JP2980537B2 - 透明カラー画像形成方法 - Google Patents

透明カラー画像形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法を用いた透
明カラー画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真装置によってポリエステ
ル等の透明なフィルム(透明ベースフィルム)上に単色
画像を形成し、得られた画像をオーバーヘッドプロジェ
クター(以下「OHP」と表す。)を用いて投影するこ
とが一般に行われている。さらに近年では、フルカラー
画像を形成することが要求されている。
【0003】しかし、乾式現像方法を用いて透明フィル
ム上にフルカラー画像を形成し、得られた画像をOHP
により投影すると、この投影画像はグレーの色調を含
み、色調の再現範囲が非常に狭いものとなってしまう。
【0004】これは、透明ベースフィルム上への画像の
形成の際、トナー像の凹凸の部分が表面に残り、そこで
光の散乱が発生することによる。すなわち、平滑な透明
フィルム上に付与されたトナーは、定着時の加熱によっ
て十分に溶融・流動されないために粒子形状が保有さ
れ、その粒子形状部分において入射光が散乱される。こ
の散乱によって、スクリーン上には陰影が形成されるな
ど、画質の低下が生じる。特に画像濃度が低い中間調部
分においては、画像濃度が低いことによるトナー粒子数
の減少によって、トナー中の染料または顔料による光の
吸収が低下し、散乱による吸収レベルと同程度になるた
め、再現されるべきカラー色調が灰色となってしまう。
【0005】上記の問題の解決方法として、特開平2−
263642号公報には、透明画像支持基材(透明ベー
スフィルム)上に、トナーと相溶性のある樹脂を塗工し
て表面を平滑にする方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、塗工に
より形成した樹脂層にトナーを完全に埋め込ませるため
には樹脂層を厚くする必要があり、実際に樹脂層を厚く
すると、トナーが樹脂層に深く入り込んで部分的にトナ
ー層が形成され、そのトナー層の厚みにより入射光の散
乱が生じる。また、樹脂層の色の影響が現れ、特にイエ
ローの極ハイライト部の再現性が悪くなる。さらに、オ
フセット(トナー画像が定着ローラーに付着すること
等)も起こりやすくなる。加えて、画像形成時に透明画
像支持基材の噛み込み不良が発生しやすくなる。一方、
樹脂層を薄くしすぎると、トナー像の凹凸が表面に残
り、散乱の要因となる。
【0007】そこで本発明の目的は、上記の問題を解決
し、投影画像において十分な色調を再現できる、透明カ
ラー画像の形成方法を提供する。さらに、オフセットが
起きにくい安定した画像形成方法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を達成するために種々の検討を重ねた結果、本発明を完
成した。すなわち本発明は、トナーと相溶性のある樹脂
層を表面に有する透明画像支持基材を用いた、電子写真
法による透明カラー画像形成方法において、前記樹脂層
の軟化点をトナーの軟化点の±10℃以内とし、且つ前
記樹脂層の厚さを式(i) 樹脂層最適厚(D)=2×(1−π/4)×(トナーの平均粒径) (i) により求められる樹脂層最適厚(D)の±(トナーの平
均粒径)/4μm以内とすることを特徴とする透明カラ
ー画像形成方法に関する。
【0009】以下本発明を詳細に説明する。透明画像支
持基材の表面層を形成する樹脂層には、トナーと相溶す
る樹脂を用いる。さらに樹脂層の軟化点をトナーの軟化
点の±10℃以内とすることが必要である。このような
樹脂層を形成する樹脂としては、ポリエステル樹脂が好
ましい。このポリエステル樹脂としては、トナーに用い
られるポリエステル樹脂(後述)と同様なものを適用す
ることができる。
【0010】また、上記の樹脂層の厚さ(d)は、式
(i) 樹脂層最適厚(D)=2×(1−π/4)×(トナーの平均粒径) (i) により求められる樹脂層最適厚(D)の±(トナーの平
均粒径)/4μm以内とすることが必要である。
【0011】以下、図面を参照しながら上記樹脂層の厚
さ(d)について説明する。図1は、定着前後における
透明画像支持基材(1)上の状態を模式的に表した説明
図である。図1(a)は透明画像支持基材(1)の表面
に樹脂層(4)を形成していない場合であり、図1
(b)は樹脂層(4)を形成している場合である。
【0012】樹脂層(4)の厚さ(d)は、使用するト
ナー粒子(2)の熱特性(軟化点等)、及び定着前のト
ナー粉厚(h)に影響される。電子写真法によるデジタ
ル画像の場合、特にハイライト部分においてトナー像の
凹凸が大きくなる。このような部分の画像表面は粗いた
め、入射光が乱反射されて投影画像に係る光量が減少
し、黒ずんだ投影画像が形成される。定着前後における
トナー像の凹凸の程度は、透明画像支持基材の十点平均
粗さ(以下「Rz」と表す。)で示すと、シャープメル
ト性トナー(後述)を用いた場合、定着後のRzは定着
前のRzの半分程度になる。投影画像の黒ずみは、この
Rzが3μmを超えると顕著になり、黒ずみを発生させ
ないためには、Rzを少なくとも3μm以下、好ましく
は2μm以下とすることが必要である。なお、この目的
を達成するためには、定着前のトナー粉厚(h)を小さ
くすることが考えられるが、これは望ましい方法ではな
い。なぜなら、定着前のトナー粉厚(h)を小さくする
ためには、トナーに含まれる色材の量を増やす必要があ
り、色材の量を増やすと極ハイライト部からベタ画像ま
での階調の表現制御が困難となるからである。
【0013】本発明の方法では、トナー像による粗さ
(Rz)に対応する定着後のトナー固体(3a)の最大
高さ(k)と、樹脂層(4)の厚さ(d)とを適宜調整
することによって、さらに樹脂層(4)の軟化点をトナ
ー樹脂の軟化点の±10℃の範囲以内にすることによっ
て、表面の平滑化を達成した。すなわち、このようにす
ることによって、定着工程において、トナーがより横へ
広がりながら下方へ軟化移動し、図1(b)に示すよう
な定着後のトナー固体(3b)が形成される。同様に、
トナー粒子の下部にあった樹脂層(4)の樹脂は、トナ
ー粒子に押しのけられて盛り上がり、図1(b)に示す
ような定着後の樹脂層領域(5)を形成する。その結
果、Rzを3μm以下とすることが可能になった。
【0014】さらに本発明者によれば、定着後のトナー
固体の最大高さ(k)は、トナーの平均粒径の2倍程度
となることがわかっていることから、樹脂層(4)の最
適厚(D)は、定着後のトナー固体の断面形状を図1に
示すような円弧とみなすと、前記式(i)により求める
ことができる。
【0015】例えば、定着時のトナー固体の最大高さ
(k)が8μm程度となる場合(すなわちトナーの平均
粒径が4μm程度の場合)であって、画像上に孤立した
ラインを形成している場合は、(D+1)μmが樹脂層
の厚さ(d)の上限となる。一方、画像上にラインが連
続的に密集している場合は、(D−1)μmが樹脂層の
厚さ(d)の下限となる。したがって、樹脂層の厚さ
(d)は、式(i)により求められる樹脂層最適厚
(D)の±1μm以内の範囲にあることが必要である。
樹脂層(4)の厚さは、1〜6μmが好ましい。厚すぎ
ると樹脂自体の色の影響が現れ、特にイエローの極ハイ
ライト部の再現性が悪くなる。また、オフセットも起こ
りやすくなる。一方、樹脂層(4)が薄すぎると本発明
の効果が十分に発現しない。
【0016】以上、樹脂層(4)の厚さ(d)及びその
軟化点について説明したが、さらに図2を用いて説明す
る。図2において、樹脂層の軟化点が(トナーの軟化点
(To)+10)℃を超えるIIの領域では、樹脂層にト
ナーがうまく溶け込まない。樹脂層の軟化点が(トナー
の軟化点(To)−10)℃より低いIIIの領域では、樹
脂層自体のオフセットが起きる。また、樹脂層の厚さ
(d)が(D−(トナーの平均粒径)/4)μmより薄
いIVの領域では、トナーが樹脂層中に埋もれても一部し
か埋もれず、樹脂層(4)の樹脂がトナー固体(3a)
の谷の領域を補いきれない。樹脂層の厚さ(d)が(D
+(トナーの平均粒径)/4)μmより厚いVの領域で
は、トナーは完全に埋もれるが、樹脂層(4)の樹脂の
色やトナー自体に含まれる顔料の厚みの影響が現れるた
め色の再現性が悪い。したがって、本発明の方法におい
て最適な条件は、図2のIの領域にあたり、この領域の
範囲内でカラー透明画像を形成しなければならない。
【0017】本発明の方法において、前記式(i)にお
けるトナーの平均粒径は、以下の方法に基づいて測定し
た値である。
【0018】測定装置としてはコールターカウンタ−T
A−II型(コールター社製)を用い、この装置に、個数
分布・体積分布・個数平均・体積平均を出力するインタ
ーフェイス(日科機製)及びパーソナルコンピュータC
X−1(キャノン製)を接続してデータ解析を行った。
【0019】測定は次のように行った。1%NaCl水
溶液100〜150mlへ、分散剤として界面活性剤、
好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5
ml加え、次いでトナーを0.5〜50mg、好ましく
は2〜20mg加える。次いで、トナーを懸濁したこの
電解液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理する。
この電解液について、前記コールターカウンターTA−
II型により、アパチャーとして100μmアパチャーを
用いて1〜40μmの粒径を有する粒子の粒度分布を測
定し、体積平均粒径を求める。
【0020】本発明の方法において、樹脂層(4)の形
成方法は、次の通りである。まず、メタノール・エタノ
ール等のアルコール類、又はメチルエチルケトン・アセ
トン等のケトン類からなる揮発性有機溶剤に、樹脂層
(4)を形成する樹脂を溶解し、次いでこの溶液を、バ
ーコート法・ディップ法・スプレー法・スピンコート法
等の方法で透明画像支持基材(透明ベースフィルム)
(1)上に塗布し、乾燥する。
【0021】場合によっては、樹脂層(4)と透明画像
支持基材との間に接着層を設けてもよい。これは、前記
両層の間の密着性を高め、定着時及び定着後に画像が剥
離しないようにすることを目的とする。この接着層とし
ては、透明画像支持基材(1)と樹脂層(4)との双方
に相溶性を有し、且つ耐熱性が高いものが望ましい。例
えば、エステル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタク
リル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共
重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等の
樹脂を用いることができる。
【0022】次に、本発明の方法に用いるトナーについ
て説明する。本発明の方法に用いるトナーの平均粒径
は、3〜10μmが好ましい。トナーの平均粒径が大き
すぎたり小さすぎたりすると、本発明の効果が十分に発
現しない。
【0023】また、本発明の方法に用いるトナーは、熱
を印加した際の溶融性及び混色性がよいことが必要であ
り、さらに軟化点が低く、且つ溶融時間の短いシャープ
メルト性のトナーを使用することが望ましい。
【0024】シャープメルト性のトナーを使用すること
により、複写物の色再現範囲が広まり、原稿の多色カラ
ー像に忠実な画質が得られる。このようなシャープメル
ト性のトナーは、ポリエステル樹脂・エポキシ樹脂・ス
チレン−アクリル樹脂等の結着樹脂、着色剤(染料、昇
華性染料)、荷電制御剤等を溶融混練し、次いで粉砕・
分級して製造する。必要であれば、トナーに各種の外添
剤を添加する外添工程を付加してもよい。
【0025】本発明の方法に用いるトナーは、定着性や
シャープメルト性を考慮すると、結着樹脂としてポリエ
ステル樹脂を使用したものが特に好ましい。このポリエ
ステル樹脂はジオール化合物とジカルボン酸とから合成
(共縮重合)されるものである。特に、ジオール成分と
しては、式(ii)
【0026】
【化1】 (式中Rはエチレン又はプロピレン基であり、x及びy
はそれぞれ1以上の正の整数であり、且つx+yの平均
値は2〜10である。)で表されるビスフェノール誘導
体またはその置換体が好ましい。カルボン酸成分として
は、2価以上のカルボン酸、又はその酸無水物若しくは
その低級アルキルエステル等が好ましい。例えば、フマ
ル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフ
タル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられ
る。これらのカルボン酸成分は単独で用いても、又は2
種以上を混合して用いてもよい。
【0027】本発明の方法に用いるトナーを形成するポ
リエステル樹脂の軟化点は60〜150℃が適当であ
り、好ましくは80〜120℃である。
【0028】本発明の方法に用いるトナー又はそのトナ
ーを形成する樹脂の軟化点は、次のようにして測定し、
決定した。前記ポリエステル樹脂を結着樹脂として含有
するトナーの軟化特性を図3に示す。この軟化特性、す
なわち、プランジャー降下量−温度曲線(以下「軟化S
字曲線」と表す。)は、フローテスターCFT−500
型(島津製作所製)を使用し、ダイ(ノズル)の直径を
0.5mm、厚みを1.0mmとして50Kgの押出荷
重を加え、初期設定温度80℃、予熱を300秒行った
後、5℃/分の速度で等速昇温して得た。試料となるト
ナーは、微粉末状のものを1〜3gを精秤する。なお、
プランジャー断面積は10cm2とした。
【0029】図3のトナーの軟化S字曲線において、加
熱開始後、等速昇温に従ってトナーは徐々に加熱され、
トナーの溶融・流出が始まる(図中A→B)。さらに昇
温していくと、溶融状態となったトナーは、大きく流出
していき(B→C→D)、最終的にプランジャーの降下
が停止する(D→E)。軟化S字曲線の高さHはトナー
の全流出量を示し、H/2に対応するC点の温度Toが
トナーの軟化点を示す。
【0030】以上の測定法によって、結着樹脂、又は樹
脂層(4、24)を形成する樹脂の熱溶融特性(軟化点
等)も同様にして測定できる。
【0031】本発明の方法においてシャープメルト性の
トナーとは、溶融粘度が105cpを示すときの温度を
T1、5×104cpを示すときの温度をT2としたと
き、式(iii) |ΔT|=|T1−T2|=5〜30℃、T1=90〜150℃ (iii) の条件を満たすトナーをいう。
【0032】上記のシャープメルト性のトナーは、加熱
により極めてシャープに粘度低下を起こすことが特徴で
ある。このような粘度低下は、定着において、最上部の
トナー層と最下部のトナー層との混合を適度に行わせ、
さらにトナー層自体の透明性を急激に増加させ、良好な
減色混合が達成される。
【0033】本発明の方法に用いる透明画像支持基材
(透明ベースフィルム)(1)は、定着時の加熱によっ
て著しい熱変形を起こさず、最高使用温度が100℃以
上の耐熱性を有することが望ましい。例えば、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリイミ
ド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレー
トが耐熱性及び透明性の点で特に好ましい。この透明画
像支持基材の厚さは、定着時の加熱によって基材が柔ら
かくなってもシワ等が発生しないことが必要であること
から、前述の材料の場合50μm以上が適当である。但
し、透明であっても厚さが増大すると透光率が低下する
ため、透明画像支持基材の厚さの上限は200μm以下
が適当であり、好ましくは150μm以下である。
【0034】最後に、本発明の方法に用いる電子写真装
置について説明する。
【0035】図4に、本発明の方法に用いる電子写真装
置の一例の概略断面図を示す。本発明の方法に用いる電
子写真装置は、図面上、装置本体(401)の右側から
中央部にわたって設けられている転写材搬送ユニット
(以下、本発明の方法により処理された透明画像支持基
材を「転写材」という。)、装置本体の中央部の転写ド
ラム(408)に近接して設けられている潜像形成ユニ
ット、及びこの潜像形成ユニットと近接して配設されて
いる現像ユニット(回転式現像装置)に大別される。
【0036】転写材搬送ユニットは次の構成からなる。
装置本体の右側(図中)の開口部には着脱自在であって
サイズの異なる転写材供給用トレイ(402、403)
が設けられ、これらのトレイのそれぞれの上部には給送
用ローラ(404、405)が設置されている。転写材
は、給送用ローラ(406)を備えた給紙ガイド(40
7)によって転写ドラム(408)まで搬送されるよう
になっている。転写ドラムの外周面近傍には、当接用ロ
ーラ(409)、グリッパ(410)、転写材分離用帯
電器(411)及び分離爪(412)が配設されてい
る。転写ドラムの内周側には、転写帯電器(413)及
び転写材分離用帯電器(414)が設置されている。前
記分離爪(412)の近傍には、搬送ベルト(415)
が位置し、この搬送ベルトの搬送方向(図中の矢印方
向)の終端側には定着器(416)が設けられている。
画像が形成された転写材は、この定着器で定着処理さ
れ、装置本体の外側の脱着自在な排出用トレイ(41
7)へ搬出されるようになっている。
【0037】潜像形成ユニットでは、像担持体である感
光体ドラム(418)が、前記転写ドラム(408)の
外周面に接して設置されている。この感光体ドラムの外
周面近傍には除電用帯電器(419)、クリーナー(4
20)及び一次帯電器(421)が配設されている。さ
らに感光体ドラム(418)の外周面上には、静電潜像
を形成するためのレーザビームスキャナの如き像露光手
段や、ポリゴンミラーの如き像露光反射手段が備えられ
ている。
【0038】現像ユニット(回転式現像装置)は、感光
体ドラム(418)の外周面に対向する位置に設けら
れ、感光体ドラムの外周面上に形成された静電潜像を可
視化する機能(現像機能)を有する。このような回転式
現像装置は、回転自在な筺体(以下「回転体」とい
う。)(422)と、その回転体中にそれぞれ搭載され
たイエロー現像器(422Y)・マゼンタ現像器(42
2M)・シアン現像器(422C)・ブラック現像器
(422BK)とからなる。
【0039】以上の構成を有する電子写真装置のシーケ
ンスについて、フルカラーモードの場合を例としてその
概略を説明する。感光体ドラム(418)が矢印方向に
回転すると、感光体ドラム上の感光体は一次帯電器(4
21)によって均等に帯電される。この帯電が行われる
と、原稿のイエロー画像信号にて変調されたレーザー光
(E)により画像の露光が行われ、感光体ドラム上に静
電潜像が形成される。回転体(422)の回転により予
め現像位置に定置されたイエロー現像器(422Y)に
よって、前記静電潜像の現像が行われる。
【0040】一方、給送用ローラ(406)を備えた給
紙ガイド(407)を経由して搬送されてきた転写材
は、所定のタイミングでグリッパ(410)により保持
され、当接用ローラ(409)と、この当接用ローラと
対向している電極とによって静電的に転写ドラム(40
8)に巻き付けられる。転写ドラム(408)は、感光
体ドラム(418)と同期して矢印方向に回転してお
り、イエロー現像器(422Y)で現像された顕画像
は、転写材に、感光体ドラムの外周面と転写ドラムの外
周面とが接している部位において転写帯電器(413)
によって転写される。転写ドラム(408)は、そのま
ま回転を継続し、次の色(図中ではマゼンタ)の転写に
備える。一方、感光体ドラム(418)は、除電用帯電
器(419)により除電され、クリーナー(420)に
よってクリーニングされた後、再び一次帯電器(42
1)によって帯電され、次のマゼンタ画像信号により前
記と同様にして像露光を受ける。回転式現像装置は、感
光体ドラム上に像露光によってマゼンタ画像信号による
静電潜像が形成される間に、回転して、マゼンタ現像器
(422M)を前述の所定の現像位置に定置し、所定の
マゼンタ現像が行われる。引き続いて、上述のプロセス
がそれぞれシアン色及びブラック色に対しても行われ
る。以上のようにして4色分の転写が終了すると、4色
顕画像が形成された転写材は、転写材分離用帯電器(4
11、414)により除電され、グリッパ(410)に
よる転写材の把持が解除されるとともに、分離爪(41
2)によって転写ドラム(408)から分離し、搬送ベ
ルト(415)で定着器(416)へ送られる。この定
着器において熱及び圧力により定着が行われ、最終的に
所望のフルカラー画像が形成されることとなる。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】実施例1 透明画像支持基材として、2軸延伸した厚さ100μ
m、最高使用温度150℃のPETフィルムを用い、そ
の表面上に軟化点97℃のポリエステル樹脂(溶解度パ
ラメータ約11.0)層(樹脂層(4))を形成した。
このポリエステル樹脂層は、ポリエステル樹脂のアセト
ン溶液をバーコーター法によってPETフィルム上に塗
布し、乾燥処理して形成した。形成されたポリエステル
樹脂層は厚さ3μmであった。
【0043】トナーとしては、シャープメルト性を有
し、トナーを形成する結着樹脂がポリエステル樹脂であ
るトナーを用いた。このトナーの軟化点は97℃であ
り、トナーの平均粒径は8μmであった。
【0044】上記のようにして形成したフィルム(転写
材)に、電子写真装置(キャノン(株)製CLC−55
0)によってフルカラー画像を形成し、それを088型
OHP(3M製)にて投影したところ、フィルム上のト
ナー画像が忠実に投影され、良好な投影画像が得られ
た。また、この投影画像における、マクベス濃度計(日
本分光製)による濃度0.8のベタ画像を、分光光度計
で測定したところ、透過率は90%であった。
【0045】実施例2 実施例1で用いたトナーにおいて、トナーの結着樹脂に
顔料及び外添剤を混合してこのトナーの軟化点を107
℃とした以外は、実施例1と同様にして本発明の方法を
実施した。なお、トナーの平均粒径は8μmであった。
【0046】実施例1と同様にして画像を投影したとこ
ろ、フィルム上のトナー画像が忠実に投影され、良好な
投影画像が得られた。また、実施例1と同様にして測定
した透過率は、90%であった。
【0047】実施例3 樹脂成分がエポキシ樹脂である軟化点が90℃のトナー
を用いた以外は、実施例1と同様にして行った。なお、
トナーの平均粒径は8μmであった。
【0048】実施例1と同様にして画像を投影したとこ
ろ、フィルム上のトナー画像が忠実に投影され、良好な
投影画像が得られた。また、実施例1と同様にして測定
した透過率は、87%であった。
【0049】比較例1 樹脂層(4)を形成する樹脂として、軟化点120℃の
ポリエステル樹脂を用いた以外は、実施例1と同様に行
った。投影画像は、ハイライトの部分で黒ずみ、透過率
は80%であった。
【0050】比較例2 樹脂層(4)を形成する樹脂として、軟化点が70℃の
ポリエステル樹脂を使用した以外は実施例1と同様に行
った。電子写真装置による画像形成時にオフセットが生
じた。これは、ポリエステル樹脂層(樹脂層(4))が
PETフィルムから剥れたためである。
【0051】比較例3 樹脂層(24)の厚さを10μmとした以外は実施例1
と同様に行った。投影画像は、ハイライトの部分で黒ず
み、透過率は80%であった。
【0052】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、透明画像支持基材上に、投影画像において十分
に色調を再現するフルカラー画像を形成することができ
る。
【0053】また、定着後において透明画像支持基材表
面の一層の平滑化が可能になったため、オフセットが起
きにくくなり、安定して画像形成を行うことができるよ
うになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法において、透明画像支持基材
(1)上の定着前後の状態を模式的に表した説明図であ
る。図(a)は透明画像支持基材(1)の表面に樹脂層
(4)を形成していない場合であり、図(b)は樹脂層
(4)を形成している場合である。
【図2】本発明の方法の設定条件の説明図である。
【図3】本発明の方法に用いるトナーの軟化特性を示す
「プランジャー降下量−温度曲線(軟化S字曲線)」で
ある。
【図4】本発明の方法に用いる電子写真装置の一例の概
略断面図である。
【符号の説明】
1 透明画像支持基材 2 トナー粒子 3a、3b 定着後のトナー固体 4 樹脂層 5 定着後の樹脂層領域 401 装置本体 402、403 転写材供給用トレイ 404、405、406 給送用ローラ 407 給紙ガイド 408 転写ドラム 409 当接用ローラ 410 グリッパ 411、414 転写材分離用帯電器 412 分離爪 413 転写帯電器 415 搬送ベルト 416 定着器 417 排出用トレイ 418 感光体ドラム 419 除電用帯電器 420 クリーナー 421 一次帯電器 422 回転自在な筺体(回転体) 422Y イエロー現像器 422M マゼンタ現像器 422C シアン現像器 422BK ブラック現像器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G03G 15/01 G03G 9/08 331 361

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トナーと相溶性のある樹脂層を表面に有
    する透明画像支持基材を用いた、電子写真法による透明
    カラー画像形成方法において、前記樹脂層の軟化点をト
    ナーの軟化点の±10℃以内とし、且つ前記樹脂層の厚
    さを式(i) 樹脂層最適厚(D)=2×(1−π/4)×(トナーの平均粒径) (i) により求められる樹脂層最適厚(D)の±(トナーの平
    均粒径)/4μm以内とすることを特徴とする透明カラ
    ー画像形成方法。
  2. 【請求項2】 樹脂層の厚さが1〜6μmである請求項
    1記載の透明カラー画像形成方法。
  3. 【請求項3】 トナーがシャープメルト性を有する請求
    項2又は3記載の透明カラー画像形成方法。
  4. 【請求項4】 トナーの平均粒径が3〜10μmである
    請求項2、3又は4記載の透明カラー画像形成方法。
  5. 【請求項5】 樹脂層がポリエステル樹脂層である請求
    項1記載の透明カラー画像形成方法。
  6. 【請求項6】 トナーの結着樹脂がポリエステル樹脂で
    ある請求項1記載の透明カラー画像形成方法。
  7. 【請求項7】 トナーの結着樹脂がポリエステル樹脂で
    ある請求項5記載の透明カラー画像形成方法。
  8. 【請求項8】 トナー像の凹凸が3μm以下である請求
    項3記載の透明カラー画像形成方法。
  9. 【請求項9】 トナー像の凹凸が2μm以下である請求
    項3記載の透明カラー画像形成方法。
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