JP2006133304A - 電子写真定着用弾性部材および定着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材からなる表層を十分に架橋することができ、ゴム表面のタック力上昇を防止した定着用弾性部材を提供することである。また、このような定着用弾性部材を備えた紙巻きつき、紙粉付着などの紙搬送に関する不具合が生じにくい定着装置を提供することである。
【解決手段】シリコーンゴムからなる基層の外表面に、フッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材からなる表層を有する定着用弾性部材において、基層と表層の間に、少なくともアミノシラン誘導体を含有する層を設けたことを特徴とする。アミノシラン誘導体層を設けることで、表層形成時に必要な架橋剤がシリコーンゴム基層へ移行することを阻止し、表層ゴムの架橋不足を防止することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複写機、LBP等の電子写真画像形成装置における定着技術の分野において利用され、特にフッ素ゴムとシリコ−ンゴムの複合材からなる表層を有する定着用弾性部材、およびこれを配置した定着装置に関するものである。
定着用弾性部材としては、円筒軸体の外周に一層以上の層構造が形成されているものが用いられている。例えば、円筒軸体上にシリコーンゴムからなる基層と、このシリコーンゴム基層上にフッ素樹脂からなる表層が形成されているものを挙げることができる。表層のフッ素樹脂は表面エネルギーが低く、非粘着性を有し、トナー離型性に優れているが、樹脂であるがゆえに材料硬度が高く、静電的に形成されたトナー画像を熱と圧力により紙などの記録材に定着させる際、繊維による紙表面の凹凸形状に対して追従しにくく、紙凹部分上のトナーを溶かしきれず、高画質な画像を得にくいことがある。これに対して弾性体であるゴムからなる表層を用いたものは、樹脂に比べて柔軟性があり、繊維による紙表面の凹凸形状に対して追従しやすく、紙凹部分上のトナーもある程度溶かすことができ、高画質な画像を得やすいという利点がある。しかしながら、ゴムはフッ素樹脂に比べると表面エネルギーが高く、柔軟であるがゆえに、表面の粘着性、つまりタック性が比較的高く、特にオイルレス定着方式においては、紙巻きつき、紙しわ、紙粉付着などの紙搬送に関わる不具合が生じやすいという課題がある。
定着用弾性部材は200℃程度に及ぶ高温で使用されるため、表層に用いるゴムには耐熱性が要求される。このような耐熱性を有するゴム種としては、一般的にフッ素ゴム、シリコーンゴム等がある。フッ素ゴムとは、部分的にフッ素化された炭化水素鎖からなる各種フルオロポリマーに架橋剤、架橋助剤、補強性配合剤などを添加し、ポリアミン架橋、ポリオール架橋、あるいは有機過酸化物架橋などによって、三次元網目構造を形成させ、弾性体であるゴムとしたものである。これまでフッ素ゴムは、カラー機において変性シリコーンオイルを外部から供給するオイル塗布系の表層として主に用いられており、フッ素ゴムポリマー(フルオロポリマー)の種類としては、ビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンとの二元共重合体、あるいはビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンの三元共重合体からなるフルオロポリマーに金属含有充填剤、補強性充填剤を配合したものをポリアミン架橋あるいはポリオール架橋したものが主に使用されている。(例えば、特許文献1参照)
また、シリコーンゴムとは、メチルビニルシロキサン、またはメチル基の一部をフェニル基に置換したメチルフェニルビニルシロキサン単位からなるポリマーなどの生ゴムに、必要に応じて各種フィラーを配合したものを、付加反応架橋、有機過酸化物架橋などによって、三次元網目構造を形成させ、弾性体であるゴムとしたものである。一般的に、シリコーンゴムは耐熱性に優れていることから、主に基層の熱伝導性弾性体として用いられている。また、表層としては、カラー機においてジメチルシリコーンオイルを外部から供給するオイル塗布系において、主に用いられてきた。(例えば特許文献2参照)
シリコーンゴムはフッ素ゴムに比べて一般的により柔らかく、表層にシリコーンゴムが含まれ、かつ十分に架橋されていないものは、特に表面のタック性が高くなる。
シリコーンゴム表層における紙搬送の不具合を解決する従来技術としては、紙粉の出やすい用紙を定着動作する場合があっても、後にOHPシートを定着する際において、これを紙粉により汚すことのない定着装置として、定着ベルトはエンドレス状のベルト基体と、このベルト基体の外表面に形成された耐熱離型層とを備え、この耐熱離型層の硬度は、JIS Aで30度以上に設定されていることを特徴とする定着装置が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開平01−006464号公報 特登録2001−083821号公報 特開2001−083821号公報
我々は、フッ素ゴムとシリコ−ンゴムの複合材からなる表層を有する定着用弾性部材であって、ゴム表層形成用のコーティング溶液中に配合した架橋剤が、基層のシリコーンゴム層へ移行してしまい、表層中の架橋剤の量が不足し、ゴムが十分に架橋されず、ゴム表面のタック力が高くなり、紙搬送に関する不具合が生じやすいという課題を見いだした。
本発明の目的は、フッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材からなる表層を十分に架橋することができ、ゴム表面のタック力上昇を防止した定着用弾性部材を提供することである。
本発明の別の目的は、このような定着用弾性部材を備えた紙搬送に関する不具合が生じにくい定着装置を提供することである。
本発明の上記目的は以下の発明により達成される。
(1)フッ素ゴムとシリコ−ンゴムの複合材からなる表層を有する定着用弾性部材であって、表層のタック力が100kN/m2以下であることを特徴とする。フッ素ゴムとシリコ−ンゴムの複合材からなる表層表面のタック力を100kN/m2以下にすることで、表面に紙が付着しにくい定着用弾性部材を得ることができる。
(2) フッ素ゴムとシリコ−ンゴムの複合材のフッ素ゴムとシリコーンゴムとの容量比率が20:80:80:20である請求項1記載の定着用弾性部材。
(3) シリコーンゴムからなる基層の外表面に、前記フッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材からなる表層を有する定着用弾性部材において、基層と表層の間に、少なくともアミノシラン誘導体を含有する層を設けたことを特徴とする。アミノシラン誘導体層を設けることで、表層形成時に必要な架橋剤がシリコーンゴム基層へ移行することを阻止し、表層ゴムの架橋不足を防止することができる。
(4)前記少なくともアミノシラン誘導体を含有する層の厚みが、0.5〜4μmの範囲であることを特徴とする。この範囲の厚みにすることで、架橋剤の基層への移行をより有効に阻止することができる。
(5)前記複合材からなる表層に含まれるフッ素ゴムのポリマー種が、ビニリデンフルオライドとテトラフルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテルの三元共重合体であることを特徴とする。この表面エネルギーの比較的低いフッ素ゴムにすることで、表面にトナーの付着しにくいフッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材からなる表層を得ることができる。
(6)紫外線照射したシリコーンゴム基層表面に、溶液コーティングにより少なくともアミノシラン化合物を含有する層を形成し、その外表面に溶液コーティングおよび有機過酸化物架橋によりフッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材からなる表層を形成する定着用弾性部材の製造方法であることを特徴とする。このような製造方法により、フッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材からなる表層のタック力が100kN/m2以下である定着用弾性部材を得ることができる。
(7)(1)〜(4)のいずれかに記載されている定着用弾性部材が、定着ローラあるいは定着ベルト、および/または加圧ローラあるいは加圧ベルトとして配置される定着装置であることを特徴とする。本発明の定着用弾性部材を配置することで、紙搬送に関する不具合が生じにくい定着装置を提供することができる。
以上説明したように、本発明に係る第一の発明によれば、表面に紙が付着しにくいフッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材からなる表層を有する定着用弾性部材を提供することができる。また、本発明に係わる第二の発明のよれば、定着部材の性能に要求されるトナー離形成を確保できる。本発明に係る第三の発明によれば、表層ゴムの架橋不足を防止することができる。本発明に係る第四の発明によれば、表層ゴムの架橋不足をより有効に防止することができる。本発明に係る第五の発明によれば、表面にトナーが付着しにくいフッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材からなる表層を形成することができる。本発明に係る第六の発明によれば、フッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材からなる表層のタック力が100kN/m2以下である定着用弾性部材を製造することができる。本発明に係る第七の発明によれば、紙搬送に関する不具合が生じにくい定着装置を提供することができる。
本発明において、表層のタック力とは、表層表面の粘着性に起因するもので、後述する条件でステンレス製プローブを表層表面に押し付けた後、引き離すときにプローブに働く付着力のことである。タック力が高いと、紙との付着力も大きくなるので、紙が表層表面に付着しやすくなる。表層のフッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材とは、フッ素ゴムが海相、シリコーンゴムが平均粒子径20μm程度の島相を形成している海島構造を有する複合材料のことである。
本発明で使用するフッ素ゴムポリマー(フルオロポリマー)の種類としては特に限定されるものではないが、一般的なビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンとの二元共重合体、あるいはビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンの三元共重合体よりも、エーテル基を有するビニリデンフルオライドとテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの三元共重合体のほうが、ゴムの表面エネルギーが比較的低く、トナーが付着しにくくなるので、より好ましい。このような分子内にヨウ素または臭素を含有するビニリデンフルオライドとテトラフルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテルとの三元共重合体は公知の方法で合成できる。また、このような三元共重合体は市販されており、例えば、‘ダイエル LT-302’(商品名:ダイキン工業(株)製)、‘バイトン GLT’、‘バイトンGLT-305’、‘バイトンGLT-505’、‘バイトンGFLT’、‘バイトンGFLT-300’、‘バイトンGFLT-301’、‘バイトンGFLT-501’、‘バイトンGFLT-600’(商品名:デュポン ダウ エラストマー ジャパン(株)製)等を挙げることができる。
また、シリコーンゴムポリマーの種類も特に限定されるものではないが、ジメチルポリシロキサン骨格のものが、他のフェニル基などの置換基を有するものよりも表面エネルギーが低く、トナーが付着しにくくなるので、より好ましい。
フッ素ゴムとシリコーンゴムの配合割合については、容量比で20:80〜80:20であり、好ましくは30:70〜70:30、より好ましくは、40:60〜60:40である。シリコーンゴムが容量比で20/100未満であると、トナー離型性が不十分になることがあるので好ましくない。また、シリコーンゴムが容量比で80/100を超えると、トナー離型性に悪影響を及ぼすことがあるので好ましくない。
フッ素ゴムとシリコーンゴムの架橋系については特に限定されるものではないが、ともに有機過酸化物架橋系に統一することで、海相と島相の界面においても架橋され、複合ゴムの強度を高めることができ、耐久性に優れたゴム表層を形成することができるので、好ましい。具体的には、フッ素ゴムのポリマーは、分子鎖末端又は側鎖にヨウ素または臭素を導入したタイプのもので、有機過酸化物による架橋は、ヨウ素または臭素原子の引き抜き反応と架橋助剤のアリル基へのラジカル反応等により行われる。架橋助剤としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどを挙げることができ、特にトリアリルイソシアヌレートが好ましく用いられる。また、シリコーンゴムのポリマーは、ジメチルポリシロキサン骨格の末端または側鎖にビニル基を導入したタイプのもので、有機過酸化物による架橋は、ビニル基へのラジカル反応等により行われる。
次に、本発明の少なくともアミノシラン誘導体を含有する層とは、アミノシラン化合物が表層架橋時の加熱により反応したものを含有する層のことである。アミノシラン化合物とは、加水分解により反応するケイ素に結合したアルコキシ基(メトキシ基あるいはエトキシ基)と、ケイ素に結合した炭素鎖の一部にアミノ基を有する化合物である。具体的には、このようなアミノシラン化合物がエタノールなどの溶剤に溶解した溶液が市販されており、例えば‘MEGUM 3290’、‘MEGUM 3290-1’、‘MEGUM 3295’、‘MEGUM 3299’、‘MEGUM 16514’(商品名:Chemetall社製)などを挙げることができる。このアミノシラン化合物を含有する層は、表層のポリマーをコーティングする際に用いる溶剤、具体的にはメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、またはこれらの混合溶剤に溶解した架橋剤が、シリコーンゴム基層へ移行するのを阻止する。
アミノシラン化合物からなる層を設けないと、表層をコーティングする際に用いる溶剤に対して膨潤しやすいシリコーンゴム基層ほど、溶剤に溶解している架橋剤が基層へ移行しやすくなる。架橋剤は主に有機過酸化物であり、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)パーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどを挙げることができるが、溶液コーティングによりフッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材からなる表層を形成するのに適した架橋剤であることが望ましい。具体的には、室温における蒸発損失が少なく、かつ分解温度の低いベンゾイルパーオキサイドであることが好ましい。
また、少なくともアミノシラン誘導体を含有する層の厚みは、0.5μm以上、4μm以下であることがより好ましい。0.5μm以上であれば、シリコーンゴム基層の表面を全て覆えて、架橋剤侵入阻止層としての機能が完全には発揮することができ、4μm以下であればアミノシラン誘導体を含有する層にワレが生じないで、同じく架橋剤侵入阻止層としての機能が完全に発揮できる。
また、このような厚みの少なくともアミノシラン誘導体を含有する層は、前述したアミノシラン等が、エタノール、メタノール、水、またはこれらの混合溶剤などの極性の高い溶剤に溶解した溶液を、スプレーコートなどによりシリコーンゴム基層上に塗布し、表層架橋時の加熱により反応することで形成することができる。この際、あらかじめシリコーンゴム基層表面に紫外線を照射しておくと、極性の高い溶剤のシリコーンゴム基層表面に対する濡れ性がよくなり、より均一なアミノシラン化合物を含有する層を形成することができるので望ましい。
本発明の基層に用いるシリコーンゴムの種類としては、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴムなどを挙げることができる。
本発明の定着用弾性部材は、例えば次のように製造することができる。反応基として分子内にヨウ素または臭素を含有するビニリデンフルオライドとテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの三元共重合体からなるフルオロポリマーと、反応基としてビニル基を含有するジメチルポリシロキサンからなるシリコーンポリマーを体積比で1:1、架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレートをフルオロポリマーとシリコーンポリマーの混合物100質量部に対して4質量部、架橋剤として有機過酸化物であるベンゾイルパーオキサイドを3質量部、シリコーン系界面活性剤1質量部をケトン系溶剤に溶解し、表層形成用コーティング溶液を調製する。
次に、アルミニウムなどからなる円筒状基材上に形成されたジメチルシリコーンゴム基層表面にあらかじめ紫外線を照射したものを水平に固定し、回転させながらアミノシラン化合物等の溶解したエタノール溶液をシリコーンゴム基層表面にスプレーコートすることで均一に塗布し、所望の量を塗布した後、一定の回転数で室温において30分間放置し、溶剤を蒸発させることで少なくともアミノシラン化合物を含有する層を形成することができる。なお、シリコーンゴム基層は公知の方法、例えばシリコーンゴム材料を成形型内に注入し、加熱硬化する方法、あるいはコーティングによりシリコーンポリマー層を形成し、加熱オーブンなどで硬化させる方法等で作製すればよい。シリコーンゴム基層の厚さは、紙などの記録材に対する追従性を確保するため等の理由から50μm以上が好ましく、熱伝導性等の点から5mm以下であることが好ましい。
次に、このジメチルシリコーンゴム基層上にアミノシラン化合物からなる層が形成されたものを水平に固定し、回転させながらさきほど調製した表層形成用コーティング溶液を、アミノシラン化合物層の外周にブレードコートなどにより均一に塗布する。所望の量を塗布した後、一定の回転数で室温において放置し、ある程度溶剤を蒸発させながら、レベリングさせる。その後、50℃で2時間乾燥し、酸素による有機過酸化物架橋阻害が起こらないように、酸素が存在しない雰囲気下でベンゾイルパーオキサイドの分解温度である110℃以上に加熱することにより、有機過酸化物架橋を行い、フッ素ゴムとシリコーンゴムの複合物からなる表層を形成することができる。酸素が存在しない雰囲気下で加熱する方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下による加熱が一般的であるが、加熱状態のシリコーンオイル中に浸漬させて架橋してもよい。表層の厚さは必要に応じて適宜決めればよいが、通常、十分な耐キズ・耐摩耗性を確保するために10μm以上であることが好ましい。また、表面への熱伝導性等の点から500μm以下であることが望ましい。
このようにして製造することができる定着用弾性部材の断面層構成を図1に示す。図1において、1はシリコーンゴム基層であり、2は少なくともアミノシラン誘導体を含有する層、3はフッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材からなる表層である。このように、シリコーンゴム基層1と、フッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材からなる表層3の間に、少なくともアミノシラン誘導体を含有する層2を設けることで、架橋剤である有機過酸化物のシリコーンゴム基層への侵入を阻止することができ、架橋不足に起因する表層ゴム表面のタック力上昇を防ぐことができる。
なお、本発明の定着用弾性部材は定着ベルト、定着ローラ、加圧ベルト、あるいは加圧ローラなどいずれの形態のものでもよい。
次に、本発明の定着装置について説明する。本発明の定着装置は、電子写真画像形成装置に用いる定着装置であって、前述のような本発明の定着用弾性部材が定着ベルトあるいは定着ローラ、および/または加圧ベルトあるいは加圧ローラとして配置されているものである。電子写真画像形成装置としては、感光体、潜像形成手段、形成した潜像をトナーで現像する手段、現像したトナー像を記録材に転写する手段、および、記録材上のトナー像を定着する手段等を有する電子写真画像形成装置が挙げられる。
本発明の定着装置の一例について図2に構成図を示す。定着装置には、上ローラである定着ローラ4および下ローラである加圧ローラ5が配置されている。この定着ローラ4と、加圧ローラ5に本発明の定着用弾性部材が用いられる。そして、定着ローラ4と、加圧ローラ5の中心にはハロゲンランプからなるヒータ6がそれぞれ1本組込まれている。
定着ローラ4は矢印方向に所定の周速度で回転駆動し、加圧ローラもそれに合わせて矢印方向に回転駆動する。そして、紙などの記録材上に形成されたトナー画像は、ヒーター6からの熱と、定着ローラ4と加圧ローラ5との圧力により定着される。
定着温度は、定着ローラ4の表面温度をサーミスタ7により測定された温度をもとに、ヒータ6の出力が制御され、設定温度に保たれている。定着ローラ4の表面温度(定着温度)は特に限定されないが、通常、130℃〜220℃程度である。
なお、ここでは、上下ローラの定着装置を例としてあげたが、本発明の定着装置は本発明の定着用弾性部材を定着ベルトあるいは定着ローラ、および/または加圧ベルトあるいは加圧ローラとして有していればよく、図2に示したものに限られない。
以下に、実施例により本発明の詳細を説明するが、本発明がこれらによってなんら限定されるものではない。なお、フッ素ゴムとシリコ−ンゴムの複合材からなる表層のタック力は、タッキング試験機(レスカ株式会社製)において、ロードセル定格2kg、ステンレス製プローブ直径5mmを使用して、室温(25℃)、プローブ押し込み速度30mm/min、加圧力 400gf、加圧時間0.1sec、プローブ引き上げ速度600mm/minの条件で測定した。
実施例1
アルミニウムからなるローラ基材(外径 35mm)上に、1.5mmの厚さのジメチルシリコーンゴム(架橋後ゴムに対するメチルイソブチルケトンの室温25℃における膨潤量が、ゴムの質量100に対して130のもの)からなる熱伝導性弾性体層を形成した。
また、反応基として分子内にヨウ素を含有するビニリデンフルオライドとテトラフルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテルとの三元共重合体からなるフルオロポリマー(ダイキン工業(株)製:商品名: ダイエル LT-302)90gと、反応基としてビニル基を含有するジメチルポリシロキサンからなるシリコーンポリマー50g、架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレート(日本化成製 TAIC)を5.6g、架橋剤として有機過酸化物であるベンゾイルパーオキサイド(キシダ化学製 25%含水品)を5.6g、ジメチルポリシロキサンとポリオキシアルキレンが交互に繰り返し結合した構造からなる共重合型のシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー製:商品名:FZ−2207)1.4gを、ケトン系溶剤であるメチルイソブチルケトンにポリマー成分濃度が25質量%になるように溶解し、表層形成用コーティング溶液を調製した。
さきほど形成したシリコーンゴム基層表面に紫外線を照射し(UV照射装置、ハリソン東芝ライティング(株)製)、その後ローラを水平に固定し、回転させながらアミノシラン化合物のアルコール系溶液(商品名:‘MEGUM 3290’、Chemetall社製)をスプレーコートすることで均一に塗布し、所望の量を塗布した後、一定の回転数で室温において30分間放置し、溶剤を蒸発させることで厚み約2μmの少なくともアミノシラン化合物を含有する層を形成した。
次に、さきほど調製した表層形成用コーティング溶液を、シリコーンゴム基層上に少なくともアミノシラン化合物を含有する層を形成したローラを水平に固定し、回転させながら外周にブレードコートで均一に塗布した。所望の量を塗布した後、一定のローラ回転数で室温において放置し、ある程度溶媒を蒸発させながら、レベリングさせた。その後、50℃で2時間乾燥し、200℃に加熱したシリコーンオイル(商品名‘KF-96SS-300cs’,信越化学工業(株)製)に1時間浸漬させ、一次架橋を行い、その後シリコーンオイルから取り出し、トルエンでローラ表面に存在する過剰のシリコーンオイルを除いてからオーブン中において180℃で24時間二次架橋を行い、定着用弾性部材を作製した。この表層の厚みは30μmであった。
〔評価〕
フッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材からなる表層のタック力を測定した。その後、この定着用弾性部材を図2に示した定着装置に定着ローラとして組み込み、定着ローラ表面180℃、プロセススピード100mm/secで普通紙を搬送させたときの表層表面における紙粉汚れ、あるいは紙巻きつき発生有無を目視で評価した。
実施例2
少なくともアミノシラン誘導体を含有する層の厚みを0.5μmにすること以外は、実施例1と同様にして定着用弾性部材を作製し、評価した。
実施例3
少なくともアミノシラン誘導体を含有する層の厚みを4μmにすること以外は、実施例1と同様にして定着用弾性部材を作製し、評価した。
比較例1
実施例1で形成したシリコーンゴム基層表面に、紫外線を照射した後、アミノシラン化合物を含有する層を形成するかわりに、プライマー(ダイキン工業製:商品名:GLP−103SR)を厚み2μmとなるように、均一に塗布、乾燥させ、その表面に表層形成用のコーティング溶液を塗布すること以外は実施例1と同様にして定着用弾性部材を作製し、実施例1と同様の方法で評価した。
比較例2
架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレートを16.8g、架橋剤であるベンゾイルパーオキサイドを8.4gにすること以外は比較例1と同様にして定着用弾性部材を作製し、実施例1と同様の方法で評価した。
実施例1〜3、および比較例1と2の評価結果を表1に示す。
Figure 2006133304
*紙搬送性:5000枚通紙による定着ローラ表層表面の紙粉汚れ、紙巻きつき発生
有無で評価
◎ 紙粉汚れなし、紙巻きつき発生せず
○ 紙粉汚れ少い、紙巻きつき発生せず
× 紙粉汚れ多い、紙巻きつき稀に発生
×× 紙粉汚れ多い、紙巻きつき多発
比較例1では、アミノシラン誘導体を含有する層を設けていないので、表層形成用コーティング溶液中の架橋剤と架橋助剤が基層のシリコーンゴムへ移行してしまい、表層の架橋不足に起因してタック力が高くなり、紙搬送性に不具合が生じる。また、比較例2ではアミノシラン誘導体を含有する層を同じく設けておらず、表層形成用コーティング溶液中の架橋剤と架橋助剤が基層のシリコーンゴムへ移行するが、架橋剤と架橋助剤の量を増やしているので、タック力の上昇をやや抑えられてはいるが十分ではなく、紙搬送性に不具合が生じる。これらに対して実施例1〜3では、シリコーンゴム基層と、フッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材からなる表層の間に、少なくともアミノシラン誘導体を含有する層を設けることで、表層のタック力が高くなることを防ぎ、紙搬送に関する不具合を起こりにくくすることができる。
本発明に関わる定着用弾性部材の断面層構成図である。 本発明に関わる定着装置の一形態の概略構成図である。
符号の説明
1‥‥フッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材からなる表層
2‥‥少なくともアミノシラン誘導体を含有する層
3‥‥シリコーンゴム基層
4‥‥定着ローラ
5‥‥加圧ローラ
6‥‥ハロゲンヒータ
7‥‥サーミスタ

Claims (7)

  1. フッ素ゴムとシリコ−ンゴムの複合材からなる表層を有する定着用弾性部材であって、表層のタック力が100kN/m2 以下であることを特徴とする定着用弾性部材。
  2. 前記フッ素ゴムとシリコ−ンゴムの複合材のフッ素ゴムとシリコーンゴムとの容量比率が20:80:80:20である請求項1記載の定着用弾性部材。
  3. シリコーンゴムからなる基層の外表面に、前記フッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材からなる表層を有する定着用弾性部材であって、基層と表層の間に、少なくともアミノシラン誘導体を含有する層を設けた請求項1に記載の定着用弾性部材。
  4. 前記少なくともアミノシラン誘導体を含有する層の厚みが、0.5〜4μmの範囲である請求項3に記載の定着用弾性部材。
  5. 前記複合材からなる表層に含まれるフッ素ゴムのポリマー種が、ビニリデンフルオライドとテトラフルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテルの三元共重合体である請求項1または2に記載の定着用弾性部材。
  6. 紫外線照射したシリコーンゴム基層表面に、溶液コーティングにより少なくともアミノシラン化合物を含有する層を形成し、その外表面に溶液コーティングおよび有機過酸化物架橋によりフッ素ゴムとシリコーンゴムの複合材からなる表層を形成する定着用弾性部材の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載されている定着用弾性部材が、定着ローラあるいは定着ベルト、および/または加圧ローラあるいは加圧ベルトとして配置される定着装置。
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