JP2013003419A - 定着部材、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】記録媒体上のトナー像を加熱して当該記録媒体に定着させるプロセスに用いられる定着部材であって、最表層202が弾性体で形成され、剥離応力が20N/cm2以下であることを特徴とする定着部材。
【選択図】図3
Description
この定着方式では、用紙に融着したトナー像が定着部材に接触するので、離型性のよい材料(たとえばフッ素系樹脂)が表面に15〜30μmの膜厚にて形成される。しかし、樹脂であるがゆえに材料硬度が高いという短所がある。硬度が高いと、静電的に形成されたトナー画像を熱と圧力により定着させる際に、紙繊維の凹凸に対する追従性が低く、高画質な画像が得られない。特に近年は前述のようにカラー化により複数種のカラートナーを包み込むようにして溶融状態にする必要があるため、その影響は顕著である。
定着部材に弾性体を用いることによりカラー化に対応した高画像を得るのに十分な前述の追従性が改善されるが、表面の粘着性(タック性)により転写紙が張り付き、分離性に著しく劣るという課題がある。このような課題に対して、粘着性を下げるために、弾性層にシリコーンゴム組成物に多量のシリカ微粉末やアルミナ微粉末を配合する技術が公知であるが、このようなシリコーンゴムはゴム硬度が高くなり、前述の高画質を得るための十分な弾性が得られない。また、例えば特許文献1では、ゴムの低硬度化のために架橋密度を低くしたりして、これを改善するための材料に関する発明も提案がなされている。この場合は、架橋密度の低下により表面の粘着性(タック性)が上昇し、十分な分離性が確保できない。
(1)記録媒体上のトナー像を加熱して当該記録媒体に定着させるプロセスに用いられる定着部材であって、最表層が弾性体で形成され、剥離応力が20N/cm2以下であることを特徴とする定着部材。
(2)ユニバーサル硬度が0.5N/mm2未満であることを特徴とする(1)に記載の定着部材。
(3)前記弾性体がゴムであることを特徴とする(1)または(2)に記載の定着部材。
(4)前記ゴムがシロキサン結合を主鎖とするゴムであることを特徴とする(3)に記載の定着部材。
(5)前記ゴムがフロロシリコーンゴムであることを特徴とする(4)に記載の定着部材。
(6)前記最表層が改質されていることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の定着部材。
(7)弾性体の表面をプラズマ処理、電子線架橋処理及びUVオゾン処理のうちのいずれかによって改質処理することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の定着部材の製造方法。
(8)前記改質処理した表面を更にカップリング剤で処理することを特徴とする(7)に記載の定着部材の製造方法。
(9)(1)〜(6)のいずれかに記載の定着部材を有することを特徴とする定着装置。
(10)(9)に記載の定着装置を有することを特徴とする電子写真方式の画像形成装置。
転写紙の巻きつきに起因するジャムを低減し、長期にわたり安定した定着を実現できる。
上記(3)〜(6)の発明に対応する作用効果
上記(1)、(2)の発明の作用効果に加えて、カラー化に対応した高画像を得るのに十分な弾性を維持した定着を実現できる。
上記(7)、(8)の発明に対応する作用効果
上記(1)〜(6)の定着部材を提供することができる。
上記(9)の発明に対応する作用効果
上記(1)〜(5)の発明の作用効果に加えて、この定着部材を用いることで、信頼性を向上させた定着装置を提供できる。
上記(10)の発明に対応する作用効果
この定着装置を有することで、高信頼を有する電子写真方式の複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンターが利用可能であり、「環境負荷低減」や「顧客満足の向上」に寄与できる。
本発明の定着部材は、離型剤(ワックス)を含有するトナーを使用して画像を形成する画像形成装置において用いられる定着部材である。
まず、図1に複写装置の感光体とその作像系及び定着装置の構成を概念的に示す。
この電子写真方式の画像形成装置における画像作成プロセスは、回転する感光体ドラム101の感光層を帯電ローラ102を用いて一様に帯電させた後、図示しないレーザ走査ユニットからのレーザービーム103によって露光し、それによって感光体ドラム101上の静電潜像をトナーによって現像してトナー像とし、そのトナー像を記録シート上に転写し、さらにその記録シートを定着装置に通してトナー像を加熱、加圧して記録シート107に定着させるように構成してある。なお図中104は現像ローラ、105はパワーパック(電源)、106は転写ローラ、108はクリーニング装置、109は表面電位計である。このような定着装置においては、例えばアルミニウム等の中空円筒体からなる芯金の外周面にトナーの粘着を防止するためのフッ素樹脂層等からなる粘着防止層を設けた加熱定着ローラ110を使用している。このような加熱定着ローラ110は、芯金の中空部に回転中心線に沿ってハロゲンランプ等のヒータを配置し、その輻射熱によって加熱定着ローラ110を内側から加熱するようになっている。
図2において、113は定着ベルト、114は定着ローラ、115は加圧ローラ、116は加熱ローラである。
ここで、フルカラーの複写機やレーザプリンタでは、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色のカラートナーが用いられるが、カラー画像の定着時には、これらのカラートナーを溶融状態で混合する必要があり、トナーを低融点化して溶融しやすくするとともに、定着ベルト113の表面で、複数種のカラートナーを包み込むようにして溶融状態で、均一に混合させることが必要になる。(以降文中では定着ローラ、定着ベルトを総称して定着部材と表記することがある。)
図2に示すように、発熱部材としての定着ベルトは定着ローラ114と加熱ローラ116とに張架・支持されている。
また、図3は定着部材の構成を示す概略図であり、定着部材は基材201と弾性層202とから構成されている。
定着部材の最表面のタック性の評価は剥離応力によって行う。本発明でいう「剥離応力」とは下記の測定方法によって得られる値である。
なお、以下の測定条件においては測定装置として(株)レスカ製 タック試験機を用いているが、測定装置はこれに限定されるものではなく、これと同等の測定結果が得られるものであればこれを用いても良い。
本発明における「ユニバーサル硬度」はDIN 50359に準拠して測定した硬度であり、具体的には下記の測定方法によって得た。
なお、以下の測定方法においては測定装置として(株)フィッシャー・インストルメンツ製:Win-HUDを用いているが、測定装置はこれに限定されるものではなく、これと同等の測定結果が得られるものであればこれを用いても良い。
まず、定着部材を固定したステージにSUSプローブを既定条件で押し付け、規定時間経過後規定の速度で引き上げた時の剥離力のピーク値を得る。図3に剥離時間とこのピーク剥離力の値をプローブ面積で割った単位面積当たりの剥離応力との関係を示す。
分離評価としては、本定着部材を(株)リコー製複写機:imagio MPC3000定着装置に装着させ、30k枚の通紙試験を行い、分離不良に伴うジャムの発生有無で判定した。試験紙としてはアスクル:マルチペーパー スーパーホワイト、リコー:マイリサイクルペーパ100、王子製紙(株)PODグロスコート紙(90kg)をそれぞれ10K枚使用し、評価は表3に示す基準で判定する。
これは、弾性体の表面の改質処理により、タック性に寄与すると考えられる最表面の末端分子鎖の表面の再架橋・結合を促すためと考えられるが詳細は不明である。
化学式 R1(4−n) Si(OR2)n ・・・一般式(1)
(R1 およびR2 は、炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基、アルキルポリエーテル鎖、またはアリール基およびその誘導体、nは2〜4の整数)
さらに、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン類、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン類等が挙げられる。
また、金属原子として、Si以外に、Ti、Sn、Al、Zrであるものを単独または2種以上を混合して用いることも可能である。
上記のカップリング剤等の表面処理剤による処理は、弾性体にプラズマ処理や電子線架橋、UVオゾン処理など表面改質処理を行った後に、弾性体の表面に表面処理剤の液を塗布またはディッピング等により含浸させることによって行うことができる。
円筒状の長さ320mm厚み50μmの基材(ポリイミド)上にシリコーン用プライマー層を下地として乾燥後、その上にフロロシリコーン(信越化学工業:X36−420U)をブレード塗装にて200μmの厚みで形成し、150℃で10min加熱した。
その上に以下の条件でプラズマ処理をおこなった。
装置 : ヤマト科学製:PR−500
出力 : 100W
処理時間 : 4分
反応ガス : アルゴン99.999%
反応圧力 : 10Pa
さらにこの上にフッ素系炭素化合物であるオプツールDSX(ダイキン工業株式会社製)をパーフルオロヘキサンで希釈した0.1%希釈溶液を引き上げ速度10mm/minのディッピング工法にて塗布し、その後、湿度90%温度60℃の環境で30分以上保持後、150℃10分の乾燥を実施し乾燥したものを定着部材として用いた。
以上の様にして製作した定着部材を表1に規定したタック評価条件にて測定し、剥離応力を導出した。さらに同一の定着部材について前述の分離評価をおこなった。
実施例1におけるフロロシリコーンの代わりにシリコーン(東レ:DY35−2083)をブレード塗装にて200μm塗装し、150℃、30minで加熱後、200℃4hで二次加硫したものを用いた以外は実施例1と同様にして定着部材を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。
実施例1におけるオプツールDSXの代わりにオルトケイ酸テトラエチル(和光純薬工業(株)製)をディッピング塗布した以外は実施例1と同様にして定着部材を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。
実施例1におけるプラズマ反応ガスとしてアルゴンの代わりに窒素を用いた以外は実施例1と同様にして定着部材を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。
実施例1におけるプラズマ反応ガスとしてアルゴンの代わりに酸素を用いた以外は実施例1と同様にして定着部材を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった
円筒状の長さ320mm厚み50μmの基材(ポリイミド)上にシリコーン用プライマー層を下地として塗布して乾燥した後、その上にフロロシリコーン(信越化学工業:X36−420U)をブレード塗装にて200μmの厚みで形成し、150℃で10min加熱した。
その上に以下の条件でプラズマ処理をおこなったものを定着部材として用いた。
装置 : ヤマト科学製:PR−500
出力 : 100W
処理時間 : 4分
反応ガス : アルゴン99.999%
反応圧力 : 10Pa
以上の様にして製作した定着部材を表1に規定したタック評価条件にて測定し、剥離応力を導出した。さらに同一の定着部材について前述の分離評価をおこなった。
円筒状の長さ320mm厚み50μmの基材(ポリイミド)上にシリコーン用プライマー層を下地として塗布して乾燥した後、その上にフロロシリコーン(信越化学工業:X36−420U)をブレード塗装にて200μmの厚みで形成し、150℃で10min加熱した。
その上に以下の条件で電子線架橋処理をおこなったものを定着部材として用いた。
照射源 : 浜松ホトニクス社製 ライン照射型EBエンジン
照射線量 : 1MGy
雰囲気ガス : N2
雰囲気酸素濃度 : 100ppm
以上の様にして製作した定着部材を表1に規定したタック評価条件にて測定し、剥離応力を導出した。さらに同一の定着部材について前述の分離評価をおこなった。
円筒状の長さ320mm厚み50μmの基材(ポリイミド)上にシリコーン用プライマー層を下地として塗布して乾燥した後、その上にフロロシリコーン(信越化学工業:X36−420U)をブレード塗装にて200μmの厚みで形成し、150℃で10min加熱した。
その上に以下の条件でUVオゾン処理をおこなったものを定着部材として用いた。
装置 : 株式会社オーク製作所製、型式:VUV−050/A−5S
UV照度 : 6.8mW/cm2
処理時間 : 5分
以上の様にして製作した定着部材を表1に規定したタック評価条件にて測定し、剥離応力を導出した。さらに同一の定着部材について前述の分離評価をおこなった。
円筒状の長さ320mm厚み50μmの基材(ポリイミド)上にブチルゴム(BR51:JSR(株)製)をブレード塗装にて200μmの厚みで形成し、150℃で15min加熱した。
その上に実施例6と同条件でプラズマ処理をおこなったものを定着部材として用い、実施例1と同様の評価をおこなった。
円筒状の長さ320mm厚み50μmの基材(ポリイミド)上にエチレンプロピレンゴム(EP11:JSR(株)製)をブレード塗装にて200μmの厚みで形成し、150℃で15min加熱した。その上に実施例6と同条件でプラズマ処理をおこなったものを定着部材として用い、実施例1と同様の評価をおこなった。
円筒状の長さ320mm厚み50μmの基材(ポリイミド)上にシリコーン用プライマー層を下地として乾燥後、その上にフロロシリコーン(信越化学工業:X36−420U)をブレード塗装にて200μmの厚みで形成し、150℃で10min加熱したもの定着部材とし、実施例1と同様にして評価をおこなった
比較例1におけるフロロシリコーンに代えてシリコーン(東レ:DY35−2083)をブレード塗装にて200μm塗装し、150℃、30minで加熱後、200℃4hで二次加硫した以外は比較例1と同様にして定着部材を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。
表4は実施例および比較例の評価結果である。
比較例1、2では剥離応力が大きい、分離不良に起因したジャムが発生する。
これに対して、実施例1〜5では剥離応力を低減することで分離不良に起因したジャムが発生しなくなった。
以上より、本発明を用いた定着部材を搭載することで、カラー化に対応した高画像を得るのに十分な弾性を維持したまま、最表面の粘着性(タック性)を大幅に低減させた定着部材を実現することが可能となり、また、その結果として高信頼を両立し、長時間安定した定着を実現できる定着装置、および電子写真方式の画像形成装置を提供することができる。
102 帯電ローラ
103 露光
104 現像ローラ
105 パワーパック
106 転写ローラ
107 記録シート
108 クリーニング装置
109 表面電位計
110 加熱定着ローラ
111 加圧ローラ
112 ベルト方式定着器
113 定着ベルト
114 定着ローラ
115 加圧ローラ
116 加熱ローラ
201 基材
202 弾性層
Claims (10)
- 記録媒体上のトナー像を加熱して当該記録媒体に定着させるプロセスに用いられる定着部材であって、最表層が弾性体で形成され、剥離応力が20N/cm2以下であることを特徴とする定着部材。
- ユニバーサル硬度が0.5N/mm2未満であることを特徴とする請求項1に記載の定着部材。
- 前記弾性体がゴムであることを特徴とする請求項1または2に記載の定着部材。
- 前記ゴムがシロキサン結合を主鎖とするゴムであることを特徴とする請求項3に記載の定着部材。
- 前記ゴムがフロロシリコーンゴムであることを特徴とする請求項4に記載の定着部材。
- 前記最表層が改質されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の定着部材。
- 弾性体の表面をプラズマ処理、電子線架橋処理及びUVオゾン処理のうちのいずれかによって改質処理することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の定着部材の製造方法。
- 前記改質処理した表面を更にカップリング剤で処理することを特徴とする請求項7に記載の定着部材の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の定着部材を有することを特徴とする定着装置。
- 請求項9に記載の定着装置を有することを特徴とする電子写真方式の画像形成装置。
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