JPH08307208A - 広帯域位相シフト回路 - Google Patents

広帯域位相シフト回路

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JPH08307208A
JPH08307208A JP11468795A JP11468795A JPH08307208A JP H08307208 A JPH08307208 A JP H08307208A JP 11468795 A JP11468795 A JP 11468795A JP 11468795 A JP11468795 A JP 11468795A JP H08307208 A JPH08307208 A JP H08307208A
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JP
Japan
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phase
signal
phase shift
signal path
shift circuit
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JP11468795A
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Tetsuo Sato
哲雄 佐藤
Keiji Koyama
契治 小山
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 面倒な補償や調整等を必要としない比較的簡
単かつ低コストな構成でもって、広い周波数範囲にわた
ってほぼ90度の位相差を形成できる広帯域位相シフト
回路およびその応用回路を提供する。 【構成】 第1の信号経路に介在する第1のオールパス
フィルタと、第2の信号経路に介在する第2のオールパ
スフィルタとの間に位相特性の差を持たせることで、第
1の信号経路と第2の信号経路の間で、所定の周波数範
囲にわたって所定の位相差を得る。 【効果】 第1の信号経路での位相シフト角と第2の信
号経路での位相シフト角とが互いにほぼ90度の差を保
ちながら推移する区間を、比較的広い周波数範囲にわた
って形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、広帯域位相シフト回
路、さらには1桁程度の周波数拡がりを有する信号の位
相シフトに適用して有効な技術に関するものであって、
たとえばVTR(ビデオテープレコーダ)でのクロマ信
号再生用櫛形フィルタやPSN(位相シフト回路)方式
のSSB発生回路に利用して有効な技術に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】広帯域位相シフト回路、とくに90度の
位相シフトを行う広帯域位相シフト回路は、VTRやS
SBなどの多くの技術分野にて、重要な用途を提供する
ことができる。
【0003】たとえば、磁気テープを用いて画像の記録
/再生を行うVTRおいては、映像信号を輝度信号と色
信号を分離して別個に信号処理することが行われる。す
なわち、VHSフォーマットや8mmVTRのフォーマ
ットなどでは、磁気テープ上にて映像の記録/再生に必
要な記録密度を得るために、いわゆるヘリカルスキャン
を行っている。このヘリカルスキャン方式ではガードバ
ンドレス記録を行っているために、隣接トラックからの
クロストークが発生する。
【0004】そこで、輝度信号については、比較的高域
の周波数域にて記録/再生を行わせるとともに、アジマ
ス角の異なるヘッドを交互にスキャンさせることにより
得られるアジマス効果によって、クロストークの除去を
行っていた。色信号については、相前後する2つの水平
走査期間の間で90度の位相シフトいわゆるクロマロー
テーション処理を行わせるとともに、このクロマローテ
ーションにより90度の位相差を持たせられた2つの信
号を相互に減算処理することによりクロストーク成分を
相殺させる櫛形フィルタによって、クロストークの除去
を行っていた。
【0005】また、SSBにおいては、SSB信号の発
生方式として、平衡変調信号の下側と上側にそれぞれ拡
がる2つの側波帯の一方だけをメカニカルフィルタなど
の狭帯域フィルタによって取り出すフィルタ方式と、そ
れぞれ90度ずつ位相シフトされた変調信号と搬送波信
号を互いに掛け算処理して加算合成することにより上側
または下側のいずれか一方の側波帯だけを合成するPS
N方式とがある。この場合、実用化されているのは前者
のフィルタ方式であるが、原理的には後者のPSN方式
に利点が多い。
【0006】このように、位相シフト技術、とくに90
度の位相シフトを行わせる技術は、非常に多くの技術分
野への波及効果を伴うものであって、その進歩への要望
はきわめて大きい。
【0007】ここで、90度の位相シフトを行わせるた
めの従来の技術としては、たとえば、CQ出版社刊行
「トランジスタ技術1991年8月号}421ページ
(APFの位相と周波数の関係)に記載されているよう
なオールパスフィルタ(APF)を利用したものがあ
る。
【0008】図8はそのオールパスフィルタを用いた位
相シフト回路の実際例を示す。
【0009】同図において、オールパスフィルタAPF
1は、可変コンダクタンスアンプ(Gmアンプ)31、
増幅率1の反転増幅器41、容量C1により構成され
る。このAPF1は、Gmアンプ31が形成する等価抵
抗R1と容量C1で設定される位相特性a1(=1/R
1・C1)を有し、入力信号Vinを一定利得で伝達し
つつ位相シフトさせる。つまり、利得変化を伴わずに、
位相のみをシフトさせる。これにより、APF1を伝達
した信号V1とAPF1を伝達しない信号Voとの間に
位相差を持たせることができる。
【0010】図9は上記オールパスフィルタAPF1で
得られる位相シフト特性の一例を示す。
【0011】同図に示すように、APF1を一定利得で
伝達させられた信号V1の位相は周波数に応じてシフト
(移相)される。ここで、上記特性パラメータa1を適
当に選べば、所定の周波数域にてほぼ90度の位相シフ
トを行う位相シフト回路を形成することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た技術には、次のような問題のあることが本発明者らに
よってあきらかとされた。
【0013】すなわち、上述した従来の位相シフト回路
では、図9に示すように、周波数による位相シフト角の
変化が大きいために、たとえば90度付近の位相シフト
角を得ようとしても、その90度付近の位相シフト角が
得られる周波数幅w1はかなり狭く限定されてしまう。
【0014】このため、たとえば上述した櫛形フィルタ
においては、磁気テープから再生されたクロマ信号が6
29±500KHzの低域クロマ信号のままであると、
その低域クロマ信号の周波数帯域が129〜1129K
Hzという非常に広範囲に及ぶために、その低域クロマ
信号の全体域にわたってほぼ90度の位相シフトを行わ
せることは、現実に無理であった。つまり、低域クロマ
信号のままでは、信号の周波数幅比(129〜1129
KHz)が10倍近くにもなるため、位相シフトによる
クロマローテーション処理が行えなかった。
【0015】そこで、従来においては、低域クロマ信号
(629±500KHz)を高域クロマ信号(たとえば
3.579545MHz±500KHz)に周波数変換
してから、位相シフトによクロマローテーションを行わ
せるようにしていた。これならば、信号の周波数幅比
(±500KHz/3.579545MHz)が10数
パーセントに縮小されるので、その高域クロマ信号の全
帯域にわたってほぼ90度の位相シフトを行わせること
ができ、位相シフトによるクロマローテーション処理が
可能になる。
【0016】しかし、高域クロマ信号のクロマローテー
ション処理では、クロマ信号を1水平走査期間だけ遅延
させるための遅延手段の構成が大がかりになるという問
題が生じていた。遅延手段としては、ガラス遅延線ある
いはCCD(電荷結合素子)が一般に提供されている
が、ガラス遅延線は信号減衰量と遅延量にそれぞれバラ
ツキがあって、伝達利得や位相を補償しなければならな
い面倒が生じる。
【0017】CCDは、一定のクロック周波数でサンプ
リングした信号をAD変換して直列に多段シフト転送さ
せることにより一定の遅延を行うことができるが、その
サンプリングためのクロック周波数は少なくとも信号周
波数の2倍以上を要する。したがって、高域クロマ信号
を1水平走査期間(63.56μsec)だけ遅延させ
るためには、膨大な数の転送段数が必要となって、これ
がコスト上昇の大きな原因の一つとなっていた。
【0018】また、上述したSSBについては、構成が
複雑で高価なメカニカルフィルタや多素子クリスタルフ
ィルタを使用するフィルタ方式よりも、数学的な処理に
よりSSBを発生することができるPSN方式の方が原
理的にすぐれているが、たとえば300〜3000KH
zといった広い周波数帯域幅を持つ音声信号に対して、
その全帯域にわたってほぼ90度の位相シフトを行わせ
ることは非常に困難であった。この困難がPSN方式の
実用化を阻んでいた。
【0019】本発明の目的は、面倒な補償や調整等を必
要としない比較的簡単かつ低コストな構成でもって、広
い周波数範囲にわたってほぼ一定の位相差を持つ信号を
得られるようし、これによりたとえば櫛形フィルタやS
SB発生回路等の大幅な性能向上を可能にする、という
技術を提供することにある。
【0020】本発明の前記ならびにそのほかの目的と特
徴は、本明細書の記述および添付図面からあきらかにな
るであろう。
【0021】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、
下記のとおりである。
【0022】すなわち、第1の信号経路に介在して第1
の位相特性を呈する第1のオールパスフィルタと、第2
の信号経路に介在して第2の位相特性を呈する第2のオ
ールパスフィルタを設けるとともに、第1の信号経路と
第2の信号経路の間で、所定の周波数範囲にわたって所
定の位相差を得るように、上記2つのオールパスフィル
タ間で位相特性に差を持たせる、というものである。
【0023】
【作用】上述した手段によれば、第1の信号経路での位
相シフト角と第2の信号経路での位相シフト角とが互い
にほぼ一定の差を保ちながら推移する区間を比較的広い
周波数範囲にわたって形成することができる。
【0024】これにより、面倒な補償や調整等を必要と
しない比較的簡単かつ低コストな構成でもって、広い周
波数範囲にわたってほぼ一定の位相差を持つ信号を得ら
れるようし、これによりたとえば櫛形フィルタやSSB
発生回路等の大幅な性能向上を可能にする、という目的
が達成される。
【0025】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を図面を参照し
ながら説明する。なお、図において、同一符号は同一あ
るいは相当部分を示すものとする。
【0026】図1は本発明の技術が適用された広帯域位
相シフト回路の第1の実施例を示したものであって、1
は第1の信号経路、APF1はその第1の信号経路1に
介在する第1のオールパスフィルタ、2は第2の信号経
路、APF2はその第2の信号経路2に介在する第2の
オールパスフィルタ、Vinは共通の入力信号、V1は
第1の信号経路1すなわちAPF1の出力信号、V2は
第2の信号経路2すなわちAPF2の出力信号である。
【0027】入力信号Vinは第1の信号経路1と第2
の信号経路2に分岐されて伝達される。
【0028】オールパスフィルタAPF1,APF2は
一種の能動フィルタであって、入力信号Vinを一定利
得で伝達しつつ位相シフトさせる。つまり、利得変化を
伴わずに、位相のみをシフトさせる。
【0029】第1のオールパスフィルタAPF1は、可
変コンダクタンスアンプ(Gmアンプ)31、増幅率1
の反転増幅器41、容量C1により構成され、Gmアン
プ31が形成する等価抵抗R1と容量C1で設定される
位相特性a1(=1/R1・C1)を有する。同様に、
第2のオールパスフィルタAPF1は、可変コンダクタ
ンスアンプ(Gmアンプ)32、増幅率1の反転増幅器
41、および容量C2により構成され、Gmアンプ32
が形成する等価抵抗R2と容量C2で設定される位相特
性a1(=1/R2・C2)を有する。
【0030】第1の信号経路1を伝達する信号V1に
は、a1=1/R1・C1の位相特性を有する第1のオ
ールパスフィルタAPF1により、入力信号Vinに対
し、角周波数ω=a1にて−π/4の位相シフトが行わ
れる。また、第2の信号経路2を伝達する信号V2に
は、a2=1/R2・C2の位相特性を有する第2のオ
ールパスフィルタAPF2により、入力信号Vinに対
し、角周波数ω=a2にて−π/4の位相シフトが行わ
れる。
【0031】a1<a2となるように設定すると、両信
号V1,V2間の位相差φは次のようになる。 φ=2{arctan(ωx/a1)−arctan(ωx/a2) =2{arctan(fx/f1)−arctan(fx/f2) なお、ωxは信号経路1,2を通過する信号の角周波数
(rad/s) fxはωx/2π f1は1/2π・a1(Hz) f2は1/2π・a2(Hz)である。
【0032】図2は、上述した第1,第2のオールパス
フィルタAPF1,APF2の周波数に対する位相変化
曲線を示す。同図において、V1は第1のオールパスフ
ィルタAPF1の位相変化曲線、V2は第2のオールパ
スフィルタAPF2の位相変化曲線をそれぞれ示す。各
信号V1,V2の周波数に対する位相変化率は90度付
近にて最大となっている。このため、V1,V2のいず
れについても、その位相がほぼ90度に収まる周波数幅
w1,w2はたいへん狭くなっている。しかし、第1の
信号経路1での位相シフト角と第2の信号経路2での位
相シフト角とが互いにほぼ一定の差を保ちながら推移す
る区間は、比較的広い周波数範囲にわたって形成されて
いる。
【0033】図3は、上記2つの信号V1,V2間の位
相差φ(V1−V2)の周波数に対する変化状態を示
す。同図に示すように、個々の信号V1,V2の位相は
90度付近でもっとも大きく変化するが、両信号V1,
V2の位相差(V1−V2)に着目すると、その位相差
(V1−V2)は、かなり広い周波数幅w3にて、ほぼ
90度の範囲に収まることができる。これにより、面倒
な補償や調整等を必要としない比較的簡単かつ低コスト
な構成でもって、広い周波数範囲にわたってほぼ一定の
位相差を持つ信号を得られる。
【0034】たとえば、図1に示した回路にて、 a1=3.14×10^5(rad/s) a2=21,98×10^5(rad/s) (ただし、^はベキを示す)とした場合、2つの信号経
路1,2間で得られる位相差は次の表のようになる。 周波数f(Hz) 1の位相角 2の位相角 1,2間の位相差 70KHz −109.0度 −22.6度 −86.4度 100K −126.8 −31.8 −95.0 200K −152.0 −59.4 −92.6 250K −157.4 −71.0 −86.4 300K −161.0 −81.2 −79.8 この場合、70〜250KHzの周波数範囲にて位相差
は−86.4〜−92.6度の範囲に収まっている。
【0035】図4は本発明の第2の実施例を示す。同図
に示す実施例では、図1に示した構成に加えて、第1の
信号経路1の方に2次のオールパスフィルAPF3を直
列に付加することにより、高域周波数での位相シフト量
を補正している。同図において、31〜34はGmアン
プ、C1〜C4は容量素子である。
【0036】ここで、たとえば容量C1〜C4およびG
mアンプ31〜34での時定数パラメータgm1〜gm
4(μs)を次のように設定したとする。 C1=50PF gm1=22.93μs C2=10PF gm1=25.96μs C3=10PF gm1=131.81μs C4=10PF gm1=220.0μs この場合、2つの信号経路1,2間で得られる位相差は
次の表のようになる。 周波数f(Hz) 1,2間の位相差 100KHz −87度 200K −99 300K −96 400K −93 500K −90 600K −88 700K −90 800K −90 900K −93 1000k −93 この場合、100〜1000KHzの周波数範囲にて位
相差は−87〜−99度の範囲に収まっている。
【0037】以上のように、第1の信号経路1に介在し
て第1の位相特性を呈する第1のオールパスフィルタ
と、第2の信号経路2に介在して第2の位相特性を呈す
る第2のオールパスフィルタを設けるとともに、第1の
信号経路1と第2の信号経路2の間で、所定の周波数範
囲にわたって所定の位相差を得るように、上記2つのオ
ールパスフィルタ間で位相特性に差を持たせることによ
り、第1の信号経路1での位相シフト角と第2の信号経
路2での位相シフト角とを互いにほぼ一定の差を保ちな
がら推移する区間を比較的広い周波数範囲にわたって形
成することができる。
【0038】これにより、面倒な補償や調整等を必要と
しない比較的簡単かつ低コストな構成でもって、下限と
上限の比が1桁にも及ぶ広い周波数範囲にわたってほぼ
一定の位相差を持つ信号を得ることができる。
【0039】図5は、本発明の広帯域位相シフト回路を
用いて構成された低域クロマ信号再生用櫛形フィルタの
実施例を示す。
【0040】同図に示す櫛形フィルタは、VTRの磁気
テープから再生された低域クロマ信号(629KHz±
500KHz)Vinに1水平走査期間(63.56μ
s)分の遅延を与える遅延手段101と、この遅延手段
101にて遅延された第1の信号V1と遅延されていな
い第2の信号V2との間にほぼ90度の位相差を与える
広帯域位相シフト回路100と、この位相シフト回路1
00にて位相差を与えられた第1の信号V1と第2の信
号V2の間で減算(または加算処理)を行う演算回路1
02によって構成される。
【0041】ここで、広帯域位相シフト回路100は、
上述した本発明の広帯域位相シフト回路が使用される
が、この広帯域位相シフト回路100により、低域クロ
マ信号の全周波数帯域にわたってほぼ90度の位相シフ
トを行わせることができる。
【0042】また、遅延手段101はCCDを用いて構
成され、一定のクロック周波数でサンプリングされる低
域クロマ信号をAD変換して直列に多段シフト転送させ
ることにより1水平走査期間分の遅延を行う。このと
き、そのサンプリングためのクロック周波数は低域クロ
マ信号(629KHz±500KHz)の最高周波数
(1129KHz)の2倍以上であれば良い。したがっ
て、高域クロマ信号(3.579545MHz±500
KHz)の1水平走査期間分をサンプリングして多段シ
フト転送させる従来の技術と比較すると、CCDの転送
段数は大幅に少なくて済む。
【0043】図6は、本発明の広帯域位相シフト回路を
用いて構成されたSSB発生回路の実施例を示す。
【0044】同図に示すSSB発生回路は、位相シフト
方式のSSB発生回路であって、変調信号(音声信号)
fmをその周波数帯域(たとえば300〜3000H
z)の全般にわたってほぼ90度の位相差を持つ第1,
第2の2つの変調信号Asin(mt),Acos(m
t)に分ける広帯域位相シフト回路100と、ほぼ90
度の位相差を持つ第1,第2の2つの搬送波信号Bsi
n(nt),Bcos(nt)を生成する搬送波発生回
路111と、第1,第2の2つの変調信号の一方Asi
n(mt)と第1,第2の2つの搬送波信号の一方B
(cos(nt)を掛け算処理する第1の掛け算回路1
12と、第1,第2の2つの変調信号の他方Acos
(mt)と第1,第2の2つの搬送波信号の他方Bsi
n(nt)を掛け算処理する第2の掛け算回路113
と、第1,第2の各掛け算回路の出力ABsin(m
t)cos(nt)とABcos(mt)sin(n
t)を加算合成する加算回路114とを有し、加算回路
114の出力Vout(=ABsin(m+n))tか
ら片側側波帯(USB)だけの信号すなわちSSB信号
f(n+m)を得ることができる。
【0045】ここで、広帯域位相シフト回路100は、
上述した本発明の広帯域位相シフト回路が使用されが、
この広帯域位相シフト回路100により、音声信号の全
周波数帯域(300〜3000Hz)にわたってほぼ9
0度の位相シフトを行わせることができる。
【0046】これにより、構成が複雑で高価なメカニカ
ルフィルタや多素子クリスタルフィルタを使用すること
なく、数学的な処理によって良質なSSB信号を発生さ
せることができる。
【0047】なお、搬送波発生回路111は、搬送波信
号fnの周波数域にてほぼ90度の位相差を与えればよ
いので、狭帯域の90度位相シフト回路115を用いて
構成することができる。
【0048】図7は、図7に示したSSB発生回路にお
いて、SSBの側波帯の上側(USB)と下側(LS
B)を入れ替える場合の結線を示す。同図に示すよう
に、PSN方式のSSB発生回路では、上側側波帯(U
SB)と下側側波帯(LSB)の入れ替えも一部結線の
変更だけで簡単に行うことができる。
【0049】以上、本発明者によってなされた発明を実
施例にもとづき具体的に説明したが、本発明は上記実施
例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範
囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0050】たとえば、オールパスフィルタはデジタル
演算処理により模擬されるデジタルフィルタで構成する
ことも可能である。
【0051】以上の説明では主として、本発明者によっ
てなされた発明をその背景となった利用分野である90
度位相シフト回路に適用した場合について説明したが、
それに限定されるものではなく、たとえば90度以外の
広帯域位相シフト回路にも適用できる。
【0052】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち、代
表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりで
ある。
【0053】すなわち、面倒な補償や調整等を必要とし
ない比較的簡単かつ低コストな構成でもって、広い周波
数範囲にわたってほぼ一定の位相差を持つ信号を得るこ
とができ、これによりたとえば櫛形フィルタやSSB発
生回路等にて大幅な性能向上を可能にするといった技術
的波及効果が得られる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された広帯域位相シフト回路の第
1の実施例を示す回路図
【図2】位相特性の異なる2つのオールパスフィルタの
位相特性を個別に示すグラフ
【図3】位相特性の異なる2つのオールパスフィルタ間
の位相差を示すグラフ
【図4】本発明の第2の実施例の要部を示す回路図
【図5】本発明を用いて構成された櫛形フィルタの実施
例を示すブロック図
【図6】本発明を用いて構成されたSSB発生回路の実
施例を示すブロック図
【図7】上側側波帯と下側側波帯を入れ替えるための結
線を示すブロック図
【図8】オールパスフィルタの構成例を示す回路図
【図9】オールパスフィルタの位相特性を示すグラフ
【符号の説明】
1 第1の信号経路 2 第2の信号経路 APF1 第1のオールパスフィルタ APF2 第2のオールパスフィルタ APF3 2次オールパスフィルタ Vin 入力信号 V1 第1の信号経路1の出力信号 V2 第2の信号経路2の出力信号 31〜34 可変コンダクタンスアンプ 100 本発明の広帯域位相シフト回路 101 遅延手段 102 減算回路 111 搬送波発生回路 112,113 掛け算回路 114 加算回路 115 狭帯域位相シフト回路

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の信号経路に介在して第1の位相特
    性を呈する第1のオールパスフィルタと、第2の信号経
    路に介在して第2の位相特性を呈する第2のオールパス
    フィルタを有するとともに、第1の信号経路と第2の信
    号経路の間で、所定の周波数範囲にわたって所定の位相
    差を得るように、上記2つのオールパスフィルタ間で位
    相特性に差を持たせたことを特徴とする広帯域位相シフ
    ト回路。
  2. 【請求項2】 第1,第2の2つのオールパスフィルタ
    間の位相特性の差により、第1の信号経路と第2の信号
    経路の間で、所定の周波数範囲にわたってほぼ90度の
    位相差を得るようにしたことを特徴とする請求項1に記
    載の広帯域位相シフト回路。
  3. 【請求項3】 第1,第2の2つのオールパスフィルタ
    はそれぞれ、容量と抵抗で設定される位相特性を有する
    フィルタであることを特徴とする請求項1または2に記
    載の広帯域位相シフト回路。
  4. 【請求項4】 第1,第2の2つのオールパスフィルタ
    はそれぞれ、可変コンダクタンスアンプが形成する等価
    抵抗を用いたことを特徴とする請求項1から3のいずれ
    かに記載の広帯域位相シフト回路。
  5. 【請求項5】 第1,第2の信号経路のいずか一方に2
    次のオールパスフィルタを直列に付加したことを特徴と
    する請求項1から4のいずれかに記載の広帯域位相シフ
    ト回路。
  6. 【請求項6】 オールパスフィルタをデジタル演算処理
    により模擬されるデジタルフィルタで構成することを特
    徴とする請求項1から5のいずれかに記載の広帯域位相
    シフト回路。
  7. 【請求項7】 磁気テープから再生された低域クロマ信
    号に1水平走査期間分の遅延を与える遅延手段と、この
    遅延手段にて遅延された第1の信号と遅延されていない
    第2の信号との間にほぼ90度の位相差を与える広帯域
    位相シフト回路と、この広帯域位相シフト回路にて位相
    差を与えられた第1の信号と第2の信号で減算または加
    算処理を行う演算回路とによって構成される櫛形フィル
    タであって、上記広帯域位相シフト回路は、第1の信号
    経路に介在して第1の位相特性を呈する第1のオールパ
    スフィルタと、第2の信号経路に介在して第2の位相特
    性を呈する第2のオールパスフィルタを有するととも
    に、第1の信号経路と第2の信号経路の間で、所定の周
    波数範囲にわたってほぼ90度の位相差を得るように、
    上記2つのオールパスフィルタ間で位相特性に差を持た
    せたことを特徴とする櫛形フィルタ。
  8. 【請求項8】 変調信号をその周波数帯域の全般にわた
    ってほぼ90度の位相差を持つ第1,第2の2つの変調
    信号に分ける広帯域位相シフト回路と、ほぼ90度の位
    相差を持つ第1,第2の2つの搬送波信号を生成する搬
    送波発生回路と、第1,第2の2つの変調信号の一方と
    第1,第2の2つの搬送波信号の一方を掛け算処理する
    第1の掛け算回路と、第1,第2の2つの変調信号の他
    方と第1,第2の2つの搬送波信号の他方を掛け算処理
    する第2の掛け算回路と、第1,第2の各掛け算回路の
    出力を加算合成する加算回路とを有する位相シフト方式
    のSSB発生回路であって、上記第1の位相シフト回路
    は、第1の信号経路に介在して第1の位相特性を呈する
    第1のオールパスフィルタと、第2の信号経路に介在し
    て第2の位相特性を呈する第2のオールパスフィルタを
    有するとともに、第1の信号経路と第2の信号経路の間
    で、所定の周波数範囲にわたってほぼ90度の位相差を
    得るように、上記2つのオールパスフィルタ間で位相特
    性に差を持たせたことを特徴とするSSB発生回路。
  9. 【請求項9】 搬送波発生回路は、搬送波信号の周波数
    域にてほぼ90度の位相差を与える狭帯域位相シフト回
    路を用いて構成されていることを特徴とする請求項8に
    記載のSSB発生回路。
  10. 【請求項10】 オールパスフィルタをデジタル演算処
    理により模擬されるデジタルフィルタで構成することを
    特徴とする請求項8または9に記載のSSB発生回路。
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