JPH08298864A - 接ぎ木用穂部運搬装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 クリップに挿入される接ぎ木苗の穂部が多少
曲がっていても確実に挿入する。 【構成】 穂部運搬装置２６は、穂木用苗２１から切断
した穂部１４を把持する上部クランパ２９を備え、この
上部クランパ２９により把持された穂部１４を、台木用
苗２３の穂部を切断・除去した台部１５に運んで接続す
る役目をなす。上部クランパ２９は、エアシリンダ３６
によりスライドベース３０のスライド面に沿って移動で
き、スライドベース３０は縦軸（Ｙ軸）に対し所定角度
に傾斜して設置可能とする。上部クランパ２９により台
部１５上方に運んだ穂部１４を、エアシリンダ３６によ
り、台部１５先端にあてがわれたクリップ１０にその開
口方向から斜めに差し込む。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、接ぎ木用穂部運搬装
置に係り、詳しくは穂木用苗から切断した穂部を把持
し、台木用苗の穂部を切断・除去した台部に運んで接続
する接ぎ木用穂部運搬装置の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種、穂部運搬装置が用いられる接ぎ
木装置は、穂木用苗を収納した列状苗トレーを搬送する
穂木用搬送コンベヤと、台木用苗を収納した列状苗トレ
ーを搬送する台木用搬送コンベヤとを備えていて、所定
の接木処理位置において、前記により搬送されてきた穂
木用苗から穂部を斜めに切断し、この切断した穂部を前
記穂部運搬装置により把持して、台木用苗から穂部を斜
めに切断・除去した台部に運び、この台部先端にあてが
われたクリップに前記穂部を差し込んで、自動的に接合
する装置である。

【０００３】前記クリップは、台部と穂部が内包される
内径側の断面が円形の保持部を有していて、従来、穂木
用苗から切断された前記穂部の差し込みに際しては、台
部先端にあてがわれた前記クリップ中に、上方から略々
垂直方向に下降してきて前記保持部の内径側に差し込ま
れていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来、前記ク
リップの真上方向から穂部を挿入していたため、挿入さ
れる穂部が曲がっていた場合、クリップの内径側の断面
形状が円形であることもあって、クリップの内径の背面
に苗が引っ掛かり、挿入ミスが生じるおそれがあった。
すなわち、台部先端にあてがわれた前記クリップに、台
部と穂部の切断斜面が接合するように穂部を差し込むと
きに、中心位置がズレていることでクリップの内径側に
うまく挿入されず、活着率が低下するというおそれがあ
った。このため、接ぎ木装置のように機械的に自動で接
ぎ木するときには、芯出し精度をかなり高くする必要が
あった。

【０００５】この発明は、斯かる課題を解消するために
なされたもので、その目的とするところは、クリップに
挿入される接ぎ木苗の穂部が多少曲がっていても確実に
挿入することのできる接ぎ木用穂部運搬装置を提供する
ことにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、穂木用苗（２１）から切断した穂部（１
４）を把持すべく開閉自在な把持部材（２９）を備え、
該把持部材（２９）にて把持された前記穂部（１４）
を、台木用苗（２３）の穂部を切断・除去した台部（１
５）に運んで接続すべく、縦軸（Ｙ軸）を中心に回動自
在な接ぎ木用穂部運搬装置（２６）において、前記把持
部材（２９）を縦軸（Ｙ軸）に対し所定角度に傾斜して
設置したスライドベース（３０）と、該スライドベース
（３０）のスライド面に沿って前記把持部材（２９）を
移動させる移動手段（３６）と、を備え、前記把持部材
（２９）にて台部（１５）上方に運んだ前記穂部（１
４）を、前記移動手段（３６）に基づき、前記台部（１
５）先端にあてがわれたクリップ（１０）にその開口方
向から斜めに差込むことを特徴とする。

【０００７】また、本発明は、前記スライドベース（３
０）の取り付け基部（３３）に、該取り付け基部（３
３）に対しスライドベース（３０）を任意の角度に傾斜
させる傾斜角調整手段（３４）を設けたことを特徴とす
る。

【０００８】

【作用】以上の構成により、本発明によれば、穂木用苗
（２１）から切断した穂部（１４）を把持する把持部材
（２９）を、縦軸（Ｙ軸）に対し所定角度に傾斜して設
置したスライドベース（３０）と、該スライドベース
（３０）のスライド面に沿って前記把持部材（２９）を
移動させる移動手段（３６）とを備えたことにより、台
木側に運搬してきた前記穂部（１４）を、台部（１５）
先端にあてがわれたクリップ（１０）の上方で待機さ
せ、この穂部（１４）を斜め下方に移動させてクリップ
（１０）の開口方向から斜めに差し込むようにすれば、
穂部（１４）の苗軸先端とクリップ（１０）内径の背面
との間に隙間（ａ）が形成されるため、この隙間（ａ）
が生じることにより、たとえ穂部（１４）の苗軸が曲が
っていて中心がずれている場合であっても、穂部（１
４）はクリップ内径側に引っ掛かることなく確実に挿入
される。

【０００９】なお、上述の括弧内の符号は、図面を対照
するためのものであって、この発明の構成を何ら限定す
るものではない。

【００１０】

【実施例】以下、図面に基づき本発明の実施例を説明す
る。

【００１１】まず、本発明の穂部運搬装置が適用される
接ぎ木装置を、図１に基づき概説すると、この接ぎ木装
置は、列状苗トレー１８の各育苗ポット１９に植設され
た穂木用苗２１を接ぎ木処理位置に搬送する穂木搬送コ
ンベヤ２２と、列状苗トレー１８’の各育苗ポット１
９’に植設された台木用苗２３を接ぎ木処理位置に搬送
する台木搬送コンベヤ２４と、接ぎ木処理位置にて、前
記穂木用苗２１から切断した穂部を前記台木用苗２３の
穂部を切断・除去した台部に接続する接ぎ木処理手段２
０とを備えている。

【００１２】この接ぎ木処理手段２０は、穂木用苗２１
の苗軸の下部をクランプ（５０）してカッター５１にて
切断する穂木苗切断手段２５と、穂木用苗２１から切断
した穂部を保持して台木用苗２３の台部に運ぶ運搬手段
としての穂部運搬装置２６と、台木用苗２３の苗軸の下
部をクランプ（５０’）してカッター５１’にて切断す
る台木苗切断手段２７と、台木用苗２３における穂部を
切断・除去した台部にクリップを供給するクリップ供給
手段２８とから成る。

【００１３】図２に示すように、穂木用苗２１は前記穂
木苗切断手段２５によってその子葉位置よりも下方略１
０ｍｍのところを、苗軸に対し略３０度の角度で斜めに
切断される。また、図３に示すように、台木用苗２３は
前記台木苗切断手段２７によってその子葉位置よりも下
方略５ｍｍのところを、苗軸に対し略３０度の角度で斜
めに切断される。なお、前記のように苗軸を斜めに切断
するのは、台部１５と穂部１４とを接合する際に互いに
接合面積を大きくして活着率を高めるためである。

【００１４】そして、図４に示すように、穂木用苗２１
から切断した穂部１４を、台木用苗２３の穂部を切断・
除去した台部１５にクリップ１０により接合されるが、
この場合、前記台部１５の先端部にクリップ１０を開い
た状態で配置しておき、このクリップ１０に互いに切断
面が接触するように前記穂部１４を挿入し、クリップ１
０を閉じた後、増し押しを行って接ぎ木を終了する。

【００１５】前記穂部運搬装置２６は、穂木用苗２１か
ら切断した穂部１４を把持すべく開閉自在な把持部材と
しての上部クランパ２９を備えていて、この上部クラン
パ２９によって把持された前記穂部１４を、台木用苗２
３の穂部を切断・除去した台部１５に運んで接続するべ
く、縦軸（Ｙ軸）を中心に回動自在となっている。

【００１６】ここで、本発明は、前記把持部材としての
上部クランパ２９を縦軸（Ｙ軸）に対し所定角度に傾斜
して設置したスライドベースと、該スライドベースのス
ライド面に沿って前記上部クランパ２９を移動させる移
動手段とを備えていることを特徴としている。

【００１７】図５（ａ）（ｂ）に示すように、縦軸（Ｙ
軸）に対し回動自在に回動ベース３１が取り付けられ、
この回動ベース３１の上部に横移動ベース３２およびベ
ースブロック３３が載置されている。前記ベースブロッ
ク３３には、傾斜角調整手段としてのボルトとナットに
より、回動支点３４を中心として縦軸（Ｙ軸）に対し傾
斜して設置可能なスライドベース３０が取り付けられて
いて、このスライドベース３０の一側面にはスライドレ
ール３５が固定され、また他側面にはエアシリンダ３６
が固定されている。このエアシリンダ３６には、その作
動ロッド３６ａの他端側に連結プレート３７が取り付け
られ、該連結プレート３７を支持する基端側は、前記ベ
ースブロック３３に対し上下方向に引き出し自在にスラ
イドバー３８が取り付けられている。

【００１８】更に、前記スライドレール３５には、その
スライド面に沿って摺動自在にスライドブラケット３９
が取り付けられていて、このスライドブラケット３９の
前端部に前記上部クランパ２９が取り付けられ、上部に
は上下方向に沿って増押し用のエアシリンダ４０が取り
付けられている。なお、前記エアシリンダ４０の作動ロ
ッド４０ａは、前記連結プレート３７に取り付けられて
いる。このため、前記上部クランパ２９は、スライドレ
ール３５のスライド面に沿って傾斜した状態で上下動が
可能となっている。

【００１９】次に、本実施例の作用を説明する。

【００２０】図５（ａ）において、上部クランパ２９に
より穂木用苗２１の穂部１４を把持した状態で、苗軸の
子葉下部を斜めに切断し、前記穂部１４を把持したまま
Ｙ軸を中心として回動ベース３１を回動させ、図５
（ｂ）に示すように、略１８０度反転させる。

【００２１】この回動動作の途中において、前記エアシ
リンダ３６のロッド３６ａを伸長させると、前記スライ
ドバー３８がベースブロック３３から上方に引き伸ばさ
れると共に、スライドブラケット３９がスライドレール
３５に沿って上方に持ち上げられる。こうして、上部ク
ランパ２９が回動終点位置にて停止した時点では、上部
クランパ２９に把持された前記穂部１４は、台部１５先
端にあてがわれたクリップ１０の上方の位置で待機する
こととなる。

【００２２】この状態から、前記エアシリンダ３６のロ
ッド３６ａを収縮させると、ロッド３６ａと共にスライ
ドブラケット３９がスライドレール３５に沿って斜め下
方に移動し、上部クランパ２９が下降して穂部１４がク
リップ１０内に挿入される。そして、このときの挿入状
態の詳細を図６に示す。

【００２３】図６において、前記穂部１４の苗軸中心を
略垂直下方に向けた状態で、クリップ１０の中心に対し
て若干ずれた状態で待機させておき、この状態から前記
穂部１４を斜め下方に移動させてクリップ１０の開口方
向から斜めに差し込む。このとき、図の破線で示される
ように、前記穂部１４の苗軸中心の軌跡はクリップ１０
の割面側から入り、苗軸先端とクリップ内径の背面との
間に隙間ａが形成される。そして、この隙間ａにより、
クリップ１０の開口位置においては、苗軸先端とクリッ
プ内径の背面との間の干渉は防止されると共に、台部１
５との接合面ではゼロとなる。よって、穂部１４の苗軸
が曲がって中心がずれている場合であっても、穂部１４
を確実に挿入することができるため、クリップ１０への
挿入ミスをなくすことができる。なお、この穂部１４を
挿入してクリップ１０を閉じてから、更に増押し用エア
シリンダ４０のロッド４０ａを作動させて、上部クラン
パ２９を微小量だけ挿入方向に増し押しする。

【００２４】図７（ａ）（ｂ）は、本発明の他の実施例
を示すもので、この実施例においては、前記上部クラン
パ２９を縦軸（Ｙ軸）に対し傾斜させないで設けること
により、前記上部クランパ２９を固定基部に対し垂直方
向に移動可能に設定している。

【００２５】この実施例によれば、前記穂部１４の苗軸
が真直ぐであるような場合に、この穂部１４を、台部１
５先端にあてがわれたクリップ１０の真上の位置で待機
させ、この状態から穂部１４を垂直下方に移動させれば
クリップ１０に差し込むことができる。

【００２６】

【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、穂
木用苗の穂部を把持する把持部材を縦軸に対し所定角度
に傾斜して設置したスライドベースと、このスライドベ
ースのスライド面に沿って前記把持部材を移動させる移
動手段とを備えたことにより、前記穂部を台部先端にあ
てがわれたクリップの上方で、かつクリップ中心に対し
て若干ずれた状態で待機させ、この穂部を斜め下方に移
動させてクリップの開口方向から斜めに差し込むとき、
穂部の苗軸先端とクリップ内径の背面との間に隙間が形
成されるため、穂部の苗軸が曲がって中心がずれている
場合であっても、穂部を確実にクリップに挿入すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る接木用穂部運搬装置が適用される
接ぎ木装置の概略の平面図である。

【図２】育苗ポットと穂木用苗の正面図である。

【図３】育苗ポットと台木用苗の正面図である。

【図４】育苗ポットと接ぎ木苗の正面図である。

【図５】（ａ）は、上部クランパを縦軸に対し傾斜させ
て設け、この上部クランパにより穂木側において穂部を
把持した状態を示す側面図である。（ｂ）は、前記上部
クランパにより穂木側において把持した穂部を、台木側
の上方に運んできた状態を示す側面図である。

【図６】台木側の上方に運んできた穂部を、台部先端に
あてがわれたクリップに挿入する状態を示す図である。

【図７】（ａ）は、上部クランパを縦軸に対し傾斜させ
ないで設け、この上部クランパにより穂木側において穂
部を把持した状態を示す側面図である。（ｂ）は、前記
上部クランパにより穂木側において把持した穂部を、台
木側の上方に運んできた状態を示す側面図である。

【符号の説明】

１０ 接ぎ木用クリップ １１ 保持部 １２ スリット １３ 把持部 １４ 穂部 １５ 台部 １８，１８’列状苗トレー １９，１９’育苗ポット ２１ 穂木用苗 ２３ 台木用苗 ２６ 穂部運搬装置 ２９ 上部クランパ ３０ スライドベース ３１ 回動ベース ３２ 横移動ベース ３３ ベースブロック ３４ 回動支点 ３５ スライドレール ３６ エアシリンダ（上下用） ３７ 連結プレート ３８ スライドバー ３９ スライドブラケット ４０ エアシリンダ（増押し用）

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【手続補正書】

【提出日】平成７年１０月３０日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】図５

【補正方法】変更

【補正内容】

【図５】

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 穂木用苗から切断した穂部を把持すべく
   開閉自在な把持部材を備え、該把持部材にて把持された
   前記穂部を、台木用苗の穂部を切断・除去した台部に運
   んで接続すべく、縦軸を中心に回動自在な接ぎ木用穂部
   運搬装置において、 前記把持部材を縦軸に対し所定角度に傾斜して設置した
   スライドベースと、 該スライドベースのスライド面に沿って前記把持部材を
   移動させる移動手段と、を備え、 前記把持部材にて台部上方に運んだ前記穂部を、前記移
   動手段に基づき、前記台部先端にあてがわれたクリップ
   にその開口方向から斜めに差込む、 ことを特徴とする接ぎ木用穂部運搬装置。
2. 【請求項２】 前記スライドベースの取り付け基部に、
   該取り付け基部に対しスライドベースを任意の角度に傾
   斜させる傾斜角調整手段を設けた、 ことを特徴とする請求項１記載の接ぎ木用穂部運搬装
   置。