 cDNAクローンを獲得したクローンを以下に示す如
き方法により選択した。
(5−1)50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、30mM Na
Cl、6mM MgCl2、5mMジチオスレイトール(以後DTTと略
す)、0.5mMの各dATP、dGTP、dCTP、dTTP(dCTPは32P放
射標識したものを含む)、0.7μgオリゴ(dT)10、10
μg mRNA及び15単位AMV逆転写酵素(J.W.Beard)を混合
し、41℃下で90分保った。反応終了後、DNAはフェノー
ル処理後エタノール沈澱物として回収し、このDNAを20m
Mトリスおよび1mM EDTAを含むpH7.5の溶液に溶解した。
ss−cDNA2.5μgが合成された。本反応液よりmRNAを
除くために反応液にNaOH溶液を加えて0.33N NaOH溶液と
し、室温にて15時間置き、次いでpH7.5の1Mトリス−塩
酸緩衝液を同量加えて中和しセファデックスG−50カラ
ムをカラムを通した。回収されたcDNAは1.8μgであっ
た。
(5−2)50mMリン酸緩衝液(pH7.5)、10mM MgCl2、1
0mM DTT、0.75mMの各dATP、dGTP、dCTP、dTTP(dCTPは3
Hで標識したものを含む)、1.8μg ss−cDNAおよび8単
位ポリメレースI(BRL、米国)を混ぜ15時間、15℃で
反応を行った。反応終了後DNAをフェノール及びクロロ
ホルム処理後エタノール沈澱物として回収した。1.10μ
gのds−cDNAが生成した。50mM酢酸ソーダ(pH4.5)、
0.2M NaCl、1mM ZnCl2および1.10μg二本鎖cDNAの混合
物を37℃で30分間インキュベートした後、0.25単位のヌ
クレアーゼS1(三井、日本)を加え、さらに15分間イン
キュベートした。反応終了後、フェノール処理を2回行
った反応生成物をセファデックスG−50へ供し、二本鎖
cDNA 0.55μgを得た。
(5−3)0.14Mカコジル酸カリウム、30mMトリス塩
基、0.1mM DTT、1mM CoCl2、0.64mM 32P−dCTP(比活性
2.7×106cpm/n mol)、0.55μg ds−cDNAおよび5単位
のターミナルトランスフェラーゼ(BRL)を混合し、37
℃で7分間インキュベートした後フェノール処理し、次
いでセファデックスG−50カラムに供し、エタノール沈
澱物として0.50μg DNAを得た。回収したこのDNAは約50
個のdCMP残基が両3′末端に付加されている事が判明し
た。
pBR 322 DNA 10μgを制限酵素Pst Iで切断したのちd
CTPのかわりにdGTPを用いたこと以外は前述のds−cDNA
にdCMP鎖を付加したときに用いた方法と全く同じ条件に
より、切断したDNAの両3′末端にdGMP鎖を付加した。
(5−4)50mMトリス−塩酸(pH7.5)0.1M NaCl、5mM
DETA、0.05μg dGMP残基付加pBR 322および0.01μg dCM
P残基付加cDNAをまず65℃で2時間、次いで46℃で120分
間、さらに37℃で60分間、そして室温で60分間インキュ
ベートした。
エシェリヒア・コリχ1776(Curtiss III,R.et al.,i
n Molecular Cloning of Recombinant DNA,(W.A.Scott
& R.Werner ed.)Academic Press,(1977))を50ml
のL培地(100μg/mlのジアミノピメリン酸、50μg/ml
のチミジン、1%トリプトファン、0.5%酵母エキス、
0.5%NaClおよび0.1%グルコースを含む)に接種し培養
液の吸光度が562nmで0.3付近になるまで37℃で振とう培
養した。培養終了後、培養液を30分間0℃に保持し、菌
体を遠心分離により集め、5mMトリス−塩酸(pH7.6)、
0.1M NaCl、5mM MgCl2および10mM RbClを含む溶液25ml
で2回洗浄した。
得られた菌体を5mMトリス−塩酸(pH7.6)、0.25M KC
l、5mM MgCl2、0.1M CaCl2および10mM RbClを含む溶液2
0mlに懸濁し、0℃で25分間静置後、菌体を集め上記と
同じ溶液1mlに菌体を再懸濁し、得られた菌体懸濁液の
0.2mlに上記組換え体DNAを入れ、0℃で60分間静置し
た。その後L培地0.7mlを加え37℃で30分間振とう培養
した。こうして得られた培養液(0.1ml)を100μg/mlジ
アミノピメリン酸、50μg/mlチミジンおよび15μg/mlテ
トラサイクリンを含むL培地の1.5%寒天培地上に一面
に塗抹し、37℃で2日間インキュベートした。
(5−5)出現した432のコロニーを18のグループに分
け、(その各グループは24の異なるバクテリアクローン
を含む)100μg/mlのジアミノピメリン酸、50μg/mlの
チミジンおよび10μgのテトラサイクリンを含むL培地
200mlに接種し、37℃で5〜7時間振とう培養した。次
に最終濃度170μg/mlとなるように加えられたクロラム
フェニコールを含む新たなL培地200mlを加え、さらに
一晩培養した。
このようにして増強されたプラスミドDNAを常法に従
い精製した。
IL−2 cDNAを有するクローンはmRNAハイブリダイゼー
ション−トランスレーションアッセイ(以後H−Tアッ
セイと略称する)により選択した。
ここで用いられたH−Tアッセイは以下に示す如く行
った。
純化したDNA(25μg)を制限酵素Hind IIIにより開
裂しフェノールで3回、フェノール−クロロホルムおよ
びクロロホルムで各々処理し、エタノールで沈澱させ80
%エタノールで洗浄し、80%ホルムアミド40mlに溶解し
た。
反応液を変性させるため90℃で5分間加熱後10×SSC
(1.5M NaCl、0.15Mクエン酸ソーダ)で1.3mlに希釈し
た。その後、本DNAをニトロセルロース濾紙上に固定
し、これを80℃で3時間乾燥させ、50%ホルムアミド、
20mM Pipes(pH6.5)、0.75M NaCl、5mM EDTA、0.2%SD
S及びJ−111細胞由来のpoly(A)mRNA 250μgを含む
溶液中で37℃、18時間インキュベートし、濾紙上に固定
されたDNAとIL−2 mRNAをハイブリダイズした。
次にその濾紙を65℃で3回pH6.5の10mM Pipes,0.15M
NaCl溶液、1mM Pipes,10mM NaCl溶液で洗浄し0.5mM EDT
A、0.1%SDS溶液で95℃、1分間処理し濾紙からハイブ
リダイズしたmRNAを回収した。
このようにして抽出したmRNAを常法に従ってオリゴdT
−セルロースカラム上で精製し、アフリカツメガエル卵
母細胞へ注入し、翻訳された蛋白のIL−2活性を測定し
た。
各々24クローンからなる18グループのうちの1グルー
プが前述の3H−TdR取込みによるアッセイで48単位/mlの
IL−2活性陽性を示した。一方他のグループは明らかに
陰性であった。
次に、陽性のグループに属する24の各単一コロニーを
既述と同じ組成のL培地200mlへ接種し、37℃で5〜7
時間好気的に培養し、同様にクロラムフェニコール含有
のL培地をさらに添加した。
一晩培養して、プラスミドDNAを増強後、プラスミドD
NAを同様に標準法に従って精製した。Hind IIIで各プラ
スミドDNA約5μgを開裂後、各プラスミドを同様にニ
トロセルロース濾紙へ固定した。その濾紙をIL−2 mRNA
とハイブリダイズし、ハイブリダイズしたmRNAをアフリ
カツメガエル卵母細胞へ注入し、翻訳された蛋白のIL−
2活性を測定するため回収した。
表2に示す如く、p3−16と表示した単一コロニーから
精製されたプラスミドDNAのみが陽性のIL−2活性を示
した。それ故、本クローンがIL−2 cDNAを有するクロー
ン(E.coli χ 1776/p3−16 AJ11995(FERM−BP−22
5))と同定された。このようにプラスミドDNA、p3−16
はIL−2 mRNAと特異的ハイブリッドを形成する能力のあ
るDNA(IL−2遺伝子)を確かに有している事が確認さ
れた。
プラスミドp3−16のcDNAインサートは制限酵素Xba I
により1部位で、又Bst N1により2部位(Xba I開裂部
位の上流及び下流)で切断されるという特徴を示した。
しかしながら、プラスミドp3−16は約650塩基対より構
成されるcDNAインサートを含んでおり、これは明らかに
11〜12Sの大きさのIL−2 mRNAの一部分に相当するもの
である。それ故、他のcDNAライブラリーを、鋳型として
IL−2 mRNAを用い、Land等の方法(Land et al.,Nuclei
c Acids Res.,vol.,p2551,(1981))に従って作製し
た。一本鎖cDNA(1.6μg)を、dCMP残基を付加したIL
−2 mRNA 4μgを用いて合成し、そしてds−cDNAを、DN
AポリメラーゼI(Klenow断片)によりプライマーとし
てオリゴ(dG)12=18を用いる事により合成した。680
塩基対DNAサイズマーカー(size marker)より長いcDNA
(0.6μg)は蔗糖密度勾配遠心法によって得られ、標
準的なG−Cテイリング法によりpBR 322のPst I部位へ
挿入出来た。
組換えDNA体によるエシェリヒア・コリχ1776の形質
転換後、その場所でプローブとしてニック翻訳された
(nick−translated)p3−16 cDNAインサートを用いたG
runstein−Hognessのハイブリダイゼーション法により
約2000コロニーを選別し、およそ850塩基対を含むプラ
スミドpIL 2−50Aを含有するコロニー及び形質転換され
たクローン(エシェリヒア・コリχ1776/pIL2−50A、AJ
11996(FERM−BP−226))を同定した。pIL2−50AのcDN
Aインサートの制限酵素切断図を第1図に示した。
形質転換されたエシェリヒア・コリχ1776/pIL2−50A
からのIL−2ペプタイドをコードしている遺伝子を単離
するため、プラスミドDNAを通常法に従い、菌体からDNA
を単離後制限酵素Pst Iにより切断した。この処理によ
り生成する2つのDNA断片のうちより小さな断片はIL−
2ペプタイドをコードしているDNA遺伝子であった。pIL
2−50AからのPst Iインサートの完全なヌクレオチド配
列はMaxam and Gilbertの方法(Maxam,A.W.et al.,Enzy
m.65.,499−560,1980)により決定した。全構造を第2
図(a)に示す。
実施例2 実施例1に記載された方法に従ってジュルカット細胞
からクローン化された構成的IL−2産生細胞株J−A 18
86(ATCC CRL 8130)は同様にローラー培養ボトルで生
育した。生育した細胞は初期細胞密度1×106個/mlで新
鮮な合成培地RITC−55−9に再懸濁し、培養開始8時間
後に、実施例1で詳細に示したステップに従って3×10
9個の細胞から11〜12S分画としてのIL−2mRNA抽出のた
めに使用された。
ds−cDNAは実施例1と同様に合成され、600塩基対よ
り長いcDNA(2.4μg)が蔗糖密度勾配遠心法による分
画により得られた。次にこのcDNAをターミナルデオキシ
ヌクレオチジルトランスフェラーゼを用い、dCMP残基で
伸長し、その50ngがdGMPで伸長したPst I切断pBR 322 2
50ngとアニールされた。
生成したハイブリッドプラスミドはエシェリヒア・コ
リχ1776に形質転換され、約4,000クローンのトランス
ホーマントが得られた。
Grunstein−Hognessの方法に従い、プローブとして用
いたプラスミド3−16 cDNAと相補的な3個のクローン
が選択された。すなわち、このようにして選択された形
質転換されたクローンはヒトIL−2遺伝子を有するクロ
ーンである。
実施例3 エシェリヒア・コリ細胞でヒトIL−2の合成を指令す
るプラスミドを以下の如き方法で構築した。
プラスミドpT IL2−22は第4(a)図で図解されてい
る如く、一連の改変の方法によりpTrS−3(Nishi T.,T
aniguchi T.et al.,SEIKAGAKU 53,967,(1981),同54,
676(1982))及びIL−2 cDNAを含むpIL2−50Aから構築
した。プラスミドpTrS−3はTrpプロモーターとpBR 322
のEco RI部位とCla I部位の間にShine Dalgarno(以後S
Dと略号する)の領域の挿入を含む。
本プラスミドはまた第3図で示した如く、単一のSph
I部位と同様にSD配列の下流13bpにATGイニシエーション
コードンを含んでいる。
言及している蛋白に対応するDNA配列がATGコードンの
丁度下流の部位に挿入されるとそのベクターはこの蛋白
を生産するには非常に効果的である。このATGコードン
はpTrS−3のSph I消化に引続きT4 DNAポリメラーゼに
よる処理によって生成される。それ故プラスミドpTrS−
3(30μg)は制限酵素Sph Iで、常法により切断さ
れ、引続きフェノール,クロロホルム処理,エタノール
沈澱法により回収され両末端がT4 DNAポリメラーゼ処理
によりフラッシュにされた。
次に、同様の方法によりフェノール,クロロホルム処
理及びエタノール沈澱法によりDNA(21.4μg)を回収
した。他方IL−2 cDNAを含むPIL2−50A 380μgはPst I
により切断され、IL−2 cDNAインサートはアガロースゲ
ル電気泳動により単離された。cDNAインサート(11μ
g)はHgiA Iにより切断され、T4 DNAポリメラーゼによ
って処理され、大きい方の部分のDNA 10μgがアガロー
スゲル電気泳動により単離された。本法に従って132個
のアミノ酸をコードするcDNA(7.2μg)が得られ、こ
のDNA断片はブラントエンドを有していた(第4(a)
図)。
次に、このようにして得られたcDNA断片をATG配列の
丁度下流で、前もってSph Iにより消化されたT4 DNAポ
リメラーゼにより処理されたpTrS−3ベクターへ連結し
た。このように連結したプラスミドはそれから、常法に
従いエシェリヒア・コリHB 101へ形質転換された。この
連結は次のようにして行った。IL−2 cDNA(0.4μg)
の前述の大きい方の断片およびpTrS−3ベクターDNA 0.
2μgを6.6mM MgCl2,1mM ATPおよび10mM DTTを含むpH7.
5の66mMトリス−塩酸中でT4 DNAリガーゼ0.8単位と共に
混合し、混合物を4℃,一晩反応させた。アンピシリン
を含むL培地寒天プレート上に出現するトランスホーマ
ントの中で、132個のアミノ酸をコードしているIL−2 c
DNA部分を含むプラスミドを持つコロニーをその場でコ
ロニーハイブリダイゼーションアッセイ法により選択し
た。こうして選択したコロニーを再び培養(10ml)し、
リゾチーム処理および凍結,融解による処理によりプラ
スミドDNAを調製した。このプラスミドDNAをPst IとXba
Iで切断し、その結果の生成物をアガロースゲル電気泳
動により分析し、cDNAがpTrS−3のATG配列の後に正し
い方向で凍結しているpTIL−2−22を同定した。
pTIL−2−22を含むエシェリヒア・コリHB 101を微生
物の増殖のために知られている通常法の下に培養した。
細胞は25μg/mlストレプトマイシンおよび25μg/mlのア
ンピシリンを含むχ培地(2.5%バクトトリプトン,1%
酵母エキス,0.1%グルコース,20mM MgSO4,50mMトリス−
塩酸,pH7.5)10ml中で37℃で一晩生育させた。ついで培
養懸濁液1mlを同じχ培地(100ml)へ接種し、37℃で培
養した。650mμのO.D.がおよそ1.5−2.0に達した時点で
3−インドールアクリル酸(IAA)を加えた。インデュ
ーサーの添加3時間後に、細胞を集め、20mMトリス−塩
酸(pH7.5,30mM NaClを含む)で洗浄し、同じ緩衝液8ml
中に再び懸濁した。
Trpプロモーターの効果的な機能発現のために、IAAの
如きインデューサーを最終濃度50μg/mlになるように添
加した。かくして細菌細胞中に産生される蛋白をソニッ
ク処理(0℃,2分間)またはリゾチーム(8μg)消化
(0℃,20分)に引き続き凍結融解を3回行う事により
抽出した。この方法により、一般的にIL−2は細胞から
抽出された。抽出されたIL−2活性は10,000から120,00
0単位/mlの範囲であった。
pTIL2−22を含むエシェリヒア・コリHB 101(AJ 1200
9)はFERM−BP245として寄託されている。
実施例4 IL−2 cDNAを有するプラスミドpTuIL2−22はpTuBlP−
5(Taniguchi,T.et al.,Seikagaku,53,966,1981)およ
び実施例3に示したpTIL2−22から第6図に図解した方
法により構築された。プラスミドpTuBlP−5はpBR322中
にtufBのプロモーター配列が挿入されている。このプラ
スミドはまた単一のCla I部位を含んでおり、これは、
第6図に示した如くSD配列の2bp下流に位置している。p
TrS−3もまたSD配列とATGイニシェーションコードンの
間にCla I部位を含んでおり、このCla I部位は実施例3
に記載した如くpTrS−3およびIL−2 cDNAを用いる事に
よる発現プラスミド構築中に破壊されないことから、Tr
pプロモーターをtufBプロモーターに置き換える事はき
わめて簡単であり、その結果IL−2 cDNAはtufBプロモー
ターの制御下で発現される。
それ故、プラスミドpTIL2−22(30μg)は制限酵素C
la IとPvu IIにより通常の方法で切断された。IL−2 cD
NAを含む断片(約2.2kb)はアガロースゲル電気泳動に
より単離精製され、3μgのDNAが回収された。他方,pT
uBlP−5ベクター20μgが同様にCla IとPvu IIにより
切断され、アンピシリン耐性遺伝子を含む大きい方の断
片(約3.4kb)がアガロースゲル電気泳動により単離精
製され、DNA3.5μgが回収された。次にこのようにして
得られた2個の断片は1つはtufBプロモーターを含み
(約3.4kb)、他方はIL−2 cDNAを含んでおり(約2.2k
b)以下に示す如く連結した。
IL−2 cDNA(1.2μg)を含む断片およびtufBプロモ
ーターを含む断片0.3μgを6.6mM MgCl2,1mM ATPおよび
10mM DTTを含むpH7.5の66mMトリス−塩酸中で、T4 DNA
リガーゼ0.8単位と混合し、4℃で一晩反応した。次に
このようにして連結したプラスミドは常法に従いエシェ
リヒア・コリHB 101へ形質転換された。
アンピシリンを含むL培地寒天プレート上に出現する
トランスホーマントの中で第6図のpTuIL2−22の如くIL
−2 cDNA部分を含む組み換え体DNAを持つ8個のコロニ
ーが選択され、プラスミドDNAは実施例3に記載された
如く調製された。
pTuIL−2−22を含むエシェリヒア・コリHB 101を37
℃でL培地(100ml)中で培養した。650mμのO.D.がお
よそ0.5−1.0に達した時、菌体を集め、30mM NaClを含
む20mMトリス−塩酸(pH7.5)で洗浄し、同じ緩衝液2ml
中に再び懸濁した。このようにして産生した蛋白は実施
例3と同様に抽出された。抽出液中のIL−2活性は6,00
0から56,000単位/mlの範囲であった。
pTuIL2−22を含むエシェリヒア・コリHB 101(AJ 120
10)はFERM−BP 246として寄託されている。
実施例5 IL−2 cDNAを有するプラスミドpGIL2−22はpGL101(R
oberts,T.M.and Laucer G.D.,Meth Enzym.,68,473−48
3,(1979),Gail Lauer,et al,J.Mol.Appl.Genet.,,N
o.2,139〜147(1981),T.Taniguchi,et al,Proc.Natl.A
cad.Sci.USA,77,No.9,5230〜5233(1980),Egon Amann,
et al,Gene,25,167〜178(1983))と実施例3に示され
たpTIL2−22とから構築された。
すなわち、lacプロモーターを含むプラスミドpGL 101
(20μg)が制限酵素Pvu IIで常法により切断され、引
続きフェノール,クロロホルム処理およびエタノール沈
澱法により17μgのDNAが回収された。他方、pTIL2−22
(75μg)の方はCla IおよびSal Iで切断し、アガロー
スゲル電気泳動によりIL−2 cDNAが含むDNA断片2.2μg
を回収した。この断片はDNAポリメラーゼI(クレノウ
断片)で処理する事によりフラッシュにされた。次にこ
のようにして得られた2個の断片(0.25μgおよび0.66
μg)を実施例4と同じ方法でT4 DNAリガーゼ1.0単位
でもって連結した。かくしてこの連結したプラスミドは
常法に従いエシェリヒア・コリHB 101に形質転換され
た。トランスホーマントの中で、IL−2 cDNAを含むCla
I−Sal I断片の挿入を有するトランスホーマント32Pラ
ベルしたIL−2 cDNAをプローブとして選択した。次にこ
れ等のトランスホーマントを、アンピシリン25μg/mlを
含む10mlのχ培地中で培養し、実施例3で記載した方法
によりプラスミドDNAを調製した。かくしてlacプロモー
ターの丁度下流にIL−2 cDNAの開始配列ATGを有するプ
ラスミドDNAはPst IおよびXba Iでの切断部位を検定す
る事により得られた。このようにして得られたpGIL2−2
2を含むエシェリヒア・コリHB 101は25μg/mlアンピシ
リンおよび25μg/mlストレプトマイシンを含有するL培
地100mlに接種して培養した。650mμのO.D.が約0.5に達
した時イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノサイ
ド(IPTG)を1mMの濃度で加え、1時間後に菌体を集
め、実施例4に記載した方法に従って菌体抽出液を調製
した。抽出液のIL−2活性は6,000から80,000単位/mlの
範囲であった。
pGIL2−22を含むエシェリヒア・コリHB 101(AJ 1201
1)はFERM−BP 247として寄託されている。
実施例6 プラスミドpTrS−3(10μg)を先ず制限酵素Sal I
で切断しSal I部位をDNAポリメラーゼ(クレノウ断片)
あるいはT4 DNAポリメラーゼ処理によりフラッシュ(fl
ush)にした。
Cla Iで切断後、Trpプロモーター領域を有する大きい
方の断片を常法に従ってアガロースゲル電気泳動により
単離精製し、DNA 3μgを回収した。
他方、pIL2−50AのPst I切断により得られるcDNAイン
サート11μgがHgiAIで切断され、T4 DNAポリメラーゼ
処理され、大きい方の断片がアガロースゲル電気泳動に
より単離,精製された。このようにしてIL−2の132個
のアミノ酸をコードするcDNA断片が7.2μg得られた。
次に、trPプロモーター(上記)を含む断片0.45μg,IL
−2 cDNAを含むHgiAI−Pst I断片0.5μgおよび合成オ
リゴヌクレオチド(5′)CGATAAGCTATGGCA(3′)と
(3′)TATTCGATACCGT(5′)(各々20pmole)は両方
とも5′末端でリン酸化されているが、これ等を実施例
3に記載されている方法と同じ方法でT4 DNAリガーゼ1
単位で連結した(第4図(b))。このように連結され
たプラスミドはエシェリヒア・コリHB 101に形質転換さ
れた。出現したトランスホーマントの中で、目標とする
トランスホーマントは次のようにして選択した。まず最
初に、IL−2 cDNAおよび合成オリゴヌクレオチドの両方
とハイブリダイズ可能なトランスホーマントがコロニー
ハイブリダイゼーション法により選択された。次に、AT
GGCA配列の丁度下流に第2図(a)の111から113の位置
のCTT配列から始まるDNA断片(CCTACT………)が挿入さ
れているプラスミドDNAを持ったトランスホーマントをP
st I,Xba I切断個所を検定することにより選択した。
pTIL2−21aまたはpTIL2−21bを含む上記のトランスホ
ーマントを実施例3に示す方法によりL培地中で培養
し、そして実施例3に示す方法により分析した時トラン
スホーマントの菌体抽出物には高いIL−2活性が認めら
れた。pTIL2−21aを有するエシェリヒア・コリHB 101
(AJ 12013)およびpTIL2−21bを有するエシェリヒア・
コリ(AJ 12014)を有するエシェリヒア・コリHB 101は
それぞれFERM−BP 248,FERM−BP 249として寄託されて
いる。
上記の実施例で用いられた宿主,エシェリヒア・コリ
χ1776およびHB 101(Boyer H.W.et al.,J.Mol.Biol.41
459,(1969))は公知であり、容易に入手可能である。
更につけ加えれば、トランスホーマント中の組換えDNA
体を遊離させるためにL培地で37℃でトランスホーマン
トを培養し、テトラサイクリンおよびアンピシリンに感
受性となった菌体を分離すれば寄託したトランスホーマ
ントから宿主は容易に得られる。
プラスミドベクターpBR 322(例えばベセスダリサー
チラボラトリーから購入可能),pCE−1,pTrS−3および
pGL 101は公知であり容易に入手可能である。更に、常
法によりトランスホーマント中の組換え体プラスミドを
分離することによってさらにそれぞれの実施例での説明
から当然に明らかな如くプラスミドベクターを分離する
ことによって寄託されたトランスホーマントからプラス
ミドベクターを得る事が出来る。pTrS−3およびpTuBlP
−5はそれぞれエシェリヒア・コリFERM−P6735(BP 32
8)およびエシェリヒア・コリATCC 31878として寄託さ
れている。
【図面の簡単な説明】 第1図はIL−2活性を有するポリペプチドをコードした
クローン化遺伝子の制限酵素エンドヌクレアーゼによる
切断マップを示し、第2図(a)はクローン化遺伝子の
塩基配列を示し、第2図(b)はIL−2活性を有するポ
リペプチドのアミノ酸配列I,IIおよびIIIを示す。 第3図はプラスミドベクターpTrS−3を示す。第4図
(a),第4図(b)および第4図(c)はベクターと
してpTrS−3を使用している組換えDNAs(pTIL2−22,pT
IL2−21,pTIL2−14およびpTIL2−15)の構成を示すフロ
ーチャートである。第5図はベクターとしてpKT 218を
使用している組換えDNA(pKIL2−21)の構成を示すフロ
ーチャートである。第6図はベクターとしてpTUBlP−5
を使用している組換えDNA(pTuIL2−22)の構成を示す
フローチャートである。 図中、“A",“G",“C"および“T"はデオキシアデニル
酸,デオキシグアニル酸,デオキシシチジル酸およびチ
ミジル酸をそれぞれ表わす。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A61K 38/00 ABA ADU (C12P 21/02 C12R 1:19) A61K 37/02 ABA (72)発明者 松井 裕 神奈川県横浜市金沢区並木1丁目19―16― 101 (72)発明者 鹿島 信一 神奈川県横浜市旭区若葉台2―21―603 (72)発明者 羽室 淳爾 神奈川県横浜市戸塚区深谷町241―32

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原核細胞に適合しうるプラスミドベクター
    のDNA鎖の上流より、それぞれ原核細胞内で機能するプ
    ロモーター、リボゾーム結合部位、翻訳開始コドンおよ
    び式: で示されるアミノ酸配列を含むヒトインターロイキン2
    活性を有するポリペプチドまたは該ポリペプチドのアミ
    ノ酸配列に対し1もしくは数個のアミノ酸を欠失、付加
    あるいは置換がされたアミノ酸配列を有するヒトインタ
    ーロイキン2活性を有するポリペプチドをコードする遺
    伝子を順次配列してなる組換えDNA体により形質転換さ
    れた原核生物の細胞を培地中で培養することを特徴とす
    る、糖鎖を伴わず、ヒト由来の他の蛋白質を実質的に含
    有しないヒトインターロイキン2活性を有するポリペプ
    チドの製造法。
JP1109058A 1983-02-03 1989-05-01 ヒトインターロイキン2活性をもつポリペプチドの製造法 Expired - Lifetime JPH0832238B2 (ja)

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