JPH08310024A - 薄膜型サーマルプリントヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

薄膜型サーマルプリントヘッドおよびその製造方法

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JPH08310024A
JPH08310024A JP11815195A JP11815195A JPH08310024A JP H08310024 A JPH08310024 A JP H08310024A JP 11815195 A JP11815195 A JP 11815195A JP 11815195 A JP11815195 A JP 11815195A JP H08310024 A JPH08310024 A JP H08310024A
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JP
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heat generating
thin film
convex portion
print head
conductor layer
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JP11815195A
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Masatoshi Nakanishi
雅寿 中西
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Rohm Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プラテンに対する押圧力を適正に保持してい
ても、また印字速度を高速化しても、かすれや尾引きと
いった印字品質の低下を招くことのない薄膜型サーマル
プリントヘッドを提供する。 【構成】 絶縁基板2上に蓄熱グレーズ3を介して形成
した抵抗体層5に重ねて所定の平面形態をもつ導体層6
を形成することにより、上記導体層に覆われずに露出す
る上記抵抗体層を発熱部4として機能させるとともに、
少なくとも上記発熱部ないしその近傍表面を保護層で覆
ってなる薄膜型サーマルプリントヘッドであって、上記
発熱部4が形成される領域における絶縁基板に発熱部の
幅よりも細幅の凸部8を設けるとともに、上記凸部8の
上方に位置する保護層7の表面高さを、上記導体層を覆
う保護層の表面高さよりも高位とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本願発明は、薄膜型サーマルプリントヘッ
ドおよびその製造方法に関し、より詳しくは、高速印字
により適正に対応できるように改良されたものに関す
る。
【0002】基板上に列状に配置された発熱ドットを選
択駆動し、印字データに基づいた画像を1ラインごとに
感熱方式で印字することができるサーマルプリントヘッ
ドとして、厚膜型サーマルプリントヘッドと、薄膜型サ
ーマルプリントヘッドとがあるが、本願発明は、このう
ちの薄膜型サーマルプリントヘッドに関するものであ
る。薄膜型サーマルプリントヘッドは、発熱ドットを形
成するべき抵抗体層や導体層が、スパッタリングやCV
Dの手法によって薄膜形成され、特に高い印字密度を達
成することができるという利点を有する。
【0003】
【従来の技術】図5に、従来の薄膜型サーマルプリント
ヘッド1の一例の発熱部における断面構造を厚み方向に
強調して示す。アルミナセラミック等でできた絶縁基板
2の上には、蓄熱グレーズ3が形成される。この蓄熱グ
レーズ3は、ガラスペーストを用いた厚膜印刷法によっ
て形成されるのが通常であり、図5においては、いわゆ
る部分グレーズとして構成されたものが示されている。
この蓄熱グレーズ3は、ガラスペーストを用いて印刷を
行った後、焼成することによって形成されるのであり、
焼成時におけるガラス成分の流動化に起因して、滑らか
な弓形断面を呈している。この蓄熱グレーズは、その名
が示すとおり、後述する発熱部4が駆動されることによ
って生じる熱が必要以上に基板2に逃げることを抑制
し、発熱部4の効率的な発熱を図るためのものである。
【0004】上記のように形成された蓄熱グレーズ3な
いしその周辺の基板2表面には、抵抗体層5がCVDま
たはスパッタリングによって薄膜形成される。次いで、
たとえばアルミニウム等よりなる導体層6が同じくCV
Dあるいはスパッリングの手法によって薄膜形成され
る。そして、導体層6に対してフォトリソ工程によるエ
ッチングが施され、蓄熱グレーズ3の幅領域内において
所定幅の領域の抵抗体層が露出させられる。こうして露
出させられた抵抗体層が、発熱部4として機能する。
【0005】なお、図5には詳示していないが、上記抵
抗体層5および導体層6には、平面的なパターニングが
フォトリソ工程によって形成され、発熱部4として機能
するべき上記抵抗体層5の露出部に対して一側(たとえ
ば図5の左側)に配置される導体層6aが個別電極とさ
れ、他側(たとえば図5の右側)の導体層6bが共通電
極とされる。
【0006】次いで、上記のように形成された抵抗体層
5および導体層6の表面が、耐酸化層(図示略)、およ
び保護層(耐磨耗層)7によって覆われる。これらの耐
酸化層および保護層7もまた、所定の材料を用いたCV
Dまたはスパッタリングによって薄膜形成されるのが通
常である。各個別電極6aは、図示しない駆動ICの出
力パッドに対してたとえばワイヤボンディングを介して
結線される。また、上記共通電極6bは、絶縁基板上を
引き回されて図示しない端子部に導通させられる。
【0007】いずれかの個別電極6aがオン駆動される
と、この個別電極6aの先端部と、共通電極6bの先端
部とによって挟まれる特定の領域(発熱部4)において
露出する抵抗体層5に電流が流れ、この部分が発熱す
る。
【0008】図5は、発熱部4近傍の積層構造を理解し
やすくするために厚み方向の寸法を強調して示している
が、蓄熱グレーズ3の幅は、たとえば200dpiの印
字密度を達成するためのプリントヘッドの場合、250
ないし500μmあり、その幅方向中央部の厚み寸法
は、わずか15ないし30μmである。したがって、発
熱部4近傍における蓄熱グレーズ3の表面は、ほとんど
平面といってもよい。一方、導体層6の厚みは、たとえ
ばこの導体層6をアルミニウムで形成する場合、8〜1
0μmに達する場合がある。したがって、抵抗体層5が
露出させられている発熱部4の表面は、導体層6の厚み
に相当する寸法、へこんでいる。
【0009】保護層7は、CVDあるいはスパッリング
等によって薄膜形成されることから、その厚みは、各所
でほぼ一定となる。したがって、保護層7の表面は、上
記のような発熱部4における導体層6との段差に相当す
る分へこんだ恰好となる。
【0010】サーマルプリントヘッドを用いた感熱方式
の印字は、上記発熱部4をプラテンにバックアップされ
た感熱記録紙に押し当て、あるいはインクリボンを介し
て記録紙に押し当て、記録紙または/およびインクリボ
ンに対して副走査方向にスライド走行させながら行われ
る。発熱部4による熱を効果的にインクリボンまたは/
および記録紙に伝達することが、かすれ等のない品位の
よい印字を達成することにつながるが、図5に示すよう
に、発熱部4の表面が凹状となっていると、インクリボ
ンまたは/および記録紙に対する適正な押圧が実現しに
くく、かすれ等の原因となる。
【0011】このようなかすれの問題を解消するための
簡単な方法は、プラテンを小径の円筒状とし、かつプラ
テンに対する押圧力を高めることが考えられる。しかし
ながら、プラテンの径を小さくすると、その曲げ剛性が
弱まって主走査方向全長にわたって均一な押圧力を達成
することができなくなるし、プラテンに対するプリント
ヘッドの押圧力を必要以上に高めることは、保護層7の
早期の磨耗を引き起こし、プリントヘッドの寿命を著し
く短縮する結果となる。
【0012】また、シリアル型のプリントヘッドを構成
する場合には、平板状のプラテンを採用することが多
く、その場合には、図5に示されるような発熱部4にお
ける凹部の存在に起因するかすれ等の印字品質の低下の
問題がいっそう著しくなる。また、最近は、印字速度の
高速化、すなわち、記録紙に対するプリントヘッドの走
行速度の高速化が図られており、この場合にも、上記よ
うな印字かすれの問題がいっそう激しくなる傾向にあ
る。
【0013】本願発明は、上述した事情のもとで考え出
されたものであって、プラテンに対する押圧力を適正に
保持していても、また印字速度を高速化しても、かすれ
の発生等の印字品質の低下を招くことのない新たなサー
マルプリントヘッドおよびその製造方法を提供すること
をその課題としている。
【0014】
【発明の開示】本願発明の第一の側面によれば、新たな
構造の薄膜型サーマルプリントヘッドが提供される。こ
の薄膜型サーマルプリントヘッドは、絶縁基板上に蓄熱
グレーズを介して形成した抵抗体層に重ねて所定の平面
形態をもつ導体層を形成することにより、上記導体層に
覆われずに露出する上記抵抗体層を発熱部として機能さ
せるとともに、少なくとも上記発熱部ないしその近傍表
面を保護層で覆ってなる薄膜型サーマルプリントヘッド
であって、上記発熱部が形成される領域における絶縁基
板に、発熱部の幅よりも細幅の凸部を設けるとともに、
上記凸部の上方に位置する保護層の表面高さを、上記導
体層を覆う保護層の表面高さよりも高位としたことを特
徴としている。
【0015】好ましい実施例においては、上記凸部の高
さ寸法は、上記導体層の厚み寸法よりも大に設定され
る。
【0016】また、好ましい実施例においては、上記凸
部は、上面が平面となった断面矩形ないし略矩形を呈し
たものとされる。
【0017】上記構造をもつ本願発明の薄膜型サーマル
プリントヘッドにおいては、まず第一に、基板に設けた
凸部の上方に位置する保護層の表面高さが導体層を覆う
保護層の表面高さよりも高位とされている。上記凸部
は、発熱部が形成される領域における発熱部の幅よりも
細幅に設定されているので、導体層に所定の厚みがあ
り、この導体層と発熱部として露出する抵抗体層との間
に段差があったとしても、発熱部を覆う保護層の表面高
さを、最も高位とすることができる。したがって、発熱
部をプラテンにバックアップされた記録紙あるいはイン
クリボンに接触させる場合、その接触圧をそれほど上げ
なくとも、発熱部を効果的に記録紙または/およびイン
クリボンに接触させることができ、かすれのない高品位
な印字を得ることが可能となる。
【0018】第二に、上記のように発熱部を覆う保護層
の表面高さを最高位とするために、基板に凸部を設けて
いる。すなわち、本願発明においては、蓄熱グレーズの
厚みを部分的に高めて凸状の発熱部を形成しているので
はなく、基板に設けた凸部によって蓄熱グレーズの一部
を盛り上げることにより上記の凸状の発熱部を達成して
いる。
【0019】したがって、上記のように凸となる発熱部
の下位にある蓄熱グレーズの厚みが必要以上に大きくな
ることがなく、その結果、蓄熱グレーズの蓄熱性が必要
以上に高められていわゆる尾引き現象が生じるといった
問題も有効に回避することができる。換言すると、上記
凸部により、蓄熱グレーズからの適正な放熱を達成する
ことができ、高速印字を行っても、尾引き現象等の印字
品位の低下を招くことなく、良好な印字性能を達成する
ことができるのである。
【0020】本願発明の第二の側面によれば、上記薄膜
型サーマルプリントヘッドの製造方法が提供される。こ
の製造方法は、絶縁基板上に蓄熱グレーズを厚膜形成す
る工程、上記絶縁基板ないし蓄熱グレーズを覆う抵抗体
層を薄膜形成する工程、この抵抗体層に重ねて所定の平
面形態をもつ導体層を薄膜形成することにより、上記導
体層に覆われずに露出する抵抗体層からなる発熱部を形
成する工程、および、少なくとも上記発熱部ないしその
近傍の表面を覆う保護層を薄膜形成する工程を含む薄膜
型サーマルプリントヘッドの製造方法であって、上記グ
レーズを厚膜形成する工程の前に、上記発熱部が形成さ
れるべき領域における絶縁基板に、発熱部よりも細幅の
凸部を形成する工程を設けることにより、上記凸部の上
方に位置する保護層の表面高さを、上記導体層を覆う保
護層の表面高さよりも高位とするようにしたことを特徴
とする。
【0021】好ましい実施例においては、上記凸部は、
その高さ寸法が上記導体層の厚み寸法より大であり、か
つ、上面が平面となった断面矩形ないし略矩形を呈した
ものとされる。
【0022】また、好ましい実施例においては、上記凸
部の形成は、上記絶縁基板上の凸部を設けるべき領域に
マスキングを施した上で、マスキングされた部位の周囲
領域をブラスト処理によって所定深さ削除することによ
って行われる。
【0023】上記からわかるように、本願発明方法は、
薄膜型サーマルプリントヘッドの一般的な製造方法にお
いて、蓄熱グレーズを厚膜形成するに先立って、絶縁基
板上に所定幅かつ所定高さの凸部を形成するだけでよ
い。したがって、上記した薄膜型サーマルプリントヘッ
ドを得るにあたって、製造工程上の煩雑さはそれほどな
く、本願発明を低コストで実施することが可能である。
【0024】上記凸部は、上述したように、上面が平面
となった断面矩形ないし略矩形を呈したものとしておく
ことが望ましい。このように上面が平面となった凸部と
しておくと、蓄熱グレーズの形成に際し、ガラスペース
トを印刷および焼成する場合、平面状の凸部上面に流動
化したガラスが滞留しやすく、したがって、蓄熱グレー
ズの表面に適正な凸状膨出部を形成することが可能とな
る。
【0025】上記の凸部の形成を、いわゆるサンドブラ
スト法によって行うと、凸部の高さの管理を行いやす
く、また、断面矩形状の凸部の形成が適正に行われる。
このことは、上記凸部をたとえばハーフダイシングによ
って行うことと比較すると理解しやすい。すなわち、ハ
ーフダイシングによって上記凸部の形成を行う場合、凸
部を除く領域をダイシングすることとなるが、ダイシン
グ機構の精度により、凸部の位置を正確に規定しにくい
し、また、ダイシングローラの磨耗により、凸部の高さ
を管理しにくくなるのに対し、サンドブラスト法によれ
ば、たとえば、フォトレジスト法によって正確な位置に
マスキングを行うことができるので、凸部の形成位置を
精度よく設定することができるし、サンドブラストの時
間を管理することにより、凸部の高さを一定に管理する
ことも容易となるからである。
【0026】本願発明のその他の特徴および利点は、添
付図面を参照して以下に行う詳細な説明より明らかとな
ろう。
【0027】
【実施例の説明】以下、本願発明の好ましい実施例を、
図1ないし図4を参照し具体的に説明する。なお、これ
らの図において、図5の従来構造と同一または同等の部
分には同一の符号を付してある。
【0028】図1は、本願発明の薄膜型サーマルプリン
トヘッド1の発熱部における構造例を厚み方向に強調し
て示した断面図であり、図2は、図1の構造をもつサー
マルプリントヘッドの発熱部近傍のパターン形状を平面
的に示している。
【0029】図1に示されるように、アルミナセラミッ
ク等でできた絶縁基板2の上面には、部分グレーズの形
態とした蓄熱グレーズ3が形成されている。ここで、上
記絶縁基板2の上面には、矩形断面を呈する凸部8が形
成されており、この凸部8を覆うように形成された蓄熱
グレーズ3の幅方向中央領域の表面には、膨出部3aが
形成されている。これは、後述するように、蓄熱グレー
ズ3は、たとえばガラスペーストを用いた印刷・焼成に
よって形成されるのであるが、上記凸部8が上面が平面
となった断面矩形状の形態を有しているため、印刷後の
ガラスペーストが焼成時に流動化しても、凸部8の上面
に適量のガラスペーストが滞留するためである。ガラス
ペーストの焼成時にガラス成分が流動化させられた後に
固化して形成されるこの蓄熱グレーズ3は、その縁部が
丸みを帯びた弓状断面となる。
【0030】上記蓄熱グレーズ3の幅方向寸法W1 は、
製造するべきサーマルプリントヘッドの印字密度によっ
て適当に選択されるが、たとえば、200dpiの印字
密度のものを作成する場合、250ないし500μmの
範囲で設定される。また、この蓄熱グレーズ3の厚み寸
法T1 は、使用されるガラスペーストの流動特性にもよ
るが、たとえば、15ないし30μmとなるのが普通で
ある。上記絶縁基板2に設けた凸部8の高さ寸法T
2 は、後述する導体層6の厚み寸法よりも大に設定され
るべきであるが、たとえば、5ないし20μmの範囲に
設定される。そして、この凸部8の幅寸法W2 は、後述
する発熱部4の幅方向寸法よりも小さく設定され、たと
えば、200dpiの印字密度をもつサーマルプリント
ヘッドを製造する場合、60ないし120μmの範囲に
設定される。
【0031】上記蓄熱グレーズ3の表面ないしその両側
の基板2表面には、抵抗体層5がCVDあるいはスパッ
リング等によって成膜される。この抵抗体層5は、たと
えば、TaSiO2 によって形成され、その厚みは、た
とえば100Å〜1000Åに設定される。次に、蓄熱
グレーズ3の幅方向中央部の膨出部において所定領域に
わたって上記抵抗体層5を露出させるようにして、導体
層6が形成される。この導体層6は、たとえばアルミニ
ウムを用いる場合、1ないし3μmの範囲の厚みにおい
て、CVDあるいはスパッタリングによって薄膜形成さ
れる。
【0032】上記抵抗体層5および導体層6の平面的な
パターンは、図2に示すようになっている。蓄熱グレー
ズ3の幅方向中央の膨出部において上記導体層6によっ
て覆われずに露出する抵抗体層5で形成される発熱部4
が、蓄熱グレーズ3の長手方向に独立して並び、各発熱
部4から基板一側方(図2の左方)に延びる導体層6a
は、個別電極を形成して、図示しない駆動ICの出力パ
ッドに対してそれぞれワイヤボンディング等によって結
線される。また、各発熱部4から基板他側方(図2の右
方)に延びる導体層6bは、共通接続されていて、共通
電極を形成する。この共通電極6bは、基板適部に設け
た端子に引き回される。
【0033】上記のようにして発熱部4ないし導体層6
が形成された基板には、たとえばSiO2 等を材質とす
る耐酸化層(図示略)がCVDあるいはスパッタリング
層によって薄膜形成された後、たとえばTa2 5 、あ
るいはSi3 4 を材料とするCVDあるいはスパッタ
リングによる薄膜形成法により、保護層7が形成され
る。耐酸化層の厚みは、たとえば0.5ないし1.5μ
mに設定され、上記保護層7の厚みは、たとえば、3な
いし8μmに設定される。
【0034】上記の構成において、いずれかの個別電極
6aがオン駆動されると、上記導体層6a,6bによっ
て規定される抵抗体層5からなる発熱部4が個別に発熱
駆動される。
【0035】図1に表れているように、基板2の凸部8
の高さ寸法T2 が導体層6の厚み寸法よりも大に設定さ
れていることから、保護層7の表面は、上記凸部8の上
方が最高位となっている。したがって、このような構造
の発熱部をもつサーマルプリントヘッドを用いて印字を
行う場合、発熱部4が効果的に感熱記録紙および/また
はインクリボンに接触することができ、かすれ等の印字
品位の低下をまねくことなく、好適な印字を達成するこ
とができる。また、プラテンに対するサーマルプリント
ヘッドの接触圧をそれほど上げなくとも発熱部4を効果
的に記録紙等に接触させることができるため、保護層の
寿命が実質的に延長され、全体として、サーマルプリン
トヘッドの耐久性が高まる。見方を換えれば、保護層7
の厚みを所定以下に設定したとしても、プラテンに対す
るプリントヘッドの接触圧を小さくすることができるこ
とから、実質的な耐久性能を維持することができる。こ
れにより、小電力による効率的な印字が可能となる。
【0036】また、蓄熱グレーズ3の幅方向中央に形成
される膨出部3aは、基板2に設けた凸部8によって形
成されるため、この膨出部におけるグレーズ厚みが所定
以上に大きくなることはない。したがって、発熱部4に
おける蓄熱グレーズ3の蓄熱量が所定以上に大きくなり
すぎて、いわゆる尾引き現象等の印字品位の低下を招く
こともなくなる。したがって、この薄膜型サーマルプリ
ントヘッドは、高速印字にも適したものとなる。
【0037】次に、図3および図4を参照し、図1およ
び図2に示した構造をもつ薄膜型サーマルプリントヘッ
ド1の製造方法の一例を説明する。
【0038】図3は、絶縁基板2上に断面矩形状の凸部
8を形成するための方法を示している。図3(b) に示す
ように、凸部8を形成するべき平面領域にフォトエッチ
ング等の手法によってマスキング層9を形成し、そし
て、この基板2に対してブラスト処理を行う。そうする
と、図3(c) に示すように、マスキング層9が施されな
い領域が所定深さ削除され、基板上に上記凸部8が実質
的に形成される。マスキング層9は、薬品等によって除
去することができる。このようにブラスト処理によって
上記の凸部を形成する場合、上記マスキング層9をフォ
トエッチングによって正確な位置に形成されること、ブ
ラスト処理の時間を管理することにより、凸部8の高さ
寸法を正確に管理することができることにより、上記凸
部8を、正確な位置において、正確な高さをもつように
形成すること可能となる。
【0039】次いで、図4(a) に示すように、上記凸部
8を含む所定幅領域に、蓄熱グレーズ3を厚膜形成す
る。具体的には、ガラスペーストを用いた印刷・焼成に
よって、上記蓄熱グレーズ3が形成される。上記のよう
に、上記凸部8は上面が平面となった断面矩形状を呈す
るように形成されているため、ガラスペーストの焼成過
程においてガラス成分が流動化したとき、この流動化ガ
ラスが適正に凸部8上面に滞留するため、固化後におい
て、図4(a) に示されるように、蓄熱グレーズの幅方向
中央部に膨出部が都合よく形成される。
【0040】次に、図4(b) に示すように抵抗体層5お
よび導体層6が薄膜形成される。これら抵抗体層5およ
び導体層6の材質および厚み寸法は、前述したとおりで
ある。
【0041】次に、図4(c) に示されるように、第1回
のフォトリソ工程により、抵抗体層5および導体層6に
対し、同一のパターンを形成する。本実施例の場合、各
層5,6に対し、蓄熱グレーズ3の幅方向に延びるスリ
ット10を等間隔に形成する。なお、このスリット10
は途中で終わっており、蓄熱グレーズ3の基板一側方に
おいて導体層6aが個別電極として機能することが予定
され、基板他側層において導体層6bが共通電極として
機能することが予定される。
【0042】次いで、図4(d) に示すように、第2回の
フォトリソ工程により、導体層6のみがエッチングさ
れ、上記凸部を含みそれよりも広い幅寸法において、下
層の抵抗体層5が露出させられる。
【0043】次いで、図4(e) に示すように、耐酸化層
(図示略)および保護層7が、CVDあるいはスパッリ
ング等によって薄膜形成される。この耐酸化層および保
護層7の材質および好適な厚みは、前述したとおりであ
る。
【0044】もちろん、本願発明の範囲は上述した実施
例に限定されるものではなく、各請求項に記載した本願
発明思想に適合する限りにおいて、自明な変更は、全て
本願発明の範囲に含まれる。本願発明がライン型サーマ
ルプリントヘッドおよびシリアル型サーマルプリントヘ
ッドの双方に適用しうるのも当然なことである。また、
抵抗体層5、導体層6、および保護層7の材質および形
態についても、種々の選択が可能である。
【0045】さらに、図示例は、蓄熱グレーズ3とし
て、いわゆる部分グレーズの形態としているが、全面グ
レーズの形態としてももちろん、本願発明の利点を享受
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の薄膜型サーマルプリントヘッドの発
熱部の構造例を厚み方向に強調して示す断面図である。
【図2】図1に示す例の回路パターン例を示す平面図で
ある。
【図3】図1に示す例の製造方法の一例の説明図であ
る。
【図4】図1に示す例の製造方法の一例の説明図であ
る。
【図5】従来例の説明図である。
【符号の説明】
1 薄膜型サーマルプリントヘッド 2 絶縁基板 3 蓄熱グレーズ 4 発熱部 5 抵抗体層 6 導体層 8 凸部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板上に蓄熱グレーズを介して形成
    した抵抗体層に重ねて所定の平面形態をもつ導体層を形
    成することにより、上記導体層に覆われずに露出する上
    記抵抗体層を発熱部として機能させるとともに、少なく
    とも上記発熱部ないしその近傍表面を保護層で覆ってな
    る薄膜型サーマルプリントヘッドであって、 上記発熱部が形成される領域における絶縁基板に発熱部
    の幅よりも細幅の凸部を設けるとともに、上記凸部の上
    方に位置する保護層の表面高さを、上記導体層を覆う保
    護層の表面高さよりも高位としたことを特徴とする、薄
    膜型サーマルプリントヘッド。
  2. 【請求項2】 上記凸部の高さ寸法は、上記導体層の厚
    み寸法よりも大である、請求項1に記載のサーマルプリ
    ントヘッド。
  3. 【請求項3】 上記凸部は、断面矩形ないし略矩形を呈
    したものである、請求項1または2に記載のサーマルプ
    リントヘッド。
  4. 【請求項4】 絶縁基板上に蓄熱グレーズを厚膜形成す
    る工程、上記絶縁基板ないし蓄熱グレーズを覆う抵抗体
    層を薄膜形成する工程、この抵抗体層に重ねて所定の平
    面形態をもつ導体層を薄膜形成することにより、上記導
    体層に覆われずに露出する抵抗体層からなる発熱部を形
    成する工程、および、少なくとも上記発熱部ないしその
    近傍の表面を覆う保護層を薄膜形成する工程を含む薄膜
    型サーマルプリントヘッドの製造方法であって、 上記グレーズを厚膜形成する工程の前に、上記発熱部が
    形成されるべき領域における絶縁基板に、発熱部よりも
    細幅の凸部を形成する工程を設けることにより、上記凸
    部の上方に位置する保護層の表面高さを、上記導体層を
    覆う保護層の表面高さよりも高位とするようにしたこと
    を特徴とする、薄膜型サーマルプリントヘッドの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 上記凸部は、その高さ寸法が上記導体層
    の厚み寸法より大であり、かつ、上面が平面となった断
    面矩形ないし略矩形を呈したものである、請求項4に記
    載の薄膜型サーマルプリントヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 上記凸部の形成は、上記絶縁基板上の凸
    部を設けるべき領域にマスキングを施した上で、マスキ
    ングされた部位の周囲領域をブラスト処理によって所定
    深さ削除することによって行う、請求項4または5に記
    載の薄膜型サーマルプリントヘッドの製造方法。
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