JPH08314313A - 定着ロールの製法 - Google Patents

定着ロールの製法

Info

Publication number
JPH08314313A
JPH08314313A JP11885795A JP11885795A JPH08314313A JP H08314313 A JPH08314313 A JP H08314313A JP 11885795 A JP11885795 A JP 11885795A JP 11885795 A JP11885795 A JP 11885795A JP H08314313 A JPH08314313 A JP H08314313A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
oil
coating liquid
outer periphery
forming
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11885795A
Other languages
English (en)
Inventor
Hirobumi Okuda
博文 奥田
Yasuhito Suzuki
康仁 鈴木
Kazunori Toyama
和徳 遠山
Koji Yamaguchi
浩二 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP11885795A priority Critical patent/JPH08314313A/ja
Publication of JPH08314313A publication Critical patent/JPH08314313A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Surface Heating Bodies (AREA)
  • Control Of Resistance Heating (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】低コストで、トナー離型性および耐久性に優
れ、しかも平滑な表面形成による高画質の画像が得られ
る定着ロールの製法の提供する。 【構成】軸体の外周に熱伝導性付与層形成材料からなる
熱伝導性付与層を形成する。つぎに、熱伝導性付与層の
外周に、オイルバリア層形成用コーティング液を塗工
し、ついで、このオイルバリア層形成用コーティング液
の塗工面の外周に、下記に示す(A)〜(C)成分を含
有するオイル膨潤層形成用コーティング液を塗工する。
オーブンによる加熱加硫を行う。この熱伝導性付与層2
の外周にオイルバリア層3が形成され、さらにこのオイ
ルバリア層3の外周にオイル膨潤層4を形成する。 (A)フロロシリコーンゴム。 (B)25〜100重量部の配合割合に設定されたパー
オキサイド系架橋剤。 (C)二次凝集粒子の平均粒子径が1μm以下の充填
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電子写真複写機,プ
リンター等に用いられる定着ロールの製法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】電子写真複写方式による複写機におい
て、複写紙に転写されたトナー像を定着させる方式とし
て、例えばつぎのような熱ロール定着方式によるトナー
の定着が行われている。すなわち、感光ドラムの外周面
上に形成された静電潜像にトナーを吸着させ、このトナ
ーを複写紙面上に転写させる。ついで、図2に示すよう
に、各々その内部に熱源となるハロゲンランプ16a,
16bを備えた一対の定着ロール6と加圧ロール7の間
に、矢印方向に、上記トナー14が転写された複写紙1
3を通して上記トナー14を加熱溶融させるとともに上
記一対のロール6,7間の圧力によりトナー14を複写
紙13に浸透させてトナー15(定着像)を定着させる
ことが行われている。図2において、10は入口側ガイ
ド、11は出口側ガイド、12は分離爪である。
【0003】このような定着ロール6としては、つぎに
示すような構造のものがあげられる。芯金の外周に、
シリコーンゴムからなる弾性体層が形成され、この弾性
体層の外周にフッ素ゴムからなる離型層が形成された定
着ロール(2層構造)があげられる。また、芯金の外
周に、シリコーンゴムからなる弾性体層が形成され、こ
の弾性体層の外周にフッ素ゴム層が形成され、さらにこ
のフッ素ゴム層の外周にシリコーンゴム層が形成された
定着ロール(3層構造)があげられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、特に、フルカラ
ー複写機では、画像再現性を向上させるために、定着部
でのトナー溶融性を高めており、その結果、定着ロール
表面にトナーが付着し鮮明な画像が得られ難いという問
題が発生している。そのため、従来から、定着ロール表
面に離型性をもたせるために、シリコーンオイルを塗布
し、定着ロール表面へのトナーの付着防止が図られてい
る。例えば、上記の定着ロールでは、ロールの最外層
がフッ素ゴムにより形成されていることから、ジメチル
シリコーンオイル等の通常のシリコーンオイルでは、オ
イルがはじかれてしまい、最外層に対して濡れ性が悪
い。このことから、この濡れ性を改良するために、変性
シリコーンオイルが用いられる。が、この変性シリコー
ンオイルは高価であることからコストが高くなり、しか
も、上記変性シリコーンオイルの変性基が熱劣化するた
め、離型作用が低下するという問題が生じる。また、上
記の定着ロールは、中間層にシリコーンオイルのバリ
ア層となるフッ素ゴム層を形成することによりシリコー
ンオイルによる膨潤を最外層のシリコーンゴム層に限定
して、ロール全体の寸法安定性を確保したものである。
しかし、最外層のシリコーンゴム層にシリコーンオイル
の濡れ膜が形成されるとともに、余分なシリコーンオイ
ルがシリコーンゴム層内に浸入してシリコーンゴム層自
身が膨潤することから、表面の平滑度合いが悪くなり、
しかも耐摩耗性に乏しく摩耗劣化によるロールの耐久性
に問題が生じる。
【0005】この発明は、このような事情に鑑みなされ
たもので、低コストで、トナー離型性および耐久性に優
れ、しかも平滑な表面形成による高画質の画像が得られ
る定着ロールの製法の提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明の定着ロールの製法は、軸体の外周に熱伝
導性付与層形成材料からなる熱伝導性付与層を形成する
工程と、上記熱伝導性付与層の外周に、オイルバリア層
形成用コーティング液を塗工し、ついで、このオイルバ
リア層形成用コーティング液の塗工面の外周に、下記に
示す(A)〜(C)成分を含有するオイル膨潤層形成用
コーティング液を塗工する工程と、上記2種類のコーテ
ィング液を塗工した後、オーブンによる加熱加硫を行い
オイルバリア層、および、シリコーンオイルの膨潤量が
1〜8重量%に設定されたオイル膨潤層の二層を同時に
形成する工程とを備えたという構成をとる。 (A)フロロシリコーンゴム。 (B)上記(A)成分であるフロロシリコーンゴム10
0重量部に対して、25〜100重量部の配合割合に設
定されたパーオキサイド系架橋剤。 (C)二次凝集粒子の平均粒子径が1μm以下の充填
剤。
【0007】
【作用】本発明者らは、耐久性の低下を防止するととも
にトナー離型性に優れた定着ロールを低コストで製造す
ることが可能な材料および製造工程を見出すべく一連の
研究を重ねた。その結果、ロールの最外層となるオイル
膨潤層形成材料として、フロロシリコーンゴム〔(A)
成分〕を主とするコーティング液を用いてオイル膨潤層
を形成し、このオイル膨潤層のシリコーンオイルの膨潤
量を特定の範囲に設定すると、適度なシリコーンオイル
の膨潤により、トナー離型性が付与されるとともに、耐
久性の低下を防止することも可能となることを見出し
た。しかし、フロロシリコーンゴムを主成分として形成
される膜層は、膨潤量を特定の範囲に設定しているとは
いえ、シリコーンオイルで膨潤するために、層の厚みを
薄くして寸法変化を抑制する必要がある。このため、例
えば、この層の厚みを数十μmオーダーの膜厚制御が必
要となり、従来の金型成形による層形成では、研磨工程
が必要とされていた。しかし、金型成形によりmmオー
ダーで形成された層の大部分が研磨により取り除かれる
ことになり、材料の無駄が発生する。また、研磨時間が
非常に長くなり、コストが高くなるとともに、製造工程
が煩雑となる。このため、上記研磨工程なしで膜厚制御
が可能な層形成方法である、コーティング液を用いた成
膜法が非常に有効であることを突き止めた。そして、こ
のコーティング液を用いた成膜およびオーブン架橋が可
能となる上記オイル膨潤層形成材料について、さらに研
究を重ねた。その結果、架橋剤であるパーオキサイド系
架橋剤〔(B)成分〕の配合量を、上記フロロシリコー
ンゴム100重量部(以下「部」と略す)に対して25
〜100部の範囲に設定することにより、オーブン架橋
によるオイル膨潤層形成においても、寸法変化を最小限
に抑えることが可能となり、しかも、優れた耐摩耗性を
備えたオイル膨潤層を形成することが可能となることを
見出した。そして、上記パーオキサイド系架橋剤を上記
配合量に設定することにより、高価なフロロシリコーン
ゴムの使用量を必要最小限に抑制することができロール
の低コスト化が図れるようになる。さらに、通常、充填
剤をロールやニーダー等で固体分散した場合、分散が不
充分となり径の大きな二次凝集粒子が形成されるが、溶
剤を用いてコーティング液とし、ボールミル等の溶液分
散処理を行うことにより、充填剤〔(C)成分〕の二次
凝集粒子の平均粒子径は1μm以下にまで分散可能とな
り、平滑な膜層の形成が可能となることを突き止めた。
【0008】つぎに、この発明を詳細に説明する。
【0009】この発明の定着ロールの製法により得られ
る定着ロールは、軸体と、上記軸体の外周に形成される
熱伝導性付与層と、この熱伝導性付与層の外周に形成さ
れるオイルバリア層と、このオイルバリア層の外周に形
成されるオイル膨潤層とから構成される。
【0010】上記軸体としては、通常、内部を中空にく
り抜いた金属製の略円筒体が用いられる。
【0011】上記軸体の外周に形成される熱伝導性付与
層は、一般に、定着ロールが加熱圧着による定着方式に
用いられるため、その耐熱性、高熱伝導性および柔軟性
を有するという観点からシリコーンゴムを主成分とする
形成材料を用いて形成される。
【0012】上記シリコーンゴムとしては、特に限定す
るものではなく従来公知のものが用いられる。なかでも
HTV型シリコーンゴム(高温架橋型シリコーンゴム)
を用いることが好ましく、例えばメチルビニルシリコー
ンゴム,フェニルメチルシリコーンゴム等があげられ
る。
【0013】また、上記熱伝導性付与層形成材料には、
上記シリコーンゴム以外に、必要に応じてエチレン−プ
ロピレンゴム,アクリルゴム,フロロシリコーンゴム等
の耐熱性ゴムを併用することができる。
【0014】上記熱伝導性付与層形成材料には、上記主
成分であるシリコーンゴム以外に、架橋剤,充填剤,触
媒等を必要に応じて適宜に配合することができる。
【0015】上記熱伝導性付与層の外周に形成されるオ
イルバリア層は、最外層を通過して浸入するシリコーン
オイルに対して内層である熱伝導性付与層への浸入およ
び膨潤を防止するために設けられるものである。このた
め、上記オイルバリア層は、シリコーンオイルに対する
バリア特性を有する材料、例えば、フッ素ゴムを主成分
とするコーティング液を用いて形成される。
【0016】上記フッ素ゴム(A成分)としては、2元
フッ化ビニリデン系ゴム,3元フッ化ビニリデン系ゴ
ム,テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム,フル
オロホスファゼン系ゴム等があげられ、これらは単独で
もしくは2種以上併せて用いられる。特に、耐熱性,耐
シリコーンオイル性,コストの点から、2元フッ化ビニ
リデン系ゴムまたは3元フッ化ビニリデン系ゴムを用い
ることが好ましい。また、2種以上併用して用いる場合
の好適な組み合わせは、2元フッ化ビニリデン系ゴムと
3元フッ化ビニリデン系ゴムの併用である。
【0017】また、上記フッ素ゴム以外に、シリコーン
オイルによって膨潤しないフロロシリコーンゴムが用い
られる。このようなフロロシリコーンゴムは、下記の一
般式(1)で表される繰り返し単位を有するタイプのフ
ロロシリコーンゴムである。
【0018】
【化1】
【0019】上記オイルバリア層形成材料であるコーテ
ィング液には、上記主成分であるフッ素ゴム以外に、架
橋剤,充填剤,触媒等を必要に応じて適宜に配合するこ
とができる。
【0020】上記架橋剤としては、特に限定するもので
はなく従来公知のものが用いられる。例えば、ヘキサメ
チレンジアミンカルバメート、N,N′−ジシンナミリ
デン−1,6−ヘキサンジアミン等のアミン系架橋剤、
ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、
t−ブチルクミルパーオキサイド等のパーオキサイド系
架橋剤、ビスフェノールAF等のポリオール系架橋剤が
あげられる。これらは単独で、もしくは2種以上併せて
用いられる。なかでも、架橋性、接着性という観点から
ベンゾイルパーオキサイドを用いることが好ましい。
【0021】上記オイルバリア層の外周に形成されるオ
イル膨潤層は、フロロシリコーンゴム(A成分)と、パ
ーオキサイド系架橋剤(B成分)と、充填剤(C成分)
を含有するコーティング液を用いて形成される。
【0022】上記フロロシリコーンゴム(A成分)は、
熱架橋型のものであって、例えば、下記の式(2)に示
す繰り返し単位を有するフロロシリコーンゴムがあげら
れる。このようなフロロシリコーンゴムとしては、重量
平均分子量としては、1×105 〜8×105 の範囲の
ものを用いることが好ましい。
【0023】
【化2】
【0024】また、上記フロロシリコーンゴム以外に、
下記の式(3)に示す繰り返し単位を有する共重合フロ
ロシリコーンゴムがあげられる。このような共重合フロ
ロシリコーンゴムとしては、重量平均分子量としては、
1×105 〜8×105 の範囲のものを用いることが好
ましい。
【0025】
【化3】
【0026】さらに、オイル膨潤層は、ジメチルシリコ
ーンオイル等のシリコーンオイルの吸収、膨潤による重
量変化として、160℃で24時間の条件でシリコーン
オイルに浸漬した時の膨潤量が、初期に対して1〜8重
量%(以下「%」と略す)の範囲の増加量となるよう設
定される。この膨潤量(ΔW)は、下記の式により算出
される。
【0027】
【数1】膨潤量(%)=〔(浸漬後の重量−初期の重
量)/初期の重量〕×100
【0028】上記膨潤量に設定することにより、最外層
であるオイル膨潤層に離型オイルであるシリコーンオイ
ルを含有させて、良好なトナー離型性を保持することが
可能になると同時に、耐摩耗性も確保できるようにな
る。そして、上記膨潤量が8%を超えて大きくなると、
耐摩耗性の保持が困難となり、耐久性が悪くなる傾向が
みられる。
【0029】上記A成分とともに用いられるパーオキサ
イド系架橋剤(B成分)は、前記オイルバリア層の形成
材料となる架橋剤と同様のものがあげられ、特に限定す
るものではなく従来公知のものが用いられる。例えば、
ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイ
ルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチ
ルクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルペ
ロキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパ
ーオキサイド系架橋剤があげられる。これらは単独でも
しくは2種以上併せて用いられる。なかでも、架橋性、
接着性という観点からベンゾイルパーオキサイドを用い
ることが好ましい。このように、架橋剤としてパーオキ
サイド系架橋剤(B成分)を用いることにより、後述の
オイル膨潤層形成時に、コーティング液を調製する際、
液安定性が良好で、可使期間が長く、ロールの製造作業
性が向上する。また、ゲル化等による形成材料の無駄が
生じず、コスト低減につながる。これは、上記パーオキ
サイド系架橋剤が、室温近傍での反応性が低く、スコー
チが抑制されるためである。
【0030】上記パーオキサイド系架橋剤(B成分)の
配合量は、フロロシリコーンゴム(A成分)100部に
対して25〜100部の範囲に設定する必要がある。特
に好ましくは30〜70部である。すなわち、パーオキ
サイド系架橋剤(B成分)が25部未満では、フロロシ
リコーンゴムを主とするコーティング液からなるコーテ
ィング膜のオーブン架橋が不充分となり、充分なフロロ
シリコーンゴム弾性体としての物性が得られない。ま
た、100部を超えると、オーブン架橋後に、過剰のパ
ーオキサイド系架橋剤の抜けた膜層が多孔質化してしま
い平滑性に富んだ膜層が得られないからである。なお、
上記パーオキサイド系架橋剤の配合量は、熱オーブンに
よる架橋の場合の設定であり、この熱オーブンでは周囲
に空気が存在して生成ラジカルが消失することからパー
オキサイド系架橋剤の配合量を多く設定した。したがっ
て、熱オーブンによる加熱架橋を、不活性ガス雰囲気下
もしくは真空雰囲気下において行う場合には、パーオキ
サイド系架橋剤の配合量を少なく設定することが可能と
なり、材料コストの低減につながる。
【0031】さらに、上記A成分およびB成分とともに
用いられる充填剤(C成分)としては、例えば、シリカ
粉末、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チタン、ケイ酸
カルシウム、酸化亜鉛、カーボンブラック等があげられ
る。特に、補強性の点からシリカ粉末を用いることが好
ましい。そして、オイル膨潤層形成材料として、フロロ
シリコーンゴム(A成分)を溶剤に溶解してコーティン
グ液とした際、充填剤(C成分)を、ボールミル等の溶
液分散手法を用い、ロールやニーダーによる固体分散で
潰しきれない領域である1μm以下にまで分散させる。
すなわち、充填剤(C成分)を含有するコーティング液
中の充填剤の二次凝集粒子の平均粒子径を1μm以下と
する。これにより、表面が平滑なオイル膨潤層を形成す
ることが可能となる。この結果、この発明に基づき得ら
れた定着ロールを用い定着されたコピー画像は光沢のあ
る(写真画像に近い)高画質のものを得ることができ
る。また、この充填剤(C成分)の配合量は、オイル膨
潤層形成材料であるマトリックス材料(溶媒を除く原材
料の総和)全体の20〜80%の範囲に設定することが
好ましい。特に好ましくは30〜50%である。すなわ
ち、充填剤の配合量が20%未満では、強度が低下し
て、摩耗劣化が著しくなり、80%を超えると、ロール
表面での充填剤の露出が多くなり、トナー離型性が低下
する傾向がみられるからである。
【0032】上記オイル膨潤層形成材料には、上記主成
分であるフロロシリコーンゴム(A成分)、パーオキサ
イド系架橋剤(B成分)、充填剤(C成分)以外に、分
散助剤等を必要に応じて適宜に配合することができる。
【0033】この発明の定着ロールは、例えばつぎのよ
うにして作製することができる。すなわち、まず、オイ
ルバリア層形成用およびオイル膨潤層形成用の各コーテ
ィング液をそれぞれ調製する。
【0034】上記オイルバリア層およびオイル膨潤層形
成用の各コーティング液は、つぎのようにして調製され
る。すなわち、各形成材料の構成成分を適宜に配合し、
ロール,ニーダー等で混練し、この混合物に有機溶媒を
加えて、溶解後、ボールミル等の溶液分散処理により混
合,攪拌することにより調製される。特に、オイル膨潤
層形成用コーティング液の調製において、上記ボールミ
ル等の溶液分散処理を行うことにより、前述のように、
充填剤(C成分)の二次凝集粒子の平均粒子径を1μm
以下にまで分散することが可能となる。そして、このよ
うにして調製された各コーティング液の濃度は、例え
ば、それぞれ10〜50%の範囲に設定することが好ま
しい。特に好ましくは15〜30%である。すなわち、
各コーティング液の濃度が10%未満では、目的とする
所定の膜厚が得られ難くなる。また、液たれ等塗布工程
での不具合が発生する。逆に、50%を超えると、粘度
が高くなり作業(塗布)性が悪化する。また、上記と同
様に塗工による膜厚が厚くなり所定の膜厚が得られなく
なる傾向がみられるからである。
【0035】そして、上記各成分を配合してコーティン
グ液を作製する際に用いられる上記有機溶媒としては、
特に限定するものではなく従来公知のものが用いられ
る。例えば、アセトン、メチルエチルケトン(ME
K)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン
類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラ
ヒドロフラン(THF)、酢酸エチル等の極性溶媒等が
あげられる。
【0036】上記のようにして各コーティング液を調製
するとともに、一方で、金属製の軸体の外周に、熱伝導
性付与層形成材料を用いて押出成形して型加硫を行うこ
とにより熱伝導性付与層を形成する。そして、上記調製
した各コーティング液を用いて、まず、オイルバリア層
形成用のコーティング液を上記熱伝導性付与層外周面に
均一に塗工する。ついで、上記オイルバリア層コーティ
ング液塗工面の外周に、オイル膨潤層形成用のコーティ
ング液を均一に塗工する。そして、上記両塗工層を乾燥
させた後、オーブンにより両塗工層を加熱架橋させてオ
イルバリア層およびオイル膨潤層の二層を同時に形成す
る。このようにして目的の図1に示すような定着ロール
(3層構造)を作製することができる。図1において、
1は両端部が細径に形成された内部が中空の略円筒状の
軸体(中空芯金)、2は熱伝導性付与層、3はオイルバ
リア層、4はオイル膨潤層である。
【0037】上記オイルバリア層形成用およびオイル膨
潤層形成用の各コーティング液の塗工方法としては、特
に限定するものではなく従来公知の塗工方法、例えば、
ディッピング法,スプレーコーティング法,ロールコー
ト法等があげられる。
【0038】また、上記オーブンによる加熱条件として
は、100〜200℃に設定することが好ましく、特に
好ましくは150〜180℃に設定することである。
【0039】そして、上記定着ロールにおいて、各層の
厚みはつぎのように設定することが好ましい。まず、熱
伝導性付与層2の厚みは、0.5〜5mmの範囲に設定
することが好ましく、特に好ましくは厚み1〜3mmで
ある。また、オイルバリア層3の厚みは、5〜50μm
の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは厚み
10〜20μmである。さらに、最外層であるオイル膨
潤層4の厚みは、10〜50μmの範囲に設定すること
が好ましく、特に好ましくは20〜30μmである。す
なわち、定着ロールを用いてトナーを複写紙に定着させ
る方法として、通常、加熱加圧圧着による方式が採用さ
れるがこの加熱加圧圧着の際の熱伝導性およびオイル膨
潤による寸法変化抑制の見地より、最外層となるオイル
膨潤層4は薄膜層に形成することが好ましい。そして、
この発明による製法では、最外層のオイル膨潤層4を薄
膜に形成することが可能であり、しかも、コーティング
液を用いるため、平滑な薄膜表面が得られる。
【0040】
【発明の効果】以上のように、この発明の定着ロールの
製法は、熱伝導性付与層の外周に、オイルバリア層形成
用コーティング液を塗工し、ついで、このオイルバリア
層形成用コーティング液の塗工面の外周に、フロロシリ
コーンゴム(A成分)と、特定の配合割合で配合された
パーオキサイド系架橋剤(B成分)と、二次凝集粒子の
平均粒子径が1μm以下の充填剤(C成分)を含有する
オイル膨潤層形成用コーティング液を塗工する。そし
て、この塗工後に、オーブンによる加熱加硫を行いオイ
ルバリア層、および、シリコーンオイルの膨潤量が1〜
8%に設定されたオイル膨潤層の二層を同時に形成する
ものである。このため、製造工程が簡略化され、しかも
得られる定着ロールの上記オイル膨潤層が、適度なシリ
コーンオイルの吸収により膨潤して、トナー離型性が付
与されるとともに、適正な膨潤設定が可能となることか
ら耐摩耗性が確保され耐久性の低下を防止することがで
きる。そして、パーオキサイド系架橋剤(B成分)の特
定の配合量設定により、コーティング成膜のオーブン架
橋によるオイル膨潤層形成でも、優れた耐摩耗性を備え
た膜層を形成することが可能となり、加えて、フロロシ
リコーンゴムの使用量を最小限に抑えることができるた
め低コスト化が実現する。さらに、上記充填剤(C成
分)の二次凝集粒子が溶液分散処理により平均粒子径1
μm以下にまで分散されているため、平滑なオイル膨潤
層の膜形成が可能となり、その結果、高画質のコピー画
像が得られるようになる。
【0041】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0042】
【実施例1〜5、比較例1〜5】 〔熱伝導性付与層の形成〕軸体としてアルミニウム製軸
体(円筒体)を用いた。このアルミニウム製軸体の外周
面に、下記の表1に示す各成分からなる熱伝導性付与層
形成材料を用い、これを押出成形して型加硫を行った。
この結果、厚み3mmの熱伝導性付与層を形成した。
【0043】
【表1】 *1:XE20−A7016、東芝シリコーン社製 *2:TC−8、東芝シリコーン社製
【0044】〔オイルバリア層の形成〕つぎに、下記の
表2に示す各成分を同表に示す配合割合で配合しロール
を用いて混練した。ついで、この混合物に、15%の濃
度となるよう有機溶媒としてメチルエチルケトンを加
え、混合,攪拌してオイルバリア層形成材料であるコー
ティング液を調製した。そして、上記熱伝導性付与層の
外周面に、ディッピング法により、上記コーティング液
を塗工して、厚み15μmのコーティング層を形成し
た。
【0045】
【表2】 *:バイトンGBL−900、昭和電工デュポン社製
【0046】〔オイル膨潤層の形成〕下記の表3および
表4に示す各成分を同表に示す配合割合で配合しロール
を用いて混練した。ついで、この混合物に、15%の濃
度となるよう有機溶媒としてメチルエチルケトンを加
え、混合,攪拌してオイル膨潤層形成材料であるコーテ
ィング液を調製した。この際、実施例1〜5、比較例1
〜4についてはボールミル分散を行い、充填剤となるシ
リカ粉末の二次凝集粒子の平均粒子径が1.0μm以下
となるまで分散を行った。そして、上記オイルバリア層
形成材料であるコーティング層の外周面に、ディッピン
グ法により、オイル膨潤層形成材料のコーティング液を
塗工した後、熱オーブンによる加熱により、上記二層の
各コーティング層を同時に架橋させて(条件:150℃
×1時間)、厚み15μmのオイルバリア層と厚み25
μmのオイル膨潤層を同時形成した。比較例5について
は、ボールミル分散処理を行わなかったこと以外は、実
施例1〜5および比較例1〜4と同様に行った。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】このようにして得られた各実施例品および
比較例品である定着ロールについて、その架橋度合い、
シリコーンオイルの膨潤量、画質、耐摩耗性、耐久性を
下記の方法に従って測定し評価した。その結果を後記の
表5および表6に併せて示した。
【0050】〔定着ロールの最外層の架橋度合い〕各定
着ロール表面を、メチルエチルケトンを含ませた布で拭
き、最外層となるオイル膨潤層の溶解の度合いを目視に
より評価した。その結果、全く溶解しなかったものを
○、拭き跡が残ったものを△、溶解したものを×として
表示した。
【0051】〔シリコーンオイルの膨潤量〕各定着ロー
ルを、ジメチルシリコーンオイル(TSF451−35
0、東芝シリコーン社製)中に160℃×24時間の条
件で浸漬した。その結果、下記の式によりその膨潤量
(ΔW)を算出した。
【0052】
【数2】膨潤量(%)=〔(浸漬後の重量−初期の重
量)/初期の重量〕×100
【0053】〔画質〕電子写真複写機に各定着ロールを
組み込み、オーバーヘッドプロジェクター(OHP)用
シートを送紙して、目視によりその巻き付き性を観察し
た。その結果、ロールに巻きついたものを×、巻きつか
なかったものを○として表示した。
【0054】〔耐摩耗性〕電子写真複写機に各定着ロー
ルを組み込み、ロール面に分離爪を押し当て、シリコー
ンオイルを供給しない状態(摩耗促進状態)で、表面層
の削れにより内層の露出に要する時間を測定した。そし
て、露出に要する時間が5時間以内のものを×、5時間
を超えたものを○として表示した。
【0055】〔耐久性〕電子写真複写機に各定着ロール
を組み込み、複写紙を用いて複写を行い、オフセット
(溶融トナーが一部ロールに付着して、この付着した溶
融トナーが、つぎの複写時に汚れとして転写される現
象)が生起するまでの複写紙の枚数を測定しオフセット
耐久枚数として表示した。
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】上記表5および表6の結果から、全ての実
施例品は、適度なシリコーンオイルの膨潤量に設定され
ており、画質、耐摩耗性および耐久性の全てにおいて良
好な結果が得られた。しかも、架橋度においても問題が
なく充分な架橋がなされた高品質の定着ロールが得られ
たことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の定着ロールの製法により得られる定
着ロールの一例を示す断面図である。
【図2】電子写真複写機内の熱ロール定着方式による定
着構造を示す模式図である。
【符号の説明】
1 軸体 2 熱伝導性付与層 3 オイルバリア層 4 オイル膨潤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 浩二 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600 東海 ゴム工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸体の外周に熱伝導性付与層形成材料か
    らなる熱伝導性付与層を形成する工程と、上記熱伝導性
    付与層の外周に、オイルバリア層形成用コーティング液
    を塗工し、ついで、このオイルバリア層形成用コーティ
    ング液の塗工面の外周に、下記に示す(A)〜(C)成
    分を含有するオイル膨潤層形成用コーティング液を塗工
    する工程と、上記2種類のコーティング液を塗工した
    後、オーブンによる加熱加硫を行いオイルバリア層、お
    よび、シリコーンオイルの膨潤量が1〜8重量%に設定
    されたオイル膨潤層の二層を同時に形成する工程とを備
    えたことを特徴とする定着ロールの製法。 (A)フロロシリコーンゴム。 (B)上記(A)成分であるフロロシリコーンゴム10
    0重量部に対して、25〜100重量部の配合割合に設
    定されたパーオキサイド系架橋剤。 (C)二次凝集粒子の平均粒子径が1μm以下の充填
    剤。
JP11885795A 1995-05-18 1995-05-18 定着ロールの製法 Pending JPH08314313A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11885795A JPH08314313A (ja) 1995-05-18 1995-05-18 定着ロールの製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11885795A JPH08314313A (ja) 1995-05-18 1995-05-18 定着ロールの製法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08314313A true JPH08314313A (ja) 1996-11-29

Family

ID=14746863

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11885795A Pending JPH08314313A (ja) 1995-05-18 1995-05-18 定着ロールの製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08314313A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006330725A (ja) * 2005-05-23 2006-12-07 Xerox Corp 定着器部材

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006330725A (ja) * 2005-05-23 2006-12-07 Xerox Corp 定着器部材
JP4658856B2 (ja) * 2005-05-23 2011-03-23 ゼロックス コーポレイション 定着器部材
US8010032B2 (en) 2005-05-23 2011-08-30 Xerox Corporation Fuser member comprising deflocculated material

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3113690B2 (ja) 離型剤ドナー部材を備えた定着装置
JP4378406B2 (ja) 定着部材、その製造方法、それを用いた定着装置及び電子写真画像形成装置
JP5063046B2 (ja) トナー離型層を有する定着用部材およびそれを具備する定着装置
JPH08314313A (ja) 定着ロールの製法
JPH08262913A (ja) 定着ロール
JP3684130B2 (ja) 複合材料を用いた定着用ローラ
JP2000259022A (ja) 電子写真用定着部品、および定着装置
JP4353533B2 (ja) 定着用部材、定着装置、オイルレス定着方法および定着用部材の製造方法
JPH1039666A (ja) 定着器用ローラ
JP2002023539A (ja) 定着部材、定着部材の製造方法、及び定着装置
JP2005157173A (ja) 定着装置
JP5911223B2 (ja) 定着用部材とその製造方法、および定着装置
JPH11338283A (ja) 定着用部材およびそれを用いる定着装置
JP2005029772A (ja) 低ぬれ性のフルオロカーボン熱可塑性ランダムコポリマー製のローラー被覆用組成物
JP3140314B2 (ja) 定着用ロール
JPH10204224A (ja) 耐熱性エラストマー組成物及びその製造方法
JPH07302009A (ja) 定着用部材
JP3867375B2 (ja) 電子写真用定着部品、および定着装置
JP4125013B2 (ja) 定着用部材、定着用部材の製造方法、定着装置
JP2001235954A (ja) 電子写真用定着部材及びそれを用いた定着装置
JP2006133304A (ja) 電子写真定着用弾性部材および定着装置
JPH073618B2 (ja) 加熱定着ロ−ル
JP2002132081A (ja) 定着用ローラおよび定着装置
JPH09204113A (ja) 定着ロール及びその製造方法
JP2003266447A (ja) ローラ及びその製造方法