JPH06218973A - サーマルヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 印字の際、記録紙に作用する挟圧力を均一に
して画像の濃度ムラの発生を防止すること。 【構成】 絶縁基板２は部分アンダーグレーズ２cを有
している。絶縁基板２上には共通電極３、個別電極４及
び発熱抵抗体５が形成されている。発熱抵抗体５は部分
アンダーグレーズ２b上に配置されている。絶縁基板２
表面は耐磨耗層６により被覆され、発熱抵抗体５の上部
を被覆する耐磨耗層６表面により印字部６aが形成され
ている。部分アンダーグレーズ２bの傾斜面を被覆する
耐磨耗層６の表面は、前記印字部６aに接触した記録紙
Ｐの移動方向下流側部分が研磨され、凹凸の無い平滑面
となっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はファクシミリ装置やプリ
ンター等の記録部に使用されるサーマルヘッドに関し、
特に、部分アンダーグレーズを有する絶縁基板上に複数
の共通電極接続部と個別電極とそれらを接続する発熱抵
抗体とが形成され、それらの上面が耐磨耗層によって被
覆されたサーマルヘッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】図３は、従来のサーマルヘッドの要部斜
視図である。図３において、絶縁基板０２はセラミック
製の基板本体０２aおよび所定方向Ｘに延びる帯状の部
分アンダーグレーズ０２bから構成されている。帯状の
部分アンダーグレーズ０２bはスクリーン印刷等の厚膜
技術により形成されている。部分アンダーグレーズ０２
bの前記所定方向Ｘと垂直な方向Ｙの断面形状は、上方
に突出しており、中央部から外側部に行くに従って下方
に傾斜する傾斜面を有している。この絶縁基板０２表面
には、前記所定方向Ｘと平行に延びる帯状の共通電極本
体部０３a及びこの共通電極本体部０３aから前記所定方
向Ｘに対し垂直な方向Ｙに突出する複数の共通電極接続
部０３bを有する共通電極０３が形成されている。ま
た、絶縁基板０２表面には、前記複数の各共通電極接続
部０３bに対応して配置され且つ前記所定方向と垂直な
方向に延びる複数の個別電極０４が形成されている。

【０００３】前記各電極０３、０４が形成された絶縁基
板０２表面には、前記各共通電極接続部０３b及び各個
別電極０４を接続する発熱抵抗体０５が形成されてい
る。なお、前記発熱抵抗体０５は前記部分アンダーグレ
ーズ０２b上に配置されている。 前記各電極０３、０
４および発熱抵抗体０５の上にはそれらを被覆する耐磨
耗層０６が形成されている。そして前記発熱抵抗体０５
上部の前記耐磨耗層０６表面は記録紙と接触する印字部
として形成されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記部分アンダーグレ
ーズ０２bまたは発熱抵抗体０５が厚膜印刷で形成され
たサーマルヘッドでは、厚膜印刷特有の印刷うねりが前
記所定方向Ｘに沿って発生し、前記所定方向Ｘに垂直な
方向Ｙに数μｍの凹凸が発生する。このため、発熱抵抗
体上部を被覆する体磨耗層表面の記録紙との接触部分、
特に印字部で印字された直後の記録紙に接触する部分に
も凹凸が生じる。印字直後の記録紙は前記凹凸の有る耐
磨耗層表面とプラテンとにより挟まれ圧力（挟圧力）を
受ける。このとき転写感熱記録では、前記耐磨耗層表面
の凹凸により溶融状態（又は軟化状態）のインク層と接
する記録紙に圧力不均一、圧力異常が発生する。前記圧
力不均一が生じると、記録紙に溶融状態（又は軟化状
態）で接しているインク層は、前記圧力不均一により変
形する。そして、記録紙へのインクの転写量は、圧力の
高い部分が圧力の低い部分よりも少なくなり、画像ムラ
が発生し、画像低下を引き起こす。このため、部分アン
ダーグレーズ０２bまたは発熱抵抗体０５を厚膜印刷で
形成したサーマルヘッドでは、転写感熱記録により多階
調等の高画質印字を行うことが困難であった。

【０００５】本発明は、前記事情に鑑み、帯状の部分ア
ンダーグレーズ上に発熱抵抗体が形成されたサーマルヘ
ッドにおいて、下記（Ｏ01）の記載内容を課題とする。
（Ｏ01） 印字の際、記録紙に作用する圧力を均一にし
て画像の濃度ムラの発生を防止すること。

【０００６】

【課題を解決するための手段】次に、前記課題を解決す
るために案出した本発明を説明するが、本発明の要素に
は、後述の実施例の要素との対応を容易にするため、実
施例の要素の符号をカッコで囲んだものを付記する。な
お、本発明を後述の実施例の符号と対応させて説明する
理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明
の範囲を実施例に限定するためではない。

【０００７】前記課題を解決するために、本出願の第１
発明のサーマルヘッド（Ｈ）は、所定方向（Ｘ）に延び
るとともに前記所定方向（Ｘ）と垂直な断面形状が中央
部から外側部に行くに従って下方に傾斜する傾斜面を有
する断面凸状の帯状部分アンダーグレーズ（２c）が形
成された絶縁基板（２）表面に、前記所定方向（Ｘ）と
平行に延びる帯状の共通電極本体部（３a）及びこの共
通電極本体部（３a）から前記所定方向（Ｘ）に対し垂
直な方向に突出する複数の共通電極接続部（３b）を有
する共通電極（３）と、前記複数の各共通電極接続部
（３b）に対応して配置され且つ前記所定方向（Ｘ）と
垂直な方向（Ｙ）に延びる複数の個別電極（４）と、前
記共通電極接続部（３b）及び個別電極（４）を接続す
る発熱抵抗体（５）と、前記各電極（３、４）および発
熱抵抗体（５）を被覆する耐磨耗層（６）とが形成さ
れ、前記発熱抵抗体（５）は前記部分アンダーグレーズ
（２c）上に配置され、発熱抵抗体（５）上部の前記耐
磨耗層（６）表面が記録紙（Ｐ）と接触する印字部（６
a）として形成されたサーマルヘッド（Ｈ）において、
下記の要件（Ｙ01）を備えたことを特徴とする、（Ｙ0
1） 前記部分アンダーグレーズ（２c）の傾斜面を被覆
する耐磨耗層（６）の表面は、前記印字部（６a）に接
触した記録紙（Ｐ）の移動方向下流側部分が、研磨され
て凹凸の無い平滑面に形成されたこと。

【０００８】前記共通電極（３）、個別電極（４）およ
び発熱抵抗体（５）は、個別対向型電極および個別抵抗
体により形成することが可能であり、また、交互リード
型電極および帯状抵抗体により形成することも可能であ
る。前記耐磨耗層（６）表面の平滑面は、耐磨耗層
（６）表面を研磨シート（ラッピングテープ）および表
面にゴム層が形成されたゴムローラ等を用いて研磨する
ことにより容易に形成することができる。前記研磨シー
トとしては軟質樹脂製のシートにアルミナ以上の硬度の
粉末を混入したものを使用することが好ましい。また、
前記耐磨耗層（６）として低軟化ガラス層を用いると、
平滑面をさらに容易に形成することができる。

【０００９】

【作用】次に、前述の特徴を備えた本発明の作用を説明
する。前述の特徴を備えた 本出願の第１発明のサーマ
ルヘッド（Ｈ）では、絶縁基板（２）表面に、所定方向
（Ｘ）に延びるとともに前記所定方向（Ｘ）と垂直な方
向（Ｙ）の断面形状が中央部から外側部に行くに従って
下方に傾斜する傾斜面を有する断面凸状の帯状部分アン
ダーグレーズ（２c）が形成されている。この絶縁基板
（２）表面に形成された共通電極（３）と、所定の個別
電極（４）との間に所定の電圧を印加すると、前記部分
アンダーグレーズ（２c）上に形成された所定の発熱抵
抗体（５）が発熱する。その発熱した発熱抵抗体（５）
の表面を被覆する耐磨耗層（６）表面の印字部（６a）
の温度は印字可能な温度に上昇する。前記印字部（６
a）を有する耐磨耗層（６）表面とサーマルヘッド
（Ｈ）のプラテン（Ｒ）との間に記録紙（Ｐ）およびイ
ンクドナーフィルム（Ｉ）を挟圧した状態で移送しなが
ら、前記印字部（６a）の温度を上昇させると、インク
ドナーフィルム（Ｉ）のインク層が溶融状態（又は軟化
状態）となる。

【００１０】前記溶融状態（又は軟化状態）のインクお
よび記録紙（Ｐ）は接触した状態でインクドナーフィル
ム（Ｉ）とともに移送される。前記インクおよび記録紙
（Ｐ）の移動方向下流側部分の耐磨耗層（６）表面の傾
斜面は、研磨された平滑面に形成されている。したがっ
て、前記移送される記録紙（Ｐ）およびインクは耐磨耗
層（６）表面の凹凸の無い平滑面とプラテン（Ｒ）との
間に挟圧されて均一な圧力を受ける。このため、前記記
録紙（Ｐ）に接触する溶融状態（又は軟化状態）のイン
クは変形せず、均一な厚さで記録紙（Ｐ）に転写され
る。

【００１１】

【実施例】

（実施例１）以下、図面により本発明の一実施例につい
て説明する。図１Ａに示すように、サーマルヘッドＨ
は、支持板（図示せず）表面に接着された絶縁基板２を
有している。この絶縁基板２は、セラミック製の基板本
体２a、その表面に形成された全面アンダーグレーズ２
b、及び主走査方向（所定方向）Ｘに沿って延びる帯状
の部分アンダーグレーズ２cとから構成されている。前
記絶縁基板２表面には、主走査方向Ｘに沿って延びる帯
状の共通電極本体部３aおよびこの本体部３aから櫛歯状
に副走査方向（前記所定方向に垂直な方向）Ｙに突出す
る複数の共通電極接続部３bを有する共通電極３が形成
されている。また、絶縁基板２表面には、副走査方向に
Ｙに沿って延びると共に主走査方向に列設された複数の
個別電極４が形成されている。そして各共通電極接続部
３bの先端と各個別電極４の先端４aは、前記部分アンダ
ーグレーズ２c上で互いに対向する位置に配置されてい
る。

【００１２】前記複数の共通電極接続部３bおよび個別
電極４は、前記絶縁基板２表面において主走査方向Ｘに
沿って島状に配置された複数の発熱抵抗体５によって接
続されている。この発熱抵抗体５は前記部分アンダーグ
レーズ２b上に配置されている。前記両電極３，４およ
び発熱抵抗体５が形成された絶縁基板２の表面は低軟化
ガラス（すなわち、平滑ガラス）製の耐摩耗層６で被覆
されている。そして、一つの個別電極４とそれに対向す
る位置に配置された一個の共通電極接続部３b間を接続
する１個の発熱抵抗体５により１個の発熱素子５が形成
され、前記１個の発熱素子５を覆う前記耐摩耗層６の表
面により１個の印字部６aが形成されている。前記耐磨
耗層６表面の副走査方向Ｙに沿う断面形状は、上方に突
出しており、副走査方向Ｙの中央部が高く、中央部から
外側へ行くに従って低くなる形状を有している。したが
って、前記耐磨耗層６表面は、副走査方向Ｙに沿って中
央部から外側方へ行くに従って下方に傾斜する傾斜面を
有している。

【００１３】図２は、前記サーマルヘッドの製造工程に
おける耐磨耗層６の研削工程の説明図である。前記耐磨
耗層６の膜厚は、サーマルヘッドの製造工程において、
研磨シート１１により表面を平坦な平滑面に研磨できる
様に選定されている。そして、耐磨耗層６表面は、印刷
された後の記録紙Ｐ（図１参照）の移動方向下流側部分
（本実施例では共通電極３側部分）がアルミナの硬度以
上の硬度を有する粉末を混入した研磨シート１１および
ゴムローラ１２により研磨されて凹凸の無い平滑面に形
成されている。

【００１４】（実施例の作用）図１において、印字を行
う際には、記録紙ＰおよびインクドナーフィルムＩは前
記耐磨耗層６表面とプラテンＲ外周面に挟まれた状態で
副走査方向Ｙに移送される。前記耐磨耗層６表面の印字
部６aに押し付けられて溶融又は軟化したインク層と接
触する記録紙Ｐの移動方向下流側部分の耐磨耗層６表面
（すなわち、傾斜面）は、凹凸の無い平滑面となってい
る。このため、前記溶融又は軟化したインク層は均一な
圧力で記録紙に押し付けられる。したがって、インク層
が記録紙Ｐに均一に転写される。

【００１５】（変更例）以上、本発明の実施例を詳述し
たが、本発明は、前記実施例に限定されるものではな
く、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内
で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更
実施例を下記（Ｈ01）、（Ｈ02）に例示する。

【００１６】（Ｈ01） 例えば、本発明は共通電極接続
部３bおよび個別電極４が交互に配置された交互リード
型電極、並びに帯状発熱抵抗体を有するサーマルヘッド
にも適用することが可能である。 （Ｈ02） また、本発明のサーマルヘッドは、転写型熱
記録だけでなく、感熱紙を用いた熱記録を行うことも可
能である。

【００１７】

【発明の効果】前述の構成を備えた本発明のサ−マルヘ
ッドは、次の（Ｅ01）に記載の効果を奏する。 （Ｅ01） 印字の際、記録紙に作用する圧力を均一にす
ることができるので、転写型熱記録を行う場合に溶融又
は軟化インクを均一な厚さで記録紙に転写できる。した
がって、印字した画像の濃度ムラの発生を防止すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 図１は本発明のサ−マルヘッドの実施例１を
示し、図１Ａは平面図、図１Ｂは図１ＡのIＢ−IＢ線に
おける断面図である。

【図２】 図２は前記実施例１の製造工程の説明図であ
る。

【図３】 図３は従来技術の説明図である。

【符号の説明】

Ｈ…サーマルヘッド、Ｐ…記録紙、Ｘ…主走査方向、Ｙ
…副走査方向、２…絶縁基板、２c…部分アンダーグレ
ーズ、３…共通電極、３a…共通電極本体部、３b…共通
電極接続部、４…個別電極、５…帯状発熱抵抗体、６…
耐磨耗層、６a印字部、

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定方向に延びるとともに前記所定方向
   と垂直な断面形状が中央部から外側部に行くに従って下
   方に傾斜する傾斜面を有する断面凸状の帯状部分アンダ
   ーグレーズが形成された絶縁基板表面に、前記所定方向
   と平行に延びる帯状の共通電極本体部及びこの共通電極
   本体部から前記所定方向に対し垂直な方向に突出する複
   数の共通電極接続部を有する共通電極と、前記複数の各
   共通電極接続部に対応して配置され且つ前記所定方向と
   垂直な方向に延びる複数の個別電極と、前記共通電極接
   続部及び個別電極を接続する発熱抵抗体と、前記各電極
   および発熱抵抗体を被覆する耐磨耗層とが形成され、前
   記発熱抵抗体は前記部分アンダーグレーズ上に配置さ
   れ、発熱抵抗体上部の前記耐磨耗層表面が記録紙と接触
   する印字部として形成されたサーマルヘッドへにおい
   て、下記の要件（Ｙ01）を備えたことを特徴とするサー
   マルヘッド、（Ｙ01） 前記部分アンダーグレーズの傾
   斜面を被覆する耐磨耗層の表面は、前記印字部に接触し
   た記録紙の移動方向下流側部分が、研磨されて凹凸の無
   い平滑面に形成されたこと、