JP3072359B2 - 薄膜型サーマルプリントヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

薄膜型サーマルプリントヘッドおよびその製造方法

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JP3072359B2 JP16706693A JP16706693A JP3072359B2 JP 3072359 B2 JP3072359 B2 JP 3072359B2 JP 16706693 A JP16706693 A JP 16706693A JP 16706693 A JP16706693 A JP 16706693A JP 3072359 B2 JP3072359 B2 JP 3072359B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、プラスチック板や金
属板等の平滑な硬質表面に熱転写方式によって印刷を行
うに適するように特に構成した薄膜型サーマルプリント
ヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱転写方式によって印刷を行うためのサ
ーマルプリントヘッドには、その発熱部の形成方法によ
り、大きく分けて、次の二つの形式がある。すなわち、
厚膜型サーマルプリントヘッドと、薄膜型サーマルプリ
ントヘッドである。
【0003】厚膜型サーマルプリントヘッドの発熱部
は、酸化ルテニウムなどを主成分とする抵抗体ペースト
を用いて所定幅の抵抗体をスクリーン印刷法によって印
刷し、かつ焼成することにより形成される。この厚膜型
サーマルプリントヘッドは、発熱抵抗体の形成が比較的
簡便に行いうるという利点を有しているが、微細な発熱
ドットを形成するのが困難であるという欠点がある。
【0004】一方、薄膜型サーマルプリントヘッドは、
後に詳述するように、基板上に形成したガラスグレーズ
層の上に、窒化タンタル等の抵抗体層をスパッタリング
等によって薄膜形成し、さらにその上にアルミニウム等
の導体金属による導体パターンをスパッタリング等によ
って薄膜形成した構成をもっている。このような薄膜型
サーマルプリントヘッドは、発熱ドットの微細化が容易
であるとともに、印字速度を上げることができるという
利点を有しているが、製造工程が複雑であり、比較的コ
ストが高くつくという欠点もある。
【0005】ところで、熱転写による印刷方式には、溶
融型熱転写方式と、昇華型熱転写方式とがある。これを
画像の濃淡階調について見ると、溶融型熱転写方式は、
面積によって濃淡階調の差を得ざるをえないために、プ
リントヘッドの発熱ドットの密度を細かくしても、階調
の段階数を上げることができないが、昇華型熱転写方式
は、発熱ドットに対するエネルギの大きさを制御するだ
けで、無段階の濃淡階調を得ることができる。
【0006】一方、最近では、熱転写方式によってカラ
ー印刷を行うための開発が盛んであり、カラー写真の忠
実な再現が求められているところである。かかる目標の
ために、一定以上の解像密度をもって、濃淡階調が無段
階のカラー写真を熱転写方式による印刷によって再現す
るには、プリントヘッドの形式としては薄膜型サーマル
プリントヘッドが、熱転写の方式としては昇華型が、そ
れぞれ適当ということになる。
【0007】以上の理由から、高品質のカラー印刷を行
うために、薄膜型サーマルプリントヘッドが多く採用さ
れている。そして、従前のこの種の一般的な薄膜型サー
マルプリントヘッドは、紙等の容易に撓曲可能なシート
材に対して印刷を行うように構成されたものである。
【0008】図14ないし図16に、従前の薄膜型サー
マルプリントヘッド10の発熱部2の一般的構造例を示
す。セラミック基板3の上面には、ガラスグレーズ層4
a,4bがガラスペーストを用いたスクリーン印刷およ
び焼成によって形成される。図15に表れているよう
に、このガラスグレーズ層は、駆動IC(図示略)や導
体配線パターン5の多くの部分が載るべき主たる部分4
aと、これから離間するようにして細幅状に形成された
部分グレーズ層4bとからなっている。
【0009】かかる部分グレーズ層4bを設けるゆえん
は、この部分グレーズ層4bによって凸部を形成すると
ともに、この凸部上に発熱部2を配置することにより、
印刷対象である紙等の記録紙に対する発熱部2の確実な
接触を図るためである。この部分グレーズ層4bの表面
には、発熱抵抗体層6がスパッタリング等によって薄膜
形成される。そして、部分グレーズ層4bの頂部近傍に
おける抵抗体層6を部分グレーズ層4bの長手方向の帯
状に臨ませるようにして、所定形態の導体配線パターン
層5がアルミニウム等を材料としてスパッタリング等に
よって薄膜形成される。さらに、上記各層6,5を覆う
ようにして、保護ガラス層7がスパッタリング等によっ
て形成される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記部分グ
レーズ層4bは、その幅が約850μmときわめて細い
にもかかわらず、ガラスペーストを用いたスクリーン印
刷法による印刷、ないし焼成によって形成される。焼成
過程においてガラスペーストがいったん流動化させられ
ることから、この部分グレーズ層4bは、図15に示す
ように、円弧断面状となるのであるが、スクリーン印刷
であるがために印刷直後のガラスペーストのエッジの正
確な直線性が確保されないことと、基板長手方向各部位
におけるセラミック基板表面に対する濡れ性がまちまち
となることから、印刷焼成後の部分グレーズ層4bは、
図16に強調して示すように、幅方向両側におけるエッ
ジにうねりが生じ、これに起因して、この部分グレーズ
層4bの頂部高さにも、うねりが生じてしまう。かかる
うねりの程度は、たとえば、長手方向1mmに対して1
μmあるいはそれ以上となることが確認されている。
【0011】上記のようにして部分グレーズ層4bの頂
部にうねりが生じていても、紙等の撓曲容易なシート状
の印刷対象に対して、これをゴム製のプラテンでバック
アップしながら印刷を行うかぎりにおいて、印字品質に
ほとんど問題を生じることはない。なぜなら、上記のう
ねりの振幅は、数μmオーダであり、弾性変形可能なプ
ラテンによって撓曲性のあるシートを上記のうねりのあ
るガラスグレーズ層の頂部に押しつけるかぎりにおい
て、シートをガラスグレーズ層の長手方向全長にわたっ
てほぼ均一な押圧力で押しつけることができるからであ
る。
【0012】ところで、熱転写方式のカラー印刷が普及
するにともない、たとえば、プリペイドカード、キャッ
シュカードあるいはICカード等のプラスチックカード
のように、硬質で平滑な表面をもつ対象物に熱転写方式
によるカラー印刷を行うというニーズが生じてきてい
る。しかしながら、図14ないし図16に示すような従
前の一般的構造をもつ薄膜型サーマルプリントヘッドで
は、上記のプラスチックカードのような対象物に適正な
印字を行うことができないということが判明した。その
理由は、上記部分グレーズ層4bないしその頂部に形成
される発熱部にうねりが存在し、このうねりの程度は、
1mmの長さにおいて数μmの程度であるとはいえ、プ
ラスチックカードのような平滑性をもっており、しかも
容易に撓曲できない対象表面に対しては、発熱部がその
長手方向各部において均等な圧力で対象表面に接触する
ことができないからである。
【0013】上記の従前の薄膜型サーマルプリントヘッ
ドによってプラスチックカードのような平滑表面に印刷
を行うと、濃淡による縞模様が顕著に現れてしまうので
ある。
【0014】本願発明は、上述した事情のもとで考え出
されたものであって、プラスチックや金属板等の平滑な
硬質表面に対し、熱転写方式によって細密な印刷を適正
に行うことができるように構成した薄膜型サーマルプリ
ントヘッドおよびその製造方法を提供することをその課
題としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本願発明では、次の各技術的手段を講じている。
【0016】本願の請求項1に記載した発明は、薄膜型
サーマルプリントヘッドの製造方法であって、長手方向
に所定の長さを有する基板の表面の幅方向縁部から十分
な幅方向領域にガラスグレーズ層を形成し、上記ガラス
グレーズ層の所定部位に抵抗体層を薄膜形成し、上記抵
抗体層上に所定の導体パターン層を形成して上記抵抗体
層のうちの帯状領域を単位長さごとに個別発熱させるこ
とができる発熱部として形成することを含む薄膜型サー
マルプリントヘッドの製造方法であって、上記ガラスグ
レーズ層は、ガラスペーストを用いた印刷・焼成によ
り、基板の幅方向縁部にいたるまで一定厚みに形成する
ステップ、この一定厚みのガラスグレーズ層の基板縁部
近傍部位に傾斜部または階段部を基板長手方向に一様に
加工形成するステップ、この加工形成後、ガラスグレー
ズ層を再焼成するステップ、を経て形成することによ
り、基板縁部近傍部位に、基板の縁に向かうほど低位と
なる緩やかな傾斜表面またはラウンド表面が基板長手方
向に一様に形成されるようになし、上記ガラスグレーズ
層の上記傾斜表面またはラウンド表面上に上記発熱部の
幅方向一部または全部を配置することを特徴とする。
【0017】上記の方法におけるガラスグレーズ層の基
板縁部近傍部位に傾斜部または階段部を加工形成するた
めの具体的方法としては、たとえば、回転砥石による切
削(請求項2)、あるいは、ブラスト法(請求項3)が
ある。
【0018】そして、本願の請求項4に記載した発明
は、薄膜型サーマルプリントヘッドであって、上記請求
項1にかかる方法によって製造されたものである。
【0019】
【発明の作用および効果】本願発明においては、薄膜型
サーマルプリントヘッドにおける発熱部を形成するべき
ガラスグレーズ層の形成方法に特徴づけられる。
【0020】従前の薄膜型サーマルプリントヘッドにお
ける発熱部を形成するべきガラスグレーズ層と、本願発
明によって製造される薄膜型サーマルプリントヘッドお
けるガラスグレーズ層の形態上の相違は、従前のプリン
トヘッドにおける上記ガラスグレーズ層は、細幅の部分
グレーズ層であるのに対し、本願発明に係るガラスグレ
ーズ層は、十分な幅方向領域をもっているということで
ある。
【0021】そして、上記ガラスグレーズ層における基
板縁部近傍部位には、基板の縁に向かうほど低位となる
緩やかな傾斜表面またはラウンド表面が基板長手方向一
様に形成され、発熱部は、かかる傾斜表面またはラウン
ド表面に形成されることになる。
【0022】本願発明において上記のように発熱部が形
成されるべきガラスグレーズ層における緩やかな傾斜表
面またはラウンド表面は、特に、次のようなステップを
経て形成される。すなわち、上記請求項1に規定したよ
うに、まず、ガラスペーストを用いた印刷・焼成によ
り、長手方向に所定の長さを有する基板の幅方向縁部に
いたるまで一定厚みグレーズ層を形成した後、この一定
厚みのガラスグレーズ層の基板幅方向縁部近傍部位に加
工によって傾斜部または階段部を基板長手方向一様に形
成し、その後にガラスグレーズ層を再度焼成するのであ
る。上記の加工形成の後の再焼成により、ガラスグレー
ズ層は、上記傾斜部または階段部において流動化し、表
面張力の作用等によって、結果的に緩やかな傾斜表面ま
たはラウンド表面となるのである。
【0023】このようにして形成されたガラスグレーズ
層の傾斜表面またはラウンド表面は基板長手方向に一
様、すなわち、問題となるうねりのない直線性をもった
ものとなる。その理由の第一は、ガラスグレーズ層その
ものが基本的に十分な幅方向領域をもっているために、
発熱部を形成するべき傾斜表面またはラウンド表面の近
傍において、平面的に基板表面と境界する部位がなく、
したがって、スクリーン印刷時のエッジの不整、あるい
は基板に対する濡れ性の相違に起因するうねりが生じな
いこと、そして、その理由の第二は、なだらかな傾斜表
面またはラウンド表面を再焼成時における流動化現象に
よって達成するに先立つグレーズ層に対しておこなう傾
斜部または階段部の形成を、加工によって基板長手方向
に一様となるように行っていることから、上記再焼成時
のガラス流動化現象を長手方向各部において一様とする
ことができること、である。
【0024】以上の結果、本願発明によって製造される
薄膜型サーマルプリントヘッドにおいて十分な幅方向領
域をもって形成されるガラスグレーズ層の基板幅方向縁
部近傍部位に形成される緩やかな傾斜表面またはラウン
ド表面は、基板長手方向について直線性が高度に確保さ
れることになる。換言すると、従前の薄膜型サーマルプ
リントヘッドにおける部分グレーズ層のように、その頂
部に問題となるうねりがほとんど発生しない。
【0025】したがって、本願発明に係る薄膜型サーマ
ルプリントヘッドを用いることにより、プラスチックカ
ード、あるいは金属等の平滑な硬質表面をもつ対象物に
問題なく印刷を施すことが可能となる。
【0026】また、発熱部は、上記ガラスグレーズ層の
基板縁部近傍部に設けたなだらかな傾斜表面またはラウ
ンド表面上に形成されているので、ヘッド全体を上記の
ような平滑表面に対して傾斜させながら、上記発熱部を
都合よく対象表面に接触させることができる。
【0027】このように、本願発明によって製造される
薄膜型サーマルプリントヘッドによれば、平滑な硬質表
面をもつ対象物に対して、問題なく熱転写方式による印
刷を行うことができる。
【0028】
【実施例の説明】以下、本願発明の好ましい実施例を、
図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0029】図1に本願発明によって製造される薄膜型
サーマルプリントヘッド10の平面図を、図2および図
3に上記サーマルプリントヘッド10の要部を示す断面
図を、図4に発熱部11の拡大平面図を、それぞれ示
す。
【0030】所定厚みのアルミニウム板等からなる放熱
板12上に、長手方向に所定長さを有するヘッド基板1
3が重ね合わせ固定されている。このヘッド基板13の
上面一側縁部近傍には、基板長手方向に延びる発熱部1
1が形成されるとともに、他側部には、上記発熱部11
を所定長さごとに区分して構成される各発熱ドットを独
立して駆動するための複数個の駆動IC14が搭載され
ている。上記ヘッド基板13の上記駆動IC搭載部より
もさらに側方には、いわゆるフレキシブル基板15等の
外部接続ケーブルが連結されている。
【0031】上記発熱部11は、具体的には、次のよう
にして形成される。図2および図3に示すように、アル
ミナセラミック等の基板13の表面に、ガラスグレーズ
層16が形成される。本願発明におけるこのガラスグレ
ーズ層16は、基板幅方向に十分な領域をもたせてあ
る。後述するように、導体パターン層17は上記ガラス
グレーズ層上にスパッタリング形成されることから、上
記ガラスグレーズ層16は、基板の幅方向全域に設ける
こともできる。
【0032】図2および図3に表れているように、上記
のガラスグレーズ層16の基板幅方向縁部近傍部位に
は、基板の縁に向かうほど低位となる緩やかな傾斜表面
またはラウンド表面18が形成されている。本願発明
は、かかる傾斜表面またはラウンド表面の形成方法に特
徴づけられており、その詳細は後述する。
【0033】上記ガラスグレーズ層16の基本的な厚み
は、たとえば、70μmとされ、上記緩やかな傾斜表面
またはラウンド表面18が形成される領域の幅方向寸法
は、たとえば、175μmとされる。
【0034】上記ガラスグレーズ層16の表面には、た
とえば、窒化タンタルを材料とする抵抗体層19がスパ
ッタリング等によって薄膜形成される。この抵抗体層1
9の厚みは、たとえば、0.05ないし0.15μmと
される。この発熱抵抗体層19が形成されるべき領域
は、少なくとも、上記傾斜表面あるいはラウンド表面1
8を含むべきであるが、適当な範囲に形成して差し支え
ない。
【0035】さらに、上記抵抗体層19の上には、図4
に示すような平面形態をもつ導体パターン層17が、た
とえば、アルミニウムを材料とするスパッタリングによ
って薄膜形成される。図4において斜線で示す領域が上
記抵抗体層19が臨んで形成される発熱部11としての
帯状領域である。図4に表れているように、この発熱部
としての帯状領域には、スリット20がエッチング等に
よって形成されており、発熱部の幅方向に延びる各帯状
の発熱単位(ドット)11aに分断されている。図4に
おいて、符号17aで示すパターンは、駆動ICにつな
がる駆動パターンであり、符号17bで示すいずれかの
パターンが、コモンパターンである。たとえば、図4の
符号17aで示すいずれかの駆動パターンに通電する
と、電流が図4に矢印で示すように流れ、図4に網線で
示す領域が発熱する。
【0036】なお、上記抵抗体層19、導体パターン層
17、をさらに覆うようにして、ガラスによる保護層2
1がたとえば4ないし5μmの厚みでスパッタリング等
により形成されている。
【0037】ところで、上記したガラスグレーズ層16
の基板縁部近傍における緩やかな傾斜表面あるいはラウ
ンド表面18は、本願発明では、次のようにして形成さ
れる。
【0038】図5ないし図10は、ガラスグレーズ層1
6の上記傾斜表面あるいはラウンド表面18の形成方法
の第一の実施例を示している。まず、図5に示すよう
に、セラミック基板13の表面に、一定厚みのグレーズ
層16を印刷・焼成により形成する。図5に示すよう
に、このグレーズ層16は、分割線PLによって後の工
程で各単位基板に分割するべき集合基板に対して形成さ
れるのであり、したがって、単位基板についてみれば、
上記グレーズ層16は、その縁部にいたるまで一定厚み
で形成されていることになる。
【0039】次に、サンドブラスト法により、グレーズ
層16の表面に、所定幅の溝16aを形成する。これに
は、たとえば、形成するべき溝領域と同様の開口をもつ
マスク板22をグレーズ層表面に密着させ、その上方か
らマスク板22に向けてサンドブラスト処理を行うこと
により、図7に示すように、グレーズ層16の表面にに
溝16aを形成することができる。この溝深さは、たと
えば、50μmとすることができ、この溝深さは、基板
長手方向に一様な深さとされる。溝深さの管理は、サン
ドブラストの強さおよび時間を調整することにより、比
較的容易に行うことができる。
【0040】次に、上記サンドブラストによって基板長
手方向一様に形成された溝16aの中央部に、たとえば
ダイシングブレード23によって材料基板13にいたる
細溝24を形成する。これにより、グレーズ層16の基
板端部領域に、階段部が精度よく形成される。
【0041】次に、図9の状態の材料基板を再焼成す
る。このときの熱によって上記の階段部分が流動化し、
表面張力によって図10に示すような緩やかなラウンド
部18が形成されてこの状態で硬化する。このラウンド
部18もまた、基板長手方向に一様なものとなる。
【0042】このようにして、基板縁部近傍において緩
やかなラウンド部が形成されたガラスグレーズ層16の
上面に、既に説明したように、抵抗体層19の薄膜形
成、導体パターン層17の薄膜形成、および保護層21
の形成が行われるのである。
【0043】そして、発熱部11は、図2に表れている
ように、その幅方向全部が上記ラウンド表面18に位置
するか、または、図3に示すように、その一部が上記ラ
ウンド表面18に位置するようになされる。かかる相違
は、必要により、ラウンド表面のアールを変更すること
によって達成することができる。
【0044】こうして保護層21の形成までの工程を終
えた材料基板13は、分割線PLによって分割され、個
々の基板となされる。
【0045】上記の傾斜表面またはラウンド表面18の
形成のために行うガラスグレーズ層16に対する加工
は、上記のような階段部を設けるほか、図12に示すよ
うな傾斜部を基板長手方向一様に設けることによっても
よい。かかる傾斜部は、図11に示すように、傾斜状の
周面を有するダイシングブレード23aによって切削を
行うことにより形成できる。
【0046】また、図5ないし図10に示した方法にお
いては、符号16aで示す溝は、サンドブラスト法で行
うほか、所定幅をもつダイシングブレードによる切削に
より形成してもよい。
【0047】なお、グレーズ層表面からの溝深さの管理
は、サンドブラスト法による方が容易であり、材料基板
13の厚み、あるいはグレーズ層16の基準厚みにばら
つきが生じうる状況においては、グレーズ層16の表面
からの深さ管理が容易なサンドブラスト法によるのが好
適である。
【0048】以上のようにして形成されるガラスグレー
ズ層16の基板縁部近傍に形成された傾斜表面あるいは
ラウンド表面18の高さには、基板長手方向に直線性が
担保されている。換言すると、従前のサーマルプリント
ヘッド1における部分グレーズ層4b見られたようなう
ねりは著しく減じられる。
【0049】このことは、従前の部分グレーズ層4bに
うねりが生じた原因に鑑みれば明らかである。従来の技
術の項で既に説明したように、細幅のガラス部分グレー
ズ層をスクリーン印刷ないし焼成によって形成するにあ
たっては、スクリーンによる印刷直後のガラスペースト
のエッジに正確な直線性が確保されず、また、焼成時の
熱によってガラスペーストが流動化させられた際に、基
板に対する濡れ性が各所によって異なることが、上述の
うねりの発生の主たる原因であった。上述した本願発明
による上記ガラスグレーズ層の形成方法においては、上
記の従来例における部分グレーズ層のうねりの原因が、
全く取り除かれているのである。
【0050】すなわち、ガラスグレーズ層16それ自体
が十分な幅方向領域に形成されていることから、発熱部
に対して駆動IC側の側方において、ガラスグレーズ層
が平面的に基板と境界を接することがなく、また、上記
傾斜表面またはラウンド表面18の形成の前段階とし
て、正確な加工によって第一段階の焼成後のグレーズ層
に傾斜面ないしは階段部を基板長手方向一様に形成して
いることから、かかる傾斜部または階段部が再焼成時に
おいて流動化した場合においても、かかる流動化は、基
板に対する濡れ性には全く関係なく長手方向各所におい
て均一に行えることになり、その結果、発熱部を設ける
べき部位に、焼成後のうねりが生じる原因が全く消失す
るのである。
【0051】したがって、上記のような方法によって製
造される薄膜型サーマルプリントヘッドによれば、その
発熱部を、プラスチック板あるいは金属板のような硬質
の平滑面に対して長手方向に均一に押しつけることがで
きるのであり、その結果、従前のこの種の薄膜型サーマ
ルプリントヘッドにおいては不可能であった、硬質平滑
面への熱転写方式による印刷が、初めて可能となったの
である。
【0052】図2および図3に示すように、上記発熱部
11は、ガラスグレーズ層16に設けた傾斜表面または
ラウンド表面18に一部または全部が形成されているた
め、印刷対象平滑表面Fに対して図1に示すようにプリ
ントヘッド10を傾斜させることにより、ヘッド基板上
に載るIC14の印刷対象表面Fに対する干渉を都合よ
く回避しながら、上記発熱部11を印刷対象平滑面Fに
接触させることができるのである。なお、図1には図示
を省略してあるが、印刷対象平滑表面Fとプリントヘッ
ド10との間には、インクリボンが介装させられる。
【0053】このインクリボンとして昇華型のものを採
用し、ヘッドに昇華方式の駆動をかけて印刷を行うこと
が、本願発明の薄膜型サーマルプリントヘッドにおいて
は特に好適である。ガラスグレーズ層16が幅方向に十
分な領域にわたって存在しているがために、発熱部の直
下部の蓄熱性能が低下し、エネルギ効率が低下するきら
いがあるが、昇華型の印字方式にあっては、発熱部11
に十分なエネルギが供給され、かつ、副走査方向への印
字速度が比較的小さいことから、上記ガラスグレーズ層
の蓄熱性能の低さが印字品質に実質的な悪影響を及ぼす
ことがないからである。
【0054】もちろん、本願発明の範囲は、上述した実
施例に限定されるものではない。ガラスグレーズ層1
6、発熱抵抗体層19、導体パターン層17、保護層2
1の厚みは、薄膜型サーマルプリントヘッドの範疇にお
いて常識的な範囲で種々に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明によって製造される薄膜型サーマルプ
リントヘッドの一例の平面図である。
【図2】図1のサーマルプリントヘッドの要部の断面図
であって、発熱部が緩やかな傾斜面に位置するタイプを
示している。
【図3】図1のサーマルプリントヘッドの要部の断面図
であって、発熱部がラウンド表面に位置するタイプを示
している。
【図4】上記サーマルプリントヘッドにおける発熱部の
拡大平面図である。
【図5】本願発明に係る薄膜型サーマルプリントヘッド
の製造方法の一実施例の説明であり、セラミック基板の
表面にグレーズ層を形成する工程を示す。
【図6】図5において形成されたグレーズ層に対してサ
ンドブラスト処理を行う工程を示す。
【図7】図6のサンドブラスト処理によって形成された
溝を示す。
【図8】図6において形成された溝の中央部に細溝を形
成する工程を示す。
【図9】図6および図8の工程によって形成された溝お
よび細溝によって構成される階段部を示す。
【図10】図9の状態のプリント基板を再焼成した状態
を示す。
【図11】本願発明に係る薄膜型サーマルプリントヘッ
ドの製造方法の第二の実施例の説明図であり、図5のグ
レーズ層に対して切削加工による傾斜部を形成する工程
を示す。
【図12】図11の切削加工によって形成された傾斜部
を示す。
【図13】図12の状態のプリント基板を再焼成した状
態を示す。
【図14】従来の薄膜型サーマルプリントヘッドの平面
図である。
【図15】図14のXV−XV線に沿う断面図である。
【図16】図15において上方から見た大略斜視図であ
る。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手方向に所定の長さを有する基板の表
    面の幅方向縁部から十分な幅方向領域にガラスグレーズ
    層を形成し、 上記ガラスグレーズ層の所定部位に抵抗体層を薄膜形成
    し、 上記抵抗体層上に所定の導体パターン層を形成して上記
    抵抗体層のうちの帯状領域を単位長さごとに個別発熱さ
    せることができる発熱部として形成することを含む薄膜
    型サーマルプリントヘッドの製造方法であって、 上記ガラスグレーズ層は、ガラスペーストを用いた印刷
    ・焼成により、基板の幅方向縁部にいたるまで一定厚み
    に形成するステップ、この一定厚みのガラスグレーズ層
    の基板縁部近傍部位に傾斜部または階段部を基板長手方
    向に一様に加工形成するステップ、この加工形成後、ガ
    ラスグレーズ層を再焼成するステップ、を経て形成する
    ことにより、基板縁部近傍部位に、基板の縁に向かうほ
    ど低位となる緩やかな傾斜表面またはラウンド表面が基
    板長手方向に一様に形成されるようになし、 上記ガラスグレーズ層の上記傾斜表面またはラウンド表
    面上に上記発熱部の幅方向一部または全部を配置するこ
    とを特徴とする、薄膜型サーマルプリントヘッドの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 上記傾斜部または階段部を加工形成する
    ステップは、回転砥石による切削により行う、請求項1
    の方法。
  3. 【請求項3】 上記階段部を加工形成するステップは、
    ブラスト法により行う、請求項1の方法。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3の方法によって製
    造された薄膜型サーマルプリントヘッド。
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