JP2013003419A - 定着部材、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

定着部材、定着装置及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】カラー化に対応した高画像を得るのに十分な弾性を維持したまま、最表面の耐久性と離型性を大幅に向上させた定着部材を提供し、かつ、高画質化と高信頼を両立し、長時間安定した定着を実現できる定着装置を提供すること。
【解決手段】記録媒体上のトナー像を加熱して当該記録媒体に定着させるプロセスに用いられる定着部材であって、最表層202が弾性体で形成され、剥離応力が20N/cm以下であることを特徴とする定着部材。
【選択図】図3

Description

本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置に備える定着装置、該定着装置に備える高離型性定着部材に関する。
従来、電子写真方式を採用した装置、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置においては、通常、回転する感光体ドラムを有し、この感光体ドラムの感光層を一様に帯電させた後でレーザ走査ユニットからのレーザビームによって露光して静電潜像を形成する。さらに、静電潜像をトナーによって現像した後、記録材としての転写紙上に転写し、さらに、その転写紙を熱定着装置を通過させ、熱定着させる機構が設けられている。しかしながら、カラー画像に適した定着性を得るための十分弾性を保有する定着部材は、転写紙分離性に著しく劣るという課題を持っている。
一般に、定着方式としては定着ローラ又は定着ベルトと、これに圧接する加圧ローラとの間に記録シートを通過させることによって記録シート上に付着しているトナーを熱により軟化させつつ加圧することにより、記録シート上にトナー像を定着させる定着方式が採用されている。
この定着方式では、用紙に融着したトナー像が定着部材に接触するので、離型性のよい材料(たとえばフッ素系樹脂)が表面に15〜30μmの膜厚にて形成される。しかし、樹脂であるがゆえに材料硬度が高いという短所がある。硬度が高いと、静電的に形成されたトナー画像を熱と圧力により定着させる際に、紙繊維の凹凸に対する追従性が低く、高画質な画像が得られない。特に近年は前述のようにカラー化により複数種のカラートナーを包み込むようにして溶融状態にする必要があるため、その影響は顕著である。
この課題を解決すべく、弾性体(たとえばシリコーンゴムやフッ素ゴム)を定着部材の表面に形成する方法がとられている。
定着部材に弾性体を用いることによりカラー化に対応した高画像を得るのに十分な前述の追従性が改善されるが、表面の粘着性(タック性)により転写紙が張り付き、分離性に著しく劣るという課題がある。このような課題に対して、粘着性を下げるために、弾性層にシリコーンゴム組成物に多量のシリカ微粉末やアルミナ微粉末を配合する技術が公知であるが、このようなシリコーンゴムはゴム硬度が高くなり、前述の高画質を得るための十分な弾性が得られない。また、例えば特許文献1では、ゴムの低硬度化のために架橋密度を低くしたりして、これを改善するための材料に関する発明も提案がなされている。この場合は、架橋密度の低下により表面の粘着性(タック性)が上昇し、十分な分離性が確保できない。
特許文献2(特開2007−114249号公報)には担体上に少なくとも1層以上の弾性体層及びフルオロカーボンシロキサンゴムを含む最外層を設けた定着部材であって、剥離性をよくするために弾性体層を構成する弾性体からソックスレー抽出されるポリジメチルシロキサン成分の抽出量を0.4量% 以下とすることが記載されている。
特許文献3(特開2009−198788号公報)には、剥離性をよくするために、定着部材のトナー像の接する面をシリコーンゴム、フルオロカーボンシロキサンゴム、フロロシリコーンゴムの群から選ばれる1種以上のゴムから形成すると共に表面に凹凸を設けることが記載されている。
上記の各定着部材においても転写紙の分離性は十分満足するものとは言えない。
本発明は上記課題を解決するためのものであり、カラー化に対応した高画像を得るのに十分な弾性を維持したまま、最表面の粘着性(タック性)を低減することにより転写紙の分離性を向上させた定着部材を実現する。結果として高信頼を両立し、長時間安定した定着を実現できる定着装置、および電子写真方式の画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明者らは定着部材の表面を弾性体から構成し、この弾性体の最表面を改質して剥離応力を20N/cm以下とすることにより上記課題を解決することができることを見出して本発明を完成した。
本発明は以下に記載する通りの定着部材、定着装置及び画像形成装置である。
(1)記録媒体上のトナー像を加熱して当該記録媒体に定着させるプロセスに用いられる定着部材であって、最表層が弾性体で形成され、剥離応力が20N/cm以下であることを特徴とする定着部材。
(2)ユニバーサル硬度が0.5N/mm未満であることを特徴とする(1)に記載の定着部材。
(3)前記弾性体がゴムであることを特徴とする(1)または(2)に記載の定着部材。
(4)前記ゴムがシロキサン結合を主鎖とするゴムであることを特徴とする(3)に記載の定着部材。
(5)前記ゴムがフロロシリコーンゴムであることを特徴とする(4)に記載の定着部材。
(6)前記最表層が改質されていることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の定着部材。
(7)弾性体の表面をプラズマ処理、電子線架橋処理及びUVオゾン処理のうちのいずれかによって改質処理することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の定着部材の製造方法。
(8)前記改質処理した表面を更にカップリング剤で処理することを特徴とする(7)に記載の定着部材の製造方法。
(9)(1)〜(6)のいずれかに記載の定着部材を有することを特徴とする定着装置。
(10)(9)に記載の定着装置を有することを特徴とする電子写真方式の画像形成装置。
上記(1)、(2)の発明に対応する作用効果
転写紙の巻きつきに起因するジャムを低減し、長期にわたり安定した定着を実現できる。
上記(3)〜(6)の発明に対応する作用効果
上記(1)、(2)の発明の作用効果に加えて、カラー化に対応した高画像を得るのに十分な弾性を維持した定着を実現できる。
上記(7)、(8)の発明に対応する作用効果
上記(1)〜(6)の定着部材を提供することができる。
上記(9)の発明に対応する作用効果
上記(1)〜(5)の発明の作用効果に加えて、この定着部材を用いることで、信頼性を向上させた定着装置を提供できる。
上記(10)の発明に対応する作用効果
この定着装置を有することで、高信頼を有する電子写真方式の複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンターが利用可能であり、「環境負荷低減」や「顧客満足の向上」に寄与できる。
画像形成装置の概略を示す図である。 ベルト方式の定着装置の概略を示す図である。 定着部材の構成の概略を示す図である。 剥離強度と剥離時間との関係を示すグラフである。
以下本発明についてその詳細を説明する。
本発明の定着部材は、離型剤(ワックス)を含有するトナーを使用して画像を形成する画像形成装置において用いられる定着部材である。
まず、図1に複写装置の感光体とその作像系及び定着装置の構成を概念的に示す。
この電子写真方式の画像形成装置における画像作成プロセスは、回転する感光体ドラム101の感光層を帯電ローラ102を用いて一様に帯電させた後、図示しないレーザ走査ユニットからのレーザービーム103によって露光し、それによって感光体ドラム101上の静電潜像をトナーによって現像してトナー像とし、そのトナー像を記録シート上に転写し、さらにその記録シートを定着装置に通してトナー像を加熱、加圧して記録シート107に定着させるように構成してある。なお図中104は現像ローラ、105はパワーパック(電源)、106は転写ローラ、108はクリーニング装置、109は表面電位計である。このような定着装置においては、例えばアルミニウム等の中空円筒体からなる芯金の外周面にトナーの粘着を防止するためのフッ素樹脂層等からなる粘着防止層を設けた加熱定着ローラ110を使用している。このような加熱定着ローラ110は、芯金の中空部に回転中心線に沿ってハロゲンランプ等のヒータを配置し、その輻射熱によって加熱定着ローラ110を内側から加熱するようになっている。
また加熱定着ローラ110と平行に、これに圧接する加圧ローラ111を設け、加圧ローラ111と加熱定着ローラ110との間に記録シートを通過させることにより、記録シート上に付着しているトナーを加熱定着ローラ110の熱により軟化させつつ、加圧ローラ111と加熱定着ローラ110との間に挟むことによって加圧することにより、記録シート107上にトナー像を定着させている。
本発明においては定着装置をベルト方式の定着装置としても良い。図2にベルト方式の定着装置を示す。
図2において、113は定着ベルト、114は定着ローラ、115は加圧ローラ、116は加熱ローラである。
ここで、フルカラーの複写機やレーザプリンタでは、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色のカラートナーが用いられるが、カラー画像の定着時には、これらのカラートナーを溶融状態で混合する必要があり、トナーを低融点化して溶融しやすくするとともに、定着ベルト113の表面で、複数種のカラートナーを包み込むようにして溶融状態で、均一に混合させることが必要になる。(以降文中では定着ローラ、定着ベルトを総称して定着部材と表記することがある。)
以下、本発明に用いた定着ベルト部材について詳述する。
図2に示すように、発熱部材としての定着ベルトは定着ローラ114と加熱ローラ116とに張架・支持されている。
また、図3は定着部材の構成を示す概略図であり、定着部材は基材201と弾性層202とから構成されている。
基材201は、耐熱材料からなり、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS、フッ素樹脂等の樹脂材料を用いることができる。樹脂材料に、磁性導電性粒子を分散したものを用いることもできる。その場合、樹脂材料に対して磁性導電性粒子を20〜90重量%の範囲内で添加する。具体的には、ワニス状態の樹脂材料中に、ロールミル、サンドミル、遠心脱泡装置等の分散装置を用いて磁性導電性粒子を分散する。これを溶剤により適当な粘度に調整して、金型により所望の層厚に成形する。また、金属でも形成可能であり、具体的には、ニッケル、鉄、クロムの合金であって、それ自体が発熱しても良い。基材の層厚は、熱容量及び強度の点から、30〜500μmに形成されている。
金属材料の場合はベルトの撓みを考慮して、100μm以下の膜厚であることが望ましい。金属材料の場合は、各材料の添加量と加工条件とを調整することで所望のキューリー点を得ることができ、キューリー点が定着ベルトの定着温度近傍となる磁性導電性材料にて発熱層を形成することで、発熱層は電磁誘導によって過昇温されることなく加熱できる。また、弾性体でも形成でき、例えば、天然ゴム、SBR、ブチルゴム、クロロプレンゴム、二トリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ふっ素ゴム、液状フッ素エラストマーなどが上げられるが、特に耐熱性の点からシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ふっ素ゴム、フルオロカーボンシロキサンゴム、液状フッ素エラストマーなどが好ましい。
また前記基材上に形成される弾性層202は耐熱性のある弾性体、好ましくは耐熱性ゴムが用いられ、例えば、天然ゴム、SBR、ブチルゴム、クロロプレンゴム、二トリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ふっ素ゴム、液状フッ素エラストマーなどが上げられるが、特に耐熱性の点からシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ふっ素ゴム、フルオロカーボンシロキサンゴム、液状フッ素エラストマーなどが好ましい。特に耐熱性・離型剤濡れ性の点から、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴムが好ましい。また、低分子シリコーンオイルなど離型性寄与する離型剤を含んでいても構わない。
これらの弾性体に表面改質処理をおこなう。表面改質処理としてはプラズマ処理、電子線架橋、UVオゾン処理などが考えられる。プラズマ処理の場合、プラズマ発生装置としては平行平板型、容量結合型、誘導結合型のほか、コロナ放電処理や大気圧プラズマ装置でも可能である。耐久性の観点から減圧プラズマ処理が好ましい。反応圧力は0.05〜100Paとし、望ましくは1〜20Paである。反応ガスとしては不活性ガス、希ガス、酸素などのガスが有効であるが、効果の持続性においてアルゴンが好ましい。照射電力量は(出力×照射時間)により規定されるが、5〜200Whで設定され、特に5〜50Whが好ましい。
[タック性評価試験]
定着部材の最表面のタック性の評価は剥離応力によって行う。本発明でいう「剥離応力」とは下記の測定方法によって得られる値である。
なお、以下の測定条件においては測定装置として(株)レスカ製 タック試験機を用いているが、測定装置はこれに限定されるものではなく、これと同等の測定結果が得られるものであればこれを用いても良い。
Figure 2013003419
[ユニバーサル硬度評価試験]
本発明における「ユニバーサル硬度」はDIN 50359に準拠して測定した硬度であり、具体的には下記の測定方法によって得た。
なお、以下の測定方法においては測定装置として(株)フィッシャー・インストルメンツ製:Win-HUDを用いているが、測定装置はこれに限定されるものではなく、これと同等の測定結果が得られるものであればこれを用いても良い。
Figure 2013003419
試験手順を示すと以下の通りである。
まず、定着部材を固定したステージにSUSプローブを既定条件で押し付け、規定時間経過後規定の速度で引き上げた時の剥離力のピーク値を得る。図3に剥離時間とこのピーク剥離力の値をプローブ面積で割った単位面積当たりの剥離応力との関係を示す。
分離評価としては、本定着部材を(株)リコー製複写機:imagio MPC3000定着装置に装着させ、30k枚の通紙試験を行い、分離不良に伴うジャムの発生有無で判定した。試験紙としてはアスクル:マルチペーパー スーパーホワイト、リコー:マイリサイクルペーパ100、王子製紙(株)PODグロスコート紙(90kg)をそれぞれ10K枚使用し、評価は表3に示す基準で判定する。
Figure 2013003419
本発明者らが種々の定着部材について試験をした結果、ゴム最表面の剥離応力が20N/cm以下になると、紙種によらず分離することが判明した。
これは、弾性体の表面の改質処理により、タック性に寄与すると考えられる最表面の末端分子鎖の表面の再架橋・結合を促すためと考えられるが詳細は不明である。
さらに、本発明の構成を備えた弾性体の最表層は各種材料にて適宜修飾可能であり、たとえばプラズマ処理直後にカップリング剤や各種モノマー、光感応型官能基、疎水性・親水性官能基の形成などによりトナー離型性又は耐摩耗性の機能を付与することもできる。たとえば、フッ素系高分子を構成することが可能であり、たとえば水酸基、シラノール基、カルボキシル基及び加水分解可能な基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する非晶質樹脂で構成され、そして、該最表層の非晶質樹脂と弾性層の耐熱性ゴムとが酸素を介した結合を有している。前記非晶質樹脂は、例えば、主鎖にパーフルオロアルキルポリエーテルを有する樹脂である。前記加水分解可能な基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、及び、メトキシシラン基、エトキシシラン基等のアルコキシシラン基などを持つカップリング剤である。これにより、溶融トナーに対する離型性を付与することが可能となる。
上記カップリング剤としては金属アルコキシド又は金属アルコキシドを含む溶液が用いられ、金属アルコキシドとして一般式(1)で示されるシリコーンアルコキシド系モノマーや、重合度2〜10程度のそれらの部分加水分解重縮合物またはそれらの混合物及び/又はそれと有機溶媒を含む溶液が用いられる。
化学式 R1(4−n) Si(OR ・・・一般式(1)
(R およびR は、炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基、アルキルポリエーテル鎖、またはアリール基およびその誘導体、nは2〜4の整数)
上記化学式によって表現される化合物の具体例としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等がある。耐久性の面から特に好ましいのはテトラエトキシシランである。また、R1としてフルオロアルキル基でも形成可能であり、さらに酸素を介して結合したフルオロアルキルアクリレートやエーテルパーフルオロポリエーテルでも形成可能である。柔軟性、耐久性の点で特に好ましいのはパーフルオロポリエーテル基である。
さらに、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン類、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン類等が挙げられる。
また、金属原子として、Si以外に、Ti、Sn、Al、Zrであるものを単独または2種以上を混合して用いることも可能である。
上記のカップリング剤等の表面処理剤による処理は、弾性体にプラズマ処理や電子線架橋、UVオゾン処理など表面改質処理を行った後に、弾性体の表面に表面処理剤の液を塗布またはディッピング等により含浸させることによって行うことができる。
以下、実施例について説明するが、本件発明の範囲はこれらの例で示すものに限定されるものではない。
[実施例1]
円筒状の長さ320mm厚み50μmの基材(ポリイミド)上にシリコーン用プライマー層を下地として乾燥後、その上にフロロシリコーン(信越化学工業:X36−420U)をブレード塗装にて200μmの厚みで形成し、150℃で10min加熱した。
その上に以下の条件でプラズマ処理をおこなった。
装置 : ヤマト科学製:PR−500
出力 : 100W
処理時間 : 4分
反応ガス : アルゴン99.999%
反応圧力 : 10Pa
さらにこの上にフッ素系炭素化合物であるオプツールDSX(ダイキン工業株式会社製)をパーフルオロヘキサンで希釈した0.1%希釈溶液を引き上げ速度10mm/minのディッピング工法にて塗布し、その後、湿度90%温度60℃の環境で30分以上保持後、150℃10分の乾燥を実施し乾燥したものを定着部材として用いた。
以上の様にして製作した定着部材を表1に規定したタック評価条件にて測定し、剥離応力を導出した。さらに同一の定着部材について前述の分離評価をおこなった。
[実施例2]
実施例1におけるフロロシリコーンの代わりにシリコーン(東レ:DY35−2083)をブレード塗装にて200μm塗装し、150℃、30minで加熱後、200℃4hで二次加硫したものを用いた以外は実施例1と同様にして定着部材を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。
[実施例3]
実施例1におけるオプツールDSXの代わりにオルトケイ酸テトラエチル(和光純薬工業(株)製)をディッピング塗布した以外は実施例1と同様にして定着部材を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。
[実施例4]
実施例1におけるプラズマ反応ガスとしてアルゴンの代わりに窒素を用いた以外は実施例1と同様にして定着部材を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。
[実施例5]
実施例1におけるプラズマ反応ガスとしてアルゴンの代わりに酸素を用いた以外は実施例1と同様にして定着部材を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった
[実施例6]
円筒状の長さ320mm厚み50μmの基材(ポリイミド)上にシリコーン用プライマー層を下地として塗布して乾燥した後、その上にフロロシリコーン(信越化学工業:X36−420U)をブレード塗装にて200μmの厚みで形成し、150℃で10min加熱した。
その上に以下の条件でプラズマ処理をおこなったものを定着部材として用いた。
装置 : ヤマト科学製:PR−500
出力 : 100W
処理時間 : 4分
反応ガス : アルゴン99.999%
反応圧力 : 10Pa
以上の様にして製作した定着部材を表1に規定したタック評価条件にて測定し、剥離応力を導出した。さらに同一の定着部材について前述の分離評価をおこなった。
[実施例7]
円筒状の長さ320mm厚み50μmの基材(ポリイミド)上にシリコーン用プライマー層を下地として塗布して乾燥した後、その上にフロロシリコーン(信越化学工業:X36−420U)をブレード塗装にて200μmの厚みで形成し、150℃で10min加熱した。
その上に以下の条件で電子線架橋処理をおこなったものを定着部材として用いた。
照射源 : 浜松ホトニクス社製 ライン照射型EBエンジン
照射線量 : 1MGy
雰囲気ガス : N
雰囲気酸素濃度 : 100ppm
以上の様にして製作した定着部材を表1に規定したタック評価条件にて測定し、剥離応力を導出した。さらに同一の定着部材について前述の分離評価をおこなった。
[実施例8]
円筒状の長さ320mm厚み50μmの基材(ポリイミド)上にシリコーン用プライマー層を下地として塗布して乾燥した後、その上にフロロシリコーン(信越化学工業:X36−420U)をブレード塗装にて200μmの厚みで形成し、150℃で10min加熱した。
その上に以下の条件でUVオゾン処理をおこなったものを定着部材として用いた。
装置 : 株式会社オーク製作所製、型式:VUV−050/A−5S
UV照度 : 6.8mW/cm
処理時間 : 5分
以上の様にして製作した定着部材を表1に規定したタック評価条件にて測定し、剥離応力を導出した。さらに同一の定着部材について前述の分離評価をおこなった。
[実施例9]
円筒状の長さ320mm厚み50μmの基材(ポリイミド)上にブチルゴム(BR51:JSR(株)製)をブレード塗装にて200μmの厚みで形成し、150℃で15min加熱した。
その上に実施例6と同条件でプラズマ処理をおこなったものを定着部材として用い、実施例1と同様の評価をおこなった。
[実施例10]
円筒状の長さ320mm厚み50μmの基材(ポリイミド)上にエチレンプロピレンゴム(EP11:JSR(株)製)をブレード塗装にて200μmの厚みで形成し、150℃で15min加熱した。その上に実施例6と同条件でプラズマ処理をおこなったものを定着部材として用い、実施例1と同様の評価をおこなった。
[比較例1]
円筒状の長さ320mm厚み50μmの基材(ポリイミド)上にシリコーン用プライマー層を下地として乾燥後、その上にフロロシリコーン(信越化学工業:X36−420U)をブレード塗装にて200μmの厚みで形成し、150℃で10min加熱したもの定着部材とし、実施例1と同様にして評価をおこなった
[比較例2]
比較例1におけるフロロシリコーンに代えてシリコーン(東レ:DY35−2083)をブレード塗装にて200μm塗装し、150℃、30minで加熱後、200℃4hで二次加硫した以外は比較例1と同様にして定着部材を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。
表4は実施例および比較例の評価結果である。
Figure 2013003419
以上より以下のことがわかる。
比較例1、2では剥離応力が大きい、分離不良に起因したジャムが発生する。
これに対して、実施例1〜5では剥離応力を低減することで分離不良に起因したジャムが発生しなくなった。
以上より、本発明を用いた定着部材を搭載することで、カラー化に対応した高画像を得るのに十分な弾性を維持したまま、最表面の粘着性(タック性)を大幅に低減させた定着部材を実現することが可能となり、また、その結果として高信頼を両立し、長時間安定した定着を実現できる定着装置、および電子写真方式の画像形成装置を提供することができる。
101 感光体ドラム
102 帯電ローラ
103 露光
104 現像ローラ
105 パワーパック
106 転写ローラ
107 記録シート
108 クリーニング装置
109 表面電位計
110 加熱定着ローラ
111 加圧ローラ
112 ベルト方式定着器
113 定着ベルト
114 定着ローラ
115 加圧ローラ
116 加熱ローラ
201 基材
202 弾性層
特許第3243991号公報 特開2007−114249号公報 特開2009−198788号公報

Claims (10)

  1. 記録媒体上のトナー像を加熱して当該記録媒体に定着させるプロセスに用いられる定着部材であって、最表層が弾性体で形成され、剥離応力が20N/cm以下であることを特徴とする定着部材。
  2. ユニバーサル硬度が0.5N/mm未満であることを特徴とする請求項1に記載の定着部材。
  3. 前記弾性体がゴムであることを特徴とする請求項1または2に記載の定着部材。
  4. 前記ゴムがシロキサン結合を主鎖とするゴムであることを特徴とする請求項3に記載の定着部材。
  5. 前記ゴムがフロロシリコーンゴムであることを特徴とする請求項4に記載の定着部材。
  6. 前記最表層が改質されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の定着部材。
  7. 弾性体の表面をプラズマ処理、電子線架橋処理及びUVオゾン処理のうちのいずれかによって改質処理することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の定着部材の製造方法。
  8. 前記改質処理した表面を更にカップリング剤で処理することを特徴とする請求項7に記載の定着部材の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の定着部材を有することを特徴とする定着装置。
  10. 請求項9に記載の定着装置を有することを特徴とする電子写真方式の画像形成装置。
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